JP4731648B2 - 絶縁塗料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミド前駆体溶液中に絶縁フィラーを含有している絶縁塗料及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子回路部品である半導体チップやフレキシブルプリント基板等の絶縁封止材、層間絶縁膜、保護膜の絶縁被膜としてはエポキシ樹脂やポリイミド樹脂、シリコーン樹脂が広く使われてきた。近年、これら電子回路部品の加工温度や使用温度環境の高温化に伴い、被膜の耐久性に対する要求はますます厳しいものになってきている。その結果、高温耐久性や絶縁性がエポキシ樹脂よりも優れるポリイミド樹脂が特に注目されている。
【0003】
ポリイミド樹脂からなる上記の絶縁被膜は、ポリイミド前駆体溶液を基板に塗工し、熱処理して、溶媒を蒸発させ、次いで熱イミド化をさせるという工程を経てポリイミド被膜としていた。このポリイミド前駆体溶液から熱処理を経てポリイミド被膜を得る過程では、溶媒が蒸発するために、被膜中にボイドや気泡、クラックが発生し、その結果、絶縁性が低下するという問題があった。ところで、ポリイミド前駆体溶液はテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重縮合により生成するポリアミド酸が溶質として、ジメチルフォルムアミドやN−メチルピロリドン等の溶媒中に溶解している溶液である。この溶質であるポリアミド酸は高重合度のポリマーであるので、ポリアミド酸溶液は低濃度でも本質的に高粘度であった。また、高重合度のポリアミド酸は溶媒への溶解度が低いので、上述した問題の対策として溶媒蒸発量を低減させるために、固形分濃度を高くすることは困難であった。
【0004】
一方、ポリイミド前駆体溶液中の固形分濃度を高める別の試みとして、ポリイミド前駆体溶液にアルミナや窒化ホウ素、シリカ等の絶縁フィラーを添加することで、得られる被膜中のボイドや気泡、クラックを低減させる方法が知られている。しかしながら、本質的に低濃度で高粘度である従来のポリアミド酸溶液に絶縁フィラーを添加した場合にはさらに粘度が上昇して、フィラーの分散が困難になったり、塗工が困難になるという問題を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上に鑑み、本発明は、有機溶剤中にポリイミド前駆体と絶縁フィラーを高い固形分比率で含有していても低粘度で、塗工が容易である絶縁塗料を提供すること、有機溶剤中にポリイミド前駆体と絶縁フィラーを均一に分散させることができて、生産性良く絶縁塗料を得ることができる絶縁塗料の製造方法を提供すること、及びこの絶縁塗料から得られ、被膜中にボイドや気泡やクラックを含まない絶縁被膜を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、ポリイミド前駆体を形成する特定のカルボン酸と特定のジアミンとを有機溶媒中に溶解しているポリイミド前駆体溶液は、高い固形分比率を有していても低粘度であり、絶縁フィラーを均一に容易に分散させることができて、低粘度であること、さらに、この絶縁塗料を基材上に塗布し、加熱すると、ボイドやクラックを含まない絶縁被膜が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、第一に、ポリイミド前駆体を形成する一般式(1)に示すカルボン酸と一般式(2)に示すジアミンとを有機溶媒中に5〜80重量%溶解しているポリイミド前駆体溶液中に、絶縁フィラーを含有させてなることを特徴とする絶縁塗料である。
【0008】
【化5】
【0009】
〔一般式(1)及び(2)において、Rは次に示す構造式群Aの中から選ばれる少なくとも1つであり、R''は水素又は炭素数7以下の1価の有機基を示し、R' 及びR''' はそれぞれ構造式群Bの中から選ばれる少なくとも1つであり、nは1〜20の整数を示す。〕
【0010】
【化6】
【0011】
第二に、溶媒中で、一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物1モルに対して、一般式(4)に示すジアミンを0.1〜0.95モルの割合で反応させて、一般式(5)に示すカルボン酸二無水物を生成させ、水又は任意のアルコールを加えて末端の酸無水物基を開環させて一般式(1)に示すカルボン酸を得た後、この一般式(1)に示すカルボン酸1モルに対し、一般式(2)に示すジアミン0.95〜1.05モルを加えて、ポリイミド前駆体溶液を形成させ、さらに絶縁フィラーを添加することを特徴とする絶縁塗料の製造方法である。
【0012】
【化7】
【0013】
〔一般式(1)〜(5)において、Rは次に示す構造式群Aの中から選ばれる少なくとも1つであり、R''は水素又は炭素数7以下の1価の有機基を示し、R' 及びR''' はそれぞれ構造式群Bの中から選ばれる少なくとも1つであり、nは1〜20の整数を示す。〕
【0014】
【化8】
【0015】
前記絶縁塗料を基材に塗布し、加熱することで、下記構造式(6)に示すポリイミドと絶縁フィラーとよりなることを特徴とする絶縁被膜が得られる。
【0016】
【化9】
【0017】
〔構造式(6)において、Rは次に示す構造式群Aの中から選ばれる少なくとも1つであり、R' 及びR''' はそれぞれ構造式群Bの中から選ばれる少なくとも1つであり、m+lは10〜5000の整数である。〕
【0018】
【化10】
【0019】
【発明の実施の形態】
まず、本発明で用いる用語について説明する。
(1)ポリイミド
ポリマー鎖の繰り返し単位の80モル%以上がイミド構造を有する有機ポリマーをいう。そして、この有機ポリマーは耐熱性を示す。
(2)ポリイミド前駆体
加熱又は、化学的作用により閉環してポリイミドとなる有機化合物をいい、本発明において、ポリイミド前駆体は一般式(1)に示すカルボン酸と一般式(2)に示すジアミンよりなる。ここで、閉環とはイミド環構造が形成されることをいう。
【0020】
(3)ポリイミド前駆体溶液
ポリイミド前駆体が溶媒に溶解しているものである。ここで溶媒とは、25℃で液状の化合物をいう。
(4)粘度
(株)トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計(B型粘度計)を用い、20℃における回転粘度を測定したものである。
(5)溶質濃度
溶液中に占めるポリイミド前駆体の重量割合を百分率で表した数値である。
(6)絶縁被膜
絶縁塗料を、例えば銅、アルミニウム、ガラス等の基材上に塗布し、加熱して得られる絶縁被膜をいい、絶縁被膜のなかで基材と密着したまま使用されるものを絶縁被覆物といい、基材から剥離して使用されるものを絶縁フィルムといい、これら絶縁被覆物及び絶縁フィルムは絶縁被膜の範疇に入るものである。
【0021】
本発明の絶縁塗料は、ポリイミド前駆体を形成する一般式(1)に示すカルボンと一般式(2)に示すジアミンとを有機溶媒中に溶解しているポリイミド前駆体溶液中に、絶縁フィラーを含有させたものである。
【0022】
【化11】
【0023】
一般式(1)及び(2)において、Rは次に示す構造式群Aの中から選ばれる少なくとも1つであり、R''は水素又は炭素数7以下の1価の有機基を示し、R' 及びR''' はそれぞれ構造式群Bの中から選ばれる少なくとも1つであり、nは1〜20の整数を示す。
【0024】
【化12】
【0025】
前記Rは単独のみならず、2種類以上から選択されていてもよい。
【0026】
前記R’は単独のみならず、2種類以上から選択されていてもよい。
【0027】
さらに、R''' の具体例としては、前記R' として挙げたものを同様に用いることができる。またR' 及びR''' として同一のもの、あるいは異なったものが用いられてもよい。
【0028】
ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の濃度は、5〜80重量%であり、濃度が5重量%より低いと、塗布装置の調整だけでは、所定の絶縁被膜厚みを得ることが困難となり、そのために繰り返し塗布する必要が生じ、生産性が低下する。一方、濃度が80重量%より高いと、ポリイミド前駆体を安定的に溶解することが困難となる場合がある。生産性を考慮すると、より好ましい濃度範囲は、10〜55重量%の範囲である。この範囲であれば、スクリーン印刷やその他スピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、キャスティング法、ポッティング法等従来から公知のコーティング法、封止塗工法に適した絶縁塗料を得ることができる。
【0029】
本発明で使用する有機溶剤は、安定な溶液状態が得られるものであれば特に限定はされないが、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルトリアミド、スルホラン、N,N' −ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタムなどの分子中にN,S,P原子を含む極性溶媒やセルソルブ、フェニルセルソルブなどのセルソルブ類、酢酸エチルセルソルブ、酢酸ブチルセルソルブなどの酢酸セルソルブ類、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのカルビトール類、酢酸エチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトールなどの酢酸カルビトール類、ジメチルカルビトール(ジグライム)、ジエチルカルビトールなどのカルビトールジエーテル類、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類、γ―ブチロラクトンなどのエステル類などが挙げられ、これらは単独でも、2種以上混合して用いてもよい。
【0030】
溶剤の種類は、所望する蒸発速度、ペーストの粘度により適宜選択することができるが、N、SあるいはPを分子中に含む極性の強い有機溶剤を使用した方が、ポリイミド前駆体樹脂の溶解性は高くなるので、膜厚を厚くしたい場合には、より高濃度のポリイミド前駆体溶液を得るために、極性の強い有機溶剤を使用することが好ましい。
【0031】
また、ポリイミド前駆体溶液の粘度は、200ポイズ以下が好ましく、100ポイズ以下がより好ましく、80ポイズ以下がさらに好ましい。
【0032】
次に、ポリイミド前駆体溶液を得るための好ましい製造方法について述べる。まず溶媒中で、一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物と一般式(4)に示すジアミンを反応させ、一般式(5)に示すカルボン酸二無水物を生成させる。このときの反応温度は、−30℃〜70℃が好ましく、−20℃〜40℃がより好ましい。ついで、この反応溶液に水又はアルコールを加え反応させ、一般式(1)に示すカルボン酸を生成させ、一般式(1)に示すカルボン酸の溶液を得る。このときの反応温度は、0〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。また、この際、必要に応じてジメチルアミノエタノールなどを触媒として用いてもよい。さらに、この一般式(1)に示すカルボン酸の溶液に一般式(2)に示すジアミンを添加することにより、ポリイミド前駆体溶液を得ることができる。
【0033】
一般式(5)に示すカルボン酸二無水物を生成させるための一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物と一般式(4)に示すジアミンとの割合は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対してジアミン0.1〜0.95モルが好ましく、より好ましくは0.45〜0.9モルである。テトラカルボン酸二無水物1モルに対してジアミンが0.1モル未満でも、0.95モルを超えても、一般式(5)に示すカルボン酸二無水物が得にくくなる。また、カルボン酸二無水物の無水物基と反応させる水又はアルコールの添加量は、末端の酸無水物基と同モル量又は多少過剰量が好ましい。ここで用いるアルコールとしては、特に限定されないが、例えばメチルアルコール及びエチルアルコールが例示でき、これらアルコールを使った場合は一般式(1)のR''は各々メチル基及びエチル基となる。
【0034】
さらに、一般式(2)に示すジアミンの添加量は前記のようにして得られた一般式(1)で示されるカルボン酸1モルに対して、一般式(2)に示すジアミン0.95〜1.05モル、より好ましくは0.97〜1.03モルである。一般式(2)に示すジアミンの添加割合が、0.95〜1.05モルの範囲外では目的とするポリイミド前駆体が得られにくくなる傾向にある。このときの温度は、−30℃〜120℃が好ましく、−20℃〜80℃がより好ましい。以上のようにして、ポリイミド前駆体溶液を得ることができる。前記一般式(1)に示すカルボン酸の溶液を合成するに際し、モノマー及び溶媒の混合順序はどんな順序にしてもよく、また、一般式(2)に示すジアミンを添加する方法は、前記カルボン酸溶液に撹拌下、固体のままか、もしくは溶液にして添加する。
【0035】
上記ポリイミド前駆体溶液に絶縁フィラーを含有させて絶縁塗料とする。絶縁塗料の製造方法としては、限定されないが、例えば、前記のようにして得られたポリイミド前駆体溶液と絶縁フィラーを分散させた溶媒とを混合する方法、ポリイミド前駆体溶液中に絶縁フィラーを直接添加して分散させる方法等を挙げることができる。溶媒又はポリイミド前駆体溶液中での絶縁フィラーの分散方法は、公知の方法で行うことができ、例えばホモミキサー、ボールミル分散機、ビーズミル分散機、2本ロール、3本ロール、ラボプラストミル分散機等を用いて分散させることができる。
【0036】
本発明に用いられる絶縁フィラーとしては、シリカ、セラミックス類ではアルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミ、ホウ酸亜鉛等、マイカ類としては雲母,白雲母、金雲母、合成雲母等を例示することができ、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素が好ましい。これらは単独でも、2種以上を用いてもよい。絶縁フィラーの粒子径は特に限定されないが、フィラー分散の均一性を勘案すれば0.01〜20μmのものが好ましい。粒径が20μmを超えると、フィラーの分散性が低下すことがある。
【0037】
本発明の絶縁塗料において、絶縁フィラーの含有量は、ポリイミド前駆体溶液中の一般式(1)に示すカルボン酸と一般式(2)に示すジアミンとの和100重量部に対して、5〜1000重量部の範囲で含まれることが好ましく、30〜700重量部の範囲がより好ましく、30〜500重量部の範囲で含まれることがさらに好ましい。絶縁フィラーがポリイミド前駆体溶液中の一般式(1)に示すカルボン酸と一般式(2)に示すジアミンとの和100重量部に対して、5重量未満であると得られる絶縁被膜中にボイドや気泡が含まれる場合があり、1000重量部を超えると絶縁被膜が割れる場合がある。本発明の絶縁塗料の粘度は、塗布時のハンドリング等の点で3000ポイズ以下であることが好ましく、5〜200ポイズであることがより好ましい。
【0038】
絶縁被膜を得るには、絶縁塗料を基板上に塗布し、加熱して溶媒を蒸発させ、次いでポリイミド前駆体をイミド化する。イミド化の温度は200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上で5分間以上、特に300℃以上で30分間以上加熱することが好ましい。得られる絶縁被膜は、構造式(6)に示すポリイミドと絶縁フィラーとよりなり、絶縁被覆物として基材と密着したまま使用され、絶縁フィルムとして基材から剥離して使用される。
【0039】
このように、本発明の絶縁塗料から得られる絶縁被膜は、例えば、電子回路部品である半導体チップやフレキシブルプリント基板等の絶縁封止材、層間絶縁膜、保護膜の製造に用いられる。また、耐熱絶縁用途にも用いることができる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明する。本発明はこれら実施例に限定されない。
【0041】
実施例1
ジアミノジフェニルエーテル8.22g(41.1mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド55.0gに溶解し、室温下で攪拌した。これにピロメリット酸二無水物11.9(54.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール1.32g(41.1mmol)及びジメチルアミノエタノール0.066gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌し、下記式に示すカルボン酸を得た。
【0042】
【化13】
【0043】
室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル2.74g(13.7mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、21.4ポイズであった。次いで、この溶液中の溶質100重量部に対して絶縁フィラーであるシリカ粒子〔(株)アドマテックス社製、SO−C3、平均粒径1μm〕を100重量部の割り合いで添加してビーズミルで分散させ、粘度が120ポイズの絶縁塗料を得た。この絶縁塗料200mgをガラス板上に滴下塗布し、その後窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行い、最大厚み25μmの絶縁被膜を得た。この被膜の内部断面を顕微鏡観察したところ、0.1μm以上のボイドやクラックは観察されなかった。
【0044】
実施例2
実施例1で得られたポリイミド前駆体溶液をジメチルアセトアミドで溶質濃度が20重量%になるように希釈し、さらに希釈したポリイミド前駆体溶液中の溶質100重量部に対してシリカ粒子(平均粒径1μm)を200重量部の割り合いで含有させ、ビーズミルで分散させて、粘度が45ポイズの絶縁塗料を得た。次いで、得られた絶縁塗料から実施例1と同様にして絶縁被膜を得た。被膜の最大厚みは17μmであり、被膜内部には0.1μm以上のボイドやクラックは観察されなかった。
【0045】
比較例1
ジアミノジフェニルエーテル16.00g(80.0mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド78.05gに溶解し、室温に保った。これにピロメリット酸二無水物17.45g(80.0mmol)を2時間にわたり徐々に加え、さらに6時間攪拌したところ、溶液はゲル化した。(溶質濃度30重量%)。
【0046】
比較例2
ジアミノジフェニルエーテル16.00g(80.0mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド190gに溶解し、室温に保った。これにピロメリット酸二無水物17.45g(80.0mmol)を2時間にわたり徐々に加え、さらに6時間攪拌し、粘度が250ポイズのポリアミド酸溶液を得た。(溶質濃度15重量%)。この溶液を使って実施例2と同様な条件で絶縁塗料を作製したが、混合時の粘度上昇が大きく、絶縁フィラーを分散させることはできなかった。
【0047】
比較例3
シリカ粒子を添加しないままの実施例1で得られたポリイミド前駆体溶液を実施例と同様に処理してポリイミド被膜(最大厚み12μm)を形成させた。このポリイミド被膜の内部には0.1μm以上のボイドが観察された。
【0048】
実施例3
パラフェニレンジアミン25.18g(232.9mmol)及びジアミノジフェニルエーテル8.23g(41.1mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド300gに溶解し、室温下で攪拌した。これに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下BPDAと略す)89.56g(304.4mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール2.92g(91.3mmol)及びジメチルアミノエタノール0.146gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌し、下記に示すカルボン酸を得た。(x:y=85:15モル%)
【0049】
【化14】
【0050】
室温まで冷却した後、パラフェニレンジアミン2.80g(25.9mmol)ならびにジアミノジフェニルエーテル0.91g(4.6mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な赤褐色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%、パラフェニレンジアミンとジアミノジフェニルエーテルの仕込みモル比は、85:15)。この溶液の粘度を測定したところ、40ポイズであった。次いで、この溶液中の溶質100重量部に対して絶縁フィラーであるシリカ粒子〔(株)アドマテックス社製、SO−C2、平均粒径0.5μm〕を100重量部の割り合いで添加して、ビーズミルで分散させ、粘度が100ポイズの絶縁塗料を得た。実施例1と同様にして、この絶縁塗料から絶縁被膜を得た。この被膜の最大厚みは28μmであり、被膜の内部断面には、0.1μm以上のボイドやクラックは観察されなかった。
【0051】
実施例4
実施例3で得られたポリイミド前駆体溶液をジメチルアセトアミドで溶質濃度が15重量%になるように希釈し、さらに希釈したポリイミド前駆体溶液中の溶質100重量部に対して実施例3で用いたシリカ粒子を200重量部の割り合いで添加して、ビーズミルで分散させ、粘度が20ポイズの絶縁塗料を得た。次いで、得られた絶縁塗料から実施例1と同様にして絶縁被膜を得た。被膜の最大厚みは11μmであり、被膜内部には0.1μm以上のボイドやクラックは観察されなかった。
【0052】
実施例5
ジアミノジフェニルエーテル36.0g(179.8mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド232.7gに溶解し、室温下で攪拌した。これにBPDA58.8g(199.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール1.9g(159.9mmol)及びジメチルアミノエタノール0.096gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌し、下記式のカルボン酸を得た。
【0053】
【化15】
【0054】
室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル4.0g(20.0mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、31.0ポイズであった。次いで、この溶液中の溶質100重量部に対して絶縁フィラーであるシリカ粒子〔(株)アドマテックス社製、SO−C2、平均粒径0.5μm〕を100重量部の割り合いで添加して、ビーズミルで分散させ、粘度が100ポイズの絶縁塗料を得た。実施例1と同様にして、この絶縁塗料から絶縁被膜を得た。この被膜の最大厚みは35μmであり、被膜の内部断面には、0.1μm以上のボイドやクラックは観察されなかった。
【0055】
実施例6
パラフェニレンジアミン19.4g(179.8mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド189.9gに溶解し室温下で攪拌した。これにBPDA58.8g(199.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール1.9g(59.9mmol)及びジメチルアミノエタノール0.095gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌し、下記に示すカルボン酸を得た。
【0056】
【化16】
【0057】
室温まで冷却した後、パラフェニレンジアミン2.2g(20.0mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黒緑色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、15ポイズであった。次いで、この溶液中の溶質100重量部に対して絶縁フィラーであるシリカ粒子〔(株)アドマテックス社製、SO−C2、平均粒径0.5μm〕を300重量部の割り合いで含有させ、ビーズミルで分散させて、粘度が170ポイズの絶縁塗料を得た。実施例1と同様にして、この絶縁塗料から絶縁被膜を得た。この被膜の最大厚みは55μmであり、被膜の内部断面には、0.1μm以上のボイドやクラックは観察されなかった。
【0058】
実施例7
3,4’−オキシジアニリン20.1g(100.0mmol)を、N,N−ジメチルアセトアミド250gに溶解し室温下で攪拌した。これに4,4’−オキシジフタル酸二無水物62.3g(200.8mmol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール9.6g(300mmol)及びジメチルアミノエタノール0.48gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌し、下記式に示すカルボン酸を得た。
【0059】
【化17】
【0060】
室温まで冷却した後、3,4’−オキシジアニリン20.1g(100.0mmol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黒茶色透明溶液が得られた(溶質濃度30重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、1.2ポイズであった。次いで、この溶液中の溶質100重量部に対して絶縁フィラーであるアルミナ粒子〔住友化学社製、AKP−20、平均粒径0.5μm〕を300重量部の割り合いで含有させ、ビーズミルで分散させて、粘度が130ポイズの絶縁塗料を得た。実施例1と同様にして、この絶縁塗料から絶縁被膜を得た。この被膜の最大厚みは48μmであり、被膜の内部断面には、0.1μm以上のボイドやクラックは観察されなかった。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明の絶縁塗料は、有機溶剤中にポリイミド前駆体と絶縁フィラーが高い固形分比率で含有していても低粘度で、塗工が容易である。また本発明の絶縁塗料の製造方法によれば、有機溶剤中にポリイミド前駆体と絶縁フィラーを高い固形分比率で含有させても低粘度であるので、これらを均一に分散させることが容易であり、生産性良く製造することができる。さらに本発明の絶縁塗料から得られる絶縁被膜はボイドや気泡やクラックを含まないので、高い絶縁耐久性を有しているものである。
Claims (2)
- ポリイミド前駆体を形成する一般式(1)に示すカルボン酸と一般式(2)に示すジアミンとを有機溶媒中に5〜80重量%溶解しているポリイミド前駆体溶液中に、絶縁フィラーを含有させてなることを特徴とする絶縁塗料。
- 溶媒中で、一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物1モルに対して、一般式(4)に示すジアミンを0.1〜0.95モルの割合で反応させて、一般式(5)に示すカルボン酸二無水物を生成させ、水又は任意のアルコールを加えて末端の酸無水物基を開環させて一般式(1)に示すカルボン酸を得た後、この一般式(1)に示すカルボン酸1モルに対し、一般式(2)に示すジアミン0.95〜1.05モルを加えて、ポリイミド前駆体溶液を形成させ、さらに絶縁フィラーを添加することを特徴とする絶縁塗料の製造方法。
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