JP4724276B2 - 作業車用ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業車用ブレーキ制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホイール式の自走クレーンやパワーショベル等を始めとする作業車は、上部旋回体と下部走行車両とがロータリーシールを介して連結され、上部旋回体側に操縦席が設けられている。かかる作業車のブレーキシステム100を図6に示す。
【0003】
図6は、前輪側と後輪側の二系統からなるブレーキシステム100の一般的な構成を簡略化して示している。このブレーキシステム100は、二つの前輪113の制動を行う油圧式ディスクブレーキ(図示略)と、このブレーキの作動を付勢するフロントブレーキ用ブースタ109と、二つの後輪114の制動を行う油圧式ディスクブレーキ(図示略)と、このブレーキの作動を付勢するリアブレーキ用ブースタ110と、作業車のエンジンにより駆動しエアを送出するコンプレッサ108と、このコンプレッサ108からフロントブレーキ用ブースタ109までを連絡する第一の経路116と、コンプレッサ108からリアブレーキ用ブースタ110までを連絡する第二の経路117と、各経路116,117の途中においてコンプレッサ108からの送出エアを貯留するフロントブレーキ用エアタンク103,リアブレーキ用エアタンク104と、前輪113に比べて後輪114の制動力を低減するための減圧バルブ107と、前後輪の制動動作の制御を行うブレーキ制御装置101とを備えている。また、符号Rはロータリーシールである。
【0004】
さらに、ブレーキ制御装置101は、運転者の踏み込み操作により一定の範囲内を移動するブレーキペダル115と、コンプレッサ108からの送出エアを利用してブレーキペダル115の移動操作量に応じたパイロット圧力を出力するデュアルブレーキバルブ102と、フロントブレーキ用エアタンク103からフロントブレーキ用ブースタ109に供給される作動圧力をデュアルブレーキバルブ102からのパイロット圧力に比例した圧力に調節する第一のリレーバルブ105と、リアブレーキ用エアタンク104からリアブレーキ用ブースタ110に供給される作動圧力をデュアルブレーキバルブ102からのパイロット圧力に比例した圧力に調節する第二のリレーバルブ106と、を備えている。
【0005】
ここで、運転者がブレーキペダル115を踏み込むと、その踏み込み操作量に応じてデュアルブレーキバルブ102が開き、2系統の配管を構成する一方の配管111および他方の配管112を介して第一のリレーバルブ105および第二のリレーバルブ106に操作量に比例した操作圧力でエアが供給される。このとき、デュアルブレーキバルブ102から一方の配管111および他方の配管112に送出されるエアの圧力は同圧であるが、配管112の途中には減圧バルブ107を設けているので、第二のリレーバルブ106に供給されるエア圧力は第一のリレーバルブ105に比べると低い値となる。
【0006】
この結果、一方および他方の配管111,112から供給されるエアの圧力、要するに、ブレーキペダル115の操作量に比例して第一のリレーバルブ105および第二のリレーバルブ106が開かれ、各々のリレーバルブ105,106の開度に比例した圧力のエアがブレーキ用エアタンク103,104から各ブースタ109,110に供給され、各ブレーキ用ブースタ109,110の各々がフロント用およびリア用の油圧式ディスクブレーキを作動させて、フロントホイール113,113とリアホイール114,114に制動をかけることになる。このとき、第二のリレーバルブ106に供給される圧力は第一のリレーバルブ105に比して小さいので、リアホイール114,114の制動力を小さいものとなる。
【0007】
上述したブレーキ制御装置101は、コンプレッサ108から分岐した配管からエアの供給を受け、その空圧により各リレーバルブの開度調節を行うことでブレーキの制動力の調節を行っているが、空圧に替えて油圧や電気信号を利用して制動力の調節を行う構成も考えられる。
【0008】
油圧を利用したブレーキ制御装置にあっては、空圧に比較して高い応答性を有するという利点がある。しかし、上部旋回体に運転席を有するような作業車に油圧の制御装置を使用すると、ロータリーシールを介して圧油の流通を行わねばならず、油圧回路には圧油の回収用の経路が不可欠であるため、ロータリーシールの付近の構造が複雑となるので、かかる作業車には不向きであった。これに対して空圧の制御装置は余剰のエアを大気中に排気できるので、油圧のような不都合は生じない。
【0009】
また、電気信号を利用する制御装置にあっては、油圧以上に高い応答性を有しているが、使用による劣化に伴い何の前触れもなく断線を発生する恐れがあり、断線するとその瞬間から制御不能となるのでバックアップ回路を厳重に設けなければならず、やはり作業車には不向きであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記観点から考えると、作業車,特に上部旋回体を備えると共に当該旋回体に運転席を有するものについては空圧式のブレーキ制御装置が好適であり、そのニーズが高かった。
【0011】
しかしながら、上記従来の空圧式のブレーキ制御装置101は、操作情報の伝達媒体であるエアが収縮性を備えているので、上部旋回体側からロータリーシールを介して下部走行車両側のブレーキ装置の制御を行うようなパイロット圧力の伝達管路が長くなる場合には、油圧や電気信号に比較して応答性が若干劣っていた。また、配管111,112は、ブレーキペダル115を中立に戻してもブレーキが効いたままとならないように、当該ブレーキペダルを戻すとエア抜きがされて大気圧に戻るようになっていた。
【0012】
図7は、ブレーキ操作時におけるブレーキ制御装置101のパイロット圧力の時間変化V1と各ブレーキ用ブースタに入力される作動圧力の各時間変化V2とを示す線図である。実際はパイロット圧力と作動圧力の各最大値は異なるがここでは説明の便宜のため等しくなるように図示している。
【0013】
この図7に示すように、ブレーキペダルを最大操作量まで踏み込んだ場合、作動圧力は踏み込みとほぼ同時に立ち上がるがその傾き量は小さく、最大作動圧力に至るまでに遅れを生じることが分かる。この遅れは、ブレーキペダルを一旦中立位置(全く踏み込み動作を行っていないときのブレーキペダルの位置,原位置)まで戻した直後に再度踏み込んだ場合にはより顕著なものとなる。
【0014】
実際の操作時において、上記遅れは作業車の走行に影響が生じるほどの大きさではなく、むしろブレーキペダルの踏み込みにブレーキがシビアに追従する場合と比較して操作が馴染みやすいとの評価もある。
【0015】
しかし、緊急時のように、作業車の急制動を行う必要が生じた場合に関してはブレーキペダル−ブレーキ用ブースタ間の応答性は高い方が望ましい場合もあり、空圧のブレーキ制御装置ではその点について改良が図られてないという不都合があった。
【0016】
【発明の目的】
本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、空圧式の利点を備えつつも非常時には高い応答性で制動を行わしめるブレーキ制御装置を提供することを、その目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明では、作業車に設けられ,入力される作動圧力に応じた制動力で走行輪の制動を行うブレーキ装置の制御装置であって、運転者の踏み込み操作により一定の範囲内を移動するブレーキペダルと、このブレーキペダルの移動操作量に応じた圧力を出力する操作量出力部と、この操作量出力部からの出力圧力に応じてブレーキ装置に入力される作動圧力を調節する作動圧調節部と、を備えている。上記操作量出力部は、その出力圧力を空圧としている。
【0018】
さらに、踏み込み方向最深部近傍まで踏み込まれたブレーキペダルが当接する位置に配置され、外部からの押し込み操作を検知すると所定の電気信号を出力する電気信号出力部と、電気信号を受けて,作動圧調節部による調節の制限を受けない作動圧力をブレーキ装置に伝達する圧力伝達部と、前記電気信号出力部と前記圧力伝達部との間を中継するように配置され、前記操作量出力部から出力される圧力の上昇を検知した場合に限って前記電気信号出力部と前記圧力伝達部との間の電気信号の流れを許容する接点を有するスイッチとを備えている。
【0019】
上記構成では、通常走行時のブレーキ操作においては、ブレーキペダルを運転者が踏み込むと、操作量出力部がブレーキペダルの移動操作量に応じた圧力を出力する。これを受けて作動圧調節部では、操作量出力部の出力圧力に応じた作動圧力をブレーキ装置に付勢する。ブレーキ装置ではこの作動圧力に応じて制動を行う。従って、ブレーキペダルの操作量に応じた制動力で作業車の制動が行われる。
【0020】
次に、緊急時において運転者が急制動を行った場合には、ブレーキペダルは勢い良く踏み込まれるので最深度に到達し、ブレーキペダルが電気信号出力部に当接する。すると、電気信号出力部が外部からの押し込み操作を検知して、電気信号を出力する。これにより、踏み込み当初は操作量出力部がブレーキペダルの移動操作量に応じた圧力を出力し、これに応じて作動圧調節部でも、操作量出力部の出力圧力に応じた作動圧力をブレーキ装置に付勢する。そして、踏み込み量が最大深度近傍に至ると電気信号出力部の電気信号を受けて圧力伝達部が作動圧調節部による調節の制限を受けない作動圧力をブレーキ装置に伝達する。ここでいう制限を受けない作動圧力とは通常走行時においてブレーキ装置が受け得る最大の作動圧力をいう。
【0021】
従って、ブレーキペダルが最大深度に至ると作動圧力が最大値まで急激に立ち上がり、空圧に固有の伝達遅れを生じることなく作業車の走行の制動が最大の制動力で行われる。
また、電気信号出力部と圧力伝達部との間を中継するように配置されたスイッチが電気信号出力部と圧力伝達部との間の電気信号の流れを許容するのは、操作量出力部から出力される圧力の上昇が検知された場合、つまり、ブレーキペダルが実際に移動操作された場合に限られるので、ブレーキペダルが踏み込まれていない状態で電気信号出力部がON状態となって誤ってブレーキ装置が作動したり、落下物等や振動,衝撃等に起因して電気信号出力部が外部からの押し込み操作を不用意に検知して作動圧調節部による調節の制限を受けない作動圧力がブレーキ装置に伝達されるといった不都合を防止することができる。
【0022】
本発明は、上述した各構成によって前述した目的を達成しようとするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図1乃至図3に基づいて説明する。本実施形態は、上部旋回体と下部走行車両とがロータリーシールを介して連結され、上部旋回体側に操縦席が設けられている作業車に好適なブレーキシステム50であり、図1はその概略構成を示すブロック図である。
【0024】
このブレーキシステム50は、二つの前輪13の制動を行うブレーキ装置と、二つの後輪14の制動を行うブレーキ装置と、作業車のエンジンにより駆動しエアを送出するコンプレッサ8と、このコンプレッサ8から前輪側のブレーキ装置までを連絡する第一の経路16と、コンプレッサ8から後輪側のブレーキ装置までを連絡する第二の経路17と、各経路16,17の途中においてコンプレッサ8からの送出エアを貯留するフロントブレーキ用エアタンク3,リアブレーキ用エアタンク4と、前輪13に比べて後輪14の制動力を低減するための減圧バルブ7と、前後輪の制動動作の制御を行うブレーキ制御装置15とを備えている。また、符号Rはロータリーシールである。
【0025】
上記前輪側のブレーキ装置は、二つの前輪13の制動を行う油圧式ディスクブレーキ(図示略)と、このブレーキの作動を付勢するフロントブレーキ用ブースタ9とから成り、後輪側のブレーキ装置は、二つの後輪14の制動を行う油圧式ディスクブレーキ(図示略)と、このブレーキの作動を付勢するリアブレーキ用ブースタ10とから構成されている。
【0026】
上記第一の経路16は、コンプレッサ8からフロントブレーキ用エアタンク3,後述する第一のリレーバルブ5を介してフロントブレーキ用ブースタ9までを連絡している。また、第二の経路17は、コンプレッサ8から減圧バルブ7,リアブレーキ用エアタンク4,後述する第二のリレーバルブ6を介してリアブレーキ用ブースタ10までを連絡している。
【0027】
上記コンプレッサ8は、フロントブレーキ用エアタンク3及びリアブレーキ用エアタンク4に同時にエアの供給を行っている。このコンプレッサ8とリアブレーキ用エアタンク4との間には減圧バルブ7が設けられているので、リアブレーキ用エアタンク4はフロントブレーキ用エアタンク3に比して低い圧力に維持される。なお、減圧バルブ7を設ける代わりに、フロントブレーキ用エアタンク3に一定圧力のリリーフ弁を設けると共にリアブレーキ用エアタンク4にはより低い圧力のリリーフ弁を設ける構成としても良い。
【0028】
各ブレーキバルブ9,10は同一構造同一特性のものが使用され、入力される作動圧力(空圧)に比例する付勢圧力(油圧)で各々の油圧ブレーキの制動を付勢する。上述の如く、リアブレーキ用エアタンク4はフロントブレーキ用エアタンク3よりも低い圧力に設定されているので、制動時においては後輪14の方が低い制動力で制動される。
【0029】
次に、ブレーキ制御装置15について説明する。このブレーキ制御装置15は、 運転者の踏み込み操作により一定の範囲内を移動するブレーキペダル1と、このブレーキペダル1の移動操作量に応じたパイロット圧力を出力する操作量出力部18と、この操作量出力部18からのパイロット圧力に応じて前輪側のブレーキ装置に入力される作動圧力を調節する作動圧調節部としての第一のリレーバルブ5と、この操作量出力部18からのパイロット圧力に応じて後輪側のブレーキ装置に入力される作動圧力を調節する作動圧調節部としての第二のリレーバルブ6と、ブレーキペダル1がその移動範囲内の踏み込み方向最深部近傍まで踏み込まれると所定の電気信号を出力する電気信号出力部としてのリミットスイッチ機構19と、リミットスイッチ機構19からの電気信号を受けて,第一のリレーバルブ5による調節の制限を受けない作動圧力をフロントブレーキ用ブースタ9に伝達する第一の圧力伝達部20と、リミットスイッチ機構19からの電気信号を受けて,第二のリレーバルブ6による調節の制限を受けない作動圧力をリアブレーキ用ブースタ10に伝達する第二の圧力伝達部21と、作業車の走行輪の制動状態を検出し,ブレーキランプ32の点灯を促す電気信号を出力する点灯信号出力部としての点灯スイッチ22と、を備えている。
【0030】
まず、上記操作量出力部18は、フロントブレーキ用エアタンク3の圧縮エアを第一のリレーバルブ5にパイロット圧力として導く第一の配管11と、リアブレーキ用エアタンク4の圧縮エアを第二のリレーバルブ6にパイロット圧力として導く第二の配管12と、これら各配管11,12の途中に設けられたデュアルブレーキバルブ2とを有している。
【0031】
このデュアルブレーキバルブ2は、各エアタンク3,4の圧縮エアにより一方に押圧されたスプールと、当該スプールを圧縮エアの圧力に抗してブレーキペダル1により押し込むことで開度が変化する二つの流路とを備えている。一方の流路は第一の配管11のエアタンク3側とリレーバルブ5側とを中継し、他方の流路は第二の配管12のエアタンク4側とリレーバルブ6側とを中継する。これら各流路はブレーキペダル1が無操作状態では閉じられており、踏み込むと共に徐々に開かれる。また、デュアルブレーキバルブ2はブレーキペダル1が無操作状態のときには、第一の配管11のリレーバルブ5側と第二の配管11のリレーバルブ6側とを大気に開放する。即ち、ブレーキペダル1が踏まれていないときには、各配管11,12のデュアルブレーキバルブ2よりも下流側が大気圧に保たれるようになっている。従って、ブレーキペダル1を元に戻した後においては各車輪13,14の制動状態が解除される。
【0032】
第一のリレーバルブ5は、前述した第一の経路16のフロントブレーキ用エアタンク3とフロントブレーキ用ブースタ9との間に設けられ、そのバルブ開度を変えることでブースタ9の作動圧力を調節する。また、第二のリレーバルブ6は、前述した第二の経路17のリアブレーキ用エアタンク4とリアブレーキ用ブースタ10との間に設けられ、そのバルブ開度を変えることでブースタ10の作動圧力を調節する。
【0033】
さらに、第一(第二)のリレーバルブ5(6)は、自らの開度を調節するためのパイロット圧力を第一(第二)の配管11(12)から入力される。各リレーバルブ5,6は、パイロット圧力が大気圧のときには閉じられており、大気圧から上昇すると、その上昇量に比例して徐々に開かれるようになっている。
【0034】
従って、ブレーキペダル1が踏み込まれると、デュアルブレーキバルブ2及び各リレーバルブ5,6を介して、踏み込み量に比例した作動圧力が各ブレーキ用ブースタ9,10に付勢され、踏み込み量に比例した制動力が各車輪13,14に作用することとなる。
【0035】
次にブレーキペダル1について図1及び図2に基づいて説明する。図2は作業車の運転席内における配設状態を示した説明図である。作業車の運転席は、床板23とその床面上における運転者からみて正面となる位置に壁板24が立設されている。
【0036】
ブレーキペダル1はその踏み込み操作により壁板24に対して接離自在となるように保持部25に保持されている。この保持部25は、壁板上に固定装備された基部26と、この基部26により水平方向を軸として基端を回動自在に支持されたアーム部27とを備えている。また壁板24には前述したデュアルブレーキバルブ2が配備されており、このデュアルブレーキバルブ2のスプールと連動する突起部2aが、アーム部27の基端近傍に設けられた突起27aと当接している。そして、アーム部27がその回動により突起部27aを介してデュアルブレーキバルブ2の当接部2aを押し込むようになっている。デュアルブレーキバルブ2は前述したようにスプールが各ブレーキ用エアタンク3,4の圧縮エアの空圧で一定方向に押圧されており、この押圧方向が当接部2aを介して突起部27aを図2における左方向に押し返す方向となるようにデュアルブレーキバルブ2は壁板24上に固定されている。
【0037】
ブレーキペダル1は、アーム部27の先端部に支持されており、当該アーム部27の回動により壁板24に対する接離を自在としている。一方、アーム部27は、その突起部27aがデュアルブレーキバルブ2の当接部2aを押圧する関係上回動可能な範囲が一定に制限されている。即ち、図2における実線で表した位置から二点差線で表した位置までがその回動可能範囲である。従って、ブレーキペダル1も同様にその範囲で壁板24に対して接離が可能である。符号Hは運転者の踏み込み操作によりブレーキペダル1が接離移動する範囲を示している。
【0038】
さらに、上記壁板24上には、リミットスイッチ機構19が配備されている。このリミットスイッチ機構19は、マイクロスイッチ19aとブレーキペダル1の踏み込み動作によりマイクロスイッチ19aをON状態にする伝達部19bとを備えている。
【0039】
この伝達部19bは、壁板24上において、ブレーキペダル1が壁板24側へ移動すると当接する位置に配置されている。ブレーキペダル1は、運転者に踏み込まれる過程においてその途中で伝達部19bに当接する。伝達部19bはブレーキペダル1がさらに移動範囲Hの押し込み方向(図2の右方向)のほぼ最深部まで押し込まれることでマイクロスイッチ19aをON状態にし、当該マイクロスイッチ19aから電気信号が出力される。
【0040】
このリミットスイッチ機構19はブレーキペダル1が押し込み方向最深部近傍まで踏み込まれることでようやく電気信号を出力するように各部の配置が成されているため、通常の走行時におけるブレーキ操作では電気信号は出力されない。例えば、急制動でブレーキペダル1を強く踏み込んだ場合にのみマイクロスイッチ19aはONとなって電気信号を出力する。
【0041】
また、通常走行時においてリミットスイッチ機構19が電気信号を出力してしまうことを、より回避するためにアーム部27の回動を押し戻す補助強化バネを付加しても良い。また、アーム部27の突起部27aをその回動支点により近い配置としても良い。即ち、通常操作におけるブレーキペダル1の押し込み力と急制動時のブレーキペダル1の押し込み力とを試験的に求め、その結果から前者の押し込み力では最深度まで踏み込まれず後者の押し込み力で最深度まで踏み込み可能な反力がブレーキペダル1に生じるように補助強化バネのバネ定数を設定し或いは突起部27aの配置を設定すれば良い。
【0042】
次に、第一の圧力伝達部20及び第二の圧力伝達部21について説明する。第一の圧力伝達部20は、第一のリレーバルブ5を介さずにフロントブレーキ用エアタンク3からフロントブレーキ用ブースタ9に直接エアを供給する第一のバイパス管28と、このバイパス管28の途中に設けられ、開閉の切り替えが自在な第一の切り替えバルブ29とを有している。また、第二の圧力伝達部21は、第二のリレーバルブ6を介さずにリアブレーキ用エアタンク4からリアブレーキ用ブースタ10に直接エアを供給する第二のバイパス管30と、このバイパス管30の途中に設けられ、開閉の切り替えが自在な第一の切り替えバルブ31とを有している。
【0043】
上記各切り替えバルブ29,31は、前述した他のバルブのように開度が変化するものとは異なり、各バイパス管28,30内のエアの通過を完全に遮断する閉状態と全開となってエアの通過を妨げない開状態の二種類の状態にしか切り替わらない。各切り替えバルブ29,31は常閉弁であり、前述したリミットスイッチ機構19から点灯スイッチ22(請求項記載のスイッチ)を経て入力される電気信号を受けて、上記閉状態から開状態へ切り替えを行うソレノイド(図示略)を備えている。従って、電気信号を受けると各切り替えバルブ29,31が開き、各バイパス管28,30を通ってエアが各ブレーキ用ブースタ9,10に供給されるの。このため、各リレーバルブ5,6による損失を生じることなく、各エアタンク3,4の設定圧力にほぼ等しい作動圧力(最大圧力)で各ブースタ9,10が駆動され、前輪13,後輪14に対してフルブレーキングが行われる。
【0044】
次に、上記点灯スイッチ22について説明する。この点灯スイッチ22は、作業車の前後輪13,14(走行輪)の制動状態を、第一の配管11内の圧力上昇から検出する。即ち、点灯スイッチ22は、第一の配管11におけるデュアルブレーキバルブ2よりも下流側から分岐した分岐管33の末端に接続され、分岐管33内が大気圧よりも若干の圧力上昇を生じるとこれに付勢されて閉じる接点を備えている。つまり、ブレーキペダル1が踏み込まれて第一の配管11内の圧力上昇を生じると速やかに点灯スイッチ22は閉路状態となりブレーキランプ32を点灯する。ブレーキペダル1の踏み込みが解除され、第一の配管11が大気圧に戻ると、点灯スイッチ22の接点が離れブレーキランプ32も消灯する。
【0045】
また、この点灯スイッチ22の接点は、リミットスイッチ機構19から各切り替えバルブ29,30までの間を中継している。従って、リミットスイッチ機構19のマイクロスイッチ19aが印加されてON状態となっても、点灯スイッチ22もON状態となっていない限り、各切り替えバルブ29,31を作動せしめる電気信号は流れない。
【0046】
このため、ブレーキペダル1が踏み込まれていない状態で、当該ブレーキペダル1の操作以外の原因によりリミットスイッチ機構19のマイクロスイッチ19aがON状態となる誤動作を生じた場合(例えば、ブレーキペダル1とリミットスイッチ機構19の伝達部19bとの間に物が侵入し、これにより伝達部19bが押し込まれ、マイクロスイッチ19aがON状態となった場合)に、誤ってブレーキ装置が作動することを予防している。
【0047】
上記構成からなる、ブレーキシステムの動作について説明する。まず、通常走行時のブレーキ操作においては、ブレーキペダル1を運転者が踏み込むと、デュアルブレーキバルブ2が開き、各ブレーキ用エアタンク3,4の圧縮エアが各配管11,12を流れ、ブレーキペダル1の踏み込み量に比例したパイロット圧力が各リレーバルブ5,6に付勢される。このため、各リレーバルブ5,6は各々のパイロット圧力に比例した開度で開かれ、各ブレーキ用ブースタ9,10に作動圧力が付勢され、前輪13,後輪14にはブレーキペダル1の踏み込み量に比例した制動力が作用し、作業車は減速する。このとき同時に、第一の配管11の内部圧力上昇が点灯スイッチ11で検知され、ストップランプ32が点灯される。なお、このとき減圧バルブ7の作用により後輪14側には前輪13よりも小さな力で制動が行われる。
【0048】
そして、踏み込みを止めると、デュアルブレーキバルブ2では各配管11,12の下流側のエアを大気に排出して大気圧に戻すので、ブレーキ用ブースタ9,10も作動を止め、各前輪13,後輪14は制動状態が解除される。
【0049】
次に、緊急時において運転者が急制動を行った場合には、ブレーキペダル1は勢い良く踏み込まれるので最深度に到達し、リミットスイッチ機構19のマイクロスイッチ19aがON状態となる。かかる状態を図3に基づいて説明する。
【0050】
図3は、ブレーキ操作時においてデュアルブレーキバルブ2から出力されるパイロット圧力の時間変化V3とブレーキ用ブースタ9に入力される作動圧力の各時間変化V4とを示す線図である。実際はパイロット圧力と作動圧力の各最大値は異なるがここでは説明の便宜のため等しくなるように図示している。
【0051】
この図3に示すように、ブレーキペダル1を最大操作量まで踏み込んだ場合、踏み込み当初は作動圧力V4は踏み込みとほぼ同時に立ち上がるがその傾き量はパイロット圧力V3よりも小さい。
【0052】
しかし、踏み込み量が最大深度近傍に至るとリミットスイッチ機構19のマイクロスイッチ19aがONになり電気信号が出力される。このとき、点灯スイッチ22では既に第一の配管11内の圧力上昇を検知している状態にあるのでマイクロスイッチ19aからの電気信号は点灯スイッチ22を介して各切り替えバルブ29,31に入力される。
【0053】
即ち、各切り替えバルブ29,31はブレーキペダル1が最大深度に至るのとほぼ同時に開放され、バイパス管28,30を介して最大作動圧力が各ブレーキ用ブースタ9,10に付勢される。従って、ブレーキペダル1が最大深度に至るとほぼ同時に作動圧力が最大値まで立ち上がり、空圧に固有の伝達遅れを生じることなく前後輪の13,14の制動が最大の制動力で行われる。
【0054】
なお、通常の制動時にはブレーキペダル1の踏み込み操作が緩慢であるため、最深度近傍まで至らず、従ってリミットスイッチ機構19のマイクロスイッチ19aがON状態に至ることはない。仮に、緩慢な操作でブレーキペダル1が最大深度に到達したとしても急制動時と同様に到達とほぼ同時に作動圧力が最大値立ち上がるだけのなので、作業車の操縦に不便を生じることはない。
【0055】
以上のように、上記ブレーキ制御装置15では、ブレーキペダル1の最深部近傍までの踏み込みによりリミットスイッチ機構19のマイクロスイッチ19aが出力した電気信号により、各切り替えバルブ29,31が開き、最大作動圧力を各ブレーキ用ブースタ9,10に伝達する。従って、ブレーキペダル1の踏み込みが緩慢に行われる通常の制動時にはマイクロスイッチ19aが電気信号を出力せず、専ら急制動時においてブレーキペダル1が勢い良く踏み込まれた場合に最大作動圧力をもってブレーキ用ブースタ9,10を駆動させて各前後輪13,14の制動を行うことができる。
【0056】
従って、上部旋回体に運転席を有する作業車に最も好適な空圧式のブレーキ制御装置の利点を損なうことなく、急制動時における空圧に固有の伝達遅れを解消して作業車の制動を行うことが可能である。
【0057】
特に、空圧式のブレーキ制御装置15にあっては、一旦ブレーキペダル1の踏み込みをやめて中立位置まで戻してしまうと各配管11,12内が大気圧まで低減するため、その直後に再度踏み込んだ場合にその伝達遅れがより顕著なものとなるが、このような場合にあっても急制動時にあってはその伝達遅れを有効に解消することが可能である。
【0058】
また、上記ブレーキ制御装置15では、床板23から立設された壁板24上にブレーキペダル1及びリミットスイッチ機構19を設けたので、床板23上にこれらを配設した場合と比較して、床板23上に置かれた物や落下物がブレーキ操作におけるペダル1の往復移動の妨げとなる事態を回避できると共に、落下物等によるリミットスイッチ機構19の誤作動を有効に回避することが可能である。さらに、リミットスイッチ機構19のスイッチ押し込み方向がほぼ水平方向に設定されているので、なおのこと落下物の接触によるリミットスイッチ機構19の誤動作を防止することが可能である。
【0059】
さらに、上記ブレーキ制御装置15では、点灯スイッチ22とリミットスイッチ機構19のマイクロスイッチ19aからの両方の電気信号の入力により各切り替えバルブ29,31が作動するので、ブレーキペダル1の踏み込み操作が行われていない状況にあっては点灯スイッチがONとなり得ず、従って、落下物等や振動,衝撃等を原因とするリミットスイッチ機構19の誤作動により圧力伝達部20,21が作動する事態をより有効に回避することができる。従って、装置の信頼性の向上を図ることが可能である。
【0060】
ここで、上記実施形態では、圧力伝達部20,21を切り替えバルブ29,31とバイパス管28,30とから構成したが、リミットスイッチ機構19のマイクロスイッチ19aからの電気信号を受けて最大作動圧力を各ブレーキ装置に付勢する構成であれば他の構成であっても良い。例えば、圧力伝達部を、各ブレーキ用エアタンク3,4以外の作動圧力供給源とこれら供給源と各ブレーキ用ブースタ9,10との接続・非接続を電気信号により切り換えるバルブとにより構成したり、或いは、電気信号を受けて各リレーバルブ5,6を強制的に最大開度にしてしまうアクチュエータを圧力伝達部としても良い。
【0061】
また、ブレーキ制御装置15では、電気信号出力部としてリミットスイッチ機構19を採用しているが、ブレーキペダル1が最大深度近傍まで踏み込まれた状態を検出することができ且つこれを電気信号にて出力することができれば他の物であっても良い。例えば、壁板24とブレーキペダル1又はアーム部27との間にその距離を出力するポテンショメータのような距離センサを装備し、かかるセンサに検出距離の変化が一定値(ブレーキペダル1が最大深度近傍までの移動した場合の移動距離)を越えた場合に各切り替えバルブ29,31に開放を指令する電気信号を出力する回路を併設する構成としても良い。
【0062】
さらに、上述の実施形態では、ブレーキ制御装置15はブレーキペダル1の操作距離変化に基づいて圧力伝達部20,21を作動させる構成を示しているが、例えば、ブレーキペダル1の踏み込み速度に応じて圧力伝達部20,21を作動させる構成としても良い。また、この場合、前述したブレーキペダル1の操作距離変化と踏み込み速度の両方が一定の条件を満たしている場合に圧力伝達部20,21を作動させる構成としても良い。
【0063】
かかる構成として好適な実施の形態を、図4及び図5に示す。ここに示すブレーキシステム50Aについて、前述したブレーキシステム50と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略するものとする。
【0064】
このブレーキシステム50Aでは、ブレーキ制御装置15Aが、ブレーキペダル1の操作速度(踏み込み速度)を検出し、予め決められた速度を超えるときに各圧力伝達部20,21に作動信号を出力する作動制御部を備える点においてブレーキシステム50と異なっている。
【0065】
これを詳述すると、作動制御部は、ブレーキペダル1の操作量(踏み込み量)を検出する操作量検出手段としてのポテンショメータ19Aと、その出力から作動速度を算出しこれに基づいて作動信号を出力する制御回路40Aとから構成されている。
【0066】
ポテンショメータ19Aは図5に示すように、ブレーキペダル1と壁板24との間に設けられ、踏み込み動作によるブレーキペダル−壁板間の距離変化を検出すると共に距離変化に応じた検出信号を出力する。
【0067】
制御回路40Aは、踏み込みが開始されてからのポテンショメータ19Aからの出力を予め設定されたサンプリング間隔(例えば1[msec])で記憶するメモリ41Aと、順次記憶されてゆく出力が所定値を越えた場合に最大深度到達信号を出力する第一の比較部43Aと、メモリ41Aに順次記憶される出力を一つ前に記憶された出力で減算し順次減算値を算出する減算部44Aと、その算出値が所定値を越えた場合に急制動速度到達信号を出力する第二の比較部45Aと、各比較部43A,45Aの双方から信号を受けた場合に作動信号を出力する信号出力部46Aとを備えている。
【0068】
この制御回路40Aの構成はアナログの電子回路で実現しても良いし、上記各構成の機能を果たすプログラムを記憶したマイクロコンピュータで実現しても良い。
【0069】
ポテンショメータ19Aからは踏み込みによる原点位置からのブレーキペダル1の踏み込み量に応じた出力が成される。一方、第一の比較部43Aでは、最大深度近傍までの踏み込み量に応じた値が記憶されており、これを順次メモリ41Aに記憶されたポテンショメータ19Aからの出力と比較する。そして、記憶されたポテンショメータ19Aからの出力が最大深度近傍までの踏み込み量に応じた値を超えた場合に信号出力部46Aに最大深度到達信号を出力する。
【0070】
さらに、減算部44Aでは各サンプリング間隔ごとの距離変化即ちブレーキペダル1の移動速度を順次算出する。即ち、この減算部44Aでは順次メモリ41Aに記憶されたポテンショメータ19Aからの出力について連続する二つの出力を順次減算することよりサンプリング間隔ごとの移動速度を算出する。
【0071】
一方、第二の比較部45Aには、所定の速度値(通常の制動における踏み込み動作の際の踏み込み速度を超える値であって当該通常の制動動作では検出されない値;例えばテスト走行試験を行い、ブレーキペダルの踏み込み速度を測定しデータを得る)が記憶されており、順次算出される移動速度を所定の速度値と比較し、これを越えた場合に急制動が行われたものと見なして急制動速度到達信号を信号出力部46Aに出力する。
【0072】
信号出力部46Aでは、作動信号を点灯スイッチ22を介して各切り替えバルブ29,31に出力し、これらバルブ29,31を開放する。このとき、点灯スイッチ22がON状態でなければ作動信号が各切り替えバルブ29,31に到達しないのは前述と同様である。
【0073】
なお、上記制御回路40Aでは、メモリ41Aと第一の比較部43Aと信号出力部46Aとにより前述したリミットスイッチ機構19と同様の機能を果たしている。
【0074】
このようにブレーキ制御装置15Aを構成することにより、通常の制動時には、ブレーキペダル1の操作が緩慢であるため、踏み込み量が最大深度に至らず、制御回路40Aでは作動信号を出力しない。従って、デュアルブレーキバルブ2が開き、各ブレーキ用エアタンク3,4の圧縮エアが各配管11,12を流れ、ブレーキペダル1の踏み込み量に比例したパイロット圧力が各リレーバルブ5,6に付勢される。このため、各リレーバルブ5,6は各々のパイロット圧力に比例した開度で開かれ、各ブレーキ用ブースタ9,10に作動圧力が付勢され、前輪13,後輪14にはブレーキペダル1の踏み込み量に比例した制動力が作用し、作業車は減速する。
【0075】
また、通常の制動時において最大深度までブレーキペダルが踏み込まれた場合であっても、ブレーキペダル1の操作が緩慢であるため、踏み込み量が急制動速度に至らず、制御回路40Aでは相変わらず作動信号を出力しないので、上記と同様に作業車は減速する。
【0076】
一方、急制動時には、ブレーキペダル1が最大深度まで踏み込まれると共にその操作速度も迅速であるため、設定された急制動速度に到達し、制御回路40Aから作動信号が出力される。従って、各切り替えバルブ29,31はブレーキペダル1が最大深度に至るのとほぼ同時に開放され、バイパス管28,30を介して最大作動圧力が各ブレーキ用ブースタ9,10に付勢される。従って、ブレーキペダル1が最大深度に至るとほぼ同時に作動圧力が最大値まで立ち上がり、空圧に固有の伝達遅れを生じることなく前後輪の13,14の制動が最大の制動力で行われる。
【0077】
以上のように、ブレーキシステム50Aでは、ブレーキペダル1の操作速度に基づいて電気信号により圧力伝達部20,21を作動させるので、ブレーキシステム50と同様の効果を有すると共に、緩慢な操作によりブレーキペダル1を最大深度まで踏み込んだ場合にまで圧力伝達部20,21を作動させることはなく、より厳密に急制動時を判断することが可能である。
【0078】
また、ブレーキシステム50Aでは、ブレーキペダル1の操作速度と踏み込み量との両方に基づいて電気信号により圧力伝達部20,21を作動させるので、さらに厳密に急制動時を判断することが可能である。従って、装置の信頼性をより向上することが可能となっている。
【0079】
なお、上述した実施形態では、ブレーキ装置のブレーキ用ブースタ9,10の作動圧力として空圧を採用するブレーキシステム50,50A(エアーオーバハイドロリックブレーキシステム)に空圧式の各ブレーキ制御装置15,15Aが適用されている例を示したが、制御の対象となるブレーキシステムについては空圧を採用するものに限定しなくとも良い。例えば、ブレーキ用ブースタの作動圧力として油圧を採用するブレーキシステム(フル・ハイドロリックパワーブレーキシステム)に上記各ブレーキ制御装置15,15Aを適用しても良い。但し、その場合は、ブレーキ制御装置15,15Aについてはパイロット圧の圧力供給源として独立したコンプレッサ,エアタンク等が必要となる。
【0080】
また、ブレーキ用ブースタを使用せず、作動圧力である空圧をそのままブレーキの作動に利用するブレーキチャンバを備えたフル・エアーブレーキシステムに上記各ブレーキ制御装置15,15Aを適用しても良い。
【0081】
【発明の効果】
本発明では、ブレーキペダルの最深部近傍までの踏み込みにより電気信号出力部が出力した電気信号により、圧力伝達部が最大作動圧力をブレーキ装置に伝達する。従って、ブレーキペダルの踏み込みが緩慢に行われる通常の制動時には電気信号出力部が電気信号を出力せず、専ら急制動時においてブレーキペダルが勢い良く踏み込まれた場合に、電気信号によりブレーキ装置を作動させることができる。
また、電気信号出力部と圧力伝達部との間を中継するように配置されたスイッチが電気信号出力部と圧力伝達部との間の電気信号の流れを許容するのは、操作量出力部から出力される圧力の上昇が検知された場合、つまり、ブレーキペダルが実際に移動操作された場合に限られるので、ブレーキペダルが踏み込まれていない状態で電気信号出力部がON状態となって誤ってブレーキ装置が作動したり、落下物等や振動,衝撃等に起因して電気信号出力部が外部からの押し込み操作を不用意に検知して作動圧調節部による調節の制限を受けない作動圧力がブレーキ装置に伝達されるといった不都合を防止することができる。
【0082】
特に、上部旋回体側からロータリーシールを介してブレーキ装置の制御を行うような作業車の場合には、長い管路を介して制御のための圧力を伝達しなければならず、従来の空圧式のブレーキ制御装置にあっては、一旦ブレーキペダルの踏み込みをやめて中立位置まで戻してしまうとその空圧を伝達する管路内が大気圧まで低減するため、その直後に再度踏み込んだ場合にその遅れがより顕著なものとなるが、このような場合にあっても本発明によれば急制動時にはその伝達遅れを有効に解消することが可能である。
【0083】
従って、上部旋回体に運転席を有する作業車に最も好適な空圧式のブレーキ制御装置において、その利点を維持しつつ、急制動時における空圧に固有の伝達遅れを解消して作業車の制動を行うことが可能となった。このため、従来にない優れた作業者用ブレーキ制御装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に開示したブレーキペダルとリミットスイッチ及び周囲の構成の配置を示す詳細説明図である。
【図3】ブレーキ操作時においてデュアルブレーキバルブから出力されるパイロット圧力の時間変化と各ブレーキ用ブースタに入力される作動圧力の各時間変化とを示す線図である。
【図4】他の実施形態を示すブロック図である。
【図5】図4に開示したブレーキペダルとポテンショメータ及び周囲の構成の配置を示す詳細説明図である。
【図6】従来のブレーキシステムを示すブロック図である。
【図7】従来例におけるブレーキ操作時においてデュアルブレーキバルブから出力されるパイロット圧力の時間変化と各ブレーキ用ブースタに入力される作動圧力の各時間変化とを示す線図である。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル
5 第一のリレーバルブ(作動圧調節部)
6 第二のリレーバルブ(作動圧調節部)
18 操作量出力部
19 リミットスイッチ機構(電気信号出力部)
20 第一の圧力伝達部
21 第二の圧力伝達部
22 点灯スイッチ(点灯信号出力部)
23 床板(床面)
24 壁板
25 保持部
Claims (1)
- 作業車に設けられ,入力される作動圧力に応じた制動力で走行輪の制動を行うブレーキ装置の制御装置であって、
運転者の踏み込み操作により一定の範囲内を移動するブレーキペダルと、このブレーキペダルの移動操作量に応じた圧力を出力する操作量出力部と、この操作量出力部からの出力圧力に応じて前記ブレーキ装置に入力される作動圧力を調節する作動圧調節部と、を備え、
前記操作量出力部は、その出力圧力を空圧とすると共に、
踏み込み方向最深部近傍まで踏み込まれたブレーキペダルが当接する位置に配置され、外部からの押し込み操作を検知すると所定の電気信号を出力する電気信号出力部と、
前記電気信号を受けて,前記作動圧調節部による調節の制限を受けない作動圧力を前記ブレーキ装置に伝達する圧力伝達部と、
前記電気信号出力部と前記圧力伝達部との間を中継するように配置され、前記操作量出力部から出力される圧力の上昇を検知した場合に限って前記電気信号出力部と前記圧力伝達部との間の電気信号の流れを許容する接点を有するスイッチと、を備えることを特徴とする作業車用ブレーキ制御装置。
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