JP2007161780A - 膜形成用組成物、該組成物を用いた絶縁膜及び電子デバイス - Google Patents
膜形成用組成物、該組成物を用いた絶縁膜及び電子デバイス Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】カゴ型構造を有する化合物を含有する膜形成用組成物であって,該組成物から350℃から400℃の温度範囲で1時間の焼成によって得られる膜を、350℃から400℃の温度範囲で20時間加熱したときの膜の減少率が0%以上10%以下であることを特徴とする膜形成用組成物、さらには該組成物を用いて得られる絶縁膜およびそれを有する電子デバイス。
【選択図】なし
Description
ポリエチレンのような飽和炭化水素をベースとするポリマーは電子分極が小さい構造に起因して低い誘電率を有する特徴があるが、一方で結合解離エネルギーの小さい炭素−炭素単結合で構成されるため一般的に耐熱性が低いことが課題となっている。
<1> カゴ型構造を有する化合物を含有する膜形成用組成物であって、該組成物から350℃から400℃の温度範囲で1時間の焼成によって得られる膜を、350℃から40
0℃の温度範囲で20時間加熱したときの膜の減少率が0%以上10%以下であることを特徴とする膜形成用組成物。
<3> カゴ型構造を有するモノマーが炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有することを特徴とする上記<1>又は<2>に記載の膜形成用組成物。
<4> カゴ型構造が、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタンから選択されることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
X1〜X6は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シリル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基等を表す。
Y1〜Y6は、各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基またはシリル基を表す。
m1〜m6は各々独立に1〜14の整数を表す。
n1〜n6は各々独立に0〜13の整数を表す。
<7> カゴ型構造を有する化合物がシクロヘキサノンまたはアニソールに25℃で3質量%以上溶解することを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<8> 有機溶剤を含む上記<1>〜<7>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<10> 上記<9>に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
本発明の膜形成用組成物は、カゴ型構造を有する化合物を含有し、該組成物から形成した塗膜を350℃から400℃の温度範囲で1時間の焼成によって得られる膜について、350℃から400℃の温度範囲で20時間加熱したときの膜厚減少率が0%以上10%以下であることを特徴としている。
A:一旦350℃以上400℃以下の温度で1時間加熱硬化した後の膜厚
B:次いで350℃以上400℃以下の温度で20時間加熱処理した際の膜厚
とした時、膜厚減少率は、下記の様に定義される。
膜厚減少率(%)= [(A−B)/A]×100
架橋反応性基としては、例えば、エチニル、ビニル、ジエン、ジエノフィル、ベンゾシクロブテンなどが挙げられる。
1〜6個の架橋反応性基を有するカゴ型構造を有する化合物を30モル%以上含有することが好ましい。
また、架橋反応性基のモノマー分子内での位置関係を適切に設定することも有効である。たとえば、2つのエチニル基が一直線上にあることは好ましい。この観点で、ジアマンタン骨格はアダマンタン骨格よりも有効である。例えば、以下のモノマーを挙げることができる。
これらにより減少率0%以上10%以下にすることができる。
である。
有機過酸化物としては、日本油脂株式会社より市販されているパーヘキサH等のケトンパーオキサイド類、パーヘキサTMH等のパーオキシケタール類、パーブチルH−69等のハイドロパーオキサイド類、パークミルD、パーブチルC、パーブチルD等のジアルキルパーオキサイド類、ナイパーBW等のジアシルパーオキサイド類、パーブチルZ、パーブチルL等のパーオキシエステル類、パーロイルTCP等のパーオキシジカーボネート、ジイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ‐n‐プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ‐sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ‐2−エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5−ジメチルー2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ブチルパーオキシ‐2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ‐(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ‐3,5,5、−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ‐メチル‐2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジー(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル4,4−ジーt−ブチルパーオキシバレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、シ゛‐t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル‐2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーイキサイド、ジ‐t−ブチルパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル-2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン‐3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニルブタン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、トリス‐(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシネオデカノエート、α‐クミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジーt−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ‐t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、ジ‐3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ‐イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコールビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート等が好ましく用いられる。
本発明の重合開始剤の使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
を用いて重合することが好ましい。
本発明の遷移金属触媒の使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
なお、本発明においては、上述の重合開始剤がより好ましい。
この中でより好ましい連結基は、−C(R11)(R12)−、−CH=CH−、−C≡C−、アリーレン基、−O−、−Si(R16)(R17)−またはこれらを組み合わせた基であり、特に好ましいものは、低誘電率である見地から−C(R11)(R12)−、−CH=CH−である。
X1〜X6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜10)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20)、シリル基(好ましくは炭素数0〜20)、アシル基(好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜10)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20)等を表す。
このうち、好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくは水素原子である。
Y1〜Y6はそれぞれ独立にハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20)またはシリル基(好ましくは炭素数0〜20)を表し、より好ましくは置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくはアルキル基(メチル基等)である。
X1〜X6、Y1〜Y6はさらに別の置換基で置換されていてもよい。
m1〜m6は1〜14の整数を表し、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり特に好ましくは2である。
n1〜n6は0〜13の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0または1であり特に好ましくは0である。
カゴ型構造を有するモノマーの分子量は、好ましくは160〜1500、より好ましくは160〜1100、更に好ましくは160〜800、特に好ましくは160〜220である。
反応液中のモノマーの濃度は好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。
特に好ましくは100℃〜150℃で、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜20時間、特に好ましくは3〜10時間の範囲である。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
具体的にはマクロモルキュールズ(Macromolecules), 1991年、第24巻、5266〜5268頁、1995年、第28巻、5554〜5560頁、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry), 39, 2995-3003 (1974) 等に記載された方法に準じて合成することが出来る。
また、末端アセチレン基の水素原子をブチルリチウム等でアニオン化して、これにハロゲン化アルキルやハロゲン化シリルを反応させることによって、アルキル基やシリル基を導入することが出来る。
塗布液の保存経時で不溶物の析出を防止する観点から、重合体の溶解度は高いほうが好ましい。本発明の重合体はさらに好ましくはシクロヘキサノンに25℃で7質量%以上溶解することがより好ましく、10質量%以上溶解することが特に好ましい。
より好ましい塗布溶剤は、1−メトキシー2−プロパノール、プロパノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンであり、特に好ましくは1−メトキシー2−プロパノール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、t−ブチルベンゼン、アニソールである。
本発明の膜形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは2〜15質量%であり、特に好ましくは3〜10質量%である。
移金属以外の金属含有量は好ましくは30ppm以下、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは300ppb以下である。また、遷移金属に関しては酸化を促進する触媒能が高く、プリベーク、熱硬化プロセスにおいて酸化反応によって本発明で得られた膜の誘電率を上げてしまうという観点から、含有量がより少ないほうがよく、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下、特に好ましくは100ppb以下である。
−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。本発明で使用するシランカップリング剤は、一種類でも良いし、二種類以上でも良い。
空孔形成剤となる添加剤としての空孔形成因子としては特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、膜形成用塗布液で使用される溶剤との溶解性、本発明重合体との相溶性を同時に満たすことが必要である。またこの空孔形成剤の沸点若しくは分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分子量としては、200〜50000であることが好ましく、より好ましくは300〜10000、特に好ましくは400〜5000である。添加量は膜を形成する重合体に対して、質量%で好ましくは0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1%〜20%である。また、空孔形成因子として、重合体の中に分解性基を含んでいても良く、その分解温度は好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃であると良い。分解性基の含有率は膜を形成する重合体に対して、モル%で0.5〜75%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1〜20%である。
その他、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルピリジン、ポリカプロラクトン等であってもよい。
特にポリスチレンは、空孔形成剤として好適に使用できる。ポリスチレンはとしては、たとえば、アニオン性重合ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、未置換および置換ポリスチレン(たとえば、ポリ(α−メチルスチレン))が挙げられ、未置換ポリスチレンが好ましい。
熱可塑性空孔形成用ポリマーの例としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸およびポリビニルピリジン等が挙げられる。
また組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D-スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。
また、本発明では加熱処理ではなく高エネルギー線を照射することで重合体中に残存する炭素三重結合の重合反応を起こして硬化させても良い。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは50keV以下が好まし
く、より好ましくは30keV以下、特に好ましくは20keV以下である。電子線の総ドーズ量は好ましくは5μC/cm2以下、より好ましくは2μC/cm2 以下、特に好ましくは1μC/cm2以下である。電子線を照射する際の基板温度は0〜450℃が好ましく、より好ましくは0〜400℃、特に好ましくは0〜350℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
さらに、別の用途として本発明の膜に電子ドナーまたはアクセプターをドープすることによって導電性を付与し、導電性膜として使用することも出来る。
マクロモルキュールズ(Macromolecules), 1991年、第24巻、5266〜5268頁に記載の合成法に従って、4,9−ジエチニルジアマンタンを合成した。さらに昇華精製を実施した。次に、4,9−ジエチニルジアマンタン2gとジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂製)0.22g、t−ブチルベンゼン10mlを窒素気流下で内温150℃で7時間攪拌、重合した。反応液を室温にした後、イソプロピルアルコール60mlに添加、析出した固体を濾過して、イソプロピルアルコールで十分に洗浄した。重量平均分子量約1.5万の重合体(A)を0.8g得た。重合体(A)の1H−NMRのチャートを示す。
重合体(A)のシクロヘキサノンへの溶解度は25℃で15質量%以上であった。
重合体(A)1.0gをシクロヘキサノン10gに完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で200℃で60秒間加熱、溶剤を乾燥させた後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分間焼成したところ、膜厚0.505ミクロンのブツのない均一な膜が得られた。膜厚はジェー・エー・ウーラム社製分光エリプソメトリーDUV-VASEを用いて測定した。膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.42であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、8.0GPaであった。測定温度はいずれも25℃であり、以降の実施例、比較例及び参考例においても同様である。
本サンプルを400℃で20時間加熱処理したところ、膜厚減少率は0.2%であり、断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察を実施したところ、界面剥離は観察されなかった。
昇華精製した4,9−ジエチニルジアマンタン2gと1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(V−40、和光純薬工業製)、アニソール10mlを窒素気流下で内温100℃で8時間攪拌、重合した。反応液を室温にした後、メタノール100mlに添加した。析出した固体を濾過して、メタノールで洗浄した。重量平均分子量約1万の重合体(B)を1.0g得た。
重合体(B)のシクロヘキサノンへの溶解度は25℃で15質量%以上であった。
重合体(B)1.0gをシクロヘキサノン10gに完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した結果、膜厚0.495ミクロンのブツのない均一な膜が得られた。膜の比誘電率は、2.43であった。また、ヤング率は7.8GPaであった。本サンプルを400℃20時間の加熱処理を実施したところ、膜厚減少率は0.4%であり、断面のSEM観察を実施したところ界面剥離は観察されなかった。
4,9−ジエチニルジアマンタンの代わりに昇華精製した1,6−ジエチニルジアマンタンを使用した以外は実施例1と同じ方法で重合体(C)を0.9g合成した。GPC測定の結果、重量平均分子量は約2万であった。
重合体(C)のシクロヘキサノンへの溶解度は25℃で15質量%以上であった。
重合体のシクロヘキサノンの10質量%溶液を調製して0.2ミクロンのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートした。この塗膜を窒素置換したファーネス中で400℃で60分間焼成した。膜厚0.512ミク
ロンのブツのない均一な膜が得られた。
得られた膜の比誘電率は2.37であった。また、ヤング率は7.5GPaであった。本サンプルを400℃20時間の加熱処理を実施したところ、膜厚減少率は0.3%であり、断面のSEM観察を実施したところ界面剥離は観察されなかった。
米国特許5,017,734号の実施例11に記載の方法に準じて4,9−ジエチニルジアマンタンの重合体を合成した。得られた重合体はシクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、ジクロロベンゼン等の溶剤に不溶であり、塗布可能な塗布液は得られなかった。
4,9−ジエチニルジアマンタンの代わりに昇華精製をした1,3−ジエチニルアダマンタンを使用した他は実施例1と同じ方法で重合体(D)を0.7g合成した。GPC測定の結果、重量平均分子量は約2万であった。
重合体(D)を用いて、実施例1の方法に準じて膜を作成した。得られた膜の比誘電率は2.55、ヤング率は3.0GPaであった。本サンプルを400℃20時間の加熱処理を実施したところ、膜厚減少率は30%であり、断面のSEM観察を実施したところ界面剥離が観察された。
昇華精製した4,9−ジエチニルジアマンタンの代わりに昇華精製をしていない4,9−ジエチニルジアマンタンを使用した他は実施例1と同じ操作を行い、膜を作成した。得られた膜の比誘電率は2.42、ヤング率は8.0GPaであった。本サンプルを400℃100時間の加熱処理を実施したところ、膜厚減少率は12%であり、断面のSEM観察を実施したところ界面剥離が観察された。
Claims (10)
- カゴ型構造を有する化合物を含有する膜形成用組成物であって、該組成物から350℃から400℃の温度範囲で1時間の焼成によって得られる膜を、350℃から400℃の温度範囲で20時間加熱したときの膜の減少率が0%以上10%以下であることを特徴とする膜形成用組成物。
- カゴ型構造を有する化合物が、カゴ型構造を有するモノマーの重合体であることを特徴とする請求項1に記載の膜形成用組成物。
- カゴ型構造を有するモノマーが炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の膜形成用組成物。
- カゴ型構造が、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタンから選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の膜形成用組成物。
- カゴ型構造を有する化合物がカゴ型構造を有するモノマーを遷移金属触媒存在下またはラジカル開始剤存在下で重合して得られることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の膜形成用組成物。
- カゴ型構造を有する化合物がシクロヘキサノンまたはアニソールに25℃で3質量%以上溶解することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の膜形成用組成物。
- 有機溶剤を含む請求項1〜7のいずれかに記載の膜形成用組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の膜形成用組成物を用いて形成した絶縁膜。
- 請求項9に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
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JP2005356783A JP2007161780A (ja) | 2005-12-09 | 2005-12-09 | 膜形成用組成物、該組成物を用いた絶縁膜及び電子デバイス |
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