JP2023082287A - 蛍光体粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の製法で得られるCASN系蛍光体と比べて、発光強度に優れるCASN系蛍光体を製造可能な、蛍光体粉末の製造方法を提供すること。【解決手段】本開示の一側面は、主結晶相がCaAlSiN3結晶相と同一の結晶構造を有し、一般式:(CaxSryEuz)AlSiN3で示され、上記一般式中、0<x<1、0≦y<1、0<z<1、及びx+y+z=1である、蛍光体粒子を含む、蛍光体粉末の製造方法であって、カルシウム源、アルミニウム源及び窒素源を含む混合粉末を加熱処理することによって、主結晶相がCaAlSiN3結晶相と同一の結晶構造を有する無機化合物を得る第一焼成工程と、上記無機化合物と、ユウロピウム源とを含む混合物を調製し、上記第一焼成工程における加熱処理の温度以下の温度で加熱処理することによって上記蛍光体粒子を得る第二焼成工程と、を備える、蛍光体粉末の製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本開示は、蛍光体粉末の製造方法に関する。
発光ダイオード等の発光素子を有する発光装置は、一般照明、液晶ディスプレイ用のバックライト、及びLEDディスプレイ等に使用されている。LEDディスプレイでは、例えば、青色に発光する発光素子と、発光素子からの一次光を吸収して、波長の異なる光とを発する波長変換体とを有する発光素子が用いられる。そして、波長変換体として、赤色蛍光体、及び緑色蛍光体等の各種蛍光体が用いられる。
赤色蛍光体としては、カズン(CASN)蛍光体、及びエスカズン(SCASN)蛍光体等のCASN系蛍光体が知られている(例えば、特許文献1等)。これらのCASN系蛍光体は、一般に、ユウロピウム酸化物又はユウロピウム窒化物と、カルシウム窒化物、ケイ素窒化物、及びアルミニウム窒化物と、を含む原料粉末を加熱することによって合成される。
国際公報第2005/052087号
本開示は、従来の製法で得られるCASN系蛍光体と比べて、発光強度に優れるCASN系蛍光体を製造可能な、蛍光体粉末の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一側面は、主結晶相がCaAlSiN結晶相と同一の結晶構造を有し、一般式:(CaSrEu)AlSiNで示され、上記一般式中、0<x<1、0≦y<1、0<z<1、及びx+y+z=1である、蛍光体粒子を含む、蛍光体粉末の製造方法であって、カルシウム源、アルミニウム源、及び窒素源を含む混合粉末を加熱処理することによって、主結晶相がCaAlSiN結晶相と同一の結晶構造を有する無機化合物を得る第一焼成工程と、上記無機化合物と、ユウロピウム源とを含む混合物を調製し、上記第一焼成工程における加熱処理の温度以下の温度で加熱処理することによって上記蛍光体粒子を得る第二焼成工程と、を備える、蛍光体粉末の製造方法を提供する。
上記蛍光体粉末の製造方法は、CASNと同一の結晶構造を有する無機化合物を予め調製し、当該無機化合物に対して、発光中心となるEu(ユウロピウム)を供給するユウロピウム源等を固相で配合し、加熱処理して、Euを上記無機化合物に対して固溶させることによって所望の蛍光体粒子を含む蛍光体粉末を得ることができる。こうして、得られる蛍光体粒子は、従前の製法によって得られるCASN系蛍光体に比べて、優れた発光強度を発揮し得る。このような効果が得られる理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推定する。まず、Euを固相で上記無機化合物中に事後的に固溶させる手段を採用することによって、第一焼成工程において、基本となる結晶構造を構成するために必要な元素以外の元素を極力減らすことができ、得られる蛍光体粉体における組成のバラつきが低減され得る。また第二焼成工程において、ユウロピウム源を固相で配合し、比較的低温で焼成することによって、第一焼成工程において調製した結晶構造を維持し、欠損等の発生を抑制した状態でユウロピウムの固溶をさせることができ、得られる蛍光体粉末において、励起光の発光に寄与しない吸収や散乱が抑制される結果、発光強度が向上するものと、本発明者らは推測している。
上記製造方法において、上記混合粉末が、ストロンチウム源を更に含み、上記無機化合物が固溶元素としてSrを有するものであってよい。ストロンチウムが固溶することによって、得られる蛍光体粉末の発光波長を短波長側にシフトすることが可能であることから、ヒト比視感度曲線と、当該蛍光体粉末の発光スペクトルとの重なりを増加させ、当該蛍光体粉末を用いた発光素子等の明るさをより向上させることができる。
上記第二焼成工程が、上記混合物を1350~1850℃で0.5~30.0時間、加熱処理する工程であってよい。
上記第二焼成工程が、不活性ガス雰囲気中で0.1MPa以上の圧力下で行われてよい。
本開示によれば、従来の製法で得られるCASN系蛍光体と比べて、発光強度に優れるCASN系蛍光体を製造可能な、蛍光体粉末の製造方法を提供できる。
図1は、視感度曲線とSCASN蛍光体の発光スペクトルとの関係を示す模式図である。
以下、本開示の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。
本明細書において例示する材料は特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
蛍光体粉末の製造方法の一実施形態は、主結晶相がCaAlSiN結晶相と同一の結晶構造を有し、一般式:(CaSrEu)AlSiNで示され、上記一般式中、0<x<1、0≦y<1、0<z<1、及びx+y+z=1である、蛍光体粒子を含む、蛍光体粉末の製造方法である。一般式:(CaSrEu)AlSiNにおいて、yの値の下限値は、0.01以上、0.02以上、0.04以上、又は0.06以上であってよく、yの値の上限値は、0.25以下、又は0.15以下であってよい。蛍光体粉末は、上記主結晶相に加えて、本発明の趣旨を損ねない範囲で異相を含んでもよい。蛍光体粉末は、蛍光体粒子の集合であることを示す。上記蛍光体粒子は、CASN蛍光体であってよく、SCASN蛍光体であってもよい。
蛍光体粒子の結晶構造は粉末X線回折法によって確認することができる。また蛍光体粒子の組成におけるCa(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Eu(ユウロピウム)、Al(アルミニウム)、Si(ケイ素)、及びN(窒素)の含有量は、測定対象を加圧酸分解して試料溶液を調製し、これに対して、ICP発光分光分析装置を用いた定量分析によって決定することができる。
当該製造方法は、カルシウム源、アルミニウム源、及び窒素源を含む混合粉末を加熱処理することによって、主結晶相がCaAlSiN結晶相と同一の結晶構造を有する無機化合物を得る第一焼成工程と、当該無機化合物と、ユウロピウム源とを含む混合物を調製し、加熱処理することによって上記蛍光体粒子を得る第二焼成工程と、を備える。上記混合粉末は、ストロンチウム源を更に含んでもよい。上記混合粉末がストロンチウム源を含む場合、上記無機化合物は固溶元素としてSrを有していてよい。
第一焼成工程及び第二焼成工程における焼成は、例えば、焼成の対象となる混合物等を耐熱性の蓋つき容器に充填し、容器ごと加熱する方法で行ってもよい。耐熱性の容器としては、例えば、タングステン製の容器等を使用できる。加熱には、電気炉等を用いることができる。
第一焼成工程における、ストロンチウム源、カルシウム源、アルミニウム源、及び窒素源は、それぞれSr、Ca、Al、及びNの供給源となるような化合物又は単体を意味する。なお、ストロンチウム源として、例えば、窒化ストロンチウムを用いた場合、窒化ストロンチウムはストロンチウム源であると同時に窒素源でもある。
第一焼成工程は、例えば、Caを構成元素として有する化合物(カルシウム化合物)、Alを構成元素として有する化合物(アルミニウム化合物)、及びSiを構成元素として有する化合物(ケイ素化合物)を混合して得られる混合粉末を加熱処理して上記無機化合物を得る工程であってよい。第一焼成工程は、場合によって、混合粉末としてSrを構成元素として有する化合物(ストロンチウム化合物)を混合してよい。
第一焼成工程における上記混合粉末は、少なくともEuを構成元素として有する化合物(ユウロピウム化合物)を含まない粉末である。第一焼成工程における上記混合粉末がストロンチウム化合物を含む場合には特に、上記混合粉末は、Srのイオン半径(127pm)よりもイオン半径が小さく、イオン半径の差が5pm未満となる元素を構成元素として有する化合物を含まないことが好ましい。
カルシウム化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、及びストロンチウム化合物は、それぞれ窒化物、酸化物、酸窒化物、及び水酸化物のいずれかであってよいが、好ましくは窒化物である。
カルシウム化合物は、例えば、窒化カルシウム(Ca)、酸化カルシウム(CaO)、及び水酸化カルシウム(Ca(OH))等が挙げられる。
アルミニウム化合物は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、及び水酸化アルミニウム(Al(OH))等が挙げられる。
ケイ素化合物は、例えば、窒化ケイ素(Si)、及び酸化ケイ素(SiO)等が挙げられる。窒化ケイ素としては、α分率の高いものを用いることが好ましい。窒化ケイ素のα分率は、例えば、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であってよい。窒化ケイ素のα分率が上記範囲内であると、無機化合物の一次粒子の成長を促進することができる。
ストロンチウム化合物は、例えば、窒化ストロンチウム(Sr)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び水酸化ストロンチウム(Sr(OH))等が挙げられる。
CASN系蛍光体においてSrを固溶させることで、得られる蛍光体の発光ピーク波長を、Srが固溶していない場合に比べて短波長側にシフトさせることができ、蛍光体の発光スペクトルと、ヒト比視感度曲線との重なりを大きくし得る。この点で、Srの固溶は望ましい。一方、CASN系蛍光体の結晶構造において、Eu、Sr、及びCaは同じサイトを占有する元素となることから、蛍光体を合成する際に、Eu、Sr、及びCaが同時に存在する環境中で焼成を行うと、イオン半径が近い元素が同時に同じサイトに移動しようとして、物質の拡散が阻害されると考えられる。Eu、Sr、及びCaが共存する混合物を焼成する従来の製法では、CASNと同一の結晶構造を構成する焼成工程において、結晶構造に対する歪みや欠陥が生じ、期待し得る発光強度を得られない場合がある。これに対して、本開示の製造方法においては、イオン半径がほぼ等しいSr(イオン半径:127pm)とEu(イオン半径:125pm)との固溶のタイミングを、後述するように別の焼成工程に切り分けることによって、反応系内におけるSrの拡散を容易なものとし、蛍光体粒子の組成のバラつきをより抑制し得る。このような作用によって、得られる蛍光体粉末の発光強度を向上させつつ、発光ピーク波長の短波長側へのシフトが可能となり得る。
上述の化合物の混合は、各化合物を秤量し、混合することによって調製できる。混合には、乾式混合法又は湿式混合法を用いてもよい。乾式混合法は、例えば、V型混合機等を用いて各成分を混合する方法であってよい。湿式混合法は、例えば、水等の溶媒又は分散媒を加えて溶液又はスラリーを調製し各成分を混合して、その後に、溶媒又は分散媒を除去する方法であってよい。無機化合物の原料となる化合物の酸化を抑制し、不純物の混入を抑制する観点から、上記混合工程は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気は、例えば、希ガス雰囲気、及び窒素ガス雰囲気が挙げられるが、好ましくは窒素ガス雰囲気である。
第一焼成工程は、CASNと同一の結晶構造を形成し、当該結晶構造を構成する際の組成のバラつきを低減するために、焼成温度、焼成時間、焼成圧力、及び焼成雰囲気等の条件を調整して行う。
第一焼成工程における焼成温度は、工程を通して一定であることが望ましい。第一焼成工程における焼成温度は、例えば、1500℃以上、又は1550℃以上であってよい。上記焼成温度の下限値を上記範囲内とすることで、無機化合物における組成のバラつきをより低減することができる。第一焼成工程における焼成温度は、例えば、1950℃以下、1900℃以下、1850℃以下、1830℃以下、1820℃以下、又は1800℃以下であってよい。上記焼成温度の上限値を上記範囲内とすることで、無機化合物の原料となる各種化合物の揮発を抑制することができ、また形成される無機化合物の分解を抑制し、結晶構造が壊れることを抑制できる。第一焼成工程における焼成温度は上述の範囲内で調整でき、例えば、1500~1950℃、又は1550~1850℃であってよい。
第一焼成工程における焼成時間の下限値は、例えば、0.5時間以上、1.0時間以上、1.5時間以上、3.0時間以上、又は4.0時間以上であってよい。上記焼成時間の下限値を上記範囲内とすることで、原料となる各種化合物のCaAlSiN結晶相と同一の結晶構造を有する無機化合物への変換をより促進でき、蛍光体粉末の製造における歩留まりを向上させることができる。第一焼成工程における焼成時間の上限値は、例えば、30.0時間以下、20.0時間以下、10.0時間以下、8.0時間以下、又は5.0時間以下であってよい。上記焼成時間の上限値を上記範囲内とすることで、無機化合物の一次粒子の過度の結晶成長をより抑制できる。第一焼成工程における焼成時間は上述の範囲内で調整でき、例えば、0.5~30.0時間、1.5~10.0時間、又は4.0~8.0時間であってよい。
本明細書において焼成時間とは、加熱対象物の周囲環境の温度が所定の温度に到達してから当該温度で維持する時間(保持時間)を意味する。
第二焼成工程は、希ガス、及び不活性ガスからなる群より選択される少なくとも一種を含む雰囲気下で行うことが望ましい。上記希ガスは、例えば、アルゴン、及びヘリウム等を含有してよく、アルゴンを含有してよく、アルゴンからなってもよい。不活性ガスは、例えば、窒素等を含有してよく、窒素からなってもよい。
第二焼成工程は、大気圧下、又は加圧下で行われてよい。第二焼成工程を加圧環境下で行う場合、第二焼成工程の焼成圧力の下限値は、例えば、0.10MPa以上、又は0.12MPa以上であってよい。上記焼成圧力の下限値が上記範囲内であることで、上記無機化合物を構成する主結晶の分解をより抑制することができる。第二焼成工程の焼成圧力の上限値は、例えば、0.95MPa以下、0.70MPa以下、0.50MPa以下、又は0.30MPa以下であってよい。上記焼成圧力の上限値が上記範囲内であることで、上記無機化合物の分解をより抑制することができる。第二焼成工程の圧力は上述の範囲内で調整でき、例えば、0.10~0.95MPaであってよい。
本明細書における圧力は絶対圧を意味する。
第二焼成工程では、上述の工程で得られた無機化合物と、ユウロピウム源とを含む混合物を加熱処理する。混合物の調製方法は、上述の混合工程と同様の手法を用いることができる。
ユウロピウム源は、ユウロピウムの供給源となるような化合物又は単体を意味する。ユウロピウムを構成元素として有する化合物(ユウロピウム化合物)としては、例えば、窒化物、酸化物、酸窒化物、及び水酸化物のいずれかであってよいが、好ましくは窒化物である。
ユウロピウム化合物は、例えば、ユウロピウムの酸化物(酸化ユウロピウム)、ユウロピウムの窒化物(窒化ユウロピウム)、及びユウロピウムのハロゲン化物等が挙げられる。ユウロピウムのハロゲン化物は、例えば、フッ化ユウロピウム、塩化ユウロピウム、臭化ユウロピウム、及びヨウ化ユウロピウム等が挙げられる。ユウロピウムの化合物は、好ましくは酸化ユウロピウムを含む。ユウロピウムの化物におけるユウロピウムの価数は、2価又は3価であってよく、好ましくは2価である。
第二焼成工程は、第一工程において形成された無機化合物における結晶構造の変化及び分解を抑制し、蛍光体粒子におけるEuの固溶量を向上させるように、焼成温度、焼成時間、焼成圧力、及び焼成雰囲気等の条件を調整して行う。
第二焼成工程における焼成温度は、工程を通して一定であることが望ましい。第二焼成工程は、上述の混合物を、上記第一焼成工程における加熱処理の温度以下の温度で加熱処理する。第二焼成工程における焼成温度を上述のように設定することによって、第一焼成工程で形成された無機化合物の結晶構造が崩れることを抑制しつつ、発光中心となる元素を固溶させることができる。発光中心を固溶させる工程を無機化合物の結晶構造を形成する工程と切り分ける場合、ユウロピウム源を昇華させ、気相経由で無機化合物に発光中心元素を供給することも考えられるが、本発明者らの検討によれば、CASN系蛍光体の場合、気相経由でのユウロピウムの固溶が十分に進行せず、発光強度が期待し得るほどに向上しない。これに対して、本開示に係る製造方法では、固相にてユウロピウム源を加熱処理し、無機化合物中に発光中心を固溶させることから、上述のような懸念を低減できる。
第二焼成工程における焼成温度は、例えば、1350℃以上、1400℃以上、1450℃以上、1500℃以上、又は1550℃以上であってよい。上記焼成温度の下限値が上記範囲内であることで、無機化合物の主結晶中に発光中心であるEuが固溶することをより促進することによって、得られる蛍光体粉末の発光強度を更に向上させることができる。第二焼成工程における焼成温度は、例えば、1850℃以下、1830℃以下、1820℃以下、1800℃以下、又は1800℃未満であってよい。上記焼成温度の上限値が上記範囲内であることで、組成のバラつきがより低減された蛍光体粉末を得ることができる。上記組成物がストロンチウム化合物を含み、上記無機化合物がストロンチウムを含む場合、上記焼成温度の上限値が上記範囲内であることで、Sr等の揮発をより抑制できる。第二焼成工程における焼成温度は上述の範囲内で調整でき、例えば、1350~1850℃、又は1400~1850℃であってよい。
第二焼成工程における焼成時間の下限値は、例えば、0.5時間以上、1.0時間以上、1.5時間以上、3.0時間以上、又は4.0時間以上であってよい。第二焼成工程における焼成時間の上限値は、例えば、30.0時間以下、20.0時間以下、10.0時間以下、8.0時間以下、又は5.0時間以下であってよい。第二焼成工程における焼成時間は上述の範囲内で調整でき、例えば、0.5~30.0時間、1.5~10.0時間、又は4.0~8.0時間であってよい。
第二焼成工程は、1350~1850℃、又は1400~1850℃で、0.5~30.0時間、上記混合物を加熱処理する工程であってよい。
第二焼成工程は、希ガス、及び不活性ガスからなる群より選択される少なくとも一種を含む雰囲気下で行うことが望ましい。上記希ガスは、例えば、アルゴン、及びヘリウム等を含有してよく、アルゴンを含有してよく、アルゴンからなってもよい。不活性ガスは、例えば、窒素等を含有してよく、窒素からなってもよい。
第二焼成工程は、大気圧下、又は加圧下で行われてよい。第二焼成工程を加圧環境下で行う場合、第二焼成工程の焼成圧力の下限値は、例えば、0.10MPa以上、又は0.12MPa以上であってよい。上記焼成圧力の下限値が上記範囲内であることで、蛍光体粒子の分解をより抑制することができる。第二焼成工程の焼成圧力の上限値は、例えば、0.95MPa以下、0.70MPa以下、0.50MPa以下、又は0.30MPa以下であってよい。上記焼成圧力の上限値が上記範囲内であることで、形成される蛍光体粒子の分解をより抑制することができる。第二焼成工程の圧力は上述の範囲内で調整でき、例えば、0.10~0.95MPaであってよい。
第二焼成工程が、不活性ガス雰囲気中で0.1MPa以上の圧力下で行われてよい。
上述の蛍光体粉末の製造方法は、第一焼成工程(無機化合物調製工程)及び第二焼成工程に加えて、その他の工程を有していてもよい。その他の工程は、例えば、解砕工程、分級工程、及び酸処理工程等が挙げられる。
解砕工程は、例えば、第一焼成工程で得られる無機化合物、又は第二焼成工程で得られる蛍光体粉末が塊状で得られる場合があるため、これを解砕し、粒度を調整する工程である。粉砕工程においては、乳鉢等を用いてもよく、また一般的な粉砕機又は解砕機を用いることもできる。粉砕機及び解砕機としては、例えば、ボールミル、ジェットミル、及びヘンシェルミキサー等が挙げられる。無機化合物の塊状物については比較的強度の高い方法等で解砕してもよいが、蛍光体粉末の塊状物の解砕の際には、蛍光体粒子の表面への傷、割れ等の発生を抑制する観点から、緩やかな条件で解砕を行うことが望ましい。緩やかな条件での解砕とする観点から、例えば、粉砕工程は、イオン交換水等の媒体を共存させた湿式におけるボールミル粉砕で行われることが望ましい。また、ボールミルにはジルコニアボールを使用できる。
分級工程は、蛍光体粉末の発光輝度等を低下させるような微粒子分を除去する工程である。蛍光体粉末に求められる光学特性の要求レベルが高い場合には、上述の蛍光体粉末の製造方法は、分級工程を有することが望ましい。分級工程は、例えば、デカンテーション法を用いてよい。分級工程は、処理対象物(例えば、解砕工程を経た蛍光体粉末)を分散媒中に投入し、分散液を調製して撹拌した後、当該分散液中の蛍光体粉末を沈殿させ、上澄みを除去することによって行う。上澄み除去後、沈殿物をろ集し、乾燥させることで、微粒子分の除去された蛍光体粉末を得ることができる。分級工程では、上述の分散液の調製、上澄みの除去を繰り返し行ってよい。分散媒としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウムの水溶液等が挙げられる。
酸処理工程は、蛍光体粉末を酸処理することによって、発光に寄与しない不純物の含有量を低減する工程である。酸としては、例えば、フッ化水素酸、硫酸、リン酸、塩酸、及び硝酸等を挙げることができる。酸は、フッ化水素酸、硫酸、リン酸、塩酸、及び硝酸からなる群より選択される少なくとも1種を含んでよく、混酸であってよいが、好ましくは塩酸である。酸処理工程は、蛍光体粉末を上述の酸に接触させることによって行う。具体的には、上記酸を含む水溶液中に上述の蛍光体粉末を投入し、分散液を調製して、撹拌しながら所定時間処理を行う。上記撹拌時間の下限値は、例えば、0.15時間以上、0.50時間以上、又は1時間以上であってよい。上記撹拌時間の上限値は、例えば、6.00時間以下、3.00時間以下、又は1.50時間以下であってよい。また、酸処理工程において、上記水溶液を、冷却、加温、又は煮沸させた状態で酸処理を行ってもよく、この際の水溶液の温度は、例えば、20~90℃、又は30~80℃であってよい。酸処理の後に、蛍光体粉末を水で洗浄し酸を除去して、乾燥させてもよい。乾燥の際の温度は、例えば、100~120℃であってよい。乾燥の際の時間は、例えば、12時間程度であってよい。
上述の製造方法によって得られる蛍光体粉末は、優れた発光強度を発揮し得る。蛍光体粉末の発光強度は、200%以上とすることができ、例えば、202%以上、204%以上、又は206%以上とすることができる。蛍光体粉末の波長455nmの光に対する吸収率は、例えば、95%以上、又は96%以上とすることができる。
本明細書において蛍光体粉末の発光強度及び吸収率は、波長455nmの光を照射した場合の蛍光体粉末の発光強度及び照射光の吸収率を意味する。具体的には、本明細書の実施例に記載の方法で測定される値を意味する。
上記蛍光体粉末は、発光スペクトルの半値幅も小さなものとなっている。蛍光体粉末の発光ピーク波長における半値幅の上限値は、例えば、105nm以下、100nm以下、95nm以下、又は90nm以下とすることができる。
本明細書において蛍光体の発光ピーク波長は、455nmの励起波長に対する蛍光スペクトル測定によって決定される値を意味する。本明細書において「半値幅」は、半値全幅(Full Width at Half Maximum:FWHM)を意味し、455nmの励起波長に対する蛍光スペクトル測定によって得られる蛍光スペクトルから決定することができる。
蛍光体粉末の平均粒径の上限値は、例えば、30μm以下、25μm以下、又は20μm以下であってよい。上記平均粒径の上限値を上記範囲内とすることによって、LED発光面に蛍光体粉末を用いた際に、発光色の色度のばらつきを抑制することができる。蛍光体粉末の平均粒径の下限値は、例えば、0.1μm以上、0.5μm以上、又は1μm以上であってよい。上記平均粒径の下限値を上記範囲内とすることによって、輝度の低下をより抑制することができる。蛍光体粉末の平均粒径は上述の範囲内で調整してよく、例えば、0.1~30μm、0.5~25μm、又は1~20μmとすることができる。
本明細書における平均粒径は、レーザ回折・散乱法によって測定される体積基準の粒子径の分布曲線において、小粒径からの積算値が全体の50%に達した時の粒子径(D50)を意味する。蛍光体粉末の粒子径に関する分布曲線は、JIS R 1629:1997「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に記載のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法に準拠して行う。測定には粒子径分布測定装置を用いることができる。具体的には、まず、測定対象となる蛍光体粉末0.1gをイオン交換水100mLに投入し、ヘキサメタリン酸ナトリウムを少量添加し、超音波ホモジナイザーを用いて3分間、分散処理を行ったものを測定サンプルとし、粒子径分布測定装置を用いて粒度を測定して、得られた粒度分布からD50を決定する。D50は、メディアン径とも呼ばれる。なお、粒子径分布測定装置としては、例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製の「Microtrac MT3300EX II」(製品名)を使用できる。超音波ホモジナイザーとしては、例えば、株式会社日本精機製作所製の「Ultrasonic Homogenizer US-150E」(製品名、チップサイズ:φ20、Amplitude:100%、発振周波数:19.5KHz、振幅:約31μm)を使用できる。
上述の蛍光体粉末は、表示装置に使用する蛍光体として好適である。なお、ディスプレイ等の表示装置には、情報伝達のため、十分な明るさを呈することが求められる。そのためには、ディスプレイから発せられる発光成分がヒトの比視感度の高い領域に属することが望ましい。比視感度は、一般に、国際照明委員会(CIE)による標準比視感度曲線に基づいて決定される。この標準比視感度曲線との重なりが多い発光スペクトルを有する光である程、ヒトが明るく感じることになる。標準比視感度曲線は550nm付近をピークに400~700nmに亘って広がる正規分布に近い曲線を描き、例えば、明所では555nm付近の光をヒトは最も強く感じ、暗所では507nm付近の光をヒトは最も強く感じるとされている。
図1に示すように、一般に、SCASN蛍光体の発光スペクトルは、標準比視感度曲線と重なる領域を有することから、SCASN蛍光体は赤色蛍光体として有用とされている。SCASN蛍光体の発光スペクトルは一般に600~800nmに亘る発光スペクトルを有する。ここで、上述の蛍光体粉末は、Srの固溶量を予め増加させた無機化合物を用意し、発光スペクトルの半値幅を低下させる準備をすると共に、後の工程でErの固溶させていることから、得られる蛍光体粉末の発光スペクトルのピーク位置を短波長側にシフトし、標準比視感度曲線との重なりをより大きくすることができる。また、Erの固溶工程を無機化合物の合成と切り分けることで、得られる蛍光体粉末における組成のバラつきを抑制し、発光強度を向上させている。したがって、上述の蛍光体粉末は、明るさに優れる表示素子を製造するために有用な赤色蛍光体となり得る。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。また、上述した実施形態についての説明内容は、互いに適用することができる。
以下、実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明する。ただし、本開示は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<蛍光体粉末の製造方法>
窒素雰囲気に保持したグローブボックス中で容器に、25.53質量部のα型窒化ケイ素(Si、宇部興産株式会社製、SN-E10グレード)、22.38質量部の窒化アルミニウム(AlN、株式会社トクヤマ製、Eグレード)、2.43質量部の窒化カルシウム(Ca、Materion社製)、及び43.91質量部の窒化ストロンチウム(Sr、純度2N、株式会社高純度化学研究所製)を測り取り、乾式混合することで原料粉末(混合粉末)を得た。
グローブボックス内で、上記原料粉末をタングステン製の蓋つき容器に充填した。当該蓋つき容器をグローブボックスから取り出し、カーボンヒーターを備える電気炉内に配置した後、圧力が0.13MPaの窒素ガス雰囲気下で、電気炉内の温度が1800℃になるまで昇温し、1800℃の加熱温度で4時間かけて加熱処理を行った(第一焼成工程に相当)。その後、加熱を終了し、室温まで冷却させた。室温まで冷却した後、容器から塊状物を回収した。回収した塊状物を乳鉢で解砕して、焼成物(無機化合物)を得た。得られた無機化合物の主結晶相がCaAlSiN結晶相と同一の結晶構造を有していることを確認した。
次に、窒素雰囲気に保持したグローブボックス中で容器に、上記無機化合物の全量と、5.76質量部の酸化ユウロピウム(Eu、信越化学工業株式会社製、RUグレード)と、を測り取り、乾式混合することで混合物を得た。
グローブボックス内で、上記混合物をタングステン製の蓋つき容器に充填した。当該蓋つき容器をグローブボックスから取り出し、カーボンヒーターを備える電気炉内に配置した後、圧力が0.13MPaの窒素ガス雰囲気下で、電気炉内の温度が1550℃になるまで昇温し、1550℃の加熱温度で、4時間かけて加熱処理を行った(第二焼成工程に相当)。その後、加熱を終了し、室温まで冷却させた。室温まで冷却した後、容器から塊状物を回収した。回収した塊状物を乳鉢で解砕して、赤色粉末を得た。
次に、得られた赤色粉体を、粉体の濃度が25質量%となるように、0.5Mの塩酸中に投入し、30分間浸漬し、さらに撹拌しながら1時間煮沸することで酸処理を行った。酸処理後、撹拌を終了し粉体を沈殿させて、上澄み及び酸処理で精製した微粉を除去した。その後、蒸留水を更に加え再度撹拌した。撹拌を終了し粉体を沈殿させ上澄み及び微粉を除去した。かかる操作を水溶液のpHが8以下で、上澄み液が透明になるまで繰り返し、得られた沈殿物をろ過、大気下で乾燥させることで、蛍光体粉末を得た。
<蛍光体粉末にける結晶構造の確認>
上述のようにして得られた蛍光体粉末について、X線回折装置(株式会社リガク製、製品名:UltimaIV)を用いた粉末X線回折法によってX線回折パターンを取得した。得られたX線回折パターンから結晶構造を確認した。得られたX線回折パターンに、CaAlSiN結晶と同一の回折パターンが認められた。なお、測定には、CuKα線(特性X線)を用いた。
<蛍光体粉末の組成分析>
上述のようにして得られた蛍光体粉末について、組成分析を行った。まず、加圧酸分解法によって蛍光体粉末を溶解させ、試料溶液を調製した。得られた試料溶液を対象として、ICP発光分光分析装置(株式会社リガク製、商品名:CIROS-120)を用いて元素の定量分析を行った。結果を表1に示す。
<発光強度、吸収率、及び内部量子効率>
波長455nmの励起光を照射した場合の蛍光体粉末の発光強度、吸収率(励起光吸収率)、及び内部量子効率は、以下の手順で算出した。まず、測定対象である蛍光体粉末を、凹型セルに表面が平滑になるように充填し、積分球の開口部に取り付けた。発光光源であるXeランプから455nmの波長に分光した単色光を、光ファイバーを用いて蛍光体粉末の励起光として上記積分球内に導入した。この励起光である単色光を測定対象である蛍光体粉末に照射し、蛍光スペクトルを測定した。測定には、分光光度計(大塚電子株式会社製、型式:MCPD-7000)を用いた。
得られた蛍光スペクトルのデータから、蛍光体の発光強度を決定した。また得られた蛍光スペクトルのデータから、励起反射光フォトン数(Qref)及び蛍光フォトン数(Qem)を算出した。励起反射光フォトン数は、励起光フォトン数と同じ波長範囲で、蛍光フォトン数は465~800nmの範囲で算出した。また同じ装置を用い、積分球の開口部に反射率が99%の標準反射板(Labsphere社製、スペクトラロン(登録商標))を取り付けて、波長が455nmの励起光のスペクトルを測定した。その際、450~465nmの波長範囲のスペクトルから励起光フォトン数(Qex)を算出した。
上述の算出結果から、以下に示す計算式に基づいて、測定対象である蛍光体の455nmの励起光の吸収率、及び内部量子効率を求めた。
455nmの励起光の吸収率=((Qex-Qref)/Qex)×100
内部量子効率=(Qem/(Qex-Qref))×100
外部量子効率=(Qem/Qex)×100
なお、上記式から外部量子効率と、455nmの励起光の吸収率、及び内部量子効率との関係式は以下のように表すことができる。
外部量子効率=455nm光吸収率×内部量子効率
<色度X>
色度Xは、測定対象である蛍光体粉末についての蛍光スペクトルにおける465~780nmの範囲の波長域のスペクトルデータから、JIS Z 8781-3:2016「測色-第3部:CIE三刺激値」で規定されるXYZ表色系におけるCIE色度座標x値(色度X)をJIS Z 8724:2015「色の測定方法-光源色」に記載の方法に準拠して測定及び算出することによって求めた。
<蛍光体粉末の発光ピーク波長及び半値幅の測定>
上述のようにして得られた蛍光体粉末について、発光ピーク波長、及び半値幅の測定を行った。蛍光スペクトルは、ローダミンBと副標準光源によって補正を行った分光蛍光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名:F-7000)を用いて測定した。測定には、光度計に付属の固体試料ホルダーを使用し、励起波長:455nmに対する蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルから、発光ピーク波長及び当該発光ピーク波長の半値幅を決定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
焼成物(無機化合物)を得るための焼成温度を1650℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末について、実施例1と同様に、結晶構造の確認、組成分析、並びに、発光強度、吸収率、内部量子効率、色度X、発光ピーク波長及び半値幅の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
焼成物(無機化合物)を得るための焼成温度を1550℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末について、実施例1と同様に、結晶構造の確認、組成分析、並びに、発光強度、吸収率、内部量子効率、色度X、発光ピーク波長及び半値幅の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
<蛍光体粉末の製造方法>
窒素雰囲気に保持したグローブボックス中で容器に、25.53質量部のα型窒化ケイ素(Si、宇部興産株式会社製、SN-E10グレード)、22.38質量部の窒化アルミニウム(AlN、株式会社トクヤマ製、Eグレード)、2.43質量部の窒化カルシウム(Ca、Materion社製)、43.91質量部の窒化ストロンチウム(Sr、純度2N、株式会社高純度化学研究所製)、及び5.76質量部の酸化ユウロピウム(Eu、信越化学工業株式会社製、RUグレード)を測り取り、乾式混合することで原料粉末(混合粉末)を得た。
グローブボックス内で、上記原料粉末をタングステン製の蓋つき容器に充填した。当該蓋つき容器をグローブボックスから取り出し、カーボンヒーターを備える電気炉内に配置した後、圧力が0.13MPaの窒素ガス雰囲気下で、電気炉内の温度が1750℃になるまで昇温し、1750℃の加熱温度で4時間かけて加熱処理を行った(焼成工程)。その後、電気炉内の温度を1350℃まで冷却し、1350℃で更に8時間の加熱処理を行った(アニール工程)。その後、加熱を終了し、室温まで冷却させた。室温まで冷却した後、容器から塊状物を回収した。回収した塊状物を乳鉢で解砕して、赤色粉末を得た。
次に、得られた赤色粉体を、粉体の濃度が25質量%となるように、0.5Mの塩酸中に投入し、30分間浸漬し、さらに撹拌しながら1時間煮沸することで酸処理を行った。酸処理後、撹拌を終了し粉体を沈殿させて、上澄み及び酸処理で精製した微粉を除去した。その後、蒸留水を更に加え再度撹拌した。撹拌を終了し粉体を沈殿させ上澄み及び微粉を除去した。かかる操作を水溶液のpHが8以下で、上澄み液が透明になるまで繰り返し、得られた沈殿物をろ過、大気下で乾燥させることで、蛍光体粉末を得た。
得られた蛍光体粉末について、実施例1と同様に、結晶構造の確認、組成分析、並びに、発光強度、吸収率、内部量子効率、色度X、発光ピーク波長及び半値幅の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
焼成物(無機化合物)を得るための焼成温度を1550℃に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末について、実施例1と同様に、結晶構造の確認、組成分析、並びに、発光強度、吸収率、内部量子効率、色度X、発光ピーク波長及び半値幅の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
焼成物(無機化合物)を得るための焼成温度を1650℃に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末について、実施例1と同様に、結晶構造の確認、組成分析、並びに、発光強度、吸収率、内部量子効率、色度X、発光ピーク波長及び半値幅の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
原料組成を表1に示すとおりに変更したこと以外は、比較例1と同様にして、蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末について、実施例1と同様に、結晶構造の確認、組成分析、並びに、発光強度、吸収率、内部量子効率、色度X、発光ピーク波長及び半値幅の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
焼成物(無機化合物)を得るための焼成温度を1550℃に変更し、円筒型の窒化ホウ素容器を二つ用意し、一方に上記のとおり得られた無機化合物を充填し、もう一方に酸化ユウロピウムを充填して、当該二つの容器を、タングステン製の蓋つき容器に入れ、これを第二焼成工程において加熱処理するよう変更した(気相を介してユウロピウムを無機化合物の主相に固溶させた)こと、及び加熱処理後に、電気炉内の温度を1350℃まで冷却し、1350℃で更に8時間の加熱処理を行った(アニール工程)こと以外は、実施例1と同様にして、蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末について、実施例1と同様に、結晶構造の確認、組成分析、並びに、発光強度、吸収率、内部量子効率、色度X、発光ピーク波長及び半値幅の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例6)
焼成物(無機化合物)を得るための焼成温度を1650℃に変更し、1650℃での焼成処理の後、アニール工程を行わずに室温まで冷却したこと以外は、比較例5と同様にして、蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体粉末について、実施例1と同様に、結晶構造の確認、組成分析、並びに、発光強度、吸収率、内部量子効率、色度X、発光ピーク波長及び半値幅の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2023082287000001
本開示によれば、従来の製法で得られるCASN系蛍光体と比べて、発光強度に優れるCASN系蛍光体を製造可能な、蛍光体粉末の製造方法を提供できる。

Claims (4)

  1. 主結晶相がCaAlSiN結晶相と同一の結晶構造を有し、一般式:(CaSrEu)AlSiNで示され、前記一般式中、0<x<1、0≦y<1、0<z<1、及びx+y+z=1である、蛍光体粒子を含む蛍光体粉末の製造方法であって、
    カルシウム源、アルミニウム源、及び窒素源を含む混合粉末を加熱処理することによって、主結晶相がCaAlSiN結晶相と同一の結晶構造を有する無機化合物を得る第一焼成工程と、
    前記無機化合物と、ユウロピウム源とを含む混合物を調製し、前記第一焼成工程における加熱処理の温度以下の温度で加熱処理することによって前記蛍光体粒子を得る第二焼成工程と、を備える、蛍光体粉末の製造方法。
  2. 前記混合粉末が、ストロンチウム源を更に含み、
    前記無機化合物が固溶元素としてSrを有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第二焼成工程が、前記混合物を1350~1850℃で0.5~30.0時間、加熱処理する工程である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記第二焼成工程が、不活性ガス雰囲気中で0.1MPa以上の圧力下で行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
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