JP2003329807A - 反射防止フィルム及びその製造方法 - Google Patents

反射防止フィルム及びその製造方法

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JP2003329807A JP2002140094A JP2002140094A JP2003329807A JP 2003329807 A JP2003329807 A JP 2003329807A JP 2002140094 A JP2002140094 A JP 2002140094A JP 2002140094 A JP2002140094 A JP 2002140094A JP 2003329807 A JP2003329807 A JP 2003329807A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布製膜方法で反射防止フィルムの反射防止
層の膜厚を目標値になるように、精度よく、均一に形成
させることの出来る反射防止フィルムの製造方法、及び
反射及び着色がほとんどない反射防止フィルムを提供す
る。 【解決手段】 連続して移送する基材フィルム上に塗布
により反射防止フィルムを製造する方法で、基材フィル
ム上に2層以上の屈折率が異なる隣り合う反射防止層を
塗布乾燥して形成後、各層形成後の積層した反射防止層
に対する可視光波長領域内に設定した以上の2波長の反
射率をオンラインの反射率測定器により計測し、目標値
の反射率と対比して演算し、その結果を塗布膜厚調整系
にフィードバックし、各反射防止層の各塗布条件を制御
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池、液晶画
像表示装置、各種ディスプレイ装置、有機ELディスプ
レイ、CRT、PDP等に有用な反射防止フィルム及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】CRT、PDP、有機ELディスプレ
イ、液晶画像表示装置等の画像表示装置の画面につい
て、近年、その透過率やコントラストの向上、映り込み
低減のために表面反射を減少させる反射防止技術が多数
提案されるようになって来ている。反射防止技術とし
て、反射防止層(光学干渉層ともいう)として積層する
層の屈折率と光学膜厚を適度な値にすることによって、
積層体と空気界面における光の反射を減少させることが
有効であるということが知られている。
【0003】このような多層の積層反射防止層には、高
屈折率層の材料としてTiO2、ZrO2、Ta25等、
また低屈折率層の材料としてSiO2、MgF2等が含有
されており、これらをスパッタリング法、真空蒸着法、
イオンプレーティング法、CVD法等の真空を用いた乾
式製膜法によって製作されている。しかし、このような
真空装置は、処理基材の面積が大きくなると、製膜装置
が非常に大型化するため、装置が非常に高額になる他、
真空にするにも、または排気するにも莫大な時間が費や
され、生産性が上げられないというデメリットが大き
い。
【0004】また、別の反射防止層の作製方法として塗
布方式がある。この方式は生産性が高い点で有用である
が、膜厚の均一性を保つことがやや難しい等の問題も含
んでいるが、上記の乾式製膜方法においても膜厚の均一
性の保持については同様に難しい問題を有している。
【0005】この乾式製膜法における対策として、特開
2001−181850に、大気圧プラズマ放電法処理
により連続して製膜している間に、製膜した基材を反射
光を用いる膜厚コントロール方法が提案されている。
【0006】屈折率の異なる2層以上の層よりなる反射
防止層の形成は、1層形成するごとに、分光反射率を測
定して膜厚を算出し、目標膜厚となるよう条件を設定し
直している。各層ごとに測定を行うため、時間がとられ
るばかりでなく、同一条件としたつもりでも目標膜厚よ
りずれてしまうことが起こる。反射防止層の膜厚は各々
の層が数10〜数100nmという薄膜であり、特に、
塗布による反射防止層形成においては、目標膜厚に対し
ウエット膜厚が1μm変化しただけで分光反射率が異な
ってしまうばかりでなく、数nm変化すれば反射率がず
れ、表面より反射される反射スペクトルが異なることに
より、着色したり、色合いが変化してしまう。また、条
件出しにより出来上がりのフィルムの収率も悪化してし
まう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】塗布により低屈折率
層、中屈折率層、高屈折率層等の屈折率の異なる層を2
層以上形成する際、膜厚が異なると反射度合いが異なる
ばかりでなく、干渉により反射防止層の着色や色合いの
変化が起こる。例えば、反射が大きくなるとテレビやパ
ソコンのモニター、カーナビ等使用時、周囲の光源や明
るい物が画面上に写り、表示内容が見にくくなる。着色
したり、色合いが違ってくるとは、見にくくなるばかり
でなく、黒表示部でそのような物が写り込んだ際、色が
付いて視認されるため、テレビ画面では画像イメージを
著しく落とすこととなる。
【0008】本発明は上記の問題点に鑑み行われたもの
であって、本発明の目的は、塗布により、膜厚精度がよ
く、均一することが出来る方法で反射防止層を形成する
反射防止フィルムの製造方法を提供することにあり、第
2の目的は、反射がほとんどなくまた、反射で見える着
色もほとんどない反射防止フィルムを提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成より
なる。
【0010】(1) 連続して移送する基材フィルム上
に直接または他の層を介して、塗布により反射防止層を
形成する反射防止フィルムの製造方法において、基材フ
ィルム上に該反射防止層を塗布乾燥して形成後、該反射
防止層に対して可視光波長領域において設定した少なく
とも2点の波長の反射率をオンラインの反射率測定器に
より計測し、予め用意した設定波長の標準の反射率と対
比、演算し、その結果を塗布膜厚制御系にフィードバッ
クし、該反射防止層の塗布条件を制御することを特徴と
する反射防止フィルムの製造方法。
【0011】(2) 連続して移送する基材フィルム上
に直接または他の層を介して、塗布により反射防止層を
形成する反射防止フィルムの製造方法において、基材フ
ィルム上に2層以上の屈折率が異なる隣り合う反射防止
層を逐次塗布乾燥して形成後、各層形成後の積層した反
射防止層に対する可視光波長領域において設定した少な
くとも2点の波長の反射率をオンラインの反射率測定器
により計測し、予め用意した設定波長の標準の反射率と
対比、演算し、その結果を各塗布膜厚制御系にフィード
バックし、各反射防止層の各塗布条件を制御することを
特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
【0012】(3) 連続して移送する基材フィルム上
に直接または他の層を介して、塗布により反射防止層を
形成する反射防止フィルムの製造方法において、基材フ
ィルム上に該反射防止層を塗布乾燥して形成後、該反射
防止層に対する380〜550nm及び600〜800
nmの2波長領域において、それぞれの波長領域におい
て設定した少なくとも1点の波長の反射率をオンライン
の反射率測定器により計測し、予め用意した設定波長の
標準の反射率と対比、演算し、その結果を塗布膜厚制御
系にフィードバックし、該反射防止層の塗布条件を制御
することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
【0013】(4) 連続して移送する基材フィルム上
に直接または他の層を介して、塗布により反射防止層を
形成する反射防止フィルムの製造方法において、基材フ
ィルム上に2層以上の屈折率が異なる隣り合う反射防止
層を逐次塗布乾燥して形成後、各層形成後の積層した反
射防止層に対する380〜550nm及び600〜80
0nmの2波長領域において、それぞれの波長領域にお
いて設定した少なくとも1点の波長の反射率をオンライ
ンの反射率測定器により計測し、予め用意した設定波長
の標準の反射率と対比、演算し、その結果を各塗布膜厚
制御系にフィードバックし、各反射防止層の各塗布条件
を制御することを特徴とする反射防止フィルムの製造方
法。
【0014】(5) 連続して移送する基材フィルム上
に直接または他の層を介して、塗布により反射防止層を
形成する反射防止フィルムの製造方法において、基材フ
ィルム上に反射防止層の最上層塗布条件を調製するに際
し、最上層の反射防止層形成後、該最上層の反射スペク
トルをオンラインの反射率測定器により計測し、測定さ
れた反射スペクトルよりL***色空間からの色差、
もしくは三刺激値(X、Y、Z)を求め、予め用意した
標準の反射スペクトルからのL***色空間からの色
差、もしくは三刺激値(X、Y、Z)と対比して演算
し、その結果を最上層塗布膜厚制御系にフィードバック
し、最上層反射防止層の塗布条件を制御することを特徴
とする反射防止フィルムの製造方法。
【0015】(6) 前記基材フィルムの上に、該基材
フィルム側から中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層
の順に3層積層することを特徴とする(2)、(4)ま
たは(5)に記載の反射防止フィルムの製造方法。
【0016】(7) 塗布を流量規制方式により行うこ
とを特徴とする(1)乃至(6)の何れか1項に記載の
反射防止フィルムの製造方法。
【0017】(8) (1)乃至(7)の何れか1項に
記載の反射防止フィルムの製造方法で製造されたことを
特徴とする反射防止フィルム。
【0018】本発明を詳述する。反射防止フィルム及び
反射防止層という語は、他で使用されている低反射フィ
ルムまたは低反射層なる語と同義であるが、本発明にお
いては反射防止フィルム及び反射防止層を使用する。
【0019】本発明の反射防止フィルムの反射防止層
は、屈折率の異なる層2層以上を、つまり高屈折率層、
中屈折率層、及び低屈折率層を積層することによって得
られる。本発明においては、中屈折率層、高屈折率層及
び低屈折率層の順に基材フィルムの上に積層するのが好
ましいが、それぞれの同じ屈折率の層が2層以上積層さ
れていてもよく、全重層数は、6〜9層を積層してもよ
い。例えば中屈折率層が2層以上あってもよく、屈折率
の異なる層を上記の順にこだわることなく積層してもよ
い。本発明において、以降基材フィルム側から中屈折率
層、高屈折率層及び低屈折率層の順に積層されている3
重層の反射防止フィルムについて代表して述べることと
する。
【0020】本発明に係る反射防止層の各層は、それぞ
れの屈折率を与える物質を含有するか、または層形成後
それぞれの屈折率となる物質を含有する塗布液を基材フ
ィルムの上に塗布・乾燥して得られるものである。本発
明は、塗布・乾燥工程を含む反射防止フィルムの製造ラ
イン中(オンライン)で、反射率を測定し、予め用意し
た設定波長の標準の反射率と対比して演算し、その結果
を塗布膜厚制御系にフィードバックして、目標とする膜
厚及び屈折率を有する反射防止フィルムを製造する方法
である。
【0021】本発明における、一つの態様(請求項1及
び2)について説明する。先ず中屈折率層塗布液を始め
とするいろいろな条件を変化させることにより、仕上が
り膜厚の目標値及び目標値からほぼ±10%以内、膜厚
を変動させた複数の塗布を行う。乾燥後、それぞれにつ
いて、380〜800nmの可視光波長領域で反射スペ
クトルをオンライン反射率測定器で測定する。この際、
反射スペクトルは干渉の影響のため細かいギザギザのあ
るカーブになっているので、干渉の影響を排除したそれ
ぞれの反射スペクトル近似曲線を求めて基本的なスペク
トルとする。
【0022】中屈折率層の目標膜厚の基本反射スペクト
ルと、膜厚を±10%以内変動させた変動反射スペクト
ルを反射率測定装置を使用して測定し、基本データとす
る。これらのスペクトルデータをコンピュータにインプ
ットしておく。実際の中屈折率層の反射率の測定におい
ては、可視光波長領域内で設定した少なくとも2点の波
長の反射率のみを測定すればよく、この測定点の反射率
データと設定した該2点の波長に相当する基本データの
反射率とを対比して演算し、膜厚調整系にフィードバッ
クし、塗布膜厚調整系で濃度や塗布膜厚を制御すること
により、目標値の膜厚及び屈折率を有する中屈折率層が
得られる。
【0023】次に、中屈折率層の上に重層した高屈折率
層(以降、中屈折率層/高屈折率層積層と記載すること
がある)の反射率の測定と膜厚調整について述べる。
【0024】上記のように、既に目標値を有している中
屈折率層の上に、次の塗布機で高屈折率層塗布液を仕上
がり膜厚を目標値として塗布し、また仕上がり膜厚を目
標値からほぼ±10%変動させて塗布し、乾燥後、それ
ぞれについて、380〜800nmの可視光波長領域で
中屈折率層/高屈折率層積層の反射スペクトルを測定す
る。この際、やはり反射スペクトルは干渉の影響のため
細かいギザギザのあるカーブになっているので、干渉の
影響を排除したそれぞれの反射スペクトル近似曲線を求
めて、それぞれの曲線を中屈折率層/高屈折率層の積層
の反射スペクトルを基本データとする。これらのスペク
トルデータをコンピュータにインプットしておく。実際
の中屈折率層/高屈折率層積層の測定においては、上記
と同様に可視光波長領域内で設定した少なくとも2点の
波長の反射率のみを測定すればよく、この測定点の反射
率データと設定した少なくとも該2点の波長に相当する
基本データの反射率とを対比して演算し、膜厚調整系に
フィードバックし、塗布膜厚調整系で濃度や塗布膜厚を
制御することにより、目標値の膜厚及び屈折率を有する
中屈折率層/高屈折率層積層が得られる。
【0025】更に、既に目標値を有している中屈折率層
/高屈折率層積層の高屈折率層の上に、次の塗布機で低
屈折率層塗布液を仕上がり膜厚を目標値として塗布し、
また仕上がり膜厚を目標値からほぼ±10%変動させて
塗布を行い、乾燥後、それぞれについて、380〜80
0nmの可視光波長領域で中屈折率層/高屈折率層/低
屈折率層積層の反射スペクトルを測定する。この際、や
はり反射スペクトルは干渉の影響のため細かいギザギザ
のあるカーブになっているので、干渉の影響を排除した
それぞれの反射スペクトル近似曲線を求めて、該曲線を
中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層積層の基本反射ス
ペクトルと±10%以内変動させた中屈折率層/高屈折
率層/低屈折率層の積層の反射スペクトルとする。実際
の中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層積層において
は、上記と同様に可視光波長領域内で設定した少なくと
も2点の波長の反射率のみを測定すればよく、この測定
点の反射率データと設定した少なくとも該2点の波長に
相当する基本データの反射率とを対比して演算し、膜厚
調整系にフィードバックし、塗布膜厚調整系で濃度や塗
布膜厚を制御することにより、目標値の膜厚及び屈折率
を有する中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層積層の反
射防止フィルムが得られる。
【0026】図1は、反射防止フィルム(基材フィルム
/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層積層)の可視光
波長領域の反射スペクトルを示した図である。縦軸は反
射率、横軸は測定波長であり、干渉の影響を排除したカ
ーブで反射スペクトルを示している。
【0027】本発明の別の態様(請求項3及び4)は、
仕上がった反射防止フィルムの着色度合いを調整する方
法であるが、この方法で膜厚の調整も行うことが出来
る。前記した基本データの反射スペクトルは、図1に示
すように、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層積層の
反射スペクトルは380〜550nm及び600〜80
0nmの2波長領域で反射率がそれぞれ低波長及び高波
長へ行くに従い上昇していることがわかる。この上昇の
ために反射防止フィルムの色が生じる。従って、これら
2波長領域の反射率(膜厚を)制御することによって、
着色の度合いを変えることが出来、実際には着色が目立
たないようにすることが出来る。
【0028】前述の基本データにもこれらの反射率の上
昇のデータも入っている。また、図示してないが、膜厚
を±10%変動した場合の反射スペクトルの変化は、使
用する素材や積層数等によって異なることがあるが、中
屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の3積層の場合、反
射スペクトルが550nm以下においては、膜厚の変動
が目標値よりプラス側に大きくなると反射率が上昇し、
膜厚の変動がマイナス側に大きくなると反射率が低下す
る。これに対して、反射スペクトルが600nm以上に
おいては、膜厚の±10%変動が目標値よりプラス側に
大きくなると反射率が低下し、膜厚の変動がマイナス側
に大きくなると反射率が上昇するという現象が観察され
る。このような反射スペクトルの挙動は、中屈折率層/
高屈折率層/低屈折率層積層の場合で多く、中屈折率層
単層の場合や中屈折率層/高屈折率層積層の場合では、
3層積層の反射スペクトル及びその挙動と異なる場合が
多い。従って、予めこれらの領域でそれぞれの層、積
層、あるいは素材を変化させたもののスペクトルを充分
に観測しておく必要がある。
【0029】前述の可視光波長領域での反射率の測定
と、この着色のための反射率の測定は基本的に変わるこ
とはなく、基本データの前述の可視光波長領域の目標及
び変動したものの反射スペクトルを使用し、また、単層
及び積層の反射率の測定も同様である。すなわち、先
ず、中屈折率層の反射率、次に中屈折率層/高屈折率層
積層の反射率、更に中屈折率層/高屈折率層/低屈折率
層積層の反射率を測定すればよく、演算、フィードバッ
ク、制御についても同様に行えばよい。ただ、前記と異
なる所は、着色という点からの調整と、反射率の測定点
が上記2波長領域それぞれで、少なくとも1波長点で行
う点である。測定点は1波長点以上であれば何点でもよ
いが、せいぜい2点あれば正確な制御が可能である。
【0030】本発明において、各層を塗設する際、下記
の表1〜3に記載した波長〜反射率〜膜厚調整の関係に
よりコンピュータからの塗布膜厚調整系への指令が行わ
れる。但し、下記表1〜3においては、各層の屈折率が
一定であるとした場合である。この表の見方は、例え
ば、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層を塗布すると
いう表3では、400nmにおいて、中屈折率層/高屈
折率層の上に低屈折率層を塗布をしている時の測定して
いる反射率が、目標反射率より低い(<目標反射率)
時、膜厚が薄いから塗布膜厚を厚くしろという指令が出
るということである。また750nmにおいて、中屈折
率層/高屈折率層の上に低屈折率層を塗布をしている時
の測定している反射率が、目標反射率より高い(>目標
反射率)時は、膜厚が薄いから塗布膜厚を厚くするとい
う指令が出るということである。550〜600nmに
おいて、中屈折率層/高屈折率層の上に低屈折率層を塗
布をしている時に測定している反射率が、目標反射率と
ほぼ同じである(≒目標反射率)ため、この波長におい
ては膜厚調整の指令は出せないので、この領域は使用し
ない方がよい。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】更に、もう一つの本発明の別の態様(請求
項5)は、着色の調整に関するものであるが、可視光波
長領域の全反射スペクトルから色差、もしくは三刺激値
に変換して制御するという方法である。中屈折率層/高
屈折率層/低屈折率層積層の最上層の低屈折率層を塗布
している時の着色が最も顕著に現れるので、最終仕上が
りの着色という観点からも低屈折率層塗布時に微調整を
行うことが好ましい。しかし、どの波長が着色に関与し
ているかの判断が難しい場合がある。特に最上層を塗設
して仕上げたものは、膜厚の僅かなズレが特定波長で大
きくなり、色として人に認識され易くなる。人間が認識
する色を数値に置き換えたL***色空間からの下記
色差の式(JIS Z8729に規格化されている色の
表示方法)によって求める。
【0035】ΔE*ab=[(ΔL*2+(Δa*2
(Δb*21/2 ここで、L*は明度指数、a*及びb*は知覚色度指数で
ある。
【0036】また、三刺激値(X、Y、Z)によって色
を判断することが出来る。そこで、本発明において、色
は上記色差の式で求める方法、また三刺激値(X、Y、
Z)で求める方法をもう一つの着色を判断する基準とし
て採用した。この方法は、目標の中屈折率層/高屈折率
層/低屈折率層積層の全反射スペクトルから色差の式ま
たはX、Y、Zの三刺激値に変換して、塗布中の低屈折
率層の全反射スペクトルの変換した色差の式またはX、
Y、Zの三刺激値とを対比演算して、低屈折率塗布膜厚
調整系にフィードバックし、その指令によって制御する
ものである。
【0037】本発明の反射防止フィルムを製造するのに
有用な装置について説明するが、図2に示した装置に限
定されるものではなく、1層逐次塗布する装置でも、3
層連続塗布出来る装置でもよい。
【0038】図2は、本発明に有用な反射防止フィルム
製造装置の1例を示した概略図である。
【0039】図2を用いて本発明に有用な反射防止フィ
ルムの製造方法を説明する。本発明において、アンワイ
ンダー(ロールからのフィルム繰り出し機)UWから繰
り出される基材フィルムF上に中屈折率層塗布液を塗布
装置10で塗布し、乾燥装置12で乾燥後、中屈折率層
の塗設が終了した時点での屈折率測定器の測定ヘッダー
(プローブ)14で反射率または反射スペクトルを検出
し、オンライン反射率測定装置15により可視光波長領
域の設定した少なくとも2波長の反射率を測定する。そ
の結果を演算処理装置16で目標値との差を演算して、
中屈折率層塗布液の塗布膜厚制御系17にフィードバッ
クして目標値の中屈折率層を形成するべく、濃度及び精
密定量ポンプ18の流量をチェックして目標値になるよ
うに濃度及び/または塗布装置10の塗布液送液量等を
微調整して、目標値の膜厚の中屈折率層を形成する。な
お、乾燥の最後に紫外線照射装置19で紫外線を照射す
るのが好ましく、また乾燥装置12の部末端部の冷却部
19Aで冷却することが好ましい。また13は塗布面が
接触しないでターンさせる非接触型のエアーロールであ
る。
【0040】次いで、該目標値を有する中屈折率層F1
の上に、高屈折率層塗布液を塗布装置20で塗布し、乾
燥装置22で乾燥後、高屈折率層の塗設が終了した時点
での中屈折率層/高屈折率層積層の高屈折率層側から測
定ヘッダー(プローブ)24で反射率または反射スペク
トルを検出し、オンライン反射率測定装置25により可
視光波長領域の設定した少なくとも2波長の反射率を測
定する。その結果を演算処理装置26で目標値との差を
演算して高屈折率層塗布液の塗布膜厚制御系27にフィ
ードバックして目標値の高屈折率層を形成するべく、濃
度及び精密定量ポンプ28の流量をチェックし目標値に
なるように濃度及び/または塗布装置20の塗布液送液
量等を微調整して、目標値の膜厚の高屈折率層を形成す
る。なお、乾燥の最後に紫外線照射装置29で紫外線を
照射するのが好ましく、また乾燥装置22の末端部の冷
却部29Aで冷却することが好ましい。また23は非接
触型のエアーロールである。
【0041】更に、目標値の膜厚を有する上記中屈折率
層/高屈折率層積層のフィルムF2の高屈折率層上に、
低屈折率層塗布液を塗布装置30で塗布し、乾燥装置3
2で乾燥後、低屈折率層の塗設が終了した時点での3重
層(中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層)の反射フィ
ルムF3の低屈折率層側から測定ヘッダー(プローブ)
34で反射率または反射スペクトルを検出し、オンライ
ン反射率測定装置35により可視光波長範囲の設定した
少なくとも2波長の反射率を測定する。その結果を演算
処理装置36で目標値との差を演算して低屈折率層塗布
液の塗布膜厚制御系37にフィードバックして目標値の
低屈折率層を形成するべく、濃度及び精密定量ポンプ3
8の流量をチェックし目標値になるように濃度及び/ま
たは塗布装置30の塗布液送液量等を微調整して、目標
値の膜厚の高屈折率層を形成する。なお、乾燥の最後に
紫外線照射装置39で紫外線を照射するのが好ましく、
また乾燥装置32の末端部の冷却部39Aで冷却するこ
とが好ましい。また33は非接触型のエアーロールであ
る。仕上がった中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層積
層の反射防止フィルムF3をアンワインダーWで巻き取
り、本発明の反射防止フィルムを製造する。なお、測定
ヘッダー(プローブ)14、24及び34は基材フィル
ムの幅方向に往復移動しながら反射率を検出することが
好ましい。
【0042】本発明において、微調整可能な塗布方式と
しては、例えば、バー塗布法、ロール塗布法、グラビア
塗布法、ブレード塗布法、スライド塗布法、スリットダ
イ塗布法、カーテン塗布法等一般的に用いられるものを
挙げることが出来る。それぞれの塗布方法における膜厚
条件の制御操作を可能にする条件を下記に挙げる。
【0043】バー塗布:フィルム張力、バー回転数、フ
ィルム抱き角度、バーの押しつけ圧 ロール塗布:ロール周速、ロールへの塗布液の供給量 グラビア塗布法:グラビアロール回転速度、グラビアロ
ールの押しつけ圧 ブレード塗布法:ブレード押しつけ圧、押しつけ角度 スライドホッパー塗布法:塗布液送液量 スリットダイ塗布法:塗布液送液量 カーテン塗布法:塗布液送液量 バー塗布、ロール塗布、グラビア塗布またはブレード塗
布の塗布方式によっては、操作条件での膜厚変化範囲が
小さかったり、塗布液の循環使用による塗布液濃度や塗
布液粘度のような塗布液物性の変化がおこるため操作条
件の変更が煩雑になる場合がある。
【0044】これに対して、スライドホッパー塗布、ス
リットダイ塗布、カーテン塗布のように精密に量規制が
出来るポンプ等の送液手段により塗布部に送った塗布液
が全て支持体に塗布されるいわゆる流量規制型塗布法を
用いると、塗布液の循環使用が無く塗布液物性の変化が
無く安定に膜厚を保つことが出来、操作条件も塗布可能
範囲であれば流量を変化することのみで簡単に膜厚を変
更することが可能であり、本発明に係る塗布方法として
特に好ましい。
【0045】本発明に有用な反射率測定方法は、反射率
及び反射スペクトルを使用する方法であり、例えば、大
塚電子(株)製の膜厚測定システムMCPDシリーズ
(MCPD検出器と光ファイバーの組み合わせ)を好ま
しく用いることが出来る。
【0046】本発明において、上記測定システムの反射
率を測定するプローブは、出来るだけ基材フィルムの全
長、全幅をカバー出来るように幅方向に往復運動して移
動出来るようになっていることが好ましい。また本発明
における測定は、最初に塗布される中屈折率層の反射率
及び反射スペクトルの情報、次の高屈折率層の積層の反
射率及び反射スペクトルの情報、更に低屈折率層の積層
の情報がそれぞれの段階でフィードバックされ、予め得
ているコンピュータ内の情報と照合してそれぞれの層及
び積層の全幅にわたって目標反射率になるように制御す
るようになっている。このように積層した反射防止層を
塗布中オンラインでそれぞれ段階で反射率及び反射スペ
クトルを測定することにより、品質が優れた反射防止フ
ィルムを生産することが出来、更に高収率で得られる安
定な生産を可能にするものである。またオンラインで測
定プローブにより全長測定することによって、反射防止
フィルムの全長にわたる欠陥情報、製品化可能部分情報
というような巻き取った長尺のロールの製品情報等によ
り品質情報を知ることが出来、ユーザーに有益な情報を
提供することも出来る。
【0047】更に、より正確な情報をフィードバックす
るために、幅方向に測定プローブを少なくとも縦方向に
2個以上の複数の測定プローブを測定と移動を交互に繰
り返すことによって、それらの複数の測定プローブから
の測定データの平均値を得るようにすることが好まし
い。
【0048】本発明において、反射光を測定する際に
は、測定室内は光のない暗黒状態とすることが好ましい
が、上記膜厚測定システムはそこまでしなくとも反射率
を測定出来るようになっているので必ずしも暗黒にする
ことはなくなっている。また、測定室内のプローブの測
定位置は、ロール間隔が狭い、例えば、300mm範囲
以内でフィルムが振動しないところで測定することが好
ましいが、ロールから10mm程度以内の範囲内で測定
するのがより好ましい。更に、反射光を測定する際、測
定位置の基材フィルムの前後にアキュムレータを設け
て、基材フィルムを一時的に停止させて測定してもよ
い。
【0049】〔反射防止層組成物〕本発明に係る反射防
止層を形成する組成物について説明する。
【0050】本発明に係る反射防止層は前述のように、
基材フィルム/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の
少なくとも3重層で構成されている。そして、中屈折率
層の屈折率を決める主な物質は、酸化チタンと樹脂や酸
化珪素の混合物であり、高屈折率層の屈折率を決める主
な物質は酸化チタンであり、低屈折率層の屈折率を決め
る主な物質は酸化珪素または酸化珪素とフッ素化合物の
混合物である。
【0051】酸化チタンまたは酸化珪素を形成する前駆
体は主として、有機チタン化合物あるいは有機珪素化合
物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物で
ある。また、有機金属化合物を使用せずに、酸化チタ
ン、酸化珪素、酸化チタンと酸化珪素の混合物または酸
化珪素とフッ素化合物を微粒子状として用いてもよい。
以下に、本発明に有用な有機金属化合物について説明す
る。なお、本発明において、有機金属化合物に一部ハロ
ゲン化金属化合物を含めることがあることを断ってお
く。
【0052】〈有機チタン化合物〉本発明に有用な高屈
折率層用または中屈折率層用の前駆体としての有機チタ
ン化合物は下記式(I)または(II)で表される。
【0053】 (I) Ti(R63 (II) Ti(R74 式中、R6はOR9またはXであり、及びR7はR8、OR
9、OR10またはXであり、R8及びOR9のR9は炭素原
子数1〜8の脂肪族炭化水素基、好ましくは炭素原子数
1〜4の脂肪族炭化水素基、OR10はβ−ケトン錯体
基、β−ケト酸錯体基、β−ケト酸エステル錯体基、ま
たはケト酸錯体で、またXはハロゲンである。OR9
たはXは上記式の(I)または(II)のTiに少なくと
も3個が結合していることが本発明においては必須であ
る。上記式(I)または(II)の有機チタン化合物は、
塗布組成物として塗布液中には、モノマー、オリゴマ
ー、またはそれらの加水分解物として存在している。こ
の加水分解物は−Ti−O−Ti−のように反応して架
橋構造をしていると考えられ、これにより硬化した層が
形成される。
【0054】本発明に有用な有機チタン化合物のモノマ
ー、オリゴマーとしては、テトラメトキシチタン、テト
ラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、、テトラ
ブトキシチタン、メチルトリメトキシチタン、エチルト
リエトキシチタン、エチルトリプロポキシチタン、メチ
ルトリプロポキシチタン、エチルトリブトキシチタン、
トリエトキシチタンアセトアセトナート、ジプロポキシ
チタンジアセトアセトナート、クロロトリプロポキシチ
タン、クロロトリエトキシチタン、トリメトキシチタ
ン、トリエトキシチタン、トリプロポキシチタン、ジエ
トキシチタンアセトアセトナート等及びこれらのオリゴ
マーの2〜10量体を挙げることが出来、これらに限定
されない。なお、プロポキシ基についてはn−またはi
−、またブトキシ基については、n−、i−、s−また
はtのいずれであってもよく、上記において、これらに
ついては省略してある。本発明において、テトラメトキ
シチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチ
タン、テトラブトキシチタン及びこれらの2〜10量体
を好ましく用いることが出来る。中でもテトラプロポキ
シチタン、テトラブトキシチタン、及びこれらの2〜1
0量体が特に好ましい。また、有機チタンを2種以上組
み合わせて用いてもよい。
【0055】本発明に用いられる有機チタン化合物のモ
ノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物は、高屈
折率層塗布液または中屈折率層塗布液に含まれる固形分
中の50.0質量%〜98.0質量%を占めていること
が好ましい。固形分比率は50質量%〜90質量%がよ
り好ましく、55質量%〜90質量%が更に好ましい。
このほか、塗布組成物には有機チタン化合物のポリマー
(あらかじめ有機チタン化合物の加水分解を行って架橋
したもの)を添加することも好ましい。
【0056】また、有機チタン化合物は、高屈折率層塗
布液または中屈折率層塗布液中において上記モノマー、
オリゴマーまたはこれらの部分または完全加水分解物と
して含まれているが、これらの有機チタン化合物は、徐
々に自己縮合し架橋して網状結合が形成される。その反
応を促進するために触媒や硬化剤を使用してもよく、こ
れらの触媒や硬化剤には金属キレート化合物、有機カル
ボン酸塩等の有機金属化合物や、アミノ基を有する有機
珪素化合物、光による酸発生剤(光酸発生剤)等を挙げ
ることが出来、これらのうち特に好ましいものはアルミ
キレート化合物と光酸発生剤である。アルミキレート化
合物の例としては、エチルアセトアセテートアルミニウ
ムジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセ
トアセテート、アルキルアセトアセテートアルミニウム
ジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセト
ネートビスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリ
スアセチルアセトネート等であり、光酸発生剤の例とし
ては、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオ
ロホスフェート、その他のホスホニウム塩やトリフェニ
ルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートの塩等を挙
げることが出来る。
【0057】〈有機珪素化合物〉本発明に有用な低屈折
率層用及び中屈折率層用の酸化珪素の前駆体としての有
機珪素化合物は、下記式(III)で表される。
【0058】(III) Si(R114 式中、R11はR12、OR13、OR14またはXであり、R
12及びOR13のR13は炭素原子数1〜8の炭素原子数の
脂肪族炭化水素基、好ましくは1〜4の脂肪族炭化水素
基、OR14はβ−ケトン錯体基、β−ケト酸錯体基、ま
たはそのエステル錯体基で、またXはハロゲンである。
Xはハロゲン原子を表す。上記式(III)の有機珪素化
合物は、塗布組成物として塗布液中には、モノマー、オ
リゴマー、またはそれらの加水分解物として存在してい
る。この加水分解物は−Si−O−Si−のように反応
して架橋構造をしていると考えられており、これにより
硬化した層が形成される。
【0059】テトラメトキシ珪素、テトラエトキシ珪
素、テトラプロポキシ珪素、テトラブトキシ珪素、メチ
ルトリメトキシ珪素、エチルトリエトキシ珪素、エチル
トリプロポキシ珪素、メチルトリプロポキシ珪素、エチ
ルトリブトキシ珪素、トリエトキシ珪素アセトアセトナ
ート、ジプロポキシ珪素アセトアセトナート、クロロト
リプロポキシ珪素、クロロトリエトキシ珪素等及びこれ
らのオリゴマーの2〜10量体を挙げることが出来、こ
れらに限定されない。なお、プロポキシ基についてはn
−またはi−、またブトキシ基については、n−、i−
またはs−のいずれであってもよく、上記において、こ
れらについては省略してある。これらを加水分解するこ
とによりオリゴマーが得られる。加水分解反応は、公知
の方法により行うことが出来、例えば、上記テトラアル
コキシシランに所定量の水を加えて、酸触媒の存在下
に、副生するアルコールを留去しながら、通常、室温〜
100℃で反応させる。この反応によりアルコキシシラ
ンは加水分解し、続いて縮合反応が起こり、ヒドロキシ
ル基を2個以上有する液状のオリゴマー(通常、平均重
合度は2〜8、好ましくは3〜6)を加水分解物として
得ることが出来る。加水分解の程度は、使用する水の量
により適宜調節することが出来るが、本発明においては
40〜90%、好ましくは60〜80%である。ここ
で、加水分解の程度は、加水分解可能な基、即ちテトラ
アルコキシシランにおいては、アルコキシ基を全て加水
分解するために必要な理論水量、即ちエトキシ基の数
(mol)の1/2の水を添加したときを加水分解率1
00%とし、 加水分解率(mol%)=(実際の添加水mol/加水
分解理論水mol%)×100 として求められる。
【0060】こうして得られたオリゴマーにはモノマー
が通常2〜10質量%程度含まれている。本発明におい
てはモノマー状態で用いてもオリゴマー状態で用いて
も、またはモノマーとオリゴマーを混合して用いても差
し支えないが、モノマーが含まれていると貯蔵安定性に
欠け、保存中に増粘し、膜形成が困難となることがある
ので、モノマー含有量が全体の有機珪素化合物の1質量
%以下、好ましくは0.3質量%以下になるように、こ
のモノマーをフラッシュ蒸溜や真空蒸溜等で除去するの
が好ましい。
【0061】本発明には、上記の如くテトラアルコキシ
シランに触媒や水を添加して得られる部分加水分解物が
用いられるが、部分加水分解物より完全加水分解物を用
いるのが好ましい。加水分解物に溶媒を配合し、次いで
下記硬化触媒と水を添加する等の方法により硬化した加
水分解物が得られる。このような溶媒としては、メタノ
ール、エタノール、(n、i−)プロパノール、(n、
i、s−)ブタノール、オクタノール等を1種または2
種以上併用して使用するのが好ましい。
【0062】溶媒量は部分加水分解物100質量部に対
して50〜400質量部、好ましくは100〜250質
量部である。
【0063】硬化触媒としては、酸、アルカリ、有機金
属、金属アルコキシド等を挙げることが出来るが、本発
明においては酸、特にスルホニル基またはカルボキシル
基を有する有機酸が好ましく用いられる。例えば、酢
酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエ
ンスルホン酸、メチルスルホン酸等が用いられる。ま
た、有機酸は水溶性の酸であることが好ましく、例え
ば、クエン酸、酒石酸、レブリン酸、ギ酸、プロピオン
酸、リンゴ酸、コハク酸、メチルコハク酸、フマル酸、
オキサロ酢酸、ピルビン酸、2−オキソグルタル酸、グ
リコール酸、D−グリセリン酸、D−グルコン酸、マロ
ン酸、マレイン酸、シュウ酸、イソクエン酸、乳酸等が
好ましく用いられる。また、安息香酸、ヒドロキシ安息
香酸、アトロバ酸等も適宜用いることが出来る。更に、
これらの有機酸のうち、1分子内に水酸基とカルボキシ
ル基を有する化合物であれば一層好ましく、例えば、ク
エン酸または酒石酸等のようなヒドロキシジカルボン酸
は好ましく用いられる。有機酸を用いることにより、硫
酸、塩酸、硝酸、次亜塩素酸、ホウ酸等の無機酸の使用
した場合の生産時の配管腐蝕や安全性への懸念が解消出
来るばかりでなく、加水分解時のゲル化を起こすことも
なく、安定した加水分解物を得ることが出来る。有機酸
の添加量は、部分加水分解物100質量部に対して0.
1〜10質量部、好ましくは0.2〜5質量部がよい。
また、水の添加量については部分加水分解物が理論上1
00mol%加水分解し得る量以上であればよく、10
0〜300mol%相当量、好ましくは100〜200
mol%相当量を添加するのがよい。
【0064】このようにして得られた低屈折率層用また
は中屈折率層用の塗布組成物は極めて安定となる。
【0065】本発明では更に、加水分解した有機珪素化
合物を熟成をすることにより、加水分解の促進、縮合、
そして架橋の形成へと進み酸化珪素が形成され、このよ
うにして皮膜となった低屈折率層または中屈折率層の特
性が優れたものとなる。熟成は、オリゴマー液を放置す
ればよく、放置する時間は上述の架橋が所望の膜特性を
得るのに充分な程度進行する時間である。具体的には、
用いる触媒の種類にもよるが、塩酸では室温で1時間以
上、マレイン酸では数時間以上、8時間〜1週間程度で
充分であり、通常3日前後である。熟成温度は熟成速度
に影響を与え、極寒地では20℃付近まで加熱する手段
をとった方がよいこともある。一般に高温では熟成が早
く進むが、100℃以上に加熱するとゲル化が起こるの
で、せいぜい50〜60℃までの加熱が適切である。ま
た、本発明で用いるオリゴマーについては、上記の他
に、例えばエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、
カルボキシル基等の官能基を有する有機珪素化合物のモ
ノマー、オリゴマーあるいはポリマーにより変性したも
のであってもよく上記オリゴマーと併用してもよい。低
屈折率層または中屈折率層に形成される酸化珪素はほと
んどがSiOx(ここで、xは2以下である)のように
なっており、限りなくSiO2であることが好ましい。
【0066】〈バインダー〉本発明の各屈折率層を形成
する塗布液には塗布性や塗布後の安定性等からバインダ
ーを含有することが好ましいが、有機金属化合物との相
溶性もあって特定の有機金属化合物においてはバインダ
ーを使用しない場合もある。従って、塗布液組成中のバ
インダーの固形分比率は20質量%以下が好ましい。
【0067】特に、有機チタン化合物を含む中屈折率層
または高屈折率層には、バインダーとしてアルコール溶
解性アクリル樹脂との相溶性の点から好ましく用いられ
る。これによって、膜厚ムラや凝集物のない中屈折率層
または高屈折率層を得ることが出来る。低屈折率層にお
いては、特にバインダーを使用しなくともよいが、使用
する場合には、上記アルコール可溶性のバインダーを使
用することが好ましい。また、各屈折率層の屈折率を目
標とする値にするために、バインダーを全く使用しない
方が良かったり、また目標の屈折率に調節するために、
バインダーの含有量を加減することもある。
【0068】本発明に有用なアルコール可溶性のバイン
ダーとしては、アルキル(メタ)アクリレート重合体ま
たはアルキル(メタ)アクリレート共重合体が好まし
く、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレ
ート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレー
ト、s−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、
エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、
イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレー
ト、イソブチルメタクリレート、s−ブチルメタクリレ
ート等の単独重合体または共重合体が好ましく用いられ
るが、共重合成分としてはこれらに限定されるものでは
ない。これらのアルコール可溶性アルキル(メタ)アク
リレート単独重合体または共重合体の市販品としては、
ダイヤナール(以下、ダイヤナールを略す)BR−5
0、BR−51、BR−52、BR−60、BR−6
4、BR−65、BR−70、BR−73、BR−7
5、BR−76、BR−77、BR−79、BR−8
0、BR−82、BR−83、BR−85、BR−8
7、BR−88、BR−89、BR−90、BR−9
3、BR−95、BR−96、BR−100、BR−1
01、BR−102、BR−105、BR−107、B
R−108、BR−112、BR−113、BR−11
5、BR−116、BR−117、BR−118(以
上、三菱レーヨン(株)製)等が使用出来る。これらの
モノマー成分も中屈折率または高屈折率層用バインダー
として好ましく添加することが出来る。バインダーの添
加比率を変更することによって屈折率を調整することが
出来る。
【0069】本発明において、上記の他に、以下のバイ
ンダーも使用出来る。かかるバインダーとしては、重合
可能なビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリ
ロイル基、イソプロペニル基、エポキシ基、オキセタン
環等の重合性基を2つ以上有し、活性エネルギー線照射
により架橋構造または網目構造を形成するアクリルまた
はメタクリル系活性エネルギー線反応性化合物、エポキ
シ系活性エネルギー線反応性化合物またはオキセタン系
活性エネルギー線反応性化合物が好ましい。これらの化
合物はモノマー、オリゴマー、ポリマーを含む。重合速
度、反応性の点から、これらの活性基のうちアクリロイ
ル基、メタクリロイル基またはエポキシ基が好ましく、
多官能モノマーまたはオリゴマーがより好ましい。ま
た、アルコール溶解性アクリル樹脂も好ましく用いられ
る。
【0070】アクリルまたはメタクリル系活性エネルギ
ー線反応性化合物としては、紫外線硬化型アクリルウレ
タン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系
樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外
線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂等を挙げること
が出来る。
【0071】紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、
一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマ
ー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に
更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタク
リレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示
する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸
基を有するアクリレート系のモノマーを反応させること
によって容易に得ることが出来る(例えば特開昭59−
151110号)。
【0072】紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系
樹脂は、一般にポリエステル末端の水酸基やカルボキシ
ル基に2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル
アクリレート、アクリル酸のようなのモノマーを反応さ
せることによって容易に得ることが出来る(例えば、特
開昭59−151112号)。
【0073】紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂
は、エポキシ樹脂の末端の水酸基にアクリル酸、アクリ
ル酸クロライド、グリシジルアクリレートのようなモノ
マーを反応させて得られる。
【0074】紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹
脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ
アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げる
ことが出来る。
【0075】紫外線硬化性樹脂について多くの市販品が
あり、例えば、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:
KR−400、KR−410、KR−550、KR−5
66、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工
業株式会社製);コーエイハード(以下、コーエイハー
ドを略す)A−101−KK、A−101−WS、C−
302、C−401−N、C−501、M−101、M
−102、T−102、D−102、NS−101、F
T−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、
M−101−C(以上、広栄化学工業株式会社製);セ
イカビーム(以下、セイカビーを略す)PHC2210
(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、
DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P
1100、P1200、P1300、P1400、P1
500、P1600、SCR900(以上、大日精化工
業株式会社製);KRM7033、KRM7039、K
RM7130、KRM7131、UVECRYL292
01、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユ
ーシービー株式会社);RC−5015、RC−501
6、RC−5020、RC−5031、RC−510
0、RC−5102、RC−5120、RC−512
2、RC−5152、RC−5171、RC−518
0、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業株式
会社製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料
株式会社製);サンラッドH−601(三洋化成工業株
式会社製);SP−1509、SP−1507(昭和高
分子株式会社製);RCC−15C(グレース・ジャパ
ン株式会社製);アロニックスM−6100、M−80
30、M−8060(以上、東亞合成株式会社製)等を
挙げることが出来る。
【0076】本発明に係る反射防止層の各層には、屈折
率の調整あるいは膜質の改善のために、更に官能性シラ
ン化合物を添加することが好ましい。この官能性シラン
化合物を屈折率層に含有させることにより、各層の接着
性を強め効果があり、また該層に活性エネルギー線を照
射することによって、金属アルコキシド及びその加水分
解物の加水分解、更に縮合反応が促進し、金属酸化物を
生成させるのに効果的である。特に金属有機アルコキシ
ドがチタンアルコキシド化合物の場合に縮合反応の促進
が加速される。屈折率層中にバインダーがない場合に
は、該層の硬化作用があり、安定した屈折率層を得るこ
とが出来る。
【0077】本発明に有用な官能性シラン化合物として
は、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリ
エトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n
−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメト
キシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメ
トキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル
トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピ
ルトリメトキシシラン、4,4,4,3,3−ペンタフ
ルオロブチルトリメトキシシラン、3−(パーフルオロ
エトキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(パーフ
ルオロプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−
(2,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキ
シ)プロピルトリエトキシシラン、3−(2,2,3,
3,4,4,4−ヘプタフルオロペントキシ)プロピル
トリメトキシシラン、3−(2,2,3,3,4,4−
ブトキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(パーフ
ルオロシクロヘキシルオキシ)プロピルトリメトキシシ
ラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシ
シラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジ
メトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−
プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキ
シシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i
−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシ
ラン、ジビニルジエトキシシラン、ジ−3,3−テトラ
フルオロプロピルジメトキシシラン、ジ(3−(パーフ
ルオロプロポキシ)プロピル)ジメトキシシラン、ジ
(3−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ド
デカフルオロヘプトキシ)プロピル)ジメトキシシラ
ン、ジ−3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチルジ
メトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチル
トリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキ
シシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グ
リシドキシメチルトリエトキシシラン、αーグリシドキ
シエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチル
トリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメト
キシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロ
ポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラ
ン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−
グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシド
キシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエ
トキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシ
ラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、
(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキ
シシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル
トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロ
ポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメト
キシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキ
シシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラ
ン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−
グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリ
シドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシド
キシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシ
エチルエチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピル
メチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルエ
チルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチル
ジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
プロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフ
ェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルト
リメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3、
3、3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエ
トキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロ
ロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β
−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト
キシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシ
ラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ−メルカプトメチルジエトキシシラン、メチル
ビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラ
ン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシド
キシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチ
ルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエ
トキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシ
ラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリ
シドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グ
リシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキ
シブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチル
トリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラ
ン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−
グリシドキシブチルトリエトキシシラン、グリシドキシ
メチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメ
チルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチル
ジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエ
トキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキ
シシラン、β−グリシドキシエチルエチルジメトキシシ
ラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン
等を挙げることが出来る。何れもこれらの化合物を含有
する層に活性エネルギー線を照射することによって、金
属アルコキシド化合物の加水分解物の縮合が促進され、
架橋構造が出来、層を強化することが出来る共に接着性
も強固にすることが出来る。この効果はチタンアルコキ
シドにおいて、最も効果的である。これらの化合物を2
種以上組み合わせて使用してもよい。更にこれら以外に
もシランカップリンク剤を添加することも出来る。
【0078】本発明に使用する活性エネルギー線は、紫
外線、電子線、γ線等で、化合物を活性させるエネルギ
ー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が
好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に
得られるという点で紫外線が好ましい。上述の官能性シ
ラン化合物に照射する紫外線の光源、または紫外線反応
性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線
を発生する光源であれば何れも使用出来る。例えば、低
圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カ
ーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンラン
プ等を用いることが出来る。また、ArFエキシマレー
ザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシン
クロトロン放射光等も用いることが出来る。照射条件は
それぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜
10,000mJ/cm2が好ましく、更に好ましく
は、100〜2,000mJ/cm2であり、特に好ま
しくは、120〜2,000mJ/cm2である。
【0079】紫外線を用いる場合、多層の反射防止層を
1層ずつ照射してもよいし、積層後照射してもよいが、
生産性の点からは多層を積層後に紫外線を照射すること
が好ましい。
【0080】また、電子線も同様に使用出来る。電子線
としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、
共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロ
ン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される5
0〜1000keV、好ましくは100〜300keV
のエネルギーを有する電子線を挙げることが出来る。
【0081】〈有機溶媒〉本発明に係る各屈折率層を塗
布する際の塗布液に使用する溶媒は、例えば、メタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリ
コール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレング
リコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテ
ル類、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミ
ド、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、水等を挙げ
ることが出来る。特に、金属アルコキシドと相溶性のあ
るアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プ
ロパノールまたはブタノールは好ましく用いられる。ま
た、101kPa(1気圧)における沸点が120〜1
80℃で、且つ20℃における蒸気圧が2.3kPa以
下の溶媒を塗布液中に少なくとも1種用いることで、硬
化速度を適度に遅らせ、塗布後の白濁を防ぐことが出
来、塗布ムラの解消や、塗布液のポットライフ向上等も
出来るので好ましく、これらうち分子内にエーテル結合
を有する溶媒、特にグリコールエーテル類が好ましい。
グリコールエーテル類としては、プロピレングリコール
モノ(炭素原子数1〜4の)アルキルエーテル、または
プロピレングリコール(炭素原子数1〜4)アルキルエ
ーテルエステルであり、具体的にはプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコ
ールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ
(n−)プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ
イソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチ
ルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセ
テート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテー
トである。下記にこれらの好ましいグリコールエーテル
類の101kPaにおける沸点(℃)と20℃における
蒸気圧(kPa)の例を示すが、これらに限定されな
い。なお、下記の表示は、溶剤名と、括弧内は、1気圧
における沸点及び20℃における蒸気圧kPaを示す。
具体的に、プロピレングリコールモノメチルエーテル
(121、0.106)、プロピレングリコールモノエ
チルエーテル(132.8、0.53以上)、プロピレ
ングリコールモノブチルエーテル(171.1、0.1
3)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(16
2、0.40)、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル(124.4、0.78)、エチレングリコールメチ
ルエーテルアセテート(145、0.27)、エチレン
グリコールモノブチルエーテル(171.2、0.0
9)、エチレングリコールモノエチルエーテル(13
5.6、0.51)エチレングリコールエチルエーテル
アセテート(156.3、0.16)、エチレングリコ
ールジエチルエーテル(121、1.25)である。
【0082】これらの溶媒は、塗布液中に全有機溶媒の
1〜90質量%含有することが好ましい。
【0083】〈滑り剤〉本発明に係る反射防止層が塗設
された最外層に耐傷性を与えるために、該層に滑り剤を
含有させ滑り性を付与することが好ましい。最外層に
は、低屈折率層である場合と保護層を設ける場合とがあ
る。滑り剤としては、シリコンオイルやワックス状物質
が好ましく用いられる。
【0084】ワックス状物質としては、例えば、下記式
(IV)で表される化合物が好ましい。
【0085】(IV) R1COR2 式中、R1は炭素原子数が12以上のアルキル基または
アルケニル基が好ましく、更に、炭素原子数が16以上
のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。R2は−
OM1基(M1はNa、K等のアルカリ金属またはアンモ
ニウム基を表す)、−OH基、−NH2基、または−O
3基(R3は炭素原子数が12以上のアルキル基または
アルケニル基を表す)を表し、R2としては−OH基、
−NH2基または−OR3基が好ましい。具体的には、ベ
ヘン酸、ステアリン酸アミド、ペンタコ酸等の高級脂肪
酸またはその誘導体、天然物としてこれらの成分を多く
含んでいるカルナバワックス、蜜蝋、モンタンワックス
も好ましく使用出来る。また、米国特許第4,275,
146号明細書に開示されているような高級脂肪酸アミ
ド、特公昭58−33541号公報、英国特許第92
7,446号明細書または特開昭55−126238号
及び同58−90633号公報に開示されているような
高級脂肪酸エステル(炭素原子数が10〜24の脂肪酸
と炭素原子数が10〜24のアルコールのエステル)、
そして米国特許第3,933,516号明細書に開示さ
れているような高級脂肪酸金属塩、特開昭51−372
17号公報に開示されているような炭素原子数10まで
のジカルボン酸と脂肪族または環式脂肪族ジオールから
なるポリエステル化合物、特開平7−13292号公報
に開示されているジカルボン酸とジオールからのオリゴ
ポリエステル等も使用することが出来る。
【0086】シリコンオイル的なものとしては、特公昭
53−292号公報に開示されているようなポリオルガ
ノシロキサンが好ましく用いられる。
【0087】本発明において、低屈折率層に使用される
滑り剤の層中の含有量は、0.01〜10mg/m2
好ましい。また必要に応じて中屈折率層や高屈折率層に
添加してもよい。
【0088】〈界面活性剤等〉本発明の反射防止層に、
界面活性剤あるいは界面活性剤のような働きのあるもの
を添加してもよい。界面活性剤のような働きのあるもの
とは、柔軟剤や分散剤等を添加してもよく、これによっ
て耐擦り傷性が向上する。中でもアニオン系または非イ
オン系の界面活性剤が好ましく、例えば、ジアルキルス
ルホコハク酸ナトリウム塩、多価アルコール脂肪酸エス
テルの非イオン界面活性剤(乳化物)等を好ましく挙げ
ることが出来る。これらの市販品としては、例えば、リ
ポオイルNT−6、NT12、NT−33、TC−1、
TC−68、TC−78、CW−6、TCF−208、
TCF−608、NKオイルCS−11、AW−9、A
W−10、AW−20、ポリソフターN−606、塗料
用添加剤PC−700(日華化学株式会社製)等を挙げ
ることが出来る。また、塗布液には界面活性剤のような
働きをするものとして、レベリング剤やシリコンオイル
等の低表面張力物質を添加することが好ましい。例え
ば、東レダウコーング社製や信越化学社製のSH−37
49、BY−16−869、KF−101等、特願20
01−321854の表2に記載されているシリコンオ
イルを好ましく用いることが出来る。
【0089】本発明において、上記界面活性剤等は反射
防止層のうち、低屈折率層に添加するのが効果的であり
好ましい。添加量は、塗布液に含まれる固形分当たり
0.01〜3質量%程度が好ましく、より好ましくは
0.03〜1質量%である。
【0090】〈酸化珪素微粒子〉本発明において、反射
防止層と他の面との重ね合わされている間のくっつきを
なくすために、また、適度の滑り製を与えるために、低
屈折率層に酸化珪素微粒子を含有させることが好まし
い。酸化珪素微粒子の粒径は0.1μm以下のものが好
ましい。例えば、アエロジル200V(日本アエロジル
(株)製)等を添加することが出来る。特に表面がアル
キル基で修飾された酸化珪素微粒子が好ましく用いら
れ、例えば、アエロジルR972やR972V(日本ア
エロジル(株)製)として市販されている表面がメチル
基で修飾された酸化珪素微粒子を好ましく添加すること
が出来る。この他、特開2001−002799に記載
されている表面がアルキル基で置換された酸化珪素微粒
子も好ましく用いることが出来、これらは、前述のアル
コキシ珪素オリゴマーの加水分解後にアルキルシランカ
ップリング剤により処理することによって、表面がアル
キル基で置換された酸化珪素微粒子を容易に得ることが
出来る。この酸化珪素微粒子については、後述のセルロ
ースエステルフィルムのところでも記述するので、詳細
は後に譲る。酸化珪素微粒子の添加量は、低屈折率層中
の固形分比率で0.1〜40質量%の範囲が好ましい。
【0091】〔反射防止層の屈折率及び膜厚〕本発明に
係る反射防止層において、目標とする屈折率の範囲は、
中屈折率層では1.55以上、1.75未満が好まし
く、更に好ましくは、1.60〜1.73であり、高屈
折率層では1.75〜1.95が好ましく、より好まし
くは、1.85〜1.95であり、また、低屈折率層で
は1.30〜1.50が好ましく、より好ましくは1.
44〜1.47である。本発明の塗布量を調整する製造
方法において、用途に応じて目標として決められる屈折
率は上記より更に狭く指定される。
【0092】本発明に係る反射防止層の各屈折率層の膜
厚は、中屈折率層では78±5nm、高屈折率層では6
6±5nm、また低屈折率層では95±5nmが好まし
い。
【0093】本発明に係る反射防止層は、450nm〜
650nmにおける反射率が1%以下であることが好ま
しく、より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは
0.00〜0.3%である。
【0094】〔基材フィルム〕本発明に有用な基材フィ
ルムは、特に限定はないが、例えば、セルロースエステ
ル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネ
ート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスル
ホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等
のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ
プロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテ
ートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィル
ム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコー
ルフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シン
ジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボ
ネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメ
チルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、
ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィル
ム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチ
ルメタクリレートフィルムまたはアクリルフィルム等を
挙げることが出来る。中でも、セルローストリアセテー
トフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホン
(ポリエーテルスルホンを含む)が好ましく、本発明に
おいては、特にセルロースエステルフィルムとして、セ
ルローストリアセテートフィルム(例えば、コニカタッ
ク、製品名KC8UX2MW、KC4UX2MW(コニ
カ(株)製))、またはセルロースアセテートプロピオ
ネートフィルムが、製造上、コスト面、透明性、等方
性、接着性等の観点から好ましく用いられる。
【0095】支持体の光学特性としては、膜厚方向のリ
ターデーションRtが0〜300nm、面内方向のリタ
ーデーションR0が0〜1000nmの基材フィルムが
好ましく用いられる。
【0096】以下本発明において、特に好ましい基材フ
ィルムとしてセルロースエステルフィルムについて述べ
る。
【0097】〈セルロースエステルフィルム〉反射防止
フィルムには、セルロースエステルフィルムが好ましく
用いられる。セルロースエステルフィルムとしては、セ
ルロースアセテートフィルム、セルロースアセテートブ
チレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネー
トフィルムが好ましく、中でもセルロースアセテートフ
ィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セ
ルロースアセテートプロピオネートフィルムが好まし
い。
【0098】《セルロースエステル》セルロースエステ
ルフィルムの原料として、セルロースエステルのアシル
基の置換度が、アセチル基の置換度をX、プロピオニル
基またはブチリル基の置換度をYとしたとき、XとYが
下記の範囲にあるセルロースエステルが好ましい。
【0099】 2.3≦X+Y≦2.98 1.4≦X≦2.98 セルロースエステルフィルムの原料のセルロースエステ
ルとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パ
ルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げるこ
とが出来る。またそれらから得られたセルロースエステ
ルはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。
これらのセルロースエステルは、アシル化剤が酸無水物
(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合
には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有
機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセ
ルロース原料と反応させて得ることが出来る。
【0100】アシル化剤が酸クロライド(CH3COC
l、C25COCl、C37COCl)の場合には、触
媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行
われる。具体的には、特開平10−45804号に記載
の方法等を参考にして合成することが出来る。また、本
発明に用いられるセルロースエステルは各置換度に合わ
せて上記アシル化剤量を混合して反応させたものであ
り、セルロースエステルはこれらアシル化剤がセルロー
ス分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコー
スユニットが多数連結したものからなっており、グルコ
ースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基
にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)という。
例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニッ
トの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実
際には2.6〜2.98)。なお、セルロースエステル
のセルロースアセテートブチレートを形成するブチリル
基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。
【0101】プロピオネート基を置換基として含むセル
ロースアセテートプロピオネートは耐水性に優れ、液晶
画像表示装置用のフィルムとして有用である。
【0102】アシル基の置換度の測定方法はASTM−
D817−96の規定に準じて測定することが出来る。
【0103】セルロースエステルの数平均分子量は、7
0,000〜250,000が、成型した場合の機械的
強度が強く、且つ、適度なドープ粘度となり好ましく、
更に好ましくは、80,000〜150,000であ
る。
【0104】《有機溶媒》上記セルロースエステル溶液
を溶解し調製する有機溶媒としては、溶解性が良好であ
ることと、且つ、適度な沸点であることが好ましく、例
えば、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−
ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノ
ン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノー
ル、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノー
ル、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プ
ロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフル
オロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメ
チル−2−イミダゾリジノン等を挙げることが出来る
が、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオ
キソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等
が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられ
る。
【0105】また、後述の溶液流延製膜方法による製膜
工程に示すように、無限移行する無端の金属支持体上に
形成されたウェブ(ドープを流延した後の膜)から溶媒
を乾燥させるときに、ウェブ中の発泡を防止する観点か
ら、用いられる有機溶媒の沸点としては、30〜80℃
が好ましく、例えば、上記記載の良溶媒の沸点は、メチ
レンクロライド(沸点40.4℃)、酢酸メチル(沸点
56.32℃)、アセトン(沸点56.3℃)、酢酸エ
チル(沸点76.82℃)等である。
【0106】上記記載の良溶媒の中でも溶解性に優れる
メチレンクロライド及び酢酸メチルが好ましく用いら
れ、特にメチレンクロライドが全有機溶媒に対して50
質量%以上含まれていることが好ましい。
【0107】また、ドープ中には、上記有機溶媒の他
に、0.1〜30質量%の炭素原子数1〜4のアルコー
ルを含有させることが好ましい。特に好ましくは5〜3
0質量%で前記アルコールを含有させることが好まし
い。これらは上記記載のドープを金属支持体に流延後、
溶媒の蒸発が始まると、ドープ中のアルコールの比率が
多くなり、ウェブがゲル化し、ウェブが丈夫になり、金
属支持体からウェブを剥離することを容易になる。ゲル
化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は
非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進す
る役割もある。
【0108】炭素原子数1〜4のアルコールとしては、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロ
パノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタ
ノール等を挙げることが出来る。
【0109】これらの溶媒のうち、ドープの安定性がよ
く、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、且つ毒性がない
こと等からエタノールが好ましい。好ましくは、メチレ
ンクロライド70〜95質量%に対してエタノール5〜
30質量%を含む溶媒を用いることが好ましい。メチレ
ンクロライドの代わりに酢酸メチルを用いることも出来
る。
【0110】本発明に係るセルロースエステルフィルム
には、下記のような可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤
あるいは微粒子が含有されているのが好ましい。何れも
ドープ調製過程で添加混合される。
【0111】《可塑剤》可塑剤としては、例えば、リン
酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリ
メリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑
剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑
剤、ポリエステル系可塑剤等を好ましく用いることが出
来る。
【0112】リン酸エステル系可塑剤としては、トリフ
ェニルホスフェート、ジフェニルホスフェート、トリク
レジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフ
ェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ
ブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤とし
ては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレー
ト、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブ
チルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、
ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジ
シクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤
としては、トリブチルトリメリテート、トリフェニルト
リメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリ
ット酸エステル系可塑剤としては、テトラブチルピロメ
リテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチ
ルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤としては、
トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグ
リコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチ
ルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系
可塑剤としては、トリエチルシトレート、トリ−n−ブ
チルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセ
チルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−
(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いる
ことが出来る。その他のカルボン酸エステルの例には、
オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバ
シン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含ま
れる。
【0113】ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基
酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグ
リコールの共重合ポリマーを用いることが出来る。脂肪
族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、
セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロ
ヘキシルジカルボン酸等を用いることが出来る。グリコ
ールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピ
レングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3
−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等
を用いることが出来る。これらの二塩基酸及びグリコー
ルはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上混合して
用いてもよい。
【0114】また、特願2000−338883記載の
エポキシ系化合物、ロジン系化合物、フェノールノボラ
ック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ
樹脂、ケトン樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂等の化
合物もセルロースエステルの可塑剤として好ましく用い
ることが出来る。
【0115】上記化合物のうち市販品として、荒川化学
工業(株)からKE−604及びKE−610(酸価2
37及び170)、KE−100及びKE−356(ア
ビエチン酸、デヒドロアビエチン酸及びパラストリン酸
3者の混合物のエステル化物、酸価は8及び0)が市販
されている。また、播磨化成(株)からは、G−7及び
ハートールR−X(アビエチン酸、デヒドロアビエチン
酸及びパラストリン酸3者の混合物、酸価167及び1
68)が市販されている。
【0116】その他、可塑剤として、エポキシ樹脂(例
えば、アラルダイドEPN1179、アラルダイドAE
R260(旭チバ(株)製))、ケトン樹脂(例えば、
ハイラック110、はハイラック110H(日立化成
(株)製))、パラトルエンスルホンアミド樹脂(例え
ばトップラー(フジアミドケミカル(株)製))も好ま
しく用いることが出来る。これらの可塑剤は2種以上併
用してもよいし、上記他の可塑剤と組み合わせてもよ
い。
【0117】本発明において、セルロースエステルに対
する可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点
で、1〜20質量%が好ましく、特に好ましくは、3〜
13質量%である。
【0118】《紫外線吸収剤》本発明に係るセルロース
エステルフィルムに用いられる紫外線吸収剤は、波長3
70nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶
表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収
が少ないものが好ましい。
【0119】本発明において、好ましく用いられる紫外
線吸収剤は、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベ
ンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合
物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化
合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来る
が、これらに限定されない。
【0120】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ
−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ter
t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−ter
t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,
5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチ
レンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フ
ェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert
−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−
イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフ
ェノール(チヌビン171)、オクチル−3−〔3−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H
−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオ
ネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベン
ゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネート
の混合物(チヌビン109)、この他チヌビン326等
を挙げることが出来、何れも好ましく用いることが出来
る。なお、上記チヌビンはチバ・スペッシャリティー・
ケミカルズ社製である。
【0121】また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤とし
ては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′
−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、
ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル
フェニルメタン)等を挙げることが出来何れも好ましく
用いることが出来る。
【0122】本発明に係る基材フィルムに好ましく用い
られる紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や
液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好まし
く、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外
線吸収剤が特に好ましく用いられる。
【0123】また、特開2001−187825に記載
されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤は、支
持体の面品質を向上させ、塗布性にも優れている。特に
分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが
好ましい。
【0124】また、特開平6−148430号に記載の
一般式(1)または一般式(2)、特願2000−15
6039の一般式(3)、(6)、(7)記載の高分子
紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)も好まし
く用いられる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA
−30M(大塚化学(株)製)等が市販されている。
【0125】紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使
用条件などにより一様ではないが、通常はセルロースエ
ステルフィルム1m2当たり、0.2〜2.0gが好ま
しく、0.4〜1.5gが更に好ましく、0.6〜1.
0gが特に好ましい。
【0126】《微粒子》本発明に係るセルロースエステ
ルフィルムには滑り性を付与するために微粒子を添加す
ることが出来る。微粒子としては、無機化合物の微粒子
または有機化合物の微粒子を挙げることが出来る。
【0127】無機化合物としては、珪素を含む化合物、
酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸
カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸
カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、
珪酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、
更に好ましくは、珪素を含む無機化合物や酸化ジルコニ
ウムであるが、セルロースエステル積層フィルムの濁度
を低減出来るので、酸化珪素が特に好ましく用いられ
る。
【0128】酸化珪素微粒子としては、前記の例えば、
アエロジルR972、R972V、R974、R81
2、200、200V、300、R202、OX50、
TT600(アエロジルは日本アエロジル(株)製微粒
子の商標である)等の市販品が使用出来る。
【0129】酸化ジルコニウムの微粒子としては、例え
ば、アエロジルR976及びR811等の市販品が使用
出来る。
【0130】有機化合物としては、例えば、シリコーン
樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好まし
く、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。
【0131】上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に
三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、ト
スパール103、同105、同108、同120、同1
45、同3120及び同240(以上東芝シリコーン
(株)製)等の商品名を有する市販品が使用出来る。
【0132】本発明に用いられるセルロースエステルフ
ィルムに添加される微粒子の1次平均粒子径としては、
ヘイズを低く抑えるという観点から、20nm以下が好
ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好
ましくは、5〜12nmである。これらの微粒子は0.
1〜5μmの粒径の2次粒子を形成してセルロースエス
テルフィルムに含まれることが好ましく、好ましい平均
粒径は0.1〜2μmであり、更に好ましくは0.2〜
0.6μmである。これにより、フィルム表面に高さ
0.1〜1.0μm程度の凹凸を形成し、これによって
フィルム表面に適切な滑り性を与えることが出来る。
【0133】本発明に用いられる微粒子の1次平均粒子
径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万
倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その
平均値をもって、1次平均粒子径とした。微粒子の見掛
比重としては、70g/L以上が好ましく、更に好まし
くは、90〜200g/Lであり、特に好ましくは、1
00〜200g/Lである。見掛比重が大きい程、高濃
度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズが高くなら
ずしかも凝集物が出来にくいため好ましく、また、本発
明のように固形分濃度の高いドープを調製する際には、
特に好ましく用いられる。1次粒子の平均径が20nm
以下、見掛比重が70g/L以上の酸化珪素微粒子は、
例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたもの
を1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで
得ることが出来る。また例えばアエロジル200V、ア
エロジルR972Vの商品名で市販されており、それら
を使用することが出来る。
【0134】上記記載の見掛比重は酸化珪素微粒子を一
定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下
記式で算出したものである。
【0135】見掛比重(g/L)=酸化珪素質量(g)
÷酸化珪素の容積(L) 本発明に用いられる微粒子の分散液を調製する方法とし
ては、例えば以下に示すような3種類を挙げることが出
来る。
【0136】(調製方法A)溶剤と微粒子を撹拌混合し
た後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とす
る。微粒子分散液をドープ液に加えて撹拌する。
【0137】(調製方法B)溶剤と微粒子を撹拌混合し
た後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とす
る。別に溶剤に少量のセルローストリアセテートを加
え、撹拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて撹
拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をオ
ンラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0138】(調製方法C)溶剤に少量のセルロースト
リアセテートを加え、撹拌溶解する。これに微粒子を加
えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。
微粒子添加液をオンラインミキサーでドープ液と十分混
合する。
【0139】調製方法Aは酸化珪素微粒子の分散性に優
れ、調製方法Cは酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で
優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは酸化珪素
微粒子の分散性と、酸化珪素微粒子が再凝集しにくい
等、両方に優れている好ましい調製方法である。
【0140】(分散方法)酸化珪素微粒子を溶剤などと
混合して分散するときの酸化珪素の濃度は5〜30質量
%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15
〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添
加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズが小
さく、凝集物も無く好ましい。
【0141】使用する溶剤は、低級アルコール類が好ま
しく、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピル
アルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコー
ル等を挙げることが出来る。低級アルコール以外の溶媒
としては特に限定されないが、セルロースエステルの製
膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
【0142】セルロースエステルに対する酸化珪素微粒
子の添加量はセルロースエステル100質量部に対し
て、酸化珪素微粒子は0.01〜0.3質量部が好まし
く、0.05〜0.2質量部が更に好ましく、0.08
〜0.12質量部が最も好ましい。添加量は多い方が、
動摩擦係数が小さく、添加量の少ない方がヘイズが低
く、凝集物も少ない点が優れている。
【0143】上記分散機としては、通常の分散機を使用
し得る。一般に分散機は大きく分けて、メディア分散機
とメディアレス分散機に分けられる。酸化珪素微粒子の
分散にはメディアレス分散機がヘイズが低く好ましい。
【0144】メディア分散機としてはボールミル、サン
ドミル、ダイノミルなどを挙げることが出来る。メディ
アレス分散機としては、超音波型、遠心型、高圧型等が
あるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高
圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管
中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊
な条件を作りだす装置である。高圧分散装置で処理する
場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内
部の最大圧力条件が9.807MPa以上であることが
好ましく、更に好ましくは19.613MPa以上であ
る。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達
するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するも
のが好ましい。
【0145】上記のような高圧分散装置にはMicro
fluidics Corporation社製の超高
圧ホモジナイザのマイクロフルイダイザ(商品名)ある
いはナノマイザ社製のナノマイザ(商品名)があり、他
にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフ
ードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UH
N−01等を挙げることが出来る。
【0146】《酸化防止剤》酸化防止剤としては、ヒン
ダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,
6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリ
チル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレ
ングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,
6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,
5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ト
リス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)−イソシアヌレイト等を挙げることが出来る。特
に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエ
リスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリ
エチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤や
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファ
イト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの
化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割
合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000p
pmが更に好ましい。
【0147】《溶液流延製膜法によるセルロースエステ
ルフィルムの作製》 ドープ調製工程:セルロースエステル(フレーク状
の)に対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中で該
セルロースエステルや添加剤を攪拌しながら溶解し、ド
ープを形成する工程である。溶解には、常圧で行う方
法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で
加圧して行う方法、冷却溶解法で行う方法、高圧で行う
方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾
過し、脱泡してポンプで次工程に送る。セルロースエス
テル溶液と、上述の添加剤をセルロースエステル溶液に
同時に溶解させてドープとしてもよいし、また別々に調
製した添加剤液をセルロースエステル溶液と混合して、
ドープを形成してもよい。セルロースエステル溶液と添
加剤溶液を混合するには、特に制限はないが、本発明に
おいては、オンラインミキサーにより混合する方法が好
ましく、例えば東レエンジニアリング(株)製のHi−
Mixer(静止型管内混合器)を用いることによって
均一なドープを得ることが出来、好ましい。
【0148】ドープ流延工程:ドープを加圧型定量ギ
ヤポンプを通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無
端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回
転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧
ダイからドープを流延する工程である。金属支持体の表
面は鏡面となっている。その他の流延する方法は流延さ
れたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレ
ード法、あるいは逆回転するロールで調節するリバース
ロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリ
ット形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好
ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等
があるが、何れも好ましく用いられる。製膜速度を上げ
るために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドー
プ量を分割して重層してもよい。
【0149】溶媒蒸発工程:ウェブを金属支持体上で
加熱し金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒
を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェ
ブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏
面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏か
ら伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥
効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も
好ましい。裏面液体伝熱の場合は、ドープ使用有機溶媒
の主溶媒または最も低い沸点を有する有機溶媒の沸点以
下で加熱するのが好ましい。
【0150】剥離工程:金属支持体上で溶媒が蒸発し
たウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離され
たウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブ
の残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難
かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させてから剥
離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
【0151】製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来
るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが
出来る)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)があ
る。それは、ドープ中にセルロースエステルに対する貧
溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支
持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持
体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことに
よって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来るので
ある。金属支持体上でのウェブの乾燥が条件の強弱、金
属支持体の長さ等により5〜150質量%の範囲で剥離
することが出来るが、残留溶媒量がより多い時点で剥離
する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損な
ったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、経
済速度と品質との兼ね合いで剥離残留溶媒量を決められ
る。従って、本発明においては、該金属支持体上の剥離
位置における温度を10〜40℃、好ましくは15〜3
0℃とし、且つ該剥離位置におけるウェブの残留溶媒量
を10〜120質量%とすることが好ましい。本発明に
おいては、剥離残留溶媒量は下記の式で表わすことが出
来る。
【0152】 残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100 ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMのもの
を110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0153】本発明において、ウェブ全幅に対する残留
溶媒量を平均残留溶媒量、あるいは中央部の残留溶媒量
ということがあり、またウェブの両端部の残留溶媒量と
いうように局部的な残留溶媒量をいう場合もある。
【0154】乾燥及び延伸工程:剥離後、一般には、
ウェブを上下に複数配置したロールに交互に通して搬送
する乾燥装置及び/またはクリップでウェブの両端をク
リップして搬送するテンター装置を用いてウェブを乾燥
する。乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが
一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当て
て加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は出来上がり
のフィルムの平面性を損ね易い。全体を通して、通常乾
燥温度は40〜250℃の範囲で行われる。使用する溶
媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異な
り、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選
べばよい。
【0155】本発明において、ウェブをテンター乾燥機
を用いて少なくとも幅手方向に延伸するのが好ましく、
特に剥離後の残留溶媒量が3〜40質量%のときに幅手
方向に1.01倍〜2.5倍に延伸することが好まし
い。より好ましくは幅手方向と長手方向に2軸延伸する
ことであり、各々1.01倍〜2.5倍に延伸すること
が望ましい。更に、巻き取る前に、ナーリング加工をす
ることによって、反射防止フィルムをロール状で保管中
に巻き形状の劣化を避けることが出来る。本発明では、
長尺フィルムの幅方向の両端に凹凸を付与して端部を嵩
高くするいわゆるナーリング加工を施することが好まし
い。ここで、ナーリング高さとは、下記のように定義さ
れる。
【0156】ナーリング高さ(a:μm)のフィルム膜
厚(d:μm)に対する比率X(%)=(a/d)×1
00 本発明においては、X=1〜25%の範囲であることが
好ましく、5〜20%が更に好ましく、10〜15%が
特に好ましい。
【0157】〔バックコート層、ハードコート層と防眩
層〕本発明の反射防止フィルムは、前述の反射防止層を
塗設する前に、該反射防止層を塗設する側の反対側にバ
ックコート層を、また該反射防止層側にクリアハードコ
ート層や防眩層を予め塗設してもよい。
【0158】《バックコート層》反射防止フィルムの滑
り易さ、巻き状態での表面裏面のブロッキング防止、カ
ールコントロールあるいは静電気防止等の機能を付与す
るために、バックコート層を塗設することが好ましい。
【0159】滑り易さやブロッキング防止には、あらか
じめ前述のようにフィルム中に微粒子を添加する方法や
微粒子を含有する塗布液を塗設してバックコート層を設
ける方法がある。バックコート層には、バインダー用樹
脂と微粒子を含んでいることが好ましく、微粒子として
は、有機化合物でも無機化合物でもよく、例えば酸化珪
素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成珪酸カル
シウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸
マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子を挙げ
ることが出来、また有機微粒子としては、ポリメタアク
リル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン
系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリ
コン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボ
ネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミ
ン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステ
ル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹
脂粉末、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂粉末、架橋高
分子微粒子等を挙げることが出来、これらを紫外線硬化
性組成物に加えることが出来る。これらの微粒子粉末の
平均粒径は、0.005〜1μmが好ましく、特に0.
01〜0.1μmのものが好ましい。紫外線硬化性樹脂
と微粒子粉末との割合は、樹脂100質量部に対して、
微粒子粉末を0.1〜10質量部となるように配合する
ことが望ましい。このようにして形成された紫外線硬化
性被覆層の表面粗さは、目的や種類に応じて異なるが、
中心線平均表面粗さRa(前出)として、Raが後述の
クリアーハードコート層なら1〜50nm、後述の防眩
層なら0.1〜1μm程度が好ましい。
【0160】中でも酸化珪素がフィルムのヘイズを高く
することなく使用出来るので好ましい。その含有量は基
材フィルム素材に対して0.04〜0.3質量%が好ま
しい。酸化珪素のような微粒子に有機物で表面処理した
ものが、ヘイズを低下することが出来るため好ましい。
表面処理で好ましい金属有機物としては、ハロシラン
類、アルコキシシラン類(特にメチル基を有するアルコ
キシシラン類)、シラザン、シロキサン等を挙げること
が出来る。微粒子の平均粒径は大きい方がマット効果が
大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れるた
め、好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50n
mで、より好ましくは7〜16nmである。酸化珪素の
微粒子としては前述と同様に、アエロジル(株)製のア
エロジル200、200V、300、R972、R97
2V、R974、R202、R812,OX50、TT
600等を挙げることが出来、好ましくはアエロジル2
00V、R972、R972V、R974、R202、
R812である。これらの微粒子は2種以上併用しても
よい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使
用することが出来る。この場合、平均粒径や材質の異な
る微粒子、例えばAEROSIL(アエロジル)200
VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.
9:0.1の範囲で使用出来る。
【0161】バックコート層塗布組成物に使用するバイ
ンダー樹脂としては、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニ
ル/ビニルアルコール共重合体、部分加水分解した塩化
ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/塩化ビニリ
デン共重合体、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合
体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ
塩化ビニル、エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン
/酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合
体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオ
ネート、セルロースジアセテート、セルローストリアセ
テート、セルロースアセテートブチレート、セルロース
アセテートプロピオネート樹脂等のセルロースエステル
系樹脂、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合
体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル/
スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニト
リル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合体、メチル
メタクリレート/ブタジエン/スチレン共重合体、アク
リル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチ
ラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエー
テルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミ
ド樹脂、アミノ樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、ブタ
ジエン/アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコ
ーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることが出来るが、
これらに限定されるものではない。アクリル樹脂として
は、アクリペットMD、VH、MF、V(以上、三菱レ
ーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−40
05、M−4006、M−4202、M−5000、M
−5001、M−4501(以上、根上工業(株)
製)、前述のダイヤナールBR−102等(三菱レーヨ
ン(株)製)等を挙げることが出来る。特に好ましくは
ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオ
ネートのようなセルロースエステル樹脂が用いられる。
【0162】上記のようなバインダー樹脂及び微粒子の
混合組成物としてのバックコート層塗布組成物に使用す
る有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、
N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレ
ンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタ
ン、クロロホルム等がある。溶解させない溶媒として
は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルア
ルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール等
を挙げることが出来る。
【0163】バックコート層にアンチカール機能を付与
するには、基材フィルムの素材を溶解または膨潤させる
ような有機溶媒を含有するバックコート層塗布組成物を
基材フィルムに塗設することによって行われる。
【0164】《クリアハードコート層または防眩層》本
発明の反射防止フィルムには、反射防止層を塗設する前
に予めハードコート層または防眩層を塗設してもよい。
また、反射防止層形成後にその上に防汚層を塗設しても
よい。
【0165】本発明において、クリアハードコート層や
防眩層は、不飽和エチレン性モノマーを1種以上含む成
分を重合させて形成した層で、活性エネルギー線硬化性
の組成物または熱硬化性の組成物を用いるのが好まし
く、特に活性エネルギー線硬化性組成物を用いるのが好
ましい。ここで、活性エネルギー線硬化組成物とは、不
飽和エチレン性モノマーを主として含有する組成物、ま
たは不飽和エチレン性基を有する比較的分子量の大きい
化合物(通常、樹脂と称する)を含有する組成物で、紫
外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋
反応などにより硬化層を形成する組成物をいう。活性エ
ネルギー線硬化性組成物としては、紫外線硬化性組成物
や電子線硬化性組成物などが代表的なものとして挙げる
ことが出来、紫外線や電子線以外の活性エネルギー線照
射によって硬化する組成物でもよい。活性エネルギー線
硬化組成物としては前述の反射防止層のところで記述し
たものと同様であるので省略する。
【0166】これらのうち、紫外線硬化性組成物には、
光重合開始剤あるいは増感剤を含有し、紫外線により硬
化させることが出来る。光重合開始剤としては、アセト
フェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノ
ン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チ
オキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来
る。また、エポキシアクリレート系の光重合開始剤を使
用する際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ
−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来
る。近紫外線領域から可視光線領域にかけて光源に対し
ては、それらの領域に吸収極大を有する増感剤を組成物
に含有させることによって使用を可能にすることが出来
る。
【0167】紫外線硬化性組成物塗布液に使用する有機
溶媒としては、例えば、シクロヘキサン等の炭化水素
類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、イソアミルアルコール等のアルコール類;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、
プロピレングリコールモノイソブチルエーテル等のグリ
コールエーテル類等を挙げることが出来、適宜選択し、
あるいはこれらを混合して使用出来るが、上記のプロピ
レングリコールモノアルキルエーテルまたはプロピレン
グリコールモノアルキルエーテルエステルを5質量%以
上含有させることが好ましく、これらを5〜80質量%
含有する混合有機溶媒を用いることがより好ましい。
【0168】紫外線硬化性組成物塗布液を塗布し、乾燥
した後、もしくは生乾きの状態で、紫外線光源を上記の
エネルギー値程度に照射し硬化反応を行わせる。この時
の照射時間は、基材の移送速度、塗布液の組成、塗布厚
さ等によって異なるが、概して0.5秒〜5分程度で照
射及び硬化が完結することが好ましく、3秒〜2分がよ
り好ましい。
【0169】クリアハードコート層や防眩層、またはバ
ックコート層を基材フィルムに塗布する方法としては、
グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコ
ーター、ロールコーター、リバースコーター、押し出し
コーター、エアードクターコーター等公知の方法を用い
ることが出来る。塗布の際の液膜厚(ウェット膜厚とも
いう)で1〜100μm程度で、0.1〜30μmが好
ましく、より好ましくは、0.5〜15μmである。
【0170】
【実施例】以下に、本発明を実施例をもって詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0171】実施例1 〔セルロースエステルフィルムの作製〕下記のように各
種添加液、セルロースエステル溶液を調製し混合し、ド
ープを調製して、溶液流延製膜方法によりセルロースエ
ステルフィルムを作製した。
【0172】 〈セルロースエステルフィルムの作製〉 《酸化珪素分散液Aの調製》 アエロジルR972V 1kg エタノール 9kg 以上をディゾルバで30分間撹拌混合した後、マントン
ゴーリン型高圧分散装置を用いて分散を行い、酸化珪素
分散液Aを調製した。
【0173】 《添加液Aの調製》 セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.88) 6kg メチレンクロライド 140kg 以上を加圧型密閉容器に投入し、加熱、撹拌しながら完
全に溶解し、濾過した。これに10kgの上記酸化珪素
分散液Aを撹拌しながら加えて、更に30分間撹拌した
後、濾過し、添加液Aを調製した。
【0174】 《セルロースエステル溶液Aの調製》 メチレンクロライド 440kg エタノール 35kg セルローストリアセテート(アセチル基の置換度2.88) 100kg トリフェニルホスフェート 9kg エチルフタリルエチルグリコレート 2kg チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.3kg チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.5kg チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.5kg 上記の溶剤を密閉容器に投入し、攪拌しながら残りの素
材を投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、セルロ
ースエステル溶液Aを得た。流延する温度まで下げて一
晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)
製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。
【0175】《ドープAの調製》このセルロースエステ
ル溶液Aと添加液Aの3kgを混合し、オンラインミキ
サー(東レ(株)製静止型管内混合機Hi−Mixe
r、SWJ)で10分間混合し、濾過し、ドープAを調
製した。
【0176】ドープAを濾過した後、精密定量ポンプで
流延ダイに35℃のドープAを送り、溶液流延製膜装置
の無限移行する無端のステンレススティールベルトの上
に均一に流延した。なお、ステンレススティールベルト
の温度を35℃とした。ステンレススティールベルトの
裏側から39℃の温水で加熱してウェブを乾燥し、更に
その後、ステンレススティールベルトの裏面から40℃
の熱風を多数のスリットから吹かせて加熱し、更にステ
ンレススティールベルトを15℃に冷却しウェブをステ
ンレススティールベルトから剥離した。ステンレスステ
ィールベルトの上のウェブ側には45〜55℃の温風を
当てた。剥離時には15℃の風に変えた。ウェブの残留
溶媒量は80質量%であった。ステンレススティールベ
ルトから剥離した後、80℃に維持された乾燥ゾーンで
1分間乾燥させた後、残留溶媒量3〜10質量%になっ
た時点でウェブの両端を把持し、延伸テンターを用い
て、100℃で加熱しながら幅方向に1.15倍に延伸
し、両端の把持を解放して、多数のロールで搬送させな
がら125℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム
両端に幅10mm、高さ10μmのナーリング加工を施
して、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを作
製した。フィルム幅は1300mm、巻き取り長は15
00mとした。
【0177】〔バックコート層を有するセルロースエス
テルフィルムの作製〕上記で作製したセルロースエステ
ルフィルムのA面(ステンレススティールベルトでのウ
ェブ乾燥中のウェブの空気側の面)に、下記で調製した
バックコート層塗布組成物Aをウェット膜厚14μmと
なるように押し出しコーターで塗布し、85℃にて乾燥
し巻き取り、バックコート層を有するセルロースエステ
ルフィルムを作製した。
【0178】 〈バックコート層塗布組成物Aの調製〉 アセトン 30質量部 酢酸エチル 45質量部 イソプロピルアルコール 10質量部 ジアセチルセルロース 0.6質量部 アエロジル200Vの2%アセトン分散液 0.2質量部。
【0179】〔クリアハードコート層を有するセルロー
スエステルフィルムの作製〕上記で作製したバックコー
ト層を有するセルロースエステルフィルムのB面(ステ
ンレススティールベルト上で乾燥中のウェブのベルト側
の面)上にワイヤーバーコータを用いて下記のクリアハ
ードコート層組成物Aを液膜厚が13μmとなるように
押し出しコーターで塗布し、次いで80℃に設定された
乾燥部で乾燥した後、120mJ/cm2で紫外線照射
し、乾燥膜厚で3μmの中心線平均表面粗さ(Ra)1
3nmのクリアハードコート層を有するセルロースエス
テルフィルムを作製し、巻き取った。
【0180】 〈クリアハードコート層組成物A〉 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部 ジメトキシベンゾフェノン 4質量部 酢酸エチル 45質量部 メチルエチルケトン 45質量部 イソプロピルアルコール 60質量部。
【0181】〔反射防止フィルムの作製〕 〈中屈折率層〉上記で得られたクリアハードコート層を
有するセルロースエステルフィルムのクリアハードコー
ト層の上に、図2のような連続塗布が可能な装置を用い
て、先ず、最初の押出コーターの塗布装置10で、最初
に与えた目標値条件に設定し下記中屈折率層組成物Mを
塗布し、乾燥装置12で80℃で乾燥させた後、更に1
20℃で乾燥し、乾燥終了後冷却部19Aで冷却して、
高圧水銀ランプ(80W)の紫外線照射装置19を用い
て、紫外線を175mJ/cm2で照射した。中屈折率
層を有するセルロースエステルフィルムを中屈折率層側
から測定ヘッダー(プローブ)14で、設定した400
nm、450nm、600nm、730nm及び780
nmの各波長において反射率を測定し、各測定値を演算
処理装置16に送り、目標値との差を演算して、その結
果を中屈折率層の塗布膜厚制御系17に送り、塗布膜厚
を規定する精密定量ポンプ18の送液量を制御して塗布
量を修正した。乾燥、冷却、紫外線照射し、目標値にな
っていたので、同様の条件で塗布を続け、目標値の中屈
折率層を有するセルロースエステルフィルムを得た。な
お、全長塗布中も測定、演算、フィードバック及び制御
は常に行うようにした。
【0182】 《中屈折率層組成物M》 イソプロピルアルコール 510質量部 水 2質量部 プロピレングリコールモノメチルエーテル 227質量部 メチルエチルケトン 84質量部 テトラ(n)ブトキシチタン 39質量部 KBM503(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学( 株)製) 6質量部 ダイヤナールBR102(アクリル樹脂、三菱レーヨン(株)製)5%プロピ レングリコールモノメチルエーテル溶液 31質量部 KF−96−1000CS(シリコーンオイル、信越化学工業(株)製) 10%メチルエチルケトン溶液 1.5質量部。
【0183】〈高屈折率層〉続いて、セルロースエステ
ルフィルム上の上記で得られた目標値を有する中屈折率
層の上に、2台目の押出コーターの塗布装置20で、最
初に与えた目標値条件に設定し下記高屈折率層組成物H
を塗布し、乾燥装置22で80℃で乾燥させた後、更に
120℃で乾燥し、乾燥終了後冷却して、高圧水銀ラン
プ(80W)の紫外線照射装置29を用いて、紫外線を
175mJ/cm2で照射した。高屈折率層の上から測
定ヘッダー(プローブ)24で設定した400nm、4
50nm、600nm、730nm及び780nmの各
波長において反射率を測定し、各測定値を演算処理装置
26に送り、目標値との差を演算して、その結果を高屈
折率層の塗布膜厚制御系27に送り、下記高屈折率層組
成物Hのテトラ(n)ブトキシチタンの濃度を微調整し
て塗布を修正した。目標値になっていたので、同様の条
件で塗布を続け、目標値の中屈折率層/高屈折率層積層
を有するセルロースエステルフィルムを得た。なお、全
長塗布中も測定、演算、フィードバック及び制御は常に
行うようにした。
【0184】 《高屈折率層組成物H》 イソプロピルアルコール 445質量部 水 1.5質量部 プロピレングリコールモノメチルエーテル 223質量部 メチルエチルケトン 73質量部 テトラ(n)ブトキシチタン 545質量部 KBM503 0.8質量部 KF−96−1,000CS10%メチルエチルケトン溶液 1.4質量部。 〈低屈折率層〉更に続いて、上記で得られた目標値の中
屈折率層/高屈折率層積層を有するセルロースエステル
フィルムの高屈折率層の上に、3台目の押出コーターの
塗布装置30で、最初に与えた目標値条件に設定し下記
低屈折率層組成物Lを塗布し、乾燥装置32で80℃で
乾燥させた後、更に120℃で乾燥し、乾燥終了後冷却
して、高圧水銀ランプ(80W)の紫外線照射装置39
を用いて、紫外線を175mJ/cm2で照射した。中
屈折率層/高屈折率層/低屈折率層積層のセルロースエ
ステルフィルムの低屈折率層側から測定ヘッダー(プロ
ーブ)34で設定した400nm、450nm、600
nm、730nm780nmの各波長の反射率を測定
し、測定値を演算処理装置36に送り、目標値との差を
演算して、その結果を低屈折率層の塗布膜厚制御系37
に送り、下記低屈折率層組成物Lのテトラエトキシシラ
ン加水分解物Aの濃度を微調整して塗布した。乾燥、冷
却、紫外線照射後、再び測定し、目標値になっていたの
で、同様の条件で塗布を続け、目標値の中屈折率層/高
屈折率層/低屈折率層積層を有する反射防止フィルムを
得た。なお、全長塗布中も測定、演算、フィードバック
及び制御は常に行うようにした。
【0185】《テトラエトキシシラン加水分解物Aの調
製》テトラエトキシシラン580gとエタノール114
4gを混合し、これにクエン酸水溶液(クエン酸1水和
物5.4gを水272gに溶解したもの)を添加した後
に、室温(25℃)にて1時間攪拌することでテトラエ
トキシシラン加水分解物Aを調製した。
【0186】 《低屈折率層組成物L》 プロピレングリコールモノメチルエーテル 303質量部 イソプロピルアルコール 305質量部 テトラエトキシシラン加水分解物A 139質量部 KBM503 1.6質量部 FZ−2207(日本ユニカー社製)10%プロピレングリコールモノメチル エーテル溶液 1.3質量部。
【0187】比較例1 最初に設定条件を目標値条件としただけで、各中屈折率
層組成物M、高屈折率層組成物H及び低屈折率層組成物
Lの微調整は一切行わずに塗布を最後まで続行して3層
積層し、更に各層塗布において、反射率測定器の測定ヘ
ッダー(プローブ)による反射率の測定、演算、フィー
ドバック及び制御を行わなかった以外は実施例1と同様
に行い、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層積層を有
する反射防止フィルムを得た。
【0188】比較例2 各中屈折率層組成物M、高屈折率層組成物H及び低屈折
率層組成物Lをそれぞれ有機金属化合物を5質量%低め
にした他は比較例1と同様な設定条件として、塗布を最
後まで続行して3層積層し、更に各層塗布において、反
射率測定器の測定ヘッダー(プローブ)による反射率の
測定、演算、フィードバック及び制御を行わなかった以
外は実施例1と同様に行い、中屈折率層/高屈折率層/
低屈折率層積層を有する反射防止フィルムを得た。
【0189】比較例3 各中屈折率層組成物M、高屈折率層組成物H及び低屈折
率層組成物Lをそれぞれ有機金属化合物を5質量%高め
にした他は比較例1と同様な設定条件として、塗布を最
後まで続行して3層積層し、更に各層塗布において、反
射率測定器の測定ヘッダー(プローブ)による反射率の
測定、演算、フィードバック及び制御を行わなかった以
外は実施例1と同様に行い、中屈折率層/高屈折率層/
低屈折率層積層を有する反射防止フィルムを得た。
【0190】〔評価〕 〈反射率の目標値との差〉それぞれ得られた長尺の反射
防止フィルムから100mごとに幅方向に5点ずつサン
プルを採取し、これら75個の反射率を、大塚電子
(株)製膜厚測定システムMCPDで測定した。75個
のサンプルの反射率の平均値と、目標値との差を求め
た。
【0191】〈着色〉上記と同様に各75個のサンプル
に付き、着色があるかどうか調べ、下記のレベルで評価
した。
【0192】 A:色ほとんどなし B:僅かに色がある C:かなり色がある D:色があり、ムラになっている。
【0193】実施例1及び比較例1〜3について、評価
した結果を表4に示した。
【0194】
【表4】
【0195】(結果)表4からわかるように、本発明は
反射率がほぼ目標値通りで、着色はほとんど認識出来
ず、優れた反射防止フィルムを得ることが出来た。これ
に対し、比較例は、反射率が目標値よりかなり乖離した
反射防止フィルムであり、着色もはっきり認識出来た。
【0196】実施例2 実施例1で得られた中屈折率層/高屈折率層積層を有す
るセルロースエステルフィルムの高屈折率層の上に、3
台目の押出コーターの塗布装置30で、最初に設定した
目標値条件で下記低屈折率層組成物Lを塗布し、乾燥装
置32で80℃で乾燥させた後、更に120℃で乾燥
し、乾燥終了後冷却して、高圧水銀ランプ(80W)の
紫外線照射装置39を用いて、紫外線を175mJ/c
2で照射した。中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
積層のセルロースエステルフィルムの低屈折率層側から
測定ヘッダー(プローブ)34で可視光領域全域の反射
スペクトルの測定を行い、前述の色差の式に変換した値
を、測定値を演算処理装置36に送り、目標値との差を
演算して、その結果を低屈折率層の塗布膜厚制御系37
に送り、前記低屈折率層組成物Lのテトラエトキシシラ
ン加水分解物Aの濃度を微調整して塗布した。乾燥、冷
却、紫外線照射後、再び測定し、目標値になっていたの
で、その条件で塗布を続け、目標値の中屈折率層/高屈
折率層/低屈折率層積層を有する反射防止フィルムを得
た。なお、全長塗布中も測定、演算、フィードバック及
び制御は常に行うようにした。
【0197】比較例4 実施例1で得られた中屈折率層/高屈折率層積層を有す
るセルロースエステルフィルムの高屈折率層の上に、3
台目の押出コーターの塗布装置30で、最初に設定条件
を目標値条件としただけで、低屈折率層組成物Lを塗布
・乾燥・冷却・紫外線照射を行い、中屈折率層/高屈折
率層/低屈折率層積層を有する反射防止フィルムを得
た。巻き取る前に、反射率測定器の測定ヘッダー(プロ
ーブ)による可視光領域反射スペクトルを全長について
測定を行い、反射スペクトルは色差の式に変換してその
データをアウトプットしたが、演算、フィードバック予
備制御は行わなかった。
【0198】比較例5 実施例1で得られた中屈折率層/高屈折率層積層を有す
るセルロースエステルフィルムの高屈折率層の上に、3
台目の押出コーターの塗布装置30で、最初に与えた設
定条件としただけで、低屈折率層組成物Lの有機金属化
合物を3質量%低めにして塗布・乾燥・冷却・紫外線照
射を行い、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層積層を
有する反射防止フィルムを得た。巻き取る前に、反射率
測定器の測定ヘッダー(プローブ)による可視光領域反
射スペクトルを全長について測定を行い、反射スペクト
ルは色差の式に変換してそのデータをアウトプットした
が、演算、フィードバック予備制御は行わなかった。
【0199】比較例6 実施例1で得られた中屈折率層/高屈折率層積層を有す
るセルロースエステルフィルムの高屈折率層の上に、3
台目の押出コーターの塗布装置30で、最初に与えた設
定条件としただけで、低屈折率層組成物Lの有機金属化
合物を3質量%高めにして塗布・乾燥・冷却・紫外線照
射を行い、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層積層を
有する反射防止フィルムを得た。巻き取る前に、反射率
測定器の測定ヘッダー(プローブ)による可視光領域反
射スペクトルを全長について測定を行い、反射スペクト
ルは色差の式に変換してそのデータをアウトプットした
が、演算、フィードバック予備制御は行わなかった。
【0200】実施例2及び比較例4〜6の反射防止フィ
ルムの色について、下記の方法で評価した。その結果を
表5に示した。
【0201】〔評価〕 〈ΔE*ab〉前述の色差の式のΔE*abの値を下記の
レベルで表した。
【0202】 A:0以上、0.5未満(全く異ならないか極めて僅か
に異なる) B:0.5以上、1.5未満(僅かに異なる) C:1.5以上、3.0未満(感知し得る程異なる) D:3.0以上、6.0未満(著しく異なる) E:6.0以上(極めて著しく異なる)
【0203】
【表5】
【0204】(結果)可視光領域の反射スペクトルを色
差の式に変換して着色を塗布膜厚調整系にフィードバッ
クして調整した実施例2では、この方法によっても着色
をほとんどなくすことが出来ることがわかった。これに
対して、比較例4〜6では、上記と同様なフィードバッ
ク及び調整を行わなかったので、着色が目立った。
【0205】
【発明の効果】本発明により、反射がほとんどなくま
た、反射で見える色もほとんどない反射防止フィルムを
提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射防止フィルム(基材フィルム/中屈折率層
/高屈折率層/低屈折率層積層)の可視光波長領域の反
射スペクトルを示した図である。
【図2】本発明に有用な反射防止フィルム製造装置の1
例を示した概略図である。
【符号の説明】
10 塗布装置 12 乾燥装置 14 測定ヘッダー(プローブ) 15 オンライン反射率測定装置 16 演算処理装置 17 塗布膜厚制御系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 7/04 CEZ C08L 101:00 // H01L 31/04 G02B 1/10 A C08L 101:00 H01L 31/04 F Fターム(参考) 2K009 AA06 AA09 AA15 BB11 BB28 CC02 CC03 CC09 CC23 CC24 CC26 CC33 CC34 CC38 CC42 DD02 DD05 4D075 AC02 AC14 AC21 AC72 AC91 AC92 AC94 AE16 AE17 BB24Y BB26Z BB42Y BB42Z BB46Y BB46Z CB01 CB03 DA04 DB33 DB36 DB37 DB38 DB39 DB40 DB43 DB47 DB48 DB53 DB55 DC24 EA07 EA12 EA21 EB22 EB24 EB33 EB35 EB38 EB43 4F006 AA02 AA11 AA12 AA13 AA15 AA16 AA17 AA18 AA19 AA22 AA32 AA35 AA36 AA38 AA39 AA40 AB24 AB39 AB68 BA14 CA05 CA08 DA05 5F051 BA16 CB13 GA05 GA06 GA20 HA06 HA20 KA10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続して移送する基材フィルム上に直接
    または他の層を介して、塗布により反射防止層を形成す
    る反射防止フィルムの製造方法において、基材フィルム
    上に該反射防止層を塗布乾燥して形成後、該反射防止層
    に対して可視光波長領域において設定した少なくとも2
    点の波長の反射率をオンラインの反射率測定器により計
    測し、予め用意した設定波長の標準の反射率と対比、演
    算し、その結果を塗布膜厚制御系にフィードバックし、
    該反射防止層の塗布条件を制御することを特徴とする反
    射防止フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 連続して移送する基材フィルム上に直接
    または他の層を介して、塗布により反射防止層を形成す
    る反射防止フィルムの製造方法において、基材フィルム
    上に2層以上の屈折率が異なる隣り合う反射防止層を逐
    次塗布乾燥して形成後、各層形成後の積層した反射防止
    層に対する可視光波長領域において設定した少なくとも
    2点の波長の反射率をオンラインの反射率測定器により
    計測し、予め用意した設定波長の標準の反射率と対比、
    演算し、その結果を各塗布膜厚制御系にフィードバック
    し、各反射防止層の各塗布条件を制御することを特徴と
    する反射防止フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 連続して移送する基材フィルム上に直接
    または他の層を介して、塗布により反射防止層を形成す
    る反射防止フィルムの製造方法において、基材フィルム
    上に該反射防止層を塗布乾燥して形成後、該反射防止層
    に対する380〜550nm及び600〜800nmの
    2波長領域において、それぞれの波長領域において設定
    した少なくとも1点の波長の反射率をオンラインの反射
    率測定器により計測し、予め用意した設定波長の標準の
    反射率と対比、演算し、その結果を塗布膜厚制御系にフ
    ィードバックし、該反射防止層の塗布条件を制御するこ
    とを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 連続して移送する基材フィルム上に直接
    または他の層を介して、塗布により反射防止層を形成す
    る反射防止フィルムの製造方法において、基材フィルム
    上に2層以上の屈折率が異なる隣り合う反射防止層を逐
    次塗布乾燥して形成後、各層形成後の積層した反射防止
    層に対する380〜550nm及び600〜800nm
    の2波長領域において、それぞれの波長領域において設
    定した少なくとも1点の波長の反射率をオンラインの反
    射率測定器により計測し、予め用意した設定波長の標準
    の反射率と対比、演算し、その結果を各塗布膜厚制御系
    にフィードバックし、各反射防止層の各塗布条件を制御
    することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 連続して移送する基材フィルム上に直接
    または他の層を介して、塗布により反射防止層を形成す
    る反射防止フィルムの製造方法において、基材フィルム
    上に反射防止層の最上層塗布条件を調製するに際し、最
    上層の反射防止層形成後、該最上層の反射スペクトルを
    オンラインの反射率測定器により計測し、測定された反
    射スペクトルよりL***色空間からの色差、もしく
    は三刺激値(X、Y、Z)を求め、予め用意した標準の
    反射スペクトルからのL** *色空間からの色差、も
    しくは三刺激値(X、Y、Z)と対比して演算し、その
    結果を最上層塗布膜厚制御系にフィードバックし、最上
    層反射防止層の塗布条件を制御することを特徴とする反
    射防止フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記基材フィルムの上に、該基材フィル
    ム側から中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の順に
    3層積層することを特徴とする請求項2、4または5に
    記載の反射防止フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 塗布を流量規制方式により行うことを特
    徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の反射防止
    フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7の何れか1項に記載の反
    射防止フィルムの製造方法で製造されたことを特徴とす
    る反射防止フィルム。
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