JP2020012010A - 赤色蛍光体及び発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、輝度の優れた赤色蛍光体を提供することを目的とする。さらに、その赤色蛍光体を用いた、高輝度の発光部材及び発光装置を提供することを目的とする。【解決手段】赤色蛍光体を、主結晶相がCaAlSiN3と同一の結晶構造を有する、一般式がMAlSiN3で示される蛍光体であり、前記一般式中のMは、Eu、Sr、Mg、Ca、Baの中から選ばれる、EuとSrを必須とする少なくとも2種以上の元素からなる元素群であり、Eu含有率が0.5質量%以上6.0質量%以下、Sr含有率が40質量%以上50質量%以下、Ca含有率が0.7質量%以下である赤色蛍光体とする。【選択図】なし
Description
本発明は、赤色蛍光体、及び前記赤色蛍光体を用いた発光部材及び発光装置に関する。より詳しくは、LED(発光ダイオードともいう)又はLD(レーザーダイオードともいう)向けに好ましく用いることができる、輝度の高い赤色蛍光体、及び前記赤色蛍光体を用いた発光部材及び発光装置に関する。
白色LEDは、半導体発光素子と蛍光体との組み合わせにより疑似白色光を発光するデバイスであり、その代表的な例として、青色LEDとYAG黄色蛍光体の組み合わせが知られている。しかし、この方式の白色LEDは、その色度座標値としては白色領域に入るものの、赤色発光成分が不足しているために、照明用途では演色性が低く、液晶バックライトのような画像表示装置では色再現性が悪いという問題がある。そこで、不足している赤色発光成分を補うために、特許文献1にはYAG蛍光体とともに、赤色を発光する窒化物又は酸窒化物蛍光体を併用することが提案されている。
赤色を発光する窒化物蛍光体として、CaAlSiN3(一般にCASNとも記載される)と同一の結晶構造を有する無機化合物を母体結晶として、これに例えばEu2+などの光学活性な元素で付活したものが知られている。特許文献2には、CASNの母体結晶をEu2+で付活して蛍光体としたもの(即ちEu付活CASN蛍光体)は、高輝度で発光すると記載されている。CASN蛍光体の発光色は、赤色領域でも、より長い波長側のスペクトル成分を多く含むため、高く深みのある演色性を実現できる反面、視感度の低いスペクトル成分も多くなるため、白色LED用としては、よりいっそうの輝度向上が求められている。
さらに特許文献2には、前記CaAlSiN3のCaの一部を、さらにSrで置換した(Sr,Ca)AlSiN3とも記される母体結晶(一般にSCASNとも記載される)を、Eu2+で付活した蛍光体(即ちEu付活SCASN蛍光体)が得られることが記載されている。このEu付活SCASN蛍光体は、同CASN蛍光体よりも、光ピーク波長が短波長側にシフトして、視感度が高い領域のスペクトル成分が増えることから、高輝度白色LED用の赤色蛍光体として有望とされている。
但しSCASN蛍光体の場合は、特許文献3の記載に見られるように、St含有率が40質量%以上になると輝度が低下し、単純にCaのSrによる置換えを進めても、輝度が上がるわけではないという課題があり、白色LED用として使用できる特性をさらに向上させた赤色蛍光体は得られてなかった。
そのため、業界では高い輝度の発光部材及び発光装置を提供するために、高輝度の赤色蛍光体の開発が期待されていた。なお本明細書では、CASNと同一の結晶構造を有する無機化合物をCASN系と記載する。また本発明の赤色蛍光体は、CASNと同一の結晶構造だが、Caを全てSrで置き換えた結果、Caを含まない母体結晶の蛍光体も含んでいるが、このような場合も便宜的にCASN系に含まれるとする。
本発明は、輝度の優れた赤色蛍光体を提供することを目的とする。さらに、その赤色蛍光体を用いることにより、高輝度の発光部材及び発光装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、CASNと同一の結晶構造を有する無機化合物を母体結晶とするCASN系の蛍光体において、これを構成する元素の特定、及び特定された元素のうちEu含有率、Sr含有率、及びCa含有率を特定の組成範囲に規定すると、蛍光体の輝度が極めて高まることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
すなわち本発明は、
(1)主結晶相がCaAlSiN3と同一の結晶構造を有する、一般式がMAlSiN3で示される蛍光体であり、前記一般式中のMは、Eu、Sr、Mg、Ca、Baの中から選ばれる、EuとSrを必須とする少なくとも2種以上の元素からなる元素群であり、Eu含有率が0.5質量%以上6.0質量%以下、Sr含有率が40質量%以上50質量%以下、Ca含有率が0.7質量%以下である赤色蛍光体である。
(2)前記一般式中のMが、Eu、Sr、Caからなる元素群である、前記(1)記載の赤色蛍光体であることが好ましい。
(3)半導体発光素子を、前記(1)または(2)記載の赤色蛍光体を含む封止材で封止している発光部材である。
(4)前記(3)記載の発光部材を有する発光装置である。
(1)主結晶相がCaAlSiN3と同一の結晶構造を有する、一般式がMAlSiN3で示される蛍光体であり、前記一般式中のMは、Eu、Sr、Mg、Ca、Baの中から選ばれる、EuとSrを必須とする少なくとも2種以上の元素からなる元素群であり、Eu含有率が0.5質量%以上6.0質量%以下、Sr含有率が40質量%以上50質量%以下、Ca含有率が0.7質量%以下である赤色蛍光体である。
(2)前記一般式中のMが、Eu、Sr、Caからなる元素群である、前記(1)記載の赤色蛍光体であることが好ましい。
(3)半導体発光素子を、前記(1)または(2)記載の赤色蛍光体を含む封止材で封止している発光部材である。
(4)前記(3)記載の発光部材を有する発光装置である。
本発明によれば、輝度の高いCASN系の蛍光体を提供することができ、LEDなどの発光光源と組み合わせることで高輝度な発光素子を提供することができる。また、本発明によれば、発光素子と、発光素子を収納する器具とを有する発光装置と提供することができる。発光装置としては、例えば照明装置、バックライト装置、画像表示装置及び信号装置が挙げられる。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
本発明の赤色蛍光体は、主結晶相がCaAlSiN3と同一の結晶構造を有する、一般式がMAlSiN3で示される蛍光体である。蛍光体の主結晶相がCaAlSiN3結晶と同一の結晶構造であるか否かは、粉末X線回折により確認できる。結晶構造がCaAlSiN3と異なる場合、発光色が赤色でなくなったり、輝度が大きく低下したりするので好ましくない。従って、本発明の赤色蛍光体は、前記主結晶相以外の結晶相(異相ともいう)がなるべく混入してない単相であることが好ましいが、蛍光体特性に大きな影響がない限りにおいては、異相を含んでいても構わない。
前記一般式MAlSiN3中のMは、Eu、Sr、Mg、Ca、Baの中から選ばれる、EuとSrを必須とする少なくとも2種以上の元素からなる元素群である。なお、前記一般式におけるMには、原子の個数を表す添字が付されてないが、必ずしも1を示すものではない。
また本発明の赤色蛍光体では、Eu含有率が0.5質量%以上6.0質量%以下、Sr含有率が40質量%以上50質量%以下、またCa含有率が0.7質量%以下である。
Euは蛍光体の発光を担う原子、即ち発光中心であるから、含有率が極端に少ないと蛍光体としての機能を発揮できない。しかしながら、本発明で規定した範囲を超えてEuの含有率が高くなりすぎると、Eu原子間のエネルギー伝達による、蛍光体の濃度消光として知られている損失現象が起こるため、逆に蛍光体の輝度が低下する傾向が見られる。また、Sr含有率が40質量%未満の領域になると、現象面では発光スペクトルのブロード化に伴い蛍光体の輝度も低下し、50質量%を超えると、主結晶相がCaAlSiN3と同一の結晶構造以外の異相の割合が増えてくるため好ましくない。なお本発明の赤色蛍光体においては、Caは必須の成分ではないため、その下限値は規定してない。但し、蛍光体原料としてCaの化合物を用いない場合であっても、原料中の不純物に由来する不可避的なCaとして数〜数十ppm、即ち0を超えるCaを含む場合もあり、また、例えば安定焼成のために、蛍光体原料としてCaの化合物を用いる場合、蛍光体中のCa含有率が0.7質量%以下ならば蛍光体特性への影響は少ないが、0.7質量%を超えると、発光スペクトルのブロード化に伴う蛍光体の輝度低下が著しくなるため、Ca含有率は0.7質量%以下となるように抑える必要がある。
なお、本発明の赤色蛍光体では特に規定してないが、不可避成分として酸素(O)が微量検出されることもあるが、蛍光体としての特性を損なわない限り特に問題にはならず、本発明の赤色蛍光体においては、結晶構造を維持しながら全体として電気的中性が保たれるようにM元素の含有率、Si/Al比、N/O比などが調整される。
また、本発明の赤色蛍光体は微粒子として用いられるが、そのメジアン径(d50とも記載する)があまりに小さいと蛍光輝度が低くなる傾向にあり、あまりに大きいとLEDの発光面へ蛍光体の搭載した際の発光色の色度にバラツキが生じたり発光色の色むらが生じたりする傾向にあるため、d50は5μm以上35μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。なお、前記d50は、JISR1622及びR1629に準じて、レーザー回折散乱法で測定した体積平均径より算出した値である。
さらに本発明の赤色蛍光体は、レーザー回折散乱法に測定した粒子径分布における10体積%径(d10とも記載する)が4μm以上であり、90体積%径(d90とも記載する)が55μm以下であることが好ましい。
前記d10が4μmよりも小さな微細な粒子は可視光を散乱しやすく、蛍光体全体の励起効率低下を促進させる傾向がある。一方、前記d90が55μmより大きな粒子の蛍光体は、LEDに用いる封止樹脂中への分散や、他の種類の蛍光体との混合が不均一になり、LEDの色度バラツキや照射面の色むら発生の原因になる可能性がある。なお、粒子径の分布、即ちd10、d50、d90の値は、焼成温度や時間を変えることで調整することができる。
本発明の赤色蛍光体の製造方法には特に限定はなく、従来のCASN系の蛍光体と同様の製造方法を用いてこれを得ることができる。以下に、蛍光体を構成する元素の供給源となる、各種無機化合物の粉末を混合した状態で含む原料混合物を、窒素雰囲気中において、所定の温度条件で焼成する、本発明蛍光体の製造方法を例示する。
この製造方法では、原料として、蛍光体を構成する元素の窒化物、即ち窒化カルシウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ストロンチウム、窒化ユーロピウムの粉末が好適に使用されるが、酸化物を使用することも可能である。例えば、蛍光体中の含有率が非常に少ないユーロピウム源として、窒化ユーロピウムよりも入手が容易な酸化ユーロピウムの粉末を使用しても構わない。
前記原料を混合する方法は特に限定されないが、特に空気中の水分及び酸素と激しく反応する窒化カルシウム、窒化ストロンチウム、窒化ユーロピウムは、不活性雰囲気で置換されたグローブボックス内で扱うようにして原料混合粉末となし、さらに原料混合粉末の焼成容器への充填もグローブボックス内で実施するのが適切である。
なお、前記焼成容器は、高温の窒素雰囲気下において安定で、原料混合粉末及びその反応生成物と反応しにくい材質で構成されることが好ましく、窒化ホウ素製、例えばモリブデン、タンタル、タングステンなどの高融点金属製、カーボン製などの容器が挙げられる。また、焼成容器は蓋付きの容器が好ましい。
グローブボックスから原料混合粉末を充填した焼成容器を取り出したら、速やかに焼成炉内にセットして焼成を開始することが好ましく、その後、窒素雰囲気中で1600℃以上2000℃以下の条件で原料混合粉末を焼成する。焼成温度が1600℃より低いと未反応残存量が多くなり、2000℃を超えるとCaAlSiN3と同一結晶構造の主相が分解するので好ましくない。
本発明では原料混合粉末の焼成時間は規定しないが、未反応物が多く存在したり、粒成長不足であったり、或いは生産性の低下という不都合が生じない焼成時間の範囲が適宜選択され、一般的には2時間以上24時間以下であることが好ましい。
原料混合粉末を焼成する雰囲気の圧力は、焼成温度に応じて設定される。即ち、本発明の赤色蛍光体は、約1800℃までの温度では大気圧で安定して存在することができるが、これ以上の温度では焼成物である蛍光体の分解を抑制するために加圧雰囲気にする必要がある。雰囲気圧力は高く設定するほど、蛍光体の分解温度も高くできるが、工業的生産性を考慮すると1MPa未満とすることが好ましい。
焼成により得られる本発明の赤色蛍光体の状態は、原料配合や焼成条件によって、粉体状、塊状、焼結体と様々である。実際の発光装置に用いる発光部材としての蛍光体として使用する場合には、解砕、粉砕及び/又は分級操作を組み合わせて、蛍光体を所定のサイズの粉末にする。LED用蛍光体として好適に使用する場合には、蛍光体の平均粒径が5〜35μmとなるように調整することが好ましい。
また本発明の赤色蛍光体の製造にあっては、蛍光体中の不純物を除去する目的で酸処理を実施したり、蛍光体の結晶性を向上する目的でアニール処理をさらに実施しても良い。
本発明の赤色蛍光体は、半導体発光素子を、本発明の赤色蛍光体を含む封止材で封止している発光部材に使用することができ、前記発光部材及び前記発光部材を有する発光装置も、それぞれ本発明の一実施形態である。なお、本発明の赤色蛍光体は、350nm以上500nm以下の波長を含有する紫外光や可視光を照射することにより励起されて、波長605nm以上650nm以下の波長領域にピークのある蛍光を発する特性を有するため、前記半導体発光素子としては、紫外LEDまたは青色LEDが好ましく用いられる。また本発明の赤色蛍光体を含む封止材に、必要に応じてさらに緑〜黄色を発する蛍光体及び/又は青色蛍光体を加えることにより、全体として白色光が得られるようになる。
本発明をさらに実施例を示し、詳細に説明する。但し、本発明は実施例に示した内容のみに限定されるものではない。
(実施例1)
以下に実施例1で示す本発明蛍光体の製造方法、評価方法について、具体的に説明する。なお、実施例1の蛍光体は、原料の混合工程、焼成工程及び酸処理工程を経ることによって製造されたものである。
以下に実施例1で示す本発明蛍光体の製造方法、評価方法について、具体的に説明する。なお、実施例1の蛍光体は、原料の混合工程、焼成工程及び酸処理工程を経ることによって製造されたものである。
(製造方法)
実施例1の蛍光体の原料として、α型窒化ケイ素粉末(Si3N4、SN−E10グレード、宇部興産社製)64.1g、窒化カルシウム粉末(Ca3N2、Materion社製)1.0g、窒化ストロンチウム粉末(Sr3N2、純度2N、高純度化学研究所社製)126.4g、窒化アルミニウム粉末(AlN、Eグレード、トクヤマ社製)56.1g、酸化ユーロピウム粉末(Eu2O3、RUグレード、信越化学工業社製)2.4gを予め予備混合し、次いで水分が1質量ppm以下、酸素分が1質量ppm以下である窒素雰囲気に保持したグローブボックス中でCa3N2、Sr3N2をさらに加えて乾式混合し、原料混合粉末を得た。この原料混合粉末250gを、タングステン製の蓋付き容器に充填した。
実施例1の蛍光体の原料として、α型窒化ケイ素粉末(Si3N4、SN−E10グレード、宇部興産社製)64.1g、窒化カルシウム粉末(Ca3N2、Materion社製)1.0g、窒化ストロンチウム粉末(Sr3N2、純度2N、高純度化学研究所社製)126.4g、窒化アルミニウム粉末(AlN、Eグレード、トクヤマ社製)56.1g、酸化ユーロピウム粉末(Eu2O3、RUグレード、信越化学工業社製)2.4gを予め予備混合し、次いで水分が1質量ppm以下、酸素分が1質量ppm以下である窒素雰囲気に保持したグローブボックス中でCa3N2、Sr3N2をさらに加えて乾式混合し、原料混合粉末を得た。この原料混合粉末250gを、タングステン製の蓋付き容器に充填した。
原料混合粉末を充填した容器を、グローブボックスから取出し、カーボンヒーターを備えた電気炉内に速やかにセットして、炉内を0.1Pa以下まで十分に真空排気した。真空排気を継続したまま加熱を開始し、600℃到達後からは炉内に窒素ガスを導入し、炉内雰囲気圧力を0.9MPaとした。窒素ガスの導入開始後も1950℃まで昇温を続け、この焼成の保持温度で8時間の焼成を行い、その後加熱を終了して冷却させた。
室温まで冷却した後、容器から回収された赤色の塊状物は乳鉢で解砕して、最終的に目開き75μmの篩を通過した粉末を得た。
前記篩を通過した粉末は、粉末濃度が25質量%となる2.0Mの塩酸中に1時間浸し、さらに攪拌しながら1時間煮沸する酸処理を実施した。その後、約25℃の室温で粉末と塩酸液とを分離してから、100℃〜120℃の乾燥機中で12時間乾燥し、乾燥後の粉末を目開き150μmの篩で分級した。篩を通過した粉末は、アルミナルツボに入れて、大気中、昇温速度10℃/minで昇温し、400℃で4時間アニール処理し、実施例1の蛍光体を得た。
(結晶構造の確認)
得られた実施例1の蛍光体は、X線回折装置(株式会社リガク製UltimaIV)を用い、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンによりその結晶構造を確認した。この結果、得られた実施例1の蛍光体の粉末X線回折パターンには、CaAlSiN3結晶と同一の回折パターンが認められた。
得られた実施例1の蛍光体は、X線回折装置(株式会社リガク製UltimaIV)を用い、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンによりその結晶構造を確認した。この結果、得られた実施例1の蛍光体の粉末X線回折パターンには、CaAlSiN3結晶と同一の回折パターンが認められた。
(Eu、Sr、Caの定量分析)
得られた実施例1の蛍光体中のEu、Sr、Ca含有率は、加圧酸分解法により前記蛍光体を溶解させた後、ICP発光分光分析装置(株式会社リガク製、CIROS−120)を用いて定量分析した。その結果、実施例1の蛍光体中のEu含有率は0.88質量%、Sr含有率は44.4質量%、Ca含有率は0.45質量%であった。
得られた実施例1の蛍光体中のEu、Sr、Ca含有率は、加圧酸分解法により前記蛍光体を溶解させた後、ICP発光分光分析装置(株式会社リガク製、CIROS−120)を用いて定量分析した。その結果、実施例1の蛍光体中のEu含有率は0.88質量%、Sr含有率は44.4質量%、Ca含有率は0.45質量%であった。
(粒子径の測定)
実施例1の蛍光体の粒子径分布を、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式が社製マイクロトラックMT3000II)を用いたレーザー回折・散乱法により測定した。
その結果、実施例1の蛍光体のd10は10μm、d50は17μm、d90は30μmであった。
実施例1の蛍光体の粒子径分布を、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式が社製マイクロトラックMT3000II)を用いたレーザー回折・散乱法により測定した。
その結果、実施例1の蛍光体のd10は10μm、d50は17μm、d90は30μmであった。
(蛍光特性の評価)
実施例1の蛍光体の蛍光特性は、ローダミンBと副標準光源により補正した分光蛍光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、F−7000)を用いて評価した。測定には、光度計に付属の固体試料ホルダーを使用し、励起波長455nmでの蛍光スペクトルを求めた。この結果、実施例1の蛍光体が発した蛍光スペクトルのピーク波長は616nmであった。なお蛍光体の輝度は、測定装置や条件によって変化するため、実施例1の蛍光スペクトルのピーク強度の値を100%として、他の実施例、比較例の評価基準とした。本発明では、蛍光スペクトルのピーク強度の値が95%以上であれば、本発明の目的である輝度を満たすと判定した。
実施例1の蛍光体の蛍光特性は、ローダミンBと副標準光源により補正した分光蛍光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、F−7000)を用いて評価した。測定には、光度計に付属の固体試料ホルダーを使用し、励起波長455nmでの蛍光スペクトルを求めた。この結果、実施例1の蛍光体が発した蛍光スペクトルのピーク波長は616nmであった。なお蛍光体の輝度は、測定装置や条件によって変化するため、実施例1の蛍光スペクトルのピーク強度の値を100%として、他の実施例、比較例の評価基準とした。本発明では、蛍光スペクトルのピーク強度の値が95%以上であれば、本発明の目的である輝度を満たすと判定した。
実施例1の蛍光体のEu、Sr、Ca含有率、d10、d50、d90の粒子径、蛍光スペクトルのピーク波長、及びピーク強度(実施例1を基準とする相対値)を以下に示す表1にまとめた。
(実施例2〜16、比較例1〜4)
実施例1と同じ原料粉末を使用し、蛍光体中のEu、Sr、Ca含有率を変えた以外は、実施例1と同じ製造条件で、実施例2〜16、比較例1〜4の蛍光体の粉末を作製した。
実施例1と同じ原料粉末を使用し、蛍光体中のEu、Sr、Ca含有率を変えた以外は、実施例1と同じ製造条件で、実施例2〜16、比較例1〜4の蛍光体の粉末を作製した。
(実施例17)
実施例17は、焼成の保持温度を1850℃として8時間焼成したこと以外は実施例1と同じ条件で作製した。
実施例17は、焼成の保持温度を1850℃として8時間焼成したこと以外は実施例1と同じ条件で作製した。
(実施例18)
実施例18は、焼成の保持温度を1950℃として20時間焼成したこと以外は実施例1と同じ条件で作製した。
実施例18は、焼成の保持温度を1950℃として20時間焼成したこと以外は実施例1と同じ条件で作製した。
実施例2〜18、及び比較例1〜4の蛍光体についても、実施例1と同じ方法で、それぞれのEu、Sr、Ca含有率、d10、d50、d90の各粒子径、ピーク波長及びピーク強度の値(相対値)を求めた。これらの結果は、実施例1の結果と合わせて表1に示した。なお、実施例9〜16の蛍光体は、原料にCaを含む化合物を用いなかったが、原料中の不純物に由来すると思われる数〜数十ppmのCaを含んでいた。
表1に示される実施例、比較例の結果から、蛍光体中のEu、Sr、Ca含有率を特定の範囲に規定した本発明の赤色蛍光体は、蛍光ピーク強度が相対的に高いことが判る。
本発明のCASN系の蛍光体は、青色光により励起され、高輝度の赤色発光を示すことから、青色光を光源とする白色LED用蛍光体として好適に使用できるものであり、照明器具、画像表示装置などの発光装置に好適に使用できる。
Claims (4)
- 主結晶相がCaAlSiN3と同一の結晶構造を有する、一般式がMAlSiN3で示される蛍光体であり、前記一般式中のMは、Eu、Sr、Mg、Ca、Baの中から選ばれる、EuとSrを必須とする少なくとも2種以上の元素からなる元素群であり、Eu含有率が0.5質量%以上6.0質量%以下、Sr含有率が40質量%以上50質量%以下、Ca含有率が0.7質量%以下である赤色蛍光体。
- 一般式中のMが、Eu、Sr、Caからなる元素群である、請求項1記載の赤色蛍光体。
- 半導体発光素子を、請求項1または2記載の赤色蛍光体を含む封止材で封止している発光部材。
- 請求項3記載の発光部材を有する発光装置。
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WO (1) | WO2018092696A1 (ja) |
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