JP4123728B2 - ハイブリッド型車両及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド型車両及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンのトルク、すなわち、エンジントルクの一部を発電機(発電機モータ)に、残りを駆動輪に伝達するようにしたハイブリッド型車両においては、サンギヤ、リングギヤ及びキャリヤを備えたプラネタリギヤユニットを有し、前記キャリヤとエンジンとを連結し、リングギヤと駆動輪とを連結し、サンギヤと発電機とを連結し、前記リングギヤ及び駆動モータから出力された回転を駆動輪に伝達して駆動力を発生させるようにしている。
【0003】
この種のハイブリッド型車両においては、回転速度が低い領域において、駆動モータのトルク、すなわち、駆動モータトルクはエンジントルクより大きいので、発進時には、駆動モータだけが駆動され、エンジンの駆動が停止させられ、ハイブリッド型車両はモータ駆動モードで走行させられる。これに伴って、発電機は振り回される。そして、発進後、車速がエンジンを始動するのに適したエンジン始動車速に到達すると、発電機を駆動することによって、エンジンの回転速度、すなわち、エンジン回転速度を点火に適した回転速度まで高くしてエンジンを始動し、その後、駆動モータ及びエンジンが駆動されて、ハイブリッド型車両はモータ・エンジン駆動モードで走行させられる。その後、発電機のトルク、すなわち、発電機トルクが制御され、エンジントルクを支えるのに必要な反力が発生させられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のハイブリッド型車両においては、前記発電機を備えた発電駆動部の温度、例えば、発電機のコイル、インバータ、オイル等の温度が高くなると、発電駆動部を保護するために、発電機トルクを小さくする必要があるが、発電機トルクを小さくすると、発電機トルクによってエンジントルクを支えることができなくなり、発電機が振り回され、過度に回転してしまう。
【0005】
本発明は、前記従来のハイブリッド型車両の問題点を解決して、発電機が振り回されることがなく、過度に回転することがないハイブリッド型車両及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明のハイブリッド型車両においては、エンジンと機械的に連結された発電機を備えた発電駆動部と、少なくとも三つの歯車要素を備え、そのうちの一つの歯車要素が前記発電機に、他の一つの歯車要素が前記エンジンに連結されるプラネタリギヤユニットと、前記発電機の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキと、前記発電駆動部の温度を検出する発電駆動部温度検出手段と、前記温度が設定温度より高いかどうかを判断する温度判定処理手段と、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機ブレーキを係合させ、かつ、発電機のシャットダウンを行う保護処理手段と、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高いかどうかを判断するエンジン回転速度判定処理手段とを有する。
そして、前記保護処理手段は、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高い場合に、発電機ブレーキを係合させ、かつ、発電機のシャットダウンを行う。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の機能ブロック図である。
【0015】
図において、91は、エンジン11と機械的に連結された発電機16を備えた発電駆動部、Bは前記発電機16の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキ、64は前記発電駆動部91の温度を検出する発電駆動部温度検出手段としての発電機温度センサ、93は前記温度が設定温度より高いかどうかを判断する温度判定処理手段、95は前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機ブレーキBを係合させ、かつ、発電機16のシャットダウンを行う保護処理手段である。
【0016】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の概念図である。
【0017】
図において、11は第1の軸線上に配設されたエンジン(E/G)、12は前記第1の軸線上に配設され、前記エンジン11を駆動することによって発生させられた回転を出力する出力軸、13は前記第1の軸線上に配設され、前記出力軸12を介して入力された回転に対して変速を行う差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニット、14は前記第1の軸線上に配設され、前記プラネタリギヤユニット13における変速後の回転が出力される出力軸、15は該出力軸14に固定された出力ギヤとしての第1のカウンタドライブギヤ、16は前記第1の軸線上に配設され、伝達軸17を介して前記プラネタリギヤユニット13と連結され、更にエンジン11と機械的に連結された第1の電動機としての発電機(G)である。
【0018】
前記出力軸14はスリーブ形状を有し、前記出力軸12を包囲して配設される。また、前記第1のカウンタドライブギヤ15はプラネタリギヤユニット13よりエンジン11側に配設される。
【0019】
そして、前記プラネタリギヤユニット13は、少なくとも、第1の歯車要素としてのサンギヤS、該サンギヤSと噛(し)合するピニオンP、該ピニオンPと噛合する第2の歯車要素としてのリングギヤR、及び前記ピニオンPを回転自在に支持する第3の歯車要素としてのキャリヤCRを備え、前記サンギヤSは前記伝達軸17を介して発電機16と、リングギヤRは出力軸14及び所定のギヤ列を介して、前記第1の軸線と平行な第2の軸線上に配設され、前記発電機16と互いに機械的に連結された第2の電動機としての駆動モータ(M)25及び駆動輪37と、キャリヤCRは出力軸12を介してエンジン11と連結される。また、前記キャリヤCRと駆動装置のケース10との間にワンウェイクラッチFが配設され、該ワンウェイクラッチFは、エンジン11から正方向の回転がキャリヤCRに伝達されたときにフリーになり、発電機16又は駆動モータ25から逆方向の回転がキャリヤCRに伝達されたときにロックされ、逆方向の回転がエンジン11に伝達されないようにする。
【0020】
さらに、前記発電機16は、前記伝達軸17に固定され、回転自在に配設されたロータ21、該ロータ21の周囲に配設されたステータ22、及び該ステータ22に巻装されたコイル23から成る。前記発電機16は、伝達軸17を介して伝達される回転によって電力を発生させる。前記コイル23は、図示されないバッテリに接続され、該バッテリに直流の電流を供給する。前記ロータ21と前記ケース10との間に発電機ブレーキBが配設され、該発電機ブレーキBを係合させることによってロータ21を固定し、発電機16の回転を停止させることができる。
【0021】
また、26は前記第2の軸線上に配設され、前記駆動モータ25の回転が出力される出力軸、27は該出力軸26に固定された出力ギヤとしての第2のカウンタドライブギヤである。前記駆動モータ25は、前記出力軸26に固定され、回転自在に配設されたロータ40、該ロータ40の周囲に配設されたステータ41、及び該ステータ41に巻装されたコイル42から成る。
【0022】
前記駆動モータ25は、コイル42に供給される電流によって駆動モータトルクを発生させる。そのために、前記コイル42は前記バッテリに接続され、該バッテリからの直流の電流が交流の電流に変換されて供給されるようになっている。
【0023】
そして、該駆動輪37をエンジン11の回転と同じ方向に回転させるために、前記第1、第2の軸線と平行な第3の軸線上にカウンタシャフト30が配設され、該カウンタシャフト30に、第1のカウンタドリブンギヤ31、及び該第1のカウンタドリブンギヤ31より歯数が多い第2のカウンタドリブンギヤ32が固定される。また、前記第1のカウンタドリブンギヤ31と前記第1のカウンタドライブギヤ15とが、また、前記第2のカウンタドリブンギヤ32と前記第2のカウンタドライブギヤ27とが噛合させられ、前記第1のカウンタドライブギヤ15の回転が反転されて第1のカウンタドリブンギヤ31に、前記第2のカウンタドライブギヤ27の回転が反転されて第2のカウンタドリブンギヤ32に伝達されるようになっている。
【0024】
さらに、前記カウンタシャフト30には前記第1のカウンタドリブンギヤ31より歯数が少ないデフピニオンギヤ33が固定される。
【0025】
そして、前記第1〜第3の軸線と平行な第4の軸線上にディファレンシャル装置36が配設され、該ディファレンシャル装置36のデフリングギヤ35と前記デフピニオンギヤ33とが噛合させられる。したがって、デフリングギヤ35に伝達された回転が前記ディファレンシャル装置36によって分配され、駆動輪37に伝達される。このように、エンジン11によって発生させられた回転を第1のカウンタドリブンギヤ31に伝達することができるだけでなく、駆動モータ25によって発生させられた回転を第2のカウンタドリブンギヤ32に伝達することができるので、エンジン11及び駆動モータ25を駆動することによってハイブリッド型車両を走行させることができる。
【0026】
なお、38はロータ21の位置、すなわち、発電機ロータ位置θGを検出するレゾルバ等の発電機ロータ位置センサ、39はロータ40の位置、すなわち、駆動モータロータ位置θMを検出するレゾルバ等の駆動モータロータ位置センサである。
【0027】
前記発電機ロータ位置θGの変化率ΔθGを算出することによって発電機16の回転速度、すなわち、発電機回転速度NGを検出し、前記駆動モータロータ位置θMの変化率ΔθMを算出することによって駆動モータ25の回転速度、すなわち、駆動モータ回転速度NMを検出することができる。また、前記変化率ΔθM、及び前記出力軸26から駆動輪37までのトルク伝達系におけるギヤ比γVに基づいて車速Vを算出することができる。なお、発電機ロータ位置θGは発電機回転速度NGに対応し、駆動モータロータ位置θMは駆動モータ回転速度NMに対応するので、発電機ロータ位置センサ38を、発電機回転速度NGを検出する発電機回転速度検出手段として、駆動モータロータ位置センサ39を、駆動モータ回転速度NMを検出する駆動モータ回転速度検出手段及び車速Vを検出する車速検出手段として機能させることもできる。
【0028】
次に、前記プラネタリギヤユニット13の動作について説明する。
【0029】
図3は本発明の第1の実施の形態におけるプラネタリギヤユニットの動作説明図、図4は本発明の第1の実施の形態における通常走行時の車速線図、図5は本発明の第1の実施の形態における通常走行時のトルク線図である。
【0030】
図2及び3に示されるように、プラネタリギヤユニット13においては、キャリヤCRがエンジン11と、サンギヤSが発電機16と、リングギヤRが出力軸14を介して前記駆動モータ25及び駆動輪37とそれぞれ連結されるので、リングギヤRの回転速度、すなわち、リングギヤ回転速度NRと、出力軸14に出力される回転速度、すなわち、出力軸回転速度とが等しく、キャリヤCRの回転速度とエンジン回転速度NEとが等しく、サンギヤSの回転速度と発電機回転速度NGとが等しくなる。そして、リングギヤRの歯数がサンギヤSの歯数のρ倍(本実施の形態においては2倍)にされると、
(ρ+1)・NE=1・NG+ρ・NR
の関係が成立する。したがって、リングギヤ回転速度NR及び発電機回転速度NGに基づいてエンジン回転速度NE
NE=(1・NG+ρ・NR)/(ρ+1) ……(1)
を算出することができる。なお、前記式(1)によって、プラネタリギヤユニット13の回転速度関係式が構成される。
【0031】
また、エンジントルクTE、リングギヤRに発生させられるトルク、すなわち、リングギヤトルクTR、及び発電機トルクTGは、
TE:TR:TG=(ρ+1):ρ:1 ……(2)
の関係になり、互いに反力を受け合う。なお、前記式(2)によって、プラネタリギヤユニット13のトルク関係式が構成される。
【0032】
そして、ハイブリッド型車両の通常走行時において、リングギヤR、キャリヤCR及びサンギヤSはいずれも正方向に回転させられ、図4に示されるように、リングギヤ回転速度NR、エンジン回転速度NE及び発電機回転速度NGは、いずれも正の値を採る。また、前記リングギヤトルクTR及び発電機トルクTGは、プラネタリギヤユニット13の歯数によって決定されるトルク比でエンジントルクTEを按(あん)分することによって得られるので、図5に示されるトルク線図上において、リングギヤトルクTRと発電機トルクTGとを加えたものがエンジントルクTEになる。
【0033】
次に、前記構成のハイブリッド型車両の制御装置について説明する。
【0034】
図6は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の制御装置を示す概念図である。
【0035】
図において、10はケース、11はエンジン、13はプラネタリギヤユニット、16は発電機、Bは該発電機16のロータ21を固定するための発電機ブレーキ、25は駆動モータ、28は発電機16を駆動するためのインバータ、29は駆動モータ25を駆動するためのインバータ、37は駆動輪、38は発電機ロータ位置センサ、39は駆動モータロータ位置センサ、43はバッテリである。前記インバータ28、29は電源スイッチSWを介してバッテリ43に接続され、該バッテリ43は前記電源スイッチSWがオンのときに直流の電流を前記インバータ28、29に送る。なお、前記バッテリ43の正の極性の端子と負の極性の端子との間に平滑用のコンデンサCが接続される。また、前記発電機16、インバータ28及び図示されない冷却系によって発電駆動部91(図1)が構成される。
【0036】
また、51は図示されないCPU、記録装置等から成り、ハイブリッド型車両の全体の制御を行う車両制御装置であり、該車両制御装置51は、エンジン制御手段としてのエンジン制御装置46、発電機制御手段としての発電機制御装置47、及び駆動モータ制御手段としての駆動モータ制御装置49を備える。そして、前記エンジン制御装置46は、図示されないCPU、記録装置等から成り、エンジン11の制御を行うために、スロットル開度θ、バルブタイミング等の指示信号をエンジン11に送る。また、前記発電機制御装置47は、図示されないCPU、記録装置等から成り、前記発電機16の制御を行うために、インバータ28に駆動信号SG1を送る。そして、駆動モータ制御装置49は前記駆動モータ25の制御を行うために、インバータ29に駆動信号SG2を送る。
【0037】
前記インバータ28は、駆動信号SG1に基づいて駆動され、力行(駆動)時にバッテリ43から直流の電流を受けて、U相、V相及びW相の電流IGU、IGV、IGWを発生させ、各電流IGU、IGV、IGWを発電機16に送り、回生(発電)時に発電機16からU相、V相及びW相の電流IGU、IGV、IGWを受けて、直流の電流を発生させ、バッテリ43に送る。
【0038】
また、前記インバータ29は、駆動信号SG2に基づいて駆動され、力行時にバッテリ43から直流の電流を受けて、U相、V相及びW相の電流IMU、IMV、IMWを発生させ、各電流IMU、IMV、IMWを駆動モータ25に送り、回生時に駆動モータ25からU相、V相及びW相の電流IMU、IMV、IMWを受けて、直流の電流を発生させ、バッテリ43に送る。
【0039】
また、44は前記バッテリ43の状態、すなわち、バッテリ状態としてのバッテリ残量SOCを検出するバッテリ残量検出装置、52はエンジン回転速度NEを検出するエンジン回転速度センサ、53は図示されない選速操作手段としてのシフトレバーの位置、すなわち、シフトポジションSPを検出するシフトポジションセンサ、54はアクセルペダル、55は該アクセルペダル54の位置(踏込量)、すなわち、アクセルペダル位置APを検出するアクセル操作検出手段としてのアクセルスイッチ、61はブレーキペダル、62は該ブレーキペダル61の位置(踏込量)、すなわち、ブレーキペダル位置BPを検出するブレーキ操作検出手段としてのブレーキスイッチ、63はエンジン11の温度tmEを検出するエンジン温度センサ、64は発電機16の温度、例えば、コイル23(図2)の温度を検出する発電駆動部温度検出手段としての発電機温度センサ、65は駆動モータ25の温度、例えば、コイル42の温度を検出する駆動モータ温度センサである。なお、発電駆動部温度検出手段として、インバータ28の温度を検出するインバータ温度センサ、冷却系の油の温度を検出する油温センサ等を使用することもできる。
【0040】
そして、66〜69はそれぞれ電流IGU、IGV、IMU、IMVを検出する電流センサ、72は前記バッテリ状態としてのバッテリ電圧VBを検出するバッテリ電圧センサである。また、バッテリ状態として、バッテリ電流、バッテリ温度等を検出することもできる。なお、バッテリ残量検出装置44、バッテリ電圧センサ72、図示されないバッテリ電流センサ、図示されないバッテリ温度センサ等によってバッテリ状態検出手段が構成される。
【0041】
前記車両制御装置51は、前記エンジン制御装置46にエンジン制御信号を送ってエンジン11の駆動・停止を設定したり、発電機ロータ位置θGを読み込んで発電機回転速度NGを算出したり、駆動モータロータ位置θMを読み込んで駆動モータ回転速度NMを算出したり、前記回転速度関係式によってエンジン回転速度NEを算出したり、エンジン制御装置46にエンジン回転速度NEの目標値、すなわち、エンジン目標回転速度NE* を設定したり、前記発電機制御装置47に発電機回転速度NGの目標値、すなわち、発電機目標回転速度NG* 、及び発電機トルクTGの目標値、すなわち、発電機目標トルクTG* を設定したり、前記駆動モータ制御装置49に駆動モータトルクTMの目標値、すなわち、駆動モータ目標トルクTM* 及び駆動モータトルク補正値δTMを設定したりする。
【0042】
そのために、前記車両制御装置51の図示されない発電機回転速度算出処理手段は、前記発電機ロータ位置θGを読み込んで発電機回転速度NGを算出し、前記車両制御装置51の図示されない駆動モータ回転速度算出処理手段は、前記駆動モータロータ位置θMを読み込んで駆動モータ回転速度NMを算出し、前記車両制御装置51の図示されないエンジン回転速度算出処理手段は、前記回転速度関係式によってエンジン回転速度NEを算出する。なお、前記発電機回転速度算出処理手段、前記駆動モータ回転速度算出処理手段及び前記エンジン回転速度算出処理手段は、それぞれ、発電機回転速度NG、駆動モータ回転速度NM及びエンジン回転速度NEを検出する発電機回転速度検出手段、駆動モータ回転速度検出手段及びエンジン回転速度検出手段として機能する。
【0043】
本実施の形態においては、前記車両制御装置51によってエンジン回転速度NEが算出されるようになっているが、エンジン回転速度センサ52からエンジン回転速度NEを読み込むこともできる。また、本実施の形態において、車速Vは、駆動モータロータ位置θMに基づいて算出されるようになっているが、リングギヤ回転速度NRを検出し、該リングギヤ回転速度NRに基づいて車速Vを算出したり、駆動輪37の回転速度、すなわち、駆動輪回転速度に基づいて車速Vを算出したりすることもできる。その場合、車速検出手段として、リングギヤ回転速度センサ、駆動輪回転速度センサ等が配設される。
【0044】
次に、前記構成のハイブリッド型車両の動作について説明する。
【0045】
図7は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示す第1のメインフローチャート、図8は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示す第2のメインフローチャート、図9は本発明の第1の実施の形態における第1の車両要求トルクマップを示す図、図10は本発明の第1の実施の形態における第2の車両要求トルクマップを示す図、図11は本発明の第1の実施の形態におけるエンジン目標運転状態マップを示す図、図12は本発明の第1の実施の形態におけるエンジン駆動領域マップを示す図である。なお、図9、10及び12において、横軸に車速Vを、縦軸に車両要求トルクTO* を、図11において、横軸にエンジン回転速度NEを、縦軸にエンジントルクTEを採ってある。
【0046】
まず、車両制御装置51(図6)の図示されない車両要求トルク決定処理手段は、車両要求トルク決定処理を行い、アクセルスイッチ55からアクセルペダル位置APを、ブレーキスイッチ62からブレーキペダル位置BPを読み込むとともに、駆動モータロータ位置センサ39から駆動モータロータ位置θMを読み込んで、車速Vを算出し、アクセルペダル54が踏み込まれた場合、前記車両制御装置51の図示されない記録装置に記録された図9の第1の車両要求トルクマップを参照し、ブレーキペダル61が踏み込まれた場合、前記記録装置に記録された図10の第2の車両要求トルクマップを参照して、アクセルペダル位置AP、ブレーキペダル位置BP及び車速Vに対応させてあらかじめ設定された、ハイブリッド型車両を走行させるのに必要な車両要求トルクTO* を決定する。
【0047】
続いて、前記車両制御装置51は、車両要求トルクTO* があらかじめ駆動モータ25の定格として設定されている駆動モータ最大トルクTMmaxより大きいかどうかを判断する。車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きい場合、前記車両制御装置51はエンジン11が停止中であるかどうかを判断し、エンジン11が停止中である場合、車両制御装置51の図示されない急加速制御処理手段は、急加速制御処理を行い、駆動モータ25及び発電機16を駆動してハイブリッド型車両を走行させる。
【0048】
また、車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmax以下である場合、及び車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きく、かつ、エンジン11が駆動中である場合、前記車両制御装置51の図示されない運転者要求出力算出処理手段は、前記車両要求トルクTO* と車速Vとを乗算することによって、運転者要求出力PD
PD=TO* ・V
を算出する。
【0049】
次に、前記車両制御装置51の図示されないバッテリ充放電要求出力算出処理手段は、前記バッテリ残量検出装置44からバッテリ残量SOCを読み込み、該バッテリ残量SOCに基づいてバッテリ充放電要求出力PBを算出する。
【0050】
続いて、前記車両制御装置51の図示されない車両要求出力算出処理手段は、前記運転者要求出力PDとバッテリ充放電要求出力PBとを加算することによって、車両要求出力PO
PO=PD+PB
を算出する。
【0051】
続いて、前記車両制御装置51の図示されないエンジン目標運転状態設定処理手段は、エンジン目標運転状態設定処理を行い、前記記録装置に記録された図11のエンジン目標運転状態マップを参照し、前記車両要求出力POを表す線P01〜P03と、各アクセルペダル位置AP1〜AP6におけるエンジン11の効率が最も高くなる最適燃費曲線とが交差するポイントA1〜A3、Amを、エンジン目標運転状態であるエンジン11の運転ポイントとして決定し、該運転ポイントにおけるエンジントルクTE1〜TE3、TEmをエンジン目標トルクTE* として決定し、前記運転ポイントにおけるエンジン回転速度NE1〜NE3、NEmをエンジン目標回転速度NE* として決定する。
【0052】
そして、前記車両制御装置51は、前記記録装置に記録された図12のエンジン駆動領域マップを参照して、エンジン11が駆動領域に置かれているかどうかを判断する。図12において、AR1はエンジン11が駆動される駆動領域、AR2はエンジン11が駆動を停止させられる停止領域、AR3はヒステリシス領域である。また、LE1は駆動を停止させられているエンジン11が駆動されるライン、LE2は駆動されているエンジン11が駆動を停止させられるラインである。なお、前記ラインLE1は、バッテリ残量SOCが大きいほど図12の右方に移動させられ、駆動領域AR1が狭くされ、バッテリ残量SOCが小さいほど図12の左方に移動させられ、駆動領域AR1が広くされる。
【0053】
そして、エンジン11が駆動領域AR1に置かれているにもかかわらず、エンジン11が駆動されていない場合、車両制御装置51の図示されないエンジン始動制御処理手段は、エンジン始動制御処理を行い、エンジン11を始動する。また、エンジン11が駆動領域AR1に置かれていないにもかかわらず、エンジン11が駆動されている場合、車両制御装置51の図示されないエンジン停止制御処理手段は、エンジン停止制御処理を行い、エンジン11の駆動を停止させる。
【0054】
また、エンジン11が駆動領域AR1に置かれていて、しかも、エンジン11が駆動されている場合、前記車両制御装置51の図示されないエンジン制御処理手段は、エンジン制御処理を行い、周知の方法でエンジン11の制御を行う。
【0055】
続いて、車両制御装置51は、駆動モータロータ位置θMを読み込み、該駆動モータロータ位置θM、及び出力軸26(図2)からリングギヤRまでのギヤ比γRに基づいてリングギヤ回転速度NRを算出するとともに、エンジン目標運転状態設定処理において決定されたエンジン目標回転速度NE* を読み込み、リングギヤ回転速度NR及びエンジン目標回転速度NE* に基づいて、前記回転速度関係式によって、発電機目標回転速度NG* を算出し、決定する。
【0056】
続いて、車両制御装置51の図示されない発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行い、発電機ブレーキBのオン・オフ(係合・解放)制御を行うとともに、発電機回転速度制御処理を行うことによって発電機16の回転速度制御を行うか、又は発電機トルク制御処理を行うことによって発電機16のトルク制御を行う。
【0057】
ところで、前述されたように、エンジントルクTE、リングギヤトルクTR及び発電機トルクTGは互いに反力を受け合うので、発電機トルクTGがリングギヤトルクTRに変換されてリングギヤRから出力される。そして、リングギヤトルクTRがリングギヤRから出力されるのに伴って、発電機回転速度NGが変動し、前記リングギヤトルクTRが変動すると、変動したリングギヤトルクTRが駆動輪37に伝達され、ハイブリッド型車両の走行フィーリングが低下してしまう。そこで、発電機回転速度NGの変動に伴う発電機16のイナーシャ分のトルクを見込んでリングギヤトルクTRを算出するようにしている。
【0058】
そのために、前記車両制御装置51の図示されないリングギヤトルク算出処理手段は、リングギヤトルク算出処理を行い、前記発電機回転速度制御処理において決定された発電機目標トルクTG* を読み込み、該発電機目標トルクTG* 、及びサンギヤSの歯数に対するリングギヤRの歯数の比に基づいてリングギヤトルクTRを算出する。
【0059】
すなわち、発電機16のイナーシャをInGとし、発電機16の角加速度(回転変化率)をαGとしたとき、サンギヤSに加わるサンギヤトルクTSは、
TS=TG* +InG・αG
になる。
【0060】
そして、リングギヤRの歯数がサンギヤSの歯数のρ倍であるとすると、リングギヤトルクTRは、サンギヤトルクTSのρ倍であるので、
TR=ρ・TS
=ρ・(TG* +InG・αG)
になる。このように、発電機目標トルクTG* からリングギヤトルクTRを算出することができる。
【0061】
続いて、車両制御装置51は、前記リングギヤトルクTR、及びリングギヤRの歯数に対する第2のカウンタドライブギヤ27の歯数の比に基づいて、エンジントルクTEによってプラネタリギヤユニット13を介して出力軸26に発生させられるトルク、すなわち、駆動軸トルクTR/OUTを推定する。なお、発電機ブレーキBが係合させられる際には、リングギヤトルクTRはエンジントルクTEと比例関係になり、前記リングギヤトルクTR、及びリングギヤRの歯数に対する第2のカウンタドライブギヤ27の歯数の比に基づいて前記駆動軸トルクTR/OUTが推定される。
【0062】
続いて、前記車両制御装置51の図示されない駆動モータ目標トルク決定処理手段は、駆動モータ目標トルク決定処理を行い、前記車両要求トルクTO* から、前記駆動軸トルクTR/OUTを減算することによって、駆動軸トルクTR/OUTでは加不足する分を駆動モータ目標トルクTM* として決定する。
【0063】
そして、前記車両制御装置51の図示されない発電駆動部保護処理手段は、発電駆動部保護処理を行い、前記発電駆動部91(図1)を保護する。続いて、前記駆動モータ制御装置49の図示されない駆動モータ制御処理手段は、駆動モータ制御処理を行い、駆動モータ25の制御を行う。
【0064】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 アクセルペダル位置AP及びブレーキパダル位置BPを読み込む。
ステップS2 車速Vを算出する。
ステップS3 車両要求トルクTO* を決定する。
ステップS4 車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きいかどうかを判断する。車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmaxより大きい場合はステップS5に、車両要求トルクTO* が駆動モータ最大トルクTMmax以下である場合はステップS7に進む。
ステップS5 エンジン11が停止中であるかどうかを判断する。エンジン11が停止中である場合はステップS6に、停止中でない場合はステップS7に進む。
ステップS6 急加速制御処理を行い、処理を終了する。
ステップS7 運転者要求出力PDを算出する。
ステップS8 バッテリ充放電要求出力PBを算出する。
ステップS9 車両要求出力POを算出する。
ステップS10 エンジン11の運転ポイントを決定する。
ステップS11 エンジン11が駆動領域に置かれているかどうかを判断する。
エンジン11が駆動領域に置かれている場合はステップS12に、置かれていない場合はステップS13に進む。
ステップS12 エンジン11が駆動されているかどうかを判断する。エンジン11が駆動されている場合はステップS16に、駆動されていない場合はステップS14に進む。
ステップS13 エンジン11が駆動されているかどうかを判断する。エンジン11が駆動されている場合はステップS15に、駆動されていない場合はステップS19に進む。
ステップS14 エンジン始動制御処理を行う。
ステップS15 エンジン停止制御処理を行う。
ステップS16 エンジン制御処理を行う。
ステップS17 発電機目標回転速度NG* を決定する。
ステップS18 発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理を行う。
ステップS19 駆動軸トルクTR/OUTを推定する。
ステップS20 駆動モータ目標トルクTM* を決定する。
ステップS21 発電駆動部保護処理を行う。
ステップS22 駆動モータ制御処理を行い、処理を終了する。
【0065】
次に、図7のステップS6における急加速制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0066】
図13は本発明の第1の実施の形態における急加速制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0067】
まず、前記急加速制御処理手段は、車両要求トルクTO* を読み込み、該車両要求トルクTO* と駆動モータ最大トルクTMmaxとの差トルクΔTを算出し、駆動モータ最大トルクTMmaxでは不足する分を発電機目標トルクTG* として決定する。
【0068】
そして、前記急加速制御処理手段の図示されない駆動モータ制御処理手段は、駆動モータ制御処理を行い、駆動モータ目標トルクTM* を駆動モータ最大トルクTMmaxにして駆動モータ25の制御を行う。また、前記急加速制御処理手段の図示されない発電機トルク制御処理手段は、発電機トルク制御処理を行い、決定された発電機目標トルクTG* に基づいて発電機16のトルク制御を行う。
【0069】
次に、図13のフローチャートについて説明する。
ステップS6−1 車両要求トルクTO* を読み込む。
ステップS6−2 駆動モータ目標トルクTM* に駆動モータ最大トルクTMmaxをセットする。
ステップS6−3 発電機目標トルクTG* に車両要求トルクTO* と駆動モータ目標トルクTM* との差トルクΔTをセットする。
ステップS6−4 駆動モータ制御処理を行う。
ステップS6−5 発電機トルク制御処理を行い、リターンする。
【0070】
次に、図13のステップS6−4における駆動モータ制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0071】
図14は本発明の第1の実施の形態における駆動モータ制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0072】
まず、駆動モータ制御処理手段は、駆動モータ目標トルクTM* を読み込み、駆動モータロータ位置θMを読み込み、該駆動モータロータ位置θMに基づいて駆動モータ回転速度NMを算出し、バッテリ電圧VBを読み込む。続いて、前記駆動モータ制御処理手段は、駆動モータ目標トルクTM* 、駆動モータ回転速度NM及びバッテリ電圧VBに基づいて、前記記録装置に記録された電流指令値マップを参照し、d軸電流指令値IMd* 及びq軸電流指令値IMq* を決定する。
【0073】
また、前記駆動モータ制御処理手段は、電流センサ68(図6)、69から電流IMU、IMVを読み込むとともに、電流IMU、IMVに基づいて電流IMW
IMW=IMU−IMV
を算出する。なお、電流IMWを電流IMU、IMVと同様に電流センサによって検出することもできる。
【0074】
続いて、前記駆動モータ制御処理手段は、3相/2相変換を行い、電流IMU、IMV、IMWをd軸電流IMd及びq軸電流IMqに変換し、前記d軸電流IMd及びq軸電流IMq、並びに前記d軸電流指令値IMd* 及びq軸電流指令値IMq* に基づいて、電圧指令値VMd* 、VMq* を算出する。そして、前記駆動モータ制御処理手段は、2相/3相変換を行い、電圧指令値VMd* 、VMq* を電圧指令値VMU* 、VMV* 、VMW* に変換し、該電圧指令値VMU* 、VMV* 、VMW* に基づいて、パルス幅変調信号SU、SV、SWを算出し、該パルス幅変調信号SU、SV、SWを駆動モータ制御処理手段のドライブ処理手段に出力する。該ドライブ処理手段は、パルス幅変調信号SU、SV、SWに基づいて前記インバータ29に駆動信号SG2を送る。
【0075】
次に、図14のフローチャートについて説明する。
ステップS6−4−1 駆動モータ目標トルクTM* を読み込む。
ステップS6−4−2 駆動モータロータ位置θMを読み込む。
ステップS6−4−3 駆動モータ回転速度NMを算出する。
ステップS6−4−4 バッテリ電圧VBを読み込む。
ステップS6−4−5 d軸電流指令値IMd* 及びq軸電流指令値IMq* を決定する。
ステップS6−4−6 電流IMU、IMVを読み込む。
ステップS6−4−7 3相/2相変換を行う。
ステップS6−4−8 電圧指令値VMd* 、VMq* を算出する。
ステップS6−4−9 2相/3相変換を行う。
ステップS6−4−10 パルス幅変調信号SU、SV、SWを出力し、リターンする。
【0076】
次に、図13のステップS6−5における発電機トルク制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0077】
図15は本発明の第1の実施の形態における発電機トルク制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0078】
まず、前記発電機トルク制御処理手段は、発電機目標トルクTG* を読み込み、発電機ロータ位置θGを読み込み、該発電機ロータ位置θGに基づいて発電機回転速度NGを算出し、バッテリ電圧VBを読み込む。続いて、前記発電機トルク制御処理手段は、発電機目標トルクTG* 、発電機回転速度NG及びバッテリ電圧VBに基づいて、前記記録装置に記録された電流指令値マップを参照し、d軸電流指令値IGd* 及びq軸電流指令値IGq* を決定する。
【0079】
また、前記発電機トルク制御処理手段は、電流センサ66(図6)、67から電流IGU、IGVを読み込むとともに、電流IGU、IGVに基づいて電流IGW
IGW=IGU−IGV
を算出する。なお、電流IGWを電流IGU、IGVと同様に電流センサによって検出することもできる。
【0080】
続いて、前記発電機トルク制御処理手段は、3相/2相変換を行い、電流IGU、IGV、IGWをd軸電流IGd及びq軸電流IGqに変換し、該d軸電流IGd及びq軸電流IGq、並びに前記d軸電流指令値IGd* 及びq軸電流指令値IGq* に基づいて、電圧指令値VGd* 、VGq* を算出する。そして、前記発電機トルク制御処理手段は、2相/3相変換を行い、電圧指令値VGd* 、VGq* を電圧指令値VGU* 、VGV* 、VGW* に変換し、該電圧指令値VGU* 、VGV* 、VGW* に基づいて、パルス幅変調信号SU、SV、SWを算出し、該パルス幅変調信号SU、SV、SWを発電機トルク制御処理手段のドライブ処理手段に出力する。該ドライブ処理手段は、パルス幅変調信号SU、SV、SWに基づいて前記インバータ28に駆動信号SG1を送る。
【0081】
次に、図15のフローチャートについて説明する。
ステップS6−5−1 発電機目標トルクTG* を読み込む。
ステップS6−5−2 発電機ロータ位置θGを読み込む。
ステップS6−5−3 発電機回転速度NGを算出する。
ステップS6−5−4 バッテリ電圧VBを読み込む。
ステップS6−5−5 d軸電流指令値IGd* 及びq軸電流指令値IGq* を決定する。
ステップS6−5−6 電流IGU、IGVを読み込む。
ステップS6−5−7 3相/2相変換を行う。
ステップS6−5−8 電圧指令値VGd* 、VGq* を算出する。
ステップS6−5−9 2相/3相変換を行う。
ステップS6−5−10 パルス幅変調信号SU、SV、SWを出力し、リターンする。
【0082】
次に、図8のステップS14におけるエンジン始動制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0083】
図16は本発明の第1の実施の形態におけるエンジン始動制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0084】
まず、エンジン始動制御処理手段は、スロットル開度θを読み込み、スロットル開度θが0〔%〕である場合に、リングギヤ回転速度NRを読み込み、かつ、エンジン目標運転状態設定処理において決定されたエンジン11(図6)の運転ポイントを読み込む。なお、前記リングギヤ回転速度NRは、前述されたように、駆動モータロータ位置θMNI基づいて算出される。
【0085】
続いて、エンジン始動制御処理手段は、前記リングギヤ回転速度NR、及び前記運転ポイントにおけるエンジン目標回転速度NE* に基づいて、前記回転速度関係式によって発電機目標回転速度NG* を算出し、決定する。
【0086】
前記エンジン始動制御処理手段の発電機回転速度制御処理手段は、発電機目標回転速度NG* に基づいて発電機回転速度制御処理を行い、発電機回転速度NGを高くし、それに伴って、エンジン回転速度NEを高くする。
【0087】
そして、前記エンジン始動制御処理手段は、エンジン回転速度NEとあらかじめ設定された始動回転速度NEth1とを比較し、エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高いかどうかを判断する。エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高い場合、エンジン始動制御処理手段は、エンジン11において燃料噴射及び点火を行い、エンジン回転速度NEがエンジン目標回転速度NE* になるようにスロットル開度θを調整する。
【0088】
続いて、前記エンジン始動制御処理手段は、エンジン11が正常に動作しているかどうかを判断するために、発電機トルクTGが、エンジン11の始動に伴うモータリングトルクTEthより小さいかどうかを判断し、発電機トルクTGがモータリングトルクTEthより小さい状態で所定時間が経過するのを待機する。
【0089】
次に、図16のフローチャートについて説明する。
ステップS14−1 スロットル開度θが0〔%〕であるかどうかを判断する。スロットル開度θが0〔%〕である場合はステップS14−3に、0〔%〕でない場合はステップS14−2に進む。
ステップS14−2 スロットル開度θを0〔%〕にし、ステップS14−1に戻る。
ステップS14−3 リングギヤ回転速度NRを読み込む。
ステップS14−4 エンジン11の運転ポイントを読み込む。
ステップS14−5 発電機目標回転速度NG* を決定する。
ステップS14−6 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS14−7 エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高いかどうかを判断する。エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1より高い場合はステップS14−8に進み、エンジン回転速度NEが始動回転速度NEth1以下である場合はステップS14−3に戻る。
ステップS14−8 燃料噴射及び点火を行う。
ステップS14−9 スロットル開度θを調整する。
ステップS14−10 発電機トルクTGがモータリングトルクTEthより小さいかどうかを判断する。発電機トルクTGがモータリングトルクTEthより小さい場合はステップS14−11に進み、発電機トルクTGがモータリングトルクTEth以上である場合はステップS14−1に戻る。
ステップS14−11 所定時間が経過するのを待機し、リターンする。
【0090】
次に、図16のステップS14−6の発電機回転速度制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0091】
図17は本発明の第1の実施の形態における発電機回転速度制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0092】
まず、前記発電機回転速度制御処理手段は、発電機目標回転速度NG* 及び発電機回転速度NGを読み込み、発電機目標回転速度NG* と発電機回転速度NGとの差回転速度ΔNGに基づいてPI制御を行い、発電機目標トルクTG* を算出し、決定する。この場合、差回転速度ΔNGが大きいほど、発電機目標トルクTG* は大きくされ、正負も考慮される。
【0093】
続いて、前記発電機回転速度制御処理手段の発電機トルク制御処理手段は発電機トルク制御処理を行い、発電機16のトルク制御を行う。
【0094】
次に、図17のフローチャートについて説明する。
ステップS14−6−1 発電機目標回転速度NG* を読み込む。
ステップS14−6−2 発電機回転速度NGを読み込む。
ステップS14−6−3 発電機目標トルクTG* を決定する。
ステップS14−6−4 発電機トルク制御処理を行い、リターンする。
【0095】
次に、図8のステップS15におけるエンジン停止制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0096】
図18は本発明の第1の実施の形態におけるエンジン停止制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0097】
まず、エンジン停止制御処理手段は、発電機ブレーキB(図6)が解放されているかどうかを判断する。発電機ブレーキBが解放されておらず、係合させられている場合、前記エンジン停止制御処理手段は、エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。次に、前記エンジン停止制御処理手段の発電機トルク制御処理手段は、前記発電機目標トルクTG* に従って発電機トルク制御処理を行う。そして、所定時間が経過すると、前記エンジン停止制御処理手段の発電機回転速度制御処理手段は、図17に示されるものと同様の発電機回転速度制御処理を行う。その後、前記エンジン停止制御処理手段は発電機ブレーキBを解放する。なお、前記エンジントルクTE相当分は、エンジントルクTEに対する発電機トルクTGの比、すなわち、トルク比を学習することによって算出される。
【0098】
また、前記発電機ブレーキBが解放されている場合、及び前記発電機回転速度制御処理が行われた場合、エンジン停止制御処理手段は、エンジン11における燃料噴射及び点火を停止させ、スロットル開度θを0〔%〕にする。
【0099】
続いて、前記エンジン停止制御処理手段は、エンジン目標回転速度NE* を0〔rpm〕とし、前記リングギヤ回転速度NRを読み込み、該リングギヤ回転速度NR及びエンジン目標回転速度NE* (0〔rpm〕)に基づいて、前記回転速度関係式によって、発電機目標回転速度NG* を決定する。そして、前記発電機回転速度制御処理手段は、図17に示されるものと同様の発電機回転速度制御処理を行う。
【0100】
次に、前記エンジン停止制御処理手段は、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下であるかどうかを判断し、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下である場合、発電機16に対するスイッチングを停止させ、発電機16のシャットダウンを行う。
【0101】
次に、図18のフローチャートについて説明する。
ステップS15−1 発電機ブレーキBが解放されているかどうかを判断する。発電機ブレーキBが解放されている場合はステップS15−6に、解放されていない場合はステップS15−2に進む。
ステップS15−2 エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。
ステップS15−3 発電機トルク制御処理を行う。
ステップS15−4 所定時間が経過したかどうかを判断する。所定時間が経過した場合はステップS15−5に進み、経過していない場合はステップS15−3に戻る。
ステップS15−5 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS15−6 発電機ブレーキBを解放する。
ステップS15−7 燃料噴射及び点火を停止させる。
ステップS15−8 スロットル開度θを0〔%〕にする。
ステップS15−9 発電機目標回転速度NG* を決定する。
ステップS15−10 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS15−11 エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下であるかどうかを判断する。エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下である場合はステップS15−12に進み、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2より大きい場合はステップS15−9に戻る。
ステップS15−12 発電機16に対するスイッチングを停止させ、リターンする。
【0102】
次に、図8のステップS18における発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0103】
図19は本発明の第1の実施の形態における発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理のサブルーチンを示す図である。
【0104】
まず、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機目標回転速度NG* を読み込み、該発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の所定の回転速度Nth1(例えば、500〔rpm〕)より小さいかどうかを判断する。発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の所定の回転速度Nth1より小さい場合、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機ブレーキB(図6)が解放されているかどうかを判断し、発電機ブレーキBが解放されている場合、発電機目標回転速度NG* に0〔rpm〕をセットする。
【0105】
そして、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段の発電機回転速度制御処理手段は、図17に示されるものと同様の発電機回転速度制御処理を行う。
【0106】
次に、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機回転速度NGの絶対値が第2の所定の回転速度Nth2(例えば、100〔rpm〕)より小さいかどうかを判断し、発電機回転速度NGの絶対値が第2の所定の回転速度Nth2より小さい場合、発電機ブレーキBを係合させる。そして、発電機ブレーキBが係合させられた状態で所定時間が経過すると、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機16に対するスイッチングを停止させ、発電機16のシャットダウンを行う。
【0107】
一方、発電機目標回転速度NG* の絶対値が前記第1の所定の回転速度Nth1以上である場合、発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機ブレーキBが係合させられているかどうかを判断し、係合させられていない場合、前記発電機回転速度制御処理手段は、図17に示されるものと同様の発電機回転速度制御処理を行う。
【0108】
また、発電機ブレーキBが係合させられている場合、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、前記エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。そして、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段の発電機トルク制御処理手段は、発電機トルク制御処理を行う。
【0109】
続いて、発電機トルク制御処理が行われた後、所定時間が経過すると、前記発電機回転速度制御処理手段は、図17に示されるものと同様の発電機回転速度制御処理を行う。そして、前記発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理手段は、発電機ブレーキBを解放する。
【0110】
次に、図19のフローチャートについて説明する。
ステップS18−1 発電機目標回転速度NG* を読み込む。
ステップS18−2 発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の所定の回転速度Nth1より小さいかどうかを判断する。発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の所定の回転速度Nth1より小さい場合はステップS18−3に、発電機目標回転速度NG* の絶対値が第1の所定の回転速度Nth1以上である場合はステップS18−4に進む。
ステップS18−3 発電機ブレーキBが解放されているかどうかを判断する。
発電機ブレーキBが解放されている場合はステップS18−5に進み、解放されていない場合はリターンする。
ステップS18−4 発電機ブレーキBが係合させられているかどうかを判断する。発電機ブレーキBが係合させられている場合はステップS18−12に、係合させられていない場合はステップS18−11に進む。
ステップS18−5 発電機目標回転速度NG* に0〔rpm〕をセットする。
ステップS18−6 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS18−7 発電機回転速度NGの絶対値が第2の所定の回転速度Nth2より小さいかどうかを判断する。発電機回転速度NGの絶対値が第2の所定の回転速度Nth2より小さい場合はステップS18−8に進み、発電機回転速度NGの絶対値が第2の所定の回転速度Nth2以上である場合はステップS18−6に戻る。
ステップS18−8 発電機ブレーキBを係合させる。
ステップS18−9 所定時間が経過したかどうかを判断する。所定時間が経過した場合はステップS18−10に進み、経過していない場合はステップS18−8に戻る。
ステップS18−10 発電機16に対するスイッチングを停止させ、リターンする。
ステップS18−11 発電機回転速度制御処理を行い、リターンする。
ステップS18−12 エンジントルクTE相当分を発電機目標トルクTG* にセットする。
ステップS18−13 発電機トルク制御処理を行う。
ステップS18−14 所定時間が経過したかどうかを判断する。所定時間が経過した場合はステップS18−15に進み、経過していない場合はステップS18−12に戻る。
ステップS18−15 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS18−16 発電機ブレーキBを解放し、リターンする。
【0111】
次に、図8のステップS21における駆動モータ目標トルク制限処理のサブルーチンについて説明する。
【0112】
ところで、前記発電機回転速度制御が行われているときに、前記発電駆動部91(図1)、例えば、発電機16のコイル23、インバータ28、冷却系のオイル等の温度が高くなると、発電駆動部91を保護するために、発電機トルクTGを小さくする必要があるが、発電機トルクTGを小さくすると、発電機トルクTGによってエンジントルクTEを支えることができなくなり、発電機16が振り回され、過度に回転してしまう。
【0113】
そこで、前述されたように、前記発電駆動部保護処理手段は、発電駆動部保護処理を行い、前記発電駆動部91を保護する。
【0114】
次に、図8のステップS21における発電駆動部保護処理のサブルーチンについて説明する。
【0115】
図20は本発明の第1の実施の形態における発電駆動部保護処理のサブルーチンを示す図である。
【0116】
まず、前記発電駆動部保護処理手段は、発電機温度センサ64(図6)から発電機16のコイル23の温度tmGを読み込む。次に、前記発電駆動部保護処理手段の温度判定処理手段93(図1)は、温度判定処理を行い、前記温度tmGと設定温度tmGth(例えば、100〔℃〕)とを比較し、前記温度tmGが設定温度tmGthより高いかどうかを判断する。そして、前記温度tmGが設定温度tmGthより高い場合、前記発電駆動部保護処理手段のエンジン回転速度判定処理手段93は、エンジン回転速度判定処理を行う。
【0117】
ところで、前記温度tmGが設定温度tmGthより高い場合、発電機ブレーキBを係合させて発電機16に対するスイッチングを停止させ、発電機16のシャットダウンを行うのが好ましいが、発電機ブレーキBを係合させるのに伴ってエンジン回転速度NEが異常に低くなると、エンジン11に振動が発生し、ハイブリッド型車両の走行フィーリングが低下してしまうことが考えられる。
【0118】
そこで、パラレルモード(発電機ブレーキBを係合させたモード)でハイブリッド型車両を走行させたときのエンジン回転速度NEprを前記回転速度関係式によって算出し、前記エンジン回転速度NEprと前記設定回転速度NEth3とを比較するようにしている。
【0119】
すなわち、前記エンジン回転速度判定処理手段93は、前記エンジン回転速度NEprと設定回転速度NEth3(例えば、1000〔rpm〕)とを比較し、前記エンジン回転速度NEprが設定回転速度NEth3より高いかどうかを判断する。そして、前記エンジン回転速度NEprが設定回転速度NEth3より高い場合、前記発電駆動部保護処理手段の保護処理手段95は第1の保護処理を行い、前記エンジン回転速度NEprが設定回転速度NEth3以下である場合、前記保護処理手段95は第2の保護処理を行う。
【0120】
前記エンジン回転速度NEprは、発電機目標回転速度NG* を0〔rpm〕にしたときの前記回転速度関係式によって算出される。
【0121】
次に、図20のフローチャートについて説明する。
ステップS21−1 温度tmGが設定温度tmGthより高いかどうかを判断する。温度tmGが設定温度tmGthより高い場合はステップS21−2に進み、温度tmGが設定温度tmGth以下である場合はリターンする。
ステップS21−2 エンジン回転速度NEが設定回転速度NEth3より高いかどうかを判断する。エンジン回転速度NEが設定回転速度NEth3より高い場合はステップS21−3に、エンジン回転速度NEが設定回転速度NEth3以下である場合はステップS21−4に進む。
ステップS21−3 第1の保護処理を行い、リターンする。
ステップS21−4 第2の保護処理を行い、リターンする。
【0122】
次に、図20のステップS21−3における第1の保護処理のサブルーチンについて説明する。
【0123】
図21は本発明の第1の実施の形態における第1の保護処理のサブルーチンを示す図、図22は本発明の第1の実施の形態における第1の保護処理の動作を示すタイムチャートである。
【0124】
まず、前記保護処理手段95(図1)は、発電機目標回転速度NG* を読み込み、発電機目標回転速度NG* に0〔rpm〕をセットする。次に、前記保護処理手段95の発電機回転速度制御処理手段は発電機回転速度制御処理を行う。続いて、前記保護処理手段95は、前記発電機目標回転速度NG* の絶対値が第3の所定の回転速度Nth3(例えば、100〔rpm〕)より小さいかどうかを判断し、発電機目標回転速度NG* の絶対値が第3の所定の回転速度Nth3より小さい場合、発電機ブレーキBを係合させる。そして、発電機ブレーキBが係合させられた状態で所定時間が経過すると、前記保護処理手段95は発電機16に対するスイッチングを停止させ、発電機16のシャットダウンを行う。
【0125】
例えば、タイミングt1でコイル23の温度tmGが100〔℃〕より高くなると、発電機ブレーキ要求がオンにされ、発電機目標回転速度NG* に0〔rpm〕がセットされる。これに伴って、発電機回転速度NGは次第に低くなり、タイミングt2で0〔rpm〕になり、発電機ブレーキBが係合(オン)させられる。これに伴って、発電機トルクTGは0〔Nm〕になる。
【0126】
続いて、タイミングt2から時間10〔ms〕が経過するタイミングt3で、発電機シャットダウン要求がオンにされる。それに伴って温度tmGが徐々に低下させられる。そして、タイミングt4で前記温度tmGが70〔℃〕より低くなると、発電機ブレーキ要求がオフにされ、発電機シャットダウン要求がオフにされて前記発電機トルクTGは負の値を採るようになる。
【0127】
そして、タイミングt4から時間50〔ms〕が経過するタイミングt5で発電機ブレーキBが解放(オフ)されると、発電機回転速度NGは徐々に高くなる。
【0128】
このように、エンジン回転速度NEが設定回転速度NEth3より高い場合、発電機ブレーキBが係合させられ、かつ、発電機16のシャットダウンが行われるので、温度tmGを低くすることができ、発電機16を保護することができる。また、発電機16を保護するために、発電機ブレーキBが係合させられるので、エンジントルクTEを支えることができる。したがって、発電機16が振り回されることはなく、過度に回転することもなくなる。
【0129】
そして、発電機ブレーキBが係合させられるだけでなく、発電機16のシャットダウンが行われるので、温度tmGを十分に低くすることができる。しかも、インバータ28の温度も低くすることができる。
【0130】
次に、図21のフローチャートについて説明する。
ステップS21−3−1 発電機目標回転速度NG* に0〔rpm〕をセットする。
ステップS21−3−2 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS21−3−3 発電機目標回転速度NG* の絶対値が第3の所定の回転速度Nth3より小さいかどうかを判断する。発電機目標回転速度NG* の絶対値が第3の所定の回転速度Nth3より小さい場合はステップS21−3−4に進み、発電機目標回転速度NG* の絶対値が第3の所定の回転速度Nth3以上である場合はステップS21−3−2に戻る。
ステップS21−3−4 発電機ブレーキBを係合させる。
ステップS21−3−5 所定時間が経過したかどうか判断する。所定時間が経過したステップS21−3−6に進み、所定時間が経過していない場合はステップS21−3−4に戻る。
ステップS21−3−6 発電機16に対するスイッチングを停止させ、リターンする。
【0131】
次に、図20のステップS21−4における第2の保護処理のサブルーチンについて説明する。
【0132】
図23は本発明の第1の実施の形態における第2の保護処理のサブルーチンを示す図、図24は本発明の第1の実施の形態における第2の保護処理の動作を示すタイムチャートである。
【0133】
まず、前記保護処理手段95(図1)は、エンジン11における燃料噴射及び点火を停止させ、スロットル開度θを0〔%〕にしてエンジン11の駆動を停止させる。続いて、保護処理手段95は、エンジン目標回転速度NE* を0〔rpm〕とし、前記リングギヤ回転速度NRを読み込み、該リングギヤ回転速度NR及びエンジン目標回転速度NE* (0〔rpm〕)に基づいて、前記回転速度関係式によって、発電機目標回転速度NG* を決定する。そして、前記保護処理手段95の発電機回転速度制御処理手段は、図17に示されるものと同様の発電機回転速度制御処理を行う。
【0134】
次に、保護処理手段95は、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下であるかどうかを判断し、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下である場合、発電機16に対するスイッチングを停止させ、発電機16のシャットダウンを行う。なお、本実施の形態においては、エンジン回転速度NEを低くするためにエンジン11における燃料噴射及び点火を停止させるようになっているが、エンジン11をアイドリングさせ、アイドリング回転速度で駆動することもできる。
【0135】
例えば、タイミングt11でコイル23(図2)の温度tmGが100〔℃〕より高くなると、燃料カット要求がオンにされ、エンジン11における燃料噴射及び点火を停止させる。これに伴って、発電機回転速度NGは次第に低くなり、タイミングt12で0〔rpm〕になる。続いて、タイミングt13で発電機シャットダウン要求がオンにされる。これに伴って、発電機トルクTGは0〔Nm〕になる。
【0136】
続いて、タイミングt14で前記温度tmGが70〔℃〕より低くなると、発電機シャットダウン要求がオフにされて前記発電機トルクTGは負の値を採るようになる。
【0137】
このように、エンジン回転速度NEが設定回転速度NEth3以下である場合、エンジン11における燃料噴射及び点火を停止させるか、又はエンジン11をアイドリングさせることによって前記エンジン回転速度NEが低くされ、かつ、発電機16のシャットダウンが行われるので、温度tmGを低くすることができ、発電機16を保護することができる。
【0138】
この場合、エンジン11における燃料噴射及び点火が停止させられるか、又はエンジン11がアイドリングさせられるので、エンジン11に振動が発生することはない。また、発電機ブレーキBは係合させられないが、エンジン11における燃料噴射及び点火が停止させられるときのエンジントルクTEは0〔Nm〕であり、エンジン11がアイドリングさせられるときのエンジントルクTEは極めて小さいので、発電機16が振り回されることはなく、過度に回転することもなくなる。
【0139】
次に、図23のフローチャートについて説明する。
ステップS21−4−1 燃料噴射及び点火を停止させる。
ステップS21−4−2 スロットル開度θを0〔%〕にする。
ステップS21−4−3 発電機目標回転速度NG* を決定する。
ステップS21−4−4 発電機回転速度制御処理を行う。
ステップS21−4−5 エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下であるかどうかを判断する。エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2以下である場合はステップS21−4−6に進み、エンジン回転速度NEが停止回転速度NEth2より大きい場合はステップS21−4−3に戻る。
ステップS21−4−6 発電機16に対するスイッチングを停止させ、リターンする。
【0140】
ところで、エンジン回転速度NEが決定されると、リングギヤ回転速度NRが一義的に決定されるので、前記エンジン11の設定回転速度NEth3に基づいてリングギヤRの設定回転速度NRthも一義的に決まる。そこで、ギヤ比γVを考慮して車速Vに基づいてリングギヤ回転速度NRを算出し、該リングギヤ回転速度NRと前記設定回転速度NRthとを比較することによって、発電駆動部保護処理を行うようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。
【0141】
図25は本発明の第2の実施の形態における発電駆動部保護処理のサブルーチンを示す図である。
【0142】
この場合、前記発電駆動部保護処理手段のリングギヤ回転速度判定処理手段は、リングギヤ回転速度判定処理を行い、車速V及びギヤ比γVに基づいてリングギヤ回転速度NRを算出し、該リングギヤ回転速度NRと設定回転速度NRthとを比較する。
【0143】
そして、前記リングギヤ回転速度NRが設定回転速度NRthより高い場合、前記保護処理手段95(図1)は第1の保護処理を行い、前記リングギヤ回転速度NRが設定回転速度NRth以下である場合、前記保護処理手段95は第2の保護処理を行う。
【0144】
次に、図25のフローチャートについて説明する。
ステップS21−11 温度tmGが設定温度tmGthより高いかどうかを判断する。温度tmGが設定温度tmGthより高い場合はステップS21−12に進み、温度tmGが設定温度tmGth以下である場合はリターンする。
ステップS21−12 リングギヤ回転速度NRが設定回転速度NRthより高いかどうかを判断する。リングギヤ回転速度NRが設定回転速度NRthより高い場合はステップS21−13に、リングギヤ回転速度NRが設定回転速度NRth以下である場合はステップS21−14に進む。
ステップS21−13 第1の保護処理を行い、リターンする。
ステップS21−14 第2の保護処理を行い、リターンする。
【0145】
前記各実施の形態において、エンジン11を非駆動状態にするために燃料噴射及び点火を停止させるようになっているが、燃料噴射又は点火を停止させることもできる。
【0146】
また、前記各実施の形態においては、ワンウェイクラッチFが配設されているが、必ずしも必要ではない。ワンウェイクラッチを配設しない場合、図7及び13の急加速制御処理を省略することができる。
【0147】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0148】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ハイブリッド型車両においては、エンジンと機械的に連結された発電機を備えた発電駆動部と、少なくとも三つの歯車要素を備え、そのうちの一つの歯車要素が前記発電機に、他の一つの歯車要素が前記エンジンに連結されるプラネタリギヤユニットと、前記発電機の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキと、前記発電駆動部の温度を検出する発電駆動部温度検出手段と、前記温度が設定温度より高いかどうかを判断する温度判定処理手段と、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機ブレーキを係合させ、かつ、発電機のシャットダウンを行う保護処理手段と、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高いかどうかを判断するエンジン回転速度判定処理手段とを有する。
そして、前記保護処理手段は、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高い場合に、発電機ブレーキを係合させ、かつ、発電機のシャットダウンを行う。
【0149】
この場合、前記温度が設定温度より高いと、発電機ブレーキが係合させられ、かつ、発電機のシャットダウンが行われるので、発電駆動部の温度を低くすることができ、発電駆動部を保護することができる。また、発電駆動部を保護するために、発電機ブレーキが係合させられるので、エンジントルクを支えることができる。したがって、発電機が振り回されることはなく、過度に回転することもなくなる。
【0150】
そして、発電機ブレーキが係合させられるだけでなく、発電機のシャットダウンが行われるので、発電駆動部の温度を十分に低くすることができる。しかも、インバータの温度も低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるプラネタリギヤユニットの動作説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における通常走行時の車速線図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における通常走行時のトルク線図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の制御装置を示す概念図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示す第1のメインフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示す第2のメインフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態における第1の車両要求トルクマップを示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における第2の車両要求トルクマップを示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態におけるエンジン目標運転状態マップを示す図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態におけるエンジン駆動領域マップを示す図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態における急加速制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態における駆動モータ制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態における発電機トルク制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態におけるエンジン始動制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態における発電機回転速度制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態におけるエンジン停止制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態における発電機・発電機ブレーキオン/オフ制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態における発電駆動部保護処理のサブルーチンを示す図である。
【図21】本発明の第1の実施の形態における第1の保護処理のサブルーチンを示す図である。
【図22】本発明の第1の実施の形態における第1の保護処理の動作を示すタイムチャートである。
【図23】本発明の第1の実施の形態における第2の保護処理のサブルーチンを示す図である。
【図24】本発明の第1の実施の形態における第2の保護処理の動作を示すタイムチャートである。
【図25】本発明の第2の実施の形態における発電駆動部保護処理のサブルーチンを示す図である。
【符号の説明】
11 エンジン
16 発電機
28 インバータ
64 発電機温度センサ
91 発電駆動部
93 温度判定処理手段
95 保護処理手段
B 発電機ブレーキ
Claims (7)
- エンジンと機械的に連結された発電機を備えた発電駆動部と、少なくとも三つの歯車要素を備え、そのうちの一つの歯車要素が前記発電機に、他の一つの歯車要素が前記エンジンに連結されるプラネタリギヤユニットと、前記発電機の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキと、前記発電駆動部の温度を検出する発電駆動部温度検出手段と、前記温度が設定温度より高いかどうかを判断する温度判定処理手段と、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機ブレーキを係合させ、かつ、発電機のシャットダウンを行う保護処理手段と、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高いかどうかを判断するエンジン回転速度判定処理手段とを有するとともに、前記保護処理手段は、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高い場合に、発電機ブレーキを係合させ、かつ、発電機のシャットダウンを行うことを特徴とするハイブリッド型車両。
- エンジンと機械的に連結された発電機を備えた発電駆動部と、少なくとも三つの歯車要素を備え、そのうちの一つの歯車要素が前記発電機に、他の一つの歯車要素が前記エンジンに連結されるプラネタリギヤユニットと、前記発電駆動部の温度を検出する発電駆動部温度検出手段と、前記温度が設定温度より高いかどうかを判断する温度判定処理手段と、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高いかどうかを判断するエンジン回転速度判定処理手段と、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度以下である場合に、前記エンジンにおいて燃料噴射及び点火の少なくとも一方を停止させてエンジンを非駆動状態にし、かつ、発電機のシャットダウンを行う保護処理手段とを有することを特徴とするハイブリッド型車両。
- エンジンと機械的に連結された発電機を備えた発電駆動部と、少なくとも三つの歯車要素を備え、そのうちの一つの歯車要素が前記発電機に、他の一つの歯車要素が前記エンジンに連結されるプラネタリギヤユニットと、前記発電機の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキと、前記発電駆動部の温度を検出する発電駆動部温度検出手段と、前記温度が設定温度より高いかどうかを判断する温度判定処理手段と、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高いかどうかを判断するエンジン回転速度判定処理手段と、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高い場合に、発電機ブレーキを係合させ、かつ、発電機のシャットダウンを行い、設定回転速度以下である場合に、エンジンにおいて燃料噴射及び点火の少なくとも一方を停止させてエンジンを非駆動状態にし、かつ、発電機のシャットダウンを行う保護処理手段とを有することを特徴とするハイブリッド型車両。
- 前記エンジン及び発電機と機械的に連結された駆動モータを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド型車両。
- エンジンと機械的に連結された発電機を備えた発電駆動部、少なくとも三つの歯車要素を備え、そのうちの一つの歯車要素が前記発電機に、他の一つの歯車要素が前記エンジンに連結されるプラネタリギヤユニット、及び前記発電機の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキを有するハイブリッド型車両の制御方法において、前記発電駆動部の温度を検出し、該温度が設定温度より高いかどうかを判断し、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機ブレーキを係合させ、かつ、発電機のシャットダウンを行い、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高いかどうかを判断するとともに、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高い場合に、発電機ブレーキを係合させ、かつ、発電機のシャットダウンを行うことを特徴とするハイブリッド型車両の制御方法。
- エンジンと機械的に連結された発電機を備えた発電駆動部、及び少なくとも三つの歯車要素を備え、そのうちの一つの歯車要素が前記発電機に、他の一つの歯車要素が前記エンジンに連結されるプラネタリギヤユニットを有するハイブリッド型車両の制御方法において、前記発電駆動部の温度を検出し、該温度が設定温度より高いかどうかを判断し、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高いかどうかを判断し、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度以下である場合に、前記エンジンにおいて燃料噴射及び点火の少なくとも一方を停止させてエンジンを非駆動状態にし、かつ、発電機のシャットダウンを行うことを特徴とするハイブリッド型車両の制御方法。
- エンジンと機械的に連結された発電機を備えた発電駆動部、及び少なくとも三つの歯車要素を備え、そのうちの一つの歯車要素が前記発電機に、他の一つの歯車要素が前記エンジンに連結されるプラネタリギヤユニットを有するハイブリッド型車両の制御方法において、前記発電駆動部の温度を検出し、該温度が設定温度より高いかどうかを判断し、前記温度が設定温度より高い場合に、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高いかどうかを判断し、前記発電機の回転速度を零としたときのエンジン回転速度が設定回転速度より高い場合に、前記発電機の回転を機械的に停止させる発電機ブレーキを係合させ、かつ、発電機のシャットダウンを行い、設定回転速度以下である場合に、エンジンにおいて燃料噴射及び点火の少なくとも一方を停止させてエンジンを非駆動状態にし、かつ、発電機のシャットダウンを行うことを特徴とするハイブリッド型車両の制御方法。
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