JP4728664B2 - 微粉除去装置及び微粉除去方法 - Google Patents

微粉除去装置及び微粉除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、複写機やレーザプリンタ等で使用される乾式トナー等の微粉を乾式洗浄メディア粒子に付着させて洗浄し、微粉の付着した粒子から微粉を除去して粒子を再生するための微粉除去装置及び微粉除去方法に関するものである。
従来では、資源循環型社会実現のために、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の事務機器メーカは、使用済みの製品ないしユニットをユーザから回収後に分解・清掃・再組み立てし、部品として再使用したり、樹脂材料として利用したりするリサイクル活動を積極的に行っている(例えば、特許文献1ないし7参照)。
これらの製品ないしユニットを再利用するためには、回収後の機器から微粒子粉体であるトナーを抜き取り、清浄化する工程が必要で、清浄化に必要なコストや環境負荷を減らすことが大きな課題となっている。
即ち、水や溶剤を使用した湿式の洗浄方法では、トナーを含んだ廃液の処理及び洗浄後の乾燥処理が高コストでエネルギ消費も大きい点が問題である。また、エアブローによる乾式洗浄方法では、トナー飛散防止のための大掛かりな集塵・排気設備が必要で、そのための環境負荷も大きい上、付着力の強いトナーに対しては洗浄能力が十分ではない。
またエアブローによる乾式洗浄では、トナーボトルやトナー容器内部の洗浄では吹き飛ばしたトナーがすぐに容器内部に再付着し易く、洗浄効率が悪いのも問題である。
これらの課題を解決する手段として、本出願人らは特許文献1及び2に開示されている乾式洗浄メディアを利用した洗浄方法を既に提案している。
これらの特許文献1、2では、粒子状の乾式洗浄メディア(キャリア)を用いて容器内に付着しているトナーを吸着し、容器外部へ排出することにより、トナーの外部への飛散や容器への再付着を防止している。
このため特許文献1、2では、洗浄に使用したメディアを再使用するために、コロナ放電を利用して洗浄用メディアとトナーの静電付着力を弱め、振動ふるいを利用してトナーをメディアから分離する。また、サイクロン分離装置及びフィルタ付き吸引ポンプを使ってトナーをメディアから分離するといった方法が開示されている。
一方、空気流を用いて粒子に付着している微粉を乾式で除去する従来技術として、さまざまなものが提案されている。
例えば、特許文献3には、付着物除去用の凹凸のある多孔板上で、振動と脈動波気流を作用させて付着物を除去する付着物除去装置お付着物除去方法が開示されている。
また、特許文献4及び5には、ペレットを分離塔内でジグザグに下降させて、ペレットに付着している微粉を浮上分離させる合成樹脂ペレットの微粉除去装置が開示されている。
また特許文献5、6には、粒子に作用する気流速度を高めるために、粒子よりも小さい径の吸引孔で吸引気流を作用させる方式が提案されている。
しかしこれまで提案された例では、同時に多数の吸引孔に吸引力を作用させる(特許文献6には、らせん樋状の多孔板上で吸引しながら振動で搬送する錠剤の粉取り機が開示されている。)構成であるか、または吸引抵抗の大きい構造であったり(特許文献7には、らせん状の吸気溝を回転させて、多孔板上の錠剤の粉取りと搬送を行う粉末圧縮成形体用粉取り装置が開示されている)するため、吸引流速を十分高めることができず、微粉除去性能が十分とはいえない。
特開2003−57995公報 特開2003−122123公報 特許第3445330号 特許第2807875号 特許第2889075号 特開平8−141051号公報 特許第2804916号
しかしながら、上記文献1、2に開示された方法では、帯電し易いメディア粒子とトナーの分離性能が不十分であった。即ちコロナ放電による除電と振動ふるいのみによる分離では、トナーを分離させる力が十分ではなく、洗浄メディア粒子に付着したトナーの多くを除去することができなかった。
またサイクロン方式では、洗浄メディア粒子が洗浄室壁面/粒子同士と高速で摩擦することにより、トナーがかえって固着したり、摩擦帯電でトナーの付着力を増大したりするため、トナーの残留率が高くなってしまった。
また、洗浄室の壁面に付着したトナーがトナー除去後の洗浄メディア粒子に再付着したり、洗浄室内でトナーの残留率が高い洗浄メディア粒子と低い粒子が混合したりすることによる、洗浄効率の低下も問題となっていた。
また上記特許文献4及び5に記載されている粒子に対し重力と反対向きに気流を作用させる方式では、気流による力が粒子の自重を超えると粒子も気流に乗って運動してしまう。そのため、結局、粒子に対する気流の相対速度が低くなってしまう。したがって、粒子径が1mm程度の軽い粒子からトナーのように付着力の強い微粉を除去するのには適さないという欠点があった。
また特許文献6は同時に多数の吸引孔に吸引力を作用させる構成であったり、また特許文献7は吸引抵抗の大きい構造であるため、吸引流速を十分高めることができず、微粉除去性能が十分とはいえないものであった。
さらに吸引孔を利用する方式で吸引面積を狭くして吸引流速を高めた場合、吸引孔に粒子が吸い付き、振動を与えるのみでは容易に移動しなくなってしまう(目詰まりする)ため、大量の粒子を洗浄するためには吸引孔に吸い付いた粒子の分離(いわゆる「逆洗」)を効率よく行う必要があった。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、メッシュを有する複数の洗浄室を連結した洗浄槽内の微粉の付着した粒体に効率的に高速の気流を作用させて、粒体のメッシュへの目詰まりや微粉の再付着を防ぎながら、微粉を除去する微粉除去装置及び方法を提供することことにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、粒子に付着した微粉を除去する微粉除去装置において、前記粒子を投入部から排出部へ搬送させながら前記微粉を除去するための空間を有する洗浄槽と、前記空間の相対する2つの外壁として少なくとも前記粒子を通過させないメッシュと、前記メッシュに当接して移動可能に設けられた吸引ノズルとを備え、前記空間に、一方の前記外壁のメッシュに接し他方の前記外壁のメッシュとの間に開口部が形成された仕切り部材と、他方の前記外壁のメッシュに接し一方の前記外壁のメッシュとの間に開口部が形成された仕切り部材と、が交互に備えられ、かつ、前記吸引ノズルの周囲に前記メッシュに当接して該メッシュの該吸引ノズルの周囲部分を塞ぐ鍔部が設けられていることを特徴とする
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の微粉除去装置において、前記空間が環状に配置されていることを特徴とする
また請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の微粉除去装置において、前記鍔部の前記粒子を搬送する方向に対して吸引ノズルから下流側の部分の面積が、吸引ノズルから上流側の部分の面積より大きく設けられていることを特徴とする
また請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の微粉除去装置において、前記空間の外側に除電手段が備えられていることを特徴とする
また請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の微粉除去装置において、前記メッシュを振動させる振動手段が備えられていることを特徴とする
また請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の微粉除去装置において、前記微粉が電子写真装置で用いられるトナーであることを特徴とする
また請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の微粉除去装置の運転方法であって、前記空間の湿度を50〜80%に保つことを特徴とする
また請求項8に記載の発明は、請求項記載の微粉除去装置の運転方法において、前記空間の湿度を60〜70%に保つことを特徴とする。
本発明によれば、メッシュに当接して移動可能に設けられた吸引ノズルが設けられ、かつ、前記吸引ノズルの周囲に前記メッシュに当接して該メッシュの該吸引ノズルの周囲部分を塞ぐ鍔部が設けられていることにより負圧を集中させることで、高速の気流を発生させ微粉の除去能力を高めることができると同時に、粒子を投入部から排出部へ搬送させながら前記微粉を除去するための空間に、一方の前記外壁のメッシュに接し他方の前記外壁のメッシュとの間に開口部が形成された仕切り部材と、他方の前記外壁のメッシュに接し一方の前記外壁のメッシュとの間に開口部が形成された仕切り部材と、が交互に備えられたことで、洗浄室間の粒子の移動が可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。実施の形態の説明に先立って、本明細書で、「洗浄メディア」とは、静電気力、ファンデルワールス力等により、被洗浄対象物に付着した汚れや異物(微粉)を吸着・除去する性質を持った粒体または粉体を指すものとする。
また洗浄メディアの「再生」とは、洗浄に使用した後の洗浄メディア(粒子)に付着した汚れや異物(微粉)を除去して、洗浄メディアを再使用できるようにすることを指すものとする。
また本実施形態においては、「微粉」として複写機やレーザプリンタに使用される乾式トナー(平均粒径5〜10μm程度)を、「粒子」として洗浄用メディアとして使用されるナイロンショット材やガラスビーズ、金属球等(平均粒径1mm前後)を想定しているが、本発明はこれら粒子や微粉に限定されるものではない。例えば、「粒子」の形状は円柱、球、角柱、ドーナツ型などの様々な形状にすることが可能である。
また本明細書において用いられる「メッシュ」とは、網状のスクリーン、ワイヤメッシュ、パンチングプレート、織布、フィルタ等の総称であり、上記「粒子」が通過できない多数の穴またはスリットを有するものである。
さらに、本発明は粒子状の乾式洗浄メディアを使用して洗浄を行ない、使用後の洗浄メディア(粒子)に付着した汚れや異物(微粉)を除去して、洗浄メディアを再生する方法及び装置に関する。さらに、以下の説明は、本発明の代表的な場合について示したに過ぎず、本発明の思想を逸脱しない範囲で様々な変形が可能であることは言うまでもない。
以下、本実施形態の微粉除去装置の構成、及び動作について説明する。
図1は本発明による微粉除去装置の第1の実施形態を示す概略図、図2は図1に示した吸引ノズル近傍を線A−Aに沿って示す断面図である。
これら図1及び図2において、第1の実施形態に係る微粉除去装置は、粒子から微粉を除去するための空間を形成する洗浄槽2を備える。洗浄槽2は図1に示すように箱型形状となっている。洗浄槽2は仕切り板3によって互い違いに仕切られた複数の洗浄室4を有している。
各洗浄室4は上面及び下面に開口部が設けられており、この開口部に粒子は通過できないが微粉は通過できるサイズの目開きのメッシュ(吸引口)5、6が取り付けられている。上面のメッシュ5は吸引ノズル7に摺接する吸引口の機能を有し、下面のメッシュ6は洗浄室4内への外気の流入口の機能を有する。
メッシュ5、6としては、網状のスクリーン、ワイヤメッシュ、パンチングプレート、織り布等、種々の材質のものを使用することができる。そのため、メッシュは粒子と微粉の粒子径や形状、材質に応じて適切なものを選択する。
例えば、壊れやすい粒子の場合、弾性のあるメッシュを用いることで粒子の破損を防止できる。メッシュの目開きは粒子直径の10〜50%程度が好ましい。
各洗浄室4が仕切り板3によって仕切られているため、メッシュ5に加えた吸引力は分散せず特定の洗浄室に集中的に作用する。その結果、その洗浄室における流速を大きくすることができるため、従来の微粉除去装置より微粉を除去する能力が高い。
仕切り板3の端部とメッシュ5、6の間には粒子を通過可能にする隙間があり、隣接した洗浄室4間を粒子が移動できる。粒子の移動は、後述する吸引位置の移動作用による。
粒子から微粉を分離するための気流を発生させるために、吸引ノズル7に負圧を供給し、この吸引ノズル7にメッシュ5を当接させる。負圧供給手段としては、吸引ブロワ、真空ポンプなどを用いることができる。
吸引ノズル7は、鍔部7aを備えているのが好ましい。
鍔部7aは吸引ノズル7の周囲から気流がショートカットして流れこみ、粒子に作用する気流の流速が低下するのを防止するために、吸引ノズル7周囲のメッシュ5を塞ぐ閉塞手段として作用する。
なお、吸引ノズル7の鍔部7aは、粒子を搬送する方向に対して上流側より下流側を長くすることにより、上流側から下流側へ向かう流れが発生し、確実に下流側に粒子を搬送させることができる。粒子から分離された微粉は、負圧供給手段(図示せず)と吸引ノズル7の間に取り付けたサイクロンフィルタ、バグフィルタ(図示せず)などで捕集される。
洗浄室4に粒子を投入する部分である投入口8としては、図1に示したホッパ型の他に、一般的な粒体ハンドリングに利用される振動式フィーダ、スクリュー式フィーダなどさまざまな形態を利用することができる。微粉が除去された粒子を排出する部分である排出口9は重力落下により下部のホッパ(図示せず)に粒子を排出するように構成されている。
微粉除去装置1には、粒子から微粉を除去する効率を高めたり、洗浄室4内に粒子や微粉が帯電付着するのを防止したりするために、除電手段10を併用することが好ましい。かかる除電手段としては一般的なコロナ放電式のイオナイザを用いることができる。
図1に示すように、除電手段10を洗浄室4のメッシュ6(流入口)側に配置することで、除電手段10で発生した正負のイオンが洗浄室4内に流入し、粒子や微粉、洗浄室4の帯電を抑制できる。よって、微粉を粒子から分離する効果が高まると同時に、洗浄室4やメッシュ6へ粒子が付着するのを防止できる。
また、除電手段10を洗浄室4の外部に設置したことにより、微粉が除電手段10に付着しにくい。特にコロナ放電式のイオナイザの場合、電極に汚れが付着すると性能が低下するのでクリーニングが必要となる。
しかし、このように洗浄室4の外部に設置すればメンテナンス頻度が少なくて済む。また、除電手段10からの火花放電による粉塵爆発等の危険性を回避することができる。さらに、メッシュ(吸引口)5は、図1に見られるように、投入口8から排出口9に向かって大きさ(長さ)を減じている。
図3は洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第1の吸引口にある吸引ノズルで示す概略図である。図4は洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第1の吸引口と第2の吸引口の中間にある吸引ノズルで示す概略図である。
図5は洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第2の吸引口にある吸引ノズルで示す概略図である。図6は洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第3の吸引口にある吸引ノズルで示す概略図である。
図3〜図6のように洗浄室4に対する吸引ノズル7の吸引位置を移動させることにより、粒子から微粉を分離除去しながら粒子を図1の投入口8から排出口9の方向へ搬送させることができる。即ち、第1の吸引口5aに吸引ノズル7を当接させると、この第1の吸引口5aに取り付けたメッシュ5に粒子が引きつけられる。吸引ノズル7近傍の高速流で粒子から分離された微粉は吸引ノズル7に吸い込まれる。
吸引位置が移動するにつれて吸引ノズル7の鍔部7aで塞がれていないメッシュ5から洗浄槽2内に気流が流入する。そのメッシュ5に引きつけられていた粒子はメッシュ5から分離され、次の洗浄室4へ落下する(メッシュ5の逆洗効果)。
吸引ノズル7が第2の吸引口5bに移動すると、この第2の吸引口5bに取り付けたメッシュ5に近くの粒子が引きつけられる(搬送効果)。第1の吸引口5aのメッシュ5に引きつけられたとき、上記とは粒子の姿勢や粒子同士の配置が異なるため、上記で除去されなかった微粉が分離されやすくなる(微粉の分離効果)。
さらに、吸引ノズル7が次の第3の吸引口5cに移動すると、この第3の吸引口5cに引きつけられていた粒子は落下して次の洗浄室4へ搬送される。第3の吸引口5cに引きつけられた粒子は残留している微粉を分離する。
以上のように、吸引ノズルの吸引位置を移動させるにつれ、粒子がジグザグに搬送されながら粒子から微粉が分離除去される。
なお、洗浄室4に対する吸引ノズル7の吸引位置を移動させるため、図3〜図6では吸引ノズル側を移動させたが、逆に洗浄室側を移動させる構成としても良い。
吸引位置が排出口9(図1参照)の上側まで移動したら、吸引を停止して吸引ノズル7を投入口8(図1参照)の上側まで戻し、吸引を再開して図3〜図6の動作を繰り返す。または、吸引したまま吸引ノズル7を洗浄室4から離して投入口8の上側まで戻すようにしてもよい。
上述した第1の実施形態に係る微粉除去装置の作用と効果をまとめれば、第1に微粉除去性能が高い。吸引手段である吸引ノズル7の吸引力を分散させず、特定の吸引口にのみ作用させて流速を高くしているので、特にトナーのような帯電付着性の強い微粉を分離することができる。
仕切り板3で仕切られた複数の洗浄室4の夫々にメッシュ5上で、粒子の姿勢を変えて繰り返し高速気流吸引を作用させているので、粒子の全面に付着している微粉を万遍なく除去することができる。
洗浄槽2を仕切り板3で複数の洗浄室4に仕切って段階的に微粉を除去しているので、粒子への微粉残留率は投入口8から排出口9において向かって段階的に低くなっていく。従って、微粉除去後の粒子に微粉の残留率が大きい粒子が接触し、微粉が再付着する確率を減らせるため、微粉の残留率を効率的に低下させることができる。
さらには、洗浄槽2を仕切り板3により仕切って段階的に微粉を除去するようにしているので洗浄室4内壁への微粉の付着量も投入口8から排出口9に向かって段階的に少なくなっていく。従って、洗浄室4内壁から粒子に微粉が再付着する確率も排出口9に近づくにつれて小さくなり、排出口9における粒子の微粉残留率を低く抑えることができる。
第2にメッシュ5は目詰まりを生じない。吸引口が外気流入口を兼ねているため、吸引口に取り付けられたメッシュ5に引きつけられた粒子は、吸引口から逆に流入する気流によってメッシュ5から分離されて次の洗浄室4へ搬送される。洗浄室4の外側に除電手段10を設けるようにすると、粒子及び微粉の帯電を防ぐことができるので分離効果をさらに高めることができる。
第3に構成が単純である。投入口8から排出口9まで、気流の作用を利用して粒子を搬送しているため装置の構成が単純にできる。また、粒子へ加わる機械的ストレスも小さくできる。
図7は本発明による微粉除去装置の第2の実施形態を示す概略図である。図8は図7の第2の実施形態に係る微粉除去装置の上面図、図9は図7の線B−Bに沿って示す断面図である。なお、図1と同一部位には同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
図7〜図9を参照して、第2の実施形態に係る微粉除去装置を説明する。
上記第1の実施形態では洗浄槽2の各洗浄室4は直線状に配置されていたのに対して、第2の実施形態では図7〜図9に示すように環状に配置して、投入口8側の洗浄室4と排出口9側の洗浄室4の距離を近づけている。
従って、第1の実施形態のように吸引位置を排出口9の上から投入口8の上まで戻す時間の無駄がなくなり、効率的に微粉を除去できる。なお、投入口8側の洗浄室4と排出口9側の洗浄室4は完全に仕切られており、投入口8側から投入された粒子は各洗浄室4を順に通らないと排出口9側へ到達できない。
各洗浄室4が仕切り板3によってジグザグに仕切られていること、上面と底面にそれぞれ吸引口と流入口を配し、粒子が通過できないメッシュ5、6が取り付けられていることなどは第1の実施の形態と同様である。
吸引部において吸引ノズル7は、図9に示すような駆動モータ11によって回転駆動軸12の周りを回転駆動して、吸引位置を移動できるように構成されている。また、吸引ノズル7は図8、図9に示すように、2つに分岐して複数箇所を同時に吸引して単位時間当りの処理量を高めるようにしてもよい。同時に吸引する面積は、負圧を供給する負圧供給手段の能力、要求される分離能力及び処理量に応じて決められる。
除電手段10は、第2の実施形態の微粉除去装置では、X線方式の除電手段を用いた例を示している。微弱なX線を照射することで雰囲気が電離して正負のイオンが発生し、粒子や微粉、洗浄室4の帯電を抑制できる。また洗浄室4をX線が透過できる樹脂等で形成することにより、除電手段10を洗浄室4の外部に設置することができる。
第2の実施形態に係る微粉除去装置の動作は、第1の実施の形態と同様に、図3〜図6のように洗浄室4に対して吸引ノズル7の吸引位置を移動させることにより、粒子から微粉を分離除去しながら粒子を投入口8から排出口9の方向へ搬送させる。図7〜図9では、吸引ノズル7側を回転させて吸引位置を移動させる例を示したが、吸引ノズル7側を固定して洗浄室4側を移動させるようにしても良い。
この第2の実施形態に係る微粉除去装置の効果をまとめると、環状配置にしたことにより、排出口9と投入口8の位置を近づけることができる。排出口9側の吸引口から投入口8側の吸引口へ吸引位置を戻す時間が、第1の実施の形態に比べて短く済むため、効率良く微粉を除去できる。
図10は本発明による微粉除去装置の第3の実施形態を示す概略斜視図である。図11は本発明による微粉除去装置の第4の実施形態を示す概略斜視図である。図12は環状の洗浄槽2の両側に設けられた吸引ノズルを示す概略図である。第1の実施形態及び第2の実施形態では、各洗浄室4のメッシュ5、6に対し片側からのみ吸引する例を示したが、第3の実施形態及び第4の実施形態では両側から吸引する例を示す。先ず、簡単のため、図12〜図15を用いて原理を説明する。
仕切り部材3は、図12に示すように三角柱形状とし、片側の吸引口を塞ぐ機能を持たせると同時に、洗浄室4内で流速の遅いよどみ部が生じないようにしている。吸引ノズル7にはつば部7aを設けてある。
除電手段10は、図12に示すような位置に設置している。除電手段10で発生した正負のイオンが、洗浄室4内に吸引されて、粒子及び微粉の帯電を緩和し、微粉除去効果を高めることができる。
図13は洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第1の位置で示す概略図、図14は洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第2の位置で示す概略図、図15は洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第3の位置で示す概略図である。
図13〜図15のように洗浄室4に対する吸引ノズル7の吸引位置を移動させることにより、粒子を投入部14(図10)から排出部15(図10)の方向へ搬送しながら粒子から微粉を分離除去することができる。
即ち、図13に示すように仕切り板(仕切り部材)3によって片側の吸引口を塞がれた状態で、もう片側の吸引口に負圧を供給する。気流は図13の流入部から矢印Aの向きに流れる。メッシュ6上の粒子(図13の点線で囲まれた部分)には、高速の気流が作用し、粒子に付着している微粉が除去される。
また図14に示すように吸引位置を移動すると、これまで吸引されていたメッシュ6の一部が流入口になり、気流は図14の流入部から矢印Bの向きに流れる。付着していた粒子はメッシュ6から離れて新たな吸引口の方向へ搬送される。
さらに図15に示すように吸引位置を移動すると、図13とちょうど流入部の位置関係が逆になり、気流は図15の流入部から矢印Cの向きに流れる。メッシュ5上の粒子(図15の点線で囲まれた部分)には、高速の気流が作用し、粒子に付着している微粉が除去される。
上記図13〜図15の動作を交互に繰り返すことにより、粒子を搬送し、粒子の姿勢や配置を変えながら繰り返し高速気流を作用することができるため、微粉を分離除去する能力を高めることができる。
なお、吸引ノズル7の鍔部7aは、粒子を搬送する方向に対して上流側より下流側を長くすることにより、上流側から下流側へ向かう流れが発生し、確実に下流側に搬送させることができる。
吸引位置を変えるには、吸引ノズル側を移動させても良いし、洗浄室側を移動させてもよい。
図10に示す第3の実施形態及び図11に示す第4の実施形態では洗浄室側を移動させ、環状配置とした例を示す。先ず、図10では駆動モータは図示しないが、ベルトやギア駆動13により、洗浄室を図の矢印のように回転移動させることができる。なお、この場合、投入部14と排出部15は洗浄室4と一緒に回転する。
この第3の実施形態に係る微粉除去装置の効果をまとめると、仕切り部材3を三角柱形状として洗浄室4内の流路によどみ部が発生しにくい構造にしたことと、洗浄室4の両側から交互に吸引力を作用させることにより、帯電等で洗浄室4に付着し易い粒子であっても、確実に搬送することができる。
洗浄室4の両側から交互に吸引力を作用させたことにより、洗浄室4間の粒子の移動が確実に行われる。また、片側からのみ吸引する場合に比べて、短時間で微粉を除去することができる。
図11に示す第4の実施形態において、洗浄槽2は環状に配置された複数の洗浄室からなり、回転可能に軸支されている。なお、回転駆動のためのモータ等は図示を省略してある。
仕切り部材は第2の実施形態と同様の板状としてもよいが、図12に示すように三角柱形状とし、片側の吸引口を塞ぐ機能を持たせると同時に、洗浄室内で流速の遅いよどみ部が生じないようにするのがよい。洗浄室の配置は回転対称で、図11には明瞭に示されてないが、内側面に2つの投入口を、外側面に2つの排出口を有する。
洗浄室の両側面にはメッシュ5、6が配置されている。各洗浄室の体積及びメッシュ5、6の面積は、投入部14から排出部15へ向かうにつれて小さくなるようにしてある。よって、排出部15に近い洗浄室ほど流速が高まり、強い力で付着している微粉も除去し易くなる。これにより、最終的な微粉除去品質を高めることができる。上記のように、メッシュ5が配置されている位置が洗浄室であるが、この図では敢えて符号は付していない。
第4の実施形態では、吸引ノズル7は移動せず固定されており、第3の実施形態と同様に洗浄室の両側から吸引する。投入部14は洗浄室に粒子を投入する部分で、スクリュー式フィーダを用いた例を示した。排出部15は微粉を除去した粒子を排出する部分で、重力落下により下部のホッパに排出される。
投入口部14から洗浄室4への粒子の移動及び排出部15からの排出は主に重力の作用によるが、粒子の帯電付着が強いとスムーズに移動しない恐れがある。図示してない除電手段及び振動手段を設けることで、帯電付着による影響を緩和することができる。振動手段としては、図示してない一般的なバイブレータやノッカーを用い、これによってメッシュ5、6及び洗浄室を振動させる。
一般に粉体の付着力は湿度の影響を受け、高湿度環境では液架橋力の作用が強くなり付着力が大きくなる。一方、低湿度環境では帯電による静電気力の作用が強くなり、やはり付着力が大きくなる。
従って、装置全体を湿度コントロールできる環境に設置し、付着力が最も小さいとされる湿度65%前後の環境にすると、微粉の除去効率を高くすることができる。
図16は回転移動する洗浄室を第1の位置で示す概略図、図17は回転移動する洗浄室を第2の位置で示す概略図、図18は回転移動する洗浄室を第3の位置で示す概略図、図19は回転移動する洗浄室を第4の位置で示す概略図、図20は回転移動する洗浄室を第5の位置で示す概略図、図21は回転移動する洗浄室を第6の位置で示す概略図である。
環状に配置された洗浄室4を図16から図21のように回転移動させ、吸引ノズル7の吸引位置を移動させることにより、粒子を投入口8から排出口9の方向へ搬送しながら粒子から微粉を分離除去することができる。動作原理としては、図13から図15に示したものと同様である。
図16において、投入口8に最も近い洗浄室4のメッシュ5から吸引する。粒子は投入口8から洗浄室4に移動し、メッシュ5上で微粉を除去される。図16〜図21において、メッシュ5は図1と同様に洗浄室4の上下に配置され、これらの図において、メッシュは上方のメッシュ5として示している。
図17において、洗浄室4が回転移動すると、反対側のメッシュ(図示してない下方のメッシュ)から吸引が行われ、粒子は次の洗浄室に移動する。図16で外側から吸引ノズル7で吸引していたメッシュ部は、逆に外側から外気が流入するため、メッシュに付着していた粒子も分離される(メッシュの逆ブロー効果)。
図18に示すように、洗浄室4がさらに回転移動すると、再び反対側のメッシュ5から吸引が行われ、粒子は次の洗浄室4に移動する。同様の作用により、図19から図20に示すように、吸引位置が移動し粒子はメッシュ間を交互に移動しながら向きを変え、万遍なく微粉を除去されていく。また、適当なタイミングでスクリューフィーダを動作させて、次の洗浄粒子を投入する。
図21に示すように、微粉の除去が行なわれた粒子は、排出口9より重力落下し、排出部14のホッパ(図示せず)で集められる。一方、次の洗浄粒子が洗浄室4へ移動する。
図16〜図21で示した上記動作を繰り返すことにより、洗浄槽が1回転する間に粒子の投入→微粉の分離→排出が2回行われる。以上、代表的な実施の形態を示したが、説明した実施の形態以外にも、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲でさまざまな変形例が考えられることはいうまでもない。
例えば、装置構成はやや複雑になるが、洗浄室毎に吸引口に切り換え弁を設け、負圧吸引/閉塞/正圧流入(逆洗)を切り換えることにより、同様の動作をさせることが可能である。
また、各洗浄室のメッシュの面積を徐々に狭くして流速を高める代わりに、吸引ブロワの出力を制御して、排出口に近い洗浄槽ほど流速を高くして微粉除去率を高めるようにしてもよい。
本発明によれば、洗浄室またはメッシュを振動させる振動手段を配置したことにより、帯電付着力を弱め、移動しにくい粒子を移動させることができる。また、装置内の湿度が50〜80%、望ましくは60〜70%に保たれていることにより、微粉の付着力を低下させ、微粉の除去効率を高くすることができる。
除去対象となる微粉が電子写真装置で用いられるトナーであることにより、トナーで粒子を捕集洗浄する乾式洗浄工程の洗浄粒子再生に用いることができる。即ち、洗浄メディアとして利用した粒子に付着しているトナーを除去し、粒子を繰り返し利用できるため、洗浄工程における環境負荷を低減することができる。
本発明によれば、仕切り部材で仕切られた複数の洗浄室の各メッシュ上で、粒子の姿勢を変えて繰り返し高速気流吸引を作用させることができるので、粒子の全面に付着している微粉を万遍なく除去することができる。
本発明の他の分野への利用可能性としては、医薬品の錠剤やカプセルに付着した微粉の除去、樹脂製ペレットに付着した微粉の除去、ショットブラスト材の再生処理等が挙げられる。
本発明による微粉除去装置の第1の実施形態を示す概略図である。 図1の吸引ノズル近傍を線A−Aに沿って示す断面図である。 洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第1の吸引口にある吸引ノズルで示す概略図である。 洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第1の吸引口と第2の吸引口の中間にある吸引ノズルで示す概略図である。 洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第2の吸引口にある吸引ノズルで示す概略図である。 洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第3の吸引口にある吸引ノズルで示す概略図である。 本発明による微粉除去装置の第2の実施形態を示す概略図である。 第2の実施形態に係る微粉除去装置の上面図である。 図7の線B−Bに沿って示す断面図である。 本発明による微粉除去装置の第3の実施形態を示す概略斜視図である。 本発明による微粉除去装置の第4の実施形態を示す概略斜視図である。 環状の洗浄槽2の両側に設けられた吸引ノズルを示す概略図である。 洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第1の位置で示す概略図である。 洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第2の位置で示す概略図である。 洗浄室に対する吸引ノズルの移動を第3の位置で示す概略図である。 回転移動する洗浄室を第1の位置で示す概略図である。 回転移動する洗浄室を第2の位置で示す概略図である。 回転移動する洗浄室を第3の位置で示す概略図である。 回転移動する洗浄室を第4の位置で示す概略図である。 回転移動する洗浄室を第5の位置で示す概略図である。 回転移動する洗浄室を第6の位置で示す概略図である。
符号の説明
1 微粉除去装置、2 洗浄槽、3 仕切り部材(仕切り板)、4 洗浄室、5 メッシュ(吸引口)、6 メッシュ(流入口)、7 吸引ノズル(負圧供給手段)、7a 鍔部、8 投入口、9 排出口、10 除電手段(イオナイザ)、14 投入部、15 排出部

Claims (8)

  1. 粒子に付着した微粉を除去する微粉除去装置において、
    前記粒子を投入部から排出部へ搬送させながら前記微粉を除去するための空間を有する洗浄槽と、
    前記空間の相対する2つの外壁として少なくとも前記粒子を通過させないメッシュと、
    前記メッシュに当接して移動可能に設けられた吸引ノズルと
    を備え、
    前記空間に、一方の前記外壁のメッシュに接し他方の前記外壁のメッシュとの間に開口部が形成された仕切り部材と、他方の前記外壁のメッシュに接し一方の前記外壁のメッシュとの間に開口部が形成された仕切り部材と、が交互に備えられ、かつ、
    前記吸引ノズルの周囲に前記メッシュに当接して該メッシュの該吸引ノズルの周囲部分を塞ぐ鍔部が設けられていることを特徴とする微粉除去装置。
  2. 前記空間が環状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の微粉除去装置。
  3. 前記鍔部の前記粒子を搬送する方向に対して吸引ノズルから下流側の部分の面積が、吸引ノズルから上流側の部分の面積より大きく設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微粉除去装置。
  4. 前記空間の外側に除電手段が備えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の微粉除去装置。
  5. 前記メッシュを振動させる振動手段が備えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の微粉除去装置。
  6. 前記微粉が電子写真装置で用いられるトナーであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の微粉除去装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の微粉除去装置の運転方法であって、前記空間の湿度を50〜80%に保つことを特徴とする微粉除去装置の運転方法。
  8. 前記空間の湿度を60〜70%に保つことを特徴とする請求項7に記載の微粉除去装置の運転方法。
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