JP4396221B2 - 高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂 - Google Patents

高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂 Download PDF

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Description

本発明は、水素ガスバリア性に優れ、加工温度領域が低温であり、成形加工性に優れているために、これらの特性が要求される高圧水素貯蔵タンク、特に車載用高圧水素貯蔵タンクに有用である高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂に関するものである。
これまでにも、包装材料を中心にガスバリア材料の開発がなされてきたが、近年、水素エネルギーが注目されるようになり、水素ガスバリア性を有する樹脂材料が求められるようになりつつある。
水素は極めて分子直径が小さいガスであり、一般的な熱可塑性樹脂の水素ガスに対するバリア性は十分なものではない。
高いガスバリア性発現のためには、特に高結晶性の樹脂や、高い分子間相互作用を有する樹脂が有用とされており、ポリビニルアルコール共重合体などとともに、液晶性樹脂はその特異な分子形態から高いガスバリア性を示す材料として注目され始めている。
しかし、高いガスバリア性を有するポリビニルアルコール共重合体や、液晶ポリエステルアミド樹脂などは、水素結合による高い凝集エネルギーによりガスバリア性を発揮しているために、環境中の水分を吸いやすく、吸水することでガスバリア性が低下してしまう。
また、ポリビニルアルコール共重合体では、溶融加工時の架橋反応による高粘度化といった問題がある。
そこで、液晶性ポリエステル樹脂の環境安定性に着目し、燃料タンクへの利用が検討されている(例えば、特許文献1)。
また、ガスバリア性のラミネートとしては、1,3−置換や1,2−置換の芳香族モノマーを共重合したアモルファスな液晶性ポリマーが検討されている(例えば、特許文献2〜3)。
また、バリア性の液晶性ポリマーとしては、酸素、水蒸気、香料などのバリア性に優れたものが検討されている(例えば、特許文献4〜10)
また、他の熱可塑性ポリマーとのアロイが検討されている(例えば、特許文献11〜14)。
また、良ガスバリア性ポリマーとの積層も検討されている(例えば、特許文献15〜16)。
また、液晶性ポリマーをタンクのライナー材として用いる検討もされている(例えば、特許文献17)。
特開2002−104297号公報(第1〜2頁) 特開平11−188815号公報(第1〜2頁) 特開平11−268191号公報(第1〜2頁) 特開平2001−500242号公報(第1〜2頁) 特開平2001−151872号公報(第1〜2頁) 特開平2001−342243号公報(第1〜2頁) 特開平2002−178414号公報(第1〜2頁) 特開2003−103708号公報(第1〜2頁) 特開平2001−30432号公報(第1〜2頁) 特開平2001−72750号公報(第1〜2頁) 特開平2002−88232号公報(第1〜2頁) 特開平2003−128056号公報(第1〜2頁) 特開平2001−131405号公報(第1〜2頁) 特開平2001−192571号公報(第1〜2頁) 特開平2002−36454号公報(第1〜2頁) 特開平2001−80004号公報(第1〜2頁) 特開平4−249699号公報(第1〜2頁)
しかし、水素ガスの透過性については、近年までそのガスの危険性や用途が限られていたために、ヘリウムや窒素などの比較的分子直径の小さいガスと同様の傾向を示すものと考えられていたが、水素ガスは非常に浸透性が高く、ヘリウムなどよりもバリア材料には厳しいガスバリア性が要求されることが分かってきた。 液晶性ポリマーはポリアルキレンテレフタレートなどに比べると高いガスバリア性を示すが、要求されるガスバリア性能には公知の液晶ポリマーの全てが対応できる訳ではなく、特に車載用の高圧水素貯蔵タンクには、−40〜約80℃、高湿〜絶乾の広い条件における高いガスバリア性が要求され、これまでに検討されていた燃料や酸素、水蒸気などのガスバリア性が良好でも、高圧水素に対してこれらの条件下で十分なガスバリア性を示すものは検討されていない。
また、非晶になることでガスバリア性は低下する傾向があり、更に芳香核の1,2位や1,3位置換の屈曲性の高いモノマーを用いることで、分子鎖間距離が開いて水素ガスの拡散係数が大きくなる。
また、熱可塑性ポリマーとのアロイにおいては、液晶性ポリマーの特異な溶融状態のために、熱可塑性ポリマーとの相溶が十分ではなく、加成性以上にガスバリア性は低下するために、従来技術では要求される水素ガスバリア性を満足できない。
また、良ガスバリア性ポリマーとの積層は、液晶ポリマーの成形加工温度がポリアクリロニトリルやポリビニルアルコール共重合体の加工温度よりも非常に高いために、積層面に乱れが生じたり、接着性が低いためにボイドが入ったりし、好ましくない。
また、これまでにタンクのライナー材として液晶ポリマーを用いた例で用いられている液晶ポリマーでは、本発明の比較例に示すように近年車載用の高圧水素貯蔵タンクに求められている30〜80MPaという高圧の水素に対しては十分なガスバリア性が得られない。
さらに液晶ポリマーをタンクのライナー材として用いるこれまでの公知例の場合、タンクの構造材を熱可塑性樹脂で構成する場合には、耐衝撃層としてポリオレフィンがバリア層との積層で用いられる場合が多いが(例えば特許文献8、16等)、液晶ポリマーは、ポリオレフィン類との接着性に劣るため、積層した場合に層間での剥離が起きたりして、実用的に優れた積層体が得られていなかった。
そこで上述した従来の問題点の改良を目指し、特に水素ガスバリア性に優れ、液晶性ポリエステルの大きな問題の一つであるポリオレフィンとの接着性が改良された高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂の取得を課題とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下の結論に達した。
すなわち本発明は、下記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる液晶性ポリエステル樹脂であって、前記液晶性ポリエステル樹脂中の構造単位内のフェニレン基とナフチレン基の合計に対するナフチレン基の含有比NPが、下式(1)
NP=ナフチレン基(モル)/(フェニレン基(モル)+ナフチレン基(モル))>0.35・・・(1)
で示される範囲にあり、35℃における水素ガス透過係数が1.4×10−11cc・cm/cm・s・kPa未満高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂である。
Figure 0004396221
(ただし式中のR1
Figure 0004396221
から選ばれた1種以上の基を示し、R2
Figure 0004396221
から選ばれた1種以上の基を示し、R3
Figure 0004396221
から選ばれた1種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)。
また、本発明は上記高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂からなる高圧水素貯蔵タンクであり、該水素貯蔵タンクが、少なくとも液晶性ポリエステル樹脂層とポリオレフィン層からなる多層積層構造を有していることが好ましく、多層積層構造が、液晶性ポリエステル樹脂層とポリオレフィン層との間に、接着性ポリオレフィン層を含むものであることが好ましく、多層ブロー成形によって製造されたものであることが好ましい。
本発明の上記高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂は、水素貯蔵タンクのライナーに好ましく用いられ、他の熱可塑性樹脂との積層をすることもでき、ライナーの製造方法としては多層射出成形、多層ブロー成形などが好ましく用いられる。
本発明の高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂は、極めて優れた水素バリア性を有し、低融点であるために耐衝撃強度に優れており、水素貯蔵タンク用途に極めて実用的な特性を発揮する。また、液晶性ポリエステル樹脂の問題であるポリオレフィン樹脂との接着性が改良されたため、これらの特性が必要とされる高圧水素貯蔵タンク用途に好適なライナーを得ることができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明でいう重量は質量を意味する。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂は水素ガスに対して良好なガスバリア性を有しており、35℃における水素ガス透過係数が1.4×10-11cc・cm/cm2・s・kPa未満である。
この透過係数の値が小さい程、高圧水素貯蔵タンクとして厚みを薄くすることができ好ましく、より好ましくは0.7×10-11cc・cm/cm2・s・kPa未満、更に好ましくは0.3×10-11cc・cm/cm2・s・kPa以下、最も好ましくは0.15×10-11cc・cm/cm2・s・kPa以下である。
なお、水素ガス透過係数の好ましい下限は検出限界以下であるが、実用性の点からは0.013×10-11cc・cm/cm2・s・kPa以上である。
本発明における水素ガス透過係数はJIS K7126 A法(差圧法)に従い、35℃の温度条件下で測定されるものであり例えば、GTR−10(ヤナコ分析工業製)を用いて測定を行える。
サンプルは厚み100±20μmのプレスフィルムを用いる。
本発明の高圧水素貯蔵タンク用液晶ポリエステル樹脂の好ましく使用できる耐圧条件としては、30〜80MPaであり、特に50〜75MPaの高圧域でその効果を発揮し、これまでに用いられている公知の液晶性ポリエステルとの差が明確となる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂は、水素ガス透過係数が1.4×10-11cc・cm/cm2・s・kPa未満である限り、特に限定されるものではないが、本発明者らの検討によって、特定組成を有する液晶性ポリエステル樹脂が、好ましい水素ガス透過係数を有することが明らかになった。
一つには、(A)p−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、テレフタル酸、イソフタル酸の5成分を必須とする成分から誘導される構造単位からなる共重合ポリエステルであって、特定組成を有するものが好ましく、もう一つには(B)下記式()で規定されるNPを有する液晶性ポリエステル樹脂である。
NP=ナフチレン基(モル)/(フェニレン基(モル)+ナフチレン基(モル))>0.35・・・(
上記式のフェニレン基量は、フェニレン基を一つ構造単位中に有する構造単位であればそのモル数を、フェニレン基を二つ構造単位中に有する構造単位であれば、そのモル数の2倍とし、全構造単位について足し合わせたものである。
また、ナフチレン基量は、ナフチレン基を構造単位中に有する構造単位のモル数を全構造単位について足し合わせたものである。
ベンゼン核およびナフタレン核以外の芳香核については、上記式では除外して考える。
(B)については0.35より大きいことが必須であるが、より好ましくは0.35超0.60以下であり、更に好ましくは0.36〜0.45である。
NPが0.35超にある場合に、十分な水素ガスバリア性が顕著に発揮される。
また、0.37〜0.45の範囲においては、分子の配列がしやすく、特に優れた水素ガスバリア性能を発揮することができ好ましい。
ナフチル基を有する構造単位としては、前記構造単位(I)の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位や、前記構造単位(II)の2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンから生成した構造単位、前記構造単位(IV)の2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位などが挙げられ、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位または2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位が導入効果の点から好ましい。
これらは、一種もしくは二種以上を任意に導入できる。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位の好ましい導入量は全構造単位を100モル%とした場合に10〜60モル%であり、より好ましくは20〜45モル%、更に好ましくは30〜40モル%である。
2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位の好ましい導入量は全構造単位を100モル%とした場合に、1〜20モル%であり、より好ましくは2〜15モル%、更に好ましくは3〜10モル%である。
本発明における(B)の要件を満たす液晶性ポリエステル樹脂の共重合種の組み合わせは(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルである。
Figure 0004396221
(ただし式中のR1
Figure 0004396221
から選ばれた1種以上の基を示し、R2
Figure 0004396221
から選ばれた1種以上の基を示し、R3
Figure 0004396221
から選ばれた1種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)。
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸および/または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。
なお、構造単位(III)および(IV)は、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートまたはそのオリゴマーから生成したものでよく、これらのポリマーを原料として用いる際には、その末端構造を考慮せず、繰り返し構造単位のみでモル量を取り扱い、基本的にこれらのポリマーまたはオリゴマーは、(III)と(IV)を同モル量含有するものとする。
上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)の共重合量は本発明で規定する水素ガス透過係数を満たす限り任意であるが、前記NPの範囲を満たすものである。さらに、本発明の特性を顕著に発揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して50〜90モル%が好ましく、60〜85モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して50〜10モル%が好ましく、40〜15モル%がより好ましい。また、構造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]は好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであることが好ましい。
ここで実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
上記本発明の液晶性ポリエステル樹脂は、上記構造単位を構成する成分以外に3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを液晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
また、本発明の液晶性ポリエステル樹脂は、(V)を液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部添加することが好ましく、より好ましくは0.2〜3重量部である。
Figure 0004396221
(ここで、R4、R5はそれぞれ同一または相異なる炭素数4〜18の脂肪族アルキルであり、mは3〜15の整数を示す。またYは水酸基を示し、Zは水素原子を示す。)。
脂肪族アルキル鎖長については、他の熱可塑性樹脂との親和性の観点から、4〜18が好ましく、より好ましくは6〜12である。
重合度mは、特に制御する必要はないが、3〜15が好ましく、より好ましくは5〜10である。
2は、主鎖の構造単位(II)のR2と同じ単位から選択された1種以上の基である。
YおよびZは、(V)が液晶性ポリエステル樹脂の主鎖中に取り込まれた場合には、共に直接結合であり、液晶性ポリエステル樹脂の末端に結合した場合にはYまたはZのいずれかが直接結合であり、Yが直接結合の場合には、Zは水酸基であり、Zが直接結合の場合には、Yが水素原子である。
(V)を与えるための原料としては、例えば4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどの構造単位(II)を与える芳香族ジヒドロキシ化合物と2,5−ジ(アルキルオキシカルボニル)テレフタル酸とから合成したポリまたはオリゴエステルが挙げられ、なかでもオリゴ(4,4’−ジヒドロキシビフェニル−2,5−ジ(アルキルオキシカルボニル)テレフタレート)が好ましく用いられ、4,4’−ジヒドロキシビフェニルと2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタル酸とから合成したオリゴ(4,4’−ジヒドロキシビフェニル−2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタレート)が特に好ましい。
(V)を与えるための原料の製造方法としては、例えば、上記好ましい構造で例示すると、4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどの構造単位(II)を与える芳香族ジヒドロキシ化合物と2,5−ジ(アルキルオキシカルボニル)テレフタル酸クロリドとの重縮合をピリジン溶媒中、110℃±30℃で撹拌しつつ30分±5分程度行い、水中に投入して反応を停止することで、末端にカルボキシル基と水酸基がほぼ同等の割合で有するオリゴマーが得られる。
液晶性ポリエステル樹脂への(V)の添加方法としては、重合を終了した溶融状態の液晶性ポリエステル樹脂に添加しても溶融混練してもよい。
溶融混練により添加する場合には、二官能性の反応性化合物を共に添加すると好ましい。二官能性の反応性化合物の添加量は、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部添加することが好ましく、より好ましくは0.2〜3重量部である。
二官能性の反応性化合物としては、ジグリシジル化合物、ジイソシアナート化合物、ジオキサゾリン化合物、テトラカルボン酸2無水物などが挙げられ、ジグリシジル化合物やテトラカルボン酸2無水物などは二官能性であるが、反応した際に水酸基やカルボキシル基などの更に反応しうる基を生成するために、ジイソシアナート化合物やジオキサゾリン化合物が架橋性や耐熱性の点から好ましく、より好ましくは副反応生成物を生成ししないジオキサゾリン化合物である。
ジオキサゾリン化合物としては、1,3−ジオキサゾリニルベンゼンや1,4−ジオキサゾリニルベンゼン、1,3−ジオキサゾリニルシクロヘキサン、1,4−ジオキサゾリニルシクロヘキサン、2,6−ジオキサゾリニルナフタレン、2,7−ジオキサゾリニルナフタレンなどが挙げられる。
また、二官能性が好ましいが、ビニルオキサゾリンとポリオレフィンとの共重合体のようなオキサゾリンペンダントポリマーも、ビニルオキサゾリンの共重合量を1〜8%とすることで、架橋の影響を抑制し、同等の効果が得られる。
(V)が液晶性ポリエステル樹脂の主鎖中または末端にどの程度導入されたかは、例えば核磁気共鳴スペクトルによって評価することができる。
本発明において使用する上記液晶性ポリエステル樹脂の基本的な製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
例えば、上記液晶性ポリエステル樹脂の製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で、p−アセトキシ安息香酸、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(2)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
液晶性ポリエステル樹脂を製造する際に、上記構造単位(IV)を生成する原料モノマーを、上記構造単位(II)を生成する原料モノマーの合計を100モル%に対し、等モルより0.2モル%超過剰に用いることが好ましく、より好ましくは0.3モル%超過剰に用いることである。ただし、上限値は0.5モル%過剰である。
ここで、原料モノマーとはポリマーを含んでおらず、構造単位(IV)を生成する原料として、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリマーやオリゴマーを用いた場合にはそれらから誘導される構造単位は計算に含めない。
構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる液晶性ポリエステルは、通常、原料としてポリエチレンテレフタレートなどの(III)および(IV)を形成し得るポリエステルのポリマーもしくはオリゴマーが用いられ、その場合には、(III)のモル%に等しいモル%を(IV)のモル%からを差し引いたモル%が(II)のモル%に対して、上記した好ましい範囲を取ることが好ましい。
あまり過剰にすると、モルバランスが崩れてしまうために好ましくないが、上記範囲で仕込むことで、得られる液晶性ポリエステル樹脂の末端が(V)を導入するのに好ましい形態とすることができる。
本発明の液晶性ポリエステルを脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルが溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、テレフタル酸、ポリエチレンテレフタレートなど本発明の高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂の原料ならびに、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。アセチル化させる条件は、通常130〜300℃の範囲、好ましくは135〜200℃の範囲で通常1〜6時間、好ましくは140〜180℃の範囲で2〜4時間反応させる。重縮合させる温度は、液晶性ポリエステルの溶融温度、例えば、250〜350℃の範囲であり、好ましくは液晶性ポリエステルの融点+10℃以上の温度である。重縮合させるときの減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を例えば、およそ1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
本発明の液晶性ポリエステルを製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルの融点−5℃〜融点−50℃(例えば、100〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
液晶性ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂の融点は特に限定されるものではないが、270℃未満であることが好ましく、より好ましくは250℃未満であり、更に好ましくは230℃未満であり、最も好ましいのは220℃未満である。融点の下限については、乾燥時などのハンドリング性の観点から180℃以上であることが好ましい。
ここで融点とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点とする。
融点が上記範囲にある場合には、他の熱可塑性樹脂とのアロイや積層などにおいて有利であるとともに、成形加工温度を低減できるので好ましい。
融点が180℃未満であると、ガスバリア性に悪影響を与えるために好ましくないが、融点が上記した好ましい範囲にある場合もしくは、融点が観測されなくても、液晶開始温度が150℃以上270℃未満の範囲にある場合には、耐衝撃強度に優れており、高圧水素貯蔵タンク用途に最適であるため好ましい。
上記融点を有する液晶性ポリエステルは、上記した組成から好ましい組成比を選択することにより得ることができる。
また上記したように融点が観測される、されないに関わらず、液晶開始温度が250℃未満であることが好ましく、より好ましくは230℃以下であり、更に好ましくは190℃以下であり、最も好ましいのは170℃以下である。液晶開始温度の下限については耐熱性の観点から150℃以上であることが好ましい。なお、ここで「融点が観測されない」とは上記した示差熱量測定において液晶性ポリエステル樹脂の一般的な分解温度以上である400℃まで昇温しても融点が観測されないことをいう。
液晶開始温度の測定は、剪断応力加熱装置(CSS−450)により剪断速度1,000(1/秒)、昇温速度5.0℃/分、対物レンズ60倍において測定し、視野全体が流動開始する温度を液晶開始温度とする。
上記液晶開始温度を有する液晶性ポリエステルも上記した組成から好ましい組成比を選択することにより得ることができる。
また、本発明の液晶性ポリエステル樹脂は数平均分子量が11,000〜45,000であることが好ましく、より好ましくは、11,500〜35,000であり、更に好ましくは12,000〜25,000である。
数平均分子量は通常の熱可塑性樹脂では、ガスバリア性に対して大きな影響を与えないが、液晶性ポリエステル樹脂では、その影響が大きく、上記数平均分子量範囲において、十分な水素ガスバリア性が得られる。
上記数平均分子量は低角度レーザー光散乱光度計を備えたゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC−LALLS)により絶対分子量を測定することにより測定された値である。また、数平均分子量が大きすぎると成形加工性が低下する傾向がある。
数平均分子量の調整は例えば重合時間および到達トルクを制御することにより行うことができる。
本発明においては靱性改良の点から、ゴムを配合することができ、ここでいうゴムとしてはオレフィン系共重合体などが挙げられる。
特に、他の熱可塑性樹脂と積層した場合の層間接着性、フィルム、シートとしての柔軟性などを得る意味においてエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およ及びその塩、カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系共重合体を配合することが可能である。
エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系共重合体の配合量は、水素バリア性、フィルムもしくはシートの成形性などの点から、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.1〜50重量部の範囲が選択され、好ましくは1〜35重量部、より好ましくは2〜30重量部の範囲が選択される。
また、エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラストマーを用いること、特に上記エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系共重合体と併用して用いることは、優れた平滑性を有するフィルムもしくはシートを得る上で、またより優れた機械的強度、成形性を得る上で有効である。
エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラストマーを用いる場合、その好適な配合量は、水素バリア性、面衝撃強度、成形性の点から、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.1〜30重量部の範囲が選択され、1〜25重量部がより好適であり、2〜20重量部が更に好適である。
また、官能基を含有する熱可塑性樹脂と併用して用いる場合には、特に水素バリア性の観点から、官能基を含有するオレフィン系共重合体とエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラストマーの合計が液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対し、50重量部以下が好ましく、35重量部以下、更に30重量部以下がより好ましい。
また、本発明の液晶性ポリエステル樹脂には、その特性を損なわない程度であれば、他の熱可塑性樹脂を添加することができる。
他の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられ、ガスバリア性を損ないにくいポリビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル共重合体などが好ましく用いられる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂では、これまでの熱可塑性樹脂と異なり、ポリオレフィンに対しても親和性を有しているために、ポリオレフィンを添加しても、特性の低下が少ない。
液晶性ポリエステル樹脂へのこれらの熱可塑性樹脂を配合する場合の配合量は、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜35重量部、さらに好ましくは2〜30重量部である。
本発明において高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂の機械強度その他の特性を付与するために補強剤を使用することが可能であり、特に限定されるものではないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填剤を使用することができる。
具体的には例えば、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填剤、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイトなどの粉状、粒状あるいは板状の充填剤が挙げられる。上記充填剤中、ガラス繊維および導電性が必要な場合にはPAN系の炭素繊維が好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記の充填剤は2種以上を併用して使用することもできる。なお、本発明に使用する上記の充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
上記の充填剤の添加量は、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対し、通常、0.05〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは10〜50重量部である。
本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化PPO、臭素化PC、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)を添加することができる。
液晶性ポリエステル樹脂に上記したような添加剤を配合する方法については特に制限はないが、液晶性ポリエステル樹脂との相互作用を適度に向上させるために好ましい方法としてニーディングディスク等を挿入した2軸押出機を用いて樹脂組成物に適度な剪断力をかけ、溶融混練を行うことが好ましい。
溶融加工温度については、液晶性ポリエステル樹脂の融点以上もしくは融点が観測されない場合には液晶開始温度+30℃以上において混練することが、水素ガスバリア性を低下させないために好ましい。
また、充填材およびその他の添加剤を添加する際には、一括混練法、逐次添加法、高濃度組成物(マスター)を添加する方法等が挙げられ、いずれの方法でもかまわない。
本発明の高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂の成形方法に関しても制限はなく、公知の方法を利用することができる。例えば射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形(プレス成形、インジェクションプレス成形)などにより加工することができる。本発明の特性発揮の観点から、ブロー成形あるいは押出成形等が好ましい。また、例えばTダイ法あるいはインフレーション法によってフィルム状もしくはシート状とすることができる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂は、特に分子直径が小さい水素に対しても優れたガスバリア性を発揮し、適度に低融点であるために使用環境下における耐衝撃特性に優れるため、高圧水素貯蔵タンクを構成する素材として特に適している。上記高圧水素貯蔵タンクは一般に30〜80MPaの高圧水素貯蔵タンクであり、−40〜80℃の温度環境下で使用する高圧水素貯蔵タンクである場合に特に有用で、そのライナー材、水素移送チューブ部品などとして好適に用いられる。
高圧水素貯蔵タンクは、定置式や車載式があり、車載式においては、耐衝撃強度の観点から、ライナー材の外装に耐圧、耐衝撃用のシェルが配置されている。
本発明の高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂は、耐衝撃強度にも優れるために、この樹脂をライナーのガスバリア層として用いれば、この耐衝撃シェルの厚みを薄くすることが可能で、タンク全体の軽量化ができ好ましい。
ライナーの製造法としては、吹きつけ塗装などの塗装によりシェル内装もしくは樹脂もしくは金属製のライナーへ塗装する方法、フィルムを構成した後、シェル内装もしくは樹脂もしくは金属製のライナーに張り付ける方法、シートをプレス金型で加熱圧縮加工しタンク状に加工する方法、射出成形によってタンクライナーの半球もしくは一部を構成し溶着する方法、射出ブローもしくは連続ブロー成形によってタンクライナー部を成形する方法、もしくは射出ブロー、もしくは連続ブローによってタンクの蓋部を除く部分のライナーを成形し、、蓋部と接合する方法、溶融中子を用いてタンクライナー部を射出成形や押出成形で成形した後、中子を取り除きタンクライナーとする方法などが挙げられる。
この内、製造性の観点から射出成形、射出ブローもしくは連続ブロー成形により一段階でタンクライナー部を成形する方法などが好ましく、本発明の液晶性ポリエステル樹脂はこの両者に適しているが、より好ましくは射出ブローもしくは連続ブロー成形が好ましい。
水素貯蔵タンクのライナーを射出ブローもしくは連続ブロー成形で製造する際には、液晶性ポリエステル樹脂の単層であっても構成することが可能だが、他の熱可塑性樹脂との多層ブローが好ましい。
他の熱可塑性樹脂として選択されるのは、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラストマなどが例示でき、耐衝撃性、環境耐性の点からポリオレフィン樹脂が好ましく、中でもポリエチレンが好ましい。これらは種々の添加剤を配合した組成物であってもよい。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂と他の熱可塑性樹脂との積層においては、接着層を間に設けてもよい。接着層としては、変性ポリオレフィン樹脂が好ましく用いられ、その中でも特に加工性の観点から、酢酸ビニルけん化物共重合体、グリシジルメタクリレート基を有するオレフィン系共重合体、マレイン酸を有するオレフィン系共重合体、オキサゾリニル基を有するオレフィン系共重合体、イソシアナート基を有するオレフィン系共重合体などが好ましく用いられ、特にオキサゾリニル基を有するオレフィン系共重合体が好ましい。このような好ましい例としては、液晶性ポリエステル樹脂との相溶性の点から、スチレンと2−イソプロペニル−2−オキサゾリンとの共重合体が好ましい。
本発明の高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂は、従来の液晶性ポリマーとは異なり、ポリオレフィンとの親和性に優れ、成形加工温度も低温であるために、ポリエチレンとの多層ブローにより製造したタンクは接着層を介した場合、介さない場合の何れでも界面剥離もなく、水素ガスバリア性、耐衝撃性に優れている。
本発明の高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂を用いた多層のライナーにおける各層の配置については特に制限はなく、全ての層を本発明の液晶性ポリエステル樹脂で構成してもよいし、少なくとも1層に本発明の液晶性ポリエステル樹脂を用い、他の層にその他の熱可塑性樹脂を用いて構成してもよい。本発明の液晶性ポリエステル樹脂からなる層は外層、内層もしくは中間層であっても良いが、水素バリア性の点から最内層であることが好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂からなる層の厚みは多層成形品においては0.01〜5mmが好ましく、より好ましくは0.02〜2mmである。
層の厚みが薄い場合にも、数層に本発明の液晶性ポリエステル樹脂を構成した場合には、十分な水素ガスバリア性が発揮され、その場合には一層の厚みは0.01mm以下でも構わない。
また、本発明の液晶性ポリエステル樹脂から構成される高圧水素貯蔵タンクを最終的に構成する前の成形品、フィルムおよびシート状のものは一般的に用いられる方法によって、2次加工することができる。2次加工とは、切削・研磨などの物理加工、加温・加熱による老成処理などの加熱処理、イオンやプラズマによる表面処理などであり、特に加温・加熱下での延伸処理やガスバリア性を発揮する方向の厚みを減じるプレス、ローラー圧延、多軸引張延伸などの応力付加による圧延処理が好ましく用いられる。加温・加熱温度は、通常液晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上かつ液晶性ポリエステル樹脂の液晶開始温度−10℃以下が好ましい。
フィルムは、それ自体を例えば射出成形によって他の熱可塑性樹脂や液晶性樹脂から構成したタンクの内部に張り付けることができるが、一度フィルム最内層に張り合わせてから溶融してライナーとすることもできる。
水素タンクには、耐衝撃強度や耐圧性の観点から、ライナーに構造用材料からなるシェルを組み合わせることが好ましい。ここで、シェルとは、上記したライナーの外部に構成され、ライナーとシェルの一つの組み合わせからなる構成でも、ライナーとシェルの組み合わせを更に複数重ね合わせた構成でもよい。この場合、タンク内部に近いシェルをインナーシェル、最外層にあるシェルをアウターシェルと呼び、インナーシェルは最内層から順に層番号を付けて便宜的に最内層をインナーシェル第1層と呼ぶ。インナーシェルやアウターシェルには樹脂に構造用繊維を配合した複合材料からなるものが用いられ、構造用繊維としては、黒鉛繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ホウ素繊維、液晶性樹脂繊維、超高分子量ポリエチレン繊維などが用いられ、樹脂としては、熱硬化樹脂または熱可塑性樹脂が用いられ、熱硬化性樹脂が好ましく用いられ、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂などが用いられる。熱可塑性樹脂はポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンなどが好ましく用いられる。
シェルの構成方法としては、ハンドレイアップ、テープレイイング、ブレイディング、フィラメントワインディングなどが用いられ、フィラメントワインディングが好ましい。
フィラメントワインディングとは、繊維を巻織型に配列させ、巻き付けた後オートクレーブなどで熱を付与することで、繊維を溶融パッキングさせてタンクを形成する方法である。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂もしくは液晶性ポリエステル樹脂と他の熱可塑性樹脂から構成される(積層)ライナーと樹脂を含浸した構造用繊維からなるシェルの構成は、最内層をライナー層とすることが好ましく、何層に渡って積層しても構わず、最外層はライナー層でもシェル層でも特に限定されないが、成形性の観点から、ライナー層とシェル層をそれぞれ内側から順に一層ずつから構成することが好ましい。
タンクの部品となる口金部などとの接合は、溶着、接着、機械的なネジ止めなどの方法が用いられるが、好ましくは、ガス漏れを防止する観点から、タンク本体と同じ液晶性ポリエステル樹脂もしくは液晶性ポリエステル樹脂と他の熱可塑性樹脂の積層材料からなる部品をそれぞれの層で溶着し、必要に応じてシーラント材で補強することが好ましい。シーラント剤としては、本発明の液晶性ポリエステル樹脂に接着性ポリマーを配合したものが好ましく用いられ、これには、タンクのリサイクル材を代用することが可能である。すなわち、ここでいう接着性ポリマーとは接着層を構成するポリマーと同じものから選ばれる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
実施例1
p−ヒドロキシ安息香酸460重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸728重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部(0.3モル%過剰)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸985重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20.0225モル当量からなる液晶性樹脂が得られた。
得られた液晶ポリエステル樹脂100重量部と4,4’−ジヒドロキシビフェニルと2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタル酸クロリドとから合成したオリゴ(4,4’−ジヒドロキシビフェニル−2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタレート)(平均重合度m=8)0.4重量部および、1,3−ジオキサゾリニルベンゼン0.2重量部をドライブレンドし、樹脂温度250℃で、ニーディングディスクをスクリューパターンに組み込んだPCM30型二軸押出機(池貝鉄鋼)で溶融混練し、液晶ポリエステル樹脂(B−1)を得た。この液晶性ポリエステル樹脂は(B)の要件を満たす。
オリゴ(4,4’−ジヒドロキシビフェニル−2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタレート)の導入量は核磁気共鳴スペクトル測定(ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=2/1)によって算出した。
添加したオリゴ(4,4’−ジヒドロキシビフェニル−2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタレート)の約80%が液晶ポリエステル樹脂に導入され、NMRシフトより、オリゴ(4,4’−ジヒドロキシビフェニル−2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタレート)の片水酸基末端は残存していることが確認され、末端へアミド結合を介して導入されたことが確認された。このことから液晶性ポリエステル樹脂の末端に、オリゴ(4,4’−ジヒドロキシビフェニル−2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタレート)が、1,3−ジオキサゾリニルベンゼン残基を介して導入されたことがわかる。
ペレタイズした後、80℃で10時間真空乾燥し、融点211℃、液晶開始温度164℃、数平均分子量12,400の液晶性樹脂を得た。
融点の測定は示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を融点とした。
液晶開始温度の測定は、剪断応力加熱装置(CSS−450)により剪断速度1,000(1/秒)、昇温速度5.0℃/分、対物レンズ60倍において測定し、視野全体が流動開始する温度を液晶開始温度とした。
数平均分子量の測定は低角度レーザー光散乱光度計を備えたゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC−LALLS)により絶対分子量を測定した。 得られた液晶性ポリエステル樹脂を250℃、150kg/cm2で高圧プレスにより予熱2分、1分間プレスして厚み100μmのプレスフィルムを作成、徐冷し、得たフィルムについて以下(1)〜(4)の評価を行った。
(1)表面粗度
プレスフィルムの表面粗度を小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用い、中心線平均粗さ(Ra)を測定した。20回の測定の平均値をもって値とした。Ra0.010以下が表面平滑性良好である。測定条件は触針先端半径0.5μm、触針荷重5mg、測定長1mm、カットオフ値0.08mmで行った。
(2)ポリオレフィン接着性
同様に250℃、150kg/cm2、予熱2分間、1分間プレスして、ポリエチレン(三井化学製)“ハイゼックス”7000Fのプレスフィルム(長さ250mm×幅150mm×厚み100μm)を作成し、得られた液晶ポリエステル樹脂およびポリエチレンのフィルムを長さ100mm×幅20mm×100μm厚に切削し、長さ方向に20mmを重ねて200℃で10kg/cm3、5秒間でプレス圧着した。
圧着部分を中心にしてスパン50mm、速度10mm/分で引張試験を行い、次の評価を行った。
◎:破断せずに変位が1mm以上得られた、○:破断せず変位が0.5mm以上1mm未満得られた、×:変位が0.5mm未満で破断した(ここでの破断は全て接着面での剥離破断である)。
(3)水素ガス透過性
JIS K7126 A法(差圧法)に従いGTR−10(ヤナコ分析工業製)を用いて35℃で測定を行った。ガスとしては水素を用いた。
(4)耐圧試験
前記液晶性ポリエステル樹脂のプレスフィルムおよび(2)で作成したポリエチレンのプレスフィルムを100mm×100mm×100μm厚に切削し、ポリエチレン−液晶ポリエステル樹脂−ポリエチレンの3層に積層して200℃、10kg/cm2で5秒間熱圧着し300μm厚の積層フィルムを作成した(厚みの変化は誤差範囲0.01μa以下であった)。
半球状のセルを接合する型の耐圧試験装置を用いて、半球状のセルの円断面(直径35mm)に上記積層フィルムを挟んで密閉固定し、片方のセルの球頂部から予備加圧を行い、ガス漏れがないことを確認した。160MPaまで加圧を行い、セルの両側での差圧を測定し、圧漏れ及びフィルムの破損がないかどうかを評価した。
◎:圧漏れ、フィルム破損なし、×:圧漏れ、フィルム破損あり。
実施例2
p−ヒドロキシ安息香酸460重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸728重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部(0.3モル%過剰)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸985重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約27分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20.0225モル当量からなる液晶性樹脂が得られた。
得られた液晶ポリエステル樹脂100重量部と4,4’−ジヒドロキシビフェニルと2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタル酸クロリドとから合成したオリゴ(4,4’−ジヒドロキシビフェニル−2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタレート)(平均重合度m=8)0.4重量部および、1,3−ジオキサゾリニルベンゼン0.2重量部をドライブレンドし、樹脂温度250℃で、ニーディングディスクをスクリューパターンに組み込んだPCM30型二軸押出機(池貝鉄鋼)で溶融混練し、融点212℃、液晶開始温度165℃、数平均分子量24,000の液晶ポリエステル樹脂(B−2)を得た。
実施例1と同様に評価した。
実施例3
p−ヒドロキシ安息香酸460重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸728重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸985重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点211℃、液晶開始温度164℃、数平均分子量12,400の液晶性樹脂(B−3)が得られた。
実施例1と同様に評価した。
実施例4
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1355重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸985重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約18分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点264℃、液晶開始温度224℃、数平均分子量12,200の液晶性樹脂(B−4)が得られた。
実施例1と同様に評価した。
実施例5
p−ヒドロキシ安息香酸547重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸610重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸146重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸985重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる液晶開始温度165℃、数平均分子量12,500の液晶性樹脂(B−5)が得られた。なお、融点は示差熱量計(DSC)で400℃まで昇温して測定したが、観測されなかった。
実施例1と同様に評価した。
比較例1
p−ヒドロキシ安息香酸995重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部(0.3モル%過剰)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸985重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて330℃まで昇温し、330℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20.0225モル当量からなる融点312℃、液晶開始温度292℃、数平均分子量12,100の液晶性樹脂が得られた。
得られた液晶ポリエステル樹脂100重量部と4,4’−ジヒドロキシビフェニルと2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタル酸クロリドとから合成したオリゴ(4,4’−ジヒドロキシビフェニル−2,5−ジ(オクチルオキシカルボニル)テレフタレート)(平均重合度m=8)0.4重量部および、1,3−ジオキサゾリニルベンゼン0.2重量部をドライブレンドし、樹脂温度310℃で、ニーディングディスクをスクリューパターンに組み込んだPCM30型二軸押出機(池貝鉄鋼)で溶融混練し、液晶ポリエステル樹脂(C−1)を得た。
実施例1と同様に評価した。
比較例2
p−ヒドロキシ安息香酸808重量部と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸593重量部及び無水酢酸946重量部を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて300℃まで昇温し、300℃で1torrまで30分で減圧し、約2分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位100モル等量からなる融点262℃、液晶開始温度232℃、数平均分子量8,400の液晶性樹脂(C−2)が得られた。
実施例1と同様に評価した。
比較例3
p−ヒドロキシ安息香酸907重量部と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸457重量部及び無水酢酸946重量部を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位100モル当量からなる融点283℃、液晶開始温度248℃、数平均分子量12,300の液晶性樹脂(C−3)が得られた。
比較例4
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト346重量部及び無水酢酸946重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで1時間かけて300℃まで昇温し、300℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、エチレンジオキシ単位20モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点283℃、液晶開始温度242℃、数平均分子量27,000の液晶性樹脂(C−4)が得られた。実施例1と同様に評価した。
比較例5
p−ヒドロキシ安息香酸833重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル553重量部、テレフタル酸493重量部及び無水酢酸1297重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて390℃まで昇温し、390℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位67モル当量、芳香族ジオキシ単位33モル当量、芳香族ジカルボン酸単位33モル当量からなる融点290℃、液晶開始温度358℃、数平均分子量14,000の液晶性樹脂(C−5)が得られた。実施例1と同様に評価した。
実施例1と同様に評価した。
実施例、比較例6
サイドフィーダを備えた日本製鋼所製TEX30型2軸押出機で、実施例1または比較例1で得た液晶性ポリエステル100重量部をホッパーから投入し、表2に示す配合量のガラス繊維(日本電気硝子製790DE)をサイドから投入し、樹脂温度が融点+10℃になるようにシリンダーのヒーター設定温度を調整し、スクリュー回転数100r.p.mの条件で溶融混練してペレットとした。熱風乾燥後実施例1と同様に評価を行った。
また、実施例1の液晶性ポリエステル樹脂B−1と、高密度ポリエチレン樹脂(三井化学製ハイゼックス7000F)とポリオレフィン系接着性ポリマー(東ソー製メルセンH4051)を、液晶性ポリエステル樹脂層と高密度ポリエチレン樹脂層がポリオレフィン系接着性ポリマー層(接着層)を介して積層されるように多層ブロー成形をして、直径30cm、長さ80cm、厚み25mm(内液晶性ポリエステル層が100μm)の両端が半球状に閉塞し、片側の半球には吹き込み口が残存した円筒状の中空容器を成形した。なお、多層ブロー成形の条件は融点+20℃で行った。
内層の液晶性ポリエステル層と外層のポリエチレン層の間には剥離やボイドの混入などは見られず、厚みムラも0.002mm以内であり、良好であった。
中空容器に同じく高密度ポリエチレンと接着性ポリマーおよび液晶性ポリエステル樹脂からなる積層材料から構成したバルブを溶着した後、外層にポリプロピレン100重量部にガラス繊維を100重量部充填し、射出成形により成形したシェルを半球部および円筒部にボンディングした。更に、その外層に炭素繊維を巻き付けてフィラメントワインディングを構成した。
水素ガスを70MPaで充填し、35℃、湿度50%、容積240Lの気密庫内で水素の透過量を計測したが、1200時間においても水素の透過量は検出限界以下であった。
また、タンクの繰り返し80MPa加圧、減圧テストにおいても500回まで行ってもガス漏れなどの異常は見られなかった。タンクの落下衝撃試験においても、−40〜40℃の範囲において、割れなどは発生せず、上記した水素の透過量は検出限界以下であった。 実施例8の液晶性ポリエステル樹脂A−1についても同様に中空容器を成形し、同様の試験を行った。ポリエチレンとの積層状態は良好であり、ボイドなどは見られなかった。透過量測定においても水素の透過量は検出限界以下であり、繰り返し加圧、減圧試験においても異常はなかった。落下衝撃試験においても割れ、水素漏れ共に見られず良好であった。
Figure 0004396221
GF :日本電気硝子(株)製チョップドストランド790DE(φ6μm×3mm長)
HBA:p−ヒドロキシ安息香酸から生成する構造単位
HNA:6−ヒドロキシ−2−安息香酸から生成する構造単位
DHB:4,4−ジヒドロキシフェニルから生成する構造単位
HQ :ヒドロキノンから生成する構造単位
DHN:2,6−ジヒドロキシナフタレンから生成する構造単位
EG :エチレングリコールから生成する構造単位
TPA:テレフタル酸から生成する構造単位
Figure 0004396221
表1、2の結果から本発明の液晶性ポリエステル樹脂は、極めて優れた水素バリア性を有しており、ポリオレフィン樹脂への接着性が良好であり、かつ、表面が平滑で耐圧強度に優れたフィルムが得られ、ポリオレフィンと積層して高圧水素タンクとした場合にも厚みムラが少なく、これらの優れた特性を有する良好なタンクが得られることがわかる。また実施例で製造された液晶性ポリエステルは、比較例の液晶性ポリエステルに比べて低融点であり、耐圧性や表面粗度の点でより優れた高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂が得られることがわかる。

Claims (7)

  1. 下記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる液晶性ポリエステル樹脂であって、前記液晶性ポリエステル樹脂中の構造単位内のフェニレン基とナフチレン基の合計に対するナフチレン基の含有比NPが、下式(1)
    NP=ナフチレン基(モル)/(フェニレン基(モル)+ナフチレン基(モル))>0.35・・・(1)
    で示される範囲にあり、35℃における水素ガス透過係数が1.4×10−11cc・cm/cm・s・kPa未満の高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂。
    Figure 0004396221
    (ただし式中のR
    Figure 0004396221
    から選ばれた1種以上の基を示し、R
    Figure 0004396221
    から選ばれた1種以上の基を示し、R
    Figure 0004396221
    から選ばれた1種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)
  2. 融点が270℃未満および/または液晶開始温度が250℃未満の請求項1記載の高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂。
  3. 数平均分子量が11,000〜45,000の請求項1または2記載の高圧水素貯蔵タンク用液晶性ポリエステル樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂からなる高圧水素貯蔵タンク。
  5. 該高圧水素貯蔵タンクが、少なくとも液晶性ポリエステル樹脂層とポリオレフィン層からなる多層積層構造を有していることを特徴とする請求項記載の高圧水素貯蔵タンク。
  6. 多層積層構造が、液晶性ポリエステル樹脂層とポリオレフィン層との間に、接着性ポリオレフィン層を含むものであることを特徴とする請求項記載の高圧水素貯蔵タンク。
  7. 多層ブロー成形によって製造されたものであることを特徴とする請求項または記載の高圧水素貯蔵タンク。
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