JP4725907B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッド部に設けられたタイヤ周方向に延びる主溝と、前記タイヤ周方向に所定間隔をもって形成され、前記主溝と交差する副溝とを有する空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる空気入りタイヤの従来技術を図4により説明する。このタイヤは、路面と接触するトレッド部10を有しており、トレッド部10にはタイヤ周方向Aに沿って複数本の主溝11が形成されている。この主溝11は、タイヤトレッド面と路面との接触時に起こる打撃音(パターンノイズ)を低減する目的で設けられているが、主溝11のみを設けた完全なリブ基調にすると、リブの部分(陸部)の剛性が高くなり、接地性が悪化する。そこで、主溝11に直交する横溝12をタイヤ周方向Aに沿って所定間隔で設けている。この横溝12は、タイヤ幅方向Bに沿って延びており、その一端部12aは主溝11に対して開放されており、他端部12bは閉塞されている。他端部12bを閉塞しているのは、他端部12bも一端部12aと同じように開放してしまうと、打撃音が大きくなるためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、横溝11の他端部12bを閉塞しているため、タイヤ幅方向Bにおける排水性が悪化していた。すなわち、雨天時の走行においては、主溝11にたまる水の排水性を良くしないと、走行性能を良好にすることができない。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、打撃音の低減効果を維持しながらも排水性を改善した空気入りタイヤを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係る空気入りタイヤは、
トレッド部に設けられたタイヤ周方向に延びる主溝と、
前記タイヤ周方向に所定間隔をもって形成され、前記主溝と交差する副溝とを有する空気入りタイヤであって、
前記副溝は、第1の溝深さと第1の溝幅を有する第1副溝と、
前記第1の溝深さよりも深さの浅い第2の溝深さと、前記第1の溝幅よりも幅の広い第2の溝幅とを有する第2副溝とがタイヤ幅方向に沿って連接して設けられていることを特徴とするものである。
【0006】
この構成による空気入りタイヤの作用・効果は、以下の通りである。
まず、タイヤのトレッド部には、タイヤ周方向に延びる主溝と、この主溝と交差する副溝とを有している。そして、この副溝は、第1副溝と第2副溝とが連接されて構成されている。この第1副溝は、従来技術で説明した横溝に対応する溝であるが、片側が閉塞されておらず、第1副溝に連接して第2副溝を設けているので、溝としてはその両端部が主溝に対して開放されている。したがって、雨天時走行における排水性は改善される。また、第2副溝の溝深さは、第1副溝の溝深さよりも浅くなっている。深さを浅くすることにより、打撃音の低減効果を悪化させないようにすることができる。さらに、第2副溝の溝幅は第1副溝の溝幅よりも大きくなっているので、第1副溝と同程度の排水性を持たせることができる。
【0007】
その結果、打撃音の低減効果を維持しながらも排水性を改善した空気入りタイヤを提供することができる。
【0008】
本発明の好適な実施形態として、前記トレッド部の接地面と、前記第2副溝の溝幅両端部をなめらかな曲面でつなげて構成しているものがあげられる。
【0009】
トレッド部の接地面(いわゆる陸部)と、第2副溝の溝幅両端部を滑らかな曲面(例えば、R面)でつなげることにより、打撃音に対する低減効果をより改善することができる。滑らかな曲線とすることにより、この部分が振動しにくくなるからである。
【0010】
本発明の別の好適な実施形態として、前記第1副溝の方が前記第2副溝よりもタイヤ幅方向の中央側に位置するように連接されているものがあげられる。
【0011】
これにより、タイヤ幅方向の中央から外側に向けて排水することができる。したがって、排水性を良好にすることができる。
【0012】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記第1の溝深さをa、前記第2の溝深さをbとすると、
a×0.2<b<a×0. 6
の関係を満たすものがあげられる。
【0013】
b≦a×0.2 の場合は、溝深さが浅すぎるために、良好な排水性を維持することができない。また、b≧a×0. 6 の場合は、溝深さが深くなりすぎて、打撃音が大きくなるという問題が発生する。よって、上記式を満たすようにa,bを設定することにより、排水性と打撃音低減効果の双方をバランスよく維持することができる。
【0014】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記タイヤ幅方向視における第1副溝の断面積をSa、第2副溝の断面積をSbとすると、
0.3<Sa/Sb<1.3
の関係を満たすものがあげられる。
【0015】
Sa/Sb≦0.3 の場合は、第1副溝の断面積が小さすぎるため、排水性が悪くなる。Sa/Sb≧1.3 の場合は、パターンノイズ性能が悪くなる。よって、上記関係式を満たすことにより、排水性とパターンノイズ性能を両立することができる。
【0016】
本発明の更に別の好適な実施形態として、タイヤ幅方向に沿った第1副溝の溝長さをLa、第2副溝の溝長さをLbとすると、
0.1<Lb/La<0.5
の関係を満たすものがあげられる。
【0017】
この関係を満たさない場合は、排水性と接地性が悪化する傾向がある。よって、上記関係式を満たすことにより、排水性と接地性を改善することができる。
なお、最も好ましいのはLb/La=0.2である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる空気入りタイヤの好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、空気入りタイヤのトレッド部の構成を部分的に示す一部断面斜視図である。図2は、図1に示すトレッド部の平面図である。図3は、図2のC−C矢視図である。
【0019】
図1において、矢印Aはタイヤ周方向、矢印Bはタイヤ幅方向を示す。トレッド部1には、タイヤ周方向Aに沿って複数本の主溝2が形成されている。また、複数本の主溝2のうち、タイヤ幅方向Bのちょうど中央に位置する主溝に符号2aを付している。また、各主溝2と直交する副溝3を有し、副溝3は、タイヤ周方向に沿って所定間隔をもって多数形成されている。
【0020】
図1等からも分かるように、副溝3は、第1副溝30と第2副溝31とがタイヤ幅方向Bに沿って連接して設けられている。第1副溝30の深さa(第1の溝深さ)は、第2副溝31の深さb(第2の溝深さ)よりも深くなっている(図3参照)。また、第1副溝30の深さbは、主溝2の深さと同じ又はほぼ同じである。ただし、これに限定されない。さらに、第1副溝30の溝幅Ha(第1の溝幅)よりも第2副溝31の溝幅Hb(第2の溝幅)のほうが広くなっている。また、第1副溝30のタイヤ幅方向Bに沿った溝長さLaの方が、第2副溝31の溝長さLbよりも長くなっている。さらに、第1副溝30のタイヤ幅方向視の断面積Saと第2副溝31の断面積Sbとは、所定の関係を満たすようになっている。
【0021】
以上のように説明した主溝2及び副溝3の各部の寸法関係について説明する。まず、第1副溝30の深さaと、第2副溝の深さbは、次の関係式(1)を満たすことが好ましい。
【0022】
a×0.2<b<a×6・・・(1)
b≦a×0.2 の場合は。溝深さが浅すぎるために、良好な排水性を維持することができない。また、b≧a×0. 6 の場合は、溝深さが深くなりすぎて、打撃音(いわゆる、パターンノイズ)が大きくなるという問題が発生する。よって、上記式を満たすようにa,bを設定することにより、排水性と打撃音低減効果の双方をバランスよく維持することができる。
【0023】
また、第1副溝30の断面積Saと第2副溝31の断面積31とは、次の関係式(2)を満たすことが好ましい。
【0024】
0.3<Sa/Sb<1.3・・・(2)
の関係を満たすものがあげられる。
【0025】
Sa/Sb≦0.3 の場合は、第1副溝の断面積が小さすぎるため、排水性が悪くなる。Sa/Sb≧1.3 の場合は、パターンノイズが悪くなる。よって、上記関係式を満たすことにより、排水性とパターンノイズ性能とを両立することができる。
【0026】
第1副溝30の溝長さLaと、第2副溝31の溝長さLbとは、次の関係式(3)を満たすことが好ましい。
【0027】
0.1<Lb/La<0.5・・・(3)
この関係を満たさない場合は、排水性と接地性が悪化する傾向にある。よって、上記関係式を満たすことにより、排水性と接地性を改善することができる。なお、最も好ましいのはLb/La=0.2である。
【0028】
第1副溝30の断面形状についてもう少し詳細に述べると、溝の上部の幅Haに比べて溝の底部の幅Ha’は、わずかに小さくなっており、溝の側壁はわずかなテーパ面として形成される(図3参照)。第2副溝31の断面形状のうち、トレッド部1の接地面1a(陸部)とのつなぎの部分31a(溝幅両端部に相当する。)は、滑らかな曲面でつなげるのが好ましい。図3の例では、R形状でつなげている。滑らかな曲面で接地面1aと溝幅両端部をつなぐことにより、打撃音に対する低減効果を改善することができる。また、第2副溝31の溝底部分の両端部31bについても滑らかな曲面(例えば、R面)でつなげている。
【0029】
図2に分かりやすく説明するように、第1副溝30と第2副溝31を連接する場合に、第1副溝30の方がタイヤ幅方向の中心側に配置されるように連接することが好ましい。すなわち、 トレッドパターンはタイヤ幅方向の中央の主溝2aに対して対称となる。これにより、本発明による空気入りタイヤが雨中の路面を走行する場合に、タイヤ幅方向の中央から外側に向けて排水を行うことができる。これにより、排水性を良好に保持することができる。
【0030】
<実験結果>
次に本発明による空気入りタイヤと、従来技術による空気入りタイヤの性能を比較して説明する。下記表に実験結果を示す。
【0031】
実験に使用したタイヤサイズは、195/65R15である。使用したリムは、15×6JJである。テスト車両は、国産2000cc4ドアセダンである。テストドライバー2名により官能評価を行い、その結果を指数で表わした。上記表中において、ノイズとあるのは、打撃音の評価である。また、WETとあるのは、ぬれた路面でハンドルを切ったときの応答性である。指数は、大きいほど性能が優れていることを示す。上記表からも分かるように、打撃音に関しては、ほぼ同じ評価であるが、WET特性は本発明によるタイヤの方が優れていることが分かる。これは、副溝の形状を工夫することにより、打撃音に対する低減効果を維持しながらも、排水特性が改善された結果であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気入りタイヤのトレッド部の構成を部分的に示す一部断面斜視図
【図2】図1に示されるトレッド部の平面図
【図3】 図2のC−C矢視図
【図4】 従来技術にかかるトレッド部の構成を示す図
【符号の説明】
1 トレッド部
2 主溝
3 副溝
30 第1副溝
31 第2副溝
A タイヤ周方向
B タイヤ幅方向
Claims (6)
- トレッド部に設けられたタイヤ周方向に延びる主溝と、
前記タイヤ周方向に所定間隔をもって形成され、前記主溝と交差する副溝とを有する空気入りタイヤであって、
前記副溝は、第1の溝深さと第1の溝幅を有する第1副溝と、
前記第1の溝深さよりも深さの浅い第2の溝深さと、前記第1の溝幅よりも幅の広い第2の溝幅とを有する第2副溝とがタイヤ幅方向に沿って連接して設けられていることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記トレッド部の接地面と、前記第2副溝の溝幅両端部をなめらかな曲面でつなげて構成していることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第2副溝の方が前記第1副溝よりもタイヤ幅方向の中央側に位置するように連接されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第1の溝深さをa、前記第2の溝深さをbとすると、
a×0.2<b<a×0. 6
の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。 - 前記タイヤ幅方向視における第1副溝の断面積をSa、第2副溝の断面積をSbとすると、
0.3<Sa/Sb<1.3
の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。 - タイヤ幅方向に沿った第1副溝の溝長さをLa、第2副溝の溝長さをLbとすると、
0.1<Lb/La<0.5
の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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