JPH07205784A - 車両用自動ブレーキ装置 - Google Patents

車両用自動ブレーキ装置

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JPH07205784A
JPH07205784A JP6007287A JP728794A JPH07205784A JP H07205784 A JPH07205784 A JP H07205784A JP 6007287 A JP6007287 A JP 6007287A JP 728794 A JP728794 A JP 728794A JP H07205784 A JPH07205784 A JP H07205784A
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善紀 見市
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哲志 御室
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正 菅原
Takahiro Maemura
高広 前村
Tadao Tanaka
忠夫 田中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、自動車における自動操縦等に用い
て好適の車両用自動ブレーキ装置に関し、パワーステア
リング系の油圧を利用しながら、応答性がよく高い制御
性能で自動ブレーキを行なえるようにすることを目的と
する。 【構成】 油圧式パワーステアリング機構30と、ブレ
ーキ用真空倍力機構1と、該油圧式パワーステアリング
機構30の油圧系を用いて該真空倍力機構1の要部を油
圧駆動して自動ブレーキを行なう自動ブレーキ用アクチ
ュエータ4と、該油圧系に設けられてパワーステアリン
グモードと該油圧式パワーステアリング機構の非作動時
にも作動油を該自動ブレーキ用アクチュエータに導きう
る非パワーステアリングモードとを有する油圧源切換弁
35とをそなえ、該自動ブレーキ用アクチュエータ4
が、該油圧系からの油圧を蓄圧する蓄圧器23をそな
え、該蓄圧器23内の圧力が所定圧に達していない場合
には該油圧源切換弁35を非パワーステアリングモード
に設定しうる制御手段26とをそなえるよう構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車における自動操
縦等に用いて好適の、車両用自動ブレーキ装置に関し、
特に、油圧式操舵機構をそなえた車両においてこの操舵
系の油圧回路を利用した車両用自動ブレーキ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば車両(一般には、自動
車)の暴走を防止するなど、自動的に車両を制動させる
車両用の自動ブレーキ装置が開発されているが、このよ
うな自動ブレーキ装置の重要な構成要素として、ブレー
キアクチュエータ(即ち、自動ブレーキ用アクチュエー
タ)がある。また、このような自動ブレーキ装置では、
通常のドライバの操作によるブレーキ(従来のブレー
キ)の性能を低下させることなく自動ブレーキを作動さ
せることができなくてはならなず、特に、ブレーキアク
チュエータの構成が重要になる。
【0003】かかるブレーキアクチュエータとしては、
例えばアンチロックブレーキシステム(以下、これをA
BSという)に用いられる油圧式ブレーキアクチュエー
タを利用することが考えられている。また、かかるブレ
ーキアクチュエータとして、例えば図10に示すような
電動モータ方式のものも考えられる。この方式は、キャ
リパ101側の図示しない油圧ピストンを駆動するため
の油圧ライン102(即ち、ブレーキの操作に対応した
油圧を供給する、従来の油圧ライン)とは並列的に設け
られた電動モータ式油圧給排ライン103と、これらの
従来の油圧ライン102と電動モータ式油圧給排ライン
103との何れかを選択して該キャリパ101側へ導入
させることができる切換弁(OR弁)104とからな
る。
【0004】電動モータ式油圧給排ライン103は、電
動モータ105と、この電動モータ105とギヤ機構1
07を介して接続されたボールネジ式ピストン機構10
6とからなり、ボールネジ式ピストン機構106は、ギ
ヤ機構107に接続されたボールネジ108とボールネ
ジ108と螺合してボールネジ108の回転を受けて進
退するピストン109と、このピストン109の進退で
拡縮する油室110とからなる。
【0005】そして、切換弁104がこの電動モータ式
油圧給排ライン103を開通させていると、電動モータ
105の回転をギヤ機構107を介してボールネジ10
8に伝達してピストン109を前進駆動させることで、
油室110か縮小して、キャリパ101側の図示しない
油圧ピストンを駆動しブレーキ力を発生させるようにな
っている。
【0006】また、特開平4−262957号公報,特
開平4−303060号公報,特開平4−310460
号公報,特開平4−339066号公報には、負圧式ブ
レーキブースタ(即ち、真空倍力機構)を自動ブレーキ
用のブレーキアクチュエータに適用する提案が開示され
ている。これらのブレーキブースタの自動ブレーキへの
適用例は、ブレーキブースタ特有の負圧室と大気圧室と
の圧力バランスを直接制御することで、キャリパ側の油
圧ピストンを駆動するためのブレーキ液圧を調整するよ
うにするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ABSに用いられる油圧式ブレーキアクチュエータを利
用する自動ブレーキ装置では、自動ブレーキ時は、ブレ
ーキの液圧がアクチュエータによりブレーキペダルの踏
込量に関係なく制御され、アクチュエータのフェイル時
にブレーキペダルを踏み込んでもブレーキ圧を高められ
ずに制動できないおそれがある。
【0008】また、この油圧式ブレーキブースタを用い
た従来の自動ブレーキ装置では、ブレーキの液圧を直接
制御するため、ブレーキフィーリングが不自然なものと
なってしまったり、油圧源のポンプから生じる騒音も大
きくなりやすいという課題がある。また、上述の電動モ
ータ方式の自動ブレーキ装置では、切換弁(OR弁)1
04のフェイル時対策が必要であり、ボールネジ式ピス
トン機構106にフリクションが生じるので、制御応答
性を高めにくく、自動ブレーキとして十分な制御性能を
得ることが困難であるという課題がある。また、自動ブ
レーキに真空倍力機構等のアシストを利用できないの
で、電動モータの出力を大きくする必要があり、装置の
大型化や重量増大化や消費エネルギ増大化やコスト増を
招く。
【0009】そして、上述の真空倍力機構を利用した自
動ブレーキ装置では、フェイル時対応は容易であるもの
の、ブレーキ液圧を調整するための制御圧が圧縮性流体
である空気圧により与えられるので、最大制御圧を大き
くとれず、また、ブレーキ液圧の最大昇圧速度を大きく
できず、急制動を発生できないという課題がある。そこ
で、これらの課題を解決しうる車両用自動ブレーキ装置
の開発が求められているが、このような手段として、真
空倍力機構を利用した自動ブレーキ装置において、ブレ
ーキ液圧を調整するための制御圧を非圧縮性流体である
油圧により与える構成が考えられる。
【0010】このように、油圧により車両用自動ブレー
キを制御する場合、油圧系が必要になるが、このような
油圧系として自動ブレーキ専用のものを新たに設けるの
は大幅なコスト増を招くので、他の装置の油圧系をでき
るだけ利用するように構成することが望ましい。特に、
自動車には、油圧式パワーステアリングをそなえたもの
が広く普及しており、このパワーステアリングの油圧系
を車両用自動ブレーキの油圧系に利用することが考えら
れる。この場合にも、自動ブレーキの作動性能を安定さ
せ且つ応答性を高めるには、パワーステアリングからの
油圧を常に安定した圧力状態に保って自動ブレーキの動
作のためにそなえる必要がある。
【0011】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、パワーステアリング系の油圧を利用しなが
ら、自動ブレーキ系がフェイルしても、ドライバのブレ
ーキペダル操作により通常のブレーキ力を得られるよう
にするとともに、応答性がよく高い制御性能で自動ブレ
ーキを行なえるようにした、車両用自動ブレーキ装置を
提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の車両用自動ブレーキ装置は、車両の操舵系に
設けられて油圧ポンプと油圧シリンダと該油圧ポンプで
駆動された作動油を操舵入力をアシストするように該油
圧シリンダに導くパワーステアリング弁とをそなえた油
圧式パワーステアリング機構と、ブレーキペダルの踏み
込みによるブレーキ用マスタシリンダの駆動時に該踏み
込み力をアシストするための真空倍力機構と、該真空倍
力機構の要部を油圧駆動することで、該ブレーキペダル
が踏み込まれていなくても該ブレーキ用マスタシリンダ
を駆動しうる自動ブレーキ用アクチュエータとをそなえ
るとともに、該油圧ポンプと該パワーステアリング弁と
の間に、該油圧ポンプからの作動油を該パワーステアリ
ング弁に導きうるパワーステアリングモード及び該油圧
式パワーステアリング機構の非作動時にも該油圧ポンプ
からの作動油を該自動ブレーキ用アクチュエータに導き
うる非パワーステアリングモードを有し、基本モードを
パワーステアリングモードに設定された油圧源切換弁を
そなえ、該自動ブレーキ用アクチュエータが、該真空倍
力機構の要部を該ブレーキ操作側へ駆動しうるピストン
と、該ピストンに対して該ブレーキ操作側へ駆動する油
圧を与えうる油圧室と、該油圧ポンプと該油圧源切換弁
との間の油路に設けられ、該油路に生じた油圧を蓄圧す
る蓄圧器と、該蓄圧器と該油圧室との間に介装されて、
所要の制動状態が実現するように該油圧室内の油圧を調
整する油圧調整機構と、該油圧調整機構を制御するとと
もに、該蓄圧器内の圧力が所定圧に達していない場合に
は該油圧源切換弁を非パワーステアリングモードに設定
しうる制御手段とをそなえて構成されていることを特徴
としている。
【0013】また、請求項2記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置は、請求項1記載の構成において、該制御
手段が、該車両のステアリング系が中立状態で且つ該蓄
圧器内の圧力が所定圧に達していない場合に、該油圧源
切換弁を非パワーステアリングモードに設定するように
構成されていることを特徴としている。また、請求項3
記載の本発明の車両用自動ブレーキ装置は、請求項1又
は2記載の構成において、該蓄圧器内の圧力が所定圧に
達していない場合にドライバに警告を与える警告手段が
設けられていることを特徴としている。
【0014】また、請求項4記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成
において、該油圧ポンプで駆動される作動油の一部が、
車両用油圧式四輪操舵装置と併用されていることを特徴
としている。また、請求項5記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の構成
において、該油圧調整機構が、該圧力室へ供給される作
動油の油圧を制御する圧力制御弁で構成されていること
を特徴としている。
【0015】また、請求項6記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の構成
において、該真空倍力機構が、ブレーキペダルと連動し
て進退しマスタシリンダを操作するブレーキペダル連動
部材と、該ブレーキペダル連動部材に接続されたダイヤ
フラムと、該ダイヤフラムで仕切られた負圧室及び大気
圧室と、該ブレーキペダルの踏み込み時に該ブレーキペ
ダルの踏み込み力をアシストするために該ブレーキペダ
ル連動部材と連動して該負圧室内と該大気圧室内との間
に圧力差を生じせしめる開閉弁とから構成され、該自動
ブレーキ用アクチュエータの該ピストンが、該ブレーキ
ペダル連動部材に対して該ブレーキ操作側へ押圧しうる
が該ブレーキペダルの踏み込みによる該ブレーキペダル
連動部材の該ブレーキ操作側への前進を妨げないよう
に、該ブレーキペダル連動部材に当接しうるように設置
されるとともに、リターンスプリングにより、該ブレー
キ操作側とは反対方向へ付勢されていることを特徴とし
ている。
【0016】また、請求項7記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置は、請求項6記載の構成において、該ブレ
ーキペダル連動部材が該真空倍力機構の本体の中心を貫
通するように配設された軸状の部材であって、該ブレー
キペダル連動部材の外周に、該ブレーキ操作側へ向けて
押圧力を受ける受圧面が形成されて、該ピストンに、該
受圧面に当接して該ブレーキ操作側への押圧力を与える
押圧面が形成されていることを特徴としている。
【0017】また、請求項8記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置は、請求項6又は7記載の構成において、
該真空倍力機構本体のケース部材の後端を覆うカバー部
材が装着され、該カバー部材と該ケース部材の後端面と
で覆われた閉空間内に、該ピストンが内装されているこ
とを特徴としている。
【0018】
【作用】上述の請求項1記載の本発明の車両用自動ブレ
ーキ装置では、その操舵系においては、通常時は、油圧
源切換弁が、基本モードであるパワーステアリングモー
ドに設定されるので、操舵時に、油圧式パワーステアリ
ング機構が、パワーステアリング弁を通じて油圧ポンプ
で駆動された作動油を油路を通じて操舵入力に応じて該
油圧シリンダに導き、操舵入力をアシストする。
【0019】この油圧式パワーステアリング機構の作動
時には、該油圧ポンプと該パワーステアリング弁との間
にアシスト力に応じて油圧が生じ、該油圧ポンプと該パ
ワーステアリング弁との間の該油圧源切換弁の付近にも
油圧が生じる。このため、該油圧源切換弁の上流側の分
岐部側から蓄圧器へ油圧が蓄圧される。自動ブレーキ用
アクチュエータでは、真空倍力機構の要部を油圧駆動す
ることで、ブレーキペダルが踏み込まれていなくてもブ
レーキ用マスタシリンダを駆動しうるが、この自動ブレ
ーキ用アクチュエータの作動時には、油圧調整機構が、
蓄圧器内の油圧を用いて油圧室油圧室内の油圧を調整し
てピストンを安定的に駆動する。これにより、該真空倍
力機構の要部が該ブレーキ操作側へ駆動されて、ブレー
キ用マスタシリンダが駆動されて、車両にブレーキ力が
与えられる。
【0020】一方、油圧式パワーステアリング機構が作
動していない時には、該油圧ポンプと該パワーステアリ
ング弁との間に油圧が生じなくなるので、該蓄圧器内の
油圧が低下していくが、蓄圧器内の圧力が所定圧に達し
ていない場合には、制御手段が、油圧源切換弁を、油圧
ポンプからの作動油を自動ブレーキ用アクチュエータに
導きうる、非パワーステアリングモードに設定するの
で、該蓄圧器内の圧力が速やかに所定圧に達するように
なる。
【0021】これにより、自動ブレーキの油圧源が常時
確保される。上述の請求項2記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置では、該制御手段が、該車両のステアリン
グ系が中立状態で且つ該蓄圧器内の圧力が所定圧に達し
ていない場合に、該油圧源切換弁を非パワーステアリン
グモードに設定する。上述の請求項3記載の本発明の車
両用自動ブレーキ装置では、警告手段が、該蓄圧器内の
圧力が所定圧に達していない場合にドライバに警告を与
える。
【0022】上述の請求項4記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置では、警告手段が、該蓄圧器内の圧力が所
定圧に達していない場合にドライバに警告を与える。上
述の請求項4記載の本発明の車両用自動ブレーキ装置で
は、油圧系の構成が簡素化される。上述の請求項5記載
の本発明の車両用自動ブレーキ装置では、該油圧調整機
構において、圧力制御弁により、該圧力室へ供給される
作動油の油圧が制御される。
【0023】上述の請求項6記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置では、自動ブレーキ用アクチュエータで、
油圧調整機構を通じて油圧室内に油圧が与えることで、
ピストンをブレーキ操作側へ駆動することができ、ピス
トンがブレーキ操作側へ進むと、ブレーキペダルが踏み
込まれていなくても、ブレーキペダル連動部材をブレー
キ操作側へ駆動してマスタシリンダをブレーキ力の発生
する側へ操作する。これにより、自動的なブレーキを与
えることができる。また、このとき、真空倍力機構で
は、開閉弁がブレーキペダル連動部材と連動して負圧室
内と大気圧室内との間に圧力差を生じせしめるので、ブ
レーキペダル連動部材のブレーキ操作側への駆動がこの
真空倍力機構によってアシストされ、より速やかに、自
動的なブレーキを与えることができる。
【0024】上述の請求項7記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置では、上記請求項6にかかるピストンの動
作時に、該ピストンがブレーキ操作側へ駆動されると、
該ピストンに形成された押圧面が、該ブレーキペダル連
動部材の外周に形成された受圧面に当接してブレーキ操
作側へ向けて押圧力を与える。これにより、該ブレーキ
ペダル連動部材が該ブレーキ操作側へ駆動されるので、
マスタシリンダがブレーキ力の発生する側へ操作され、
自動ブレーキが与えられる。
【0025】一方、該ピストンの押圧面は、該ブレーキ
ペダル連動部材の受圧面に当接するが特に結合していい
ないので、該受圧面は該押圧面から自由に離隔でき、こ
れにより、該ピストンが該ブレーキペダルの踏み込みに
よる該ブレーキペダル連動部材の該ブレーキ操作側への
前進を妨げないという状態が達成される。上述の請求項
8記載の本発明の車両用自動ブレーキ装置では、該真空
倍力機構本体のケース部材の後端にカバー部材を装着す
るとともに、この内部にピストンが内装することで、ピ
ストン及び油圧室を設けることができるので、既存の真
空倍力機構本体を利用してカバー部材やピストンを後付
けするなどしても、本装置を形成することが可能にな
る。
【0026】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
の車両用自動ブレーキ装置について説明すると、図1は
その自動ブレーキ用アクチュエータの油圧調整機構及び
この油圧調整機構に関連する操舵系油圧回路を示す模式
的な構成図、図2はその自動ブレーキ用アクチュエータ
の要部構成を示す真空倍力機構の部分断面図、図3はそ
の真空倍力機構を示す断面図である。
【0027】この車両用自動ブレーキ装置は、図1に示
すように、油圧式パワーステアリング機構30の操舵系
油圧回路を利用しているが、特に、本実施例の油圧式パ
ワーステアリング機構30には、油圧式自動操舵機構3
1が付設されており、まず、この油圧式自動操舵機構3
1を含んだ操舵系油圧回路について説明する。図1に示
すように、この油圧式パワーステアリング機構30に
は、油圧源としての油圧ポンプ20と、操舵力伝達部材
(ここでは、ラックアンドピニオン機構のラック)32
にアシスト力を加える油圧シリンダ33と、油圧ポンプ
20で駆動された作動油を油圧シリンダ32に導くパワ
ーステアリング弁34とがそなえられ、油圧式自動操舵
機構31は、油圧シリンダ33を利用して自動操舵力を
操舵力伝達部材に加えるようになっている。
【0028】なお、この操舵系油圧回路では、油圧ポン
プ20からの出力の一部を分流器(分波バルブ)21を
通じて図示しない4輪操舵系(4WS)へ分流してい
る。そして、この操舵系油圧回路では、油圧式自動操舵
機構31のために、油圧ポンプ20とパワーステアリン
グ弁34との間の油路に、油圧源切換弁35が介設さ
れ、さらに、この油圧源切換弁35と油圧シリンダ33
との間の油路に、上流側から、自動操舵角制御弁36,
モード切換弁37が介設され、さらに、自動操舵角制御
弁36に自動操舵力制御弁38が付設されている。
【0029】油圧源切換弁35は、油圧ポンプ20から
の作動油をパワーステアリング弁34に導くモード(こ
れをパワーステアリングモードという)と油圧式自動操
舵機構31側の自動操舵力制御弁36に導くモード(こ
れを自動操舵モードという)とに切り換えることができ
る。具体的には、これらの両モードを有する弁体35A
と、この弁体35Aをパワーステアリングモード側へ付
勢するリターンスプリング35Bと、弁体35Aをリタ
ーンスプリング35Bに抗して自動操舵モード側へ駆動
するソレノイド35Cとをそなえ、ソレノイド35C
は、電子制御ユニット(ECU)26により、制御され
るようになっている。
【0030】自動操舵角制御弁36は、自動操舵する方
向を左操舵と右操舵とのいずれかに設定しうる弁であ
り、油圧源切換弁35を通じて油圧ポンプ20側から供
給された作動油を、油圧シリンダ33の左油室に導くモ
ード(左操舵するので左操舵モードという)と、油圧シ
リンダ33の右油室に導くモード(右操舵するので右操
舵モードという)と、これらの左操舵モード及び右操舵
モードへの切換で速やかに所望の油室へ作動を導入させ
るための中立待機モードと、左右の両油室内の作動油圧
を除去する自動操舵停止モードとに切り換えることがで
きる。なお、左操舵モード,右操舵モード及び中立待機
モードはいずれも自動操舵作動モードと総称できる。
【0031】特に、中立待機モードでは、サーボ性能を
確保するため、左右の両油室内の作動油圧が完全に除去
されずに所要圧レベルを保持しうるように、中立アンダ
ーラップ状態(10%以下のアンダーラップ)となるよ
うに設定されるようになっている。この自動操舵角制御
弁36をさらに具体的に説明すれば、自動操舵角制御弁
36は、これらの各モードを有する弁体36Aと、この
弁体36Aを自動操舵停止モード側へ付勢するリターン
スプリング36Bと、弁体36Aをリターンスプリング
36Bに抗して自動操舵作動モード側へ駆動する弁体駆
動機構36Cとをそなえている。ここでは、弁体駆動機
構36Cとして、リターンスプリング36aとソレノイ
ド36bとからなる圧力制御弁36Dが用いられてお
り、ソレノイド36bへの供給電力(電圧又は電流)を
調整することで、弁体36Aの一端に作用させる油圧の
大きさを調整しながら、弁体36Aを所要のモードに駆
動できるようになっている。即ち、弁体36Aの一端に
油圧を与えなければ自動操舵停止モードとなるが、油圧
を与えると、例えば油圧レベルが低のときには右操舵モ
ード、中のときには中立待機モード、高のときには左操
舵モードに設定しうるようになっている。そして、この
ソレノイド36bについても、ECU26により、制御
されるようになっている。
【0032】また、自動操舵力制御弁38は、油圧源切
換弁35から自動操舵角制御弁36へ導かれる作動油の
油圧を調整することで、自動操舵力を制御する圧力制御
弁であり、リターンスプリング38Aとソレノイド38
Bとからなり、、ソレノイド38Bへの供給電力(電圧
又は電流)を調整することで、自動操舵角制御弁36へ
出力される作動油の油圧を調整するようになっている。
そして、このソレノイド38Bについても、ECU26
により、制御されるようになっている。
【0033】モード切換弁37は、油圧シリンダ32へ
パワーステアリング弁34側から作動油を導くモード
(これをパワーステアリングモードという)と油圧式自
動操舵機構31側の自動操舵力制御弁36側から導くモ
ード(これを自動操舵モードという)とに切り換えるこ
とができる。具体的には、これらの両モードを有する弁
体37Aと、この弁体37Aをパワーステアリングモー
ド側へ付勢するリターンスプリング37Bと、弁体37
Aをリターンスプリング37Bに抗して自動操舵モード
側へ駆動するソレノイド37Cとをそなえ、ソレノイド
37Cについても、ECU26により、制御されるよう
になっている。
【0034】ECU26は、車両の走行状態や車両の走
行環境(走行路等の状態)やドライバの操舵状態に基づ
いて、自動操舵が必要であれば、油圧源切換弁35とモ
ード切換弁37とを自動操舵モードに切り換え、設定さ
れた自動操舵力に応じて操舵力制御弁38を制御しなが
ら、操舵力伝達部材(ラック)32の位置を検出する変
位センサ39からの情報に基づいてフィードバックを行
ないながら所要の舵角が得られるように自動操舵角制御
弁36を制御する。また、自動操舵が必要でなければ、
油圧源切換弁35及びモード切換弁37への供給電力を
絶っていずれもパワーステアリングモードに復帰させ
て、操舵力制御弁38への供給電力も絶って油圧を除去
する状態とし、自動操舵角制御弁36への供給電力も絶
って自動操舵停止モードに戻す。そして、通常は、この
ようなパワーステアリングモードのもとで、パワーステ
アリングが作動するようにセットする。
【0035】ところで、本車両用自動ブレーキ装置は、
マスターバック(真空倍力機構)1をそなえたブレーキ
装置に付設されている。つまり、このマスターバック1
は、図1に示すように、ブレーキペダル2と連動するオ
ペレーティングロッド(ブレーキペダル連動部材)3の
ブレーキ操作側への動きを加勢するが、本車両用自動ブ
レーキ装置の自動ブレーキ用アクチュエータ(以下、ブ
レーキアクチュエータ)4はこのオペレーティングロッ
ド3をブレーキ操作側へ駆動することで、図示しないマ
スタシリンダを通じてキャリパ側のブレーキピストン
(図示略)を駆動してブレーキ操作を行なうようになっ
ている。
【0036】まず、マスターバック1について詳述する
と、図3に示すように、このマスターバック1は、図示
しないマスタシリンダの後部(即ち、ブレーキペダル2
とマスタシリンダとの間)にそなえられれており、ケー
ス6内に、ブレーキペダル2と結合するオペレーティン
グロッド3とマスタシリンダと結合するプッシュロッド
5との間に介装された可動ベース部材7をそなえてい
る。
【0037】可動ベース部材7は、オペレーティングロ
ッド3及びプッシュロッド5と同軸上にそなえられ、こ
の可動ベース部材7の外周とケース6の内周との間に
は、ダイヤフラム8が介設されている。ケース6内はこ
のダイヤフラム8及び可動ベース部材7によって、エン
ジン負圧を導かれる負圧室9と大気圧を導かれる大気圧
室10とに区画されている。
【0038】また、可動ベース部材7とケース6の内壁
との間には、可動ベース部材7を反ブレーキ操作側(即
ち、図3中、右方)へ付勢するリターンスプリング11
が介装されており、負圧室9と大気圧室10との圧力差
がこのリターンスプリング11の付勢力よりも大きい力
を発揮すると、ダイヤフラム8及び可動ベース部材7が
ブレーキ操作側(即ち、図3中、左方)へ駆動されるよ
うになっている。
【0039】そして、負圧室9と大気圧室10との間に
は、これらの各室9,10を連通しうるバルブ12が設
けられている。このバルブ12は、可動ベース部材7に
介装され、オペレーティングロッド3が可動ベース部材
7に対して後退していると、開放して、負圧室9と大気
圧室10との圧力差を解消させ、オペレーティングロッ
ド3が可動ベース部材7に対してブレーキ操作側(即
ち、図3中、左方)に前進すると、閉鎖して、負圧室9
と大気圧室10との間に圧力差を発生させるようになっ
ている。また、オペレーティングロッド3は外力を受け
なければ可動ベース部材7に対してバルブ12を開放す
る初期位置に戻るようにリターンスプリング13により
付勢されている。
【0040】これにより、オペレーティングロッド3に
ブレーキ操作力(ブレーキペダルの踏み込み力)が働か
なければ、大負圧室9と大気圧室10との圧力差が減少
してリターンスプリング11の付勢力によりダイヤフラ
ム8及び可動ベース部材7が反ブレーキ操作側へ駆動さ
れるが、オペレーティングロッド3にブレーキ操作力が
働けば、負圧室9と大気圧室10との圧力差が増大して
リターンスプリング11の付勢力によりダイヤフラム8
及び可動ベース部材7がブレーキ操作側へ駆動され、オ
ペレーティングロッド3へのブレーキ操作力を加勢する
ようになっている。
【0041】オペレーティングロッド3をブレーキ操作
側へ駆動する力、即ち、ブレーキ操作力は、通常はブレ
ーキペダル2を通じてドライバの踏力で与えられるが、
本車両用自動ブレーキ装置のブレーキアクチュエータ4
は、このドライバの踏力に代わってオペレーティングロ
ッド3にブレーキ操作力を与えるように構成されてい
る。
【0042】ここで、ブレーキアクチュエータ4につい
て説明すると、このブレーキアクチュエータ4は、図1
に示すように、オペレーティングロッド3に当接しうる
ピストン14と、このピストン14をブレーキ操作側へ
駆動するような油圧を与えるための油圧室15と、この
油圧室15内の油圧を調整する油圧調整機構16と、ピ
ストン14を反ブレーキ操作側へ付勢するリターンスプ
リング17とをそなえて構成される。
【0043】このうち、ピストン14は、図2に示すよ
うに、マスターバック1の後端部(ブレーキペダル2側
の端部)に、オペレーティングロッド3をブレーキ操作
側へ押圧しうるがブレーキペダルの踏み込みによるオペ
レーティングロッド3のブレーキ操作側への前進を妨げ
ないように、設けられている。即ち、マスターバック1
のケース6の後端には、カバー6Aが装着されており、
このカバー6Aの内部で且つオペレーティングロッド3
の外周上に環状のピストン14がオペレーティングロッ
ド3の軸心上に沿うように配設されてている。そして、
ピストン14に設けられたフランジ部14Aの押圧面1
4aがオペレーティングロッド3に設けられたフランジ
部3Aの受圧面3aにブレーキ操作側(マスターバック
1の外側であって、図2中、右方)から当接しており、
ピストン14がブレーキ操作側へ移動するとオペレーテ
ィングロッド3に押圧力を与えてブレーキ操作側へ駆動
するが、ピストン14がブレーキ操作側へ移動しなくて
もオペレーティングロッド3は自由にブレーキ操作側へ
移動しうるようになっている。なお、28はダッシュパ
ネルを示す。
【0044】また、油圧調整機構16は、図1に示すよ
うに、リザーバタンク18と、このタンク18から油圧
室15に至る油圧回路19とをそなえ、この油圧回路1
9内には、作動油駆動手段としてのポンプ20,分流弁
21,逆止弁22,蓄圧手段としてのアキュムレータ2
3,自動ブレーキ切換弁24,圧力制御弁(減圧弁)2
5が介設されている。すなわち、この油圧回路では、ポ
ンプ20とアキュムレータ23とから油圧源が構成され
ている。
【0045】ポンプ20は、タンク18から作動油を吸
い上げるが、これにより吸い上げられた作動油は、分流
弁21で分流されてその一部を4輪操舵系(4WS)へ
供給されるようになっている。そして、残りの作動油
が、パワーステアリング系(P/S)と本自動ブレーキ
装置へと供給されるようになっている。そして、本自動
ブレーキ装置へ供給された作動油は、逆止弁22及びア
キュムレータ(蓄圧器)23により、所定の圧力レベル
に調整された上で、自動ブレーキ切換弁24及び圧力制
御弁25へと導かれるようになっている。
【0046】自動ブレーキ切換弁24は、圧力制御弁2
5へ作動油を供給する自動ブレーキ作動モードと圧力制
御弁25へ作動油を供給しない自動ブレーキ非作動モー
ドとのいずれかをとる弁体24Aをそなえ、弁体24A
は、リターンスプリング24Bにより弁閉鎖側即ち自動
ブレーキ非作動モードの側へ付勢されており、ソレノイ
ド24Cが通電されて磁力を発揮すると、弁開放側即ち
自動ブレーキ作動モード側へ駆動され、ソレノイド24
Cが通電されなければ、図1に示すように、リターンス
プリング24Bにより弁閉鎖側即ち自動ブレーキ非作動
モード側へ駆動されるようになっている。
【0047】圧力制御弁25は、吐出圧を調整しうる弁
体25Aをそなえ、弁体25Aは、リターンスプリング
25Bにより閉鎖側へ付勢されており、ソレノイド25
Cが通電されて磁力を発揮すると、その磁力に応じて開
放しながら磁力に応じた吐出圧の作動油を油圧室15へ
供給して過剰な作動油はタンク18に戻し、逆に、油圧
室15側の圧力が高ければ油圧室15側の圧力をソレノ
イド25Cの磁力に応じた吐出圧まで下げるべく油圧室
15側の作動油をタンク18に戻すようになっている。
【0048】即ち、自動ブレーキ切換弁24のソレノイ
ド24Cへ電流を供給すると自動ブレーキを作動させる
ことができ、ソレノイド24Cへ電流供給を停止すると
自動ブレーキを停止させることができ、また、自動ブレ
ーキの作動時には、圧力制御弁25のソレノイド25C
への電流を調整することで、油圧室15内の油圧を調整
しこれにより自動ブレーキのブレーキ力を調整すること
ができるようになっている。
【0049】そして、各ソレノイド24C,25Cは、
前述のECU26により、制御されるようになってい
る。例えば、ECU26では、図4に示すように、車両
に装備された図示しない前方状況検出センサで前方の車
両との車間距離Lを検出して、この車間距離Lが一定値
以下になったら、マップA(図5参照)で示すように、
その車間距離Lに応じて自動ブレーキを作用させ、前方
の車両との接近度合(即ち、負の相対速度:−dL/d
t)に応じて、接近度合が一定度合以上になったら、マ
ップB(図6参照)で示すように、その接近度合いに応
じて自動ブレーキを作用させたりするように設定されて
いる。そして、自動ブレーキをどの程度作用させるか
は、車間距離Lや接近度合(−dL/dt)に応じて目
標減速度αa を設定する一方で、車両の実減速度αr
図示しないセンサで検出しながら、実減速度αr が目標
減速度αa に達するまで自動ブレーキを作動させて、実
減速度αr が目標減速度α a に達っしたら自動ブレーキ
を作動させるようになっている。
【0050】また、自動ブレーキを作動させる場合に
は、圧力制御弁25をフィードバックによらずフィード
フォワード制御するようになっている。つまり、例え
ば、図7に示すように、目標減速度αa に応じた指示電
流Iを設定し、この指示電流Iをソレノイド25Cに供
給して、油圧室15内の油圧を目標減速度αa に応じた
ものに調整して自動ブレーキのブレーキ力を制御するの
である。実際には、ECU26は、目標減速度αa に応
じた指示電圧Vを設定し、この指示電圧Vをバルブ駆動
回路27の増幅回路(Kamp )に送ると、バルブ駆動回
路27では指示電圧Vに応じたバルブ駆動電流(指示電
流)Iを圧力制御弁25に出力するようになっている。
したがって、実際の制御では、この目標減速度αa に応
じた指示電圧Vを設定する必要がある。
【0051】なお、図8は、乾燥アスファルト路(ブレ
ーキ路)上で所定速度から指示電圧Vを代えた種々のモ
ードで減速させた実験結果であり、指示電圧Vに対する
減速度αa の変化(減速度制御性)を示している。図示
するように、指示電圧Vに基づいて、減速度αa の制御
を行なえることがわかる。さらに、本車両用自動ブレー
キ装置には、ステアリングホイール40に付設された操
舵角センサ41と、ラックアキュムレータ23内の圧力
A が所定圧P0に達しなくなるとオンになる圧力スイ
ッチ29とからの情報がECU26に送られるようにな
っている。ECU26では、これらの操舵角センサ41
及び圧力スイッチ29からの情報に基づいて、操舵角が
中立で(即ち、パワーステアリング機構が作動していな
くて)、アキュムレータ23内の圧力PA が所定圧P0
に達していない場合(即ち、圧力スイッチ29がオンの
場合)には、前述の油圧源切換弁35及びモード切換弁
37が自動操舵モード(非パワーステアリングモード)
となり、自動操舵角制御弁36が中立待機モードとな
り、自動操舵力制御弁38が出力圧0(kgf/cm2 )の状
態となるように、それぞれ制御するようになっている。
なお、所定圧P0 は、自動ブレーキ制御を安定して行な
うのに必要な作動油圧である。
【0052】自動操舵角制御弁36を中立待機モードの
時には、サーボ確保のため中立アンダーラップ状態とな
って、自動操舵力制御弁38を出力圧が0(kgf/cm2
のもとで、アキュムレータ23側の油圧として例えば1
0〜15(kgf/cm2 )程度の油圧が立つので、上記のE
CU26の制御で、アキュムレータ23内の圧力が高め
られるようになっているのである。
【0053】さらに、本車両用自動ブレーキ装置には、
この蓄圧不良時に、ドライバに蓄圧不良を警告する警告
手段としてワーニングランプ42が設けられている。こ
のワーニングランプ42も、ECU26により作動を制
御され、ECU26では、操舵角センサ41及び圧力ス
イッチ29からの情報に基づいて、操舵角が中立で、ア
キュムレータ23内の圧力PA が所定圧P0 に達してい
ない場合には、ワーニングランプ42を点灯させるよう
になっている。
【0054】本発明の一実施例としての車両用自動ブレ
ーキ装置は、上述のように構成されるので、例えば図9
(A)に示すような流れで、アキュムレータ23内の油
圧を調整し、この一方で、例えば図9(B)に示すよう
な流れで、自動ブレーキを作動させる。即ち、アキュム
レータ23内の油圧調整は、図9(A)に示すように、
ステアリングホイール40に付設された操舵角センサ4
1からの情報に基づいて、操舵角が中立であるか否か、
即ち、パワーステアリング機構が作動していないかどう
かを判断して、操舵角が中立(パワーステアリング機構
が作動していない)であれば、ステップA2へ進んで、
アキュムレータ23内の圧力PA が所定圧P0 に達して
いないか否か(即ち、圧力スイッチ29がオンか否か)
を判断する。
【0055】ここで、アキュムレータ23内の圧力PA
が所定圧P0 に達していない場合(即ち、圧力スイッチ
29がオンの場合)には、ステップA3へ進んで、前述
の油圧源切換弁35及びモード切換弁37を自動操舵モ
ード(非パワーステアリングモード)とし、自動操舵角
制御弁36を中立待機モードとして、自動操舵力制御弁
38を出力圧0(kgf/cm2 )の状態となるように、それ
ぞれ制御する。この場合には、実際には自動操舵は行な
われず、また、パワーステアリング機構も作動しないの
で、操舵は通常のマニュアル操舵となる。さらに、ワー
ニングランプ42を点灯させる。
【0056】これにより、アキュムレータ23側の油圧
として例えば10〜15(kgf/cm2)程度の油圧が立つ
ようになって、アキュムレータ23内の圧力PA が高め
られていき、やがて(実際は極めて短期間である)、自
動ブレーキ制御を安定して行なうのに必要な作動油圧P
0 を越えるようになる。また、ワーニングランプ42の
点灯により、ドライバが蓄圧不足を認識することがで
き、ドライバは、操舵は通常のマニュアル操舵となるの
に違和感を感じにくくなる。また、車両の発進時にワー
ニングランプ42が点灯した際には、特に注意深く運転
を行なうように促す役目も果たす。
【0057】一方、操舵角が中立でない時には、ステッ
プA4へ進んで、油圧源切換弁35,モード切換弁3
7,自動操舵角制御弁36及び自動操舵力制御弁38の
各弁がパワーステアリングモードに設定される。この時
には、パワーステアリング機構が作動するので、アキュ
ムレータ23側の油圧が立ち上がって、アキュムレータ
23内の圧力PA が低い場合でもこれが速やかに高めら
れる。
【0058】また、アキュムレータ23内の圧力PA
所定圧P0 に達していれば、アキュムレータ23内の圧
力補充は不要であり、ステップA4へ進んで、各弁がパ
ワーステアリングモードに設定される。こうして、自動
ブレーキ制御をいつでも行なえる状態となり、このよう
に、アキュムレータ23内の圧力PA が確保されたうえ
で、自動ブレーキを作動させることができる。
【0059】また、自動ブレーキを作動については、図
9(B)に示すように、図示しないセンサで車両の実減
速度αr を検出し(ステップS1)、この一方で、例え
ば、図4に示すようにして、前方の車両との車間距離L
や前方の車両との接近度合(−dL/dt)に応じて、
各マップ(図5,6参照)から目標減速度αa を設定す
る(ステップS2)。
【0060】ついで、実減速度αr が目標減速度αa
下かを判断し(ステップS3)、実減速度αr が目標減
速度αa 以下ならば、ステップS4に進んで、自動ブレ
ーキ切換弁24をオンにセットして、自動ブレーキを作
動させる。即ち、自動ブレーキ切換弁24のソレノイド
24Cへ電流を供給して、自動ブレーキ切換弁24を開
通する。
【0061】そして、ステップS5に進んで、圧力制御
弁(減圧弁)25の作動を制御する。即ち、ECU26
で、目標減速度αa に応じた指示電圧Vをバルブ駆動回
路に送ってバルブ駆動回路から指示電圧Vに応じたバル
ブ駆動電流(指示電流)Iを圧力制御弁25に出力す
る。これにより、油圧室15内の油圧が調整されて、こ
の油圧に応じて、ピストン14がブレーキ操作側へ駆動
され、これに伴いオペレーティングロッド3もブレーキ
操作側へ駆動される。そして、オペレーティングロッド
3に連動してプッシュロッド5がブレーキ操作側へ移動
してマスタシリンダを作動させて、キャリパ側のブレー
キピストン(図示略)が駆動され、目標減速度αa に応
じるようなブレーキ力が車輪を通じて与えられる。
【0062】そして、このような圧力制御弁25の制御
を行なって、実減速度αr が目標減速度αa に達した
ら、ステップS3からステップS6へ進んで、自動ブレ
ーキ切換弁24をオフに切り換えて、自動ブレーキを停
止させる。即ち、自動ブレーキ切換弁24のソレノイド
24Cへの電流供給を停止して、自動ブレーキ切換弁2
4を閉鎖するのである。
【0063】このようにして、本車両用自動ブレーキ装
置では、圧縮性流体である空気を用いるのでなく、非圧
縮性流体である作動油(液体)を用いて、自動ブレーキ
のブレーキ制御が行なわれるので、制御応答性を良好に
でき、また、最大制御圧力も大きく設定しやすい。さら
に、このような自動ブレーキの作動時にも、オペレーテ
ィングロッド3のブレーキ操作側への移動に伴い、マス
ターバック1のバルブ12が閉鎖されて、負圧室9と大
気圧室10との圧力差による力が、オペレーティングロ
ッド3へのブレーキ操作力を加勢する。
【0064】このように、非圧縮性流体を用いること、
及び、マスターバック1の加勢を利用することにより、
油圧室15内への供給油圧を比較的小さく設定しても、
マスターバック1の加勢により、マスタシリンダを十分
な速度で十分な量だけ駆動することができる。即ち、ブ
レーキアクチュエータ4を小型化しながらも、十分な制
御応答性や十分な最大制御量を得られるようになる利点
がある。
【0065】また、自動ブレーキを作動させない場合に
は、自動ブレーキ切換弁24のソレノイド24Cへ電流
の供給を停止する。これにより、ピストン14は後退位
置に保持されるが、オペレーティングロッド3はピスト
ン14に拘束されることなく自由にブレーキ操作側へ移
動しうるので、ブレーキペダル2が踏み込まれると、オ
ペレーティングロッド3がブレーキ操作側へ移動し、マ
スターバック1の加勢を受けながら、オペレーティング
ロッド3,プッシュロッド5がブレーキ操作側へ移動し
てマスタシリンダを作動させ、キャリパ側のブレーキピ
ストンが駆動され、ブレーキペダル2の踏み込みに応じ
たブレーキ力が車輪を通じて与えられる。
【0066】また、本車両用自動ブレーキ装置の制御系
がフェイルした場合、即ち、自動ブレーキ切換弁24の
ソレノイド24Cや圧力制御弁25のソレノイド25C
への電流の供給を行なえない場合には、ピストン14が
後退位置に保持され、上述と同様に、ブレーキペダル2
に応じたブレーキ性能は何ら損なわれることなく確保さ
れる。
【0067】また、本車両用自動ブレーキ装置は、マス
ターバック1をそなえた既存の車両用ブレーキ装置に、
ブレーキアクチュエータ4、即ち、ピストン14,油圧
室15,油圧調整機構16及びリターンスプリング17
を追加するだけで、既存の装置を最大限生かしながら容
易に設置することができ、コスト的にも有利である。も
ちろん、本実施例のブレーキ装置のように、パワーステ
アリングの油圧系をそなえていれば、このパワーステア
リングの油圧系を油圧調整機構16に利用できて、コス
ト的に更に有利になる。
【0068】そして、パワーステアリング機構の油圧系
を兼用しているので、装置の簡素化及び低コスト化を推
進できる。また、油圧源としてアキュムレータ23を用
いているので、安定した油圧が得られ、自動ブレーキの
制御を精度良く安定してしかも応答性良く行なうことが
できる。さらに、アキュムレータ内23の圧力が所定圧
に達しなくなると、油圧源切換弁の切り換えて、アキュ
ムレータ23内に速やかに作動油圧を導入するので、ア
キュムレータ23内の圧力を常時所定圧以上に確保でき
る。
【0069】つまり、油圧源としてアキュムレータ23
を用いると、安定した油圧が得られる反面、蓄圧されて
いないと、作動不良を発生する。特に、本車両用自動ブ
レーキ装置では、パワーステアリング機構の油圧系を兼
用しており、パワーステアリング機構の作動時には、ア
キュムレータ23に蓄圧できるが、パワーステアリング
機構が作動していない時には、アキュムレータ23内の
圧力が徐々に低下して、所定圧以下になるおそれがあ
る。これに対して、上記の制御により、このような事態
が回避されて、アキュムレータ23内の圧力を常時所定
圧以上に確保され、これにより、上記の自動ブレーキ制
御の精度,安定性,応答性の確保をより確実に実現でき
るようになるのである。
【0070】このような蓄圧の復帰は、実際には短時間
(例えば3秒程度)で行なわれるが、それでも、ドライ
バに違和感等を与えやすい。これに対して、ワーニング
ランプ42の点灯により、ドライバに蓄圧不足による制
御中である旨の自覚を与えることができるので、違和感
を解消しうる効果と、注意深く運転を行なうように促す
効果もある。
【0071】ところで、図7又は図8に示すようなマッ
プに基づいて、目標減速度αa に応じて、指示電流I又
は指示電圧Vを制御する手段は、自動ブレーキの作動中
にドライバがブレーキペダル2を踏み込んだ場合を考慮
していないが、本装置では、自動ブレーキの作動中にド
ライバが自由にブレーキペダル2を踏み込んでブレーキ
力を加えることができるので、この点を考慮する必要が
ある。
【0072】即ち、図10に示すように、ECU26で
指示電圧Vが設定されると、バルブ駆動回路27からこ
の指示電圧Vに応じたバルブ駆動電流Iが圧力制御弁
(減圧弁)25に供給されて、圧力制御弁25を通じて
バルブ駆動電流Iに応じた油圧Pが出力される。する
と、ピストン14からは、この油圧Pとピストン14の
面積Aとの積に応じた力A・Pがオペレーティングロッ
ド押圧力(自動ブレーキによるブレーキ操作力)F1
(=A・P)としてオペレーティングロッド3に与えら
れる。
【0073】一方、ドライバがブレーキペダル2を踏み
込むと、ドライバの踏力にブレーキペダル2のペダル比
を掛けた力F2がオペレーティングロッド押圧力(ドラ
イバによるブレーキ操作力)としてオペレーティングロ
ッド3に与えられる。結果として、オペレーティングロ
ッド(図10中のand回路が相当する)3には、二つ
の押圧力F1,F2の合力F3(=F1+F2)が入力
されることになる。マスタバック1には、この合力F3
からリターンスプリング11の反力kxを減じた力F4
(F3−kx)が働き、マスタシリダでは、マスタバッ
ク特性図10中の特性図参照)に応じて(この入力F4
に対応した吐出圧Pbが出力される。そして、この吐出
圧Pbとキャリパ側のブレーキシリンダのピストン面積
Amとの積に応じた力Am・Pがブレーキ力F5(=A
m・P)として車両に与えられる。
【0074】このように、制御パラメータVは、and
回路に相当するオペレーティングロッド3の上流側であ
るが、制御目標はオペレーティングロッド3の下流側で
あるため、制御系としては、結合部(and回路)より
も下流側のパラメータをフィードバック制御又はフィー
ドフォワード制御により制御量(制御パラメータV)を
設定する必要がある。
【0075】この一手段としては、例えばドライバのブ
レーキペダル2を踏み込み状態から、結合部(and回
路)よりも下流側のパラメータであるブレーキ液圧を予
測して、この予測に基づく、フィードフォワード制御が
考えられる。なお、ワーニングランプ42の制御を、圧
力スイッチ29からの情報のみに基づいて制御するよう
に設定してもよい。つまり、、アキュムレータ23内の
圧力PA が所定圧P0 に達していない場合(即ち、圧力
スイッチ29がオンの場合)には、すべてワーニングラ
ンプ42を点灯させるようしてもよい。
【0076】また、この実施例では、油圧式パワーステ
アリング機構30に油圧式自動操舵機構31をそなえた
構成になっているが、本車両用自動ブレーキ装置を適用
できる油圧式パワーステアリング機構は、自動操舵機構
をそなえたものに限定されるものではなく、少なくと
も、油圧ポンプ20とパワーステアリング弁34との間
に、油圧ポンプ20からの作動油をパワーステアリング
弁34に導きうるパワーステアリングモードと、油圧式
パワーステアリング機構の非作動時にも油圧ポンプ20
からの作動油を自動ブレーキ用アクチュエータ4に導き
うる非パワーステアリングモード(実施例の自動操舵モ
ードに相当する)を有して、基本モードをパワーステア
リングモードに設定された油圧源切換弁(実施例の油圧
源切換弁35,37等に対応したもの)をそなえた油圧
式パワーステアリング機構であれば適用できる。
【0077】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の車両用自動ブレーキ装置は、車両の操舵系に設け
られて油圧ポンプと油圧シリンダと該油圧ポンプで駆動
された作動油を操舵入力をアシストするように該油圧シ
リンダに導くパワーステアリング弁とをそなえた油圧式
パワーステアリング機構と、ブレーキペダルの踏み込み
によるブレーキ用マスタシリンダの駆動時に該踏み込み
力をアシストするための真空倍力機構と、該真空倍力機
構の要部を油圧駆動することで、該ブレーキペダルが踏
み込まれていなくても該ブレーキ用マスタシリンダを駆
動しうる自動ブレーキ用アクチュエータとをそなえると
ともに、該油圧ポンプと該パワーステアリング弁との間
に、該油圧ポンプからの作動油を該パワーステアリング
弁に導きうるパワーステアリングモード及び該油圧式パ
ワーステアリング機構の非作動時にも該油圧ポンプから
の作動油を該自動ブレーキ用アクチュエータに導きうる
非パワーステアリングモードを有し、基本モードをパワ
ーステアリングモードに設定された油圧源切換弁をそな
え、該自動ブレーキ用アクチュエータが、該真空倍力機
構の要部を該ブレーキ操作側へ駆動しうるピストンと、
該ピストンに対して該ブレーキ操作側へ駆動する油圧を
与えうる油圧室と、該油圧ポンプと該油圧源切換弁との
間の油路に設けられ、該油路に生じた油圧を蓄圧する蓄
圧器と、該蓄圧器と該油圧室との間に介装されて、所要
の制動状態が実現するように該油圧室内の油圧を調整す
る油圧調整機構と、該油圧調整機構を制御するととも
に、該蓄圧器内の圧力が所定圧に達していない場合には
該油圧源切換弁を非パワーステアリングモードに設定し
うる制御手段とをそなえて構成されていることにより、
以下のような効果や利点を得ることができるようにな
る。 (1)非圧縮性流体を用いること及び真空倍力機構の加
勢を利用することから自動ブレーキ用アクチュエータを
小型化しながら十分な制御応答性や十分な最大制御量を
得られるようになる利点がある。 (2)本自動ブレーキ装置の制御系がフェイルした場合
にも、ブレーキペダルを通じての通常のブレーキ操作性
能を確保できる。 (3)真空倍力機構をそなえた既存の車両用ブレーキ装
置に、ブレーキアクチュエータを追加するだけで設置で
き、既存の装置を最大限生かしながら低コストで且つ容
易に設置することができる。 (4)パワーステアリング機構の油圧系を兼用している
ので、装置の簡素化及び低コスト化を推進できる。 (5)油圧源として蓄圧器を用いているので、安定した
油圧が得られ、自動ブレーキの制御を精度良く安定して
しかも応答性良く行なうことができる。 (6)蓄圧器内の圧力が所定圧に達しなくなると、油圧
源切換弁の切り換えて、蓄圧器内に速やかに作動油圧を
導入するので、蓄圧器内の圧力を常時所定圧以上に確保
でき、上記の自動ブレーキ制御の精度,安定性,応答性
の確保をより確実に実現できる。
【0078】また、請求項2記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置によれば、請求項1記載の構成において、
該制御手段が、該車両のステアリング系が中立状態で且
つ該蓄圧器内の圧力が所定圧に達していない場合に、該
油圧源切換弁を非パワーステアリングモードに設定する
ように構成されていることにより、パワーステアリング
の機能をできるだけ確保しながら、自動操舵のための蓄
圧動作を行なえる。
【0079】また、請求項3記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置によれば、請求項1又は2記載の構成にお
いて、該蓄圧器内の圧力が所定圧に達していない場合に
ドライバに警告を与える警告手段が設けられていること
により、蓄圧不足によるパワーステアリング応答低下に
対する違和感をドライバが予測でき、対処できる。ま
た、ドライバが積極的に蓄圧に協力できる可能性、即
ち、据え切り等の積極的蓄圧動作を行なえる。また、蓄
圧完了まで、運転を慎重に行なうようになり、自動ブレ
ーキ不作動による自己ポテンシャルを低下させることが
できる。
【0080】また、請求項4記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置によれば、請求項1〜3のいずれかに記載
の構成において、該油圧ポンプで駆動される作動油の一
部が、車両用油圧式四輪操舵装置と併用されていること
により、油圧系の構成が簡素化されて、車両の総合的な
自動制御を構成するうえで、装置の小型化や設置コスト
の低減等の利点が得られる。
【0081】また、請求項5記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置によれば、請求項1〜4のいずれかに記載
の構成において、該油圧調整機構が、該圧力室へ供給さ
れる作動油の油圧を制御する圧力制御弁で構成されてい
ることにより、また、請求項6記載の本発明の車両用自
動ブレーキ装置によれば、請求項1〜5のいずれかに記
載の構成において、該真空倍力機構が、ブレーキペダル
と連動して進退しマスタシリンダを操作するブレーキペ
ダル連動部材と、該ブレーキペダル連動部材に接続され
たダイヤフラムと、該ダイヤフラムで仕切られた負圧室
及び大気圧室と、該ブレーキペダルの踏み込み時に該ブ
レーキペダルの踏み込み力をアシストするために該ブレ
ーキペダル連動部材と連動して該負圧室内と該大気圧室
内との間に圧力差を生じせしめる開閉弁とから構成さ
れ、該自動ブレーキ用アクチュエータの該ピストンが、
該ブレーキペダル連動部材に対して該ブレーキ操作側へ
押圧しうるが該ブレーキペダルの踏み込みによる該ブレ
ーキペダル連動部材の該ブレーキ操作側への前進を妨げ
ないように、該ブレーキペダル連動部材に当接しうるよ
うに設置されるとともに、リターンスプリングにより、
該ブレーキ操作側とは反対方向へ付勢されていることに
より、確実に自動ブレーキを作動させることができる。
【0082】また、請求項7記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置によれば、請求項6記載の構成において、
該ブレーキペダル連動部材が該真空倍力機構の本体の中
心を貫通するように配設された軸状の部材であって、該
ブレーキペダル連動部材の外周に、該ブレーキ操作側へ
向けて押圧力を受ける受圧面が形成されて、該ピストン
に、該受圧面に当接して該ブレーキ操作側への押圧力を
与える押圧面が形成されていることにより、上述の
(2)の効果、即ち、自動ブレーキ装置の作動時にもブ
レーキペダルを通じての通常のブレーキ操作を加えるこ
とが可能となり、また、本自動ブレーキ装置の制御系等
がフェイルした場合にもブレーキペダルを通じての通常
のブレーキ操作性能を確保できる、という効果を、より
確実に得られるようになる。
【0083】また、請求項8記載の本発明の車両用自動
ブレーキ装置によれば、請求項6又は7記載の構成にお
いて、該真空倍力機構本体のケース部材の後端を覆うカ
バー部材が装着され、該カバー部材と該ケース部材の後
端面とで覆われた閉空間内に、該ピストンが内装されて
いることにより、上述の(3)の効果、即ち、既存の装
置を最大限生かしながら低コストで且つ容易に設置する
ことができる効果を、より確実に得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての車両用自動ブレーキ
装置の自動ブレーキ用アクチュエータの油圧調整機構及
びこの油圧調整機構に関連する操舵系油圧回路を示す模
式的な構成図である。
【図2】本発明の一実施例としての車両用自動ブレーキ
装置の自動ブレーキ用アクチュエータの要部構成を示す
真空倍力機構の部分断面図である。
【図3】本発明の一実施例としての車両用自動ブレーキ
装置をそなえたブレーキ系に装備される真空倍力機構の
断面図である。
【図4】本発明の一実施例としての車両用自動ブレーキ
装置の自動ブレーキ制御に用いる目標減速度の設定のた
めの信号処理系を示す図である。
【図5】本発明の一実施例としての車両用自動ブレーキ
装置の自動ブレーキ制御に用いる目標減速度の設定のた
めのマップを示す図である。
【図6】本発明の一実施例としての車両用自動ブレーキ
装置の自動ブレーキ制御に用いる目標減速度の設定のた
めのマップを示す図である。
【図7】本発明の一実施例としての車両用自動ブレーキ
装置の自動ブレーキ制御における減速度と指示電流との
関係を示す図である。
【図8】本発明の一実施例としての車両用自動ブレーキ
装置の自動ブレーキ制御における減速度と制御電圧との
関係の実験結果を示す図である。
【図9】本発明の一実施例としての車両用自動ブレーキ
装置の制御の手順を示すフローチャートであり、(A)
は油圧源制御の手順を示すフローチャート、(B)は自
動ブレーキ制御の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施例としての車両用自動ブレー
キ装置をそなえたブレーキ系のブレーキ力の伝達経路を
示す模式的なブロック図である。
【図11】従来の電動モータ方式のアクチュエータヲ用
いた車両用自動ブレーキ装置を示す模式的な構成図であ
る。
【符号の説明】
1 マスターバック(真空倍力機構) 2 ブレーキペダル 3 オペレーティングロッド(ブレーキペダル連動部
材) 3A フランジ部 3a 受圧面 4 自動ブレーキ用アクチュエータ(ブレーキアクチュ
エータ) 5 プッシュロッド 6 ケース 6A カバー 7 可動ベース部材 8 ダイヤフラム 9 負圧室 10 大気圧室 11 リターンスプリング 12 バルブ 13 リターンスプリング 14 ピストン 14A フランジ部 14a 押圧面 15 油圧室 16 油圧調整機構 17 リターンスプリング 18 リザーバタンク 19 油圧回路 20 作動油駆動手段としてのポンプ 21 分流弁 22 逆止弁 23 蓄圧手段としてのアキュムレータ 24 自動ブレーキ切換弁 25 圧力制御弁(減圧弁) 24A 弁体 24B リターンスプリング 24C ソレノイド 25A 弁体 25B リターンスプリング 25C ソレノイド 26 電子制御ユニット(ECU) 27 バルブ駆動回路 28 ダッシュパネル 29 圧力スイッチ 30 油圧式パワーステアリング機構 31 油圧式自動操舵機構 32 操舵力伝達部材(ラックアンドピニオン機構のラ
ック) 33 油圧シリンダ 34 パワーステアリング弁 35 油圧源切換弁 35A 弁体 35B リターンスプリング 35C ソレノイド 36 自動操舵角制御弁 36A 弁体 36B リターンスプリング 36C 弁体駆動機構 36D 圧力制御弁 36a リターンスプリング 36b ソレノイド 37 モード切換弁 37A 弁体 37B リターンスプリング 37C ソレノイド 38 自動操舵力制御弁 38A リターンスプリング 38B ソレノイド 39 変位センサ 40 ステアリングホイール 41 操舵角センサ 42 警告手段としてのワーニングランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B62D 5/07 C 8510−3D (72)発明者 前村 高広 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内 (72)発明者 田中 忠夫 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の操舵系に設けられて、油圧ポンプ
    と油圧シリンダと該油圧ポンプで駆動された作動油を操
    舵入力をアシストするように該油圧シリンダに導くパワ
    ーステアリング弁とをそなえた油圧式パワーステアリン
    グ機構と、 ブレーキペダルの踏み込みによるブレーキ用マスタシリ
    ンダの駆動時に該踏み込み力をアシストするための真空
    倍力機構と、 該真空倍力機構の要部を油圧駆動することで、該ブレー
    キペダルが踏み込まれていなくても該ブレーキ用マスタ
    シリンダを駆動しうる自動ブレーキ用アクチュエータと
    をそなえるとともに、 該油圧ポンプと該パワーステアリング弁との間に、該油
    圧ポンプからの作動油を該パワーステアリング弁に導き
    うるパワーステアリングモード及び該油圧式パワーステ
    アリング機構の非作動時にも該油圧ポンプからの作動油
    を該自動ブレーキ用アクチュエータに導きうる非パワー
    ステアリングモードを有し、基本モードをパワーステア
    リングモードに設定された油圧源切換弁をそなえ、 該自動ブレーキ用アクチュエータが、 該真空倍力機構の要部を該ブレーキ操作側へ駆動しうる
    ピストンと、 該ピストンに対して該ブレーキ操作側へ駆動する油圧を
    与えうる油圧室と、 該油圧ポンプと該油圧源切換弁との間の油路に設けら
    れ、該油路に生じた油圧を蓄圧する蓄圧器と、 該蓄圧器と該油圧室との間に介装されて、所要の制動状
    態が実現するように該油圧室内の油圧を調整する油圧調
    整機構と、 該油圧調整機構を制御するとともに、該蓄圧器内の圧力
    が所定圧に達していない場合には該油圧源切換弁を非パ
    ワーステアリングモードに設定しうる制御手段とをそな
    えて構成されていることを特徴とする、車両用自動ブレ
    ーキ装置。
  2. 【請求項2】 該制御手段が、 該車両のステアリング系が中立状態で且つ該蓄圧器内の
    圧力が所定圧に達していない場合に、該油圧源切換弁を
    非パワーステアリングモードに設定するように構成され
    ていることを特徴とする、請求項1記載の車両用自動ブ
    レーキ装置。
  3. 【請求項3】 該蓄圧器内の圧力が所定圧に達していな
    い場合にドライバに警告を与える警告手段が設けられて
    いることを特徴とする、請求項1又は2記載の車両用自
    動ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 該油圧ポンプで駆動される作動油の一部
    が、 車両用油圧式四輪操舵装置と併用されていることを特徴
    とする、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用自動ブ
    レーキ装置。
  5. 【請求項5】 該油圧調整機構が、 該圧力室へ供給される作動油の油圧を制御する圧力制御
    弁で構成されていることを特徴とする、請求項1〜4の
    いずれかに記載の車両用自動ブレーキ装置。
  6. 【請求項6】 該真空倍力機構が、ブレーキペダルと連
    動して進退しマスタシリンダを操作するブレーキペダル
    連動部材と、該ブレーキペダル連動部材に接続されたダ
    イヤフラムと、該ダイヤフラムで仕切られた負圧室及び
    大気圧室と、該ブレーキペダルの踏み込み時に該ブレー
    キペダルの踏み込み力をアシストするために該ブレーキ
    ペダル連動部材と連動して該負圧室内と該大気圧室内と
    の間に圧力差を生じせしめる開閉弁とから構成され、 該自動ブレーキ用アクチュエータの該ピストンが、 該ブレーキペダル連動部材に対して該ブレーキ操作側へ
    押圧しうるが該ブレーキペダルの踏み込みによる該ブレ
    ーキペダル連動部材の該ブレーキ操作側への前進を妨げ
    ないように、該ブレーキペダル連動部材に当接しうるよ
    うに設置されるとともに、リターンスプリングにより、
    該ブレーキ操作側とは反対方向へ付勢されていることを
    特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の車両用自
    動ブレーキ装置。
  7. 【請求項7】 該ブレーキペダル連動部材が該真空倍力
    機構の本体の中心を貫通するように配設された軸状の部
    材であって、 該ブレーキペダル連動部材の外周に、該ブレーキ操作側
    へ向けて押圧力を受ける受圧面が形成されて、 該ピストンに、該受圧面に当接して該ブレーキ操作側へ
    の押圧力を与える押圧面が形成されていることを特徴と
    する、請求項6記載の車両用自動ブレーキ装置。
  8. 【請求項8】 該真空倍力機構本体のケース部材の後端
    を覆うカバー部材が装着され、 該カバー部材と該ケース部材の後端面とで覆われた閉空
    間内に、該ピストンが内装されていることを特徴とす
    る、請求項6又は7記載の車両用自動ブレーキ装置。
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