以下において、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態に従う車両の制御装置を搭載したハイブリッド車両のブロック図である。
図1を参照して、ハイブリッド車両100は、駆動源として、たとえばガソリンエンジン等の内燃機関(以下単にエンジンという)120と、モータジェネレータ(MG)140とを備える。なお、以下においては、説明の便宜上、モータジェネレータ140をモータ140Aとジェネレータ140B(あるいはモータジェネレータ140B)と表現する。ただしハイブリッド車両100の走行状態に応じて、モータ140Aがジェネレータとして機能したり、ジェネレータ140Bがモータとして機能したりする。このモータジェネレータがジェネレータとして機能する場合に回生制動が行なわれる。モータジェネレータがジェネレータとして機能するときには、車両の運動エネルギが電気エネルギに変換されて車両が減速される。
ハイブリッド車両100は、さらに、減速機180と、動力分割機構(たとえば、遊星歯車機構)200とを備える。減速機180は、駆動輪160とモータ140Aとの間で減速比を変える。減速機180はエンジン120やモータジェネレータ140で発生した動力を駆動輪160に伝達したり、駆動輪160の駆動をエンジン120やモータジェネレータ140に伝達したりする。動力分割機構200は、エンジン120の発生する動力を駆動輪160とジェネレータ140Bとの2経路に分配する。
ハイブリッド車両100は、さらに、バッテリ制御ユニット(以下、バッテリECU(Electronic Control Unit)という)260と、エンジンECU280と、MG_ECU300と、HV_ECU320とを含む。
バッテリECU260は、走行用バッテリ220の充放電状態を管理制御する。エンジンECU280は、エンジン120の動作状態を制御する。MG_ECU300は、ハイブリッド車両100の状態に応じてモータジェネレータ140と、バッテリECU260と、インバータ240とを制御する。
HV_ECU320は、バッテリECU260と、エンジンECU280と、MG_ECU300とを相互に管理制御する。そしてHV_ECU320はハイブリッド車両100が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御する。
本実施の形態において走行用バッテリ220とインバータ240との間にはコンバータ242が設けられている。これは、走行用バッテリ220の定格電圧が、モータ140Aやモータジェネレータ140Bの定格電圧よりも低いためである。走行用バッテリ220からモータ140Aやモータジェネレータ140Bに電力を供給するときには、コンバータ242で電圧を昇圧する。
なお、図1においては各ECUを別構成としているが、2個以上のECUを統合して1つのECUとして構成してもよい。たとえば図1において破線の枠で示されるようにMG_ECU300とHV_ECU320とを統合して1つのECUとして構成してもよい。なお、エンジンECU280と、MG_ECU300と、HV_ECU320とは本発明における「制御部」を構成する。
動力分割機構200は、エンジン120の動力を、駆動輪160とモータジェネレータ140Bとの両方に振り分けるために、遊星歯車機構(プラネタリーギヤ)が使用される。モータジェネレータ140Bの回転数を制御することにより、動力分割機構200は無段変速機としても機能する。エンジン120の回転力はプラネタリーキャリア(C)に入力され、それがサンギヤ(S)によってモータジェネレータ140Bに、リングギヤ(R)によってモータおよび出力軸(駆動輪160側)に伝えられる。回転中のエンジン120を停止させる時には、エンジン120が回転しているので、この回転の運動エネルギをモータジェネレータ140Bで電気エネルギに変換して、エンジン120の回転数を低下させる。なおHV_ECU320は動力分割機構200によりその一部(前進走行ポジションにおける無段変速)が実現される自動変速機を制御する。
図1に示すようなハイブリッドシステムを搭載するハイブリッド車両においては、発進時や低速走行時等であってエンジン120の効率が悪い場合には、モータジェネレータ140のモータ140Aのみによりハイブリッド車両の走行を行ない、通常走行時には、たとえば動力分割機構200によりエンジン120の動力を2経路に分け、一方で駆動輪160の直接駆動を行ない、他方でジェネレータ140Bを駆動して発電を行なう。この時、発生する電力でモータ140Aを駆動して駆動輪160の駆動補助を行なう。また、高速走行時には、さらに走行用バッテリ220からの電力をモータ140Aに供給してモータ140Aの出力を増大させて駆動輪160に対して駆動力の追加を行なう。
一方、減速時には、駆動輪160により従動するモータ140Aがジェネレータとして機能して回生発電を行ない、回収した電力を走行用バッテリ220に蓄える。なお、走行用バッテリ220の充電量が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン120の出力を増加してジェネレータ140Bによる発電量を増やして走行用バッテリ220に対する充電量を増加する。もちろん、低速走行時でも必要に応じてエンジン120の駆動量を増加する制御を行なう。たとえば、上述のように走行用バッテリ220の充電が必要な場合や、エアコン等の補機を駆動する場合や、エンジン120の冷却水の温度を所定温度まで上げる場合等である。
図2は、図1のハイブリッド車両100のうち、特に、モータジェネレータの制御に関する部分を示す図である。
図2を参照して、モータ駆動回路は、走行用バッテリ220と、システムリレーSR(1),SR(2)と、コンデンサC(1),C(2)と、電圧を昇降圧するコンバータ242と、インバータ240と、MG_ECU300とを備える。なお、図2に示すモータジェネレータMG1,MG2は図1に示すジェネレータ140Bとモータ140Aとにそれぞれ対応する。モータジェネレータMG1,MG2の各々の回転軸は動力分割機構200に接続される。
システムリレーSR(1),SR(2)は、HV_ECU320によってオンされると、走行用バッテリ220からの直流電圧をコンデンサC(1)に供給する。コンデンサC(1)は、走行用バッテリ220からシステムリレーSR(1),SR(2)を介して供給された直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をコンバータ242へ供給する。
コンバータ242は、リアクトル311と、NPNトランジスタ312,313と、ダイオード314,315とを含む。リアクトル311の一方端は走行用バッテリ220の電源ラインに接続され、他方端はNPNトランジスタ312とNPNトランジスタ313との中間点、すなわち、NPNトランジスタ312のエミッタとNPNトランジスタ313のコレクタとの間に接続される。NPNトランジスタ312,313は、インバータ240の電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。そして、NPNトランジスタ312のコレクタは電源ラインに接続され、NPNトランジスタ313のエミッタはアースラインに接続される。また、各NPNトランジスタ312,313のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオード314,315が接続されている。
コンバータ242は、HV_ECU320によってNPNトランジスタ312,313がオン/オフされ、コンデンサC(1)から供給された直流電圧を昇圧して出力電圧をコンデンサC(2)に供給する。また、コンバータ242はハイブリッド自動車の回生制動時、モータジェネレータMG2によって発電され、インバータ240によって変換された直流電圧を降圧してコンデンサC(1)へ供給する。
コンデンサC(2)は、コンバータ242から供給された直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ240へ供給する。
インバータ240は、モータジェネレータMG1,MG2をそれぞれ駆動するインバータ241A,241Bを含む。これらインバータ241A,241BはコンデンサC(2)から直流電圧が供給されるとHV_ECU320からの駆動信号DRV1,DRV2にそれぞれ従って、直流電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータMG1,MG2をそれぞれ駆動する。これにより、モータジェネレータMG1,MG2は、HV_ECU320からのトルク指令値TR1,TR2によって指定されたトルクをそれぞれ発生するように駆動される。
電流センサ331は、モータジェネレータMG1に流れるモータ電流MCRT1を検出し、その検出したモータ電流MCRT1をMG_ECU300へ出力する。電流センサ332は、モータジェネレータMG2に流れるモータ電流MCRT2を検出し、その検出したモータ電流MCRT2をMG_ECU300へ出力する。なお、図2においては、電流センサ331,332は、それぞれ3個設けられているが、少なくとも2個設けられればよい。
レゾルバ341,342は、本発明における「センサ」に対応する。レゾルバ341,342はモータジェネレータMG1,MG2の回転軸にそれぞれ取付けられる。レゾルバ341はモータジェネレータMG1の回転子の回転角度θbn1を検出してMG_ECU300へ出力する。レゾルバ342はモータジェネレータMG2の回転子の回転角度θbn2を検出してMG_ECU300へ出力する。つまりレゾルバ341,342はモータジェネレータMG1,MG2の回転状態をそれぞれ検出する。
MG_ECU300は、HV_ECU320からトルク指令値TR1,TR2を受ける。またMG_ECU300は、レゾルバ341,342から回転角度θbn1,θbn2の値をそれぞれ受ける。
MG_ECU300はレゾルバ341からの回転角度θbn1を後述する方法により補正する。そして、MG_ECU300は、補正後の回転角度θn1とトルク指令値TR1とを用いて駆動信号DRV1を生成して出力する。MG_ECU300は、レゾルバ342からの回転角度θbn2を後述する方法により補正する。そして、MG_ECU300は、補正後の回転角度θn2とトルク指令値TR2とを用いて駆動信号DRV2を生成して出力する。
なお、図2および図1に示すようにHV_ECU320はエンジンECU280およびMG_ECU300の間で情報のやり取りを行なう。
図3は、図2のMG_ECU300において駆動信号DRV1,DRV2を生成する機能を説明するブロック図である。
図3を参照して、MG_ECU300は、角度補正部401と、電流変換部402と、減算器403と、PI制御部404と、回転速度演算部408と、速度起電力予測演算部410と、加算器405と、変換部406と、インバータ用PWM信号変換部412とを含む。
角度補正部401は、回転角度θbn(θbn1またはθbn2)を受ける。角度補正部401は回転角度θbnを補正して補正後の回転角度θn(θn1またはθn2)を電流変換部402、回転速度演算部408および変換部406へ出力する。
電流変換部402は、モータ電流MCRT1(またはMCRT2)を角度補正部401からの回転角度θn1(またはθn2)を用いて三相二相変換する。つまり、電流変換部402は、モータジェネレータMG1(またはMG2)の3相コイルの各相に流れる3相のモータ電流MCRT1(またはMCRT2)を回転角度θn1(またはθn2)を用いてd軸およびq軸に流れる電流値Id,Iqに変換して減算器403へ出力する。
減算器403は、モータジェネレータMG1(またはMG2)がトルク指令値TR1(またはTR2)によって指定されたトルクを出力するための電流指令値Id*,Iq*から、電流変換部402からの電流値Id,Iqを減算して偏差ΔId,ΔIqを演算する。PI制御部404は、偏差ΔId,ΔIqに対してPIゲインを用いてモータ電流調整用の操作量を演算する。
回転速度演算部408は、角度補正部401からの回転角度θn1(またはθn2)に基づいてモータジェネレータMG1(またはMG2)の回転速度を演算し、その演算した回転速度を速度起電力予測演算部410へ出力する。速度起電力予測演算部410は、回転速度演算部408からの回転速度に基づいて速度起電力の予測値を演算する。加算器405は、PI制御部404からのモータ電流調整用の操作量と、速度起電力予測演算部410からの速度起電力の予測値とを加算して電圧操作量Vd,Vqを演算する。
変換部406は、加算器405からの電圧操作量Vd,Vqを角度補正部401からの回転角度θn1(またはθn2)を用いて二相三相変換する。つまり、変換部406は、d軸およびq軸に印加する電圧の操作量Vd,Vqを回転角度θn1(またはθn2)を用いてモータジェネレータMG1(またはMG2)の3相コイル(U相コイル、V相コイルおよびW相コイル)に印加する電圧の操作量に変換する。
インバータ用PWM信号変換部412は、変換部406からの出力に基づいて駆動信号DRV1,DRV2を生成する。
MG_ECU300は、図2のモータジェネレータMG1(またはMG2)を所定時間(たとえば数秒間)、無負荷運転させる。たとえばレゾルバ341の出力値にオフセットが存在しない場合には、このときのd軸電圧の操作量Vdは0となるのでモータジェネレータMG1は実際に無負荷状態となる。しかしレゾルバ341の出力値である回転角度θbn1にオフセットが存在する場合にはd軸電圧の操作量Vdは0にならない。
d軸電圧の操作量Vdは角度補正部401にフィードバックされる。角度補正部401は操作量Vdに応じて、操作量Vdを0にするための回転角度θbn1のオフセット量を推定する。そして角度補正部401は推定結果に基づいて回転角度θbn1を補正する。回転角度θn1は補正後の回転角度θbn1である。なおレゾルバ342の出力値(回転角度θbn2)を補正する場合にも同様の推定処理および補正処理が行なわれる。
本発明におけるセンサの出力値の補正方法は上述の方法に限定されるものではない。モータジェネレータを無負荷運転させた状態でレゾルバの出力値を補正する方法であれば、その方法は本発明に適用可能である。
再び図1を参照しながら説明する。モータジェネレータ140のロータ位置を検出するレゾルバの出力値のオフセット量を推定するためにHV_ECU320およびMG_ECU300はモータジェネレータ140を無負荷運転させる。無負荷状態ではモータジェネレータ140の回転数を安定的に保つことができるのでモータジェネレータ140の回転状態を検出するレゾルバの出力値のオフセットを精度よく推定できる。
なおHV_ECU320およびMG_ECU300はモータジェネレータ140に負荷をかけなくてもハイブリッド車両100の状態が変化しないという条件(所定の条件)が成立したときにモータジェネレータ140を無負荷運転させる。これにより、車両挙動に影響を与えることなくレゾルバの出力値を補正することが可能になる。
図4は、実施の形態1におけるレゾルバの出力値の補正処理を説明するフローチャートである。
図4および図2を参照して、処理が開始されると、まずステップS1においてHV_ECU320は車両が停車しているか否かを判定する。
ステップS1における判定方法は様々である。たとえばHV_ECU320はシフトレバーの位置がパーキングポジション(Pポジション)にあることを検知するPポジションセンサ(図2には示さず)からの情報に応じて車両が停車していると判定する。別の例として、HV_ECU320は車速センサ(図2には示さず)から車速が0であるという情報を受けた場合に車両が停車していると判定する。さらに別の例として、HV_ECU320はMG_ECU300からモータジェネレータMG2の回転数が0であるという情報を受けたときに車両が停車していると判定する。
ステップS1において車両が停車している場合(ステップS1においてYES)、処理はステップS2に進む。車両が停車していない場合(ステップS1においてNO)、処理はステップS1に再び戻る。
ステップS2において、HV_ECU320はMG_ECU300に対してエンジン120の始動のためモータジェネレータMG1を駆動するよう指示する。MG_ECU320は指示に応じて、インバータ240を駆動してモータジェネレータMG1を動作させる。モータジェネレータMG1が図1のエンジン120のクランクシャフトを回転させることでエンジン120が始動する。
ステップS3において、HV_ECU320は図1のエンジン120が始動したか否かを判定する。HV_ECU320は、たとえばエンジンECU280からエンジン120が始動したという情報を受けてエンジン120が始動したと判定する。また、エンジン120が始動するとエンジン120によりモータジェネレータMG1のロータが回転される。よってHV_ECU320は、MG_ECU300からモータジェネレータMG1の回転数に関する情報を受けてエンジン120が始動したと判定してもよい。
ステップS3においてエンジン120が始動した場合(ステップS3においてYES)、処理はステップS4に進む。一方、エンジン120がまだ始動していない場合(ステップS3においてNO)、処理はステップS1に戻る。
ステップS4において、HV_ECU320はモータジェネレータMG1を無負荷状態で動作させる。エンジン120およびモータジェネレータMG1は動力分割機構200に接続されているので、モータジェネレータMG1はエンジン120の回転に連動して回転する。
たとえばエンジンECU280は、エンジン120の回転数を一定に制御することでモータジェネレータMG1の回転子を一定速度で回転させる。一方、MG_ECU300はたとえばモータジェネレータMG1に流れる電流を遮断したり、三相交流の回転磁界の回転速度をモータジェネレータMG1の回転子の回転速度に同期させたりする。これによりモータジェネレータMG1が無負荷状態で動作する。
続いてステップS5において、MG_ECU300はモータジェネレータMG1が無負荷運転中であるか否かを、たとえば電流センサ331の出力の変化に基づいて判定する。ステップS5においてモータジェネレータMG1が無負荷運転を行なっている場合(ステップS5においてYES)、処理はステップS6に進む。一方、モータジェネレータMG1が無負荷運転を行なっていない場合(ステップS5においてNO)、処理はステップS1に戻る。
ステップS6において、MG_ECU300は上述の方法に従ってレゾルバ341の出力値のオフセットを推定し、推定結果を用いてレゾルバの出力値を補正する。ステップS6の処理が終了すると、全体の処理が終了する。
なお、実施の形態1ではブレーキ等によってハイブリッド車両が停車しているので、補正処理の間にモータジェネレータMG1からトルクが出力されてもハイブリッド車両は停車したままとなるので車両の状態は変化しない。よってレゾルバの出力値を補正しても車両挙動には影響が生じない。
以上のように実施の形態1によれば、停車中にモータジェネレータMG1の無負荷運転を行なう。車両が停車しているのでモータジェネレータMG1からトルクが出力されなくとも車両挙動への影響は生じない。よって実施の形態1によれば、車両挙動に影響を与えることなくレゾルバの出力値を補正することができる。
[実施の形態2]
実施の形態2のハイブリッド車両の全体構成は図1に示すハイブリッド車両100の構成と同様である。また、実施の形態2のハイブリッド車両におけるモータ制御に関する構成は図2に示す構成と同様である。よって、実施の形態2のハイブリッド車両の構成に関する以後の説明は繰返さない。
図2を参照しながら実施の形態2におけるレゾルバの出力値の補正方法を説明する。実施の形態2ではハイブリッド車両はモータジェネレータMG2で車両の駆動を持続するEV走行中にモータジェネレータMG1を無負荷運転させる。よって実施の形態2によれば車両が走行中であるという状態を変化させずにレゾルバ341の出力値を補正できる。なお、モータジェネレータMG1,MG2は本発明における「第1の電動機」および「第2の電動機」にそれぞれ対応する。
図5は、実施の形態2におけるレゾルバの出力値の補正処理を説明するフローチャートである。
図5および図4を参照して、図5のフローチャートはステップS1〜S3の処理に代えてステップS11の処理が含まれる点で図4のフローチャートと異なる。よって以下ではステップS11の処理について説明する。図5のフローチャートにおける他のステップの処理については図4のフローチャートの対応するステップの処理と同様であるので以後の説明は繰返さない。
図5および図2を参照しながらステップS11の処理を説明する。ステップS11ではHV_ECU320は、ハイブリッド車両がEV走行を行なっているか否かを判定する。このときにはHV_ECU320はたとえば車速センサからの車速の情報およびエンジンECU280からのエンジン回転数が0であるという情報を受けて、ハイブリッド車両がEV走行を行なっていると判定する。なお、ハイブリッド車両100の進行方向は前進方向および後進方向のいずれでもよい。
ステップS11においてハイブリッド車両100がEV走行を行なっている場合(ステップS11においてYES)、処理はステップS4に進む。ハイブリッド車両100がEV走行を行なっていない場合(ステップS11においてNO)、処理はステップS11に戻る。ハイブリッド車両100がEV走行を行なっている場合には「所定の条件」が成立する。
ステップS4では実施の形態1と同様に、モータジェネレータMG1は無負荷運転を行なう。なおハイブリッド車両がEV走行を行なっている間はエンジン120が停止している。よって実施の形態1と同様に、HV_ECU320およびエンジンECU280はモータジェネレータMG1が無負荷運転を行なう期間だけ図1のエンジン120を動作させてエンジンの回転に連動してモータジェネレータMG1を回転させる。同時にMG_ECU300はインバータ241Aを制御してモータジェネレータMG1を無負荷運転させる。
またMG_ECU300は所定期間(たとえば数秒間)モータジェネレータMG2の回転数が一定になるように図2のインバータ241Bを制御してもよい。モータジェネレータMG2がある一定速度で回転すると、動力分割機構200によってモータジェネレータMG1もモータジェネレータMG2とは回転数が異なるが一定の速度で回転する。このときにMG_ECU300がインバータ241Aを制御することでモータジェネレータMG1の無負荷運転が可能になる。
このように、実施の形態2ではハイブリッド車両のEV走行を継続させながらモータジェネレータMG1を無負荷運転させてレゾルバ341の出力値を補正する。よって実施の形態2によれば車両挙動に影響を与えることなくレゾルバ341の出力値を補正できる。
[実施の形態3]
実施の形態3のハイブリッド車両の全体構成は図1に示すハイブリッド車両100の構成と同様である。また、実施の形態3のハイブリッド車両におけるモータ制御に関する構成は図2に示す構成と同様である。よって、実施の形態3のハイブリッド車両の構成に関する以後の説明は繰返さない。実施の形態3では図2のレゾルバ342の出力値が補正される点で実施の形態1,2と異なる。
図6は、実施の形態3におけるレゾルバの出力値の補正処理を説明するフローチャートである。
図6および図2を参照して、処理が開始されるとステップS21において、ハイブリッド車両100は加速走行を行なう。なお「加速走行」とは駆動輪に正のトルクを与えて車両を走行させている状態を意味する。たとえばHV_ECU320およびエンジンECU280は図1のエンジン120の回転数を上げてエンジン120の出力を増加させて車両の駆動力を発生させる。また、HV_ECU320およびMG_ECU300はジェネレータ140B(図2のモータジェネレータMG1)で発電した電力でモータ140A(図2のモータジェネレータMG2)を駆動させて車両の駆動力を発生させる。
次にステップS22において、たとえば運転者がアクセルペダルをオフにする等の理由により加速走行が終了する。このときに車両の速度がある所定の速度よりも大きくなっている場合には、HV_ECU320は、自動変速機がNレンジ状態に設定する。この状態ではアクセルペダルがオフになってからしばらくの間は車両が速度を落とさずに惰性走行を行なうことができる。よって自動変速機がNレンジ状態に設定されても運転者の違和感が生じることなく車両の走行が継続される。
ステップS23において自動変速機がNレンジ状態に設定された場合(ステップS23においてYES)、処理はステップS24に進む。自動変速機がまだNレンジ状態に設定されていない場合(ステップS23においてNO)、処理はステップS21に戻る。自動変速機がNレンジ状態に設定された場合に「所定の条件」が成立する。
ステップS24において、MG_ECU300はモータ140A(図2のモータジェネレータMG2)を無負荷状態で動作させる。このときMG_ECU300はモータジェネレータMG2の回転数が高ければゼロトルク制御を行なってモータジェネレータMG1,MG2のトルクの和が0になるようにインバータ241A,241Bを制御する。一方、MG_ECU300はモータジェネレータMG2の回転数が低い場合にはインバータ241BからモータジェネレータMG2への電流供給を遮断する。
続いてステップS25において、MG_ECU300は図2のモータジェネレータMG2が無負荷運転中であるか否かを、たとえば電流センサ332の出力に基づいて判定する。モータジェネレータMG2が無負荷運転を行なっている場合(ステップS25においてYES)、処理はステップS26に進む。一方、モータジェネレータMG2が無負荷運転を行なっていない場合(ステップS25においてNO)、処理はステップS21に戻る。
ステップS26において、MG_ECU300は上述の方法に従ってレゾルバ342の出力値のオフセットを推定し、推定結果に基づいて出力値を補正する。ステップS26の処理が終了すると全体の処理が終了する。
なお、実施の形態3では車両が走行を続けているので、補正処理の間にモータジェネレータMG2からトルクが出力されても、そのトルクはハイブリッド車両の駆動力となる。つまりレゾルバの出力値を補正しても車両挙動には影響が生じない。
以上のように、実施の形態3では車両の加速後に自動変速機の状態をNレンジ状態にしてモータジェネレータを無負荷運転させる。これにより実施の形態3によれば、車両走行中にレゾルバの出力値を補正することができる。
[実施の形態4]
実施の形態4のハイブリッド車両の全体構成は図1に示すハイブリッド車両100の構成と同様である。また、実施の形態4のハイブリッド車両におけるモータ制御に関する構成は図2に示す構成と同様である。よって、実施の形態4のハイブリッド車両の構成に関する以後の説明は繰返さない。
図2を参照しながら実施の形態4におけるレゾルバの出力値の補正方法を説明する。実施の形態4では、HV_ECU320はモータジェネレータMG2のトルク指令値(図2のトルク指令値TR2)の符号を正と負との間で切換える。HV_ECU320はトルク指令値TR2の符号を切換えるときに、所定の期間(たとえば数秒間)だけトルク指令値を0にする。MG_ECU300はその所定期間にはモータジェネレータMG2のトルクが0になるようにインバータ241Bを制御する。モータジェネレータMG2のトルクが0である間(無負荷運転をしている間)にMG_ECU300はレゾルバ342の出力値を補正する。
図7は、実施の形態4におけるレゾルバの出力値の補正処理を説明するフローチャートである。
図7および図2を参照して処理が開始されると、まずステップS31においてHV_ECU320は、モータジェネレータMG2のトルク指令値TR2にゼロクロス状態が発生するか否かを判定する。ゼロクロス状態とはトルク指令値TR2の符号が正と負との間で切換わる場合であり、たとえば車両の走行状態が加速と減速との間で切換わる場合等である。なおゼロクロス状態が発生する場合に「所定の条件」が成立する。
トルク指令値TR2にゼロクロス状態が生じる場合(ステップS31においてYES)、処理はステップS32に進む。一方、トルク指令値TR2にゼロクロス状態が生じない場合(ステップS31においてNO)、処理はステップS31に戻る。
ステップS32において、MG_ECU300はモータジェネレータMG2が回転中であるか否かを判定する。モータジェネレータMG2が回転中である場合(ステップS32においてYES)、処理はステップS33に進む。一方、たとえばモータジェネレータMG2の回転が既に停止している場合(ステップS32においてNO)、処理はステップS31に戻る。
ステップS33においてHV_ECU320はトルク指令値TR2を0にする。MG_300はインバータ241Bを制御してモータジェネレータMG2のトルクを0に保つ。なおモータジェネレータMG2のトルクが0である期間には、たとえばハイブリッド車両は惰性運転を行なう。
図8は、図7のステップS33におけるHV_ECU320の処理を模式的に説明する図である。
図8を参照して、通常走行(通常モード)におけるトルク指令値の変化と、レゾルバの出力値を補正するセンサオフセット調整モードのときのトルク指令値の変化とが示される。図8に示すように、センサオフセット調整モードの際にはトルク指令値が0になる期間が設定されるのに対し、通常モードの際にはこのような期間は設定されていない。
再び図7および図2を参照しながら説明する。ステップS34において、MG_ECU300はレゾルバ342の出力値のオフセットの推定を行なう。さらにMG_ECU300は推定結果を用いてレゾルバ342の出力値を補正する。
ステップS35において、HV_ECU320はMG_ECU300からの情報に基づいて図2のレゾルバ342の出力値のオフセット推定および補正が完了したか否かを判定する。推定処理および補正処理が完了した場合(ステップS35においてYES)、全体の処理が終了する。これによりトルク指令値TR2が0となる期間が終了する。
一方、推定処理および補正処理が未完了の場合(ステップS35においてNO)、処理は再びステップS33に戻る。
なお、実施の形態4において車両の走行方向は前進方向、後進方向のいずれでもよい。また実施の形態4では車両が走行を続けているので、補正処理の間にモータジェネレータMG2からトルクが出力されても、そのトルクはハイブリッド車両の駆動力となる。つまりレゾルバの出力値を補正しても車両挙動には影響が生じない。
以上のように実施の形態4によれば、ハイブリッド車両を走行させながらレゾルバ342の出力値を補正することができる。よって実施の形態4によれば車両挙動に影響を与えることなくレゾルバの出力値を補正することができる。
[実施の形態5]
図9は、実施の形態5のハイブリッド車両の全体構成を示す図である。
図9および図1を参照して、ハイブリッド車両100Aはモータ140Aと減速機との間に設けられる変速機420をさらに備える点でハイブリッド車両100と異なる。なお、ハイブリッド車両100Aの他の部分の構成はハイブリッド車両100の対応する部分の構成と同様であるので以後の説明は繰返さない。
変速機420はHV_ECU320の制御に応じて変速動作を行ない、モータジェネレータMG2の回転速度を減速してモータジェネレータMG2から出力された出力トルクを大きくし、その大きくした出力トルクを動力分割機構200に出力する。また変速機420は、たとえばクラッチを有し、変速動作の際にモータ140A(図2のモータジェネレータMG2)から駆動輪160への動力の伝達を一時的に遮断する。
なお、実施の形態5のハイブリッド車両におけるモータ制御に関する構成は図2に示す構成と同様であるので以後の説明は繰返さない。
図9において変速機420が変速動作を行なっている間にはクラッチが開放されるのでモータ140Aから駆動輪160には動力が伝達されない。この状態でHV_ECU320およびMG_ECU300はモータ140Aを回転させる。これによりモータ140Aは無負荷運転するので、実施の形態5によればモータ140Aの回転状態を検出するレゾルバ(図2のレゾルバ342)の出力値を補正できる。
図10は、実施の形態5におけるレゾルバの出力値の補正処理を説明するフローチャートである。なお、図10に示すフローチャートはハイブリッド車両100Aの走行中に実行される。
図10および図8を参照して、図10のフローチャートではステップS31の処理に代えてステップS41の処理が行なわれる点で図8のフローチャートと異なる。図10のフローチャートにおけるステップS32〜S35の処理は図8のフローチャートにおけるステップS32〜S35の処理とそれぞれ同様であるので、以後の説明は繰返さない。
続いて図10および図9を参照して、ステップS41の処理を説明する。ステップS41ではHV_ECU320は変速機420がモータ140A(図2のモータジェネレータMG2)と駆動輪160とのギヤ比を変速する変速動作の実行中であるか否かを判定する。変速機が変速動作中である場合(ステップS41においてYES)、処理はステップS32に進む。一方、変速機420が変速動作を行なっていない場合(ステップS41においてNO)、処理は再びステップS41に戻る。変速機が変速動作を行なうときに「所定の条件」が成立する。
なお実施の形態5では図2のモータジェネレータMG1,MG2を同時に無負荷運転させてレゾルバ341,342の各々の出力値を同時に補正してもよい。
以上のように実施の形態5によれば、駆動輪へのモータジェネレータの動力の伝達と遮断とを切換える伝達機構(変速機)を備える。実施の形態5によれば変速機の変速期間中に駆動輪へのモータジェネレータの動力の伝達を遮断してモータジェネレータを無負荷運転させる。モータジェネレータMG2からトルクが出力されても、そのトルクはハイブリッド車両の駆動力には用いられない。よって実施の形態5によれば車両挙動に影響を与えることなくレゾルバの出力値を補正できる。
[実施の形態6]
実施の形態6のハイブリッド車両の全体構成は図9に示すハイブリッド車両100Aの構成と同様である。よって実施の形態6のハイブリッド車両の構成に関する以後の説明は繰返さない。なお、実施の形態6のハイブリッド車両におけるモータ制御に関する構成は図2に示す構成と同様であるので以後の説明は繰返さない。
図11は、実施の形態6におけるレゾルバの出力値の補正処理を説明するフローチャートである。
図11および図10を参照して、図11のフローチャートではステップS41の処理に代えてステップS51〜S53の処理が行なわれる点で図10のフローチャートと異なる。図11のフローチャートにおけるステップS32〜S35の処理は図10のフローチャートにおけるステップS32〜S35の処理とそれぞれ同様である。すなわち図11のフローチャートにおけるステップS32〜S35の処理は図10のフローチャートにおけるS32〜S35の処理とそれぞれ同様であるので、以後の説明は繰返さない。
図11および図9を参照して、処理が開始されると、まずステップS51ではHV_ECU320は停車中か否かを判定する。ステップS51における判定方法はたとえば図4のステップS1における判定方法と同様であり、HV_ECU320は、たとえばPポジションセンサからの情報、車速センサからの情報、モータジェネレータMG2の回転数の情報等から車両が停車中か否かを判定する。
ハイブリッド車両が停車中の場合(ステップS52においてYES)、処理はステップS52に進む。一方、ハイブリッド車両が停止していない場合(ステップS52においてNO)、処理はステップS51に戻る。
次にステップS52において、HV_ECU320は変速機420に変速動作を行なわせてクラッチを開放する(クラッチを切り離す)。これによりモータ140A(図2のモータジェネレータMG2)から駆動輪160への動力の伝達が遮断される。なお、車両は停車しているので、モータ140Aから駆動輪160への動力の伝達が遮断されても車両の状態に変化は生じない。
続いてステップS53においてMG_ECU320はモータ140A(図2のモータジェネレータMG2)にトルクを与えてモータ140Aのロータを回転させる。ロータが回転を始めるとMG_ECU300は図2のインバータ241Bを制御してモータジェネレータMG2に無負荷運転を行なわせる。
実施の形態6においても実施の形態5と同様に、ステップS32〜S35の処理によって図2のレゾルバ342の出力値に含まれるオフセットの推定および出力値の補正が行なわれる。
なお、実施の形態6においても実施の形態5と同様には図2のモータジェネレータMG1,MG2を同時に無負荷運転させてレゾルバ341,342の各々の出力値を同時に補正してもよい。
以上のように、実施の形態6によれば車両停止中に変速機を制御してモータジェネレータから駆動輪への動力の伝達を遮断してモータジェネレータを無負荷運転させる。これによりモータジェネレータMG2からトルクが出力されても車両は停車したままとなるので、車両挙動に影響を与えることなくレゾルバの出力値を補正できる。
なお、本発明の車両の制御装置を搭載する車両はハイブリッド車両に限定されず、電気自動車であっても、燃料電池車であってもよい。
また、図9において変速機420はモータ140Aに対応して設けられるものとして示されるがジェネレータ140Bに対応して設けられてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100,100A ハイブリッド車両、120 エンジン、140,MG1,MG2 モータジェネレータ、140A モータ、140B ジェネレータ、160 駆動輪、180 減速機、200 動力分割機構、220 走行用バッテリ、240,241A,241B インバータ、242 コンバータ、260 バッテリECU、280 エンジンECU、311 リアクトル、312,313 NPNトランジスタ、314,315 ダイオード、331,332 電流センサ、341,342 レゾルバ、401 角度補正部、402 電流変換部、403 減算器、404 制御部、405 加算器、406 変換部、408 回転速度演算部、410 速度起電力予測演算部、412 信号変換部、420 変速機、S1〜S53 ステップ、SR システムリレー。