JP4010123B2 - ハイブリッド型車両駆動装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド型車両駆動装置及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハイブリッド型車両に搭載され、エンジンのトルク、すなわち、エンジントルクの一部を発電機(発電機モータ)に、残りを駆動輪に伝達するようにしたハイブリッド型車両駆動装置においては、サンギヤ、リングギヤ及びキャリヤを備えたプラネタリギヤユニットを有し、前記キャリヤとエンジンとを連結し、リングギヤと駆動輪とを連結し、サンギヤと発電機とを連結し、前記リングギヤ及び駆動モータから出力された回転を駆動輪に伝達して駆動力を発生させるようにしている。
【0003】
この種のハイブリッド型車両駆動装置においては、回転速度が低い領域において、エンジンの効率が極めて低く、駆動モータによって発生させられるトルク、すなわち、駆動モータトルクはエンジントルクより大きいので、発進時には、駆動モータだけが駆動され、エンジンの駆動が停止させられ、ハイブリッド型車両はモータ駆動モードで走行させられる。このとき、エンジンには摺(しゅう)動抵抗があり、しかも、発電機と比べてイナーシャが大きいので、エンジンは回転することなく、発電機は振り回される。そして、発進後、車速がエンジンを始動するのに適したエンジン始動車速に到達すると、発電機を駆動することによって、エンジンの回転速度、すなわち、エンジン回転速度を、エンジンを点火するのに適した回転速度まで高くしてエンジンを始動し、その後は、駆動モータ及びエンジンが駆動されて、ハイブリッド型車両はモータ・エンジン駆動モードで走行させられる。また、発電機のトルク、すなわち、発電機トルクが制御され、エンジントルクを支えるのに必要な反力が発生させられる。
【0004】
ところで、ハイブリッド型車両をモータ・エンジン駆動モードで走行させているときに、発電機の回転速度、すなわち、発電機回転速度が低い場合、消費電力が大きくなり、発電機の発電効率が低くなるとともに、ハイブリッド型車両の燃費がその分悪くなってしまう。そこで、発電機回転速度の絶対値が所定の回転速度より小さい場合、発電機ブレーキを係合させ、発電機を機械的に停止させ、燃費を良くするようにしている。
【0005】
この場合、発電機ブレーキを係合している間、所定のエンジントルクが反力として発電機のロータに加わっているので、発電機ブレーキを単に解放すると、エンジントルクがロータに伝達され、それに伴って、発電機トルク及びエンジントルクが大きく変化し、ショックが発生してしまう。
【0006】
そこで、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行い、前記ロータに伝達されるエンジントルクを推定又は算出し、該エンジントルクに相当する発電機トルクを算出し、該発電機トルクをエンジントルクと逆方向に発生させた後、発電機ブレーキを解放するようにしている(特開平9−100853号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のハイブリッド型車両駆動装置において、エンジントルク及び発電機トルクの推定又は算出は、エンジン及び発電機を通常の使用環境で駆動することを前提に行われるので、エンジン及び発電機が特殊な使用環境、例えば、低温時に駆動される場合には、推定又は算出されるエンジントルクが実際にエンジンによって発生させられるエンジントルクより大きくなる傾向があるとともに、算出される発電機トルクが実際に発電機によって発生させられる発電機トルクより小さくなる傾向があり、エンジントルクと発電機トルクとのトルク差が大きくなってしまう。
【0008】
したがって、発電機回転速度の絶対値が所定の回転速度より小さい場合に発電機ブレーキを係合させると、発電機ブレーキを解放する際に前記トルク差が大きくなる分だけショックが発生してしまう。
【0009】
本発明は、前記従来のハイブリッド型車両駆動装置の問題点を解決して、モータ・エンジン駆動モードで走行させているときにショックが発生するのを防止することができるハイブリッド型車両駆動装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明のハイブリッド型車両駆動装置においては、エンジンを備えたエンジン駆動部と、前記エンジンと差動回転自在に、かつ、機械的に連結された発電機を備えた発電機駆動部と、前記発電機の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキと、所定の条件に応じて前記発電機ブレーキを係脱させ、かつ、発電機ブレーキの解放時に、エンジントルクに相当する発電機トルクを発生させる一連の制御から成る発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行う発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段と、前記エンジン駆動部及び発電機駆動部のうちの少なくとも一方の温度を検出する駆動部温度検出手段と、検出された温度が判定基準温度より低い場合に、前記一連の制御から成る発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を禁止する発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理手段とを有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の実施の形態におけるハイブリッド型車両駆動装置の機能ブロック図である。
【0019】
図において、90はエンジン11を備えたエンジン駆動部、91は前記エンジン11と差動回転自在に、かつ、機械的に連結された発電機16を備えた発電機駆動部、Bは前記発電機16の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキ、93は該発電機ブレーキBを係脱させ、かつ、解放時にエンジントルクに相当する発電機トルクを発生させて発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行う発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段、94は前記エンジン駆動部90及び発電機駆動部91のうちの少なくとも一方の温度を検出する駆動部温度検出手段、95は検出された温度に基づいて、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を禁止する発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理手段である。
【0020】
図2は本発明の実施の形態におけるハイブリッド型車両の概念図である。
【0021】
図において、11は第1の軸線上に配設されたエンジン(E/G)、12は前記第1の軸線上に配設され、前記エンジン11を駆動することによって発生させられた回転を出力する出力軸、13は前記第1の軸線上に配設され、前記出力軸12を介して入力された回転に対して変速を行う差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニット、14は前記第1の軸線上に配設され、前記プラネタリギヤユニット13における変速後の回転が出力される出力軸、15は該出力軸14に固定された出力ギヤとしての第1のカウンタドライブギヤ、16は前記第1の軸線上に配設され、伝達軸17を介して前記プラネタリギヤユニット13と連結され、更にエンジン11と差動回転自在に、かつ、機械的に連結された第1の電動機としての発電機(G)である。
【0022】
前記出力軸14は、スリーブ状の形状を有し、前記出力軸12を包囲して配設される。また、前記第1のカウンタドライブギヤ15はプラネタリギヤユニット13よりエンジン11側に配設される。
【0023】
そして、前記プラネタリギヤユニット13は、少なくとも、第1の歯車要素としてのサンギヤS、該サンギヤSと噛(し)合するピニオンP、該ピニオンPと噛合する第2の歯車要素としてのリングギヤR、及び前記ピニオンPを回転自在に支持する第3の歯車要素としてのキャリヤCRを備え、前記サンギヤSは前記伝達軸17を介して発電機16と、リングギヤRは出力軸14及び所定のギヤ列を介して、前記第1の軸線と平行な第2の軸線上に配設され、前記発電機16と互いに機械的に連結された第2の電動機としての駆動モータ(M)25及び駆動輪37と、キャリヤCRは出力軸12を介してエンジン11と連結される。また、前記キャリヤCRとハイブリッド型車両駆動装置のケース10との間にワンウェイクラッチFが配設され、該ワンウェイクラッチFは、エンジン11から正方向の回転がキャリヤCRに伝達されたときにフリーになり、発電機16又は駆動モータ25から逆方向の回転がキャリヤCRに伝達されたときにロックされ、逆方向の回転がエンジン11に伝達されないようにする。
【0024】
さらに、前記発電機16は、前記伝達軸17に固定され、回転自在に配設されたロータ21、該ロータ21の周囲に配設されたステータ22、及び該ステータ22に巻装されたコイル23から成る。前記発電機16は、伝達軸17を介して伝達される回転によって電力を発生させる。前記コイル23は、図示されないバッテリに接続され、該バッテリに直流の電流を供給する。前記ロータ21と前記ケース10との間に発電機ブレーキBが配設され、該発電機ブレーキBを係合させることによってロータ21を固定し、発電機16の回転を機械的に停止させることができる。
【0025】
また、26は前記第2の軸線上に配設され、前記駆動モータ25の回転が出力される出力軸、27は該出力軸26に固定された出力ギヤとしての第2のカウンタドライブギヤである。前記駆動モータ25は、前記出力軸26に固定され、回転自在に配設されたロータ40、該ロータ40の周囲に配設されたステータ41、及び該ステータ41に巻装されたコイル42から成る。
【0026】
前記駆動モータ25は、コイル42に供給される電流によって駆動モータトルクTMを発生させる。そのために、前記コイル42は前記バッテリに接続され、該バッテリからの直流の電流が交流の電流に変換されて供給されるようになっている。
【0027】
そして、前記駆動輪37をエンジン11の回転と同じ方向に回転させるために、前記第1、第2の軸線と平行な第3の軸線上にカウンタシャフト30が配設され、該カウンタシャフト30に、第1のカウンタドリブンギヤ31、及び該第1のカウンタドリブンギヤ31より歯数が多い第2のカウンタドリブンギヤ32が固定される。前記第1のカウンタドリブンギヤ31と前記第1のカウンタドライブギヤ15とが、また、前記第2のカウンタドリブンギヤ32と前記第2のカウンタドライブギヤ27とが噛合させられ、前記第1のカウンタドライブギヤ15の回転が反転されて第1のカウンタドリブンギヤ31に、前記第2のカウンタドライブギヤ27の回転が反転されて第2のカウンタドリブンギヤ32に伝達されるようになっている。
【0028】
さらに、前記カウンタシャフト30には前記第1のカウンタドリブンギヤ31より歯数が少ないデフピニオンギヤ33が固定される。
【0029】
そして、前記第1〜第3の軸線と平行な第4の軸線上にディファレンシャル装置36が配設され、該ディファレンシャル装置36のデフリングギヤ35と前記デフピニオンギヤ33とが噛合させられる。したがって、デフリングギヤ35に伝達された回転が前記ディファレンシャル装置36によって分配され、駆動輪37に伝達される。このように、エンジン11によって発生させられた回転を第1のカウンタドリブンギヤ31に伝達することができるだけでなく、駆動モータ25によって発生させられた回転を第2のカウンタドリブンギヤ32に伝達することができるので、エンジン11及び駆動モータ25を駆動することによってハイブリッド型車両を走行させることができる。
【0030】
なお、38はロータ21の位置、すなわち、発電機ロータ位置θGを検出するレゾルバ等の発電機ロータ位置センサ、39はロータ40の位置、すなわち、駆動モータロータ位置θMを検出するレゾルバ等の駆動モータロータ位置センサである。
【0031】
前記発電機ロータ位置θGの変化率ΔθGを算出することによって発電機回転速度NGを検出し、前記駆動モータロータ位置θMの変化率ΔθMを算出することによって駆動モータ25の回転速度、すなわち、駆動モータ回転速度NMを検出することができる。また、前記変化率ΔθM、及び前記出力軸26から駆動輪37までのトルク伝達系におけるギヤ比γVに基づいて車速Vを算出することができる。なお、発電機ロータ位置θGは発電機回転速度NGに対応し、駆動モータロータ位置θMは駆動モータ回転速度NMに対応するので、発電機ロータ位置センサ38を、発電機回転速度NGを検出する発電機回転速度検出手段として、駆動モータロータ位置センサ39を、駆動モータ回転速度NMを検出する駆動モータ回転速度検出手段、及び車速Vを検出する車速検出手段として機能させることもできる。
【0032】
次に、前記プラネタリギヤユニット13の動作について説明する。
【0033】
図3は本発明の実施の形態におけるプラネタリギヤユニットの動作説明図、図4は本発明の実施の形態における通常走行時の車速線図、図5は本発明の実施の形態における通常走行時のトルク線図である。
【0034】
図2及び3に示されるように、プラネタリギヤユニット13(図2)においては、キャリヤCRがエンジン11と、サンギヤSが発電機16と、リングギヤRが出力軸14を介して前記駆動モータ25及び駆動輪37とそれぞれ連結されるので、リングギヤRの回転速度、すなわち、リングギヤ回転速度NRと、出力軸14に出力される回転速度、すなわち、出力軸回転速度とが等しく、キャリヤCRの回転速度とエンジン回転速度NEとが等しく、サンギヤSの回転速度と発電機回転速度NGとが等しくなる。そして、リングギヤRの歯数がサンギヤSの歯数のρ倍(本実施の形態においては2倍)にされると、
(ρ+1)・NE=1・NG+ρ・NR
の関係が成立する。したがって、リングギヤ回転速度NR及び発電機回転速度NGに基づいてエンジン回転速度NE
NE=(1・NG+ρ・NR)/(ρ+1) ……(1)
を算出することができる。なお、前記式(1)によって、プラネタリギヤユニット13の回転速度関係式が構成される。
【0035】
また、エンジントルクTE、リングギヤRに発生させられるトルク、すなわち、リングギヤトルクTR、及び発電機トルクTGは、
TE:TR:TG=(ρ+1):ρ:1 ……(2)
の関係になり、互いに反力を受け合う。なお、前記式(2)によって、プラネタリギヤユニット13のトルク関係式が構成される。
【0036】
そして、ハイブリッド型車両の通常走行時において、リングギヤR、キャリヤCR及びサンギヤSはいずれも正方向に回転させられ、図4に示されるように、リングギヤ回転速度NR、エンジン回転速度NE及び発電機回転速度NGは、いずれも正の値を採る。また、前記リングギヤトルクTR及び発電機トルクTGは、プラネタリギヤユニット13の歯数によって決定されるトルク比でエンジントルクTEを按(あん)分することによって得られるので、図5に示されるトルク線図上において、リングギヤトルクTRと発電機トルクTGとを加えたものがエンジントルクTEになる。
【0037】
次に、前記構成のハイブリッド型車両の制御装置について説明する。
【0038】
図6は本発明の実施の形態におけるハイブリッド型車両の制御装置を示す概念図である。
【0039】
図において、10はケース、11はエンジン(E/G)、13はプラネタリギヤユニット、16は発電機(G)、Bは該発電機16のロータ21を固定するための発電機ブレーキ、25は駆動モータ(M)、28は前記発電機16を駆動するためのインバータ、29は前記駆動モータ25を駆動するためのインバータ、37は駆動輪、38は発電機ロータ位置センサ、39は駆動モータロータ位置センサ、43はバッテリである。前記インバータ28、29は電源スイッチSWを介してバッテリ43に接続され、該バッテリ43は前記電源スイッチSWがオンのときに直流の電流を前記インバータ28、29に送る。なお、前記バッテリ43とインバータ29との間に平滑用のコンデンサCが接続される。また、前記エンジン11、又は図示されないエンジン吸気系、エンジン排気系、エンジン冷却系等によってエンジン駆動部90(図1)が構成され、前記発電機16、インバータ28及び図示されない発電機冷却系によって発電機駆動部91が構成される。
【0040】
また、51は図示されないCPU、記録装置等から成り、ハイブリッド型車両の全体の制御を行う車両制御装置であり、該車両制御装置51は、エンジン制御装置46、発電機制御装置47及び駆動モータ制御装置49を備える。そして、前記エンジン制御装置46は、図示されないCPU、記録装置等から成り、エンジン11の制御を行うために、スロットル開度θ、バルブタイミング等の指示信号をエンジン11に送る。また、前記発電機制御装置47は、図示されないCPU、記録装置等から成り、前記発電機16の制御を行うために、インバータ28に駆動信号SG1を送る。そして、駆動モータ制御装置49は、図示されないCPU、記録装置等から成り、前記駆動モータ25の制御を行うために、インバータ29に駆動信号SG2を送る。
【0041】
前記インバータ28は、駆動信号SG1に基づいて駆動され、力行(駆動)時にバッテリ43から直流の電流を受けて、U相、V相及びW相の電流IGU、IGV、IGWを発生させ、各電流IGU、IGV、IGWを発電機16に送り、回生(発電)時に発電機16からU相、V相及びW相の電流IGU、IGV、IGWを受けて、直流の電流を発生させ、バッテリ43に送る。
【0042】
また、前記インバータ29は、駆動信号SG2に基づいて駆動され、力行時にバッテリ43から直流の電流を受けて、U相、V相及びW相の電流IMU、IMV、IMWを発生させ、各電流IMU、IMV、IMWを駆動モータ25に送り、回生時に駆動モータ25からU相、V相及びW相の電流IMU、IMV、IMWを受けて、直流の電流を発生させ、バッテリ43に送る。
【0043】
そして、44は前記バッテリ43の状態、すなわち、バッテリ状態としてのバッテリ残量SOCを検出するバッテリ残量検出装置、52はエンジン回転速度NEを検出するエンジン回転速度センサ、53は図示されない選速操作手段としてのシフトレバーの位置、すなわち、シフトポジションSPを検出するシフトポジションセンサ、54はアクセルペダル、55は該アクセルペダル54の位置(踏込量)、すなわち、アクセルペダル位置APを検出するアクセル操作検出手段としてのアクセルスイッチ、61はブレーキペダル、62は該ブレーキペダル61の位置(踏込量)、すなわち、ブレーキペダル位置BPを検出するブレーキ操作検出手段としてのブレーキスイッチ、63はエンジン11の温度tmEを検出する第1の駆動部温度検出手段としてのエンジン温度センサ、64は発電機16の温度、例えば、コイル23(図2)の温度tmGを検出する第2の駆動部温度検出手段としての発電機温度センサ、65は駆動モータ25の温度、例えば、コイル42の温度を検出する第3の駆動部温度検出手段としての駆動モータ温度センサである。前記エンジン温度センサ63及び発電機温度センサ64によって駆動部検出手段94が構成される。なお、第1の駆動部温度検出手段として、エンジン冷却系の温度を検出するエンジン冷却系温度センサ、エンジン排気系の温度を検出するエンジン排気系温度センサ等を使用したり、第2の駆動部温度検出手段として、インバータ28の温度を検出するインバータ温度センサ、前記発電機冷却系の油の温度を検出する油温センサ等を使用したりすることもできる。
【0044】
そして、66〜69はそれぞれ電流IGU、IGV、IMU、IMVを検出する電流センサ、72は前記バッテリ状態としてのバッテリ電圧VBを検出するバッテリ電圧センサである。また、バッテリ状態として、バッテリ電流、バッテリ温度等を検出することもできる。なお、バッテリ残量検出装置44、バッテリ電圧センサ72、図示されないバッテリ電流センサ、図示されないバッテリ温度センサ等によってバッテリ状態検出手段が構成される。
【0045】
前記車両制御装置51は、前記エンジン制御装置46にエンジン制御信号を送ってエンジン11の駆動・停止を設定したり、発電機ロータ位置θGを読み込んで発電機回転速度NGを算出したり、駆動モータロータ位置θMを読み込んで駆動モータ回転速度NMを算出したり、前記回転速度関係式によってエンジン回転速度NEを算出したり、エンジン制御装置46にエンジン回転速度NEの目標値を表すエンジン目標回転速度NE* を設定したり、前記発電機制御装置47に、発電機回転速度NGの目標値を表す発電機目標回転速度NG* 、及び発電機トルクTGの目標値を表す発電機目標トルクTG* を設定したり、前記駆動モータ制御装置49に、駆動モータトルクTMの目標値を表す駆動モータ目標トルクTM* 、及び駆動モータトルクTMの補正値を表す駆動モータトルク補正値δTMを設定したりする。
【0046】
そのために、前記車両制御装置51の図示されない発電機回転速度算出処理手段は、前記発電機ロータ位置θGを読み込んで発電機回転速度NGを算出し、前記車両制御装置51の図示されない駆動モータ回転速度算出処理手段は、前記駆動モータロータ位置θMを読み込んで駆動モータ回転速度NMを算出し、前記車両制御装置51の図示されないエンジン回転速度算出処理手段は、前記回転速度関係式によってエンジン回転速度NEを算出する。なお、前記発電機回転速度算出処理手段、前記駆動モータ回転速度算出処理手段及び前記エンジン回転速度算出処理手段は、それぞれ、発電機回転速度NG、駆動モータ回転速度NM及びエンジン回転速度NEを検出する発電機回転速度検出手段、駆動モータ回転速度検出手段及びエンジン回転速度検出手段として機能する。
【0047】
本実施の形態においては、前記車両制御装置51によってエンジン回転速度NEが算出されるようになっているが、エンジン回転速度センサ52からエンジン回転速度NEを読み込むこともできる。また、本実施の形態において、車速Vは、駆動モータロータ位置θMに基づいて算出されるようになっているが、リングギヤ回転速度NRを検出し、該リングギヤ回転速度NRに基づいて車速Vを算出したり、駆動輪37の回転速度、すなわち、駆動輪回転速度に基づいて車速Vを算出したりすることもできる。その場合、車速検出手段として、リングギヤ回転速度センサ、駆動輪回転速度センサ等が配設される。
【0048】
次に、前記構成のハイブリッド型車両の動作について説明する。
【0049】
図7は本発明の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示す第1のメインフローチャート、図8は本発明の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示す第2のメインフローチャート、図9は本発明の実施の形態における第1の車両要求トルクマップを示す図、図10は本発明の実施の形態における第2の車両要求トルクマップを示す図、図11は本発明の実施の形態におけるエンジン目標運転状態マップを示す図、図12は本発明の実施の形態におけるエンジン駆動領域マップを示す図である。なお、図9、10及び12において、横軸に車速Vを、縦軸に車両要求トルクTO* を、図11において、横軸にエンジン回転速度NEを、縦軸にエンジントルクTEを採ってある。
【0050】
まず、車両制御装置51(図6)の図示されない車両要求トルク決定処理手段は、車両要求トルク決定処理を行い、アクセルスイッチ55からアクセルペダル位置APを、ブレーキスイッチ62からブレーキペダル位置BPを読み込むとともに、駆動モータロータ位置センサ39から駆動モータロータ位置θMを読み込んで、車速Vを算出し、アクセルペダル54が踏み込まれた場合、前記車両制御装置51の記録装置に記録された図9の第1の車両要求トルクマップを参照し、ブレーキペダル61が踏み込まれた場合、前記記録装置に記録された図10の第2の車両要求トルクマップを参照して、アクセルペダル位置AP、ブレーキペダル位置BP及び車速Vに対応させてあらかじめ設定された、ハイブリッド型車両を走行させるのに必要な車両要求トルクTO* を決定する。
【0051】
続いて、前記車両制御装置51は、車両要求トルクTO* があらかじめ駆動モータ25の定格として設定されている駆動モータ最大トルクTMmaxより大きいかどうかを判断する。車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きい場合、前記車両制御装置51はエンジン11が停止中であるかどうかを判断し、エンジン11が停止中である場合、車両制御装置51の図示されない急加速制御処理手段は、急加速制御処理を行い、駆動モータ25及び発電機16を駆動してハイブリッド型車両を走行させる。
【0052】
また、車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmax以下である場合、及び車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きく、かつ、エンジン11が駆動中である場合、前記車両制御装置51の図示されない運転者要求出力算出処理手段は、運転者要求出力算出処理を行い、前記車両要求トルクTO* と車速Vとを乗算することによって、運転者要求出力PD
PD=TO* ・V
を算出する。
【0053】
次に、前記車両制御装置51の図示されないバッテリ充放電要求出力算出処理手段は、バッテリ充放電要求出力算出処理を行い、前記バッテリ残量検出装置44からバッテリ残量SOCを読み込み、該バッテリ残量SOCに基づいてバッテリ充放電要求出力PBを算出する。
【0054】
続いて、前記車両制御装置51の図示されない車両要求出力算出処理手段は、車両要求出力算出処理を行い、前記運転者要求出力PDとバッテリ充放電要求出力PBとを加算することによって、車両要求出力PO
PO=PD+PB
を算出する。
【0055】
次に、前記車両制御装置51の図示されないエンジン目標運転状態設定処理手段は、エンジン目標運転状態設定処理を行い、前記記録装置に記録された図11のエンジン目標運転状態マップを参照し、前記車両要求出力POを表す線PO1〜PO3と、各アクセルペダル位置AP1〜AP6におけるエンジン11の効率が最も高くなる最適燃費曲線Lとが交差するポイントA1〜A3、Amを、エンジン目標運転状態であるエンジン11の運転ポイントとして決定し、該運転ポイントにおけるエンジントルクTE1〜TE3、TEmをエンジントルクTEの目標値を表すエンジン目標トルクTE* として決定し、前記運転ポイントにおけるエンジン回転速度NE1〜NE3、NEmをエンジン目標回転速度NE* として決定する。
【0056】
そして、前記車両制御装置51は、前記記録装置に記録された図12のエンジン駆動領域マップを参照して、エンジン11が駆動領域AR1に置かれているかどうかを判断する。図12において、AR1はエンジン11が駆動される駆動領域、AR2はエンジン11が駆動を停止させられる停止領域、AR3はヒステリシス領域である。また、LE1は停止させられているエンジン11が駆動されるライン、LE2は駆動されているエンジン11が駆動を停止させられるラインである。なお、前記ラインLE1は、バッテリ残量SOCが大きいほど図12の右方に移動させられ、駆動領域AR1が狭くされ、バッテリ残量SOCが小さいほど図12の左方に移動させられ、駆動領域AR1が広くされる。
【0057】
そして、エンジン11が駆動領域AR1に置かれているにもかかわらず、エンジン11が駆動されていない場合、車両制御装置51の図示されないエンジン始動制御処理手段は、エンジン始動制御処理を行い、エンジン11を始動する。また、エンジン11が駆動領域AR1に置かれていないにもかかわらず、エンジン11が駆動されている場合、車両制御装置51の図示されないエンジン停止制御処理手段は、エンジン停止制御処理を行い、エンジン11の駆動を停止させる。
【0058】
そして、エンジン11が駆動領域AR1に置かれていて、かつ、エンジン11が駆動されている場合、エンジン制御装置46の図示されないエンジン制御処理手段は、エンジン制御処理を行い、周知の方法でエンジン11の制御を行う。その結果、ハイブリッド型車両はモータ・エンジン駆動モードで走行させられる。
【0059】
次に、車両制御装置51は、駆動モータロータ位置θMを読み込み、該駆動モータロータ位置θM、及び出力軸26(図2)からリングギヤRまでのギヤ比γRに基づいてリングギヤ回転速度NRを算出するとともに、エンジン目標運転状態設定処理において決定されたエンジン目標回転速度NE* を読み込み、リングギヤ回転速度NR及びエンジン目標回転速度NE* に基づいて、前記回転速度関係式によって、発電機目標回転速度NG* を算出し、決定する。
【0060】
続いて、車両制御装置51の図示されない発電機ブレーキ制御処理手段は、発電機ブレーキ制御処理を行い、前記エンジン駆動部90(図1)及び発電機駆動部91の温度に基づいて、発電機16の制御及び発電機ブレーキBのオン・オフ(係合・解放)制御を行う。なお、該発電機ブレーキBのオン・オフ制御を行うのに伴って、後述される発電機回転速度制御処理による発電機16の回転速度制御、又は後述される発電機トルク制御処理による発電機16のトルク制御が行われる。
【0061】
ところで、前述されたように、エンジントルクTE、リングギヤトルクTR及び発電機トルクTGは互いに反力を受け合うので、発電機トルクTGがリングギヤトルクTRに変換されてリングギヤRから出力される。そして、リングギヤトルクTRがリングギヤRから出力されるのに伴って、発電機回転速度NGが変動し、前記リングギヤトルクTRが変動すると、変動したリングギヤトルクTRが駆動輪37に伝達され、ハイブリッド型車両の走行フィーリングが低下してしまう。そこで、発電機回転速度NGの変動に伴う発電機16のイナーシャ分のトルクを見込んでリングギヤトルクTRを算出するようにしている。
【0062】
そのために、前記車両制御装置51の図示されないリングギヤトルク算出処理手段は、リングギヤトルク算出処理を行い、前記発電機回転速度制御処理において決定された発電機目標トルクTG* を読み込み、該発電機目標トルクTG* 、及びサンギヤSの歯数に対するリングギヤRの歯数の比に基づいてリングギヤトルクTRを算出する。
【0063】
すなわち、発電機16のイナーシャをInGとし、発電機16の角加速度(回転変化率)をαGとしたとき、サンギヤSに加わるサンギヤトルクTSは、
TS=TG* +InG・αG
になる。
【0064】
そして、リングギヤRの歯数がサンギヤSの歯数のρ倍であるとすると、リングギヤトルクTRは、サンギヤトルクTSのρ倍であるので、
TR=ρ・TS
=ρ・(TG* +InG・αG)
になる。このように、発電機目標トルクTG* からリングギヤトルクTRを算出することができる。
【0065】
続いて、車両制御装置51は、前記リングギヤトルクTR、及びリングギヤRの歯数に対する第2のカウンタドライブギヤ27の歯数の比に基づいて、エンジントルクTEによってプラネタリギヤユニット13を介して出力軸26に発生させられるトルク、すなわち、駆動軸トルクTR/OUTを推定する。なお、発電機ブレーキBが係合させられる際には、リングギヤトルクTRはエンジントルクTEと比例関係になり、前記リングギヤトルクTR、及びリングギヤRの歯数に対する第2のカウンタドライブギヤ27の歯数の比に基づいて前記駆動軸トルクTR/OUTが推定される。
【0066】
続いて、前記車両制御装置51の図示されない駆動モータ目標トルク決定処理手段は、駆動モータ目標トルク決定処理を行い、前記車両要求トルクTO* から、前記駆動軸トルクTR/OUTを減算することによって、駆動軸トルクTR/OUTでは過不足する分を駆動モータ目標トルクTM* として決定する。
【0067】
そして、前記駆動モータ制御装置49の図示されない駆動モータ制御処理手段は、駆動モータ制御処理を行い、駆動モータ25の制御を行う。
【0068】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 アクセルペダル位置AP及びブレーキパダル位置BPを読み込む。
ステップS2 車速Vを算出する。
ステップS3 車両要求トルクTO* を決定する。
ステップS4 車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きいかどうかを判断する。車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きい場合はステップS5に、車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmax以下である場合はステップS7に進む。
ステップS5 エンジン11が停止中であるかどうかを判断する。エンジン11が停止中である場合はステップS6に、停止中でない(駆動中である)場合はステップS7に進む。
ステップS6 急加速制御処理を行い、処理を終了する。
ステップS7 運転者要求出力PDを算出する。
ステップS8 バッテリ充放電要求出力PBを算出する。
ステップS9 車両要求出力POを算出する。
ステップS10 エンジン11の運転ポイントを決定する。
ステップS11 エンジン11が駆動領域AR1に置かれているかどうかを判断する。エンジン11が駆動領域AR1に置かれている場合はステップS12に、置かれていない場合はステップS13に進む。
ステップS12 エンジン11が駆動されているかどうかを判断する。エンジン11が駆動されている場合はステップS16に、駆動されていない場合はステップS14に進む。
ステップS13 エンジン11が駆動されているかどうかを判断する。エンジン11が駆動されている場合はステップS15に、駆動されていない場合はステップS19に進む。
ステップS14 エンジン始動制御処理を行う。
ステップS15 エンジン停止制御処理を行う。
ステップS16 エンジン制御処理を行う。
ステップS17 発電機目標回転速度NG* を決定する。
ステップS18 発電機ブレーキ制御処理を行う。
ステップS19 駆動軸トルクTR/OUTを推定する。
ステップS20 駆動モータ目標トルクTM* を決定する。
ステップS21 駆動モータ制御処理を行い、処理を終了する。
【0069】
次に、図7のステップS6における急加速制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0070】
図13は本発明の実施の形態における急加速制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0071】
まず、前記急加速制御処理手段は、車両要求トルクTO* を読み込み、該車両要求トルクTO* と駆動モータ最大トルクTMmaxとの差トルクΔTを算出し、駆動モータ最大トルクTMmaxでは不足する分を発電機目標トルクTG* として決定する。
【0072】
そして、前記急加速制御処理手段の駆動モータ制御処理手段は、駆動モータ制御処理を行い、駆動モータ目標トルクTM* を駆動モータ最大トルクTMmaxにして駆動モータ25(図6)の制御を行う。また、前記急加速制御処理手段の発電機トルク制御処理手段は、発電機トルク制御処理を行い、前記発電機目標トルクTG* に基づいて発電機16のトルク制御を行う。
【0073】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS6−1 車両要求トルクTO* を読み込む。
ステップS6−2 駆動モータ目標トルクTM* に駆動モータ最大トルクTMmaxをセットする。
ステップS6−3 発電機目標トルクTG* に車両要求トルクTO* と駆動モータ目標トルクTM* との差トルクΔTをセットする。
ステップS6−4 駆動モータ制御処理を行う。
ステップS6−5 発電機トルク制御処理を行い、リターンする。
【0074】
次に、図13のステップS6−4における駆動モータ制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0075】
図14は本発明の実施の形態における駆動モータ制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0076】
まず、駆動モータ制御処理手段は、駆動モータ目標トルクTM* 及び駆動モータロータ位置θMを読み込み、該駆動モータロータ位置θMに基づいて駆動モータ回転速度NMを算出するとともに、バッテリ電圧VBを読み込む。続いて、前記駆動モータ制御処理手段は、前記駆動モータ目標トルクTM* 、駆動モータ回転速度NM及びバッテリ電圧VBに基づいて、前記記録装置に記録された駆動モータ制御用の電流指令値マップを参照し、d軸電流指令値IMd* 及びq軸電流指令値IMq* を決定する。
【0077】
また、前記駆動モータ制御処理手段は、電流センサ68(図6)、69から電流IMU、IMVを読み込むとともに、電流IMU、IMVに基づいて電流IMW
IMW=IMU−IMV
を算出する。なお、電流IMWを電流IMU、IMVと同様に電流センサによって検出することもできる。
【0078】
続いて、前記駆動モータ制御処理手段は、3相/2相変換を行い、電流IMU、IMV、IMWをd軸電流IMd及びq軸電流IMqに変換し、前記d軸電流IMd及びq軸電流IMq、並びに前記d軸電流指令値IMd* 及びq軸電流指令値IMq* に基づいて、電圧指令値VMd* 、VMq* を算出する。そして、前記駆動モータ制御処理手段は、2相/3相変換を行い、電圧指令値VMd* 、VMq* を電圧指令値VMU* 、VMV* 、VMW* に変換し、該電圧指令値VMU* 、VMV* 、VMW* に基づいて、パルス幅変調信号SU、SV、SWを算出し、該パルス幅変調信号SU、SV、SWを駆動モータ制御処理手段のドライブ処理手段に出力する。該ドライブ処理手段は、ドライブ処理を行い、パルス幅変調信号SU、SV、SWに基づいて前記インバータ29に駆動信号SG2を送る。
【0079】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS6−4−1 駆動モータ目標トルクTM* を読み込む。
ステップS6−4−2 駆動モータロータ位置θMを読み込む。
ステップS6−4−3 駆動モータ回転速度NMを算出する。
ステップS6−4−4 バッテリ電圧VBを読み込む。
ステップS6−4−5 d軸電流指令値IMd* 及びq軸電流指令値IMq* を決定する。
ステップS6−4−6 電流IMU、IMVを読み込む。
ステップS6−4−7 3相/2相変換を行う。
ステップS6−4−8 電圧指令値VMd* 、VMq* を算出する。
ステップS6−4−9 2相/3相変換を行う。
ステップS6−4−10 パルス幅変調信号SU、SV、SWを出力し、リターンする。
【0080】
次に、図13のステップS6−5における発電機トルク制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0081】
図15は本発明の実施の形態における発電機トルク制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0082】
まず、前記発電機トルク制御処理手段は、発電機目標トルクTG* 及び発電機ロータ位置θGを読み込み、該発電機ロータ位置θGに基づいて発電機回転速度NGを算出するとともに、バッテリ電圧VBを読み込む。続いて、前記発電機トルク制御処理手段は、前記発電機目標トルクTG* 、発電機回転速度NG及びバッテリ電圧VBに基づいて、前記記録装置に記録された発電機制御用の電流指令値マップを参照し、d軸電流指令値IGd* 及びq軸電流指令値IGq* を決定する。
【0083】
また、前記発電機トルク制御処理手段は、電流センサ66、67から電流IGU、IGVを読み込むとともに、電流IGU、IGVに基づいて電流IGW
IGW=IGU−IGV
を算出する。なお、電流IGWを電流IGU、IGVと同様に電流センサによって検出することもできる。
【0084】
続いて、前記発電機トルク制御処理手段は、3相/2相変換を行い、電流IGU、IGV、IGWをd軸電流IGd及びq軸電流IGqに変換し、該d軸電流IGd及びq軸電流IGq、並びに前記d軸電流指令値IGd* 及びq軸電流指令値IGq* に基づいて、電圧指令値VGd* 、VGq* を算出する。そして、前記発電機トルク制御処理手段は、2相/3相変換を行い、電圧指令値VGd* 、VGq* を電圧指令値VGU* 、VGV* 、VGW* に変換し、該電圧指令値VGU* 、VGV* 、VGW* に基づいて、パルス幅変調信号SU、SV、SWを算出し、該パルス幅変調信号SU、SV、SWを発電機トルク制御処理手段のドライブ処理手段に出力する。該ドライブ処理手段は、ドライブ処理を行い、パルス幅変調信号SU、SV、SWに基づいて前記インバータ28に駆動信号SG1を送る。
【0085】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS6−5−1 発電機目標トルクTG* を読み込む。
ステップS6−5−2 発電機ロータ位置θGを読み込む。
ステップS6−5−3 発電機回転速度NGを算出する。
ステップS6−5−4 バッテリ電圧VBを読み込む。
ステップS6−5−5 d軸電流指令値IGd* 及びq軸電流指令値IGq* を決定する。
ステップS6−5−6 電流IGU、IGVを読み込む。
ステップS6−5−7 3相/2相変換を行う。
ステップS6−5−8 電圧指令値VGd* 、VGq* を算出する。
ステップS6−5−9 2相/3相変換を行う。
ステップS6−5−10 パルス幅変調信号SU、SV、SWを出力し、リターンする。
【0086】
次に、図8のステップS14におけるエンジン始動制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0087】
図16は本発明の実施の形態におけるエンジン始動制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0088】
まず、エンジン始動制御処理手段は、スロットル開度θを読み込み、スロットル開度θが0〔%〕である場合に、リングギヤ回転速度NRを読み込み、かつ、エンジン目標運転状態設定処理において決定されたエンジン11(図6)の運転ポイントを読み込む。なお、前記リングギヤ回転速度NRは、前述されたように、駆動モータロータ位置θMに基づいて算出される。
【0089】
続いて、エンジン始動制御処理手段は、前記リングギヤ回転速度NR、及び前記運転ポイントにおけるエンジン目標回転速度NE* に基づいて、前記回転速度関係式によって発電機目標回転速度NG* を算出し、決定する。
【0090】
前記エンジン始動制御処理手段の発電機回転速度制御処理手段は、発電機目標回転速度NG* に基づいて発電機回転速度制御処理を行い、発電機回転速度NGを高くし、それに伴ってエンジン回転速度NEを高くする。
【0091】
そして、前記エンジン始動制御処理手段は、エンジン回転速度NEとあらかじめ設定された始動回転速度NEth1とを比較し、エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高いかどうかを判断する。エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高い場合、エンジン始動制御処理手段は、エンジン11において燃料噴射及び点火を行い、エンジン回転速度NEがエンジン目標回転速度NE* になるようにスロットル開度θを調整する。
【0092】
続いて、前記エンジン始動制御処理手段は、エンジン11が正常に駆動されているかどうかを判断するために、発電機トルクTGが、エンジン11の始動に伴うモータリングトルクTEthより小さいかどうかを判断し、発電機トルクTGがモータリングトルクTEthより小さい状態で所定時間が経過するのを待機する。
【0093】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS14−1 スロットル開度θが0〔%〕であるかどうかを判断する。スロットル開度θが0〔%〕である場合はステップS14−3に、0〔%〕でない場合はステップS14−2に進む。
ステップS14−2 スロットル開度θを0〔%〕にし、ステップS14−1に戻る。
ステップS14−3 リングギヤ回転速度NRを読み込む。
ステップS14−4 エンジン11の運転ポイントを読み込む。
ステップS14−5 発電機目標回転速度NG* を決定する。
ステップS14−6 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS14−7 エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高いかどうかを判断する。エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高い場合はステップS14−8に進み、エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1以下である場合はステップS14−3に戻る。
ステップS14−8 燃料噴射及び点火を行う。
ステップS14−9 スロットル開度θを調整する。
ステップS14−10 発電機トルクTGがモータリングトルクTEthより小さいかどうかを判断する。発電機トルクTGがモータリングトルクTEthより小さい場合はステップS14−11に進み、発電機トルクTGがモータリングトルクTEth以上である場合はステップS14−1に戻る。
ステップS14−11 所定時間が経過するのを待機し、リターンする。
【0094】
次に、図16のステップS14−6における発電機回転速度制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0095】
図17は本発明の実施の形態における発電機回転速度制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0096】
まず、前記発電機回転速度制御処理手段は、発電機目標回転速度NG* 及び発電機回転速度NGを読み込み、発電機目標回転速度NG* と発電機回転速度NGとの差回転速度ΔNGに基づいてPI制御を行い、発電機目標トルクTG* を算出し、決定する。この場合、差回転速度ΔNGが大きいほど、発電機目標トルクTG* は大きくされ、正負も考慮される。
【0097】
続いて、前記発電機回転速度制御処理手段の発電機トルク制御処理手段は、発電機トルク制御処理を行い、発電機16(図6)のトルク制御を行う。
【0098】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS14−6−1 発電機目標回転速度NG* を読み込む。
ステップS14−6−2 発電機回転速度NGを読み込む。
ステップS14−6−3 発電機目標トルクTG* を決定する。
ステップS14−6−4 発電機トルク制御処理を行い、リターンする。
【0099】
次に、図8のステップS15におけるエンジン停止制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0100】
図18は本発明の実施の形態におけるエンジン停止制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0101】
まず、前記エンジン停止制御処理手段は、発電機ブレーキB(図6)が解放されているかどうかを判断する。発電機ブレーキBが解放されておらず、係合させられている場合、前記エンジン停止制御処理手段は、エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。次に、前記エンジン停止制御処理手段の発電機トルク制御処理手段は、前記発電機目標トルクTG* に従って発電機トルク制御処理を行う。そして、所定時間が経過すると、前記エンジン停止制御処理手段の発電機回転速度制御処理手段は、図17に示されるものと同様の発電機回転速度制御処理を行う。その後、前記エンジン停止制御処理手段は発電機ブレーキBを解放する。なお、前記エンジントルクTE相当分は、エンジントルクTEに対する発電機トルクTGのトルク比を学習することによって算出される。
【0102】
また、前記発電機ブレーキBが解放されている場合、及び前記発電機回転速度制御処理が行われた場合、エンジン停止制御処理手段は、エンジン11における燃料噴射及び点火を停止させ、スロットル開度θを0〔%〕にする。
【0103】
続いて、前記エンジン停止制御処理手段は、エンジン目標回転速度NE* を0〔rpm〕とし、前記リングギヤ回転速度NRを読み込み、該リングギヤ回転速度NR及びエンジン目標回転速度NE* (0〔rpm〕)に基づいて、前記回転速度関係式によって、発電機目標回転速度NG* を決定する。そして、前記発電機回転速度制御処理手段は、図17に示されるものと同様の発電機回転速度制御処理を行う。
【0104】
次に、前記エンジン停止制御処理手段は、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下であるかどうかを判断し、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下である場合、発電機16に対するスイッチングを停止させ、発電機16のシャットダウンを行う。
【0105】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS15−1 発電機ブレーキBが解放されているかどうかを判断する。発電機ブレーキBが解放されている場合はステップS15−7に、解放されていない場合はステップS15−2に進む。
ステップS15−2 エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。
ステップS15−3 発電機トルク制御処理を行う。
ステップS15−4 所定時間が経過したかどうかを判断する。所定時間が経過した場合はステップS15−5に進み、経過していない場合はステップS15−3に戻る。
ステップS15−5 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS15−6 発電機ブレーキBを解放する。
ステップS15−7 燃料噴射及び点火を停止させる。
ステップS15−8 スロットル開度θを0〔%〕にする。
ステップS15−9 発電機目標回転速度NG* を決定する。
ステップS15−10 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS15−11 エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下であるかどうかを判断する。エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下である場合はステップS15−12に進み、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2より大きい場合はステップS15−9に戻る。
ステップS15−12 発電機16に対するスイッチングを停止させ、リターンする。
【0106】
次に、図8のステップS18における発電機ブレーキ制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0107】
図19は本発明の実施の形態における発電機ブレーキ制御処理のサブルーチンを示す図、図20はエンジントルク特性を示す図、図21は発電機トルク特性を示す図、図22は本発明の実施の形態における発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理のサブルーチンを示す図、図23は本発明の実施の形態における発電機ブレーキ制御処理の動作を説明するタイムチャートである。なお、図20において、横軸にエンジン回転速度NEを、縦軸にエンジントルクTEを、図21において、横軸に発電機回転速度NGを、縦軸に発電機トルクTGを採ってある。
【0108】
前記構成のハイブリッド型車両をモータ・エンジン駆動モードで走行させているときに、発電機回転速度NGが低い場合、消費電力が大きくなり、発電機16(図6)の発電効率が低くなるとともに、ハイブリッド型車両の燃費がその分悪くなってしまう。そこで、発電機回転速度NGの絶対値が所定の回転速度より小さい場合、発電機ブレーキBを係合させ、発電機16を機械的に停止させ、前記燃費を良くするようにしている。
【0109】
この場合、発電機ブレーキBを係合している間、所定のエンジントルクTEが反力として発電機16のロータ21(図2)に加わっているので、発電機ブレーキBを単に解放すると、エンジントルクTEがロータ21に伝達されるのに伴って、発電機トルクTG及びエンジントルクTEが大きく変化し、ショックが発生してしまう。
【0110】
そこで、エンジン制御装置46において、前記ロータ21に伝達されるエンジントルクTEを推定又は算出し、前記発電機ブレーキ制御処理手段の発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段93(図1)は、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行い、前記エンジントルクTEに相当する発電機トルクTGを算出し、該発電機トルクTGをエンジントルクTEと逆方向に発生させた後、発電機ブレーキBを解放するようにしている。
【0111】
ところが、エンジントルクTEの推定又は算出、及び発電機トルクTGの算出は、エンジン11及び発電機16を通常の使用環境で駆動することを前提に行われるので、エンジン11及び発電機16が特殊な使用環境、例えば、低温時に駆動される場合には、推定又は算出されるエンジントルクTEが実際にエンジン11によって発生させられるエンジントルクTEより大きくなる傾向があるとともに、算出される発電機トルクTGが実際に発電機16によって発生させられる発電機トルクTGより小さくなる傾向があり、エンジントルクTEと発電機トルクTGとのトルク差が大きくなってしまう。
【0112】
したがって、発電機回転速度NGの絶対値が所定の回転速度より小さい場合に発電機ブレーキBを係合させると、発電機ブレーキBを解放する際に前記トルク差が大きくなる分だけショックが発生してしまう。
【0113】
図20において、L1は高温時のエンジントルクTEを示す線、L2は低温時のエンジントルクTEを示す線である。
【0114】
したがって、低温時に、実際のエンジントルクTEが小さくなり、例えば、線L2上の値を採ると、エンジン制御装置46において推定又は算出されるエンジントルクTEは、実際にエンジン11によって発生させられるエンジントルクTEより大きくなってしまう。
【0115】
また、図21において、L3は高温時の発電機トルクTGを示す線、L4は低温時の発電機トルクTGを示す線である。
【0116】
したがって、低温時に、実際の発電機トルクTGが大きくなり、例えば、ラインL4上の値を採ると、エンジン制御装置46において推定又は算出される発電機トルクTGは、実際に発電機16によって発生させられる発電機トルクTGより小さくなってしまう。
【0117】
そこで、エンジン11及び発電機16が低温時に駆動される場合、前記発電機ブレーキ制御処理手段の発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理手段95は、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理を行い、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を禁止するようにしている。そのために、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理手段95は、エンジン11の温度tmE、及び発電機16のコイル23の温度tmGを読み込み、温度tmEについて第1の判定条件が成立したかどうか、及び温度tmGについて第2の判定条件が成立したかどうかを判断する。この場合、温度tmEがエンジン11の温度特性に基づいて設定された第1の判定基準温度tmEth、例えば、30〔℃〕より低い場合、前記第1の判定条件が成立し、温度tmEが30〔℃〕以上である場合、前記第1の判定条件は成立せず、また、温度tmGが発電機16の温度特性に基づいて設定された第2の判定基準温度tmGth、例えば、20〔℃〕より低い場合、前記第2の判定条件が成立し、温度tmGが20〔℃〕以上である場合、前記第2の判定条件は成立しない。
【0118】
すなわち、前記第1、第2の判定条件のいずれも成立しない場合、前記発電機・発電機ブレーキ制御処理手段93は、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行い、前記第1、第2の判定条件の少なくともいずれか一方が成立する場合、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理手段95は、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理を行い、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を禁止する。
【0119】
次に、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理について説明する。
【0120】
まず、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段93は、発電機目標回転速度NG* を読み込み、タイミングt1で前記発電機目標回転速度NG* の絶対値が所定の第1の回転速度Nth1(例えば、500〔rpm〕)より小さいかどうかを判断する。発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の回転速度Nth1より小さくなると、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段93は、発電機ブレーキBが解放されているかどうかを判断し、発電機ブレーキBが解放されている場合、発電機ブレーキ要求をオフからオンにして、発電機目標回転速度NG* に0〔rpm〕をセットする。
【0121】
そして、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段93の発電機回転速度制御処理手段は、ステップS14−6の発電機回転速度制御処理と同様の発電機回転速度制御処理を行う。
【0122】
次に、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段93は、タイミングt2で発電機回転速度NGの絶対値が所定の第2の回転速度Nth2(例えば、100〔rpm〕)より小さいかどうかを判断し、発電機回転速度NGの絶対値が第2の回転速度Nth2より小さい場合、発電機ブレーキBをオフからオンにして係合させる。そして、発電機ブレーキBが係合させられた状態で所定時間が経過すると、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段93は、発電機16に対するスイッチングを停止させ、発電機16のシャットダウンを行う。
【0123】
一方、タイミングt1で発電機目標回転速度NG* の絶対値が前記第1の回転速度Nth1以上である場合、又は、タイミングt3で発電機目標回転速度NG* の絶対値が前記第1の回転速度Nth1以上である場合、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段93は、発電機ブレーキBが係合させられているかどうかを判断し、発電機ブレーキBが係合させられていない場合、前記発電機回転速度制御処理手段は、ステップS14−6の発電機回転速度制御処理と同様の発電機回転速度制御処理を行う。
【0124】
また、発電機ブレーキBが係合させられている場合、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段93は、前記エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。そして、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段93の発電機トルク制御処理手段は、発電機トルク制御処理を行う。
【0125】
続いて、発電機トルク制御処理が行われた後、所定時間が経過すると、前記発電機回転速度制御処理手段は、ステップS14−6の発電機回転速度制御処理と同様の発電機回転速度制御処理を行う。そして、タイミングt4で前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段93は、発電機ブレーキBをオンからオフにして解放する。
【0126】
このように、エンジン11及び発電機16が特殊な使用環境、例えば、低温時に駆動される場合には、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理が禁止されるので、発電機回転速度NGが低い場合でも、発電機ブレーキBが係合させられることがない。
【0127】
したがって、モータ・エンジン駆動モードで走行させているときに発電機ブレーキBが解放されることがなくなるので、ショックが発生するのを防止することができる。
【0128】
次に、図19のフローチャートについて説明する。
ステップS18−1 エンジン11の温度tmEが30〔℃〕より低いかどうかを判断する。温度tmEが30〔℃〕より低い場合はステップS18−4に、温度tmEが30〔℃〕以上である場合はステップS18−2に進む。
ステップS18−2 発電機16の温度tmGが20〔℃〕より低いかどうかを判断する。温度tmGが20〔℃〕より低い場合はステップS18−4に、温度tmGが20〔℃〕以上である場合はステップS18−3に進む。
ステップS18−3 発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行い、リターンする。
ステップS18−4 発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理を行い、リターンする。
【0129】
次に、図20のフローチャートについて説明する。
ステップS18−3−1 発電機目標回転速度NG* を読み込む。
ステップS18−3−2 発電機目標回転速度NG* の絶対値が所定の第1の回転速度Nth1より小さいかどうかを判断する。発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の回転速度Nth1より小さい場合はステップS18−3−3に、発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の回転速度Nth1以上である場合はステップS18−3−4に進む。
ステップS18−3−3 発電機ブレーキBが解放されているかどうかを判断する。発電機ブレーキBが解放されている場合はステップS18−3−5に進み、解放されていない場合はリターンする。
ステップS18−3−4 発電機ブレーキBが係合させられているかどうかを判断する。発電機ブレーキBが係合させられている場合はステップS18−3−12に、係合させられていない場合はステップS18−3−11に進む。
ステップS18−3−5 発電機目標回転速度NG* に0〔rpm〕をセットする。
ステップS18−3−6 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS18−3−7 発電機回転速度NGの絶対値が所定の第2の回転速度Nth2より小さいかどうかを判断する。発電機回転速度NGの絶対値が第2の回転速度Nth2より小さい場合はステップS18−3−8に進み、発電機回転速度NGの絶対値が第2の回転速度Nth2以上である場合はステップS18−3−6に戻る。
ステップS18−3−8 発電機ブレーキBを係合させる。
ステップS18−3−9 所定時間が経過したかどうかを判断する。所定時間が経過した場合はステップS18−3−10に進み、経過していない場合はステップS18−3−8に戻る。
ステップS18−3−10 発電機16に対するスイッチングを停止させ、リターンする。
ステップS18−3−11 発電機回転速度制御処理を行い、リターンする。
ステップS18−3−12 エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。
ステップS18−3−13 発電機トルク制御処理を行う。
ステップS18−3−14 所定時間が経過したかどうかを判断する。所定時間が経過した場合はステップS18−3−15に進み、経過していない場合はステップS18−3−12に戻る。
ステップS18−3−15 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS18−3−16 発電機ブレーキBを解放し、リターンする。
【0130】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0131】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ハイブリッド型車両駆動装置においては、エンジンを備えたエンジン駆動部と、前記エンジンと差動回転自在に、かつ、機械的に連結された発電機を備えた発電機駆動部と、前記発電機の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキと、所定の条件に応じて前記発電機ブレーキを係脱させ、かつ、発電機ブレーキの解放時に、エンジントルクに相当する発電機トルクを発生させる一連の制御から成る発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行う発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段と、前記エンジン駆動部及び発電機駆動部のうちの少なくとも一方の温度を検出する駆動部温度検出手段と、検出された温度が判定基準温度より低い場合に、前記一連の制御から成る発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を禁止する発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理手段とを有する。
【0132】
この場合、検出された温度が判定基準温度より低い場合に、前記一連の制御から成る発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理が禁止されるので、発電機回転速度が低い場合でも、発電機ブレーキが係合させられることがない。
【0133】
したがって、モータ・エンジン駆動モードで走行させているときに発電機ブレーキが解放されることがなくなるので、ショックが発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるハイブリッド型車両駆動装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるハイブリッド型車両の概念図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるプラネタリギヤユニットの動作説明図である。
【図4】本発明の実施の形態における通常走行時の車速線図である。
【図5】本発明の実施の形態における通常走行時のトルク線図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるハイブリッド型車両の制御装置を示す概念図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示す第1のメインフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示す第2のメインフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態における第1の車両要求トルクマップを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における第2の車両要求トルクマップを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるエンジン目標運転状態マップを示す図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるエンジン駆動領域マップを示す図である。
【図13】本発明の実施の形態における急加速制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図14】本発明の実施の形態における駆動モータ制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図15】本発明の実施の形態における発電機トルク制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図16】本発明の実施の形態におけるエンジン始動制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図17】本発明の実施の形態における発電機回転速度制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図18】本発明の実施の形態におけるエンジン停止制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図19】本発明の実施の形態における発電機ブレーキ制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図20】エンジントルク特性を示す図である。
【図21】発電機トルク特性を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態における発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図23】本発明の実施の形態における発電機ブレーキ制御処理の動作を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
11 エンジン
13 プラネタリギヤユニット
16 発電機
25 駆動モータ
90 エンジン駆動部
91 発電機駆動部
93 発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段
94 駆動部温度検出手段
95 発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理手段
B 発電機ブレーキ
CR キャリヤ
R リングギヤ
S サンギヤ
Claims (6)
- エンジンを備えたエンジン駆動部と、前記エンジンと差動回転自在に、かつ、機械的に連結された発電機を備えた発電機駆動部と、前記発電機の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキと、所定の条件に応じて前記発電機ブレーキを係脱させ、かつ、発電機ブレーキの解放時に、エンジントルクに相当する発電機トルクを発生させる一連の制御から成る発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行う発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段と、前記エンジン駆動部及び発電機駆動部のうちの少なくとも一方の温度を検出する駆動部温度検出手段と、検出された温度が判定基準温度より低い場合に、前記一連の制御から成る発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を禁止する発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理手段とを有することを特徴とするハイブリッド型車両駆動装置。
- 前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理手段は、前記エンジン駆動部の温度が第1の判定基準温度より低い場合に、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を禁止する請求項1に記載のハイブリッド型車両駆動装置。
- 前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御禁止処理手段は、前記発電機駆動部の温度が第2の判定基準温度より低い場合に、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を禁止する請求項1又は2に記載のハイブリッド型車両駆動装置。
- 少なくとも第1〜第3の歯車要素を備えるとともに、第1の歯車要素が前記発電機に、第3の歯車要素が前記エンジンに連結されるプラネタリギヤユニットを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド型車両駆動装置。
- 前記エンジン及び発電機と機械的に連結された駆動モータを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド型車両駆動装置。
- エンジンを備えたエンジン駆動部、前記エンジンと差動回転自在に、かつ、機械的に連結された発電機を備えた発電機駆動部、及び前記発電機の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキを有するハイブリッド型車両駆動装置の制御方法において、所定の条件に応じて前記発電機ブレーキを係脱させ、かつ、発電機ブレーキの解放時に、エンジントルクに相当する発電機トルクを発生させる一連の制御から成る発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行い、前記エンジン駆動部及び発電機駆動部のうちの少なくとも一方の温度を検出し、検出された温度が判定基準温度より低い場合に、前記一連の制御から成る発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を禁止することを特徴とするハイブリッド型車両駆動装置の制御方法。
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