JP4720096B2 - スロットダイ、スロットダイのスロット間隙の調整方法及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents

スロットダイ、スロットダイのスロット間隙の調整方法及び光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スロットダイ、スロットダイのスロット間隙の調整方法及び光学フィルムの製造方法に関し、詳しくはスロット間隙が調整可能なスロットダイ、スロットダイのスロット間隙の調整方法及び巾手方向の塗布膜厚が均一な光学フィルムの製造方法に関する。
スパッタリング、プラズマCVD等の光学薄膜形成方法は、一般的にいずれもバッチ処理であるために生産性に乏しいという欠点があり、近年はロールコーターを初めとする各種ウェット方式により生産性の高く安価な光学薄膜が生産されてきた。しかしながら、TD方向(フィルムの幅手方向)の筋の問題、膜厚精度がばらつく等の問題点があり、厳しい膜厚精度が要求される紫外線遮断効果、熱線反射効果、反射防止効果等を有する各種光学薄膜の製造方法について改善が求められていた。反射防止フィルム等、薄膜の光学フィルムを塗布乾燥によって製造する場合、数nmの厚みムラにより、光学的機能が損なわれる。特に低屈折率層は、多層反射防止膜の表面側に設けられるため、わずかな厚み変動で、反射光の色ムラになる。本発明者の検討の結果、これはウェットの塗工量が10μm以下であり、ダイ内部に流れる流量が少ないため、ダイ出口の突出量にばらつきが生じるためであった。
膜厚精度を向上する方法として、特許文献1にはスロットダイコーターの先端形状を精度よく組み立てる方法が開示されている。しかし、この方法では、巾手方向のスロット間隙を精度よく組み立てることができないため、巾手方向の塗布膜厚分布がよくないという問題があった。
特開2003−275652号公報
本発明の目的は、スロット間隙が調整可能なスロットダイ、スロットダイのスロット間隙の調整方法及び巾手方向の塗布膜厚が均一な光学フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
連続走行するウェブの表面にスロットダイの先端リップを近接させて、スロットから塗布液を吐出して塗布するスロットダイであって、該スロットダイがスロット部分で分割可能な少なくとも2つのブロックから構成され、前記2つのブロックがリップからの位置が異なる2つ以上のボルト群で組み上げられており、該ボルト群の各ボルトの締め付け力を増加または減少することによりスロット間隙が調整可能であり、前記スロット部分の少なくとも一方の端に設けたサイドシムプレートの厚みを増加または減少することによりスロット間隙が調整可能であることを特徴とするスロットダイ。
(請求項2)
連続走行するウェブの表面にスロットダイの先端リップを近接させて、スロットから塗布液を吐出して塗布する前記スロットダイのスロット間隙の調整方法であって、前記スロットダイがスロット部分で分割可能な少なくとも2つのブロックから構成され、前記2つのブロックがリップからの位置が異なる2つ以上のボルト群で組み上げられており、該ボルト群の各ボルトの締め付け力を増加または減少することによりスロット間隙を調整するとともに、前記スロット部分の少なくとも一方の端に設けたサイドシムプレートの厚みを増加または減少することによりスロット間隙を調整することを特徴とするスロットダイのスロット間隙の調整方法。
(請求項3)
連続走行するウェブの表面にスロットダイの先端リップを近接させて、スロットから塗布液を吐出して塗布する光学フィルムの製造方法であって、前記スロットダイがスロット部分で分割可能な少なくとも2つのブロックから構成され、前記2つのブロックがリップからの位置が異なる2つ以上のボルト群で組み上げられており、該ボルト群の各ボルトの締め付け力を増加または減少してスロット間隙が調整するととともに、前記スロット部分の少なくとも一方の端に設けたサイドシムプレートの厚みを増加または減少することによりスロット間隙を調整したスロットダイを用いて塗布することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
(請求項4)
光学フィルムの幅が1400〜4000mmであることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
本発明により、スロット間隙が調整可能なスロットダイ、スロットダイのスロット間隙の調整方法及び巾手方向の塗布膜厚が均一な光学フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明者は鋭意研究の結果、連続走行するウェブの表面にスロットダイの先端リップを近接させて、スロットから塗布液を吐出して塗布するスロットダイであって、該スロットダイがスロット部分で分割可能な少なくとも2つのブロックから構成され、前記2つのブロックがリップからの位置が異なる2つ以上のボルト群で組み上げられており、該ボルト群の各ボルトの締め付け力を増加または減少することによりスロット間隙が調整可能であるスロットダイにより、巾手方向の塗布膜厚が均一なスロットダイが得られることを見出した。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明を図1〜6を用いて説明する。
図1は本発明のスロットダイの斜視図である。スロットダイは、スロット108部分で分割可能な少なくとも2つのブロック(フロントバー101、バックバー102)から構成され、2つのブロックがリップ107からの位置が異なる2つ以上のボルト群(第1ボルト群104、第2ボルト群105)で組み上げられており、ボルト109の締め付け力を増加または減少することによりスロット108の間隙が調整可能である。2つのブロックは両端にサイドブロック103が密着している。ボルト109の締め付け力の増加または減少の他に、スロット108部分の少なくとも一方の端に設けたサイドシムプレート110の厚みを増加または減少することによりスロット108の間隙が調整可能である。
塗布においては、スロットダイのリップ107先端と支持体までの距離(塗布ギャップ)は50〜150μm程度で、かつ上流部の減圧が−200〜−400Paであり、塗布液はジャケット温水方式の熱交換器とスタティックミキサーを使用し所定の温度に設定されてから、入口の配管を通してスロットダイに送られ、リップ107先端から支持体上に吐出される。液温管理は塗布液粘度の変化率を下げる観点から設定温度±0.5℃とすることが好ましい。
図2は図1に示したスロットダイの正面図である。L1はリップ先端から第1ボルト群までの距離、L2はリップ先端から第2ボルト群までの距離を表す。aは第1ボルト群と第2ボルト群の距離を表し、bは第2ボルト群とスロットダイ底面との距離を表し、c及びc′は第1ボルト群の隣り合うボルト間の距離を表し、d及びd′は第2ボルト群の隣り合うボルト間の距離を表す。
各距離は、100mm≧a≧5mm、100mm≧b≧5mm、100mm≧c≧5mm、100mm≧c′≧5mm、100mm≧d≧5mm、100mm≧d′≧5mm、300mm≧L1≧30mm、305mm≧L2≧35mmであることが好ましい。なお、ボルト群の隣り合うボルト間の距離は必ずしも等間隔でなくてよい。
ボルト群が2つの場合においては、スロット間隙を調整したい箇所の直下近辺にあるボルトの締め付け力を第1ボルト群と第2ボルト群で50N・cm以上変える。スロット間隙が目的とする寸法より大きい場合、第2ボルト群のボルト締付け力より大きな締付け力で第1ボルト群を締付けることでスロット間隙を調整する。スロット間隙が目的とする寸法より小さい場合、第1ボルト群のボルト締め付け力より大きな締め付け力で第2ボルト群を締付けることでスロット間隙を調整する。
図3は本発明の他のスロットダイの斜視図である。スロットダイは、スロット108部分で分割可能な少なくとも2つのブロック(フロントバー101、バックバー102)から構成され、2つのブロックがリップ107からの位置が異なる2つ以上のボルト群(第1ボルト群104′、第2ボルト群105′、第3ボルト群106′)で組み上げられており、ボルト109の締め付け力を増加または減少することによりスロット108の間隙が調整可能である。また、ボルト109の締め付け力の増加または減少の他に、スロット108部の少なくとも一方の端に設けたサイドシムプレート110の厚みを増加または減少することによりスロット108の間隙が調整可能である。2つのブロックは両端にサイドブロック103が密着している。ボルト109の締め付け力の増加または減少の他に、スロット108部分の少なくとも一方の端に設けたサイドシムプレート(図では表示せず)の厚みを増加または減少することによりスロット108の間隙が調整可能である。
図4は図3に示したスロットダイの正面図である。L1はリップ先端から第1ボルト群までの距離、L2はリップ先端から第2ボルト群までの距離、L3はリップ先端から第3ボルト群までの距離を表す。aは第1ボルト群と第2ボルト群の距離を表し、a′は第2ボルト群と第3ボルト群の距離を表し、bは第2ボルト群とスロットダイ底面との距離を表し、c及びc′は第1ボルト群の隣り合うボルト間の距離を表し、d及びd′は第2ボルト群の隣り合うボルト間の距離を表し、e及びe′は第3ボルト群の隣り合うボルト間の距離を表す。
各距離は、100mm≧a≧5mm、100mm≧a′≧5mm、100mm≧b≧5mm、100mm≧c≧5mm、100mm≧c′≧5mm、100mm≧d≧5mm、100mm≧d′≧5mm、100mm≧e≧5mm、100mm≧e′≧5mm、300mm≧L1≧30mm、305mm≧L2≧35mm、310mm≧L3≧40mmであることが好ましい。
ボルト群が3つ以上の場合においては、スロット間隙を調整したい箇所の直下近辺にあるボルトの締め付け力を第1ボルト群とリップ先端から数えて最後のボルト群で50N・cm以上変える。スロット間隙が目的とする寸法より大きい場合、リップ先端から数えて最後のボルト群のボルト締付け力より大きな締付け力で第1ボルト群を締付けることでスロット間隙を調整する。スロット間隙が目的とする寸法より小さい場合、第1ボルト群のボルト締め付け力より大きな締め付け力でリップ先端から数えて最後のボルト群を締付けることでスロット間隙を調整する。他のボルト群は第1ボルト群とリップ先端から数えて最後のボルト群との中間のボルト締め付け力で締付ける。
本発明において、ボルト群のリップからの位置が異なるとは、図2のL1、L2、図4のL1、L2、L3が5mm以上異なることをいう。ボルト群が4つ以上の場合において同様である。
図5は本発明の他のスロットダイの分解図である。スロット部分の両端にサイドシムプレート110が設けられている。
図6は図5に示したスロットダイの斜視図である。スロット108部分の両端に設けたサイドシムプレート110の厚みを増加または減少することによりスロットの間隙が調整可能である。2つのブロックは両端にサイドブロック103が密着している。
光学フィルムの製造においては、塗布膜厚は5〜25μmであることが好ましい。塗布直後の膜厚が5μm以下では均一な塗工をするのが難しく、逆に25μmを超えると、乾燥期間が長くなり、さまざまな外乱を受けやすくなり、局所的なムラが発生してしまう。好ましくは7〜23μmである。
本発明に係る光学フィルムは、上記の製造方法を経て得られることを特徴としており、本発明においては、該光学フィルムが反射防止フィルムであることが好ましい。
本発明における反射防止フィルムの特徴は、支持体上の少なくとも一方の面に、支持体側から高屈折層、低屈折層を順に積層した光学干渉層の積層体である(場合によっては他の層を追加することもあり得る。)。
波長λの光に対して、高屈折層及び低屈折層の光学膜厚をλ/4に設定して、反射防止積層体を作製する。光学膜厚とは、層の屈折nと膜厚dとの積によって定義される量である。屈折率の高低はそこに含まれる金属、または化合物によってほぼ決まり、例えば、Tiは高く、Siは低く、Fを含有する化合物は更に低く、このような組み合わせによって屈折率が設定される。屈折率と膜厚は、分光反射率の測定により、計算し算出される。
ここで、金属化合物を含む溶液を支持体に塗工して膜を得る場合、この反射防止光学特性は上記のように物理的な膜厚のみによって決まる。
特に550nm近傍の反射光の色彩は膜厚がわずか数nmずれることで、赤紫と青紫の間で変化する。この色ムラはディスプレイからの透過光量が多い場合はほとんど目立たないが、光量が少ない場合またはディスプレイを消したとき顕著に色ムラが目立ち品質が劣化する。
また、膜厚のずれが大きい場合は、400〜700nmでの反射率を下げることができず、所望の反射防止特性を得ることが困難となる。
〔支持体〕
本発明において使用する支持体としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等を挙げることができる。中でもセルロースエステルフィルムが本発明において好ましく、特に、少なくとも一つの方向に延伸したセルロースエステルフィルムが好ましい。
延伸は縦方向(機械進行方向)に1.02〜1.50倍、または横方向(幅方向)に1.02〜1.52倍に行うのが好ましく、更に好ましくは縦及び横方向に2軸延伸されたものである。
延伸方法は、延伸できる方法であれば特に制限ないが、例えば、数本の密間ロールにウェブを通す方法、クリップ等でウェブの両端を把持し幅方向に延伸する方法、同じくクリップに把持しクリップ間隔を進行方向に広げて延伸する方法等があり、何れも好ましく用いることができる。延伸は、支持体の強度を増加させることだけでなく、平面性を良くする効果があり、反射防止フィルムとしての支持体全面積の反射率の均一性を向上させることができる。
本発明に好ましく用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を挙げることがきる。またそれらから得られたセルロースエステルは、それぞれを単独でまたは任意の割合で混合使用することができるが、綿花リンターを50質量%以上使用することが好ましい。
セルロースエステルは、セルロース原料のアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて反応が行われる。アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C37COCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には特開平10−45804号公報に記載の方法で合成することができる。セルロースエステルはアシル基がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度という。
例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している。
セルロースエステルフィルムに用いることができるセルロースエステルには特に限定はないが、総アシル基の置換度が2.40〜2.98であることが好ましく、アシル基のうちアセチル基の置換度が1.4以上がより好ましく用いられる。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
セルロースエステルは、セルローストリアセテートやセルロースジアセテート等のセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースエステルであることが好ましい。なお、ブチレートは、n−の他にiso−も含む。プロピオネート基の置換度が大きいセルロースアセテートプロピオネートは耐水性が優れる。
セルロースエステルの数平均分子量Mn(測定法は下記に記載)は、70,000〜250,000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く、かつ適度のドープ粘度となり好ましい。更に80,000〜150,000が好ましい。また、質量平均分子量Mwとの比(Mw/Mn)は1.0〜5.0のセルロースエステルが好ましく使用され、更に好ましくは1.5〜4.5である。
《セルロースエステルの数平均分子量の測定》
高速液体クロマトグラフィーにより下記条件で測定する。
溶媒 :アセトン
カラム :MPW×1(東ソー(株)製)
試料濃度 :0.2(質量/体積)%
流量 :1.0ml/分
試料注入量:300μL
標準試料 :ポリメチルメタクリレート(質量平均分子量188,200)
温度 :23℃
また、セルロースエステルを製造中に使用する、または使用材料に微量ながら混在しているセルロースエステル中の金属はできるだけ少ない方が好ましく、Ca、Mg、Fe、Na等の金属の総含有量は100ppm以下が好ましい。
〔有機溶媒〕
セルロースエステルを溶解しセルロースエステル溶液またはドープ形成に有用な有機溶媒として、塩素系有機溶媒のメチレンクロライド(塩化メチレン)を挙げることができ、セルロースエステル、特にセルローストリアセテートの溶解に適している。非塩素系有機溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができる。
これらの有機溶媒をセルローストリアセテートに対して使用する場合には、常温での溶解方法も使用可能であるが、高温溶解方法、冷却溶解方法、高圧溶解方法等の溶解方法を用いることにより不溶解物を少なくすることができるので好ましい。
セルローストリアセテート以外のセルロースエステルに対しては、メチレンクロライドを用いることもできるが、メチレンクロライドを使用せずに、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用することができる。特に酢酸メチルが好ましい。本発明において、上記セルロースエステルに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらはドープを金属支持体に流延後溶媒が蒸発をし始めアルコールの比率が多くなるとウェブがゲル化し、ウェブを丈夫にし金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。
これらのうちドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、かつ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は単独ではセルロースエステルに対して溶解性を有していないので、貧溶媒という。
〔溶液流延製膜方法によるセルロースエステルフィルムの作製〕
支持体として使用するセルロースエステルフィルムの製膜方法について述べる。セルロースエステルフィルムは溶液流延製膜方法によ作製する。
(1)溶解工程:セルロースエステル(フレーク状の)に対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中で該セルロースエステル、ポリマーや添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、またはセルロースエステル溶液にポリマー溶液や添加剤溶液を混合してドープを形成する工程である。セルロースエステルの溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号、同9−95557号または同9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、本発明においては、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のセルロースエステルの濃度は10〜35質量%が好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
(2)流延工程:ドープを送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、または回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。
(3)溶媒蒸発工程:ウェブ(金属支持体上にドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を金属支持体上で加熱し金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。裏面液体伝熱の場合は、ドープ使用有機溶媒の主溶媒または最も低い沸点を有する有機溶媒の沸点以下で加熱するのが好ましい。
(4)剥離工程:金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
製膜速度を上げる方法(残留溶媒量ができるだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることができる)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。
本発明に係る光学フィルムの乾燥方法及び製造方法は、支持体として溶液流延製膜法によって製造されたセルロースエステルフィルムを用いる場合には、溶液流延製膜方法そのものには、特に制限はなく、当業界で一般に用いられている方法、例えば、米国特許第2,492,978号、同第2,739,070号、同第2,739,069号、同第2,492,977号、同第2,336,310号、同第2,367,603号、同第2,607,704号、英国特許第64,071号、同第735,892号、特公昭45−9074号、同49−4554号、同49−5614号、同60−27562号、同61−39890号、同62−4208号等に記載の方法を参考にすることができる。
溶液流延製膜法で用いるセルロースエステルのドープ液の調製に用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが、生産効率の点で好ましく、更に、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が30〜2質量%である。
良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独では膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルの平均酢化度によっては、良溶剤、貧溶剤の対象が変化し、例えば、アセトンを溶剤として用いるときには、セルロースエステルの結合酢酸量55%では良溶剤になり、結合酢酸量60%では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤としては、特に限定されないが、例えば、セルローストリアセテートの場合は、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、酢酸メチル、また、セルロースアセテートプロピオネートの場合は、メチレンクロライド、アセトン、酢酸メチル等が挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。
上記のドープ液を調製する時のセルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができるが、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、攪拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止することができるためより好ましい。
また、セルロースエステルを貧溶剤と混合し、湿潤または膨潤させた後、さらに良溶剤と混合して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧容器の種類は、特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、攪拌ができればよい。加圧容器には、そのほかに圧力計、温度計等の計器類を適宜配設する。加圧は、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えば、ジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の常圧での沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高すぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃の範囲が更に好ましい。又、圧力は設定温度で、溶剤が沸騰しないように調整される。
セルロースエステルと溶剤のほかに必要な可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入してもよい。
溶解後は、冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器等で冷却し、これを製膜に供するが、このときの冷却温度は常温まで冷却してもよいが、沸点より5〜10℃低い温度まで冷却し、その温度のままキャスティングを行う方が、ドープ粘度を低減できるためより好ましい。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−817−96の規定に準じて測定することができる。
これらセルロースエステルは後述するように一般的に溶液流延製膜法と呼ばれる方法で製造(製膜)される。この方法は、無限に移送する無端の金属ベルト(例えばステンレスベルト)または回転する金属ドラム(例えば鋳鉄で表面をクロムメッキしたドラム)等の流延用金属支持体(以降、単に金属支持体ということもある)上に、加圧ダイからドープ(セルロースエステル溶液のこと)を流延(キャスティング)し、金属支持体上のウェブ(ドープ膜)を金属支持体から剥離し、乾燥させて製造するものである。
セルロースエステルフィルムには、画像表示装置として屋外に置かれた場合等の劣化防止の観点から下記記載の紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものを好ましく用いることができる。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明において、セルロースエステルフィルムの膜厚としては、10〜500μmが好ましく用いられるが、特に好ましいのは10〜80μmである。
本発明に係る光学薄膜の膜厚としては、1〜1000nmが好ましい。
本発明においては、上記のような支持体面上に光学薄膜を設ける場合、平均膜厚に対する膜厚偏差を±8%になるように設けることができ、より好ましくは±5%以内とすることができ、特に±1%以内の均一に薄膜とすることができる。本発明の製造方法は、特に1400mm以上の広幅の光学フィルムに適用したとき著しい効果を発揮する。適用が好ましい光学フィルム幅の上限は、膜厚精度の面からは特に限定されないが、製造コストの面から4000mm以下が好ましい。
本発明の製造方法により多層の薄膜を積層することにより各層のムラもなく、均一な光学フィルムを得ることができる。
このように、本発明においてはさまざまな機能を有する薄膜を形成した光学フィルムを提供することができる。
本発明は帯電防止層または導電性層として、金属酸化物微粒子や架橋カチオンポリマーのような導電性樹脂微粒子を塗設した膜厚0.1〜2μmの層を設けてもよい。
本発明の光学薄膜の製造方法で得られる光学フィルムは特に偏光板保護フィルムとして有用であり、これを用いて公知の方法で偏光板を作製することができる。これらの光学フィルムは薄膜の均一性が高いため、各種表示装置に好ましく用いることができ、優れた表示性能を得ることができる。
本発明に係る光学フィルムには必要に応じて、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、導電層、光拡散層、易接着層、防汚層、易接着層、配向層、液晶層、光学異方層等を単独でまたは適宜組み合わせて設けることができる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されることが好ましいが、特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムにはハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、偏光板をこの部分に用いることが特に好ましい。
本発明に係る光学フィルムは、マット剤を後述するセルロースエステルフィルム(支持体)中に含有させることによって、搬送や巻き取りをしやすくすることができる。
マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができるが、特に架橋高分子微粒子が好ましい。本発明においては、これらに限定されない。
上記のうちでも二酸化珪素が動摩擦係数の調整するのに特に好ましく、またフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。微粒子の一次粒子または二次粒子の平均粒径は0.01〜5.0μmの範囲で、その含有量はセルロースエステルに対して0.005〜0.5質量%が好ましい。
二酸化珪素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等があげられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は20nm以下が好ましく、好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。
これらの微粒子はセルロースエステルフィルム中では、セルロースエステルフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させることが好ましい。
二酸化珪素の微粒子としては日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることができ、好ましくはアエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えばアエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9〜0.1の範囲で使用できる。酸化ジルコニウムとして、例えばアエロジルR976またはR811(日本アエロジル(株)製)等市販品も使用できる。
有機物微粒子として、例えば、シリコーン樹脂として、トスパール103、105、108、120、145、3120、240(東芝シリコーン(株)製)等市販品も使用できる。
本発明に好ましく用いられる微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子を観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって、1次平均粒子径とした。
微粒子の、見掛比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく、また、本発明のように固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/L以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることができる。本発明において、上記記載の見掛比重は二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出した。
見掛比重(g/L)=二酸化珪素質量(g)÷二酸化珪素の容積(L)
本発明に有用な微粒子の分散液を調製する方法とそれをドープに添加する方法としては、例えば以下に示すような三つの方法を挙げることができる。
《調製方法A》
有機溶媒と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて撹拌する。
《調製方法B》
有機溶媒と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に有機溶媒に少量のセルロースエステルを加え撹拌溶解した液に微粒子分散液を加えて撹拌する。これを微粒子添加液とし、インラインミキサーでドープ液と十分混合する。ここで、下記の微粒子添加液の添加後、紫外線吸収剤を添加してもよい。
《調製方法C》
有機溶媒に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法である。
《分散方法》
二酸化珪素微粒子を有機溶媒等と混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。
セルロースエステルに対する二酸化珪素微粒子の添加量はセルロースエステル100質量部に対して、二酸化珪素微粒子は0.01〜0.5質量部が好ましく、0.05〜0.2質量部が更に好ましく、0.08〜0.12質量部が最も好ましい。添加量は多い方が、セルロースエステルフィルムの動摩擦係数に優れ、添加量が少ない方がヘイズが低く、凝集物も少ない点が優れている。
分散液に使用される有機溶媒は低級アルコール類が好ましく、低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等を挙げることができ、好ましく用いることができる。低級アルコール以外の有機溶媒としては特に限定されないが、ドープ調製時に用いられる有機溶媒が好ましい。
分散機は通常の分散機が使用できる。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散には後者がヘイズが低くなるので好ましい。メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミル等を挙げることができる。また、メディアレス分散機として、超音波型、遠心型、高圧型等があるが、本発明においては高圧型が好ましく、高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と有機溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態等特殊な条件を作り出す装置である。高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.8MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.6MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。
上記のような高圧分散装置にはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)またはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等がある。
本発明において、上記微粒子を含有させる際、セルロースエステルフィルムの厚さ方向に均一に分布していることが好ましいが、主に表面近傍に存在するように分布させることがより好ましく、例えば、一つのダイから共流延法により、2種以上のドープを同時に流延し、微粒子を含有するドープを表層側に配置させるようにすることが好ましい。このようにすることによって、ヘイズを少なくし、かつ、動摩擦係数を低めることができる。更に好ましくは3種のドープを使用して表層側の片側の層または両層に微粒子を含有するドープ配置にさせることが望ましい。
支持体の動摩擦係数を調整するため、裏面側に微粒子を含有するバックコート層を設けることもできる。添加する微粒子の大きさや添加量、材質等によって動摩擦係数を調整することができる。
本発明に好ましく用いられる可塑剤としては、非リン酸エステル系可塑剤が好ましく用いられる。
非リン酸エステル系可塑剤としては、フタル酸系エステル、クエン酸エステル、グリコール酸エステル、脂肪酸エステル、ピロメリット酸エステル、トリメリット酸エステル等があげられる。
具体例としては、例えば、ジベンジルフタレート、ジベンジルイソフタレート、ジベンジルテレフタレート、ジフェニルフタレート、ジフェニルイソフタレート、ジフェニルテレフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルイソフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート、フェニルシクロヘキシルイソフタレート、フェニルシクロヘキシルテレフタレート、フェニルシクロヘキシルフタレート、ベンジルシクロヘキシルフタレート、ベンジルシクロヘキシルテレフタレート、ベンジルシクロヘキシルイソフタレート、等のフタル酸系エステル等があげられるが本発明はこれらに限定されるものではない。
アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パラストリン酸、KE−604(荒川化学製)、KE−85(荒川化学製)、アラルダイドEPN1139(旭チバ(株)製)、アラルダイドGY260(旭チバ(株)製)等の樹脂オリゴマー、ハイラック110H(日立化成(株)製)、ハイラック111(日立化成(株)製)等のケトン樹脂等も好ましく用いられる。
特開平11−124445号、同11−92574号、同11−246704号、同11−63560号、特開2001−48840記載の非リン酸エステル系可塑剤も用いることができる。これらは単独または併用して用いることが好ましい。
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤について説明する。
紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられ、特にこれらに限定されるものではなく、これ以外の紫外線吸収剤も用いられる。
具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げられる。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8 :2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−9 :2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−10:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−11:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に係る光学フィルムの紫外線吸収能としては、380nmの波長の光に対して透過率10%以下であることが好ましく、更に好ましくは、透過率6%未満、特に好ましくは透過率0〜4%未満である。
光学フィルムに用いられる紫外線吸収剤の含有量は、波長380nmの光の透過率の設定に従い、適切な添加量で用いられる。
本発明における光学フィルム及び反射防止薄膜は高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を有することが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層に使用するチタン化合物としては、有機チタン化合物、チタン水素化合物、ハロゲン化チタン等があり、有機チタン化合物としては、トリエチルチタン、トリメチルチタン、トリイソプロピルチタン、トリブチルチタン、テトラエチルチタン、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、トリエトキシチタン、トリメトキシチタン、トリイソプロポキシチタン、トリブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルジメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン、テトラジメチルアミノチタン、ジメチルチタンジアセトアセトナート、エチルチタントリアセトアセトナート等、チタン水素化合物としてはモノチタン水素化合物、ジチタン水素化合物等、ハロゲン化チタンとしては、三塩化チタン、四塩化チタン等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いることができる。
また、低屈折率層に使用する珪素化合物としては、有機珪素化合物、珪素水素化合物、ハロゲン化珪素化合物等を挙げることができ、有機珪素化合物としては、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルシランジアセトアセトナート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等、珪素水素化合物としては、テトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシラン等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いることができる。
本発明の好ましい反射防止フィルムは、金属酸化物層を支持体に直接形成させてもよいが、他の層を少なくとも1層設けた上に形成させてもよい。本発明において、他の層としては、ハードコート層等を挙げることができ、これらの層が紫外線等活性線により硬化する活性線硬化樹脂層であることが好ましい。このような紫外線で硬化された樹脂層の上に金属酸化物層を形成させることによって耐擦り傷性に優れた反射防止フィルムを得ることができる。
ハードコート層等の活性線硬化樹脂層は、エチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層であることが好ましい。
ここで、活性線硬化樹脂層とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。
活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートと記載した場合、メタクリレートを包含するものとする)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151110号等を参照)。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号を参照)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることができる(例えば、特開平1−105738号)。この光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種または2種以上を選択して使用することができる。
また、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。また上記光反応開始剤も光増感剤としても使用できる。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始剤また光増感剤は該組成物の通常1〜10質量%添加することができ、2.5〜6質量%が好ましい。
本発明に好ましく用いられる活性線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することができる。
活性線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れでも使用できる。
例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって使用できる。
活性線硬化樹脂層を塗設する際の溶媒としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。好ましくは、プロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテルできはプロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、さらに好ましくは5〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押し出しコーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることができる。塗布量はウェット膜厚で通常0.1〜30μmであり、好ましくは、0.5〜15μmである。塗布速度は好ましくは10〜60m/分で行われる。
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥された後、紫外線を光源より照射するが、照射時間は0.5秒〜5分がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率とから3秒〜2分がより好ましい。
こうして得た硬化皮膜層に、ブロッキングを防止するため、また対擦り傷性等を高めるために無機または有機の微粒子を加えることが好ましい。
例えば、無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができ、また有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を挙げることができ、紫外線硬化性樹脂組成物に加えることができる。これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.005〜1μmが好ましく0.01〜0.1μmであることが特に好ましい。
紫外線硬化樹脂組成物と微粒子粉末との割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部となるように配合することが望ましい。
本発明においては、上記のような支持体面に対して本発明に係る光学フィルムを設ける場合、平均膜厚の膜厚偏差を±10%になるように設けることが好ましく、更に好ましくは±5%以内であり、特に好ましくは±1%以内になるように設けることが好ましい。
また、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
これらの酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれ、高湿高温の状態に液晶画像表示装置等がおかれた場合、セルロースエステルフィルムの劣化が起こる場合があり、例えば、セルロースエステルフィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等によりセルロースエステルフィルムが分解を遅らせたり、防いだりする役割を有するので前記セルロースエステルフィルム中に含有させるのが好ましい。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。
実施例
(セルロースアセテートフィルムの作製)
長さ2600m、幅1400mm、膜厚80μmのセルロースアセテートフィルムを下記のように作製した。
〈ドープAの調製〉
セルローストリアセテート(アセチル基置換度2.9) 100質量部
トリフェニルホスフェイト 10質量部
ビフェニルジフェニルホスフェイト 2質量部
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.5質量部
アエロジル R972V(日本アエロジル(株)製) 0.2質量部
メチレンクロライド 405質量部
エタノール 45質量部
以上を密閉型の溶解釜に投入し、攪拌しながら70℃で完全に溶解し、冷却後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過してドープAを得た。調製したドープAをステンレスベルト上に流延し、ステンレスベルト上で、溶媒を蒸発させ、ステンレスベルト上からウェブを剥離した。剥離したウェブをテンター乾燥機に導入し、両端をクリップで把持して幅方向に1.1倍延伸しながら80℃で乾燥させ、110℃、次いで125℃の各乾燥ゾーンを有するロール乾燥機内に配置された多数のロールを通して搬送させながら乾燥を終了させセルロースアセテートフィルムを作製した。
(ハードコート層の作製)
上記セルロースアセテートフィルム上に、下記組成からなるハードコート層液を塗布乾燥してハードコート層を作製した。
〈ハードコート層液組成〉
下記のものを混合溶解して用いた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上のもの 20質量部
ジエトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4質量部
シリコーン系界面活性剤 1質量部
酢酸メチル 75質量部
アセトン 75質量部
〔光学フィルムの作製〕
図7、12に示すボルト群を有するスロットダイ(本発明のスロットダイ)、または図7、12に示すスロットダイから第2のボルト群を除去したスロットダイ(比較例のスロットダイ)を、下記に示すボルト締め付け方法により組み付けた。スロットダイ締め付け用ボルトはM8を用い、また、第1、第2ボルト群の各隣り合うボルトは等間隔である。スロット部は1300mmとした。
このスロットダイを用いて、上記ハードコート層付きセルロースアセテートフィルム上に下記低屈折率層塗布液を塗布、120℃で乾燥した後、紫外線照射により塗布層を硬化させ、平均膜厚0.093μmの低屈折率層を形成し、光学フィルム1〜6を得た。
〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製〉
テトラエトキシシラン25gとエタノール222gを混合し、これにクエン酸一水和物の1.5質量%水溶液54gを添加した後に、室温にて3時間撹拌してテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
〈低屈折率層塗布液〉
上記テトラエトキシシラン加水分解物A 1020質量部
末端反応性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製L−9000)
0.42質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 2700質量部
イソプロピルアルコール 6300質量部
(光学フィルム1の作製)
全ボルトを1000N・cmの力で締付けた図7に示すスロットダイから第2のボルト群を除去したスロットダイを用い、ハードコート層付きセルロースアセテートフィルム上に低屈折率層を塗設した。サイドシムプレートは厚み150μmのものをL、R側に用いた。そのときのスロットダイのスロット間隙の巾手方向分布を図8に示す。スロット間隙は、スロット部分をCCDカメラで撮影し画像処理して求めた。
(光学フィルム2の作製)
ボルト4、6、8、10、11、13、15、17、19、21を1500N・cmの力で締め付け、その他のボルトは1000N・cmの力で締付けた図7に示すスロットダイを用い、ハードコート層付きセルロースアセテートフィルム上に低屈折率層を塗設した。サイドシムプレートは厚み150μmのものをL、R側に用いた。そのときのスロットダイのスロット間隙の巾手方向分布を図9に示す。
(光学フィルム3の作製)
ボルト4、6、8、10、11、13、15、17、19、21を1500N・cmの力で締め付け、ボルト3、5、7、9、18、20、22を750N・cmの力で締め付け、その他のボルトは1000N・cmの力で締付けた図7に示すスロットダイを用い、ハードコート層付きセルロースアセテートフィルム上に低屈折率層を塗設した。サイドシムプレートは厚み150μmのものをL、R側に用いた。そのときのスロットダイのスロット間隙の巾手方向分布を図10に示す。
(光学フィルム4の作製)
ボルト4、6、8、10、11、13、15、17、19、21を1500N・cmの力で締め付け、ボルト3、5、7、9、18、20、22を750N・cmの力で締め付け、その他のボルトは1000N・cmの力で締付けた図7に示すスロットダイを用い、ハードコート層付きセルロースアセテートフィルム上に低屈折率層を塗設した。L側サイドシムプレートは厚み150μm、R側サイドシムプレートは厚み160μmのものを用いた。そのときのスロットダイのスロット間隙の巾手方向分布を図11に示す。
(光学フィルム5の作製)
全ボルトを1000N・cmの力で締付けた図12に示すスロットダイから第2のボルト群を除去したスロットダイを用い、ハードコート層付きセルロースアセテートフィルム上に低屈折率層を塗設した。サイドシムプレートは厚み150μmのものをL、R側に用いた。そのときのスロットダイのスロット間隙の巾手方向分布を図13に示す。
(光学フィルム6の作製)
ボルト3、9、16を1500N・cmの力で締め付け、ボルト4、10、15を750N・cmの力で締め付け、その他のボルトは1000N・cmの力で締付けた図12に示すスロットダイを用い、ハードコート層付きセルロースアセテートフィルム上に低屈折率膜を塗設した。サイドシムプレートは厚み150μmのものをL、R側に用いた。そのときのスロットダイのスロット間隙の巾手方向分布を図14に示す。
(評価)
得られた光学フィルムについて、下記方法により巾手方向の膜厚分布を測定した。
分光光度計U−4000型(日立製作所製)を用いて、試料の測定側の裏面を粗面化した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、巾手方向の130点について5度正反射の条件にて440nmの反射率の測定を行い、(最大値−最小値)/平均膜厚×100をx(%)とし、xの値により、以下の基準で4段階評価した。440nmは可視光下側の反射スペクトルの立ち上がり位置にあたり、感度が最も厳しい部分である。
◎:0%≦x≦2%
○:2%<x≦6%
△:6%<x≦8%
×:8%<x
△が実用可能域下限である。評価の結果を表1に示す。
Figure 0004720096
表1から本発明の製造方法で作製した光学フィルムは比較の製造方法で作製した光学フィルムに比べ、巾手方向の膜厚分布が小さい高品質な光学フィルムであることが分かる。
本発明のスロットダイの斜視図である。 図1に示したスロットダイの正面図である。 本発明の他のスロットダイの斜視図である。 図3に示したスロットダイの正面図である。 本発明の他のスロットダイの分解図である。 図5に示したスロットダイの斜視図である。 スロットダイの正面図である。 スロットダイのスロット間隙の巾手方向分布である。 スロットダイのスロット間隙の巾手方向分布である。 スロットダイのスロット間隙の巾手方向分布である。 スロットダイのスロット間隙の巾手方向分布である。 スロットダイの正面図である。 スロットダイのスロット間隙の巾手方向分布である。 スロットダイのスロット間隙の巾手方向分布である。
符号の説明
101 フロントバー
102 バックバー
103 サイドブロック
104、104′ 第1ボルト群
105、105′ 第2ボルト群
106′ 第3ボルト群
107 リップ
108 スロット
109 ボルト
110 サイドシムプレート

Claims (4)

  1. 連続走行するウェブの表面にスロットダイの先端リップを近接させて、スロットから塗布液を吐出して塗布するスロットダイであって、該スロットダイがスロット部分で分割可能な少なくとも2つのブロックから構成され、前記2つのブロックがリップからの位置が異なる2つ以上のボルト群で組み上げられており、該ボルト群の各ボルトの締め付け力を増加または減少することによりスロット間隙が調整可能であり、
    前記スロット部分の少なくとも一方の端に設けたサイドシムプレートの厚みを増加または減少することによりスロット間隙が調整可能であることを特徴とするスロットダイ。
  2. 連続走行するウェブの表面にスロットダイの先端リップを近接させて、スロットから塗布液を吐出して塗布する前記スロットダイのスロット間隙の調整方法であって、前記スロットダイがスロット部分で分割可能な少なくとも2つのブロックから構成され、前記2つのブロックがリップからの位置が異なる2つ以上のボルト群で組み上げられており、該ボルト群の各ボルトの締め付け力を増加または減少することによりスロット間隙を調整するとともに、
    前記スロット部分の少なくとも一方の端に設けたサイドシムプレートの厚みを増加または減少することによりスロット間隙を調整することを特徴とするスロットダイのスロット間隙の調整方法。
  3. 連続走行するウェブの表面にスロットダイの先端リップを近接させて、スロットから塗布液を吐出して塗布する光学フィルムの製造方法であって、前記スロットダイがスロット部分で分割可能な少なくとも2つのブロックから構成され、前記2つのブロックがリップからの位置が異なる2つ以上のボルト群で組み上げられており、該ボルト群の各ボルトの締め付け力を増加または減少してスロット間隙が調整するととともに、
    前記スロット部分の少なくとも一方の端に設けたサイドシムプレートの厚みを増加または減少することによりスロット間隙を調整したスロットダイを用いて塗布することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  4. 光学フィルムの幅が1400〜4000mmであることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
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