JP2017179187A - 赤色蛍光体及び発光装置 - Google Patents

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雄介 武田
Yusuke Takeda
雄介 武田
亮治 稲葉
Ryoji Inaba
亮治 稲葉
小林 学
Manabu Kobayashi
学 小林
良三 野々垣
Ryozo Nonogaki
良三 野々垣
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Abstract

【課題】一般式:EuaSrbCacAldSieNfOgの高輝度の赤色蛍光体、及び製造方法を提供するとともに、これらを使用した発光素子を提供する。【解決手段】全結晶相を合計した化学組成が、一般式:EuaSrbCacAldSieNfOg(ただし、0.0001≦a≦0.1、0.85≦a+b+c≦1、d+e=2、2.5≦f≦3.5、0.1≦g≦0.25)で示され、波長455nmの励起光による蛍光スペクトルのピーク波長が、600nm以上655nm以下であり、前記ピーク波長の光照射に対する拡散反射率が、85%以上であり、かつ波長700〜800nmの光照射に対する平均拡散反射率が、90%以上である蛍光体を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、LED(Light Emitting Diode)又はLD(Laser Diode)用の蛍光体、この蛍光体を用いた発光装置に関する。
近年、青色LEDが開発されたことにより、例えば、青色LEDと、前記青色LEDが発する青色光を吸収して緑色光を発する蛍光体及び赤色光を発する蛍光体とを組み合わせて構成した、白色LEDの開発が精力的に進められている。蛍光体の発光特性は、白色LEDの特性を大きく左右する重要な技術的要素のひとつとなっている。
特許文献1には、白色LEDの赤色成分を補うために、YAG蛍光体とともに、赤色の窒化物及び酸窒化物蛍光体を併用した発光装置が開示されている。また特許文献2には、赤色発光する代表的な蛍光体として、Eu2+付活したCaAlSiN系窒化物蛍光体が開示されている。
一方、Eu2+付活したCaAlSiN系窒化物蛍光体のCaの一部をSrに置き換えた(Sr,Ca)AlSiN系窒化物蛍光体は、CaAlSiN系窒化物蛍光体よりも発光波長が短く、発光色の視感度が高いことから、高輝度白色LED用の赤色蛍光体として有効である。
特開2004−071726号公報 WO2005/052087A1 国際公開パンフレット
青色LEDのような半導体発光素子と、蛍光体との組み合わせで白色光を発光する白色LEDの改良課題のひとつとして、前記白色LEDの高輝度化が挙げられる。このため、白色LEDの主要な構成要素である赤色蛍光体においても、従来よりも発光効率が高く、輝度の高い蛍光体が求められている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、Eu、Sr、Ca、Al、Si、N、Oを含む赤色蛍光体において、波長455nmの励起光による蛍光スペクトルのピーク波長、特定波長の光に対する拡散反射率の最低値及び、特定波長範囲の光に対する平均拡散反射率の最低値を規定することにより、発光効率が高くなり輝度が向上することを見出し、本発明に至ったものである。また、前記本発明の蛍光体は、主結晶相が、(Sr,Ca)AlSiNとすること、蛍光体中の酸素含有割合を一定範囲に規定すること、蛍光体表面には、主結晶相とは異なる化学組成の表面層を有するとすること、前記表面層の化学組成を規定することが好ましいことを見出したことにより、本発明に到ったものである。また併せて、前記本発明の蛍光体の製造方法、並びに本発明の蛍光体を含む発光装置の発明にも到ったものである。
即ち本発明は、全結晶相を合計した化学組成が、一般式:EuSrCaAlSi(ただし、0.0001≦a≦0.1、0.85≦a+b+c≦1、d+e=2、2.5≦f≦3.5、0.1≦g≦0.25)で示され、波長455nmの励起光による蛍光スペクトルのピーク波長が600nm以上655nm以下であり、前記ピーク波長の光照射に対する拡散反射率が85%以上であり、かつ波長700〜800nmの光照射に対する平均拡散反射率が90%以上である蛍光体である。
さらに本発明は、前記本発明の蛍光体は、主結晶相が、(Sr,Ca)AlSiN結晶と同一の構造であること、蛍光体表面に、前記蛍光体の主結晶相とは異なる、Sr、Ca、Al、Siから選ばれる一種以上の元素の酸化物及び/または水酸化物の表面層を有すること、さらに前記蛍光体中の酸素含有割合が、1.40質量%以上3.00質量%以下であることが、蛍光体の輝度向上に好ましいことを見出した発明である。
さらに本発明は、蛍光体の原料混合物を準備する準備工程と、前記準備工程で得られた原料混合物を焼成する焼成工程と、前記焼成工程後に得た焼成体を、酸性液に接触させ、その後酸性液を分離して蛍光体を得る酸処理工程とを含み、酸処理工程前の前記焼成体中の酸素含有割合(Mb)に対する、酸処理工程後の前記蛍光体中の酸素含有割合(Ma)の比、即ちMa/Mbの値を、1.2以上4.0以下とする、本発明の蛍光体の製造方法である。
なお、本発明の蛍光体の製造方法においては、酸処理工程が、焼成工程後に得た焼成体を、0℃以上、大気圧下で沸騰状態となる温度以下の酸性液に接触させた後、酸性液を分離する工程であることが好ましく、また酸処理工程の後に得た蛍光体を、350℃以上1000℃以下で加熱する加熱処理工程をさらに含むことが好ましい。
さらに他の観点からの本発明は、発光素子と本発明の蛍光体とを含む発光装置である。
本発明の実施より、発光輝度の高い赤色蛍光体とその製造方法を提供することができ、前記赤色蛍光体を用いた高輝度な発光装置を提供することができる。その結果、さらに前記発光装置を有する各種の応用機器、即ち照明装置、バックライト装置、画像表示装置及び信号装置などを提供することができる。
本発明は、全結晶相を合計した化学組成が、一般式:EuSrCaAlSi(ただし、0.0001≦a≦0.1、0.85≦a+b+c≦1、d+e=2、2.5≦f≦3.5、0.1≦g≦0.25)で示され、波長455nmの励起光による蛍光スペクトルのピーク波長が、600nm以上655nm以下であり、前記ピーク波長の光照射に対する拡散反射率が85%以上であり、かつ波長700〜800nmの光照射に対する平均拡散反射率が90%以上である蛍光体である。
本発明の蛍光体に関する前記一般式において、Euはユーロピウム、Srはストロンチウム、Caはカルシウム、Alはアルミニウム、Siはシリコン、Nは窒素、Oは酸素の各元素を示している。また各元素記号の添字a〜gは、各元素の数的関係を示す値である。なおEuは、蛍光体として特に発光を担う元素である。従って一般式中のEuの添字a(以下a、他の添字も同様に記す)が小さいと十分な発光ピーク強度が得られず、但しaが過度に大きくなると、逆に濃度消光と呼ばれる現象が優勢となり発光ピーク強度が低下する傾向がある。従って、一般式中のaは0.0001以上0.1以下であり、0.01以上0.03以下であることが好ましい。また一般式のbやcに関して、それぞれ単独での数値範囲の規定はないが、a、b、cは、0.85≦a+b+c≦1の関係を満たすことが必要である。a+b+cの合計値が0.85未満であると、本発明の蛍光体を構成するための元素が不足することを意味し、本発明の蛍光体を得ることはできない。またa+b+cの合計値が1を越えると、本発明の蛍光体以外も多く含むことを意味するため本発明の特性を有する蛍光体は得られない。さらに一般式のdやeに関しても、それぞれ単独での数値範囲の規定はないが、d+e=2の関係を満たすことが必要である。d+e=2を満たさないと、本発明の特性を有する蛍光体を得ることが困難である。また一般式のfは2.5以上3.5以下であり、好ましくは2.7以上3.0以下である。また一般式のgは0.1以上0.25以下である。fの値が2.5未満や3.0を越えると高輝度の蛍光体が得られない。
また本発明の蛍光体では、波長455nmの励起光による蛍光スペクトルのピーク波長が、600nm以上655nm以下である。蛍光スペクトルのピーク波長が600nm未満では光が黄色みを帯びるようになり、逆に655nmを越えると光が暗赤色を帯び、視感度が低い赤色蛍光体となる傾向にあるため、赤色蛍光体としての機能を発揮することができない。さらに、本発明の蛍光体では、前記ピーク波長の光照射に対する拡散反射率は、85%以上である。さらに、本発明の蛍光体では、700〜800nmの光照射に対する平均拡散反射率は、90%以上である。拡散反射率の値が100%を越えることはないが、前記ピーク波長の光照射に対する拡散反射率が85%未満であったり、700〜800nmの光照射に対する平均拡散反射率が、90%未満であると、本発明の目的である高輝度の蛍光体を得ることはできない。
本発明の蛍光体の主結晶相は(Sr,Ca)AlSiN結晶と同一の構造であることが好ましい。なお、主結晶相が(Sr,Ca)AlSiN結晶と同一の構造であることは、粉末X線回折測定により確認することができ、即ち、蛍光体の示す粉末X線回折スペクトルのピークパターンが、(Sr,Ca)AlSiN結晶のピークパターンと概ね一致することから判別することができる。本発明の蛍光体の結晶相は、全て前記(Sr,Ca)AlSiN結晶と同一の構造であることが好ましいが、蛍光体特性に本発明の効果発現に大きい影響がない限り、前記主結晶相とは異なる結晶相(以降、異相ともいう)を含んでいても構わない。その場合には、蛍光体の前記粉末X線回折スペクトル中に、異相に由来するピークが出現することがある。異相の含有割合の目安として、蛍光体の主結晶相が示す粉末X線回折スペクトルの最も強い(即ち、ベースラインからの高さが最も高い)ピークに対し、異相に由来するピークの高さは10%以下であることが好ましい。蛍光特性への影響が低い異相としては、例えば、(Ca,Sr)Siや(Ca,Sr)(Si,Al)(N,O)の一般式で示される相、αサイアロン、AlNなどが挙げられる。
また本発明では、蛍光体の表面に、主結晶相とは異なる、Sr、Ca、Al、Siから選ばれる一種以上の元素の酸化物及び/または水酸化物の表面層を有することが好ましい。前記表面層は、蛍光体の主結晶や異相の表面欠陥の存在に起因する輝度の低下を緩和させる効果をもたらすと考えられる。
なお本発明の蛍光体では、前記酸素含有割合が、1.40質量%以上3.00質量%以下であることが好ましい。酸素は、例えば蛍光体原料の不純物や、焼成時の雰囲気中に極く微量含まれる酸素ガス等に由来する元素であるが、酸素含有割合が全体の1.40質量%未満であると表面層が少なく、3.00質量%を越えると表面層が過多となり逆に発光輝度が低下する傾向がある。
また本発明は、蛍光体の原料混合物を準備する準備工程と、前記準備工程で得られた原料混合物を焼成する焼成工程と、前記焼成工程後に得た焼成体を、酸性液に接触させ、その後酸性液を分離して蛍光体を得る酸処理工程とを含み、酸処理工程前の前記焼成体中の酸素含有割合(Mb)に対する、酸処理工程後の前記蛍光体中の酸素含有割合(Ma)の比、即ちMa/Mbの値を、1.2以上4.0以下とする、本発明の蛍光体の製造方法である。
本発明の蛍光体の製造方法において、前記原料混合物中に含まれる蛍光体の原料は、本発明の蛍光体を構成する元素を含む化合物あるいは単体であれば、特に限定はないが、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ユーロピウム、窒化カルシウム及び窒化ストロンチウムを好ましく用いることができる。各原料は、それらの製造過程において微量不純物元素を含むことがあるが、酸素を除き特に蛍光体の特性に支障がないため、本発明の蛍光体の化学組成を示す一般式において、酸素以外の微量不純物元素は考慮してない。また蛍光体の各原料を混合する方法についても特に限定はないが、一般的には粉末状とした蛍光体原料を、例えばV型混合機などの公知の混合装置を好ましく用いて混合することができる。
本発明の蛍光体の製造方法において、原料混合物を焼成する方法は、特に限定はない。例えば、本発明の蛍光体の主結晶を(Sr,Ca)AlSiN結晶と同一の構造である主結晶とする場合には、原料混合物を焼成温度にて反応しない材質でできた接触面を有する焼成容器に充填し、1650℃以上2000℃以下の窒素雰囲気下で焼成する方法がある。前記の焼成容器は、高温の窒素雰囲気下において安定な材質で構成されることが好ましく、窒化ホウ素製、カーボン製、モリブデンやタンタルなどの高融点金属製などが挙げられる。このとき焼成温度が1650℃よりも低いと、(Sr,Ca)AlSiN結晶の結晶欠陥や未反応の原料混合物の残存量が多くなり、2000℃を超えると(Sr,Ca)AlSiN結晶と同一の構造である主結晶相が分解するので好ましくない。焼成する雰囲気の圧力は、焼成温度に応じて選択される。雰囲気圧力は高いほど、蛍光体の分解温度は高くなるが、工業的生産性を考慮すると1.00MPa未満とすることが好ましい。焼成時間は、未反応物が多く存在したり、粒成長不足であったり、或いは生産性の低下という不都合が生じない時間範囲が選択され、2〜24時間程度であることが好ましい。
本発明の蛍光体の製造方法にあっては、焼成工程後に得られる焼成体は微結晶が凝集したものであり、そのまま発光装置に用いるための蛍光体として用いるには形状が大きすぎることがあるため、酸処理工程の前に、さらに凝集した焼成体を粉砕処理し、焼成体の粒子の大きさを揃えておくことが好ましい。この場合、粉砕処理中の異物に由来する不純物元素の混入を防ぐため、蛍光体と接触する粉砕機器や容器類の素材は、窒化ケイ素、アルミナ、サイアロンといった高靭性セラミックスが好ましい。
本発明の蛍光体の製造方法にあっては、焼成工程後に得た焼成体を、さらに酸性液に接触させた後、酸性液を分離する酸処理工程を設ける。前記酸性液は水溶液であることが好ましく、酸性液との接触は、例えば、塩酸、蟻酸、酢酸、硫酸、硝酸の1種以上を含む酸性の水溶液中に蛍光体を分散させ、数分から数時間撹拌する方法が一般的である。酸性液の酸の濃度や、焼成体と酸性液とが接触する温度や処理時間に特に限定はないが、一般的には大気圧下で酸性液が凍結する温度以上から沸騰する温度以下の範囲である。例えば、大気圧下ではじめに0〜50℃の温度で数分から数時間撹拌し、その後、酸性液が沸騰する温度まで加温し、沸騰状態のままでさらに数分から数時間攪拌しながら維持してもよい。また、大気圧下で、50℃以上沸点温度以下の酸性液中に焼成体をはじめから投入し、そのまま数分から数時間攪拌しながら維持してもよい。なお酸性液の酸の濃度や焼成体と酸性液とが接触する温度や処理時間は、本発明の蛍光体の表面層形成に影響するが、本発明の蛍光体の使用目的などに応じて、適宜最適な条件を選択すればよい。例えば、蛍光体の表面層割合を増やしたい場合は、酸性液の酸の濃度及び処理温度を上げる方向で調整することができる。
但し、本発明の蛍光体の製造方法においては、酸処理工程前の前記粉末状焼成体中の酸素含有割合(Mb)に対する、酸処理工程後の前記蛍光体中の酸素含有割合(Ma)の比、即ちMa/Mbの値を、1.2以上4.0以下となるよう酸溶液の濃度と温度を調整することが必要である。Ma/Mbの値が1.2より小さいと十分な表面層が形成できず、4.0より大きいと表面層が多くなることを意味し、蛍光体の輝度が低下する要因となる。
本発明の蛍光体の製造方法にあっては、酸処理工程後に、本発明の蛍光体が得られるが、本発明の効果を妨げない限り、熱処理工程を設けることが好ましい。熱処理工程は、該蛍光体が分解しない条件であればよく、温度としては350℃以上1000℃以下であることが好ましい。熱処理によって、酸処理工程で形成した表面層をより緻密化することもでき、また、蛍光体表面に残存している不純物を除去することも可能である。
さらに本発明は、発光素子と、本発明の蛍光体とを含む発光装置である。
本発明の発光装置は、本発明の蛍光体の他、他の発光色の蛍光体と発光光源とを備える装置である。発光光源としては、紫外LED、青色LED、蛍光体ランプの単体又はこれらの組み合わせがある。使用する蛍光体の組み合わせにより発光装置からの発光色を白色や他の波長の色とすることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するため、実施例及び比較例を以下に記載する。但し、これら実施例の記載は、本発明の請求の範囲を限定するものではない。
蛍光体の原料混合物を準備する準備工程として、それぞれ目開き250μmのナイロン製篩で分級した、表1に示すα型窒化ケイ素粉末(デンカ社製、NP−400グレード、酸素含有割合1.0質量%)28.34質量%、窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、Fグレード、酸素含有割合0.6質量%)20.33質量%、及び酸化ユーロピウム粉末(信越化学工業社製、RUグレード)1.16質量%を配合し、さらにV型混合機で10分間混合してプレ混合物を得た。
V型混合機で混合した前記プレ混合物を、水分1ppm以下、酸素1ppm以下とした窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中に移動させ、そこでさらに、それぞれ目開き250μmのナイロン製篩で分級した 表1に示す窒化カルシウム粉末(高純度化学研究所社製、純度2N)2.72質量%、窒化ストロンチウム粉末(高純度化学研究所社製、純度2N)47.45質量%を追加配合して混合し、蛍光体の原料混合物を得た。さらに前記原料混合物を、蓋付きの円筒型窒化ホウ素製容器(デンカ社製、N−1グレード)に300g充填した。
蛍光体の原料混合物を充填した前記容器を、グローブボックスから取り出した後、カーボンヒーター付きの電気炉に速やかにセットし、焼成工程を実施した。焼成工程の開始にあっては、電気炉内を真空状態まで一旦脱ガスしたのち、25℃±5℃の室温から5℃/分の割合で昇温した。電気炉内の温度が500℃に到達して以降は、標準状態で流量5L/分の窒素ガスを炉内に導入しながら0.9MPaGの加圧窒素雰囲気とし、さらに加温を続けた。電気炉内の温度が1800℃に到達後は、4時間同温度を保ちながら焼成を続け、その後室温まで徐冷した。焼成工程で得られた焼成体は、緩く凝集した塊状であった。
前記の緩く凝集した塊状の焼成体は、ロールクラッシャーを用いて解砕し、さらに目開き150μmの篩で分級して、篩を通過した焼成体の粉末を採集した。
篩を通過した前記焼成体の粉末の酸素含有割合を、酸素窒素分析装置(堀場製作所社製、EMGA−920)を用いて測定した。測定は、焼成体サンプルを黒鉛ルツボに入れ、280℃(融解電圧0.5KW)で表面吸着物を除去し、その後2400℃(融解電圧5.5KW)まで昇温し、測定された酸素含有割合から、予め空の黒鉛ルツボで同条件で処理したバックグラウンド酸素含有割合を差し引き、前記焼成体中に含まれる酸素含有割合を得た。その結果、前記焼成体の粉末の酸素含有割合は0.74質量%であった。
前記焼成体の粉末を、大気圧下で表1に示したように、濃度0.5mol/l、温度80℃の塩酸水溶液に投入し1時間撹拌し、酸性液による処理を実施した。酸処理後、純水で洗浄しながら濾過を行い焼成体の粉末から酸処理液を分離した。さらに110±10℃の乾燥機中で12時間乾燥後、目開き150μmの篩で分級したものを、アルミナルツボに充填し、大気中、昇温速度10℃/分で昇温して、400℃で3時間加熱処理してから、室温になるまで放冷し、実施例1の蛍光体を得た。
Figure 2017179187
得られた実施例1の蛍光体について、X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス社製D8 ADVANCE)を用い、CuKα線を用いた粉末X線回折を行った。得られたX線回折パターンは、(Sr,Ca)AlSiN結晶相と、異相として微量のAlNの回折パターンが認められた。
また得られた実施例1の蛍光体の全結晶相を合計した化学組成(即ち、一般式:EuSrCaAlSig)の各元素の添字a〜fを求めるに当たっては、得られた蛍光体を以下の方法で分析することにより求めた。すなわち、Eu、Sr、Ca、Al及びSiについてはICP発光分光分析装置(リガク社製、CIROS−120)により、O及びNについては酸素窒素分析計(堀場製作所社製、EMGA−920)を用いた分析結果を用いて算出した。実施例1の蛍光体に関するa〜fの数値を表2に示す。
Figure 2017179187
得られた酸処理工程後の実施例1の蛍光体の酸素含有割合を、酸処理工程前と同様に測定した結果は表1に示したとおり酸素含有割合は1.60質量%であり、酸処理工程前の酸素含有割合との比(Ma/Mb)は2.2と算出された。
得られた実施例1の蛍光体の蛍光特性を、ローダミンBと副標準光源により補正を行った分光蛍光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、F−7000)を用いて測定した。測定に際して、蛍光体の励起波長は455nmとし、それにより発光した蛍光スペクトルを求めた。その結果、蛍光スペクトルのピーク波長は625nmであった。このピーク波長の値は表2に併せて記載した。
得られた実施例1の蛍光体の拡散反射率を、紫外可視分光光度計(日本分光社製、V−650)に積分球装置(日本分光社製、ISV−722)を取り付けた装置で測定した。標準反射板(ラブスフェア社製、スペクトラロン)でベースライン補正を行い、実施例1の蛍光体粉末を充填した試料ホルダーをセットし、500〜850nmの波長範囲の単波長の光を波長を変えながら照射し、各波長毎の拡散反射率を測定した。波長700〜800nm光照射に対する平均拡散反射率は92%であり、455nmの励起光の照射で観測された蛍光スペクトルの前記ピーク波長(即ち625nm)に光照射に対する拡散反射率は89%であった。これらの結果は、表2に併せて記載した。
得られた実施例1の蛍光体の輝度は、蛍光スペクトルと明所標準比視感度の積から算出した。なお、輝度は絶対値ではなく、実施例1で算出された輝度を100%として表2に記載した。
(実施例2〜5、比較例1〜4)
実施例1と同じ原料粉末を使用し、表1に示す配合比に変えて、表1に示す酸処理条件以外は実施例1と同じ条件で実施例2〜5、比較例1〜4の蛍光体粉末を作製した。なお実施例2〜5及び比較例1〜4で得られた蛍光体の組成、及び発光特性を実施例1の結果と合わせて表2に示した。なお輝度は、実施例1の値を100%とした場合の相対値で示した。
表2に示された結果の通り、本発明の蛍光体は、高輝度を発揮することが示された。また、本発明の蛍光体は、蛍光体の原料混合物を準備する準備工程と、前記準備工程で得られた原料混合物を焼成する焼成工程と、前記焼成工程後に得た焼成体を、酸性液に接触させ、その後酸性液を分離して蛍光体を得る酸処理工程とを含み、酸処理工程前の前記粉末状焼成体中の酸素含有割合(Mb)に対する、酸処理工程後の前記蛍光体中の酸素含有割合(Ma)の比、即ちMa/Mbの値を、1.2以上4.0以下とすることで製造することができることが示された。






























Claims (8)

  1. 全結晶相を合計した化学組成が、一般式:EuSrCaAlSig(ただし、0.0001≦a≦0.1、0.85≦a+b+c≦1、d+e=2、2.5≦f≦3.5、0.1≦g≦0.25)で示され、波長455nmの励起光による蛍光スペクトルのピーク波長が、600nm以上655nm以下であり、前記ピーク波長の光照射に対する拡散反射率が、85%以上であり、かつ波長700〜800nmの光照射に対する平均拡散反射率が、90%以上である蛍光体。
  2. 主結晶相が、(Sr,Ca)AlSiN結晶と同一の構造である、請求項1記載の蛍光体。
  3. 蛍光体表面に、主結晶相とは異なる、Sr、Ca、Al、Siから選ばれる一種以上の元素の酸化物及び/または水酸化物の表面層を有する、請求項2記載の蛍光体。
  4. 酸素含有割合が、1.40質量%以上3.00質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項記載の蛍光体。
  5. 蛍光体の原料混合物を準備する準備工程と、前記準備工程で得られた原料混合物を焼成する焼成工程と、前記焼成工程後に得た焼成体を、酸性液に接触させ、その後酸性液を分離して蛍光体を得る酸処理工程とを含み、酸処理工程前の前記粉末状焼成体中の酸素含有割合(Mb)に対する、酸処理工程後の前記蛍光体中の酸素含有割合(Ma)の比、即ちMa/Mbの値を、1.2以上4.0以下とする、請求項1〜4いずれか一項記載の蛍光体の製造方法。
  6. 酸処理工程が、焼成工程後に得た焼成体を、0℃以上、大気圧下で沸騰状態となる温度以下の酸性液に接触させた後、酸性液を分離する工程である、請求項5記載の蛍光体の製造方法。
  7. 酸処理工程の後に得た蛍光体を、350℃以上1000℃以下で加熱する加熱処理工程をさらに含む、請求項5または6記載の蛍光体の製造方法。
  8. 発光素子と、請求項1〜4いずれか一項記載の蛍光体とを含む発光装置。











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