JP5922857B2 - アレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤 - Google Patents

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本発明は、シコニン、アルカニン、および/またはそれらの誘導体を有効成分として含有するアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤、ならびにアトピー性皮膚炎の治療剤および/または予防剤に関する。さらに、本発明は、これらの治療剤および/または予防剤を含む皮膚外用剤、止痒剤、化粧品に関する。
近年アレルギー性疾患が増加し、医療分野のみならず大きな社会問題となっている。この種の疾患としては、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性接触性皮膚炎、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支炎、気管支喘息、食事性アレルギーに伴う消化管異常、アレルギー性結膜炎、アレルギー性角膜炎、金属アレルギー、など広範囲な疾患が含まれる。これらの疾患に対してはステロイド剤、非ステロイド系抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤をはじめ様々な薬剤が治療に用いられている。
また、アレルギー性疾患のうち、アトピー性皮膚炎は、近年急速に患者数が増加しており、時には患部からの出血、患部の紅斑、創傷、痒みを伴う慢性的な皮膚病変を引き起こす。これまでアトピー性皮膚炎に対して様々な治療が模索されてきている。例えば、免疫異常があることから、主として皮膚炎症の沈静化を目的としたステロイド外用剤、あるいは免疫抑制剤の投与が行われている。しかし、ステロイド外用剤には、特に外用剤として顔面に長期にわたって用いた場合に酒さ様皮膚炎を発症する等の様々なきわめて重篤な副作用がある。また、免疫抑制剤も骨髄抑制、胃腸障害、肝障害、間質性肺炎、腎障害、出血性膀胱炎の発症等のきわめて重篤な副作用を有する。
さらに、痒みを抑えるために数多くのヒスタミン拮抗薬や肥満細胞からの化学伝達物質遊離抑制薬のいわゆる抗アレルギー薬が使用されてきた。しかしこれらの薬剤には倦怠感、眠気感等の副作用があり、一部のものには母乳移行性があるため妊婦への使用は禁忌となっている。
また、アトピー性皮膚炎においては角質層が破壊され、皮膚中における水分が正常皮膚に比べ著しく低下している。そのため外来アレルゲンとの皮膚を介した接触機会が増え、病態発症の一因となっている。
インチンコウやジフシといった生薬を組み合わせることにより強力な止痒作用(抗掻痒作用)を発揮し、即効性と持効性を併せ持つ止痒剤が得られ、かかる止痒剤をアトピー性皮膚炎の予防または治療剤に用いることが報告されている(特許文献1)。
シコニンまたはその誘導体は、ムラサキ科ムラサキの根に含まれている化合物である。ムラサキの根は生薬シコンとして古来より漢方で消炎、解熱、解毒剤として内用されている。シコニンが炎症、癌などに影響を与えることが知られている(非特許文献1)。
特開2005−220128号公報 Chen X, Yang L, Oppenheim JJ, Howard MZ., Phytother Res. 2002 May;16(3):199-209
本発明は、副作用が低減し、かつ炎症抑制作用、皮膚の活性化、老化予防作用に優れた、アレルギー性疾患またはアトピー性皮膚炎の治療剤および/または予防剤を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、シコニンがアトピー性皮膚炎動物モデルの皮膚炎における出血、紅斑、創傷等の皮膚損傷を回復させる効果を有し、しかも刺激性が少なく安全性に優れていることを見いだし、本発明を完成した。
本発明は、すなわち以下よりなる。
1.シコニン、アルカニン、および/またはそれらの誘導体を有効成分として含有する、アレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤。
2.アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、前項1に記載の治療剤および/または予防剤。
3.前項1または2に記載の治療剤および/または予防剤を含む、皮膚外用剤。
4.止痒剤としての作用を有する、前項3に記載の皮膚外用剤。
5.前項3または4に記載の皮膚外用剤を含む、化粧品。
本発明のシコニン、アルカニン、および/またはそれらの誘導体を含有するアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤は、アトピー性皮膚炎動物モデルの皮膚炎における出血、紅斑、創傷等の皮膚損傷を回復させ、アレルギー性皮膚炎患者の腫脹、痒み等を軽減化させる効果を有し、しかも刺激性が少なく安全性に優れているという効果を有する。
本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤は、シコニン、アルカニン、および/またはそれらの誘導体が含有されてなるものである。アルカニンは、シコニンの光学異性体である。
シコニン、アルカニン、および/またはそれらの誘導体は、化学合成によって、または天然物から抽出して精製することによって、調製することができる。あるいは、市販品を用いてもよい(例えば、和光純薬、シコニン標準品 191-13331)。シコニン、アルカニン、および/またはそれらの誘導体を、天然物から抽出する場合には、例えば、シコニン、アルカニン、および/またはそれらの誘導体を含有する植物の全体又は一部分(例えば、全草、葉、根、根茎、茎、根皮、花、若しくは果実)をそのまま用いて、又は簡単に加工処理(例えば、乾燥、切断、湯通し、蒸気加熱、若しくは粉末化)したもの(例えば、生薬)を用いて抽出すればよい。抽出条件は一般的に植物抽出に用いられる条件ならば特に制限はない。シコニン、アルカニン、および/またはそれらの誘導体の抽出の材料として、ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon Siebold et Zuccarini)、又はアルネビア・エウクロマ(Arnebia euchroma (Royle) Johnst.)、オノスマ・アルゲンタツム(Onosma argentatum)、アルカネット(Anchusa officinalis LINNE)を例示することができる。好ましくはシコン(紫根:Lithospermi radix;Lithospermum root;ムラサキの根)を用いることができる。
シコニンは、Syk(チロシンキナーゼ)のリン酸化活性および自己リン酸化活性を阻害することにより、抗炎症作用を発揮するものと考えられている。シコニンはSykのリン酸化活性を抑制し、IgE刺激によるヒト好塩基球からのヒスタミン放出を抑制することが示唆されている(Takano-Ohmuro H, Yoshida LS, Yuda Y, Morioka K, Kitani S. Inflamm Res. 2008 Oct;57:1-5)。
本発明においてアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤は、いわゆるアレルギー性疾患に対して効果を有する薬剤を指す。好ましくは本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤は、I型またはIV型アレルギー反応に起因する疾患を対象とする。
本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤はいかなるアレルギー性疾患に対しても使用することができるが、特にI型またはIV型アレルギー反応に起因する疾患の予防及び/または治療に使用することが好ましい。
本発明にいうI型アレルギー反応とは、当分野においてこの用語により理解される意味を有し、典型的には抗原に特異的なIgEの産生の誘導が起こり、この誘導されたIgEに活性化された肥満細胞や好中球からヒスタミン、好酸球遊走因子(ECF-A)、ロイコトリエン、血小板活性化因子(PAF)、トロンボキサンなどの各種のメディエーターが産生され・遊離され、このメディエーターによってアレルギー性炎症が惹起される生体反応を意味する(日経バイオ最新用語辞典 第5版、第42〜44ページ、2002年9月17日、日経BP社発行)。
一方、IV型アレルギーは、遅延型アレルギーともよばれ、抗体によらない反応である。抗原とリンパ球(T細胞)の反応により、ケミカル・メディエーターのリンホカインが放出され、その結果、貪食細胞や白血球が集合し、また血管透過性が高まるなどして炎症反応が起きる(日経バイオ最新用語辞典 第5版、第42〜44ページ、2002年9月17日、日経BP社発行)。
I型アレルギー反応に起因する疾患の例としては、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、湿疹等のアレルギー性皮膚炎、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支炎、気管支喘息、食事性アレルギーに伴う消化管異常、アレルギー性結膜炎、アレルギー性角膜炎などが挙げられる。 IV型アレルギー反応に起因する疾患の例としては、アレルギー性接触性皮膚炎等のアレルギー性皮膚炎、金属アレルギーなどが挙げられる。
本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤は、アレルギー性皮膚炎、花粉症、アレルギー性鼻炎の治療等に用いられることが好ましく、さらにはアトピー性皮膚炎の治療剤および/または予防剤として用いられることが好ましい。
本発明の治療剤および/または予防剤は、特にアトピー性皮膚炎による腫脹、出血、紅斑、創傷等の皮膚損傷を回復させ、痒みを和らげる効果がある。また、刺激に対して敏感な患者に対しても適用できる安全性に優れた使用感の良い外用剤を提供することもでき、重篤な副作用を示すことがない。また、他のアトピー性皮膚炎治療薬、例えば副腎皮質ステロイドホルモン、免疫抑制剤等と併用することにより、これらの重篤な副作用を示す薬剤の使用量を低減することも可能である。また本発明の治療剤および/または予防剤は痒みを和らげることから止痒剤としても使用可能である。
本発明の治療剤および/または予防剤の投与方法は、本発明の治療剤および/または予防剤によるアレルギー性疾患に対する作用が発揮される限りにおいて特に限定されないが、例えば注射(静脈内、皮下、皮内等)による投与、経口および吸入・塗布等の経口的投与並びに経鼻および経皮等の非経口的投与経路が挙げられる。その投与方法は、適用される疾患や部位等によって適宜選択される。本発明の治療剤および/または予防剤は、経皮投与されることが好ましい。
このような投与経路や投与方法に応じて、シコニン、アルカニン、および/またはそれらの誘導体を薬学的に許容される塩と適宜製剤化して、本発明の治療剤および/または予防剤とすることができる。剤型としては、注射剤(溶液、懸濁液、乳濁液、用時溶解用固形剤等)、錠剤、カプセル剤、液剤、顆粒剤、散剤、リポ化剤、吸入散剤や、軟膏剤、硬膏剤、貼付剤、液剤、ローション剤、クリーム剤、エアゾール剤、スプレー剤(噴霧剤)、パスタ剤、ゲル剤、外用散剤、点眼剤等の外用剤が例示される。本発明の治療剤および/または予防剤は、好ましくは皮膚に適用される皮膚外用剤である。
本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤の製剤化には公知の方法を用いることができる。製剤化にあたり、シコニン、その誘導体、および/またはアルカニン(シコニン光学異性体)または薬学的に許容される塩に悪影響を与えず、かつ本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、他の医薬活性成分(ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤、抗菌剤、抗生物質、非ステロイド系抗炎症剤等の薬剤)や、医薬として許容される通常の安定剤、乳化剤、溶解剤、増粘剤、界面活性剤、浸透圧調整剤、pH調節剤等の補助剤を適宜配合することができる。
例えば、本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤を、外用剤としてアレルギー性皮膚炎、特にアトピー性皮膚炎の治療に用いる場合は、通常はシコニン、その誘導体、および/またはアルカニン(シコニン光学異性体)を適当な基剤に混合、溶解、分散等して外用剤を形成し、当該外用剤を塗布、貼付、噴霧等により損傷のある皮膚や粘膜に経皮的に投与する。当該外用剤の剤型は特に限定されないが、上記のように軟膏剤、硬膏剤、貼付剤、液剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、エアゾール剤、スプレー剤(噴霧剤)、パスタ剤、外用散剤、点眼剤等が挙げられる。
外用剤の基剤としては外用剤に通常使用される基剤を用いることができるが、パラベン、ラノリンなどの刺激性のある表示指定成分を含まないものを使用すれば、刺激に対して敏感な患者にも本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤を適用でき、好ましい。
通常使用される基剤としては、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー、ミツロウ、白色ワセリン、プラスチベース、高級脂肪酸または高級アルコール、親水軟膏、バニシングクリーム、親水ワセリン、オイセリン、ネオセリン、吸水軟膏、親水プラスチベース、流動パラフィン、アイソパー、シリコン油、脂肪酸エステル、植物油、スクワラン、多価アルコール脂肪酸エステル、多塩基エステル、アルキルグリセリルエーテル、大豆レシチン、ステアリン酸等が挙げられる。
外用剤の場合、シコニン、その誘導体、および/またはアルカニン(シコニン光学異性体)は、本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤において約0.001〜100μM、好ましくは約0.1〜10μMの濃度となるように基剤に配合される。
また、本発明の投与回数は、1日1回でもよく、1日2〜4回、またはそれ以上の回数に分けて投与することもでき、そのような投与を必要に応じて毎日、あるいは適当な日数をおいて必要な期間投与することができる。
本発明の適用対象動物としては、ヒトを含む哺乳動物(ヒト等の霊長類、犬、猫等の愛玩動物、牛、豚、馬等の家畜等)、鶏等の鳥類が挙げられ、これらの動物の上記のような症状の予防、治療あるいは軽減に使用することができる。
また本発明は、シコニン、その誘導体、および/またはアルカニン(シコニン光学異性体)を含有するアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤を含む化粧品にも及ぶ。本発明において化粧品とは、例えば、ファンデーション、化粧水、化粧用クリーム、乳液、化粧用ジェル、パック剤、歯磨き、整髪料、石鹸、洗剤、シャンプー、リンスなどの化粧料を含む。また、化粧料は液体、固体、ゲル状などの種々の形態で容器に入って製品として提供されるが、本発明においては、かかる製品も化粧品に含まれる。例えば、本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤を化粧品学的に許容される物質と混合した組成物を、ティッシュペーパー等の紙シートに含ませてシート状化粧品を作製することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
シコニン(和光純薬、シコニン標準品 191-13331)とワセリン(丸石製薬、プロペト)を混合して、本発明のアレルギー性疾患の治療剤もしくは予防剤(サンプルA: 10μMシコニン/ワセリン)を調製した。サンプルAは、使用するまで高温、多湿を避けて冷蔵保存した。
(実施例2)
NC/Ngaマウスの抗原能動感作アトピー性皮膚炎モデル(Yamamoto M, Haruna T, Yasui K, Takahashi H, Iduhara M, Takaki S, Deguchi M, Arimura A., Allergol Int. 2007 Jun;56(2):139-48. Epub 2007 May 1)を用いてサンプルAの経皮投与による皮膚炎抑制作用について、皮膚炎重症度スコアを指標にして検討した。対照として、ワセリン(プロペト)のみからなるコントロール剤を用いた。コントロール剤も、使用するまで高温、多湿を避けて冷蔵保存した。
用いたNC/Ngaマウス TndCrlj(雌20匹 日本チャールスリバー株式会社より購入)は、アトピー性皮膚炎の薬理試験で汎用されている動物種および系統である。
購入時は、7週齢であり、皮膚炎惹起開始時は10週齢、サンプルAまたはコントロール剤の投与開始時は15週齢であった。
購入時に一般状態及び外観を観察すると共に体重を測定した。検疫馴化期間は3週間とし、1週間に1回以上一般状態の観察及び体重測定、摂餌量測定を行い、異常のない動物をモデル作製に使用した。購入時に動物の飼育ケージ内での識別を行うために、油性フェルトペンにて尾に識別番号を記入した。ケージの前面に、ケージ番号、試験番号、動物名、週齢、性別、動物番号を表示したラベルを付けた。
アトピー性皮膚炎モデルを以下の手順で作製した(Yamamoto M, Haruna T, Yasui K, Takahashi H, Iduhara M, Takaki S, Deguchi M, Arimura A., Allergol Int. 2007 Jun;56(2):139-48. Epub 2007 May 1)。
(1)初回惹起
NC/Ngaマウスの背部をバリカンや電気シェーバーで毛刈りした後、除毛剤(商品名:エピラット、カネボウ株式会社66GA)を適量塗布して除毛した。除毛剤をふき取った後、コナヒョウヒダニ由来誘発軟膏(ビオスタAD 株式会社ビオスタ) 100 mgをマイクロピペットのチップ裏部で背部に均一に塗布した。
(2)2回目以降惹起
必要に応じてシェーバーで除毛した後、皮膚バリア破壊用試薬(4 %ドデシル硫酸ナトリウム水溶液)150 μlをマイクロピペットで背部に滴下しながらマイクロピペットのチップ裏部で均一に塗布した。その後、ドライヤー(冷風)である程度乾燥させ約2〜3時間自然に乾燥させた後、ビオスタAD 100 mgをマイクロピペットのチップ裏部で背部に均一に塗布した。全ての処理は1週間に2回のペースで行った。3週間、計6回の処理でアトピー性皮膚炎マウスが作製された。
測定した各群の平均皮膚炎重症度スコアが各群で均一(統計的有意差が無し)になるように2群、N=6に群分けした。
マウス飼育室(株式会社オリエンタルバイオサービス 飼育室1105室)にて、へパフィルター付き個別SPF樹脂製飼育ケージを使用して、マウスの飼育を行った。ケージは給餌器とともに2週間に1回以上交換した。1ケージ当たり1〜6匹を飼育した。温度は24℃(許容範囲21〜27℃)、湿度は55%(許容範囲35〜75%)、明暗条件は、午前8時点灯、午後8時消灯の12時間(ただし必要がある場合には点灯)で飼育した。馴化飼育期間中は固型飼料CRF1(オリエンタル酵母工業株式会社)を給餌した。摂餌方法は自由摂取であった。飲水は、水道水を消毒(中空糸膜(ポアサイズ1 μm、オルガノミクロポアー)、中空糸膜(ポアサイズ0.2 μm、オルガノミクロポアーで順次ろ過した後、紫外線照射)して、給水瓶による自由摂取で与えた。給水瓶は週2回以上交換した。飼育室は毎日清掃し、床は1 週間に2 回消毒薬を浸したモップで清拭した。消毒薬には次亜塩素酸ナトリウムおよび逆性石けんを用いた。
サンプルAおよびコントロール剤は、投与必要量を1回で調製し、マウス背部皮膚に100 mg/匹を均一に塗布して経皮投与した。投与は、1日1回で、投与開始後0、1、2、3、4、5、6、7、8、10日目の計10回行った。コントロール剤をマウス番号1〜6(コントロール群)、サンプルAをマウス番号7〜12(シコニン投与群)に投与した。
皮膚炎重症度の確認を、下記の皮膚炎重症度スコア表に基づき、目視にてスコア付けを行った。スコアの確認は、被験物質投与開始後0、3、7および10日目に行った。
<皮膚炎重症度スコア表>
(1)発赤・出血:背中の発赤および出血症状を観察する
0 : 無症状;背中に発赤および出血症状が認められない状態
1 : 軽度;背中に発赤が局所的に認められ、連続的な擦傷に伴う出血が認められない状態
2 : 中等度;背中に発赤が散在的に認められるか、連続的な擦傷に伴う出血が認められない状態
3 : 重度;背中に発赤が全体的に認められるか、連続的な擦傷に伴う出血が認められる状態
(2)痂皮形成・乾燥:背中の痂皮形成および乾燥症状を観察する
0 : 無症状;背中に痂皮形成および乾燥症状なし
1 : 軽度;背中に局所的に認められ、皮膚がわずかに白色化し、角質の剥離がわずかに認められる状態
2:中等度;背中に散在的に認められるか、明らかに角質の剥離が認められる状態
3:重度;背中に痂皮が全体的に認められるか、明らかに角質の剥離が認められる状態
(3)浮腫:耳介の浮腫を定性的に観察する
0 : 無症状;左右の耳介に厚みが認められない状態
1 : 軽度;左右のどちらか1方にわずかに厚みが認められる状態
2 : 中等度;いずれの耳介にも明らかな厚み、張りが認められる状態
3 : 重度;いずれの耳介にも明らかな厚み、張りおよび反りが認められ、指で触れた時に硬さが感じられる状態
(4)傷・組織欠損:耳介の擦傷および組織欠損症状を観察する
0 : 無症状;耳介に擦傷および組織欠損症状が認められない状態
1 : 軽度;耳介に連続的でない擦傷が認められ、組織欠損は認められない状態
2 : 中等度;耳介に小規模に連続的な擦傷が認められ、組織欠損は認められない状態
3 : 重度;耳介に連続的な擦傷が認められ、組織欠損が認められる状態
(結果)
サンプルAの経皮投与試験における皮膚炎重症度スコアの変化を上記スコア表に基づき、目視にて行った。上記スコア表(1)〜(4)のスコアの合計を、皮膚炎重症度スコアとした。皮膚炎重症度スコアの変化を表1および図1に示す。また、塗布後7日目のマウスの写真を図2に示す。
サンプルA塗布後3日目、7日目および10日目の皮膚炎重症度スコアを、サンプルA塗布前(0日目)と比較した。7日目および10日目の皮膚炎重症度スコアにおいてサンプルA塗布前(0日目)に比べて、有意な改善が観察された。一方、対照群(コントロール)では、塗布前後で改善効果はみられなかった。
(実施例3)
アレルギー性皮膚炎を発症しているヒトの手に、サンプルAを2ヶ月使用した。該ヒトは、アレルゲンの暴露を避けることができず、腫脹、かゆみを伴った長期にわたる重篤な皮膚炎に悩んでいた。サンプルAの塗布は、一日平均5〜6回行った。従前は、リンデロンDP軟膏(ステロイド、塩野義製薬)とプロトピック軟膏0.1%(免疫抑制剤、アステラス)を使用していた。
結果を図3に示す。上がサンプルA使用開始日の写真であり、下が2ヵ月使用後の写真である。以前使用していたプロトピック軟膏は効果なく、リンデロン軟膏は少し効果があった。両軟膏を使用していた期間には、皮膚がガチガチに固くなり、はがれてはまた悪化する症状を繰り返していた。サンプルAでは、リンデロン軟膏の場合と比較するとより効果があるように思われた。また、従前のプロトピック軟膏及びリンデロン軟膏を使用していた際は、時々非常に強い痒みがあったが、サンプルAを使用したところ痒みがなくなった。さらに、腫脹が改善し、皮膚は弾性を取り戻し柔らかくなった。
本発明のシコニンまたはその誘導体、またはアルカニン(シコニンの光学異性体)が含有されてなる抗アレルギー治療剤および/または予防剤は、痒みを和らげることができ、炎症抑制効果があり、副作用の少ない、優れた外用剤となりうる。また、本発明の抗アレルギー治療剤および/または予防剤は、腫脹を改善する優れた皮膚外用剤としても利用可能である。
皮膚炎重症度スコアの変化を示す図である。(実施例2) アトピー性皮膚炎モデルマウスにおける、皮膚炎スコアの変化を示す写真である。(実施例2) ヒトアレルギー性皮膚炎に対する本発明の治療剤および/または予防剤の効果を示す写真である。(実施例3)

Claims (2)

  1. シコニンを有効成分として、0.1μM〜100μMの濃度で含有する、アトピー性皮膚炎の治療用および/または予防用の外用剤。
  2. 止痒剤としての作用を有する、請求項に記載の外用剤。
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