JP3849583B2 - 電動ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者によるブレーキ操作に応じてモータを駆動し、モータ駆動力に基づいて制動力を発生させるブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、運転者によるブレーキ操作に基づいてポンプ駆動を行ない、必要とされる制動力を発生させるブレーキ装置がある。例えば、ポンプから吐出された作動油をマスタシリンダ(以下、M/Cという)室内に導入することでマスタピストンを押圧し、ホイールシリンダ(以下、W/Cという)圧を発生させるブレーキ装置がある。また、調圧弁を介してポンプから吐出された作動油をハイドロリックブースタに導入させ、このブースタで作動油を増圧し、増圧された作動油にてM/Cを介してW/C圧を発生させるハイドロリックサーボ型のブレーキ装置もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のいずれのブレーキ装置においても、多数の構成部品、例えば、調圧弁、ポンプや作動油が流動する油路等が必要になるという問題がある。また、ポンプを用いた加圧形態を利用しているため、ポンプ効率に起因するエネルギー効率の低下の問題、ポンプ作動音の問題がある。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、多数の構成部品が必要とされず、かつ、エネルギー効率の低下、作動音の問題がないブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、運転者の制動要求に応じて操作されるペダル(1)と、前記ペダルの操作量と連動して油圧を発生させるフェイルセーフシリンダ(2,15)と、各車輪毎に設けられ、各車輪の制動力を発生させるホイールシリンダ(8a〜8d)と、前記フェイルセーフシリンダとは分離され、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ(4,14)と、電流駆動され、前記マスタシリンダ内のブレーキ液圧を制御するモータ(5)と、前記ペダルの操作量を検出するペダル操作量検出手段(3)を備え、前記モータを駆動し、前記マスタシリンダ内のブレーキ液圧を制御し、前記ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を発生させる第1の動作モードと、前記モータを駆動せずに、前記フェイルセーフシリンダが発生した油圧に応じて、前記ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を発生させる第2の動作モードとを有して動作することを特徴としている。
【0006】
このような電動ブレーキ装置は、モータを用いてM/C圧を発生させると共に、発生させたM/C圧に基づいてW/C圧を発生させるようにしている。このため、従来のようにポンプを用いる必要がなく、エネルギー効率の低下や作動音の問題を無くすことができる。また、ポンプを用いた加圧形態でないため、油路等の構成を無くすことができ、多数の構成部品を必要としないで済むようにできる。
【0007】
さらに、本発明の電動ブレーキ装置は、モータの駆動によりW/C圧を発生させる第1の動作モードと、モータを駆動せず、ペダル操作に連動して発生するフェイルセーフシリンダの発生油圧に応じてW/C圧を発生させる第2の動作モードとにより動作するので、何らかの原因でモータ駆動ができなくなっても、確実にW/C圧を発生させることができる。
【0008】
そして、前記第1の動作モードでは、前記ペダル操作量検出手段での検出結果に基づいて前記モータを駆動し、前記マスタシリンダ内のブレーキ液圧を制御し、前記ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を発生させるようにすることができる。
【0009】
上記第2の動作モードでは、フェイルセーフシリンダが発生した油圧に基づいてマスタシリンダ内のブレーキ液圧を制御し、この制御されたブレーキ液圧をホイールシリンダに与えることにより、ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を発生させるようにすることができる。すなわち、M/C圧を発生させるために、モータ駆動せず、フェイルセーフシリンダが発生した油圧によりM/C圧を制御するのである。
【0010】
これを具体的に達成するために、フェイルセーフシリンダは、ペダルの操作によって駆動されるピストン(2b,2c)及びピストンを収容するシリンダ部(2a)を有し、ピストンの移動によりシリンダ部内に油圧を発生させるように構成されると共に、マスタシリンダは、第1、第2のマスタピストン(4a,4b)と第1、第2のマスタピストンを収容するシリンダ部(4o)を有し、第1、第2マスタピストンによってシリンダ部内に第1、第2室(4c,4d)を形成すると共に、第1、第2のマスタピストンを移動させることで第1、第2室内のブレーキ液を制御し、ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を加えるように構成され、さらに、フェイルセーフピストン(4g)とフェイルセーフピストンによって形成されるフェイル時加圧室(4i)とを有し、フェイルセーフピストンの移動に伴って第1、第2のマスタピストンを移動させられうように構成されていると共に、フェイル時加圧室がフェイルセーフシリンダのシリンダ部内に接続された構成とされており、第1の動作モードでは、モータを駆動し、第1、第2のマスタピストンを移動させることで、第1、第2室内のブレーキ液圧を制御し、第2の動作モードでは、フェイルセーフシリンダが発生した油圧に基づいてフェイル時加圧室の油圧を加圧し、フェイルセーフピストンを移動させ、第1、第2室内のブレーキ液圧を制御するように動作する。
【0011】
また、フェイルセーフシリンダに備えられたシリンダ部内には、ピストンとして第1、第2のピストン(2b、2c)が備えられ、第1、第2のピストンの間に第1の背室(2f)、第2のピストンとシリンダ部の端面との間に第2の背室(2g)が形成されており、第1、第2の背室とフェイル時加圧室とが接続されていると共に、第2の背室とフェイル時加圧室との間の連通、遮断を制御する制御弁(9)が備えられ、第1の動作モードにおいては、制御弁が遮断状態とされ、第2の動作モードにおいては、制御弁が連通状態とされるように動作することを特徴としている。この第2の動作モードで連通状態とすることにより、フェイル時のペダルストロークが必要以上に増加しないようにしている。
【0012】
このように、第1の動作モードにおいて制御弁を用いて第2の背室とフェイル時加圧室とを遮断状態とすることで、第1の背室をストロークシミュレータとして機能させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、マスタシリンダには、モータによって駆動され、第1のマスタピストンと一体とされたピストンロッド(4e)が備えられており、ピストンロッドは、フェイルセーフピストンに形成された貫通孔に嵌め込まれていると共に、フェイルセーフピストンよりも第1のマスタピストン側にフェイルセーフピストンに接するフランジ部(4h)が備えた構成となっていることを特徴としている。
【0014】
このような構成とすれば、第1の動作モード時には、モータによるピストンロッドの駆動によってM/C圧を発生させることができ、第2の動作モード時には、フェイルセーフピストンがフランジ部を介してピストンロッドを駆動することによってM/C圧を発生させることができる。
【0015】
なお、請求項3に記載の発明のように、モータによる回転駆動力を直線運動に変換するギア機構を有し、ピストンロッドがギア機構によって駆動されるように構成することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、ピストンロッドは、ギア機構と噛合う側と第1のマスタピストンに結合される側の2部位に分割されていることを特徴としている。このような構成により、モータあるいはギア機構にロック故障が発生しても、他方が第1、第2のマスタピストンを移動させてM/C圧を加圧できる。
【0031】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態にかかる電動ブレーキ装置の全体構成を示す。以下、図1に基づいて電動ブレーキ装置の構成についての説明を行なう。
【0033】
図1に示すように、電動ブレーキ装置には、運転者の制動要求に応じて操作されるブレーキペダル1、フェイルセーフシリンダ2、ペダル操作量センサ(ペダル踏力やペダルストローク)3が備えられている。
【0034】
フェイルセーフシリンダ2は、シリンダ2a、シリンダ2aの内壁面を摺動する第1、第2のピストン2b、2cおよびシリンダ2a内に設けられた第1、第2のスプリング2d、2eを備えた構成となっている。両ピストン2b、2cの間に形成される第1室(第1の背室)2f内に第1のスプリング2dが配置され、第2のピストン2cとシリンダ2aの端面との間に形成される第2室(第2の背室)2g内に第2のスプリング2eが配置された構成となっている。これらの構成により、ブレーキぺダル1が踏み込まれると、第1のピストン2bおよび第2のピストン2cが移動し、第1、第2室2f、2g内のブレーキ液を加圧するようになっている。
【0035】
なお、第1のスプリング2dは、ブレーキ時にペダル反力を形成できる大きさのバネ力とされ、最適なペダルストロークと踏力との関係を実現するように作り込まれている。第2のスプリング2eは、ブレーキペダル1のリターンスプリングとして機能する程度のバネ力とされる。
【0036】
また、第1室2fおよび第2室2gのそれぞれには連通ポート2h、2i、2j、2kが形成されており、ポート2h、2iを通じて両室2f、2gが後述するマスタリザーバ4fに接続され、ポート2j、2kを通じて両室2f、2gが後述するフェイル時加圧室4iと接続されている。これらのうち、ポート2h、2iは、ブレーキペダル1のストロークが0の時に連通状態、ブレーキペダル1がストロークするとただちに遮断状態となるように構成されている。
【0037】
さらに、ペダル操作量センサ3もブレーキペダル1に接続されている。このペダル操作量センサ3によってペダル操作量、例えばペダルストロークやペダル踏力を検出できるようになっている。なお、このペダル操作量センサ3がペダル操作量検出手段に相当するものである。
【0038】
また、第1実施形態の電動ブレーキ装置には、ブレーキペダル1とは分離された構成として、M/C4、モータ5及びギア機構6、ABSアクチュエータ7、各車輪に対応したW/C8a〜8dが備えられている。
【0039】
M/C4は、シリンダ部4oとシリンダ部4o内に収容されたマスタピストンとしての第1、第2のピストン4a、4bとを備えている。シリンダ部4o内は、第1のピストン4a及び第2のピストン4bによって第1室4cと第2室4dとに分割され、第1室4cが第1配管系統、第2室4dが第2配管系統に接続されている。そして、第1のピストン4aと一体的にピストンロッド4eが形成され、ピストンロッド4eの軸方向への移動に伴って第1、第2ピストン4aが移動し、各部屋4c、4dのブレーキ液圧(以下、M/C圧という)を増加させて、各W/Cのブレーキ液圧(以下、W/C圧という)を増加させるようになっている。このピストンロッド4eは、第1のピストン4aと結合される側とギア機構6に噛合う側との2部位に分割された構成となっている。このため、分割された部位の一方がギア機構6に噛合っていても、他方が第1、第2のピストン4a、4bを移動させてM/C圧を加圧できるように構成されている。また、M/C4にはマスタリザーバ4fが備えられており、各部屋4c、4dそれぞれがマスタリザーバ4fに接続された構成となっている。
【0040】
M/C4のうち、第1のピストン4aを挟んで第1、第2室4c、4dの反対側には、ピストンロッド4eとは別体で構成されたフェイルセーフピストン4gが備えられている。このフェイルセールピストン4gの中央部には貫通孔が形成されており、この貫通孔にピストンロッド4eが嵌め込まれている。ピストンロッド4eのうちフェイルセーフピストン4gよりも第1のピストン4a側にはフランジ部4hが備えられており、このフランジ部4hがフェイルセーフピストン4gに接することで、ピストンロッド4eが初期位置に戻る際にフェイルセーフピストン4gも初期位置に戻るようになっている。
【0041】
さらに、M/C4には、フェイルセーフピストン4gによってフェイル時加圧室4iが形成されている。このフェイル時加圧室4iにはポート4jが形成されており、このポート4jがフェイルセーフシリンダ2に形成されたポート2j、2kに接続された構成となっている。そして、ポート4jとポート2kとの間に2位置弁で構成された制御弁としてのフェイルセーフ弁9が備えられ、これによってフェイルセーフシリンダ2の第2室2gとフェイル時加圧室4iとの連通、遮断が制御されるようになっている。
【0042】
なお、第1、第2のピストン4a、4bの間および第2のピストン4bとM/C4の内壁面との間には、リターンスプリング4m、4nが備えられている。このため、第1、第2のピストン4a、4bが常にモータ5側に押圧され、M/C4が作動する際には、第1、第2のピストン4a、4bが一体となって動作することになる。
【0043】
モータ5は、ペダル操作量センサ3での検出値や車両の走行状態に応じた回転駆動力(出力)を発生させる。ギア機構6は、ボールネジやラックアンドピニオンなどで構成されており、モータ5での回転駆動力を直線運動に変換する。このギア機構6によって、上述したピストンロッド4eが駆動されるようになっており、モータ5の回転駆動力がギア機構6によって直線運動に変換されると、その変換後の力に応じてピストンロッド4eが駆動されるようになっている。すなわち、モータ5の回転駆動力に応じたM/C圧を発生させ、それに応じたW/C圧を発生させるようになっている。なお、ギア機構6には、モータ必要トルクと必要軸力を調整するために、減速、増速ギアが備えられても良い。
【0044】
ABSアクチュエータ7は、従来と同様の一般的な構成のものであり、各W/C8a〜8dそれぞれに発生させるW/C圧の増圧、保持、減圧を各輪独立して制御できるように構成されている。なお、ABSアクチュエータ7に関しては、従来から周知の一般的な構造であるため、詳細な構造については省略する。
【0045】
さらに、本第1実施形態の電動ブレーキ装置には、モータ5及びABSアクチュエータ7を駆動するためのECU10が備えられている。このECU10には、ペダル操作量センサ3からの検出信号に加え、各車輪毎に備えられた車輪速度センサ11a〜11dからの車輪速度信号、車両のヨー角を検出するヨーレイトセンサ12からのヨーレイト信号、車両の横加速度を検出する横加速度センサ13からの横加速度信号が入力されるようになっている。そして、ECU10は、入力された各信号に基づいて各種演算を行ない、この演算によって求められるペダル操作量や車両状態量に基づいて、モータ5やABSアクチュエータ7及び制御弁9への駆動信号を出力するようになっている。なお、ここでいう車輪速度センサ11a〜11d、ヨーレイトセンサ12、横加速度センサ13が車両状態検出手段に相当するものである。
【0046】
以上のように構成される本第1実施形態の電動ブレーキ装置により、各種制御が実行される。図2〜図6に、電動ブレーキ装置が実行する各種処理のフローチャートを示し、これらの図に基づき各種制御についての説明を行なう。
【0047】
図2は、電動ブレーキ装置が行なう処理全体を示したフローチャートである。まず、ステップS51に示すように、イグニッションスイッチ(IG)がオンされると、ステップS52に進み、イニシャルチェックが行なわれ、システムが正常であるか否かが判定される。このイニシャルチェックは、モータ5、フェイルセーフ弁9、ECU10、電源系の故障や各センサの異常によってモータ5が制御不能になった場合の診断であり、ECU10にて自動的に実行され、走行開始前に完了する。そして、イニシャルチェックの結果、システムの異常が無ければステップS53に進み、システム正常時制御モード(第1の動作モード)に入る。逆に、システムに異常があればステップS54に進み、システム異常時制御モード(第2の動作モード)に入る。
【0048】
システム正常時制御モードに入ると、まずステップS53にてフェイルセーフ弁9がON(遮断状態)されたのち、ステップS55にて図3〜図6に示す各種制御が実行され、それらの制御に応じたモータ制御が行われる。
【0049】
このようなシステム正常時制御モードにおいては、フェイルセーフ弁9がONされると、フェイルセーフシリンダ2の第2室2gが油密状態となる。このとき、フェイルセーフシリンダ2の第1室2fがM/C4のフェイル時加圧室4iに繋がっているので、運転者によるブレーキペダル1の踏み込みにより、ブレーキぺダル1はストロークする。すなわち、正常時には第1室2fはストロークシミュレータとして機能する。従って、フェイルセーフシリンダ2の第1室2fに内蔵されたスプリング2dの特性により、最適なペダルストローク−反力特性を得ることができる。
【0050】
一方、ブレーキペダル1がストロークすると、ペダル操作量センサ3からの検出信号や後述する各種制御に基づいてモータ5が駆動される。そして、モータ5の回転駆動力がギア機構6にて直線運動に変換され、ピストンロッド4eと共に第1、第2のピストン4a、4bが駆動されて、M/C圧が増加されるため、この圧力に応じたW/C圧を発生させることができる。また、このとき、フェイルセーフピストン4gとピストンロッド4eとが別体構造で互いに規制されずに動作可能となっているため、ペダルストロークに依存せずにM/C圧を制御することができる。従って、ペダル操作入力が無い場合にも、M/C圧の加圧が可能となる。
【0051】
また、システム異常時制御モードに入ると、ステップS54にてフェイルセーフ弁9がOFF(連通状態)にされると共に、モータ5がOFFされる。従って、異常時制御モードにおいては、フェイルセーフシリンダ2の第1、第2室2f、2gが、いずれもM/C4のフェイル時加圧室4iに連通する。このため、システム異常時には、ブレーキペダル1の操作力が第1、第2室2f、2gを通じてフェイル時加圧室4iに伝わる。そして、フェイル時加圧室4i内のブレーキ液圧によってフェイルセーフピストン4gが第1、第2のピストン4a、4b側に付勢され、ピストンロッド4eのフランジ4hを通じて第1、第2のピストン4a、4bに伝わり、M/C圧ひいてはW/C圧を発生させる。
【0052】
このように、システム異常時には、第1、第2室2f、2gのブレーキ液を使ってW/C圧を発生させられるため、フェイル時にも十分なW/C圧を発生させることができる。また、ピストンロッド4eを第1のピストン4a側とギア機構6側とに2分割させてあるため、システム異常時にはモータ5及びギア機構6の抵抗を受けることなくピストンロッド4eを移動させ、M/C圧を発生させることができる。また、このような分割構造としているため、モータ5あるいはギア機構6のロック故障等が発生してもブレーキペダル1からの入力によってM/C圧を発生させることが可能である。
【0053】
なお、システム異常時の踏力−ブレーキ液圧特性はフェイルセーフシリンダ2の受圧面積にて自由に設定可能であるため、システム異常時に必要とされる条件を満足するような設定にすることができる。また、フェイルセーフシリンダ2の第1、第2室2f、2gを共にフェイル時加圧室4iに連通させるようにしているため、フェイル時加圧室4iへのブレーキ液の供給が十分に成され、システム異常時のペダルストロークを必要以上に増加させないようにすることができる。
【0054】
続いて、図3〜図6に基づいて、正常制御モード時に実行される各種制御の詳細について説明する。
【0055】
図3は、ブレーキペダル1が踏み込まれたブレーキ時の処理のフローチャートを示している。この図に示すように、ステップS101では、ペダル操作量を求める。このペダル操作量は、ペダル操作量センサ3によって求められる。続く、ステップS102では、ブレーキ倍力制御処理として倍力制御制動力演算を行なう。具体的には、ペダル操作量と倍力制御制動力との関係として、ブレーキ性能上好ましい特性、例えば運転者のブレーキフィーリングにあった特性を選択し、ペダル操作量に対する関数として、その特性に応じた必要制動力を数式、マップ等から求めることで倍力制御制動力演算を行なう。これにより、ブレーキ倍力制御によって必要とされる制動力(倍力制御制動力)が求められる。
【0056】
次に、ステップS103では、ブレーキアシスト制御処理としてブレーキアシスト制動力補正量演算を行なう。具体的には、ペダル操作量センサ3からの検出信号に基づいてペダル操作速度、例えばペダルストローク速度又はペダル踏力変化速度を求め、ペダル操作速度に基づいて必要制動力に加える補正量を求める。例えば、ペダル操作速度が速く、大きな制動力が必要であると想定さられる場合には、必要とされる制動力を大きくするように補正量(ブレーキアシスト制動力補正量)を求める。
【0057】
次に、ステップS104では、回生協調ブレーキ制御として回生制動入力を行なう。つまり、回生協調ブレーキ制御では、実際の必要制動力が回生ブレーキの制動力分を差し引いたものとなることから、このステップで回生ブレーキの制動力指示値(回生制動力)を得るようにする。
【0058】
そして、ステップS105では、倍力制御制動力+ブレーキアシスト制動力補正量−回生制動力の算出式から必要制動力を求める。この算出式中の各値は、上述したステップS102〜S104で求めたものであり、これにより、ブレーキ倍力制御、ブレーキアシスト制御及び回生協調ブレーキ制御を総合した必要制動力が算出される。
【0059】
続く、ステップS106では、ステップS105で求めた必要制動力に基づいて必要M/C圧を求める。この必要M/C圧は、必要制動力をM/C圧に換算するものであり、通常ブレーキ分野で一般的に使用されている算出式等に基づいて求められる。例えば、((必要制動力)×(タイヤ半径))/((W/C−タイヤ中心距離)×(W/C面積))の算出式から必要M/C圧が求まる。なお、W/C−タイヤ中心距離とは、タイヤ中心からW/C8a〜8dまでの距離、すなわちタイヤ中心からタイヤに対して摩擦力を発生させる場所までの距離を示している。
【0060】
また、ステップS107では、ステップS106で求めた必要M/C圧に基づいてモータ5のトルクとして要求とされる必要モータトルクを算出する。この必要モータトルクは、必要M/C圧をモータトルクに換算するものであり、例えば、((必要M/C圧)×(M/C径))/(減速機構ギア比)の算出式から求まる。なお、減速機構ギア比とは、ギア機構6におけるギア比を示している。
【0061】
そして、ステップS108では、ステップS107で求めた必要モータトルクに基づいてモータ5へ流す電流として要求される必要モータ電流を算出する。この必要モータ電流は、必要モータトルクをモータ電流に換算するものであり、モータ5が発生させるトルクがモータ電流に比例していることから、例えば、(必要モータトルク)/(モータトルク定数)の算出式から求まる。このようにして必要モータ電流が求められると、ステップS109において、モータ5に必要モータ電流が流され、モータ駆動が成される。これにより、ブレーキ倍力制御、ブレーキアシスト制御及び回生協調ブレーキ制御を総合したモータ駆動が行なわれる。
【0062】
このように、ブレーキ時には、ブレーキ倍力制御、ブレーキアシスト制御及び回生協調ブレーキ制御が成され、これらを総合した必要モータ電流が算出されてモータ5が駆動される。これにより、ギア機構6を介してピストンロッド4eが駆動され、マスタピストン4a、4bが付勢されてM/C圧が増加されるため、この圧力に応じたW/C圧を発生させることができる。
【0063】
なお、ブレーキ時に車輪がロック傾向に至った場合には、対応する車輪のW/C圧を減圧、保持、増圧することによりロック傾向を回避するABS制御が行なわれることになるが、この制御に関しては従来と同様にABSアクチュエータ7内に備えられる各種要素を駆動するものであるため、説明は省略する。
【0064】
図4は、アクティブクルーズコントロール(以下、ACCという)制御時のフローチャートを示している。このフローチャートは、例えば運転者が車間距離を制御するACCモードを選択した際に実行される。図4に示されるように、ステップS201では、ACC制御における必要制動力を算出する。このときの必要制動力は、従来のACC制御と同様の方法によって演算されるものであり、前を走行している車両との間隔等に基づいて必要とされる目標制動加速度が求められ、これに基づいて演算される。
【0065】
これにより必要制動力が求められると、以下のステップS202〜S204では、図3に示すステップS106〜S108と同様の方法により、必要制動力から必要M/C圧、必要モータトルク、必要モータ電流を順に求める。そして、ステップS205では、図2のステップS109と同様に、モータ5に必要モータ電流を流し、モータ駆動を行なう。
【0066】
このように、ACC制御に応じたモータ駆動が行なわれる。これにより、ギア機構6を介してピストンロッド4eが駆動され、マスタピストン4a、4eが付勢されてM/C圧が増加されるため、この圧力に応じたW/C圧を発生させることができる。
【0067】
図5は、トラクションコントロール制御のフローチャートを示している。このフローチャートは、例えば車両加速時において駆動輪にスリップが発生した際に実行される。図5に示されるように、ステップS301では、トラクションコントロール制御における必要M/C圧を算出する。このときの必要M/C圧は、従来のトラクションコントロール制御と同様の方法で演算されるものであり、車輪速度センサ11a〜11dからの車輪速度信号に基づいて求められる車輪スリップ率等に基づいて演算される。
【0068】
これにより必要M/C圧が求められると、以下のステップS302、S303では、図3に示すステップS107、S108と同様の方法により、必要モータトルク、必要モータ電流を順に求める。そして、ステップS304では、図3のステップS109と同様に、モータ5に必要モータ電流を流し、モータ駆動を行なう。
【0069】
その後、ステップS305では、ABSアクチュエータ7の各構成要素を駆動することで、駆動輪における車輪スリップを抑制する。このときのABSアクチュエータ7の各構成要素の駆動方法は従来と同様であり、駆動輪に取り付けられた各W/C8a〜8dにW/C圧を発生させるようにする。
【0070】
図6は、横滑り防止制御時のフローチャートを示している。このフローチャートは、車両が横滑り傾向になった際に実行される。図6に示されるように、ステップS401では、横滑り防止制御時における必要M/C圧を算出する。このときの必要M/C圧は、従来の横滑り防止制御と同様の方法によって演算されるものであり、ヨーレイトセンサ12や横加速度センサ13からの出力に基づいて車両の横滑り状態、例えばオーバステア状態もしくはアンダーステア状態になり得るか否かを求め、その結果に基づいて演算される。
【0071】
これにより必要M/C圧が求められると、以下のステップS402、S403では、図3に示すステップS107、S108と同様の方法により、必要モータトルク、必要モータ電流を順に求める。そして、ステップS404では、図3のステップS109と同様に、モータ5に必要モータ電流を流し、モータ駆動を行なう。
【0072】
その後、ステップS405では、ABSアクチュエータ7の各構成要素を駆動することで、車両の横滑りを抑制する。このときのABSアクチュエータ7の各構成要素の駆動方法は従来と同様であり、制御対象輪に取り付けられた各W/C8a〜8dにW/C圧を発生させるようにする。
【0073】
以上のように、本第1実施形態により、ブレーキ倍力制御、ブレーキアシスト制御、ACC制御、回生協調ブレーキ制御、トラクションコントロール制御、横滑り防止制御等の各種制御を行なえる電動ブレーキ装置とすることができる。このような電動ブレーキ装置は、モータ5及びギア機構6を用いてM/C圧を発生させると共に、発生させたM/C圧に基づいてW/C圧を発生させるようにしている。このため、本実施形態に示す電動ブレーキ装置によれば、従来のようにポンプを用いる必要がなく、エネルギー効率の低下や作動音の問題を無くすことができる。また、ポンプを用いた加圧形態でないため、油路等の構成を無くすことができ、多数の構成部品を必要としないで済むようにできる。
【0074】
さらに、本第1実施形態によれば、システムに異常が発生しモータ5が制御不能になった場合でも、ペダル操作により直接加圧されるフェイルセーフシリンダ2の発生圧力で、M/C4のフェイル時加圧室4iを介して2分割されたピストンロッド4eをモータ5やギア機構6の動作とは無関係に付勢することができるので、M/C圧ひいてはW/C圧を発生させることができる。したがって、システム異常時にも、ブレーキペダル1の操作によって車輪に制動力を確実に発生させることができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態にかかる電動ブレーキ装置について説明する。図7に、本第2実施形態の電動ブレーキ装置の全体構成を示す。なお、上記第1実施形態の電動ブレーキ装置と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
図7に示すように、本電動ブレーキ装置には、運転者の制動要求に応じて操作されるブレーキペダル1、フェイルセーフシリンダ15、ペダル操作量センサ(ペダル踏力やペダルストローク)3が備えられている。
【0077】
フェイルセーフシリンダ15は、シリンダ15a、シリンダ15aの内壁面を摺動するピストン15b、およびシリンダ15a内に背室15cとスプリング15dとを備えた構成となっている。これらの構成により、ブレーキぺダル1が踏み込まれると、ピストン15bが移動し、背室15c内のブレーキ液を加圧するようになっている。なお、システム異常時の踏力−ブレーキ液圧特性はフェイルセーフシリンダ15の受圧面積にて自由に設定可能であるため、システム異常時に必要とされる条件を満足するような設定にすることができる。
【0078】
また、背室15cには連通ポート15e、15fが形成されており、ポート15eを通じてマスタリザーバ4fに接続され、ポート15fを通じて後述するチェンジバルブ20a、20bと接続されている。
【0079】
さらに、上記第1実施形態と同様の構成のペダル操作量センサ3もブレーキペダル1に接続されている。
【0080】
また、本第2実施形態の電動ブレーキ装置には、ブレーキペダル1とは分離された構成として、M/C14、モータ5及びギア機構6、ABSアクチュエータ7、各車輪に対応したW/C8a〜8dが備えられている。
【0081】
M/C14は、通常用いられるタンデム型のマスタシリンダであり、ピストンロッド14eが2分割されていない構造であることと、フェイルセイーフピストン4g、フランジ部4h、フェイル時加圧室4iおよびポート4jを備えていないこと以外の構成は、第1実施形態のM/C4と同じである。
【0082】
モータ5、ギア機構6、ABSアクチュエータ7および各W/C8a〜8dは、それぞれ上記第1実施形態と同一構成である。また、車両状態検出手段に相当する車輪速度センサ11a〜11d、ヨーレイトセンサ12および横加速度センサ13も上記第1実施形態と同一構成となっている。したがって、ギア機構6によって、ピストンロッド14eが駆動されるようになっており、モータ5の回転駆動力がギア機構6によって直線運動に変換されると、その変換後の力に応じてピストンロッド14eが駆動されるようになっている。すなわち、モータ5の回転駆動力に応じたM/C圧を発生させ、それに応じたW/C圧を発生させるようになっている。
【0083】
本第2実施形態は、第1実施形態と異なり、上記カット弁17およびチェンジバルブ20a、20bを備えている。
【0084】
フェイルセーフ弁16は、フェイルセーフシリンダ15のポート15fとチェンジバルブ20a、20bとの間に設置され、両者を非導通時には連通状態とするN/O弁である。
【0085】
カット弁17は、フェイルセーフシリンダ15のポート15fと後述するストロークシミュレータ18との間に設置され、両者を非導通時には遮断状態とするN/C弁である。
【0086】
ストロークシミュレータ18は、連通状態に制御されたカット弁17を介してポート18aより流入する液流により移動するピストン18b、ピストン18bが摺動するシリンダ18c、シリンダ18c内に配置されたピストン18bへ反力を与えるスプリング18dを備えた構成となっている。そして、ブレーキペダル1が踏み込まれると、フェイルセーフシリンダ15とストロークシミュレータ18とがカット弁17の導通により連通状態となり、スプリング18dからのバネ力によってペダル操作量に応じた反力とストロークがブレーキペダル1に加えられるようになっている。
【0087】
チェンジバルブ20aおよび20bは、両者同一構成であり、それぞれ、M/C14の第1室4cおよび第2室4dと、ABSアクチュエータ7の第1配管系統および第2配管系統との間に配置されている。以下では、第1配管系統に配置されたチェンジバルブ20aについて説明するが、チェンジバルブ20bも同様である。
【0088】
チェンジバルブ20aは、2位置弁21aおよびチェンジバルブシリンダ22aを備えている。
【0089】
2位置弁21aは、M/C14の第1室4cとABSアクチュエータ7との間に設置され、後述するチェンジバルブシリンダ22aのピストン25aのストロークに連動して、連通モードとチェック弁モードとを切換えて動作する。連通モードでは、図7に示した弁位置にあり、M/C14とABSアクチュエータ7とを連通する。また、チェック弁モードでは、2位置弁21a内の逆止弁により、フェイルセーフシリンダ15の発生圧力がM/C14側へ逃げることなくそのまま各W/C8a〜8d側へ加わる。
【0090】
チェンジバルブシリンダ22aは、第1シリンダ室23aおよび第2シリンダ室24aを有し、両シリンダ室はピストン25aを介してつながっており、両シリンダ室に満たされている液の量の和は一定となっている。第1シリンダ室23aはM/C14とABSアクチュエータ7との間の油路に接続されている。第2シリンダ室24aはフェイルセーフ弁16を介してフェイルセーフシリンダ15に接続されている。
【0091】
第1および第2シリンダ室23a、24aに油圧が作用しない状態では、図7中に示されるように、ピストン25aは第1シリンダ室23aに設置されたスプリング26aにより第2シリンダ室24a側に押し付けられている。この状態では、ピストン25aのストロークに連動して動作する2位置弁21aは連通モードとなって、M/C14とABSアクチュエータ7との間は連通状態となっている。
【0092】
ピストン25aがフェイルセーフシリンダ15の吐出圧に応じて第1シリンダ室23a側にストロークすると、2位置弁21aはチェック弁モードに切り換わり、ABSアクチュエータ7(すなわち、W/C側)からM/C14への液流が抑止される。このとき、ピストン25aのストロークに伴い、第2シリンダ室24aの容量増加、第1シリンダ室23aの容量減少が発生し、この第1シリンダ室23aの容量減少分がABSアクチュエータ7に加えられてW/C圧が発生する。
【0093】
したがって、フェイルセーフシリンダ15の発生圧力がM/C14の発生圧力より大きい場合は、2位置弁21aはチェック弁モードとなりフェイルセーフシリンダ15の発生圧力がM/C14側へ逃げることなく、そのままABSアクチュエータ7(すなわち、W/C側)へ加わることになる。
【0094】
また、M/C14の発生圧力がフェイルセーフシリンダ15の発生圧力より大きい場合は、2位置弁21aは連通モードとなりM/C14の発生圧力がフェイルセーフシリンダ15側へ逃げることなく、そのままABSアクチュエータ7(すなわち、W/C側)へ加わることになる。
【0095】
さらに、本第2実施形態の電動ブレーキ装置には、モータ5及びABSアクチュエータ7、フェイルセーフ弁16およびカット弁17を駆動するためのECU101が備えられている。このECU101には、上記第1実施形態と同様、ペダル操作量センサ3からの検出信号に加え、各車輪毎に備えられた車輪速度センサ11a〜11dからの車輪速度信号、車両のヨー角を検出するヨーレイトセンサ12からのヨーレイト信号、車両の横加速度を検出する横加速度センサ13からの横加速度信号が入力されるようになっている。そして、ECU101は、入力された各信号に基づいて各種演算を行ない、この演算によって求められるペダル操作量や車両状態量に基づいて、モータ5、ABSアクチュエータ7やフェイルセーフ弁16およびカット弁17への駆動信号を出力するようになっている。
【0096】
以上のように構成される本第2実施形態の電動ブレーキ装置により、各種制御が実行される。図8に、本第2実施形態の電動ブレーキ装置が実行する処理のフローチャートを示し、この図に基づき各種制御についての説明を行なう。
【0097】
図8は、電動ブレーキ装置が行なう処理全体を示したフローチャートである。なお、このフローチャートにおいても、上記第1実施形態における図2に示すフローチャートと同一の処理工程については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0098】
ステップS51でIGがオンされると、ステップS52に進みイニシャルチェックが行われ、システムが正常であるか否かが判定される。このイニシャルチェックは、モータ5、フェイルセーフ弁16、カット弁17、ECU101、電源系の故障や各センサの異常によってモータ5が制御不能になった場合の診断であり、ECU101にて自動的に実行され、走行開始前に完了する。そして、イニシャルチェックの結果、システムの異常が無ければステップS531に進み、システム正常時制御モード(第1の動作モード)に入る。逆に、システムに異常があればステップS541に進み、システム異常時制御モード(第2の動作モード)に入る。
【0099】
システム正常時制御モードに入ると、まずステップS531にてフェイルセーフ弁16がON(遮断状態)およびカット弁17がON(連通状態)されたのち、ステップS55にて、上記第1実施形態と同様に図3〜図6に示す各種制御が実行され、それらの制御に応じたモータ制御が行われる。
【0100】
このようなシステム正常時制御モード(第1の動作モード)においては、通電によりフェイルセーフ弁16がON(遮断状態)およびカット弁17がON(連通状態)されると、ブレーキペダル1、すなわちフェイルセーフシリンダ15とストロークシミュレータ18とが連通し、フェイルセーフシリンダ15とチェンジバルブ20a、20bとの間は遮断される。
【0101】
したがって、この状態で、運転者によりブレーキペダル1が踏み込まれると、フェイルセーフシリンダ15の発生圧力がチェンジバルブ20a、20bに伝わることなく、2位置弁21a、21bは連通モードとなりM/C14とW/C8a〜8dとは連通する。また、フェイルセーフシリンダ15の発生圧力はカット弁17を介してストロークシミュレータ18に伝わり、ストロークシミュレータ18のスプリング18dの特性により、最適なペダルストローク−反力特性を得ることができる。
【0102】
さらに、ブレーキペダル1がストロークすると、ペダル操作量センサ3からの検出信号や後述する各種制御に基づいてモータ5が駆動される。そして、モータ5の回転駆動力がギア機構6にて直線運動に変換され、ピストンロッド4eと共に第1、第2のピストン4a、4bが駆動されて、M/C圧が増加されるため、この圧力に応じたW/C圧を発生させることができる。このとき、M/C圧はペダルストロークに依存せず独立して制御することができるので、ペダル操作入力が無い場合にも、M/C圧の加圧が可能となる。
【0103】
一方、システム異常時制御モード(第2の動作モード)に入ると、ステップS541にて、フェイルセーフ弁16がOFF(連通状態)に、カット弁17がOFF(遮断状態)にされると共に、モータ5がOFFされ、これによりシステムの動作が禁止される。
【0104】
したがって、異常時制御モードにおいては、フェイルセーフシリンダ15とストロークシミュレータ18との間は遮断され、フェイルセーフシリンダ15とチェックバルブ20a、20bとの間は連通される。また、モータ5の駆動は禁止されM/C14の発生圧力は0となるため、ペダル入力操作があると、チェンジバルブ20a、20bの2位置弁21a、21bはチェック弁モードとなり、フェイルセーフシリンダ15の発生圧力はそのままチェンジバルブ20a、20bを通じてABSアクチュエータ7およびW/C8a〜8dに伝わる。これにより、ブレーキペダルの踏み込みでW/Cを加圧することができる。
【0105】
このように、システム異常時には、フェイルセイーフシリンダ15のブレーキ液を使ってW/C圧を発生させられるため、フェイル時にも十分なW/C圧を発生させることができる。また、フェイルセイーフシリンダ15のピストン15bをブレーキペダル1のストロークによって直接駆動するようにしているので、モータ5あるいはギア機構6のロック故障等が発生して、M/C圧を発生させることができなくなっても、ブレーキペダル1からの入力によってW/C圧を発生させることが可能である。
【0106】
なお、システム異常時の踏力−ブレーキ液圧特性はフェイルセーフシリンダ15の受圧面積にて自由に設定可能であるため、システム異常時に必要とされる条件を満足するような設定にすることができる。
【0107】
ステップS55で、システム正常時の制御モードにおいて実行される各種制御(ブレーキ倍力制御、ブレーキアシスト制御、ACC制御、回生協調ブレーキ制御、トラクションコントロール制御、横滑り防止制御)は、上述の如く第1実施形態で図3〜図6を用いて説明したものと同一であるので、説明を省略する。
【0108】
以上のように、本第2実施形態により、ブレーキ倍力制御、ブレーキアシスト制御、ACC制御、回生協調ブレーキ制御、トラクションコントロール制御、横滑り防止制御等の各種制御を行なえる電動ブレーキ装置とすることができる。このような電動ブレーキ装置は、モータ5及びギア機構6を用いてM/C圧を発生させると共に、発生させたM/C圧に基づいてW/C圧を発生させるようにしている。このため、本実施形態に示す電動ブレーキ装置によれば、従来のようにポンプを用いる必要がなく、エネルギー効率の低下や作動音の問題を無くすことができる。また、ポンプを用いた加圧形態でないため、油路等の構成を無くすことができ、多数の構成部品を必要としないで済むようにできる。
【0109】
さらに、本第2実施形態によれば、システムに異常が発生しモータ5が制御不能になった場合でも、ペダル操作により直接加圧されるフェイルセーフシリンダ2の発生圧力で、M/C14によることなく、W/C圧を発生させることができる。したがって、システム異常時にも、ブレーキペダル1の操作によって車輪に制動力を確実に発生させることができる。
【0110】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、ブレーキ倍力制御、ブレーキアシスト制御、ACC制御、回生協調ブレーキ制御において、各種センサからの検出信号に基づいて必要制動力を求め、必要制動力から必要M/C圧を求めるようにしたが、直接、必要M/C圧を求めるようにしても良い。
【0111】
また、上記各実施形態では、ブレーキ倍力制御、ブレーキアシスト制御、ACC制御、回生協調ブレーキ制御、トラクションコントロール制御、横滑り防止制御等の各種制御を行なえる電動ブレーキ装置とした。これは、各制御すべてを上記構成の電動ブレーキ装置によって実行可能であることを示したものであり、必ずしも各制御すべてを行なえなければならないわけではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における電動ブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す電動ブレーキ装置が実行する処理全体のフローチャートである。
【図3】本実施形態の電動ブレーキ装置がブレーキ時に実行する処理のフローチャートである。
【図4】本実施形態の電動ブレーキ装置がACC制御時に実行する処理のフローチャートである。
【図5】本実施形態の電動ブレーキ装置がトラクションコントロール制御時に実行する処理のフローチャートである。
【図6】本実施形態の電動ブレーキ装置が横滑り防止制御時に実行する処理のフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態における電動ブレーキ装置の全体構成を示す図である。
【図8】図7に示す電動ブレーキ装置が実行する処理全体のフローチャートである。
【符号の説明】
1…ブレーキペダル、2…フェイルセーフシリンダ、3…ストロークセンサ、
4…M/C、5…モータ、6…ギア機構、7…ABSアクチュエータ、
8a〜8d…W/C、9…フェイルセーフ弁、10…ECU、
11a〜11d…車輪速度センサ、12…ヨーレイトセンサ、
13…横加速度センサ,14…M/C、15…フェイルセーフシリンダ、
16…フェイルセーフ弁、17…カット弁、18…ストロークシミュレータ、
20a,20b…チェンジバルブ、21a,21b…2位置弁、
22a,22b…チェンジバルブシリンダ、101…ECU。
Claims (4)
- 運転者の制動要求に応じて操作されるペダルと、
前記ペダルの操作量と連動して油圧を発生させるフェイルセーフシリンダと、
各車輪毎に設けられ、各車輪の制動力を発生させるホイールシリンダと、
前記フェイルセーフシリンダとは分離され、ブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、
電流駆動され、前記マスタシリンダ内のブレーキ液圧を制御するモータと、
前記ペダルの操作量を検出するペダル操作量検出手段を備え、
前記モータを駆動し、前記マスタシリンダ内のブレーキ液圧を制御し、前記ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を発生させる第1の動作モードと、
前記モータを駆動せずに、前記フェイルセーフシリンダが発生した油圧に応じて、前記ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を発生させる第2の動作モードとを有して動作し、
前記第1の動作モードでは、前記ペダル操作量検出手段での検出結果に基づいて前記モータを駆動し、前記マスタシリンダ内のブレーキ液圧を制御し、前記ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を発生させ、
前記第2の動作モードでは、前記フェイルセーフシリンダが発生した油圧に基づいて前記マスタシリンダ内のブレーキ液圧を制御し、該制御されたブレーキ液圧を前記ホイールシリンダに与えることにより、該ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を発生させ、
前記フェイルセーフシリンダは、前記ペダルの操作によって駆動されるピストン及び該ピストンを収容するシリンダ部を有し、前記ピストンの移動により前記シリンダ部内に油圧を発生させるように構成されると共に、
前記マスタシリンダは、第1、第2のマスタピストンと該第1、第2のマスタピストンを収容するシリンダ部を有し、前記第1、第2マスタピストンによって前記シリンダ部内に第1、第2室を形成すると共に、前記第1、第2のマスタピストンを移動させることで前記第1、第2室内のブレーキ液を制御し、前記ホイールシリンダに対してブレーキ液圧を加えるように構成され、さらに、フェイルセーフピストンと該フェイルセーフピストンによって形成されるフェイル時加圧室とを有し、前記フェイルセーフピストンの移動に伴って前記第1、第2のマスタピストンを移動させられうように構成されていると共に、前記フェイル時加圧室が前記フェイルセーフシリンダの前記シリンダ部内に接続された構成とされており、
前記第1の動作モードでは、前記モータを駆動し、前記第1、第2のマスタピストンを移動させることで、前記第1、第2室内のブレーキ液圧を制御し、
前記第2の動作モードでは、前記フェイルセーフシリンダが発生した油圧に基づいて前記フェイル時加圧室の油圧を加圧し、前記フェイルセーフピストンを移動させ、前記第1、第2室内のブレーキ液圧を制御するように動作し、
前記フェイルセーフシリンダに備えられた前記シリンダ部内には、前記ピストンとして第1、第2のピストンが備えられ、該第1、第2のピストンの間に第1の背室、該第2のピストンと前記シリンダ部の端面との間に第2の背室が形成されており、
前記第1、第2の背室と前記フェイル時加圧室とが接続されていると共に、前記第2の背室と前記フェイル時加圧室との間の連通、遮断を制御する制御弁が備えられ、
前記第1の動作モードにおいては、前記制御弁が遮断状態とされ、前記第2の動作モードにおいては、前記制御弁が連通状態とされるように動作することを特徴とする電動ブレーキ装置。 - 前記マスタシリンダには、前記モータによって駆動され、前記第1のマスタピストンと一体とされたピストンロッドが備えられており、
前記ピストンロッドは、前記フェイルセーフピストンに形成された貫通孔に嵌め込まれていると共に、前記フェイルセーフピストンよりも前記第1のマスタピストン側に前記フェイルセーフピストンに接するフランジ部を備えた構成となっており、該ピストンロッドおよびフランジ部が前記フェイルセーフピストンに対して独立して移動可能な構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の電動ブレーキ装置。 - 前記モータによる回転駆動力を直線運動に変換するギア機構を有し、前記ピストンロッドが前記ギア機構によって駆動されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電動ブレーキ装置。
- 前記ピストンロッドは、前記ギア機構と噛合う側と前記第1のマスタピストンに結合される側の2部位に分割されていることを特徴とする請求項3に記載の電動ブレーキ装置。
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