JP4729278B2 - 蛍光体及び発光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、エレクトロルミネセンス(EL)などのディスプレイ装置や蛍光表示管、蛍光ランプなどの照明装置等に使用される蛍光体に属し、特には紫外・青色等の発光部を備え、可視光または白色光を発光する発光ダイオード(LED)、発光装置および照明装置に適した蛍光体及び当該蛍光体を用いた発光装置に関する。
現在、照明装置として用いられている放電式蛍光灯、ガラス管式白熱電球などは、手で触ると熱く危険、寿命が短い、水銀などの有害な物質が含まれているといった諸問題を抱えている。ところが、近年になって紫外〜緑色に発光する高光度LEDが次々と開発された。そして、当該高光度LEDから発生する紫外〜緑色の光と、当該紫外〜緑色の波長域に励起帯を持つ蛍光体とを組合わせることにより白色に発光させ、それを次世代の照明装置として利用できないかといった研究、開発が盛んに行われている。この白色LED照明は、熱の発生が少ないこと、半導体素子と蛍光体から構成されているため電球のように切れることがなく長寿命であること、水銀などの有害な物質が不要であることといった利点があり、理想的な照明装置である。
ここで、上述のLEDと蛍光体とを組合わせて白色発光を得る方式として、一般的に2つの方式が考えられている。一つは青色LEDと黄色蛍光体とを組み合わせ、当該LEDが発する青色光と黄色蛍光体が発する黄色光とを混合する方式である。もう一つは近紫外・紫外LEDと、赤色(R)・緑色(G)・青色(B)蛍光体とを組み合わせ、当該近紫外・紫外LEDが発する近紫外・紫外光で赤色(R)・緑色(G)・青色(B)蛍光体を発光させる方式である。
当該LED等に使用される蛍光体としては、赤色蛍光体としてY2O2S:Eu、La2O2S:Eu、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn、(La, Mn, Sm)2O2S・Ga2O3:Eu、緑色蛍光体としてZnS:Cu,Al、SrAl2O4:Eu、BAM:Eu,Mn、Ba2SiO4:Eu、黄色蛍光体としてYAG:Ce、青色蛍光体としてBAM:Eu、Sr5(PO4)3Cl:Eu、ZnS:Ag、(Sr, Ca, Ba, Mg)10(PO4)6Cl2:Euが知られている。そして、これらの蛍光体をLEDなどの発光部とを組合わせることにより、白色を始めとした各種の色味を有した発光装置や照明装置を得ることが可能となる。
しかし、上述した青色LEDと黄色蛍光体(例えばYAG:Ce)との組合わせによる白色LED照明は、可視光領域の長波長側の発光が不足してしまうため、若干青みを帯びた白色発光となってしまい、電球のようなやや赤みを帯びた白色発光を得ることができない。
これに対し、近紫外・紫外LEDとR・G・B蛍光体との組み合わせによる白色LED照明は、R・G・B蛍光体の組合わせや混合比などにより、白色光以外にも様々な発光色を得ることが可能であり、照明装置としての応用範囲は広い。
しかし、さらなる問題として、YAG:Ce系黄色蛍光体は、青色LEDを励起光源として用いて発光させる場合には、当該青色光が効率の良い励起範囲にあり良好な黄色発光を得ることができる。しかし、当該YAG:Ce系黄色蛍光体を、近紫外・紫外LEDで発光させる場合には、当該近紫外・紫外が当該YAG:Ce系黄色蛍光体における効率の良い励起範囲から外れ、効率の良い発光が得られないという問題がある。
また、近紫外・紫外LEDとR・G・B蛍光体の組合わせによる白色LED照明においては、当該3色の蛍光体のうち赤色蛍光体が他の蛍光体に比べ長波長側の励起効率が悪く、発光効率が低いという問題がある。このためR・G・B蛍光体の配合に際し、赤色蛍光体の混合割合を多くせざるを得ず、この結果、輝度を向上させるための蛍光体の配合量が不足し高輝度の白色が得られない。更に、R・G・B各蛍光体の発光スペクトルがシャープであるため、得られる白色発光の演色性が悪いといった問題がある。
上述の問題点を解決するため、酸化物系などに比べ長波長側に良好な励起帯を持ち、半値幅の広い発光ピークが得られるオキシ窒化物ガラス蛍光体(特許文献1参照)や、サイアロンを母体とする蛍光体(特許文献2、3参照)が報告されている。これらの窒素を含有した蛍光体は、酸化物系蛍光体などに比べ共有結合の割合が多くなるため、400 nm以上においても良好な励起帯を持つといった特徴があり白色LED用蛍光体として注目を集めている。
特開2001-214162号公報 特開2003-336059号公報 特開2003-124527号公報
上述の紫外〜緑色に発光する発光素子と、当該発光素子から発生する紫外〜緑色の波長域に対して励起帯を持ち、半値幅の広い発光ピークが得られるR・G・B蛍光体との組合せにより白色光や可視光を発するLEDを始めとした発光装置の演色性は改善が進んだ。しかし、本発明者らの検討によると、当該方式により演色性の改善が進んだのは相関色温度の高い領域であって、相関色温度の低い領域では更なる演色性の改善の余地があること。および、当該相関色温度の低い領域で様々な色味の発光が求められていることが明らかとなった。しかし、現状の赤色蛍光体や橙色蛍光体を混合使用することでこれらの要求を満たそうとしても、所望の発光ピークを有する蛍光体が見つからなったり、蛍光体同士の励起波長が異なったりするため、自在な混合処方が困難であった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、黄色から赤色の範囲で発光のピーク波長を設定できる上、当該設定にも拘わらず発光スペクトルのブロードな形状を維持でき、励起波長の範囲が殆ど変わらない蛍光体の提供を目的とする。また、本発明は、当該蛍光体と発光部とが組み合わされた発光装置であって、相関色温度の低い領域でも演色性に優れ、様々な色味の発光が可能な発光装置の提供を目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明者らが研究を重ねた結果、一般式MmAaBbNn:Z(但し、M 元素はII価の価数をとる元素であり、A元素はIIIの価数をとる元素であり、B元素はIV価の価数をとる元素であり、Nは窒素であり、Z元素は付活剤である。)で表記される蛍光体中のM元素のサイトを2種類以上の元素で構成することにより、当該蛍光体において黄色から赤色の範囲で発光のピーク波長を設定できる上、当該設定にも拘わらず発光スペクトルのブロードな形状を維持でき、励起波長の範囲が殆ど変わらないことに想到し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明の第1の構成は、
一般式MmAaBbNn:Zで表記される蛍光体であって、
前記蛍光体中において、M元素はII価の価数をとる元素であり、A元素はIIIの価数をと
Alであり、B元素はIV価の価数をとるSiであり、Nは窒素であり、Z元素は付活剤としてのEuであり、M元素は、Mg-Sr、Mg-Ba、Ba-Znのいずれかの組合せを含む2種以上の元素で構成され、且つ、m > 0、a > 0、b > 0、n = 2/3m + a + 4/3b、m = a= b = 1であることを特徴とする蛍光体である。

の構成は、
前記蛍光体が、粉末状であることを特徴とする第1から第の構成のいずれかに記載の蛍光体である。
第3の構成は、
前記蛍光体粉末の平均粒度が20μm以下、0.1μm以上であることを特徴とする第2の構成に記載の蛍光体である。

の構成は、
第1から第の構成のいずれかに記載の蛍光体と、所定波長の光を発光する発光部とを
有し、前記所定波長の光を励起源とし、前記蛍光体を前記所定波長と異なる波長で発光さ
せることを特徴とする発光装置である。
の構成は、
前記所定波長が、250 nm 〜 550 nmの波長であることを特徴とする第の構成に記載の発光装置である。
の構成は、
前記発光部が発光ダイオード(LED) であることを特徴とする第または第の構成に
記載の発光装置である。
第1の構成に係る蛍光体は、発光波長のピーク値を580 〜 650 nm
の範囲で設定できる上、当該設定にも拘わらず発光スペクトルのブロードな形状を維持で
き、紫外〜 緑色( 250 nm 〜 550 nm) の広い波長域の光に対し励起波長を有している。
または第の構成に係る蛍光体は、上述の効果に加え、自身が粉体であるため、適
用対象物への塗布または充填が容易である。
から第のいずれかの構成に係る発光装置は、相関色温度が低い領域においても高
い演色性を有する白色を始めとする、様々な色味の発光を行うことができる。
本発明に係る蛍光体は、一般式MmAaBbNn:Zで表記され(但し、M元素はII価の元素、A元素はIII価の元素、B元素はIV価の元素、Nは窒素、Zは付活剤である。)、M元素は2種類以上の元素を含む蛍光体である。
前記M元素に含まれる2種以上の元素は、いずれも、前記蛍光体中においてII価の価数をとる元素である。そしてM元素は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hgなどから選択される元素であることが好ましく、さらにはMg、Ca、Sr、Ba、Znから選択される元素であることが好ましい。
前記A元素は、前記蛍光体中においてIII価の価数をとる1種以上の元素である。そしてA元素は、B(ホウ素)、Al、Ga、In、Tl、Y、Sc、P、As、Sb、Biなどから選択される元素であることが好ましく、さらにはB、Al、Gaから選択される元素であることが好ましく、Alであることが最も好ましい。Alは、窒化物であるAlNが一般的な熱伝材料や構造材料として用いられており、入手容易且つ安価であり加えて環境負荷も小さいからである。
前記B元素は、前記蛍光体中においてIV価の価数をとる1種以上の元素である。そしてB元素は、C、Si、Ge、Sn、Ti、Hf、Mo、W、Cr、Pb、Zrなどから選択される元素であることが好ましく、さらには、Si、Geから選択される元素であることが好ましく、Siであることが最も好ましい。Siは、窒化物であるSi3N4が一般的な熱伝材料や構造材料として用いられており、入手容易且つ安価であり加えて環境負荷も小さいからである。
前記Z元素は、希土類金属元素または遷移金属元素から選択される1種以上の元素である。ここで、当該蛍光体を用いた発光装置や照明装置に良好な演色性を向上させるためには、当該蛍光体の発光が半値幅の広いスペクトルであることが好ましい。そして、当該観点からはZ元素が、Eu、Mn、Sm、Ceから選択されることが好ましいが、Euであることが最も好ましい。Euを用いると、当該蛍光体は黄色から赤色にかけての強い発光を示すため発光効率および演色性が高くなり、発光装置や照明装置に使用される蛍光体の付活剤として最適だからである。尚、蛍光体の組成のM元素の一部を置換したZ元素の種類によって、異なった波長の発光を有する蛍光体を得ることができる。
ここで、M元素を2種以上の元素とすることにより、本発明に係る蛍光体の発光波長のピーク波長を580 〜 650 nmの範囲において設定できることについて説明する。
尤も、M元素として1種の元素を用い、当該1種の元素を他の1種の元素に置換することでも、置換した元素により異なったピーク波長を有する発光を得ることができ、さらに付活剤Zの量を変化させることでも、異なったピーク波長を有する発光を得ることはできる。しかし、この方法では、ピーク波長を広い範囲で変化させることはできなかった。また、M元素を、他の1種の元素で置換した場合に、置換元素によっては発光強度が弱まってしまうという問題もある。
ところが、M元素を2種以上の元素に置換し、当該2種以上の各元素同士の組合わせと、組成比を制御することにより、発光波長のピーク値を580 〜 650 nmの範囲で設定できる上、当該設定にも拘わらず発光スペクトルのブロードな形状を維持でき、紫外〜緑色(250 nm 〜 550 nm)の広い波長域の光に対し励起波長を有することが可能となる。加えて、M元素を1種の元素で全置換した場合は発光強度が低下してしまうという短所を示した元素であっても、他元素との組み合わせて2種以上の元素とすることで発光強度および輝度が大きく改善されることを見出した。(尤も、当該発光スペクトルのピーク波長が長波長側へ変化すると、輝度が最も高くなるピーク波長(555 nm)から遠ざかってしまうため、発光強度は向上しても、輝度は低下してしまうことがある。)
2種以上の元素を有するM元素の例としては、II価の価数をとる元素から選択される様々な組み合わせが可能であるが、当該II価の価数をとる元素の中でもMg、Ca、Sr、Ba、Znから選択されることがより好ましく、Mg-Ca, Mg-Sr, Mg-Ba, Mg-Zn, Ca-Sr, Ca-Ba, Ca-Zn, Sr-Ba, Sr-Zn, Ba-Znの組合わせのいずれかであることが最も好ましい。このようにして、2種以上のM元素の組み合わせにより、異なるピーク波長を有する発光を得ることができる。更に、当該2種以上のM元素の組成比を変化させることでも発光波長を変化させることが出来、よりきめの細かいピーク波長の設定が可能である。
次に、本発明に係る蛍光体の母体構造と発光特性との関係について説明する。
本発明に係る蛍光体の母体構造が化学的に安定な構造をとると、当該蛍光体中に、発光に寄与しない不純物相が生じにくくなるため、発光特性の低下を抑制でき好ましい構成である。そこで、蛍光体の母体構造に、化学的に安定な構造をとらせるため、上記蛍光体の母体を組成式MmAaBbNnと表記したとき、m > 0、a > 0、b > 0、n = 2/3m + a + 4/3bであることが好ましい。これはM元素が+II価、A元素が+III価、B元素が+IV価、Nが-III価の元素であることから、m、a、b、nの値が、n = 2/3m + a + 4/3bを満たす組成物であると、各元素の価数を足し合わせがゼロとなり、電荷の中性を保つためである。さらに前記m、a、bの値がm = a = b = 1となる場合には、特に発光特性、励起帯特性に優れた蛍光体となる。但し、若干の組成のずれが起きることは考えられる。尚、本発明に係る蛍光体は、蛍光体中の酸素濃度が高くなると発光効率は低下するため、母体構造中に含まれる酸素は少ないほど発光効率が高くなると考えられる。
また、本発明に係る蛍光体を、一般式MmAaBbNn:Zz(ここでm > 0、a > 0、b > 0、n = 2/3m + a + 4/3b、z > 0である。)で表記した場合、M元素と付活剤Z元素とのモル比z/(m+z)は0.0001以上、0.5以下の範囲にあることが好ましい。M元素と付活剤Z元素とのモル比z/(m+z)が当該範囲にあると、付活剤の含有量の過剰に起因する濃度消光による発光効率の低下を回避でき、他方、付活剤の含有量の過少に起因する発光寄与原子の不足による発光効率の低下も回避できる。また、付活量については付活剤元素Zの種類、およびM元素の種類により、z/(m+z)の最適値は若干ことなるが、より好ましくは0.005以上、0.1以下の範囲内であると良い発光を得ることができる。さらに付活剤量によっても発光波長を若干長波長側、短波長側にシフトさせることができ、僅かな発光波長シフト制御する場合には有益である。
本発明に係る蛍光体は、後工程に係る、発光装置等の製造における塗布または充填の容易さを考慮して粉状体とされるが、当該蛍光体の粉体の平均粒径が20μm以下、0.1μm以上であることが好ましい。より好ましくは10μm以下、1.0μm以上である。これは、蛍光体の粉体において発光は主に粒子表面で起こると考えられるため、平均粒径が20μm以下であれば、粉体単位重量あたりの表面積を確保でき、輝度の低下を回避できるからである。また、平均粒径が20μm以下であれば、当該蛍光体の粉体をペ−スト状とし、発光体素子等に塗布した場合にも当該蛍光体の粉体の塗布密度を高めることができ、この観点からも輝度の低下を回避することができる。さらに、本発明に係る発光装置としてディスプレイに適用する際にも、当該ディスプレイを高精細化する観点から、当該蛍光体の粉体の平均粒径が20μm以下が好ましい。
一方、本発明者らの検討によると、詳細な理由は不明であるが、蛍光体粉末の発光効率の観点から、当該蛍光体の粉体の平均粒径が0.1μmより大きいことが好ましいことも判明した。以上のことより、本発明に係る蛍光体の粉体の平均粒径は20μm以下、0.1μm以上であることが好ましい。
上述の製造方法により得られた蛍光体は、M元素に含まれる2種以上の元素の種類、配合を調整することで、発光のピーク波長を580 〜 650 nmの範囲のいずれかに設定しても、発光スペクトルのブロードな形状を維持でき、励起波長の範囲が殆ど変わらなかった。さらに、当該発光のピーク波長の設定に拘わらず、いずれも波長域250 〜 550 nmの広い範囲に良好な励起帯を有していた。
(蛍光体の製造方法)
本発明に係る蛍光体の製造方法について、(Sr, Mg)AlSiN3:Eu(但し、z/(m+z) = 0.015の場合)を例として説明する。
まず、M元素 2種類、A元素、B元素の窒化物原料を準備する。各窒化物は市販の原料でよいが、純度は高い方が好ましく2N以上、さらに好ましくは3N以上のものを準備する。原料粒径については反応を促進させるためにも微粒子の方が好ましいが、原料の粒子サイズ、形状により、得られる蛍光体のサイズ、形状も変化するため、目的に合った窒化物原料を使用すればよい。さらに、原料は窒化物原料に限られず、それぞれの元素の金属微粒子を混合させた原料を用意し、当該混合原料を窒化させて目的組成物を得てもよい。
Z元素の原料も母体構成元素中に含まれる酸素濃度を低くする観点からは、窒化物や金属Euであることが好ましいが、付活剤の付活量は少なく、蛍光体中に含有する酸素の絶対量は僅かなものなので市販の酸化物を用いても良い。純度は高い方が好ましく2N以上、さらに好ましくは3N以上のものを準備する。
(Sr, Mg)AlSiN3:Eu(但し、z/(m+z) = 0.015の場合)の製造であれば、例えばM元素2種類、A元素、B元素の窒化物として、それぞれSr3N2(2N)、Mg3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)を準備すればよい。Z元素としては、Eu2O3(3N)を準備すればよい。
SrをM1m1、MgをM2m2とした場合、M = M1m1+ M2m2となり、これらの原料を、各元素のモル比が(m1 + m2): a : b : z = 0.985 : 1 : 1 : 0.015となるように各原料を秤量し混合する。勿論、M元素の0.985、Z元素の0.015の値は、z/(m+z) = 0.015の設定値にあわせたものであり、当該設定値により変動する。当該秤量・混合については、大気中で取り扱うと酸化や分解により、母体構成元素中に含まれる酸素濃度が高くなり発光特性が落ちてしまう、ねらいとした蛍光体ができないといった問題が発生してしまうため、不活性雰囲気下のグローブボックス内での操作が便宜である。また、窒化物は水分の影響を受けやすいため、不活性ガスは水分を十分取り除いたものを使用するのが良い。混合は酸化物系蛍光体などで用いられる湿式混合では、窒化物原料が水分により分解しアンモニアが発生するため乾式混合が好ましい。混合はボールミルや乳鉢等を用いる通常の混合方法でよい。
混合が完了した原料をるつぼに入れ、窒素等の不活性雰囲気中で1000℃以上、好ましくは1400℃以上、さらに好ましくは1500 〜 1600℃で30分以上、より好ましくは3時間以上保持して焼成する。保持時間は焼結温度が高いほど焼結が迅速に進むため短縮出来る。一方、焼結温度が低い場合でも、当該温度を長時間保持することにより目的の発光特性を得ることが出来る。しかし、焼結時間が長いほど粒子成長が進み、粒子サイズが大きくなるため、目的とする粒子サイズに応じて焼結時間を設定すればよい。尚、るつぼとしてはBN(窒化ホウ素)製のるつぼを用いると、るつぼからの不純物混入を回避することができ好ましい。焼成が完了した後、焼成物をるつぼから取り出し、乳鉢、ボールミル等の粉砕手段を用いて、所定の平均粒径となるように粉砕して組成式(Sr, Mg)AlSiN3:Eu(但し、z/(m+z) = 0.015の場合)で示される蛍光体を製造することができる。
M元素(M1、M2元素)、A元素、B元素、Z元素として、Sr、Mg、Al、Si、Eu、以外の元素を用いた場合、M1と、M2との配合比率を変化させた場合、および付活剤の付活量を変更した場合も、各原料の仕込み時の配合量を所定の組成比に合わせることで、上述したものと同様の製造方法により、所定組成式を有する蛍光体を製造することができる。
(発光装置となる照明装置の製造)
粉末状となった本発明に係る蛍光体を、波長域250 nmから550 nm、好ましくは波長域300 nmから420 nmのいずれかの光を発光する発光部と組み合わせることで、各種の照明装置やディスプレイ装置等の発光装置を製造することができる。
発光部として、例えば、紫外から青色のいずれかの範囲で発光するLED発光素子、紫外光を発生する放電灯等を用いることができる。そして、本発明に係る蛍光体と他の蛍光体との混合した物を当該LED発光素子と組み合わせた場合には、各種の照明装置やディスプレイ装置等の発光装置を製造することができ、本発明に係る蛍光体と他の蛍光体との混合した物を当該放電灯と組み合わせた場合には、各種蛍光灯や照明装置やディスプレイ装置等の発光装置を製造することができる。
本発明に係る蛍光体と、当該LED発光素子および放電灯との組み合わせ方法は公知の方法にて行えば良いが、例えば、当該蛍光体を発光部に直接塗布する方法、当該蛍光体をシリコン等の樹脂に分散させた後、当該分散物を発光部に塗布する方法、当該蛍光体を樹脂などにより形成された透明基材等に塗布し、当該基材を発光部上に配置する方法を採ることができる。
上述の発光装置において、LED発光素子、放電灯等を発光させると、これらの発光部は所定波長の光を発光するが、この所定波長の光の一部または全部が励起源となり、当該蛍光体が前記所定波長と異なる波長で発光し、優れた演色性を有する白色光を始めとした発光装置を得ることができる。
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
市販のBa3N2(2N)、Zn3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)、Eu2O3(3N)を準備し、M元素をBa:Zn = 0.5 : 0.5とし、各元素のモル比がBa : Zn : Al : Si : Eu = 0.493 : 0.493 : 1 : 1 : 0.015となるように各原料を秤量し、窒素雰囲気下のグローブボックス中において乳鉢を用いて混合した。混合した原料は、BNるつぼに入れ、窒素雰囲気中で1600℃まで15℃/minの速度で昇温し、1600℃で3時間保持・焼成した後、1600℃から200℃まで1時間で冷却し、焼成が完了した後に解砕を行い、組成式(Ba0.5Zn0.5)AlSiN3:Eu(但し、z/(m+z) = 0.015)の蛍光体を得た。
得られた蛍光体を波長460 nmの単色の励起光で励起し発光スペクトルを測定した。当該発光スペクトルを図1に、実線により示す。ここで、図1は、横軸には光の波長をとり、縦軸には蛍光体の相対発光強度をとったグラフである。尚、縦軸の相対発光強度は、後述する比較例1の発光スペクトルにおけるピーク波長の発光強度を、100%として規格化したときの値である。また、図1には記載していないが、同じく、比較例1の発光スペクトルにおける輝度を100%として規格化した。
さらに、励起スペクトルを測定し、その結果を図3に示す。ここで、図3は、縦軸に蛍光体の発光強度をとり、横軸には光の波長をとったグラフである。励起スペクトルとは種々の波長の単色光を用いて被測定対象の蛍光体を励起し、蛍光体が発光する所定波長の発光強度を測定し、当該所定波長の発光強度の励起波長依存性を測定したものである。本測定においては、波長250 nmから600 nmまでの単色光を実施例1に係る蛍光体へ照射し、当該蛍光体が発光する波長609.0nmの光の発光強度における励起依存性を測定したものである。
図1から明らかなように、当該蛍光体は、波長500 nmから800 nmの広い波長域においてブロードなピークを持ち、波長609.0 nmで最も高い発光を示し、相対発光強度は138.9%であった。
一方、当該蛍光体の発光における相対輝度は199.9%であり、発光の色度(x, y)は、x = 0.578、y = 0.420であった。尚、目視ではオレンジ色の発光色が確認できた。当該測定結果を表1に記載する。
(実施例2)
市販のSr3N2(2N)、Mg3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)、Eu2O3(3N)を準備し、M元素をSr:Mg = 0.5 : 0.5とし、各元素のモル比がSr : Mg : Al : Si : Eu = 0.493 : 0.493 : 1 : 1 : 0.015となるように各原料を秤量した以外は、実施例1と同様の処理をして、組成(Sr0.5Mg0.5)AlSiN3:Eu(但し、z/(m+z) = 0.015)の蛍光体を得た。実施例1と同様に発光スペクトルの測定結果を、図1に1点鎖線を用いて示す。さらに、励起スペクトルを測定し、その結果を図4に示す。
図1から明らかなように、実施例2に係る蛍光体は、ブロードなピークを持ち、波長632.8 nmで最も高い発光を示し、相対発光強度は178.1%であった。
一方、当該蛍光体の発光における相対輝度は159.0%であり、発光の色度(x, y)は、x = 0.629、y = 0.370であった。尚、目視では濃いオレンジ色の発光色が確認できた。当該測定結果を表1に記載する。
(実施例3)
市販のCa3N2(2N)、Sr3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)、Eu2O3(3N)を準備し、M元素をCa:Sr = 0.5 : 0.5とし、各元素のモル比がCa : Sr : Al : Si : Eu = 0.493 : 0.493 : 1 : 1 : 0.015となるように各原料を秤量した以外は実施例1と同様の処理をして、組成(Ca0.5Sr0.5)AlSiN3:Eu(但し、z/(m+z) = 0.015)の蛍光体を得た。実施例1と同様に発光スペクトルの測定結果を図1に2点鎖線を用いて示す。さらに、励起スペクトルを測定し、その結果を図5に示す。
図1から明らかなように、実施例3に係る蛍光体は、ブロードなピークを持ち、波長648.9 nmで最も高い発光を示し、相対発光強度は217.3%であった。
一方、当該蛍光体の発光における相対輝度は117.1%であり、発光の色度(x, y)は、x = 0.659、y = 0.340であった。尚、目視では赤色の発光色が確認できた。当該測定結果を表1に記載する。
(比較例1)
市販のSr3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)、Eu2O3(3N)を準備し、M元素をSr単独とし、各元素のモル比がSr : Al : Si : Eu = 0.985 : 1 : 1 : 0.015となるように各原料を秤量した以外は実施例1と同様の処理をして、組成SrAlSiN3:Eu(但し、z/(m+z) = 0.015)の蛍光体を得た。実施例1と同様に発光スペクトルの測定結果を図1に破線を用いて示す。さらに、励起スペクトルを測定し、その結果を図6に示す。
図1から明らかなように、比較例1に係る蛍光体は、ブロードなピークを持ち、波長631.2 nmで最も高い発光を示した。上述したように、このときの発光強度および輝度を100%とした。当該発光の色度(x, y)は、x = 0.617、y = 0.381であった。尚、目視では濃いオレンジ色の発光色が確認できた。当該測定結果を表1に記載する。
Figure 0004729278
(実施例1〜3)および(比較例1)についての検討
M元素として、例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Znから選択される2種類の元素の組み合わせを用いることによって、異なった発光波長を持つ蛍光体を得ることが可能である。さらに、これらの蛍光体は、M元素の選択とその組み合わせにより、発光波長のピーク値を609 〜 650 nmの範囲で設定でき、黄色から赤色(波長500 nm 〜 800 nm)の範囲にブロードな発光スペクトルを有していた。さらに、これらの蛍光体は、近紫外・紫外から緑色(波長250 nm 〜 550 nm)という長波長側に、範囲が広く平坦で高効率な励起帯を有していた。
また、M元素を、例えばMg、Ca、Sr、Ba、Znから選択される2種類の元素で置換すると、比較例1のようにM元素としてSrを単独使用する場合よりも、発光強度、輝度ともに優れた蛍光体を得ることが可能であることも判明した。例えば、実施例2と比較例1とを比較すると、発光波長はほとんど変わらないが、実施例2は、比較例1に比べ発光強度、輝度ともに50%以上向上している。
以上より、M元素の組み合わせによって、様々な発光波長の蛍光体を作製できることが判明し、M元素として単独元素ではなく、2種以上の元素を用いることにより、輝度、発光強度ともに大幅に向上できることが判明した。
図3〜5から明らかなように、当該蛍光体の励起スペクトルは、波長250 nm付近から600 nmまでの広い範囲にわたり平坦に存在している。即ち、当該蛍光体は、波長250 nm付近から600 nmまでの広い範囲の励起光で、高効率の発光を示すことがわかった。この結果より、当該蛍光体は、青色LED(励起波長 460付近)、または、近紫外・紫外LED(励起波長 380 〜 410 nm付近)のどちらの光を励起光とした場合であっても、高効率で発光させることができる蛍光体であることが判明した。
さらに、以上の結果より、実施例1〜3に係る蛍光体を、単独または混合使用することで、一つは青色LEDと組み合わせた場合でも、もう一つは、さらに緑色(G)・青色(B)蛍光体を混合し、近紫外・紫外LEDと組み合わせた場合でも、演色性に優れた白色を始めとするLED等の照明を作製することができることが判明した。
(実施例4)
実施例4では、市販のBa3N2(2N)、Mg3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)、Eu2O3(3N)を準備し、M元素をBa : Mg = 0.75 : 0.25とし、各元素のモル比がBa : Mg : Al : Si : Eu = 0.739 : 0.246: 1 : 1 : 0.015となるように各原料を秤量した以外は、実施例1と同様の処理をして、組成(Ba0.739Mg0.246)AlSiN3:Eu(但し、z/(m+z) = 0.015)の蛍光体を得た。実施例1と同様に発光スペクトルの測定結果を図2に実線を用いて示す。尚、縦軸の相対発光強度は、後述する比較例2の発光スペクトルにおけるピーク波長の発光強度を、100%として規格化したときの値である。また、図2には記載していないが、同じく、比較例2の発光スペクトルにおける輝度を100%として規格化した。
さらに、励起スペクトルを測定し、その結果を図7に示す。
図2から明らかなように、実施例4に係る蛍光体は、ブロードなピークを持ち、波長598.6 nmで最も高い発光を示し、相対発光強度は100.7%であった。
一方、当該蛍光体の発光における相対輝度105.1%であり、発光の色度(x, y)は、x = 0.556、y = 0.441であった。尚、目視では黄橙色の発光色が確認できた。当該測定結果を表1に記載する。
(実施例5)
実施例5では、市販のBa3N2(2N)、Mg3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)、Eu2O3(3N)を準備し、M元素をBa : Mg = 0.5 : 0.5とし、各元素のモル比がBa : Mg : Al : Si : Eu = 0.493 : 0.493: 1 : 1 : 0.015となるように各原料を秤量した以外は、実施例1と同様の処理をして、組成(Ba0.493Mg0.493)AlSiN3:Eu(但し、z/(m+z) = 0.015)の蛍光体を得た。実施例1と同様に発光スペクトルの測定結果を図2に1点差線を用いて示す。さらに、励起スペクトルを測定し、その結果を図8に示す。
図2から明らかなように、実施例5に係る蛍光体は、ブロードなピークを持ち、波長604.6 nmで最も高い発光を示し、相対発光強度は142.4%であった。
一方、当該蛍光体の発光における相対輝度は135.0%であり、発光の色度(x, y)は、x = 0.573、y = 0.425であった。尚、目視では黄橙色の発光色が確認できた。当該測定結果を表2に記載する。
(実施例6)
実施例6では、市販のBa3N2(2N)、Mg3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)、Eu2O3(3N)を準備し、M元素をBa : Mg = 0.25 : 0.75とし、各元素のモル比がBa : Mg : Al : Si : Eu = 0.246 : 0.739: 1 : 1 : 0.015となるように各原料を秤量した以外は、実施例1と同様の処理をして、組成(Ba0.246Mg0.739)AlSiN3:Eu(但し、z/(m+z) = 0.015)の蛍光体を得た。実施例1と同様に発光スペクトルの測定結果を図2に2点鎖線を用いて示す。さらに、励起スペクトルを測定し、その結果を図9に示す。
図2から明らかなように、実施例6に係る蛍光体は、ブロードなピークを持ち、波長645.8 nmで最も高い発光を示し、相対発光強度は110.9%であった。
一方、当該蛍光体の発光における相対輝度は59.7%であり、発光の色度(x, y)は、x = 0.629、y = 0.369であった。尚、目視では赤色の発光色が確認できた。当該測定結果を表2に記載する。ただし、実施例6において、相対発光強度が改善したにも関わらず、相対輝度が59.7%と低くなってしまったのは、発光波長のピークが大きく長波長側へ変化したことで、輝度が最も高くなるピーク波長(555 nm)から遠ざかってしまったためである。
(比較例2)
市販のBa3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)、Eu2O3(3N)を準備し、M元素をBa単独とし、各元素のモル比がBa : Al : Si : Eu = 0.985 : 1 : 1 : 0.015となるように各原料を秤量した以外は実施例1と同様の処理をして、組成BaAlSiN3:Eu(但し、z/(m+z) = 0.015)の蛍光体を得た。実施例1と同様に発光スペクトルの測定結果を図2に破線を用いて示す。さらに、励起スペクトルを測定し、その結果を図10に示す。
図2から明らかなように比較例2に係る蛍光体は、ブロードなピークを持ち、波長604.6 nmで最も高い発光を示した。上述したように、このときの発光強度および輝度を100%とした。
一方、発光の色度(x, y)は、x = 0.566、y = 0.431であった。尚、目視では濃いオレンジ色の発光色が確認できた。当該測定結果を表2に記載する。
Figure 0004729278
(実施例4〜6)および(比較例2)についての検討
M元素として、例えば、BaとMgとの2元素を選択し、当該BaとMgとの比率を変えた結果、実施例5に示すBa : Mg = 0.5 : 0.5とき、発光強度、輝度ともに比較例2に比べ30%以上向上することが判明した。また、実施例6に示すBa : Mg = 0.25 : 0.75のとき、発光波長が比較例2の604.6 nmに比べ長波長側へ大幅にシフトし、波長645.8 nmの赤色発光を示した。
以上、実施例1〜6より、M元素として、単独の元素ではなく2種以上の元素を用いることにより、輝度、発光強度ともに大幅に向上できることが判明した。また、当該2種以上の元素を用いた場合は、2種以上の元素の組成比を変化させることによって、発光波長をシフトさせることができることも判明した。
(実施例7)
発光部として窒化物半導体を有する市販の紫外光のLED(発光波長386.2 nm)を準備し、当該LED上へ、実施例2で得られた蛍光体と、市販の青色蛍光体(BAM:Eu)と、市販の緑色蛍光体(ZnS:Cu,Al)とを、公知の方法により塗布して白色LEDを作製した。このとき、実施例に係る蛍光体、BAM:Eu、ZnS:Cu,Alを混合した場合の発光スペクトルをシミュレーションし、当該シミュレーション結果より白色光を得られる配合を求めた。尚、実施例7では色温度3000K相当の電球色が得られるように配合を求めた。そして、当該紫外光のLEDを発光させたときの、当該白色LEDの発光スペクトルを図11に示す。図11は、横軸に光の波長(nm)をとり、縦軸に発光強度をとったグラフである。図11の結果から明らかなように、当該白色LED中の各蛍光体は当該紫外LEDからの光により励起され発光し、色温度2875K相当の白色光を得ることができた。また、平均演色評価数(Ra)は94と演色性に優れたものであった。さらに、当該実施例に係る蛍光体の配合を変えることで、演色性に優れた相関色温度の異なる白色LEDを得ることができた。
(実施例8)
発光部として窒化物半導体を有する青色光のLED(発光波長460.0 nm)を準備し、当該LED上へ、実施例2で得られた蛍光体と、市販の黄色蛍光体(YAG:Ce)とを、公知の方法により塗布して白色LEDを作製し当該青色光のLEDを発光させた。このとき、当該青色LEDの発光スペクトルと、実施例に係る蛍光体の発光スペクトルとの混合をシミュレーションし、当該シミュレーション結果より白色光を得られる配合を求めた。尚、実施例8では色温度3000K相当の電球色が得られるように配合を求めた。そして、当該青色光のLEDを発光させたときの、発光スペクトルを図12に示す。図12は図11と同様に、横軸に光の波長(nm)をとり、縦軸に発光強度をとったグラフである。図12の結果から明らかなように、当該白色LED中の各蛍光体は当該青色LEDからの光により励起され発光し、色温度3016K相当の白色光を得ることができた。また、平均演色評価数(Ra)は86と演色性に十分優れたものであった。さらに、当該実施例に係る蛍光体の配合を変えることで、相関色温度の異なる白色LEDを得ることができた。
実施例1〜3および比較例1に係る蛍光体の発光スペクトルを示すグラフである。 実施例4〜6および比較例2に係る蛍光体の発光スペクトルを示すグラフである。 実施例1に係る蛍光体の励起スペクトルを示すグラフである。 実施例2に係る蛍光体の励起スペクトルを示すグラフである。 実施例3に係る蛍光体の励起スペクトルを示すグラフである。 比較例1に係る蛍光体の励起スペクトルを示すグラフである。 実施例4に係る蛍光体の励起スペクトルを示すグラフである。 実施例5に係る蛍光体の励起スペクトルを示すグラフである。 実施例6に係る蛍光体の励起スペクトルを示すグラフである。 比較例2に係る蛍光体の励起スペクトルを示すグラフである。 実施例7に係る白色LEDの発光スペクトルを示すグラフである。 実施例8に係る白色LEDの発光スペクトルを示すグラフである。

Claims (6)

  1. 一般式MmAaBbNn:Zで表記される蛍光体であって、
    前記蛍光体中において、M元素はII価の価数をとる元素であり、A元素はIIIの価数をと
    るAlであり、B元素はIV価の価数をとるSiであり、Nは窒素であり、Z元素は付活剤としてのEuであり、
    M元素は、Mg-Sr、Mg-Ba、Ba-Znのいずれかの組合せを含む2種以上の元素で構成され、且つ、m > 0、a > 0、b > 0、n = 2/3m + a + 4/3b、m = a= b = 1であることを特徴とする蛍光体。
  2. 前記蛍光体が、粉末状であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  3. 前記蛍光体粉末の平均粒度が20μm以下、0.1μm以上であることを特徴とする請求項
    に記載の蛍光体。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の蛍光体と、所定波長の光を発光する発光部とを有し、前記所定波長の光を励起源とし、前記蛍光体を前記所定波長と異なる波長で発光させることを特徴とする発光装置。
  5. 前記所定波長が、250 nm〜550 nmの波長であることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
  6. 前記発光部が発光ダイオード(LED)であることを特徴とする請求項4または5に記載の発光装置。
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