本発明の放熱装置は、前記被支持部は、前記支持部に対向する内面に、微小突起が形成されている構成とすることができる。この構成により、支持部と被支持部とが当接した際に、両者の接触面積を少なくすることができるため、ファンにおいて発生した振動を電子機器の筐体に伝えにくくすることができる。
また、前記ファンダンパーは、前記ホルダーに対向する面に、微小突起が形成されている構成とすることができる。この構成により、支持部と被支持部とが当接した際に、両者の接触面積を少なくすることができるため、ファンにおいて発生した振動を電子機器の筐体に伝えにくくすることができる。
また、前記ホルダーは、前記電子機器の筐体に形成されている吸気口から排気口に至るまで、空気の流れを形成するように壁部が形成されている構成とすることができる。この構成により、電子機器内の熱を効率よく放熱させることができる。
また、前記電子機器の筐体に、使用者が手で把持可能な把持部を備え、前記吸気口及び前記排気口は、前記把持部に重ならない位置に形成されている構成とすることができる。この構成により、使用者の手によって吸気口または排気口が塞がれることがないため、放熱効率を低下させることがない。
また、裏面が電子部品に接触するように配されている放熱板を、さらに備え、前記ホルダーは、前記放熱板の表面に配され、前記放熱板に対向する部位に前記放熱板の少なくとも一部を露出する開口部が形成されている構成とすることができる。この構成により、放熱板の放熱効率を向上させることができる。
(実施の形態1)
〔1.放熱装置を備えた機器の構成〕
図1及び図2は、実施の形態1の放熱装置が搭載される機器の外観を示す。本実施の形態では、機器の一例としてビデオカメラなどの撮影装置を挙げた。
図1に示すように、本実施の形態の放熱装置は、ビデオカメラなどの撮影装置に搭載されている。撮影装置であるカメラ本体1は、各種回路基板やバッテリーなどが内蔵され、外郭を筐体が覆っている。筐体は、上部カバー1aや側部カバー1bなどの複数のカバーで構成されている。上部カバー1aには、静止画撮影ボタンやズームレバーやマイク部7などが配されている。側部カバー1bは、使用者が本機器を右手で把持する際に、手の平が当接する部位であり、把持しやすいように表面が湾曲して形成されている。また、カメラ本体1は、レンズ部2、操作部3を備えている。レンズ部2は、対物レンズやズームレンズなどを備えており、カメラ本体1内におけるレンズ光軸方向の端部には、CCDイメージセンサーなどで構成されている撮像素子が配されている。操作部3は、撮影開始/停止の操作やメニュー操作など、カメラ本体1の各種操作を行うことができるものである。また、側部カバー1bには、吸気口4と、排気口5と、各種データ通信端子が配されている端子部を隠蔽することができる端子カバー6とが配されている。吸気口4と排気口5の詳しい構成については、後述する。なお、本実施の形態では、機器の一例としてビデオカメラを挙げて説明するが、メモリーカードやハードディスクに映像音声を録画する機能が付いた携帯型テレビジョン受像器や、携帯型メディアプレーヤーなどの他の機器であってもよい。特に、動画圧縮処理などを伴うマイコンチップを備えた機器や、ハードディスクドライブなどの高熱源を備えた機器に有効である。
図1及び図2に示すカメラ本体1で動画撮影を行う際は、レンズ部2を介して入射される光を撮像素子で受光し、電気的な画像信号に変換する。画像信号は、カメラ本体1内に配されている画像処理マイコンで画質補正が施され、圧縮処理マイコンでMPEG(motion picture experts group)形式などの画像圧縮処理が行われる。一方、音声はマイク部7で収音され、カメラ本体1内に配されている音声信号処理ICでノイズ除去や圧縮処理などが行われる。上記のようにして得られた画像データと音声データは、メモリーカードなどの情報媒体に記録することができる。
〔2.放熱装置の構成〕
図3は、実施の形態1の放熱装置の分解斜視図を示す。放熱装置は、ファンユニット11と、ホルダー21とから構成されている。ホルダー21は、放熱板31上に配置されている。放熱板31は、プリント基板41上に配置されている。プリント基板41は、バッテリーケース51に結合されている。
ファンユニット11は、ファン12とファンダンパー13とから構成されている。図4はファンユニット11の外観斜視図である。図5はファンユニット11の正面図である。図6はファンユニット11の側面図である。
ファン12は、内部に回転自在に複数枚の羽根を備え、給電されることにより羽根が高速回転される。また、ファン12は、羽根の回転支軸の軸方向の2つの側面に開口部12aが形成されている。開口部12aが形成されていることにより、羽根が回転した時に空気の流れを生じさせることができる。本実施の形態では、機器の大型化を避けるために、直径2cm程度の小型ファンを用いた。
図4〜図6に示すように、ファンダンパー13は、ファン12における開口部12aが形成されている側面以外の側面を覆うように、ファン12に結合される。具体的には、ファンダンパー13に形成されている略四角形の開口部に、ファン12が嵌合される。また、ファンダンパー13は、ブチルゴムなどのように可撓性を有する材料で、一体成型されている。また、ファンダンパー13は、その可撓性によってファン12を強固に保持している。また、ファンダンパー13における互いに対向する側面には、第1の支持部14と第2の支持部15とが形成されている。また、ファンダンパー13において、第1の支持部14が形成されている側面と、第2の支持部15が形成されている側面とに隣接する側面に、複数の糸リブ16a〜16dが形成されている。なお、ファンダンパー13は、ファン12の側面を覆う必要はなく、少なくともファン12と結合することができ、第1の支持部14及び第2の支持部15(いずれも後述)をファン12に配することができればよい。
第1の支持部14及び第2の支持部15は、ファンダンパー13に一体的に形成されている。また、第1の支持部14及び第2の支持部15は、図6に示すように、側面視が略T字形状になっており、結合部14a及び15aを介してファンダンパー13に結合されている。結合部14a及び15aは、ファンダンパー13に一体的に形成されているため、ファンダンパー13と同様に可撓性を有する。したがって、第1の支持部14及び第2の支持部15と、ファンダンパー13におけるファン12を覆っている部分とは、互いに変位可能である。
糸リブ16a〜16dは、ファンダンパー13の側面から突設されている微小突起で構成されている。また、図5に示すように、糸リブ16c及び16dは、ファンダンパー13における第1の側面に形成され、糸リブ16a及び16bは、第1の側面に対向する第2の側面に形成されている。
図7は、ホルダー21の外観斜視図である。図8Aは、ホルダー21の平面図である。図8Bは、図8AにおけるM部の要部拡大図である。図8Cは、図8AにおけるN部の要部拡大図である。
ホルダー21は、樹脂一体成型によって形成されている。また、ホルダー21は、ファン装着部22と、第1の被支持部23と、第2の被支持部24と、第1のリブ25と、第2のリブ26と、スピーカー装着部27と、開口部28と、第1の壁部29と、第2の壁部30とを備えている。
ファン装着部22は、ホルダー21の長手方向端部に形成され、図4〜図6に示すファンユニット11が装着される空間である。ファン装着部22は、ファンユニット11をある程度のクリアランスを持って配することができるように形成されている。すなわち、ファン装着部22にファンユニット11を装着した際、ファン11はファン装着部22に完全に固着されるのではなく、僅かな隙間(ガタツキ)を有して装着される。
第1の被支持部23は、ファンダンパー13に形成されている第1の支持部14が嵌合される部位である。第1の被支持部23は、図8Bに示すように、平面視で略C字形状の第1の凹部23aが形成され、その第1の凹部23aに略T字状の第1の支持部14(図6参照)を嵌合可能である。なお、第1の支持部14を第1の被支持部23に嵌合させた際、第1の支持部14と第1の被支持部23との間には僅かな隙間ができるように、第1の支持部14と第1の被支持部23の外形寸法が設計されている。また、第1の凹部23aの内面には、3カ所の糸リブ23bが形成されている。糸リブ23bは、図8Bに示すように、第1の凹部23aの底面(図8Bにおける紙面方向端面)、およびその底面に隣接する互いに対向する内側面(図8Bにおける上側内面と下側内面)に形成されている。
第2の被支持部24は、ファンダンパー13に形成されている第2の支持部15が嵌合される部位である。第2の被支持部24は、図8Cに示すように、平面視で略C字形状の第2の凹部24aが形成され、その第2の凹部24aに略T字状の第2の支持部15(図6参照)を嵌合可能である。なお、第2の支持部15を第2の被支持部24に嵌合させた際、第2の支持部15と第2の被支持部24との間には僅かな隙間ができるように、第2の支持部15と第2の被支持部24の外形寸法が設計されている。また、第2の凹部24aの内面には、3カ所の糸リブ24bが形成されている。糸リブ24bは、図8Cに示すように、第2の凹部24aの底面(図8Cにおける紙面方向端面)、およびその底面に隣接する互いに対向する内側面(図8Bにおける上側内面と下側内面)に形成されている。
第1のリブ25は、図8A及び図8Bに示すように、第1の被支持部23の側部から略L字状に突設されている。第1のリブ25は、ファン装着部22にファンユニット11を装着した際に、ファンユニット11の端部を支持するものである。第1のリブ25の内面には、糸リブ23cが形成されている。また、糸リブ23cに対向する部位には、糸リブ23dが形成されている。糸リブ23c及び23dは、ファンユニット11をファン装着部22に装着した際に、ファンユニット11の側面に対し僅かな隙間を介して対向するように設計され、例えば衝撃力の印加等でファンダンパー13と第1のリブ25とが接触する場合でも、互いの主面で接触せず、主面よりも遙かに面積が小さい糸リブ23c及び23dの頂面で当接する。この構成によりファンユニット11の振動が、被支持部23に伝達し難い構成が実現できる。
第2のリブ26は、図8A及び図8Cに示すように、第2の被支持部24の側部から略Z字状に突設されている。第2のリブ26は、ファン装着部22にファンユニット11を装着した際に、ファンユニット11の端部を支持するものである。第1のリブ25の内面には、糸リブ24cが形成されている。また、糸リブ24cに対向する部位には、糸リブ24dが形成されている。糸リブ24c及び24dは、ファンユニット11をファン装着部22に装着した際に、ファンユニット11の側面に対し僅かな隙間を介して対向するように設計され、例えば衝撃力の印加等でファンダンパー13と第1のリブ25とが接触する場合でも、互いの主面で接触せず、主面よりも遙かに面積が小さい糸リブ24c及び24dの頂面で当接する。この構成によりファンユニット11の振動が、被支持部24に伝達し難い構成が実現できる。
スピーカー装着部27は、音声を出力可能なスピーカー52(図12参照)を装着する部位であり、スピーカー52の外形に沿うように略円形の開口部で形成されている。スピーカー52は、すり鉢状のコーンやマグネットが開口部28側に位置するように、スピーカー装着部27に装着される。
第1の壁部29と第2の壁部30は、その壁面が、開口部28を挟んで互いに対向するように立設されている。第1の壁部29と第2の壁部30は、ファンユニット11から吹き出される空気を、排気口5まで導くためのものである。
図3において、放熱板31は、プリント基板41におけるチップ実装面に固定され、プリント基板41あるいはマイコンチップ42から発せられる熱を吸収し、放熱させるものである。放熱板31は、例えば銅板で形成されている。放熱板31には、マイコンチップ42のパッケージに当接させるための当接部32が形成されている。当接部32は、マイコンチップ42のパッケージを象った凹形状(マイコンチップ42に対向する面において凹形状)に形成されており、当接部32内にマイコンチップ42を内在させることで、マイコンチップ42と放熱板31の接触面積を多く確保することができ、放熱効果を高めることができる。なお、図示は省略したが、放熱板31のプリント基板41側に伝熱シートを介する構成を採用すると、マイコンチップ42から発生する熱を放熱板31への伝熱効率を高めることができる。さらに、伝熱シートに柔軟性を付加することで、落下等の衝撃力を吸収できるため、例えばマイコンチップ42をボール半田で接続している際には信頼性が向上でき好ましい。
プリント基板41は、マイコンチップ42や各種電気部品が実装されている。マイコンチップ42は、例えば信号処理用マイコンや画像圧縮処理マイコンなどで構成されている。また、マイコンチップ42は、動作時にパッケージ温度が上昇し、中でも画像圧縮処理マイコンについては画像圧縮処理動作時にパッケージ温度が相当高くなる。
バッテリーケース51は、略矩形状の筐体を成し、内部にバッテリーを収納可能である。
〔3.放熱装置の組み立て方法〕
次に、本実施の形態の放熱装置の組み立て方法について説明する。
まず、図3に示すように、ファンダンパー13の内部にファン12を嵌合させて、ファン12とファンダンパー13とを一体化してファンユニット11を形成する。この時、ファンダンパー13は可撓性材料で形成されているため、ファンダンパー13を撓ませて内部空間を広げながら、ファン12を嵌合させる。図4に示すように、ファンダンパー13内にファン12を嵌合した状態では、ファンダンパー13が元の形状に戻ろうとする力によって、ファン12とファンダンパー13とは強固に一体化される。これにより、ファンユニット11を形成することができる。
次に、ファンユニット11をホルダー21におけるファン装着部22に装着する。具体的には、ファンユニット11における第1の支持部14を、ホルダー21における第1の被支持部23に嵌合させる。また、ファンユニット11における第2の支持部15を、ホルダー21における第2の被支持部24に嵌合させる。この時、ファンユニット11は、第1の被支持部23及び第2の被支持部24に支持されているとともに、ファンユニット11の端部が第1のリブ25及び第2のリブ26に対して僅かな隙間を介して対向した位置にある。これにより、ファンユニット11は、ホルダー21のファン装着部22において、宙吊り状態で保持される。より具体的には、カメラ本体1が図1等に示す正立状態の時、ファンユニット11は、第1の支持部14及び第1の被支持部23によって、宙吊り状態になっている。ファンユニット11をファン装着部22に装着した状態を、図9及び図10に示す。
図9及び図10に示すように、第1の支持部14が第1の被支持部23に嵌合されている状態では、第1の支持部14の上面14bと下面14cとが糸リブ23bに当接可能な位置にある。すなわち、カメラ本体1が図1等に示す正立状態の時において上下方向に移動あるいは振動すると、ファンユニット11が矢印X方向に移動あるいは振動し、第1の支持部14の上面14bと下面14cとが糸リブ23bに当接可能である。また、第2の支持部15が第2の被支持部24に嵌合されている状態では、第2の支持部15の上面15bと下面15cとが糸リブ24bに当接可能な位置にある。すなわち、カメラ本体1が図1等に示す正立状態の時において上下方向に移動あるいは振動すると、ファンユニット11が矢印X方向に移動あるいは振動し、第2の支持部15の上面15bと下面15cとが糸リブ24bに当接可能である。また、糸リブ23c,23d,24c,24dが、ファンユニット11の側面に当接可能な位置にあるため、ファンユニット11が矢印Z方向に移動あるいは振動した際に、ファンユニット11の側面が糸リブ23c,23d,24c,24dに当接可能である。また、ファンユニット11が矢印Y方向に移動あるいは振動した際は、糸リブ16aが側部カバー1bの内面またはバッテリーケース51の外面に当接可能である。
次に、プリント基板41におけるマイコンチップ42が実装されている面に、放熱板31を装着する。この時、放熱板31に形成されている当接部32が、マイコンチップ42のパッケージ表面に当接するように、放熱板31を装着する。なお、プリント基板41及びバッテリーケース51は、予めカメラ本体1内の所定の位置に固定されているものとする。
次に、ホルダー21を放熱板31の上に装着する。固定方法は具体的に図示していないが、例えばビスを用いて、ホルダー21と放熱板31とプリント基板41とをカメラ本体1のシャーシに共締め固定する方法がある。
以上のようにして本実施の形態の放熱装置を組み立てることができる。本実施の形態の放熱装置をカメラ本体1に組み込んだ状態を、図11及び図12に示す。図11及び図12は、本実施の形態の放熱装置が組み込まれたカメラ本体1において、上部カバー1aと側部カバー1bとを取り除いた状態を示す斜視図である。図11及び図12に示すように、ホルダー21における開口部28を通じて放熱板31を目視可能である。また、ホルダー21は、その長手方向が、カメラ本体1の長手方向と略平行になるように装着されている。
最後に、カメラ本体1に上部カバー1a及び側部カバー1bを装着することで、カメラ本体1の組み立てが完了する。上部カバー1a及び側部カバー1bがカメラ本体1に装着された際、ファンユニット11は吸気口4の内面に対向する位置にある。また、ホルダー21におけるファンユニット装着部22に対向する長手方向端部は、排気口5の内面に対向する位置にある。そして、吸気口4から、ファンユニット11、第1の壁部29及び第2の壁部30で挟まれた空間を介して、排気口5に至るまで、空気が流通可能な空間が形成されている。また、放熱板31は、ホルダー21の開口部28を介して、ホルダー21における空気流通経路に露出している。
組み立て完了後のカメラ本体1の縦断面を、図13Aに示す。図13Aは、カメラ本体1において、レンズ光軸に直交しかつファンユニット11を通る面で切断した断面図である。図13Bは、図13AにおけるP部の要部断面図である。図13A及び図13Bに示すように、ファンユニット11は、側部カバー1bの内側に配置されている。また、ファンユニット11に形成されている糸リブ16c及び16dが、側部カバー1bの内面に、僅かな隙間を挟んで当接可能な位置にある。また、ファンユニット11に形成されている糸リブ16a及び16bが、バッテリーケース51の外面に、僅かな隙間を挟んで当接可能な位置にある。また、前述したように、図13A及び図13Bに示すようにカメラ本体1が正立状態の時、ファンユニット11は、第1の支持部14と第1の被支持部23とによって、宙吊り状態になっている。
〔4.放熱動作〕
次に、本実施の形態の放熱装置による放熱動作について説明する。以下の説明では、図2、図9、図12を参照して動作説明を行う。空気の流れについては、図2及び図9を参照して説明する。
図9において、カメラ本体1の動作中、カメラ本体1内の温度が所定温度以上に上昇すると、内部に配されている温度センサーが高温状態を検知しファン12を回転駆動させる。ファン12が回転駆動すると、ファン12の前後において空気の流れが発生する。この時、ファンユニット11は、吸気口4の内面に対向する位置にあり、かつ空気が吸気口4から排気口5へ向かって流れるように羽根の取り付け角度が設定されているため、ファン12が回転駆動することにより、図2の矢印Aに示すように、吸気口4を介して外部の空気がカメラ本体1内に取り込まれる。なお、上述の構成では温度センサーを必要とするため、温度センサーを配置するスペースや温度センサーのコストを要する。したがって、カメラ本体1の動作中はファン12を回転し続ける構成を採用すると、省スペース化と低コスト化とが図れる。また、吸気口4から例えばピン等が挿入されファン12の回転を強制的に停止される場合には、ファン12の温度上昇等の不具合が生じる危険性がある。このような課題を解消するため、ファン12に対する給電を停止する安全スイッチを備えても良い。
図9において、矢印Cに示すように外部から取り込まれた空気は、ファン12によって矢印Dに示す方向へ導かれる。この時、空気は、第1の壁部29、第2の壁部30、開口部28の下に位置する放熱板31(図12参照)、および側部カバー1bの内面によって囲まれた空間を、矢印Dに示す方向に向かって移動する。また、図12に示すように、開口部28を介して放熱板31が露出しているため、吸気口4側から送り込まれる空気は、放熱板31やマイコンチップ42などが帯びている熱を奪い、矢印Dに示す方向へ流れる。これにより、放熱板31やマイコンチップ42などを放熱させることができる。
第1の壁部29及び第2の壁部30によって挟まれた空間を流れた空気は、ホルダー21の端部に達し、図2の矢印Bに示すように排気口5を介して外部へ排出される。
次に、ファンダンパー13の役割について説明する。
上記したように、カメラ本体1内の熱を放熱させる際にファン12が回転駆動すると、ファン12自体に振動が発生する。ファン12において発生した振動は、ファンダンパー13を介してホルダー21へと伝わろうとする。しかし、ファン12において発生した振動は、まずファン12を覆っているファンダンパー13によって緩衝される。さらに、ファンユニット11をホルダー21に対して宙吊り構造にしている結合部14a及び15aによって緩衝される。また、ホルダー21を可撓性樹脂で構成すると、ホルダー21でファンユニット11の振動力が吸収することができ、好ましい。
さらに、第1の被支持部23における第1の凹部23a内に糸リブ23bが形成されているため、第1の支持部14が振動した際は、第1の支持部14は糸リブ23bに当接する。すなわち、第1の被支持部23の内面に糸リブ23bを形成し、第1の支持部14と第1の被支持部23との接触面積を少なくする(つまり、面接触ではなく線接触にする)ことで、振動がファンユニット11からホルダー21に伝わりにくくすることができる。なお、糸リブ23bは、カメラ本体1が図2に示す正立状態の時に、ホルダー21に振動を伝わりにくくすることができる。
また、第2の被支持部24における第2の凹部24a内に糸リブ24bが形成されているため、第2の支持部15が振動した際は、第2の支持部15は糸リブ24bに当接する。すなわち、第2の被支持部24の内面に糸リブ24bを形成し、第2の支持部15と第2の被支持部24との接触面積を少なくすることで、振動がファンユニット11からホルダー21に伝わりにくくすることができる。なお、糸リブ24bは、カメラ本体1が正立状態の時でも効果を発揮するが、天地逆転した状態の時にホルダー21に振動を伝わりにくくすることができる。
また、第1のリブ25の内面に糸リブ23cが形成されていることにより、ファンユニット11と第1のリブ25との接触面積を少なくすることができる。また、第2のリブ26の内面に糸リブ24cが形成されていることにより、ファンユニット11と第2のリブ26との接触面積を少なくすることができる。また、糸リブ23cに対向した部位に糸リブ23dが形成され、糸リブ24cに対向した部位に糸リブ24dが形成されていることにより、ファンユニット11とホルダー21との接触面積を少なくすることができる。
以上により、ファンユニット11から伝わる振動を、ホルダー21に伝わりにくくすることができる。なお、糸リブ23c、23d、24c、24dは、カメラ本体1をレンズ部2が鉛直上向きにした状態、あるいは鉛直下向きにした状態の時に、ホルダー21に振動を伝わりにくくすることができる。
なお、ホルダー21内における空気の流通経路上には、スピーカー装着部27に装着されているスピーカー52(図12参照)が配されている。スピーカー52は、放熱板31に近接した位置に配されているため、放熱板31から自然放熱される熱によって熱せられる。本実施の形態では、スピーカー52は、コーンが空気の流通経路上に位置しているため、ファン12が回転駆動して空気の流れが生じている時は、コーンを放熱させることができる。これにより、コーンが熱によって変形することを防ぐことができ、コーンが変形することによる音質低下を防ぐことができる。
〔5.ファンユニット11の詳細構成〕
本実施の形態におけるファンユニット11は、羽根を回転する回転軸を有する回転手段と、前記回転軸の軸芯に対し平行な2対の外枠平面と、前記2対の外枠平面の一方の端部を繋ぎ、前記回転手段による前記羽根の回転で発生する空気流を通過させる貫通孔を備えた前側平面とを有するファン部材と、前記ファン部材の前記2対の外枠平面をそれぞれ覆う弾性を有する2対のカバー部側平面と、前記2対のカバー部側平面における1対のカバー部側平面の少なくとも何れか一方の平面に、当該平面から突出するフック部とを有するファンダンパーとを備える構成とすることができる。
上記構成において、回転手段は、複数枚の羽根と、羽根が保持されている回転軸と、回転軸を回転自在に支持している軸受けなどを備え、モータなどの駆動源によって羽根を回転させることで、空気流を発生させることができる。
また、ファンダンパー13は、その内壁面が、ファン12における2対の外枠平面に対向するように、ファン12を収容する。
また、ファンダンパー13は、ファン12の振動を弾性で弱めるため弾性材料により形成されているが、粘弾性材料により形成されていることがより好ましい。粘弾性材料で形成することで、ファン12の振動を弾性で弱めることができると共に、振動力を粘性で吸収することができる。したがって、ファンダンパー13に適用される材料としては、硬質ゴムや内部可塑化ゴム等が好適である。
また、フック部は、図4などに示す第1の支持部14や第2の支持部15に相当するが、必ずしも図示のように2カ所に設ける必要はなく、少なくともファンダンパー13の側面に1カ所形成されていれば。ファンユニット11を機器などにおける被被保持部に保持させることができるとともに、ファン12において発生した振動を弱めて被保持部への伝達を低減させることができる。
また、フック部は、断面が略T字形状に形成されている。すなわち、第1の支持部14及び第2の支持部15は、図6に示すようにその断面が略T字形状に形成され、第1の被支持部23及び第2の被支持部24は略T字形状の嵌合凹部が形成されている。このように構成することで、第1の支持部14と第1の被支持部23との嵌合、および第2の支持部15と第2の被支持部24との嵌合を外れにくくすることができる。なお、フック部の形状は、略T字形状に限らず、少なくとも被保持部へ係合可能な形状で、ファンユニット11を被保持部へ保持させることができればよい。例えば、断面が略L字形状(ファンダンパー13の側面から略垂直方向に立設した結合部14a及び15aと、その先端からファンダンパー13の側面に対して略平行方向に突設された平板状部とから構成)で形成されていても、同様に機能させることができる。また、フック部は、その長手方向が、本実施の形態では図5及び図6に示すようにファン12の回転軸方向に対して略直交するように形成されているが、ファン12の回転軸方向に対して略平行に形成しても、同様に機能させることができる。
また、本実施の形態において、ファンダンパー13において、互いに対向する一対の側面にそれぞれ2カ所づつ糸リブ16a〜16dが形成されているが、他の構成であってもよい。糸リブは、ファンユニット11が周囲の他の部材に当接している状態で、その接触面積を少なくすることで、ファン12において発生した振動を被保持部材に伝えにくくするためのものである。したがって、ファンユニット11の周囲に、ファンユニット11に当接する可能性がある部材がある場合のみ、ファンダンパー13におけるその部材に対向する部位に糸リブを形成すればよい。
〔6.実施の形態の効果、他〕
以上のように本実施の形態によれば、ファン12を、可撓性材料で形成されているファンダンパー13を介してホルダー21に保持させる構成としたことにより、ファン12で発生した振動をファンダンパー13で緩衝することができ、カメラ本体1の筐体へ伝達されにくくすることができる。
また、ファンダンパー13とホルダー21との保持部分には僅かな隙間を設けて宙吊り構造としたことにより、ファンダンパー13とホルダー21との接触面積を少なくすることができ、ファン12で発生した振動をカメラ本体1の筐体へ伝達されにくくすることができる。
また、ファンダンパー13に第1の支持部14及び第2の支持部15を設け、ホルダー21に第1の被支持部23及び第2の被支持部24を設け、両者を嵌合させる構造にすることによって、ファンユニット11をホルダー21に宙吊り配置する構成としたことにより、ファン12において発生した振動がカメラ本体1の筐体へ伝達されにくくすることができる。
また、ファンユニット11の側面に糸リブ16a〜16dが形成されていることにより、カメラ本体1の姿勢が変化し、ファンユニット11が筐体やバッテリーケース51などに当接した状態であっても、ファンユニット11と筐体などの接触面積を少なくすることができるため、ファンユニット11で発生した振動を筐体などに伝達しにくくすることができる。
また、第1の被支持部23及び第2の被支持部24内に糸リブ23b及び24bが形成されていることにより、カメラ本体1の正立状態あるいは天地逆転状態において、ファンユニット11とホルダー21との接触面積を少なくすることができるため、ファンユニット11で発生した振動をホルダー21に伝達しにくくすることができる。よって、振動を筐体に伝達しにくくすることができる。
また、糸リブ23c、23d、24c、および24dが形成されていることにより、カメラ本体1の姿勢が変化した状態において、ファンユニット11とホルダー21との接触面積を少なくすることができるため、ファンユニット11で発生した振動をホルダー21に伝達しにくくすることができる。よって、振動を筐体に伝達しにくくすることができる。
また、ファンユニット11をホルダー21を介してカメラ本体1に取り付けたことにより、ファンユニット11で発生した振動をカメラ本体1に伝達されにくくすることができる。すなわち、ファンユニット11を直接放熱板や筐体などに固定すると、ファンユニット11で発生した振動が放熱板を介して筐体に伝達されてしまう。本実施の形態ではホルダー21を介して放熱板や筐体に固定しているため、カメラ本体1に伝達される振動を低減させることができる。
また、ホルダー21において、空気の流通経路上にスピーカー装着部27が形成されていることにより、スピーカー装着部27に装着されているスピーカー52を放熱させることができる。これにより、スピーカー(特にコーン)が熱によって変形したり破損したりする可能性を低くすることができる。
また、本実施の形態の放熱装置は、空気の流通経路を、カメラ本体1の使用時に使用者によって把持される側部カバー1bの内部に配したことにより、側部カバー1bを放熱させることができ、使用者に対する不快感を低減させることができる。
また、吸気口4及び排気口5を、使用者がカメラ本体1を手で把持した際に、使用者の手で覆われない位置に配置したことにより、放熱性能が低下するのを防ぐことができる。例えば、吸気口4と係止部8との間に不図示のグリップベルト架橋させると、使用者による吸気口4及び排気口5を指や掌等で塞ぐことを抑制することができる。
また、ホルダー21に第1の壁部29及び第2の壁部30が形成されていることにより、ファン12において発生した空気の流れを排気口5側へ導くことができるとともに、ホルダー21の強度を向上させることができる。
また、吸気口4を操作部3の近傍に形成し、ファンユニット11を吸気口4の近傍に配したことにより、ファンユニット11をマイク部7から離れた位置に配することができる。これにより、ファン12において発生するノイズ(風切り音やモータの動作音)がマイク部7によって集音されることを防ぐことができる。
また、排気口5を、端子カバー6近傍の凹部内に形成したことにより、排気口5を外観上、目立ちにくくすることができる。特に本実施の形態では、端子カバー6のエッジに指を掛けやすいように、端子カバー6に隣接した位置に形成されている凹部内に排気口5を形成したことにより、排気口5を外観上、さらに目立ちにくくすることができる。