JP2006282872A - 窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体、及びその製造方法、並びに当該蛍光体を用いた発光装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、n=2/3m+a+4/3b-2/3o 、m>0,a≧0,b>0,o≧0)と表記される窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体であり、Fe元素の含有量が200ppmより少ないことを特徴とするものである。
【選択図】 図2
Description
本発明の他の目的は、窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の発光効率を向上させ且つ安定させることができる蛍光体の製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、当該発光効率が向上し且つ安定した窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体を用いた発光装置を提供することにある。
Fe元素の含有量が200ppmより少ないことを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体である。
組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、n=2/3m+a+4/3b-2/3o 、m>0,a≧0,b>0,o≧0)と表記されることを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体である。
前記M元素がMg、Ca、Sr、Ba、Znから選択される少なくとも一種の元素であり、A元素がAl、Gaから選択される少なくとも一種の元素であり、B元素がSi、Geから選択される少なくとも一種の元素であり、Z元素がEuであることを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体である。
前記m、a、b、o、nが、m=a=b=1 ,o<0.5, n = 3 −2/3o で表記されることを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体である。
前記窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の原料として、Fe元素含有量が100ppm以下の原料を使用することを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の製造方法である。
前記窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の原料として、Fe元素含有量が100ppm以下である一般式M3N2で表記されるII族元素の窒化物(但し、M元素はMg、Ca、Sr、Ba、Znから選択される少なくとも1種以上の元素である。)を用いることを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の製造方法である。
2N以上、且つFe含有量が100ppm以下の金属単体を、窒素雰囲気またはアンモニア雰囲気中で300℃以上の温度で窒化して、前記II族元素の窒化物を製造することを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の製造方法である。
上記所定波長の光の一部を励起源とし、上記窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体を上記所定波長と異なる波長で発光させることを特徴とする発光装置である。
上記所定波長が300〜550nmの波長であることを特徴とする発光装置である。
本発明者らの研究によれば、窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体において、不純物Fe元素の含有量が200ppmを超えると、当該蛍光体の発光強度を相対強度で表したとき、10%以上の発光強度の低下を招いてしまう。従って、当該Fe元素含有量を200ppm以下に抑制することで、発光効率を大きく向上させることができる。
ここで、組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、n=2/3m+a+4/3b-2/3o 、m>0,a≧0,b>0,o≧0)と表記される酸窒化物蛍光体は、m、a、b、o、n が当該関係を満たすとき、上記蛍光体の母体構造が化学的に安定な構造をとり、当該母体構造中に、発光に寄与しない不純物相が生じにくくなる。
M元素の窒化物、例えば市販のCa3N2は、Fe元素含有量が250ppm程度である。
そこで、本発明に係る蛍光体のM元素の窒化物原料は、例えば、次の方法で製造したものを使用することが好ましい。
まず、2N以上かつFe元素の含有量が100ppm以下であるM元素の金属単体を用意する。アルカリ金属単体表面には保管時に付着した油膜が付着しているものもあるため、不活性ガス中にて、有機溶媒で洗浄する。洗浄した金属単体を、窒素またはアンモニア中で300℃以上の温度で加熱して窒化し窒化物を製造する。尚、当該窒化時に使用する容器やるつぼは、Fe元素の含有量が少ない容器が好ましく、なかでも高純度なBNるつぼが好ましい。また、窒化の際の加熱温度は、高いほど窒化が促進されるため、700℃以上が好ましい。得られたM元素の窒化物は、100μm以下の粒度に粉砕して使用すればよい。
B元素の窒化物に対しても、例えばSi3N4は市販品で、Fe元素の含有量が50ppm以下程度のものが市販されているため、それらを用いてもよい。
当該秤量・混合は、Ca3N2が非常に酸化し易いために不活性雰囲気下のグローブボックス内での操作が便宜である。また、各原料の窒化物は水分の影響を受けやすいため、不活性ガスは水分を十分取り除いたものを使用するのが良い。混合方式は湿式、乾式どちらでも構わないが、湿式混合の溶媒として純水を用いると原料が分解するため、適当な有機溶媒を選定する必要がある。装置としてはボールミルや乳鉢等を用いる通常のものでよい。混合時におけるFe元素の混入を防ぐため、上記有機溶媒を含む媒体は、すべてFe元素を含有していない媒体を用いるのが好ましい。
発光部として、例えば、青色発光するLED発光素子、または青色を発光する放電灯が考えられる。そして、本実施形態の蛍光体を上記LED発光素子と組み合わせた場合には、各種の照明装置やディスプレイ用バックライトを製造することができる。また、本実施形態の蛍光体を上記放電灯と組み合わせた場合には、各種蛍光灯などの照明装置やディスプレイ用バックライトを製造することができる。
(実施例1)
実施の形態で説明した方法により、純度99.5%、Fe元素の含有量が90ppmである金属Caを700℃窒素雰囲気中で加熱した後、粉砕し、Ca3N2を製造した。製造されたCa3N2のFe元素の含有量は60ppmであった。当該製造されたCa3N2を0.980/3 mol、Si3N4を1/3 mol 、AlNを1 mol、Eu2O3を0.020/2 molをそれぞれ秤量後、乳鉢で混合し、1600℃で3時間、圧力0.05MPaの窒素雰囲気中で焼成を行い、赤色蛍光体CaAlSiN3:Euを製造した。ここで、表1に示すように、原料に使用したCa3N2、Si3N4、AlN、Eu2O3のFe元素の含有量はそれぞれ60ppm、20ppm、90ppm、10ppm であった。
すると、図1の太実線に示すように、得られた実施例1に係る蛍光体粉末へ460nmの単色光を照射したところ、656nmに発光ピークを有する赤色発光を示した。また、表1及び図2に示すように、化学分析により得られた実施例1に係る蛍光体の不純物Fe元素含有量は、100ppmであった。
また、表1は、実施例及び比較例において作製した蛍光体の原料であるCa3N2(2N)、Si3N4(3N)、AlN(3N)、 Eu2O3(3N)の、化学分析により得られた不純物Fe元素濃度、実施例および比較例において作製した蛍光体の相対発光強度、並びに化学分析により得られた不純物Fe元素含有量を示す。上記相対発光強度は、実施例1の発光強度を1と規格化して、その他の実施例および比較例の相対発光強度を求めている。
表1に示すように、Fe元素含有量が実施例1より低いCa3N2原料を使用した以外は、実施例1と同様の条件で赤色蛍光体CaAlSiN3:Euを製造した。原料に使用したCa3N2、Si3N4、AlN、Eu2O3のFe元素含有量はそれぞれ27ppm、20ppm、90ppm、10ppmであった。
得られた蛍光体粉末に460nmの単色光を照射したところ、図1の太破線に示すように、656nmに発光ピークを有する赤色発光を示した。また、表1及び図2に示すように、化学分析により得られた蛍光体の不純物Fe元素含有量は80ppmであった。
表1に示すように、Fe元素含有量が実施例1より10ppm多いCa3N2原料を使用した以外、実施例1と同様の条件で赤色蛍光体CaAlSiN3:Euを準備した。原料に使用したCa3N2、Si3N4、AlN、Eu2O3のFe元素含有量はそれぞれ70ppm、20ppm、90ppm、10ppmであった。
得られた蛍光体粉末に460nmの単色光を照射したところ、図1中の太二点鎖線に示すように、656nmに発光ピークを有する赤色発光を示した。また、表1及び図2に示すように、化学分析により得られた蛍光体の不純物Fe元素含有量は120ppmであった。
(比較例1)
表1に示すように、Fe元素含有量が230ppmであるCa3N2原料を使用した以外、実施例1と同様の条件で赤色蛍光体CaAlSiN3:Euを準備した。その他の原料であるSi3N4、AlN、Eu2O3のFe元素含有量はそれぞれ20ppm、90ppm、10ppmであった。
得られた蛍光体粉末に460nmの単色光を照射したところ、図1の細実線に示すように、656nmに発光ピークを有する赤色発光を示した。また、表1及び図2に示すように、化学分析により得られた蛍光体の不純物Fe元素含有量は260ppmであった。
表1に示すように、Fe元素含有量が770ppmである市販のCa3N2原料を使用した以外、実施例1と同様の条件で赤色蛍光体CaAlSiN3:Euを準備した。その他の原料であるSi3N4、AlN、Eu2O3のFe元素含有量はそれぞれ20ppm、90ppm、10ppmであった。
得られた蛍光体粉末に460nmの単色光を照射したところ、図1の細破線に示すように、656nmに発光ピークを有する赤色発光を示した。また、表1及び図2に示すように、化学分析により得られた蛍光体の不純物Fe元素含有量は400ppmであった。
表1に示すように、Fe元素含有量が1400ppmであるCa3N2原料を使用した以外、実施例1と同様の条件で赤色蛍光体CaAlSiN3:Euを準備した。その他の原料であるSi3N4、AlN、Eu2O3のFe元素含有量はそれぞれ20ppm、90ppm、10ppmであった。
得られた蛍光体粉末に460nmの単色光を照射したところ、図1の細一点鎖線に示すように、656nmに発光ピークを有する赤色発光を示した。また、表1及び図2に示すように、化学分析により得られた蛍光体の不純物Fe元素含有量は600ppmであった。
図2及び表1から、比較例1〜3で作製した蛍光体粉末において、Fe元素含有量が200ppm以上になると、その発光強度が急激に低下することが分かる。これはFe元素が発光効率を大幅に低下させるキラー元素として発光特性に悪影響を及ぼしているからである。この作用の原因は、Fe元素含有量が200ppmを越えると蛍光体粉末の発光中心へのエネルギー伝達の阻害が著しくなり、結果として発光強度が大きく低下するからと考えられる。従って、実施例1〜3のように、原料中のFe元素濃度を200ppm以下に制御することによって、当該蛍光体粉末のFe元素濃度を200ppm以下に抑制すれば、蛍光体粉末の発光中心へのエネルギー伝達が阻害されず、発光強度の低下を防止できるので、蛍光体の発光効率の向上及び安定が実現可能となる。
Claims (9)
- Fe元素の含有量が200ppmより少ないことを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体。
- 請求項1に記載の窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体であって、
組成式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種以上の元素であり、B元素はIV価の価数をとる1種以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は、前記窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体中において付活剤として作用する元素であり、n=2/3m+a+4/3b-2/3o 、m>0, a≧0 , b>0 , o≧0)と表記されることを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体。 - 請求項2に記載の窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体であって、
前記M元素がMg、Ca、Sr、Ba、Znから選択される少なくとも一種の元素であり、A元素がAl、Gaから選択される少なくとも一種の元素であり、B元素がSi、Geから選択される少なくとも一種の元素であり、Z元素がEuであることを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体。 - 請求項2または3に記載の窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体であって、
前記m、a、b、o、nが、m=a=b=1 ,o<0.5, n = 3 -2/3o で表記されることを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の製造方法であって、
前記窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の原料として、Fe元素含有量が100ppm以下の原料を使用することを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の製造方法。 - 請求項5に記載の窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の製造方法であって、
前記窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の原料として、Fe元素含有量が100ppm以下である一般式M3N2で表記されるII族元素の窒化物(但し、M元素はMg、Ca、Sr、Ba、Znから選択される少なくとも1種以上の元素である。)を用いることを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の製造方法。 - 請求項6に記載の窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の製造方法であって、
2N以上、且つFe含有量が100ppm以下の金属単体を、窒素雰囲気またはアンモニア雰囲気中で300℃以上の温度で窒化して、前記II族元素の窒化物を製造することを特徴とする窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体と、所定波長の光を発光する発光部とを有し、
上記所定波長の光の一部を励起源とし、上記窒化物蛍光体または酸窒化物蛍光体を上記所定波長と異なる波長で発光させることを特徴とする発光装置。 - 請求項8に記載の発光装置であって、
上記所定波長が300〜550nmの波長であることを特徴とする発光装置。
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