JP2001270736A - 低融点ガラスペースト及びそれから得られるガラス被膜 - Google Patents

低融点ガラスペースト及びそれから得られるガラス被膜

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JP2001270736A
JP2001270736A JP2000086520A JP2000086520A JP2001270736A JP 2001270736 A JP2001270736 A JP 2001270736A JP 2000086520 A JP2000086520 A JP 2000086520A JP 2000086520 A JP2000086520 A JP 2000086520A JP 2001270736 A JP2001270736 A JP 2001270736A
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glass
polyimide
polyimide precursor
melting glass
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JP2000086520A
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Akira Shigeta
朗 繁田
Shinya Takagi
伸哉 高木
Shigeki Imamura
茂樹 今村
Hisashirou Eguchi
寿史朗 江口
Fumiko Okui
文子 奥井
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高濃度のポリイミド前駆体と、均一に分散し
た低融点ガラスを含み、流動性に優れる低融点ガラスペ
ーストの提供、並びにポリイミドを高濃度に含み、クラ
ックや割れのないガラス被膜を提供する。 【解決手段】 3,4’−オキシジアニリンと4,4’
−オキシジフタル酸及び/又はその誘導体とからなるポ
リイミド前駆体を溶質として溶媒に溶解したポリイミド
前駆体溶液に、低融点ガラスを分散してなる低融点ガラ
スペースト、及びこの低融点ガラスペーストを基板に塗
付し、加熱して得られるポリイミド及び低融点ガラスよ
りなるガラス被膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のポリイミド
前駆体を含有する低融点ガラスペーストとそれから得ら
れるガラス被膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガラス粉とバインダー並びに溶媒からな
るガラスペーストをシート状ならびに膜状に成形し、つ
いで焼結して得られるガラス被膜は、耐熱性、接着性、
絶縁性や低膨張係数、低熱伝導率の点でプラズマディス
プレイパネルの封着や誘電体層ならびにリブの形成、あ
るいはICパッケージ等の封着に広く使用されている。
これらガラスペーストの中でも、400℃前後の低温で
焼成できる低融点ガラスは、耐熱性が劣る高分子材料と
併用される分野や工程コスト低減が必要とされる分野で
広く使われており、最近では、ポリイミドフィルムをベ
ースとしたフレキシブルプリント基板(FPC)と上記
の低融点ガラスペーストが併用されている。
【0003】しかしながら、ポリイミドフィルムの熱膨
張係数は20〜40ppm/℃であるのに対し、低融点
ガラスの熱膨張係数は7〜10ppm/℃であり、両者
は大きく相違することから、接合部分では熱応力によっ
て剥離や反りが生じる問題がある。
【0004】これら低融点ガラスの熱膨張係数を調節す
る方法としては、低融点ガラスペースト中にポリイミド
粉末を分散させた低融点ガラスペーストを焼成すること
で熱膨張係数を大きくする試みがあるが、ポリイミド粉
末の分散時に大きく増粘してポリイミド粉末の均一な分
散が困難であるため、その低融点ガラスペーストを焼成
して得られるガラス被膜は不均一でクラックが生じる場
合があった。一方、特開平8−175839号公報にお
いては、低融点ガラスの粉末を可溶性ポリイミドの溶液
に分散してなる低融点ガラスペーストが開示されてい
る。しかし、この試みにおいては、低融点ガラス粉末を
分散するとやはり増粘して流動性を失う傾向にあり、低
融点ガラス100重量部に対して可溶性ポリイミドの固
形分は0.001〜5重量部しか分散できないものであ
った。したがって、そのペーストから得られるガラス被
膜は、含まれるポリイミドの量が少ないために、ポリイ
ミドの物性を十分に反映させたものではなかった。
【0005】また、従来のポリイミド前駆体溶液に溶解
しているポリイミド前駆体は、高重合度のポリアミド酸
であるために、本質的に低濃度であっても溶液粘度が高
いものであった。したがって、従来のポリイミド前駆体
溶液からの低融点ガラスペーストは、固形分であるポリ
イミド前駆体を低濃度しか含むことができず、得られる
ガラス被膜中にはポリイミドを少量しか含むことができ
なかった。以上のように、従来、ポリイミド成分を含む
低融点ガラスペーストにおいては、そのポリイミド成分
(ポリイミド粉末、可溶性ポリイミド、ポリイミド前駆
体)を高濃度で含むことができなかったために、これら
ペーストを焼成して得られるガラス被膜は、ポリイミド
が少量しか含まれず、ポリイミドの特性が十分に反映さ
れたものではなかったのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記状況に鑑み、本発
明の課題は、ポリイミド前駆体を高濃度で含み、かつ均
一に低融点ガラスが分散していて、流動性に優れる低融
点ガラスペースト、及びそれから得られるポリイミドを
高濃度に含み、クラックや割れのないガラス被膜を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するために、鋭意検討を行なった結果、有機溶剤
に特定のジアミンと特定のカルボン酸及び/又はその誘
導体をポリイミド前駆体として高濃度でかつ低粘度で溶
解することができるポリイミド前駆体溶液を見出し、さ
らにこのポリイミド前駆体溶液に低融点ガラスを均一に
分散できることを見出し、本発明の低融点ガラスペース
トに到達した。さらにこの低融点ガラスペーストから得
られるガラス被膜はポリイミドとガラスが均一に分散さ
れているために、割れやクラックが生じないことを見出
し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、第1に、下記
構造式(1)に示す3,4’−オキシジアニリンと下記
構造式(2)に示す4,4’−オキシジフタル酸及び/
又はその誘導体とからなるポリイミド前駆体を溶質とし
て溶媒中に溶解しているポリイミド前駆体溶液に、低融
点ガラスを分散してなることを特徴とする低融点ガラス
ペーストである。〔式中、R,R1 は各々独立に水素原
子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。〕
【0009】
【化3】
【0010】第2に、式(3)に示す繰り返し単位より
なるポリイミドと低融点ガラスとよりなることを特徴と
するガラス被膜である。(式中、nは10〜5000の
整数を示す。)
【0011】
【化4】
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。
【0013】まず、本発明で用いる用語について説明す
る。 (1)ポリイミド ポリマー鎖の繰り返し単位の80モル%以上がイミド構
造を有する有機ポリマーをいう。 (2)ポリイミド前駆体 加熱又は、化学的作用により閉環してポリイミドとなる
有機化合物をいう。ここで、閉環とはイミド環構造が形
成されることをいう。 (3)ポリイミド前駆体溶液 ポリイミド前駆体が溶媒に溶解しているものである。こ
こで溶媒とは、40℃で液状の化合物をいう。
【0014】(4)粘度 (株)トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計
(B型粘度計)を用い、40℃における回転粘度を測定
したものである。 (5)被膜の厚み (株)ミツトヨ製デジマチックマイクロメーターを用
い、被膜の厚みを10箇所で測定し、その平均値として
求めたものである。
【0015】さらに、本発明について説明する。本発明
は、低融点ガラスを特定のポリイミド前駆体溶液に分散
してなる低融点ガラスペーストである。本発明における
ポリイミド前駆体溶液は、構造式(1)に示す3,4’
−オキシジアニリンと構造式(2)に示す4,4’−オ
キシジフタル酸及び/又はその誘導体とからなるポリイ
ミド前駆体が溶質として有機溶媒中に溶解していている
ものである。式中、R,R1 は各々独立に水素原子また
は炭素数1〜5のアルキル基を示す。このポリイミド前
駆体溶液は、高濃度であっても低粘度であるので、低融
点ガラスを均一に分散させることができる。
【0016】このポリイミド前駆体溶液においては、構
造式(2)に示す4,4’−オキシジフタル酸及び/又
はその誘導体の一部を、一般式(4)に示すカルボン酸
又は一般式(5)に示すジカルボン酸無水物に置き換え
てもよい。このとき、構造式(2)に示す4,4’−オ
キシジフタル酸及び/又はその誘導体と、一般式(4)
に示すカルボン酸又は一般式(5)に示すジカルボン酸
無水物のモル比は100:0〜100:20が好まし
く、100:0〜100:11がさらに好ましい。構造
式(2)に示す4,4’−オキシジフタル酸及び/又は
その誘導体100に対する一般式(4)に示すカルボン
酸又は一般式(5)に示すジカルボン酸無水物のモル比
が20を超えると強度の低い被膜しか得られない。
【0017】
【化5】
【0018】(R2 は2つのカルボニル基が隣接した炭
素原子に直接連結している少なくとも一つの6員環を含
む2価の芳香族残基を表し、R3 は水素原子または炭素
数1〜5のアルキル基を表す。R4 は2つのカルボニル
基が隣接した炭素原子に直接連結している少なくとも一
つの6員環を含む2価の芳香族残基を表す。)
【0019】また、構造式(2)に示す4,4’−オキ
シジフタル酸及び/又はその誘導体の一部を構造式
(6)に示す4,4’−オキシジフタル酸二無水物に置
き換えてもよい。このとき、構造式(2)に示す4,
4’−オキシジフタル酸及び/又はその誘導体と、構造
式(6)に示す4,4’−オキシジフタル酸二無水物の
モル比は100:0〜70:30の範囲が好ましい。こ
のモル比を調節することによってポリイミド前駆体溶液
の粘度を微調整することができる。構造式(6)に示す
4,4’−オキシジフタル酸二無水物が30モル%を超
えると、ポリイミド前駆体溶液の粘度が高くなる場合が
ある。
【0020】
【化6】
【0021】さらにまた、構造式(1)に示す3,4’
−オキシジアニリンの一部を、一般式(7)に示す1官
能性のアミンに置き換えてもよい。この場合、構造式
(1)に示す3,4’−オキシジアニリンと、一般式
(7)に示すアミンのモル比は100:0〜100:2
0の範囲が好ましく、100:0〜100:11がさら
に好ましい。一般式(7)に示すアミンが20モル%を
超えると強度の低い被膜しか得られない。
【0022】
【化7】
【0023】(式中R5 は少なくとも1つの6員環を含
む芳香族残基を表す)本発明に用いるポリイミド前駆体
溶液は、構造式(1)に示す3,4’−オキシジアニリ
ンと構造式(2)に示す4,4’−オキシジフタル酸及
び/又はその誘導体を溶媒に順次添加することにより製
造することができる。添加する順序はいかなる順序でも
よい。
【0024】本発明におけるポリイミド前駆体溶液にお
いて、ポリイミド前駆体の溶質濃度が80重量%以下で
あることが好ましい。溶質濃度が80重量%を超える
と、選定する溶媒の種類によりポリイミド前駆体を安定
的に溶解することが困難となる場合があるので好ましく
ない。
【0025】本発明におけるポリイミド前駆体溶液の溶
液粘度は、40℃で100ポイズ以下が好ましい。10
0ポイズ以上では、低融点ガラスを分散させた低融点ガ
ラスペーストの粘度が高くなり、流動性が低下する場合
がある。
【0026】本発明におけるポリイミド前駆体溶液の溶
媒としては、ポリイミド前駆体を溶解し、かつ低融点ガ
ラスを凝集させることなく分散できるものであれば特に
限定されない。具体的には、たとえばN−メチルピロリ
ドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルト
リアミド、スルホラン、N,N’−ジメチルイミダゾリ
ジノン、N−メチルカプロラクタムなどの分子中にN,
S,P原子を含む極性溶媒やセルソルブ、フェニルセル
ソルブなどのセルソルブ類、エチルセルソルブアセテー
ト、ブチルセルソルブアセテートなどのセルソルブアセ
テート類、メチルカルビトール、エチルカルビトールな
どのカルビトール類、酢酸エチルカルビトールアセテー
ト、ブチルカルビトールアセテートなどのカルビトール
アセテート類、ジメチルカルビトール(ジグライム)、
ジエチルカルビトールなどのカルビトールジエーテル
類、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどのア
ルコール類、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケト
ン類、その他γ−ブチロラクトン、α−テルピネオール
などが挙げられる。中でも、低融点ガラスの分散安定性
の点で、α−テルピネオール、ブチルセロソルブアセテ
ート、ブチルカルビトールアセテートが好ましい。
【0027】本発明の低融点ガラスペーストに用いる低
融点ガラスとしては、通常350〜500℃の低温で溶
融するような組成のガラス粉であれば限定はされず、特
に低融点ガラスとして市販されたものが利用できる。ガ
ラスの成分としては、酸化鉛、酸化ビスマス等を主成分
とするものが低融点であり、好ましく利用できる。
【0028】本発明の低融点ガラスペーストは、前記し
たポリイミド前駆体溶液に低融点ガラスを分散すること
で得ることができ、あるいは予め溶媒に低融点ガラスを
分散させておき、この分散液に、構造式(1)に示す
3,4’−オキシジアニリンと構造式(2)に示す4,
4’−オキシジフタル酸及び/又はその誘導体を加え
て、低融点ガラスペーストを調製してもよい。
【0029】本発明の低融点ガラスペーストにおいて、
低融点ガラス100重量部に対して、ポリイミド前駆体
溶液の溶質であるポリイミド前駆体は10〜1000重
量部であることが好ましい。低融点ガラスに対して、ポ
リイミド前駆体が10重量部未満であると、得られるガ
ラス被膜に含まれるポリイミドの量が少なく、ポリイミ
ドの特性が十分発揮されない場合があり、1000重量
部を超えると逆に得られるガラス被膜に含まれるガラス
の量が少なくなり、ガラスの特性が十分に発揮されない
場合があるので好ましくない。また、全溶質、すなわ
ち、低融点ガラスとポリイミド前駆体との合計100重
量部に対して、溶媒は5〜2000重量部が好ましい。
溶媒が5重量部未満では均一なペーストを得ることが困
難であり、2000重量部を超えると濃度が低すぎるの
で、必要な厚みの塗膜を得るためには多数回の塗工・乾
燥を繰り返さなくてはならず好ましくない。
【0030】本発明において、低融点ガラスペーストの
溶液粘度は、40℃で500ポイズ以下であることが好
ましい。溶液粘度がこの範囲を超えると、ガラスペース
トの流動性がなくなる場合がある。本発明において、低
融点ガラスの分散方法について特に制限はなく、通常の
分散方法、例えばホモミキサー、ボールミル、ビーズミ
ル、サンドミル、3本ロール等の分散機で均一に分散
し、本発明の低融点ガラスペーストを得ることができ
る。
【0031】上記低融点ガラスペーストを、基板上に塗
工し、乾燥して溶媒を除去し、加熱・焼成して、式
(3)に示す繰り返し単位よりなるポリイミドと低融点
ガラスとよりなるガラス被膜を得る。塗工方法として
は、ドクターブレード法、ロールコート法、スクリーン
印刷法、テーブルコーター法、リバースコーター法、ス
プレ−コート法の一般的な方法が採用できる。
【0032】加熱・焼成は、基板上に塗工したペースト
を乾燥して溶媒を除去した後、ペースト中に含まれるポ
リイミド前駆体を熱イミド化させ、さらにその後低融点
ガラスの融点以上の溶融温度まで加熱して行われ、ポリ
イミド前駆体が式(3)に示す繰り返し単位よりなるポ
リイミドにイミド化し、ポリイミドと低融点ガラスとが
均一組成となっているガラス被膜が得られる。ポリイミ
ド前駆体のイミド化は150℃以上、好ましくは200
℃以上、より好ましくは250℃以上で、10分間以
上、好ましくは30分間以上加熱して行うことができ
る。このイミド化工程は、低融点ガラスペーストの焼成
工程に含めることができ、熱イミド化を行なった後に、
低融点ガラスの融点以上550℃以下の溶融温度にてガ
ラスを溶融させて均一なガラス被膜を得ることができ
る。溶融温度が550℃を超える場合には、被膜に含ま
れるポリイミドが熱分解する場合がある。
【0033】さらに、本発明の低融点ガラスペーストに
は、必要に応じて例えば、有機シランや顔料のような充
填剤、摩滅剤、誘電体、潤滑剤等の他公知の添加物を本
発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
また、低融点ガラスのバインダーとして他の重合体、例
えばエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリブチルア
クリレート、ポリイソブチルメタクリレート等のアクリ
ル系樹脂を本発明の効果を損なわない範囲で添加するこ
とができる。また、水不溶性のエーテル類、アルコール
類、ケトン類、エステル、ハロゲン化炭化水素類、炭化
水素類等の溶媒を本発明の効果を損なわない範囲で添加
することができる。
【0034】本発明のガラス被膜は、ポリイミド及びガ
ラスが均一組成になっているので、クラックや割れが発
生しないものである。したがって、本発明のガラス被膜
は、その耐熱性、接着性、絶縁性の点でプラズマディス
プレイパネルの封着や誘電体層ならびにリブの形成、あ
るいはフレキシブルプリント基板(FPC)、ICパッ
ケージ等の封着に使用することができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明
する。本発明はこれら実施例になんら限定されない。
【0036】実施例1 溶媒としてのN−メチルピロリドン300gに4,4’
−オキシジフタル酸二無水物250.84g(0.80
9mol)を溶解し、次いでメタノール77.63g
(2.426mol)とジメチルアミノエタノール3.
88gを添加した。この溶液を温水浴にて内温80℃
で、攪拌下2時間にてエステル化反応させ、4,4’−
オキシジフタル酸ジメチルエステルを得た。この反応溶
液を50℃まで冷却した後、3,4’−オキシジアニリ
ン161.925g(0.809mol)を添加し、2
時間攪拌溶解し、均一なポリイミド前駆体溶液(黒色)
を得た。このポリイミド前駆体溶液の40℃での溶液粘
度は、10ポイズであり、固形分濃度は60重量%であ
った。さらに、融点が約300℃の酸化鉛を主成分とす
る低融点ガラスの粉末300gを、上記ポリイミド前駆
体溶液に3本ロールを用いて分散させることにより、低
融点ガラスが均一に分散しているペーストを得た。得ら
れたペーストの40℃での粘度は、120ポイズであっ
た。得られた低融点ガラスペーストをセラミック基板上
にスクリーン印刷で塗工し、その後、窒素雰囲気下80
℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間
加熱イミド化を行い、さらに続いて450℃にて1時間
加熱して、式(3)に示す繰り返し単位よりなるポリイ
ミドをガラス100重量部に対して150重量部含むガ
ラス被膜を得た(被膜厚み28μm)。得られたガラス
被膜には、クラックや割れは観察されなかった。
【0037】実施例2 溶媒であるN−メチルピロリドンをα−テルピネオール
にする以外は全て実施例1と同様の仕込みと条件で反応
を行い、溶媒がα−テルピネオールのポリイミド前駆体
溶液(黒色)を得た。溶液粘度は40℃、32ポイズで
あり、固形分濃度は60重量%であった。さらに、融点
が約350℃の酸化鉛を主成分とする低融点ガラスの粉
末4500gを、上記ポリイミド前駆体溶液に3本ロー
ルを用いて分散させることにより、低融点ガラスが均一
に分散したペーストを得た。得られたペーストの40℃
での粘度は、420ポイズであった。得られた低融点ガ
ラスペーストをセラミック基板上にスクリーン印刷で塗
工し、その後、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した
後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行
い、さらに続いて400℃にて1時間加熱して、ポリイ
ミドをガラス100重量部に対して10重量部含むガラ
ス被膜を得た(被膜厚み52μm)。得られたガラス被
膜には、クラックや割れは観察されなかった。
【0038】実施例3 溶媒であるN−メチルピロリドンをブチルカルビトール
アセテートにする以外は全て実施例1と同様の仕込みと
条件で反応を行い、溶媒がブチルカルビトールアセテー
トのポリイミド前駆体溶液(黒色)を得た。溶液粘度は
40℃、25ポイズであり、固形分濃度は60重量%で
あった。さらに、融点が約350℃の酸化鉛を主成分と
する低融点ガラスの粉末2250gを、上記ポリイミド
前駆体溶液に3本ロールを用いて分散させることによ
り、低融点ガラスが均一に分散したペーストを得た。得
られたペーストの40℃での粘度は、260ポイズであ
った。得られた低融点ガラスペーストをセラミック基板
上にスクリーン印刷で塗工し、その後、窒素雰囲気下8
0℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時
間加熱イミド化を行い、さらに続いて400℃にて1時
間加熱して、ポリイミドをガラス100重量部に対して
20重量部含むガラス被膜を得た(被膜厚み32μ
m)。得られたガラス被膜には、クラックや割れは観察
されなかった。
【0039】実施例4 実施例1で得られたポリイミド前駆体溶液に、融点が約
300℃の酸化鉛を主成分とする低融点ガラスの粉末1
50gを3本ロールにて分散させることにより、低融点
ガラスが均一に分散したペーストを得た。得られたペー
ストの40℃での粘度は、55ポイズであった。得られ
た低融点ガラスペーストをセラミック基板上にバーコー
ターで塗工し、その後、窒素雰囲気下80℃で5時間乾
燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化
を行い、さらに続いて450℃にて1時間加熱して、ポ
リイミドをガラス100重量部に対して300重量部含
むガラス被膜を得た(被膜厚み22μm)。得られたガ
ラス被膜中には、クラックや割れは観察されなかった。
【0040】比較例1 溶媒としてのN−メチルピロリドン300gに4,4’
−オキシジフタル酸二無水物78.134g(0.25
2mol)を溶解し、室温に保った。次いで前記溶液に
3,4’−オキシジアニリン50.437g(0.25
2mol)を2時間にわたり徐々に添加し、さらに6時
間攪拌を続けたところ、溶液はゲル化し(固形分濃度3
0重量%)、低融点ガラスの粉末を分散させることがで
きなかった。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明の低融点ガラスペ
ーストは、高濃度のポリイミド前駆体を含有していても
低粘度であり、均一に分散した低融点ガラスを含有して
いて、流動性に優れる。したがって、本発明の低融点ガ
ラスペーストからはガラス被膜を生産性よく製造するこ
とができ、得られるガラス被膜は、ポリイミドを高濃度
に含み、クラックや割れのないものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江口 寿史朗 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 奥井 文子 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4G062 AA08 AA09 AA15 BB04 MM07 MM10 MM12 NN26 NN32 PP13 PP14 4J038 BA202 DJ031 HA486 JA58 KA08 MA10 NA11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記構造式(1)に示す3,4’−オキ
    シジアニリンと下記構造式(2)に示す4,4’−オキ
    シジフタル酸及び/又はその誘導体とからなるポリイミ
    ド前駆体を溶質として溶媒中に溶解しているポリイミド
    前駆体溶液に、低融点ガラスを分散してなることを特徴
    とする低融点ガラスペースト。 【化1】 〔式中、R,R1 は各々独立に水素原子または炭素数1
    〜5のアルキル基を示す。〕
  2. 【請求項2】 ポリイミド前駆体の溶媒が、α−テルピ
    ネオール、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビ
    トールアセテートの群より選ばれる少なくとも一つであ
    ることを特徴とする請求項1記載の低融点ガラスペース
    ト。
  3. 【請求項3】 式(3)に示す繰り返し単位よりなるポ
    リイミドと低融点ガラスとよりなることを特徴とするガ
    ラス被膜。 【化2】 (式中、nは10〜5000の整数を示す。)
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