JP4726022B2 - 抗アレルギー、抗炎症剤並びにこれを含有する医薬組成物、医薬部外品、化粧品、食品及び動物用飼料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロアントシアニジンを有効成分とする抗アレルギー剤、抗炎症剤並びにこれを含有する医薬組成物、医薬部外品、化粧品、食品及び動物用飼料に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロアントシアニジンは、各種植物体中に存在する縮合型タンニンであり、フラバン−3−オールまたはフラバン−3,4−ジオールを構成単位として縮合もしくは重合により結合した化合物群であり、これらは酸処理によりシアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン等のアントシアニジンを生成するところから、この名称が与えられているものである。そして上記構成単位の2量体、3量体、4量体さらに10〜100量体以上の高分子のプロシアニジン、プロデルフィニジン、プロペラルゴニジン等のプロアントシアニジンおよびそれらの立体異性体、それらの没食子酸エステル等を含むものであり、分子量にして約600〜500000と非常に幅広い分子量分布を持った化合物群である。
【0003】
アレルギー反応はアレルゲン刺激により肥満細胞及び/又は好塩基球からヒスタミン、セロトニン等、炎症起因物質が遊離し、または活性化T細胞によるマクロファージ活性化の結果放出されるサイトカインなどが原因となって、様々な炎症等が起こる。そこで、これまでに自然界に存在するプロアントシアニジンを肥満細胞又は好塩基球からのヒスタミン、セロトニン等の炎症起因物質の遊離を抑制させることをメカニズムとして、抗アレルギー剤として用いる事が提案されてきた["OPC in practice bioflavanols andtheir application," Alfa Omega, 1993,p.48−56]。
【0004】
アレルギー反応の一つである即時型アレルギーは抗原の侵入により抗原特異的IgEがB細胞により生産され、これが肥満細胞及び/又は好塩基球のIgE受容体に結合し、次に抗原がこのIgE受容体―抗原複合体に結合すると細胞内にシグナルが伝達され、Ca2+チャンネルからCa2+の流入が初期の反応として起こり、さらに種々のタンパクキナーゼのリン酸化を経て最終的には脱顆粒が起こり、β−ヘキソサミニダーゼなどの酵素やヒスタミン、セロトニン等の化学伝達物質(炎症起因物質)が遊離し、遊離したヒスタミン、セロトニン等の化学伝達物質が原因となり、様々なアレルギー反応や炎症が生じるものである。
【0005】
遅延型アレルギーにおいてもT細胞内でCa2+チャンネルからCa2+の流入が初期の反応として起こる。従って、肥満細胞及び/又は好塩基球においてCa2+チャンネルからCa2+の流入を抑制する化合物を見いだすことができれば、アレルギー反応又は炎症をコントロールことが可能となる。
【0006】
また、最近マクロファージ等の単球が発生する一酸化窒素(NO)は脱顆粒、即ちヒスタミン、セロトニン等の化学伝達物質の遊離を抑制する事が報告されている[J. Immunol, 159, 1444−1450 (1997);Int. Arch. Allergy Immunol., 115, 129−136 (1998)]従って、肥満細胞及び/又は好塩基球の細胞内において、NOを生じさせる事ができればCa2+チャンネルの阻害と同様にアレルギー反応又は炎症を押さえることが可能と考えられる。
【0007】
以上の従来技術の中で、非常に幅広い分子量分布を持ったプロアントシアニジンのうち、どの分子量分画に強い抗アレルギー作用を有するのかは明らかとなっていなかった。また、プロアントシアニジンがどの様なメカニズムにて肥満細胞及び/又は好塩基球からヒスタミン、セロトニン等、炎症起因物質の遊離を抑制するかは明らかとされていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、安全性の高いプロアントシアニジンを利用し、より有効な抗アレルギー剤、抗炎症剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記した課題を解決するため、鋭意研究を行った結果、幅広い分子量分画を持ったプロアントシアニジンの内、分子量3000以上、さらに言えば分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジンに、前記したヒスタミン、セロトニン等、化学伝達物質の遊離抑制作用が強い活性があることを明らかにした。また、それらのプロアントシアニジンが、肥満細胞及び/又は好塩基球へのCa2+チャンネルを介したCa2+の流入を抑制すること及び/又は肥満細胞及び/又は好塩基球中のNOの生成を誘起すること、これらのメカニズムにより、細胞脱顆粒を抑制し、結果としてヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエン等の化学伝達物質の遊離を抑制することを明らかにした。
【0010】
そして、このプロアントシアニジンを有効成分として含有させれば、抗アレルギー剤、抗炎症剤として有用であることなどを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は幅広い分子量分画を持ったプロアントシアニジンの内、分子量3000以上、さらに言えば分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジンの肥満細胞及び/又は好塩基球からのヒスタミン、セロトニン等、炎症起因物質の遊離抑制剤である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の対象となるプロアントシアニジンは、各種植物体、例えばぶどう種子、ブドウ果実、グランベリー果実、リンゴ果実、小豆、杉、松、檜の樹皮等から水あるいは有機溶媒もしくはその混合溶媒で抽出して得られるプロアントシアニジンを含有する抽出液の濃縮液、あるいは濃縮液を乾燥、粉末化した粉体等であって少なくとも10%以上のプロアントシアニジンを含有するものが好ましい。またこのプロアントシアニジン製剤の分子量分画はその有効性の観点から、分子量3000以上、さらに言えば分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジン分画を多く含む製剤が好ましい。
【0012】
この様な分子量分画を多く含む原料としては、特にブドウ果実の搾汁粕又は種子が挙げられる。このため、ブドウ抽出物は、最も経済的なプロアントシアニジン源であり、かつ本発明の有効成分として非常に有用であると言うことができる。また、ブドウを起源としたプロアントシアニジンはその没食子酸エステルが多く含まれている。
【0013】
これらの分子量分画を含有するプロアントシアニジン製剤を得る方法としてはいかなる方法を用いて精製を行っても良いが、例えば各種植物原料を上記のように水−エタノールの混合溶媒を用いる事により高純度のプロアントシアニジン製剤を得ることができる(特開平3−200781号、特開平11−80148号)。また、この様にして得たプロアントシアニジン製剤をさらに精製し、分子量3000以上、さらに言えば分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジン分画を多く含む製剤を得る目的で、例えば、HP20等の合成樹脂を用いたクロマトグラフ法 [J. Sci. Food Agric., 25 1537〜1545 (1974)]、酢酸エチル等の有機溶媒にて不要な分画を除く溶媒抽出除去法(特開平11−335369)、分子量分画膜を用いた膜分離法(特公平6−31208)等を用いることによりより、効率的に目的の分子量分画を有するプロアントシアニジン製剤を得ることができる。
【0014】
この様なプロアントシアニジン製剤としては、上記の方法にて調整したものの他、市販品を使用しても良い。プロアントシアニジンを主成分とし且つ分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジン分画を多く含む市販品としては、例えば、キッコーマン社製「グラヴィノール(商標)」、「グラヴィノール
スーパー(商標)」等があげられる。
【0015】
<本発明医薬組成物の製剤法および投与法について>
本発明の予防・治療剤の形状は特に限定されない。従って、該予防・治療剤は、例えば、プロアントシアニジンを含有する植物を由来とする溶液状または粉末状の粗精製物・精製物であればよい。ただし、薬剤としての操作性、あるいは生体に投与された際の吸収性等を向上させるためには、上記のプロアントシアニジンを、常法に従って適当な医薬品用担体と組合せて製剤化することが好ましい。
本発明の予防・治療剤は、種々の剤型での投与が可能であり、例えば経口投与剤としては、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、ドライシロップ剤等が例示される。また、非経口投与剤としては、軟膏、経皮吸収性テープ等の経皮吸収剤、注射剤、坐薬、膣坐薬、噴霧剤等の経鼻投与剤、が例示できる。
上記の剤の人に対する投与量は、患者の年齢、症状等により適宜増減すればよい。例えば、有効成分であるプロアントシアニジンの合計として、通常成人1日当たり50〜1000mg、好ましくは100〜400mgを1〜3回に分けて経口または非経口で投与すればよい。
なお、上記医薬組成物の配合原料として、他の抗アレルギー、抗炎症剤を併用することもできる。
【0016】
<本発明の抗アレルギー、抗炎症剤を含有する医薬部外品・化粧品について>
本発明の抗アレルギー、抗炎症剤プロアントシアニジンは医薬部外品・化粧品に添加して使用することができる。また、該抗アレルギー、抗炎症剤を添加した医薬部外品・化粧品は、アレルギー及び炎症を予防または緩和させるために使用することができる。
上記の医薬部外品・化粧品としては化粧水、クリーム、乳液、メークアップ製品、シャンプー等の頭髪用製品、石鹸、家庭用洗剤、歯磨き、パック、日焼け止め製品、ニキビ用品、等に用いることができる。
なお、上記医薬部外品・化粧品の配合原料として、他の抗アレルギー、抗炎症剤を併用することもできる。
【0017】
<本発明の抗アレルギー、抗炎症剤を含有する食品について>
本発明の抗アレルギー、抗炎症剤は飲食品に添加して使用することができる。また、該プロアントシアニジンを添加した飲食品は、健康食品として、アレルギー及び炎症を予防または緩和するために摂食することもできる。
上記食品を製造する場合は、例えば、プロアントシアニジンの粗精製物あるいは精製物を、任意の食品、例えば、菓子、パン、牛乳、各種飲料、うどん、そば、パスタ、米飯、調味料、香辛料、惣菜、油脂含有食品、酒類、清涼飲料に添加すればよい。
なお、上記食品は、プロアントシアニジンの粗精製物あるいは精製物を主成分とし、必要により賦形剤等を含む、粉末状、錠剤型あるいはカプセル型の食品であってもよい。そのような食品としては、市販品、例えば、キッコーマン社製「ヴィノパワー(商標)」、「ヴィノプロテイン(商標)」、「はつらつ物語(商標)」が挙げられる。
なお、上記食品の配合原料として、他の抗アレルギー、抗炎症剤を併用することもできる。
【0018】
<本発明の抗アレルギー、抗炎症剤を含有する動物用飼料について>
本発明の抗アレルギー、抗炎症剤は、人以外の動物、例えば哺乳動物や鳥類に使用することも可能である。特に、家畜、養殖魚や愛玩動物(ペット)において、抗アレルギー、抗炎症を予防或いは治療することは、産業上重要な課題である。本発明のプロアントシアニジンをヒト以外の動物に使用する際は、上記と同様の方法で製剤化して投与するか、飼料に添加して摂食させればよい。
なお、上記食品の配合原料として、他の抗アレルギー、抗炎症剤を併用することもできる。
【0019】
【実施例】
以下に、参考例、実験例、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお実験例、実施例におけるプロアントシアニジンの定量は、下記のR. Jambunathanらの方法[J. Agric. Food Chem.,34, 425〜429 (1986)]により行った。すなわちプロアントシアニジン含有試料を希塩酸存在下で加熱処理してプロアントシアニジンを赤色のアントシアニジンに変換し、この波長550nmにおける吸光度の測定値と、A.G.H. Leaの方法[J. Sci. Food Agric., 26, 471〜477 (1978)]を用いてりんご酒より分離精製してプロシアニジン4量体を標準品として作成した検量線とからプロアントシアニジンを定量した。また抽出液の固形分重量は、プロアントシアニジン含有抽出液の全液量を凍結乾燥して秤量するか、全液量を正確に測定した後、一定量の抽出液(通常5mL)を量りとり、これを加熱乾固(通常88℃−1.5hr及び110℃−2.0hr)した後、デシケーター中で1hr室温に放置してから秤量し、全液量換算して算出した。
【0020】
実験例1
本発明のプロアントシアニジンとして、プロアントシアニジンを主成分とするブドウ種子抽出物を、以下の方法により調製した。得られたブドウ種子抽出物を使用して、実験例2以下の試験を行なった。
まず、ブドウ種子(Vitis vinifera)20重量部に30%(v/v)エタノール80重量部を加え、室温で時々撹拌しながら2週間抽出し、濾過して粗抽出液を得た。これを1/10量まで減圧濃縮し、得られた濃縮液にエタノールを5倍量加え、再び濾過した。ついで、濾液を減圧濃縮した後に分子量分画膜(分画分子量:MW=3000)を用いて限外濾過を行ない、得られた液をそれぞれ凍結乾燥をし、高分子分画をGSE−H及び低分子分画をGSE−Lとした。分画品であるGSE−L及びGSE−Hの分子量は薄層クロマトグラフィー(図1)、GPC分析、NMR分析、質量分析から総合的に判断しGSE−Lは分子量約300〜3000の混合品及びGSE−Hは分子量3000〜10000の混合品であると推定され、いずれの分画もプロアントシアニジン没食子酸エステルが含まれていることが明らかとなった。なお、得られたブドウ種子抽出物の分析値は次の通りであった。
GSE−L(フラバノール含量95%、プロアントシアニジン含量70%)
GSE−H(フラバノール含量96%、プロアントシアニジン含量96%)
【0021】
実験例2
ラット由来好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)からのβ−hexosaminidase遊離抑制試験
<試験方法>
24穴(24 well)の培養プレートにRBL−2H3細胞をまき(2×105 cell/mL)37度で18時間培養後anti−DNP IgE抗体(1μg/mL)を加えて1時間インキュベートして感作した。次にPIPESバッファーで3回洗浄した後、GSE−H, GSE−Lを含むPIPESバッファーまたはPIPESバッファーのみを加えて37度で10分間インキュベート、これに抗原(DNP−HSA,200ng/mL)を加え再び37度で40分間インキュベートした後、各wellより50μlずつ、その後Tritonを加えて細胞を溶解してまた50μgずつ取りβ−hexosaminidaseの基質p−nitrophenyl−2−acetamide−2−deoxy−β−glucopyranosideを含む0.1Mクエン酸バッファー(pH 4.5)200μlと合わせ37度で60分間反応させた。0.2Mグリシンバッファーで反応停止後マイクロプレートリーダーで405nmの吸光度を測定し、細胞内外のβ−hexosaminidase活性を測定した。
【0022】
<結果>
図2に示した通り、ラット由来好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)からのβ−hexosaminidase遊離抑制試験の結果GSE−HはGSE−Lと比較し約10倍脱顆粒抑制活性が強い事が明らかとなった。このことは、脱顆粒によって遊離されるヒスタミン、セロトニン等、炎症起因物質の遊離を抑制する事を意味しており、従って本発明で得られるプロアントシアニジンは抗アレルギー剤及び抗炎症剤としてきわめて有効である。
【0023】
実験例3
ラット由来好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)を用いたCa2+チャンネルを介したCa2+の流入の抑制活性試験
<試験方法>
RBL−2H3細胞縣濁液(1×106 cell/mL)に対して、anti−DNP IgE抗体(1μg/mL)を加えて1時間インキュベートして感作した後、抗原刺激(AG)を行い細胞内Ca2+の変化を蛍光分光光度計で測定した。抗原にはDNP化ヒトアルブミンDNP−HSA(200ng/mL)を、細胞内Ca2+濃度の測定には、Fura−2 AM(3μM)を用いた。
<結果>
図3に示したように、抗原刺激(AG)を行った時の細胞内Ca2+濃度の上昇は、GSE−Hによって強く阻害された。このことはCa2+流入阻害作用が主に高分子画分によることを示している。
【0024】
実験例4
ラット由来好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)中のNO誘起試験
<試験方法>
RBL−2H3細胞縣濁液(1×106 cell/mL)に対して、anti−DNP IgE抗体(1μg/mL)を加えて1時間インキュベートして感作した後、GSE−H、GSE−L、抗原(コントロール)またはバッファー(ブランク)を添加し、添加時における細胞内のNO生成の変化を蛍光分光光度計及び蛍光顕微鏡で観察した。
<結果>
図4に示したように、抗原刺激時には、細胞内NO生成は見られなかった。GSE−L添加時にもほとんど細胞内NO生成は見られなかった。一方GSE−H添加時には明確な細胞内からのNO生成が観察された。
【0025】
実験例5 NOのβ−hexosaminidase遊離抑制試験
<試験方法>
NO発生剤として各濃度のNOR1を用いて実験例2と同様の方法によりβ−hexosaminidase遊離抑制試験を行った。
<結果>
図5に示したように、NOは濃度依存的にβ−hexosaminidase遊離を抑制した。
【0026】
実験例6 本発明に用いられるGSE−Hの急性毒性試験
<試験方法>
使用動物:市販のF344/DuCrjラット雄及び雌[5週令、日本チャールス・リバー(株)販売]
実験方法:「改正 医薬品毒性試験法ガイドライン GLP基準」厚生省(平成元年9月)により、単回投与毒性試験を行った。すなわち、本発明に用いられるGSE−Hを表1の投与量になるように注射用蒸留水に溶解し、胃ゾンデを用いて検体を1回強制的に経口投与し、14日間観察を行い、その後解剖を行った。
【0027】
【表1】
GSE−Hの単回投与毒性試験の試験群
【0028】
<結果>
今回の試験でGSE−Hの雌雄ラットのLD50 値は2g/kg以上(最大限界投与量:OECD医薬品GLPガイドライン)(表2)だったことより、本試験でGSE−Hは安全性上問題ないと判断された。また14日目の剖検においても、組織、臓器の顕微鏡的異常は何ら観察されず、これらのことから毒性は極めて低いと判断された。
【0029】
【表2】
GSE−Hの単回投与毒性試験の死亡率およびLD50
【0030】
実施例1(医薬組成物:経口用錠剤)
配合原料:
(1)GSE−H 60g
(2)マンニット 200g
(3)バレイショデンプン 47g
(4)ステアリン酸マグネシウム 3g
上記(1)と(2)を混合し、これに(3)を10%デンプン糊として加え、粒状化し、これをNo.60メッシュ(B.S.)のふるいを通し、更にNo.16メッシュ(B.S.)のふるいで選別し、この粒子を(4)と混合した後、打錠機で直径10mm、1錠当りの重量が500mgの錠剤とし、本発明のアレルギー若しくは炎症の治療剤(経口用錠剤)とした。
【0031】
実施例2 (医薬部外品:内用液剤)
GSE−H10gに、安息香酸(45%,v/vエタノール)1mL及び精製水を加えて全量を100mLとし、本発明のアレルギー若しくは炎症の予防用の内用液剤とした。
【0032】
実施例3 (化粧品:化粧水)
以下の配合割合(重量%)で混合し全量を100kgとし、本発明のアレルギー若しくは炎症の予防用の化粧水とした。
GSE−H 1
エタノール 9
乳酸 0.2
クエン酸 0.9
ソルビット 4
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
香料 適量
精製水 残余
【0033】
実施例4 (健康食品:カプセル剤)
GSE−H50g、バレイショデンプン50g、乳糖50g及び結晶セルロース10gをよく混和し、カプセルに充填し、1カプセル中に有効成分100mgを含有する、本発明のアレルギー若しくは炎症の予防用カプセル剤とした。
【0034】
実施例5(動物用飼料:粒状ペットフード)
ペットフード配合割合(重量%)小麦粉66、大豆蛋白質16、チーズ6、脂肪3、炭酸カルシウム3、フマール酸1、食塩2、ミネラル類1、プロアントシアニジン 2(GSE−H)上記配合により混合した後、常法により造粒し本発明のアレルギー若しくは炎症の予防用ペットフードを製造した。
【0035】
【発明の効果】
本発明に用いられるプロアントシアニジンは、幅広い分子量分画を持ったプロアントシアニジンの内、分子量3000以上、さらに言えば分子量3000以上10000以下のプロアントシアニジンの肥満細胞及び/又は好塩基球からのヒスタミン、セロトニン等、炎症起因物質の遊離抑制剤であり、抗アレルギー及び抗炎症剤として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 GSE−L及びGSE−Hの重合度分布の定性分析結果を示す図である。
分析条件分析条件
各サンプル100mg/10mL(50%エタノールV/V)
4μl(40μg)スポット
シリカTLC分析(MERCK製No.1.05715.
20cm×20cm、シリカゲル60F254)
展開液:トルエン:アセトン:ギ酸=3:6:1
発色剤:MeOH 1200mL:バニリン 48g:HCl 600mL
【図2】GSE−L及びGSE−Hのラット由来好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)からのβ−hexosaminidase遊離抑制試験結果を示す図である。
【図3】GSE−L及びGSE−Hのラット由来好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)を用いたCa2+チャンネルを介したCa2+の流入の抑制活性試験結果を示す図である。
【図4】GSE−L及びGSE−Hのラット由来好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)中のNO誘起試験結果を示す図である。
【図5】NO発生剤として各濃度のNOR1を用いたNOのβ−hexosaminidase遊離抑制試験結果を示す図である。
Claims (4)
- 以下の(1)〜(5)のステップにより得られ、分子量3,000以上10,000以下のプロアントシアニジン(プロアントシアニジン没食子酸エステルを含有する)を有効成分として含有する抗アレルギー剤であって、抗アレルギー剤が化学伝達物質遊離抑制用、好塩基球脱顆粒阻害用、細胞内カルシウムイオン濃度上昇抑制用、細胞内一酸化窒素誘起用のいずれかであることを特徴とする、抗アレルギー剤。
(1)ブドウ種子、果皮又は果実の搾汁液にエタノールを加え、抽出・濾過した粗抽出液を、減圧濃縮し、
(2)上記(1)で得られた該減圧濃縮液にエタノールを加え、再び濾過し、
(3)上記(2)で得られた該濾過液を、再度、減圧濃縮し、
(4)上記(3)で得られた該減圧濃縮液を分子量分画膜(分画分子量:3,000)を用いて限外濾過を行い、
(5)上記(4)で得られた分子量3,000以上に分画される該限外濾過液を凍結乾燥する。 - 分子量3,000以上10,000以下のプロアントシアニジン(プロアントシアニジン没食子酸エステルを含有する)の有効性分量が、1日当たり50〜1,000mgである請求項1記載の抗アレルギー剤。
- 分子量3,000以上10,000以下のプロアントシアニジン(プロアントシアニジン没食子酸エステルを含有する)の有効性分量が、1日当たり100〜400mgである請求項1記載の抗アレルギー剤。
- 請求項1〜3記載の抗アレルギー剤を有効成分として含有する化粧水。
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