JP4714362B2 - 低温用成形材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温領域において優れた機械的特性を示し、フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂で構成された成形材料、及びその成形材料で形成された成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、低温条件下における使用が可能な材料への要望が高まっている。特に、液化天然ガス(LNG)や液化窒素の保存やパイプラインの輸送の分野では、例えば、貯蔵容器や輸送配管用パッキン等において、特に要望が強い。
【0003】
一般に、高分子材料のシートやフィルムは、室温付近において、柔軟性を有するために、極めて多種多様な用途に使用されている。しかし、−100℃以下の低温領域においては、通常の高分子材料は極めて脆くなる。
【0004】
現在、このような低温用途の材料としては、主に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂が使用されている。しかし、フッ素樹脂は、成形性が低いうえに、低温領域での機械的特性(強度など)も充分ではない。
【0005】
特開平6−49186号公報、特開平8−239459号公報及び特開平9−302077号公報には、フルオレン骨格を有するポリエステル樹脂が光学特性等や耐熱性に優れ、光学材料や食品包装材料に適していることが開示されている。しかし、フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂の低温特性や低温用途への適用については開示されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、低温領域において強度や耐衝撃性等の機械的特性に優れた成形材料及び成形体を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、低温領域において収縮率が小さい成形材料及び成形体を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、気体透過性の低い成形材料及び成形体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討の結果、フルオレン骨格を有する特定のポリエステル系樹脂が、低温領域において優れた特性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の低温用成形材料は、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂で構成されている。前記ポリエステル系樹脂は、式(I)で表される繰り返し単位を有してもよい。
【0011】
【化3】
Figure 0004714362
【0012】
[式中、A1及びA2は、同一又は異なって、アルキレン基を、X1及びX2は、同一又は異なって、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を示し、X1及びX2は置換基を有していてもよい。Rは、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、sは0〜2の整数を示す。m及びnは、繰り返し単位のモル数を示し、m/n=100/0〜5/95である]。
【0013】
前記材料は、機械的特性を向上させるために、さらに補強繊維を含有していてもよい。前記ポリエステル系樹脂は、式(II)で表されるジオール成分と、式(III)で表されるジオール成分と、式(IV)で表されるジカルボン酸成分から選択された少なくとも一種との反応生成物であってもよい。
【0014】
【化4】
Figure 0004714362
【0015】
(式中、A1、A2、R及びsは前記に同じ。Xは前記X1及びX2に同じ)。
【0016】
本発明には、前記材料で形成され、温度−150℃において、曲げ弾性率が3000MPa以上であり、かつ圧縮弾性率が2700MPa以上である低温用成形体も含まれる。前記成形体は、パッキン、容器、管構成材等として好適である。また、本発明には、前記成形体を、温度−273〜−50℃で使用する方法も含まれる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[ポリエステル系樹脂]
本発明の低温成形用材料を構成するポリエステル系樹脂は、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有しており、このフルオレン骨格を有する限り、特に制限されない。このようなポリエステル系樹脂としては、例えば、前記式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂が例示できる。
【0018】
前記式(I)において、A1及びA2で表されるアルキレン基としては、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン等のC2-6アルキレン基が例示でき、通常、C2-4アルキレン基(特にエチレン基)である。
【0019】
1及びX2はで表されるアルキレン基としては、直鎖又は分岐鎖のC1-10アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン等のC1-6アルキレン基)などが例示できる。
【0020】
シクロアルキレン基としては、C3-10シクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン、シクロヘキシレン基等のC4-8シクロアルキレン基)、多環式シクロアルキレン基(例えば、デカリン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデセン等に対応する二価の基等)等、特にシクロヘキシレンなどのC5-6シクロアルキレン基が例示できる。
【0021】
アリーレン基としては、C6-12アリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基等)、ビスアリーレン基(例えば、ビフェニレン基など)、ビスアリールアルカン類に対応する二価の基(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等のビスフェノール類に対応する二価の基など)等が例示できる。
【0022】
前記X1及びX2の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等のC1-4アルキル基、特に、メチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のC1-4アルコキシ基、特にC1-2アルコキシ基)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC4-8シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基等のC1-4アルキルフェニル基、ナフチル基等、特にフェニル基)が例示できる。
【0023】
これらのうち、X1及びX2としては、アリーレン基(特にフェニレン基)、シクロアルキレン基(特にシクロヘキシレン基)が好ましい。
【0024】
置換基Rは、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基であり、前記X1及びX2の置換基で例示したのと同様の基が使用でき、アルキル基(例えば、C1-4アルキル基、特にメチル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基)が好ましい。
【0025】
ベンゼン環に対する連結基A1を含むユニットと置換基Rの置換位置は、特に制限されず、例えば、A1を含むユニットは、ベンゼン環の2−位、3−位、4−位のいずれであってもよく、好ましくは4−位である。置換基Rの置換位置は、係数sによっても変動するが、例えば、2−位、3−位、4−位、2,3−位、2,4−位、3,4−位等が例示でき、好ましくは2位又は3位であるが、通常、未置換である。
【0026】
係数mとnとの割合m/n(モル比)は、m/n=100/0〜5/95、好ましくは100/0〜30/70、さらに好ましくは100/0〜40/60程度である。
【0027】
ポリエステル系樹脂の重量平均分子量は、例えば、5,000〜300,000、好ましくは10,000〜200,000、さらに好ましくは30,000〜100,000程度である。分子量が小さすぎると、強度が不足し成形が困難となり、分子量が大きすぎると、溶融粘度が高くなり、溶融成形が困難となる。
【0028】
前記ポリエステル系樹脂は、慣用の方法、例えば、前記式(II)で表されるジオール成分と、必要により前記式(III)で表されるジオール成分と、前記式(IV)で表されるジカルボン酸成分との直接重合法や、前記ジオール成分と前記ジカルボン酸のアルキルエステル(メチルエステルなどのC1-4アルキルエステル)とのエステル交換法等の溶融重合法により製造できる。
【0029】
ジオール成分(II)としては、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル]フルオレン等の9,9−ビス(4−ヒドロキシC2-4アルコキシ−フェニル)フルオレン;9,9−ビス[3−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(3−ヒドロキシC2-4アルコキシ−フェニル)フルオレン;9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(2−ヒドロキシC2-4アルコキシ−フェニル)フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−プロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル]フルオレン等の9,9−ビス(4−ヒドロキシC2-4アルコキシ−C1-4アルキルフェニル)フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジエチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジプロピルフェニル]フルオレン等の9,9−ビス(4−ヒドロキシC2-4アルコキシ−ジC1-4アルキルフェニル)フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−アリールフェニル]フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−ベンジルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−アラルキルフェニル]フルオレン等が例示できる。ジオール成分(II)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0030】
ジオール成分(II)は、末端基が脂肪族グリコールであるため、反応性が高く、溶融重合法に適している。従って、溶媒を使用せずに、ポリエステル系樹脂を製造できる。ジオール成分(II)は、例えば、フルオレンと、フェノキシC2-4アルコールとを反応させることにより製造できる(特開平11−349657号公報参照)。
【0031】
これらのジオール成分(II)のうち、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシC2-4アルコキシ)−フェニル]フルオレン、特に、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]フルオレンが好ましい。
【0032】
ジオール成分(III)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサンジオール等のアルキレングリコールが例示できる。ジオール成分(III)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジオール成分(III)のうち、C2-4アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール)が好ましい。ジオール成分(II)と(III)との割合は、通常、m/nに対応している。ジオール成分には、シクロヘキサノールなどの脂環族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールを10重量%以下含んでいてもよい。
【0033】
ジカルボン酸成分(IV)としては、マロン酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等のC3-12脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、トリシクロデセンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、2,2′−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が例示できる。ジカルボン酸成分(IV)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジカルボン酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸(特にテレフタル酸)、脂環族ジカルボン酸(特にシクロヘキサンジカルボン酸)が好ましい。
【0034】
前記溶融重合法においては、前記成分を反応器に仕込み、慣用の触媒の存在下又は非存在下で行うことができる。直接重合法は、例えば、前記成分を加圧下、200〜250℃(好ましくは210〜240℃)程度で反応させ、次いで、1Torr(133Pa)以下に減圧下、250〜300℃程度で重縮合させることにより行うことができる。エステル交換法は、例えば、前記成分を150〜250(好ましくは150〜230℃)程度で反応させ、次いで、1Torr(133Pa)以下に減圧下、250〜300℃程度で重縮合させることにより行うことができる。また、溶媒を用いた溶液重合や界面重合により製造してもよい。
【0035】
前記ジオール成分と前記ジカルボン酸成分との割合は、ジオール成分(II)が全ジカルボン酸成分の量と等しいか又はそれ以下の量で適当に選択できるが、ジオール成分[特に(III)ジオール]を過剰量使用してもよい。
【0036】
本発明の成形材料は、前記ポリエステル系樹脂で構成されている。前記成形材料は、成形体の強度を向上させるために、補強繊維を含有してもよい。補強繊維としては、無機繊維[例えば、ガラス繊維(チョップトストランド、ミルドファイバー等)、炭素繊維、アルミノケイ酸繊維、酸化アルミニウム繊維、炭化ケイ素繊維、ホウ素繊維、金属繊維等]、有機繊維(例えば、アラミド繊維など)、が例示できる。これらの補強繊維のうち、ガラス繊維や炭素繊維が好ましい。補強繊維の割合(重量比)は、ポリエステル系樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは5〜30重量部程度である。
【0037】
前記成形材料には、さらに、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)、難燃剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、無機充填剤、染顔料などの着色剤、分散剤、可塑剤等の慣用の添加剤を含んでいてもよい。
【0038】
[成形体]
前記成形材料は、慣用の成形方法、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空圧空成形等の方法によって、種々の成形体に成形することができる。
【0039】
本発明の成形体は、低温領域での機械的特性に優れ、例えば、温度−150℃において、曲げ弾性率が3000MPa以上(例えば、3000〜4000MPa程度)、好ましくは3500MPa以上(例えば、3500〜4000MPa程度)であり、圧縮弾性率が2700MPa以上(例えば、2700〜3500MPa程度)、好ましくは3000MPa以上(例えば、3000〜3500MPa程度)である。また、温度−150℃において、曲げ強度及び圧縮強度が150MPa以上(例えば、150〜250MPa程度)、好ましくは200MPa以上(例えば、200〜250MPa程度)である。さらに、−150℃から室温における平均膨張係数が10×10-5/K以下(例えば、1×10-5〜10×10-5/K程度)、好ましくは8×10-5/K以下(例えば、2×10-5〜7×10-5/K程度)である。
【0040】
本発明の成形体は、低温下での機械的特性を損なわない範囲で、断熱性を向上させるために、発泡成形体であってもよい。発泡方法としては、慣用の方法、例えば、機械的な攪拌により起泡させる方法、反応生成ガスを利用する方法、発泡剤を使用する方法等を利用できる。発泡倍率も、例えば、2〜100倍、好ましくは5〜70倍、さらに好ましくは10〜50倍程度の範囲から選択できる。
【0041】
本発明の成形体は、前記のような特性を示すため、低温領域(例えば、−273〜−50℃、特に−273〜−150℃程度の極低温領域)で使用する成形体として適している。このような低温用成形体としては、例えば、低温流体(例えば、LNGや液化窒素等の液化ガス)の輸送用材料や貯蔵用材料(パッキン、ボンベなどの液化ガスを収容するための容器、液化ガス輸送用パイプラインなどの管構成材等)、超伝導ケーブル、リニアモーターカーなどにおいて冷媒(液化ガス、低温流体)が用いられる部材等が挙げられる。さらに、本発明の成形体は、前記低温特性に加えて、気体透過性も低い。例えば、気体透過度は1×10-11モル/m2・S・Pa以下(例えば、1×10-14〜1×10-11モル/m2・S・Pa程度)、好ましくは5×10-12モル/m2・S・Pa以下(例えば、1×10-14〜5×10-12モル/m2・S・Pa程度)、さらに好ましくは1×10-12モル/m2・S・Pa以下(例えば、1×10-14〜1×10-12モル/m2・S・Pa程度)である。そのため、低温域でのガスバリア性が要求される用途、例えば、前記用途の中でも、低温流体用パッキン、容器、管構成材として特に適している。
【0042】
【発明の効果】
本発明では、低温領域において強度や耐衝撃性等の機械的特性に優れ、かつ低温領域における収縮率の小さい成形材料及び成形体が得られる。また、得られる成形材料は、低温用途の中でも、特に、低温流体用パッキン、容器、管構成材として特に適している。
【0043】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例では、下記の試験により成形体の特性を評価した。尚、曲げ試験、圧縮試験及びシャルピー衝撃試験は、試験体を液体窒素中に5分間浸漬し、取り出した後、直ちに−150℃の恒温槽内で測定し、5回の平均値(n=5)で示した。さらに、重量平均分子量及びガラス転移温度の測定方法も以下に示した。
【0044】
[曲げ試験]
JIS K 7171に準じて、試験速度2mm/分、支点間距離64mm、試験体の形状:縦10mm×横80mm×厚み4mmで、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
【0045】
[圧縮試験]
JIS K 7181に準じて、試験速度1mm/分、支点間距離64mm、試験体の形状:縦4mm×横4mm×厚み10mmで、圧縮強度及び圧縮弾性率を測定した。
【0046】
[シャルピー衝撃試験]
JIS K 7111に準じて、試験体支持台間の距離60mmで、シャルピー衝撃値を測定した。
【0047】
[平均線膨張係数]
JIS K 7197に準じて、試験体の平均線膨張係数を−150℃から室温で測定した。
【0048】
[気体透過試験]
JIS K 7126 A法に準じて、23±1℃で、気体透過度及び気体透過係数を測定した。尚、試験体の平均厚さは以下の通りである。
【0049】
実施例1(空気:1.18×10-4m、酸素:1.22×10-4m、窒素:1.19×10-4m)
実施例2(空気:8.0×10-5m、酸素:8.1×10-5m、窒素:7.8×10-5m)
実施例3(空気:8.0×10-5m、酸素:8.1×10-5m、窒素:7.8×10-5m)
比較例1(空気:9.6×10-5m、酸素:9.6×10-5m、窒素:9.6×10-5m)。
【0050】
[応力緩和]
試験体に4900Nの圧縮荷重をかけて、0時間、0.5時間、1時間、3時間後の荷重値(N)を測定した。
【0051】
[重量平均分子量]
HPLC装置により、東ソー(株)製カラム(TSKgel G−3000XL、G−4000XL、G−6000XL)を用い、クロロホルムを溶離液とし、40℃、流速1ml/分で測定を行った。標準物質としてポリスチレンを用いて、検量線を作成し、ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
【0052】
[ガラス転移温度]
示差走査熱量計(セイコー電子(株)製、DSC−110)を用い、試料約10mg、10℃/分の昇温速度で加熱して測定した。JIS K 7121−1987に準拠してガラス転移温度を求めた。
【0053】
参考例1
テレフタル酸ジメチル1モル、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン0.4モル、エチレングリコール2.2モルを原料とし、触媒として、酢酸カルシウム0.0008モル、酢酸マンガン0.0002モルを用い、これらを反応槽に投入し、攪拌しながら常法に従って190℃から230℃に徐々に加熱してエステル交換反応を行った。所定量のメタノールを系外へ抜き出した後、重合触媒である酸化ゲルマニウム0.012モルと、着色防止剤であるリン酸トリメチル0.0018モルとを加えて、昇温と減圧を徐々に行い、発生するエチレングリコールを抜きながら、加熱槽温度を280℃、真空度を1Torr(133Pa)以下に到達させた。この条件を維持し、粘度を上昇させて、所定の攪拌トルクに到達した後(約2時間後)反応を終了し、反応物を水中に押し出して、式(I-1)で表される繰り返し単位を有する樹脂ペレットを得た。得られた樹脂のガラス転移温度は125℃、重量平均分子量は45000であった。
【0054】
【化5】
Figure 0004714362
【0055】
(式中、m及びnは前記に同じ)。
【0056】
得られた樹脂ペレットは100℃で3時間乾燥させた後、射出成形機(日本製鋼所(株)製、N40−BII)を用いて試験片を作製した。射出成形の条件は、シリンダー温度はノズル部250℃、前部250℃、中央部245℃、後部240℃、金型温度は70℃、射出圧力は8.28×108Pa(845kgf/cm2)、スクリュー回転数は150rpm、射出時間は8秒、冷却時間は10秒で行った。この試験片を用いて、各種特性を評価した結果を表1に示す。
【0057】
実施例2
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル1モル、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン1モル、エチレングリコール2.2モルを原料とし、触媒として、酢酸カルシウム0.0008モル、酢酸マンガン0.0002モルを用い、これらを反応槽に投入し、攪拌しながら常法に従って190℃から230℃に徐々に加熱してエステル交換反応を行った。所定量のメタノールを系外へ抜き出した後、重合触媒であるチタン(IV)テトラブトキシド0.00005モルを加え、昇温と減圧を徐々に行い、発生するエチレングリコールを抜きながら、加熱槽温度を280℃、真空度を1Torr(133Pa)以下に到達させた。この条件を維持し、粘度を上昇させて所定の攪拌トルクに到達した後(約2時間後)反応を終了し、反応物を水中に押し出して、式(I-2)で表される繰り返し単位を有する樹脂ペレットを得た。得られた樹脂のガラス転移温度は136℃、重量平均分子量は60000であった。
【0058】
【化6】
Figure 0004714362
【0059】
得られた樹脂ペレットは、参考例1と同様にして、試験片を作製し、各種特性を評価した結果を表1に示す。
【0060】
実施例3
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸1モル、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン1モル、エチレングリコール2.2モルを原料とし、これらを反応槽に投入し、攪拌しながら常法に従って190℃から230℃に徐々に加熱してエステル化反応を行った。所定量の水を系外へ抜き出した後、重合触媒であるチタン(IV)テトラブトキシド0.00005モルを加え、昇温と減圧を徐々に行い、発生するエチレングリコールを抜きながら、加熱槽温度を280℃、真空度を1Torr(133Pa)以下に到達させた。この条件を維持し、粘度を上昇させて所定の攪拌トルクに到達した後(約2時間後)反応を終了し、反応物を水中に押し出して、前記式(I-2)で表される繰り返し単位を有する樹脂ペレットを得た。得られた樹脂のガラス転移温度は136℃、重量平均分子量は69000であった。
【0061】
得られた樹脂ペレットは、参考例1と同様にして、試験片を作製し、各種特性を評価した結果を表1に示す。
【0062】
比較例1
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成された試験片を用いて、各種特性を評価した結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
Figure 0004714362
【0064】
表1の結果より、本発明の成形体は、PTFEで形成した成形体よりも機械的特性に優れるとともに、気体透過性及び−150℃での収縮率も低い。

Claims (6)

  1. 温度−273〜−50℃で使用される成形材料であって、式(I)で表される繰り返し単位を有するポリエステル系樹脂で構成されている低温用成形材料。
    Figure 0004714362
    [式中、A 及びA は、同一又は異なって、アルキレン基を、X 及びX は、同一又は異なって、フェニレン基又はシクロヘキシレン基を示し、X 及びX は置換基を有していてもよい。Rは、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、sは0〜2の整数を示す。m及びnは、繰り返し単位のモル数を示し、m/n=100/0〜30/70である]
  2. 及びAは、同一又は異なって、C2−4アルキレン基である請求項記載の低温用成形材料。
  3. ポリエステル系樹脂が、式(II)で表されるジオール成分と、式(III)で表されるジオール成分と、式(IV)で表されるジカルボン酸成分から選択された少なくとも一種との反応生成物である請求項記載の低温用成形材料。
    Figure 0004714362
    (式中、A、A、R及びsは前記に同じ。Xは前記X及びXに同じ)
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の材料で形成され、温度−150℃において、曲げ弾性率が3500MPa以上であり、かつ圧縮弾性率が3000MPa以上である低温用成形体。
  5. パッキン、容器及び管構成材から選択される少なくとも一種の成形体であって、発泡されていてもよい請求項記載の成形体。
  6. 請求項4又は5記載の成形体を、温度−273〜−50℃で使用する方法。
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