JP2009227838A - 膜形成用組成物、絶縁膜、及び、電子デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献5及び6に記載の技術は、誘電率を低下させる点については有効であるが、機械強度の低下や極端に大きい空孔が生じる等の弊害が見られる場合があり、依然として新たな技術開発が求められている。
<1> (A)式(1)で表されるモノマー単位を含む重合体を含むことを特徴とする膜形成用組成物、
<3> 前記(C)が、炭素−炭素三重結合を有する化合物である<2>に記載の膜形成用組成物、
<4> <1>〜<3>いずれか1つに記載の膜形成用組成物を用いて形成した絶縁膜、
<5> <4>に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
さらには前記膜形成用組成物(塗布液)を用いて得られる絶縁膜及び前記絶縁膜を有する電子デバイスを提供することができた。
本発明の膜形成用組成物は、半導体素子などにおける層間絶縁膜として使用するのに適した、優れた耐熱性、低比誘電率、機械強度、面性(膜面状)等を有する絶縁膜を形成することができる。さらには前記塗布液を用いて得られる電子デバイスの層間絶縁膜及び前記絶縁膜を層構成層として有する電子デバイスを提供することができる。
本発明の膜形成用組成物は、成分(A)を含有することにより、優れた耐熱性、低比誘電率、機械強度及び表面平滑性を有する低誘電率膜を形成可能である。
また、本発明の膜形成用組成物は、半導体素子、電子デバイスなどの層間絶縁膜を形成するのに好適に使用され、前記絶縁膜を層構成層として有する電子デバイスに好適に用いられる。以下、本発明を詳細に説明する。なお、数値範囲の表記である「1〜10」等は、「1以上、10以下」と同義であり、特に断りのない限り他の数値範囲の記載においても同様とする。
本発明において、成分(A)は、空孔形成因子(ポロゲン(porogen))と呼ばれる熱的に不安定な有機高分子であり、空孔の鋳型として膜形成用組成物に含有される。成分(A)は、熱処理により熱分解して消失し、空孔を形成する。
本発明者は、膜形成用組成物において、特定のモノマー単位を有する重合体を空孔形成因子として使用することにより、機械強度及び膜特性に優れ、かつ、低誘電率を有する膜を形成可能であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
R1がアルキル基又はアリール基であると耐熱性の高い絶縁膜が得られる。
前記アルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることがさらに好ましい。なお、本発明において、特に記載しない限り、アルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のアルキル基を含む。
前記アリール基は、炭素数20以下であることが好ましく、炭素数12以下であることがより好ましく、フェニル基又はナフチル基であることがさらに好ましい。
本発明においては、R1はアリール基であることが好ましく、中でもフェニル基がより好ましい。
前記アルキル基及びアリール基はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数20以下のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基及びハロゲン原子等が挙げられ、中でも炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基がより好ましい。
Xがアルキル基の場合には、R2は水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
前記アルキル基は、直鎖、分岐又は環状構造を有する炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基等がさらに好ましい。
前記アリールとしては炭素数20以下のアリール基であることが好ましく、炭素数12以下のアリール基であることがより好ましく、具体的にはフェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。
R2はさらに置換基を有していてもよい。前記置換基としては炭素数20以下のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基及びハロゲン原子等が挙げられる。
本発明においては、R1がアリール基であり、Xは−COOR2又は−CNであることが好ましい。R2はアルキル基であることが好ましく、R2が炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることがさらに好ましい。
具体的には、桂皮酸、桂皮酸ナトリウム、4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸ナトリウム、桂皮酸アリル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸エチル、桂皮酸シンナミル、4−シアノ桂皮酸エチル、4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸エチル、4−メトキシ桂皮酸エチル、4−ニトロ桂皮酸エチル、桂皮酸イソプロピル、4−クロロ桂皮酸メチル及び桂皮酸メチル等が挙げられる。中でも桂皮酸メチル、桂皮酸エチルが好ましい。
なお、成分(A)が共重合体である場合、式(1)で表されるモノマー単位を60モル%以上含有するものが好ましく、70モル%以上含有するものがより好ましく、80モル%以上含有するものがさらに好ましい。
これらの中でも、共重合するモノマーとしては、置換又は非置換のスチレン類、アクリル酸又はそのエステル類、メタクリル酸又はそのエステル類、アクリロニトリル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、無水マレイン酸、マレイミド、α−ヒドロキシメタクリル酸及びその誘導体、置換又は非置換のエチレン類がより好ましい。
合成品、天然物、いずれの場合も、金属等の不純物を除去する精製処理を施すことが好ましい。精製処理としては、イオン交換樹脂による処理、クロマトグラフィによる処理、分液処理、再沈処理、等が好ましい。
合成の際、原料となる単量体は、蒸留等の精製処理をしてから使用してもよい。
成分(C)中に式(1)で表されるモノマー単位を化学結合させる場合には、成分(C)を構成するモノマー量に対して、0.5〜75モル%が好ましく、より好ましくは0.5〜30モル%であり、さらに好ましくは1〜20モル%である。
ここで、固形分とは、膜形成用組成物から溶媒を除いた全成分を意味する。
成分(A)の添加量が上記範囲内であると、低誘電率であり、機械的強度に優れる膜を形成可能であるので好ましい。
以下、本発明において、好適に使用される成分(C)について詳述する。
なお、本発明においてエネルギー線とは、UV(紫外線)、電子線、マイクロ波及びX線等を指すものとする。
成分(C)は、熱又はエネルギー線照射により、化学変化が生じ、溶媒不溶となることが好ましく、化学変化としては、成分(C)同士の共有結合形成反応が好ましい。
すなわち、成分(C)は、共有結合形成のための反応性部位を有していることが好ましい。
前記反応性部位としては、熱及び又はエネルギー線照射により、共有結合を形成可能な部位であれば、何を用いてもよく、同一種類の反応性部位同士の反応でも、異なる種類の反応性部位間の反応であってもよい。必要に応じて、反応を促進する触媒や反応開始剤、増感剤等を用いてもよい。
炭素−炭素三重結合を有する化合物は、下記式(C1)で表される炭素−炭素三重結合を含む部分構造を、少なくとも一つ有する化合物であることが好ましく、2つ以上有することがより好ましく、3つ以上有することがさらに好ましい。
成分(C)中の式(C1)で表される部分構造以外の部位は、任意の構造を取ってよい。
本発明に用いられる「炭素−炭素三重結合を有する化合物」は、カゴ型構造を有することが好ましい。すなわち、本発明において、成分(C)として、炭素−炭素三重結合を有し、カゴ型構造を有する化合物(以下、「カゴ型構造を有する化合物」又は「カゴ型構造を有するモノマー」ともいう。)及び/又は前記カゴ型構造を有する化合物の重合体(以下、「カゴ型構造を有する重合体」ともいう。)を好適に使用することができる。
また、本発明において、成分(C)として、少なくともカゴ型構造を有する重合体を含有することが好ましい。
本発明において、カゴ型構造は飽和、不飽和結合のいずれを含んでいてもよく、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を含んでもよいが、低誘電率の見地から飽和炭化水素が好ましい。
置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は沃素原子)、炭素数1〜10の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル、プロペニル等)、炭素数2〜10のアルキニル基(エチニル、フェニルエチニル等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、炭素数2〜10のアシル基(ベンゾイル等)、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル等)、炭素数1〜10のカルバモイル基(N,N−ジエチルカルバモイル等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシ等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル等)、ニトロ基、シアノ基、シリル基(トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、トリビニルシリル等)等が例示できる。
式(I)〜(VI)中、Y1〜Y8はそれぞれ独立に、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数0〜20のシリル基を表し、より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくはアルキル基(メチル基等)である。
X1〜X8、Y1〜Y8は、さらに別の置換基で置換されていてもよい。
式(I)又は式(IV)中、n1、n5はそれぞれ独立に0〜15の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
式(II)又は式(V)中、m2、m3、m6、m7はそれぞれ独立に1〜15の整数を表し、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。
式(II)又は式(V)中、n2、n3、n6、n7はそれぞれ独立に0〜14の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
式(III)又は式(VI)中、m4、m8はそれぞれ独立に1〜20の整数を表し、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。
式(III)又は式(VI)中、n4、n8はそれぞれ独立に0〜19の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
また、末端アセチレン基の水素原子をブチルリチウム等でアニオン化して、これにハロゲン化アルキルやハロゲン化シリルを反応させることによって、アルキル基やシリル基を導入することができる。
溶液重合法において、反応液中のモノマーの濃度は好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜20重量%である。1重量%以上であると、製造効率が良好であり、また、50重量%以下であると、撹拌性に優れるので好ましい。
例えば、「炭素−炭素三重結合を有する化合物」を、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカル等の遊離ラジカルを発生するラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)の存在下で重合することができる。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物又は有機アゾ化合物が好ましく用いられる。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物では、日油(株)より市販されているパーヘキサH等のケトンパーオキサイド類、パーヘキサTMH等のパーオキシケタール類、パーブチルH−69等のハイドロパーオキサイド類、パークミルD、パーブチルC、パーブチルD等のジアルキルパーオキサイド類、ナイパーBW等のジアシルパーオキサイド類、パーブチルZ、パーブチルL等のパーオキシエステル類、パーロイルTCP等のパーオキシジカーボネート、ジイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1、1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、
とりわけ、有機過酸化物が、少量で効果的に重合できる点で最も好ましい。
本発明においてラジカル発生剤の使用量はモノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.75モルである。
遷移金属触媒の使用量は、モノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
連結基の例としては例えば、−C(R11)(R12)−、−C(R13)=C(R14)−、−C≡C−、アリーレン基、−CO−、−O−、−SO2−、−N(R15)−、−Si(R16)(R17)−又はこれらを組み合わせた基が挙げられる。ここで、R11〜R17はそれぞれ独立に置換基を表し、その置換基は、一般式(I)〜(VI)の置換基として前記したX1〜X8、Y1〜Y8が当てはまり、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を表す。これらの連結基は任意の置換基で置換されていてもよく、例えば前述の置換基が好ましい例として挙げられる。
この中でより好ましい連結基は、−C(R11)(R12)−、−CH=CH−、−C≡C−、アリーレン基、−O−、−Si(R16)(R17)−又はこれらを組み合わせた基であり、特に好ましいものは、低誘電率である見地から−C(R11)(R12)−、−CH=CH−である。
本発明において、カゴ型構造を有する重合体は単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の膜形成用組成物は有機溶媒を含んでいてもよく、塗布液として使用することもできる。有機溶媒としては特に限定はされないが、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール,1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶媒、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
より好ましい有機溶媒は、1−メトキシ−2−プロパノール、プロパノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンであり、特に好ましくは1−メトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、t−ブチルベンゼン、アニソールである。
本発明の膜形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは1〜50重量%であり、より好ましくは2〜15重量%であり、特に好ましくは3〜10重量%である。
ここで固形分とは、溶媒を除く全成分に相当する。
シランカップリング剤の好ましい使用量は、全固形分100重量部に対して10重量部以下であることが好ましく、特に0.05〜5重量部であることが好ましい。
上記成分(A)及び必要に応じて他の空孔形成因子により形成される空孔径の大きさとしては、最大で10nmが好ましく、より好ましくは最大5nmであり、特に好ましくは最大1nmである。空孔径の最大径が上記範囲内であると、形成される膜の強度に優れるので好ましい。
空孔形成剤となる添加剤としてのその他の空孔形成因子としては特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、膜形成用塗布液で使用される溶媒との溶解性、成分(C)との相溶性を同時に満たすことが好ましい。
具体的には、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリフェニルオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸及びポリビニルピリジンのホモポリマーもしくはコポリマー、又はそれらの混合物が挙げられる。
また、本発明では加熱処理ではなく高エネルギー線を照射することで重合体中に残存する炭素三重結合の重合反応を起こして硬化(焼成)させてもよい。高エネルギー線としては、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは50keV以下が好ましく、より好ましくは30keV以下、特に好ましくは20keV以下である。電子線の総ドーズ量は好ましくは5μC/cm2以下、より好ましくは2μC/cm2以下、特に好ましくは1μC/cm2以下である。電子線を照射する際の基板温度は0〜450℃が好ましく、より好ましくは0〜400℃、特に好ましくは0〜350℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2,000mWcm-2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。成分(C)の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
さらに、別の用途として本発明の膜に電子ドナー又はアクセプターをドープすることによって導電性を付与し、導電性膜として使用することもできる。
(合成例1)
3,4,5−トリメトキシ桂皮酸ニトリル(3,4,5−MOCN)、3,5−ジメトキシ桂皮酸ニトリル(3,5−MOCN)、4−メトキシ桂皮酸ニトリル(4−MOCN)、及び4−メチルチオ桂皮酸ニトリル(4−MSCN)について、Macromol.Chem.Phys.195,601−608(1994)に記載の方法に準じて、重合を行い、文献中Table.3.に記載の5つの重合体を得た。
ACCN:1,1’−azobis(1−cyclohexanecarbonitrile)
MAIB:dimethyl−2,2’−azobisisobutyrate
反応容器に、trans−桂皮酸メチル9.2gを測り取り、窒素気流下80℃に加熱した。30分撹拌後、スチレン12.2g、アゾビスイソ酪酸ジメチル5.7mg、シクロヘキサノン20mlの溶液を6時間かけて、反応液に滴下した。滴下終了後、1時間撹拌した後に、反応液にアゾビスイソ酪酸ジメチル5.7mgを添加した。さらに、4時間撹拌後、反応液を室温まで冷却し、メタノール400mlにゆっくりと添加した。生じた沈殿を濾取・乾燥し、重合体(A−6)(9.7g、Mw6,200)を得た。
Macromolecules.,5266頁(1991)に記載の合成法に従って、4,9−ジエチニルジアマンタンを合成した。
次に、4,9−ジエチニルジアマンタン100部と563部のジフェニルエーテルを反応容器内に入れ、窒素気流下で撹拌しながら内温155℃に加熱し、4,9−ジエチニルジアマンタンを完全に溶解した。次に、ジクミルパーオキサイド(パークミルD、日油(株)製)20.5部をジフェニルエーテル18.0部に溶解した溶液を、反応液の内温を150℃〜160℃に保ちながら、1時間かけて反応液へ滴下した。
反応後、反応液を50℃まで冷却後、2−プロパノール4Lに添加し、析出した固体を濾過して、2−プロパノールで洗浄した。得られた重合体をテトラヒドロフラン(THF)400mlに溶解して、メタノール4Lへ添加し、再沈精製した。真空乾燥後、重量平均分子量約3.0万の重合体(C−1)を55部得た。
膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ製水銀プローバ及び横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.26であった。
得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。
なお、塗膜表面の状態(膜面状)は以下のように評価した。
○:塗膜表面にクラック(ひび割れ)及びムラが認められない。
×:塗膜表面にクラック(ひび割れ)及び/又はムラが認められる。
結果を表1に示した。
実施例1の膜を空気中400℃で30秒間加熱し、加熱前の膜の厚みを100%として、加熱前後の膜厚変化率(膜減り率)を測定した。
膜厚変化率は(膜減り率)は、ウーラム社製分光エリプソメーター(VASE)を用いて測定した。
膜減り率=[(400℃加熱前膜厚−400℃加熱後膜厚)/加熱前膜厚]×100
結果を表1に示した。
機械強度の指標として、膜のヤング率を測定した。測定には、MTS社ナノインデンターSA2を使用した。
結果を表1に示した。
(A−1)を(A−2)〜(A−6)に変更した以外は、実施例1と同様にして膜形成用組成物を調製した。さらにこれらを用いて実施例1と同様にして実施例2〜6の膜を形成し、比誘電率の測定、塗膜表面の状態(膜面状)の観察、耐熱性及び機械強度の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例1の化合物(A−1)を添加しない膜形成用組成物を比較例1とした。
得られた塗膜を窒素気流下ホットプレート上で200℃で60秒間加熱した後、さらに窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。
膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ製水銀プローバ及び横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.46であった。
得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。
実施例1の化合物(A−1)の代わりに、市販のポリスチレン(Mw2,500)を添加した膜形成用組成物を比較例2とした。
得られた塗膜を窒素気流下ホットプレート上で200℃で60秒間加熱した後、さらに窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。
膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ製水銀プローバ及び横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.33であった。
得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。
比較例2で添加した市販のポリスチレン(Mw2,500)の添加量を0.85部とした膜形成用組成物を比較例3とした。
得られた塗膜を窒素気流下ホットプレート上で200℃で60秒間加熱した後、さらに窒素置換した400℃のオーブン中で60分焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。
膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ製水銀プローバ及び横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.26であった。
得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したところ、塗膜表面に若干ムラが見られた。
実施例1〜6の膜及び比較例1〜3の膜をそれぞれ、空気中400℃で30秒間加熱し、膜厚変化率を測定したところ、実施例1〜6の膜が12%減であったのに対し、比較例1では12%減、比較例2では24%減、比較例3では32%減であった。
Claims (5)
- (B)有機溶媒と、
(C)前記有機溶媒に可溶であり、かつ熱及び/又はエネルギー線照射により、前記有機溶媒に対して不溶化させることができる化合物とを含有する請求項1に記載の膜形成用組成物。 - 前記(C)が、炭素−炭素三重結合を有する化合物である請求項2に記載の膜形成用組成物。
- 請求項1〜3いずれか1つに記載の膜形成用組成物を用いて形成した絶縁膜。
- 請求項4に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
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