JP2020132848A - フィルム及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子部品用フィルムとして好適な品質を有する、フィルム及びその積層体の提供。【解決手段】熱可塑性樹脂を含み、周波数1GHzにおける比誘電率が3以下であり、周波数1GHzにおける誘電正接が0.005以下であり、マイクロ波配向計で測定した分子配向度(MOR)の値が1〜1.1の範囲であるフィルム11。金属層13と、金属層13上に積層されたフィルム11と、を備える積層体21。【選択図】図2

Description

本発明は、フィルム及び積層体に関する。
電子部品が実装されるプリント回路基板には、絶縁材料が用いられている。近年、通信システムの発達等により、絶縁材料について、更なる誘電特性等の物性改善が望まれている。
例えば特許文献1には、誘電損失の低減を目的とし、シリル基を含むエポキシ樹脂と、硬化剤と、シリカなどの無機フィラーとを含む絶縁樹脂組成物が記載されている。
特開2017−66360号公報
しかし、特許文献1に記載の方法のように、樹脂組成物に無機フィラーを添加すると、金属箔との密着強度や絶縁基材の機械強度が低下するという問題があった。
また、次世代移動通信システムへの適用を考慮すると、従来の基板材料では、高周波における誘電特性が不十分となる可能性が高い。
本発明は、電子部品用フィルムとして好適な品質を有する、フィルム及びその積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、比誘電率及び誘電正接が低く、等方性に優れたフィルム及びその積層体を得ることを可能とし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様は、下記のフィルム及び積層体である。
<1>熱可塑性樹脂を含み、
周波数1GHzにおける比誘電率が3以下であり、
周波数1GHzにおける誘電正接が0.005以下であり、
マイクロ波配向計で測定した分子配向度(MOR)の値が1〜1.1の範囲であるフィルム。
<2>前記熱可塑性樹脂が液晶ポリエステルであり、
前記液晶ポリエステルが、ナフタレン構造を含む構造単位を有する、前記<1>に記載のフィルム。
<3>前記ナフタレン構造を含む構造単位の含有量が、前記液晶ポリエステル中の構造単位の合計量100モル%に対して40モル%以上である請求項2に記載のフィルム。
<4>前記液晶ポリエステルが、下記式(1)で表される構造単位、下記式(2)で表される構造単位、及び下記式(3)で表される構造単位を有する、前記<2>又は<3>に記載のフィルム。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−O−Ar3−O−
(Ar1は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。
Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。
Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
<5>昇温速度5℃/分の条件で50〜100℃の温度範囲において求められた線膨張係数が85ppm/℃以下である、前記<1>〜<4>のいずれか一つに記載のフィルム。
<6>金属層と、前記金属層上に積層された前記<1>〜<5>のいずれか一つに記載のフィルムと、を備える積層体。
<7>前記金属層を構成する金属が銅である、前記<6>に記載の積層体。
本発明によれば、電子部品用フィルムとして好適な品質を有するフィルム及びその積層体を提供できる。
本発明の一実施形態のフィルムの構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態の積層体の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態の液晶ポリエステルフィルム及び積層体の製造過程を示す模式図である。
以下、本発明のフィルム及び積層体の実施形態を説明する。
≪フィルム≫
図1は、実施形態のフィルム11の構成を示す模式図である。
実施形態のフィルムは、熱可塑性樹脂を含み、周波数1GHzにおける比誘電率が3以下であり、周波数1GHzにおける誘電正接が0.005以下であり、マイクロ波配向計で測定した分子配向度(MOR)の値が1〜1.1の範囲であるものである。
上記規定を満たすフィルムは、電子部品用フィルムとして好適な品質を有する。当該品質基準としては、上記の、比誘電率、誘電正接、及び分子配向度(フィルムの等方性)であり、その他、厚さ、および外観(孔又は貫通孔の発生の有無)が考慮される。
一例として、フィルムの比誘電率及び誘電正接の値は、熱可塑性樹脂の種類により制御可能である。また、一例として、フィルムの等方性の程度は、フィルムの製造方法により制御可能である。
本明細書において、「誘電特性」とは、比誘電率と誘電正接に関する特性をいう。
実施形態のフィルムは、周波数1GHzにおける比誘電率が3以下であり、2.9以下であることが好ましく、2.8以下であることがより好ましく、2.7以下であることがさらに好ましく、2.6以下であることが特に好ましい。また、フィルムの比誘電率は、2.3以上であってもよく、2.4以上であってもよく、2.5以上であってもよい。
上記のフィルムの上記比誘電率の値の数値範囲の一例としては、2.3以上3以下であってもよく、2.4以上2.9以下であってもよく、2.5以上2.8以下であってもよく、2.5以上2.7以下であってもよく、2.5以上2.6以下であってもよい。
実施形態のフィルムは、周波数1GHzにおける誘電正接が0.005以下であり、0.004以下であることが好ましく、0.003以下であることがより好ましく、0.002以下であることがさらに好ましく、0.001以下であることが特に好ましい。液晶ポリエステルフィルムの誘電正接は、0.0003以上であってもよく、0.0005以上であってもよく、0.0007以上であってもよい。
上記のフィルムの上記誘電正接の値の数値範囲の一例としては、0.0003以上0.005以下であってもよく、0.0005以上0.004以下であってもよく、0.0007以上0.003以下であってもよく、0.0007以上0.002以下であってもよく、0.0007以上0.001以下であってもよい。
なお、フィルムの周波数1GHzにおける比誘電率、及び誘電正接は、インピーダンスアナライザーを用いた容量法にて、実施例に記載の条件で測定することができる。
実施形態のフィルムは、マイクロ波配向計で測定した分子配向度(MOR)の値が1〜1.1の範囲であり、1〜1.08の範囲であることが好ましく、1〜1.06の範囲であることがより好ましく、1〜1.04の範囲であることがさらに好ましい。
分子配向度(MOR)は、マイクロ波分子配向計(例えば王子計測機器株式会社製、MOA−5012A)により測定される。マイクロ波分子配向計は、分子の配向によって、配向方向と直角方向とでマイクロ波の透過強度が異なることを利用した装置である。具体的には、試料を回転させながら、一定の周波数(12GHzが用いられる)を有するマイクロ波を照射し、分子の配向によって変化する透過マイクロ波の強度を測定し、その最大値/最小値の比をMORとする。一定の周波数を有するマイクロ波電界と、分子を構成する双極子との相互作用は、両者のベクトルの内積に関係する。試料の誘電率の異方性により、試料が配置される角度によってマイクロ波の強度が変化するため、配向度を知ることが可能である。
実施形態のフィルムは、昇温速度5℃/分の条件で50〜100℃の温度範囲において求められた線膨張係数が85ppm/℃以下であることが好ましく、50ppm/℃以下であることがより好ましく、40ppm/℃以下であることがさらに好ましく、30ppm/℃以下であることが特に好ましい。線膨張係数の下限値は特に限定されないが、例えば0ppm/℃以上である。また、例えば銅箔とフィルムとが積層された場合、銅箔の線膨張係数が18ppm/℃であることから、実施形態のフィルムの線膨張係数は、それに近い値であることが好ましい。つまり、実施形態のフィルムの線膨張係数は、0ppm/℃以上50ppm/℃以下であることが好ましく、10ppm/℃以上40ppm/℃以下であることがより好ましく、20ppm/℃以上30ppm/℃以下であることがさらに好ましい。線膨張係数がフィルムの方向や部位により異なる場合は、高いほうの値を、フィルムの線膨張係数として採用するものとする。上記数値範囲を満たす実施形態のフィルムは、低い線膨張係数を有し、寸法安定性が高い。
等方性に優れるフィルムは、測定方向による線膨張係数の差が小さいものである。
実施形態のフィルムは、上記線膨張係数において、MDの線膨張係数とTDの線膨張係数の差(MD>TDの場合はMD−TD、TD>MDの場合はTD−MD)が、2ppm/℃以下であることが好ましく、1ppm/℃以下であることがより好ましい。キャスト法により製膜されたルフィルムにおいて、MDとは、分散液の塗工方向とする。上記の線膨張係数の差の計算のとおり、実際は、異なる方向における線膨張係数が判明すればよいので、フィルムのMDとTDが不明である場合は、フィルムの任意の方向をMDとし、それと90°交わる方向をTDとした時、それぞれの方向の線膨張係数の差が最も大きくなる様に方向を設定すればよい。
上記数値範囲を満たす実施形態のフィルムは、線膨張の等方性に優れ、縦方向及び横方向の寸法安定性が高い。
実施形態のフィルムは、電子部品用フィルムとして好適な外観として、孔又は貫通孔を有さないものが好ましい。孔又は貫通孔を有していると、めっき時に孔又は貫通孔の中にめっき液がしみ込んでしまう可能性がある。実施形態の液晶ポリエステル粉末を原料として製造された液晶ポリエステルフィルムは、電子部品用フィルムとして好適な厚さを有しつつ孔又は貫通孔の発生が抑制された高品質なものである。
実施形態のフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、電子部品用フィルムとして好適な厚さとしては、5〜50μmであることが好ましく、7〜40μmであることがより好ましく、10〜33μmであることがさらに好ましく、15〜20μmであることが特に好ましい。
熱可塑性樹脂は、任意の熱可塑性樹脂のなかから、誘電特性に優れた原料樹脂を選択することで、誘電特性に優れたフィルムが得られる。
実施形態のフィルムの総質量100質量%に対する熱可塑性樹脂の含有割合は、50〜100質量%であってもよく、80〜95質量%であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
特に優れた誘電特性を有するとの観点から、熱可塑性樹脂としては、液晶ポリエステルが好ましい。以下、液晶ポリエステルを含むフィルムを「液晶ポリエステルフィルム」という。
以下、実施形態のフィルムが含んでもよい、液晶ポリエステルの詳細について説明する。
(液晶ポリエステル)
液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物に由来する構造単位のみを有する全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
なお、本明細書において「由来」とは、原料モノマーが重合するために、重合に寄与する官能基の化学構造が変化し、その他の構造変化を生じないことを意味する。
液晶ポリエステルの典型的な例としては、以下が挙げられる。
1)(i)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、(ii)芳香族ジカルボン酸と、(iii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合(重縮合)させてなるもの。
2)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの。
3)(i)芳香族ジカルボン酸と、(ii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合させてなるもの。
4)(i)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、(ii)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重合させてなるもの。
ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシ基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリエステルは、2価の芳香族炭化水素基を含む構造単位を有することが好ましい。
2価の芳香族炭化水素基を含む構造単位を有する液晶ポリエステルとしては、
下記式(1)で表される構造単位、下記式(2)で表される構造単位、及び下記式(3)で表される構造単位を有するもの、又は
下記式(2)で表される構造単位、及び下記式(3)で表される構造単位を有するもの、
が挙げられる。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−O−Ar−O−
(Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基を表す。
Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
Ar、Ar及びArにおける、2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基等が挙げられる。
ここで、Ar、Ar及びArにおける、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜10である。前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、通常6〜20である。前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基毎に、それぞれ独立に、通常2個以下であり、好ましくは1個以下である。
液晶ポリエステルは、ナフタレン構造を含む構造単位を有することがより好ましい。
2価のナフタレン構造を含む構造単位を有する液晶ポリエステルとしては、例えば、
下記式(1)で表される構造単位、下記式(2)で表される構造単位、及び下記式(3)で表される構造単位を有するもの、又は
下記式(2)で表される構造単位、及び下記式(3)で表される構造単位を有するもの、
が挙げられる。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−O−Ar−O−
(Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基を表す(ただし、複数あるAr、Ar及びArの少なくとも一つはナフチレン基である)。
Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
前記Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、ナフチレン基又はフェニレン基を表す(ただし、複数あるAr、Ar及びArの少なくとも一つはナフチレン基である)ものであってもよい。
液晶ポリエステルが、上記式(1)で表される構造単位、上記式(2)で表される構造単位、及び上記(3)で表される構造単位を有し、複数あるAr、Ar及びArの少なくとも一つはナフチレン基である場合、複数あるAr及び/又はArの少なくとも一つがナフチレン基であることが好ましい。
液晶ポリエステルが、上記式(2)で表される構造単位、及び上記式(3)で表される構造単位を有し、複数あるAr及びArの少なくとも一つはナフチレン基である場合、複数あるArの少なくとも一つがナフチレン基であることが好ましい。
前記Ar、Ar及びArにおけるナフチレン基は、2,6−ナフタレンジイル基又は2,7−ナフタレンジイル基であることが好ましく、2,6−ナフタレンジイル基であることがより好ましい。
液晶ポリエステルにおける、ナフタレン構造を含む構造単位の含有量は、液晶ポリエステル中の全構造単位の合計量100モル%(液晶ポリエステルを構成する各構造単位の質量をその各構造単位の式量で割ることにより、各構造単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して40モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、60モル%以上であることがさらに好ましい。ナフタレン構造を含む構造単位の含有量が上記下限値以上であることにより、液晶ポリエステルの比誘電率を、より一層低下させることが可能である。
液晶ポリエステルにおける、ナフタレン構造を含む構造単位の含有量は、液晶ポリエステル中の全構造単位の合計量100モル%に対して90モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることがより好ましい。ナフタレン構造を含む構造単位の含有量が上記上限値以下であることにより、液晶ポリエステルを生産する時の反応安定性を確保できる。
上記のナフタレン構造を含む構造単位の含有量の値の数値範囲の一例としては、40モル%以上90モル%以下であってもよく、50モル%以上80モル%以下であってもよく、60モル%以上80モル%以下であってもよい。
液晶ポリエステルは、上記式(1)〜(3)で表される構造単位のうち、上記式(2)で表される構造単位及び上記式(3)で表される構造単位を含むものであってもよく、上記式(1)〜(3)で表される全ての種類の構造単位を有するものであってもよい。
液晶ポリエステルは、上記式(1)〜(3)で表される構造単位のうち、上記式(2)で表される構造単位及び上記式(3)で表される構造単位からなるものであってもよく、上記式(1)〜(3)で表される全ての種類の構造単位からなるものであってもよい。
上記式(1)〜(3)で表される構造単位を有する液晶ポリエステルとしては、例えば、下記式(1)で表される構造単位、下記式(2)で表される構造単位、及び下記式(3)で表される構造単位を有するものが挙げられる。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−O−Ar−O−
(Arは、Ar及びArは、それぞれ独立に、ナフタレンジイル基、フェニレン基、又はビフェニリレン基を表す。
Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
上記の液晶ポリエステルは、下記の液晶ポリエステルを包含する。
下記式(1)で表される構造単位、下記式(2)で表される構造単位、及び下記式(3)で表される構造単位を有する液晶ポリエステル。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−O−Ar−O−
(Arは、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。
Ar及びArは、それぞれ独立に、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。
Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
上記式(1)〜(3)で表される構造単位を有する液晶ポリエステルとしては、例えば、下記式(1)で表される構造単位、下記式(2)で表される構造単位、及び下記式(3)で表される構造単位を有するものが挙げられる。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−O−Ar−O−
(Arはナフタレンジイル基を表し、Arはナフタレンジイル基又はフェニレン基を表し、Arはフェニレン基を表す。
Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
液晶ポリエステルが、上記式(1)〜(3)で表される全ての種類の構造単位を有するものであるとき、液晶ポリエステルにおける各構造単位の好ましい含有量の割合を、以下のとおり例示できる。
液晶ポリエステルにおける構造単位(1)の含有量の割合は、液晶ポリエステル中の全構造単位の合計量100モル%に対して、30モル%以上80モル%以下が好ましく、40モル%以上70モル%以下がより好ましく、45モル%以上65モル%以下がさらに好ましい。
また、液晶ポリエステルにおける構造単位(2)の含有量の割合は、液晶ポリエステル中の全構造単位の合計量100モル%に対して、10モル%以上35モル%以下が好ましく、15モル%以上30モル%以下がより好ましく、17.5モル%以上27.5モル%以下がさらに好ましい。
また、液晶ポリエステルにおける構造単位(3)の含有量の割合は、液晶ポリエステル中の全構造単位の合計量100モル%に対して、10モル%以上35モル%以下が好ましく、15モル%以上30モル%以下がより好ましく、17.5モル%以上27.5モル%以下がさらに好ましい。
また、液晶ポリエステルにおける、構造単位(2)の含有量と構造単位(3)の含有量とは、等しいことが好ましいが、含有量が異なる場合は、構造単位(2)と構造単位(3)の含有量の差は、5モル%以下が望ましい。
耐熱性や溶融張力が高い液晶ポリエステルの例では、構造単位(1)のArが2,6−ナフタレンジイル基(例えば2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する構造単位)であるものの含有量の割合が、液晶ポリエステル中の全構造単位の合計量に対して、40モル%以上74.8モル%以下が好ましく、40モル%以上64.5モル%以下がより好ましく、50モル%以上58モル%以下がさらに好ましい。
液晶ポリエステルにおいて、構造単位(2)のArが2,6−ナフタレンジイル基(例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位)であるものの含有量の割合が、液晶ポリエステル中の全構造単位の合計量に対して、10.0モル%以上35モル%以下が好ましく、12.5モル%以上30モル%以下がより好ましく、15モル%以上25モル%以下がさらに好ましい。
また液晶ポリエステルにおいて、構造単位(2)のArが1,4−フェニレン基(例えばテレフタル酸に由来する構造単位)であるものの含有量の割合が、液晶ポリエステル中の全構造単位の合計量に対して、0.2モル%以上15モル%以下が好ましく、0.5モル%以上12モル%以下がより好ましく、2モル%以上10モル%以下がさらに好ましい。
液晶ポリエステルにおいて、構造単位(3)のArが1,4−フェニレン基(例えばハイドロキノンに由来する構造単位)であるものの含有量の割合が、液晶ポリエステル中の全構造単位の合計量に対して、12.5モル%以上30モル%以下が好ましく、17.5モル%以上30モル%以下がより好ましく、20モル%以上25モル%以下がさらに好ましい。
液晶ポリエステルにおいて、構造単位(2)のうち、Arが2,6−ナフタレンジイル基であるものの含有量が、Arが2,6−ナフタレンジイル基であるもの及びArが1,4−フェニレン基であるものの合計量に対して、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位の含有量が、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位及びテレフタル酸に由来する構造単位の合計量に対して、0.5モル倍以上が好ましく、0.6モル倍以上がより好ましい。
上記の液晶ポリエステル中の全構造単位の合計量100モル%に対する各構造単位の配合割合は、液晶ポリエステル中の芳香族化合物に由来する全構造単位の合計量100モル%に対する配合割合であってもよい。
実施形態の液晶ポリエステルは、例えば、構造単位を与える各モノマーを溶融重縮合させることにより、製造することができる。
その際、前記各モノマーとしては、溶融重縮合を速やかに進行させるため、そのエステル形成性誘導体を用いることが好ましい。
ここで、エステル形成性誘導体の例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物であれば、カルボキシル基がハロホルミル基に変換されたもの、カルボキシル基がアシルオキシカルボニル基に変換されたもの、カルボキシル基がアルコキシカルボニル基やアリールオキシカルボニル基に変換されたものが挙げられる。
また、芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族ジオールのようなヒドロキシル基を有する化合物であれば、ヒドロキシル基がアシルオキシ基に変換されたものが挙げられる。中でも、ヒドロキシル基がアシルオキシ基に変換されたものは好ましく用いられ、すなわち、芳香族ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、そのヒドロキシル基がアシル化されてなる芳香族アシルオキシカルボン酸が好ましく用いられ、また、芳香族ジオールのエステル形成性誘導体としては、そのヒドロキシル基がアシル化されてなる芳香族ジアシルオキシ化合物が好ましく用いられる。アシル化は、無水酢酸によるアセチル化であることが好ましく、このアセチル化によるエステル形成性誘導体は、脱酢酸重縮合させることができる。
溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、及び三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、及び1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。なお、溶融重合は、必要に応じて、更に固相重合させてもよい。
実施形態のフィルムが液晶ポリエステルを含む場合、フィルムに含まれる液晶ポリエステルの総和100質量%に対して、上記実施形態の液晶ポリエステルを70質量%超100質量%以下含むものであってもよく、80〜100質量%含むものであってもよい。当該液晶ポリエステルは、前述の実施形態の液晶ポリエステル粉末で例示するものが挙げられ、例えば、上記1)〜4)の液晶ポリエステルや、上記式(1)で表される構造単位、上記式(2)で表される構造単位、及び上記式(3)で表される構造単位を有するもの、又は上記式(2)で表される構造単位、及び上記式(3)で表される構造単位を有する液晶ポリエステルである。
実施形態のフィルムは、熱可塑性樹脂を含み、周波数1GHzにおける比誘電率が3以下であり、周波数1GHzにおける誘電正接が0.005以下であり、マイクロ波配向計で測定した分子配向度(MOR)の値が1〜1.1の範囲であるフィルム(ただし、熱可塑性樹脂として液晶ポリエステルを含む場合、液晶ポリエステルの総和100質量%に対して、非プロトン性溶媒に可溶な液晶ポリエステルの含有量が5質量%未満である)であってよい。
実施形態のフィルムは、熱可塑性樹脂を含み、周波数1GHzにおける比誘電率が3以下であり、周波数1GHzにおける誘電正接が0.005以下であり、マイクロ波配向計で測定した分子配向度(MOR)の値が1〜1.1の範囲であるフィルム(ただし、非プロトン性溶媒に可溶な液晶ポリエステルを含むものを除く)であってよい。
非プロトン性溶媒に可溶な液晶ポリエステルとしては、4−ヒドロキシアセトアミノフェン、由来する構造単位を含む液晶ポリエステルであってよい。
非プロトン性溶媒に可溶な液晶ポリエステルとしては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する構造単位、4−ヒドロキシアセトアミノフェンに由来する構造単位、及びイソフタル酸に由来する構造単位からなる液晶ポリエステルであってよい。
非プロトン性溶媒に可溶な液晶ポリエステルとしては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(5.0モル)、4−ヒドロキシアセトアミノフェン(2.5モル)、イソフタル酸(2.5モル)、及び無水酢酸(8.4モル)の混合物を反応させて得られる重合物である液晶ポリエステルであってもよい。
以下、非プロトン性溶媒に可溶な液晶ポリエステルについて説明する。
≪(X)成分≫
(X)成分は、非プロトン性溶媒に可溶な液晶性ポリエステルである。ここで、「非プロトン性溶媒に可溶である」とは、下記の試験を行うことにより確認できる。
・試験方法
液晶性ポリエステルを非プロトン性溶媒中で120℃から180℃の温度で、1時間から6時間撹拌した後、室温(23℃)まで冷却する。次いで、5μmのメンブレンフィルター及び加圧式のろ過機を用いてろ過をした後、メンブレンフィルター上の残留物を確認する。この時、固形物が確認されない場合を非プロトン性溶媒に可溶と判断する。
より具体的には、液晶性ポリエステル1質量部を、非プロトン性溶媒99質量部中で、140℃で、4時間の条件で撹拌した後、23℃まで冷却する。次いで、5μmのメンブレンフィルター及び加圧式のろ過機を用いてろ過をした後、メンブレンフィルター上の残留物を確認する。この時、固形物が確認されない場合を非プロトン性溶媒に可溶と判断する。
液晶性ポリエステル(X)は、構造単位として以下の式(X1)、(X2)、及び(X3)で示される構造単位を含むことが好ましい。
1つの側面として(X)成分を構成する全構造単位の合計含有量に対して、式(X1)で示される構造単位の含有量は30〜80モル%であり、式(X2)で示される構造単位の含有量は35〜10モル%であり、式(X3)で示される構造単位の含有量は35〜10モル%である。
但し、前記式(X1)で示される構造単位、前記式(X2)で示される構造単位及び前記式(X3)で示される構造単位の合計含有量は100モル%を超えない。
(X1) −O−Ar1−CO−
(X2) −CO−Ar2−CO−
(X3) ―X−Ar3−Y−
(X1〜X3において、Ar1は、1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基、又は4,4’−ビフェニレン基を表わす。Ar2は、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は2,6−ナフタレンジイル基を表わす。Ar3は、1,4−フェニレン基又は1,3−フェニレン基を表わす。Xは−NH−であり、Yは、−O−又はNH−を表わす。)
構造単位(X1)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸由来の構造単位、構造単位(X2)は、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位、構造単位(X3)は、芳香族ジアミン又はフェノール性水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位である。(X)成分は、上述した構成単位の代わりに、上述した構成単位のエステルもしくはアミド形成性誘導体を用いてもよい。
本実施形態においては、前記Ar1が2,6−ナフタレンジイル基であり、前記Ar2が1,3−フェニレン基であり、前記Ar3が1,4−フェニレン基であり、前記Yが−O−であることが好ましい。
カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシ基が、ポリエステルを生成する反応を促進するような、酸塩化物、酸無水物等の反応活性が高い誘導体となっているもの、カルボキシ基が、エステル交換反応によりポリエステルを生成するようなアルコール類やエチレングリコール等とエステルを形成しているもの等が挙げられる。
フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているもの等が挙げられる。
アミノ基のアミド形成性誘導体としては、例えばアミノ基がカルボン酸類とアミドを形成しているもの等が挙げられる。
本実施形態に使用される(X)成分の繰り返し構造単位としては、下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
式(X1)で示される構造単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸又は4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸、に由来する構造単位等が挙げられ、2種以上の前記構造単位が、全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位を含む(X)成分を使用することが好ましい。
構造単位(X1)の含有量は、(X)成分を構成する全構造単位の含有量に対して、30モル%以上80モル%以下であり、40モル%以上70モル%以下であることが好ましく、45モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。
構造単位(X1)が多いと溶媒への溶解性が著しく低下する傾向があり、少なすぎると液晶性を示さなくなる傾向がある。すなわち、構造単位(X1)の含有量が上記範囲内であると、溶媒への溶解性が良好であり、液晶性を示し易くなる。
式(X2)で示される構造単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位等が挙げられ、2種以上の前記構造単位が、全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、溶媒への溶解性の観点から、イソフタル酸由来の構造単位を含む液晶性ポリエステルを使用することが好ましい。
構造単位(X2)の含有量は、(X)成分を構成する全構造単位の含有量に対して、10モル%以上35モル%以下が好ましく、15モル%以上30モル%以下がより好ましく、17.5モル%以上27.5モル%以下が特に好ましい。構造単位(X2)が多すぎると、液晶性が低下する傾向があり、少ないと溶媒への溶解性が低下する傾向がある。すなわち、構造単位(X2)の含有量が上記範囲内であると、液晶性が良好であり、溶媒への溶解性も良好となる。
式(X3)で示される構造単位としては、例えば、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン又は1,3−フェニレンジアミンに由来する構造単位等が挙げられ、2種以上の前記構造単位が、全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、反応性の観点から4−アミノフェノール由来の構造単位を含む液晶性ポリエステルを使用することが好ましい。
構造単位(X3)の含有量は、(X)成分を構成する全構造単位の含有量に対して、10モル%以上35モル%以下が好ましく、15モル%以上30モル%以下がより好ましく、17.5モル%以上27.5モル%以下が特に好ましい。構造単位(3)が多すぎると、液晶性が低下する傾向があり、少ないと溶媒への溶解性が低下する傾向がある。すなわち、構造単位(X3)の含有量が上記範囲内であると液晶性が良好となり、溶媒への溶解性も良好となる。
構造単位(X3)は構造単位(X2)と実質的に等量用いられることが好ましいが、構造単位(X3)の含有量を構造単位(X2)の含有量に対して、−10〜+10モル%とすることにより、液晶性ポリエステルの重合度を制御することもできる。
本実施形態に係る(X)成分の製造方法は、特に限定されないが、例えば、構造単位(X1)に対応する芳香族ヒドロキシ酸、構成単位(X3)に対応するフェノール性水酸基を有する芳香族アミン、又は芳香族ジアミン、のフェノール性水酸基やアミノ基を過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化して得られたアシル化物と、構造単位(X2)に対応する芳香族ジカルボン酸と、をエステル・アミド交換(重縮合)して溶融重合する方法などが挙げられる(特開2002−220444号公報、特開2002−146003号公報参照)。
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の添加量は、フェノール性水酸基とアミノ基の合計量に対して、1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が少なすぎると、エステル交換・アミド交換(重縮合)時にアシル化物や原料モノマーなどが昇華し、反応系が閉塞し易い傾向があり、また、多すぎると、得られる液晶性ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。すなわち、脂肪酸無水物の添加量が上記範囲内であると、エステル交換・アミド交換(重縮合)時にアシル化物や原料モノマーなどの反応が良好であり、得られる液晶性ポリエステルは着色しすぎることがない。
アシル化反応は、130〜180℃で5分間〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分間〜3時間反応させることがより好ましい。
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は,特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水−2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸等が挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。本実施形態においては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、又は無水イソ酪酸が好ましく、より好ましくは、無水酢酸である。
エステル交換・アミド交換(重縮合)においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
エステル交換・アミド交換(重縮合)は、400℃まで0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行なうことが好ましく、350℃まで0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行なうことがより好ましい。
アシル化物とカルボン酸とをエステル交換・アミド交換(重縮合)させる際、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化反応、エステル交換・アミド交換(重縮合)は、触媒の存在下に行なってもよい。前記触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒等を挙げることができる。
これらの触媒の中で、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等の窒素原子を少なくとも2個含む複素環状化合物が好ましく使用される(特開2002−146003号公報参照)。
前記触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、前記触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行なうことができる。
エステル交換・アミド交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合と固相重合とを併用してもよい。固相重合は、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、公知の固相重合方法により行うことが好ましい。具体的には、例えば、窒素等の不活性雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理する方法などが挙げられる。固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。固相重合後、得られた液晶性ポリエステルは、公知の方法によりペレット化し、成形してもよい。また、公知の方法により粉砕してもよい。
液晶性ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置などを用いて行うことができる。
液晶性ポリエステル(X)を粉末状とする場合は、体積平均粒径が100〜2000μmであることが好ましい。粉末状の液晶性ポリエステル(X)の体積平均粒径は、乾式ふるい分け法(例えば、(株)セイシン企業製RPS−105)により測定することができる。
1つの側面として、(X)成分の含有量は、液晶性ポリエステル液状組成物の総質量に対して、5〜10質量%であることが好ましい。
〔液晶性ポリエステル(X)の製造例〕
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸940.9g(5.0モル)、4−ヒドロキシアセトアミノフェン377.9g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸867.8g(8.4モル)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、撹拌しながら、室温(23℃)から140℃まで60分間かけて昇温し、140℃で3時間還流させる。次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から300℃まで5時間かけて昇温し、300℃で30分間保持した後、反応器から内容物を取り出し、室温(23℃)まで冷却する。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶性ポリエステル(X−1)を得ることができる。この液晶性ポリエステル(X−1)の流動開始温度は、193.3℃であってよい。
液晶性ポリエステル(X−1)を、窒素雰囲気下、室温(23℃)から160℃まで2時間20分かけて昇温し、次いで160℃から180℃まで3時間20分かけて昇温し、180℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、23℃まで冷却し、次いで、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶性ポリエステル(X−2)を得ることができる。この液晶性ポリエステル(X−2)の流動開始温度は、220℃であってよい。
液晶性ポリエステル(X−2)を窒素雰囲気下、室温から180℃まで1時間25分かけて昇温し、次いで180℃から255℃まで6時間40分かけて昇温し、255℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、23℃まで冷却して、体積平均粒径871μmの粉末状の液晶性ポリエステル(X)を得ることができる。液晶性ポリエステル(X)の体積平均粒径は、(株)セイシン企業製RPS−105にて測定する。液晶性ポリエステル(X)の流動開始温度は、302℃であってよい。
〔液晶性ポリエステル溶液(X’)の調製〕
液晶性ポリエステル(X)8質量部を、N−メチルピロリドン(沸点(1気圧)204℃)92質量部に加え、窒素雰囲気下、140℃で4時間攪拌して、液晶性ポリエステル溶液(X’)を調製することができる。この液晶性ポリエステル溶液(X’)の粘度は、955mPa・sであってよい。
実施形態のフィルムの製造方法は特に限定されるものではないが、実施形態のフィルムは、後述の≪フィルムの製造方法≫により製造可能である。後述の≪フィルムの製造方法≫では、液晶ポリエステルを原料とした一実施形態を詳細に説明しているが、当該方法において、液晶ポリエステルを任意の熱可塑性樹脂として読みかえることで、任意の熱可塑性樹脂を含む実施形態のフィルムを製造すればよい。
実施形態のフィルムの製造方法によれば、等方性に優れたフィルムを製造可能である。
実施形態のフィルムの製造方法によれば、誘電特性及び等方性に優れたフィルムを製造可能である。
実施形態のフィルムは、プリント配線板などの電子部品用フィルム用途に好適に使用することができる。実施形態のフィルムは、それを絶縁材として備える、基板(例えば、フレキシブル基板)や、積層板(例えば、フレキシブル銅張積層板)、プリント基板、プリント配線板、プリント回路板等として提供可能である。
≪フィルムの製造方法≫
実施形態のフィルムの製造方法は、支持体上に、樹脂組成物を塗布し、熱処理して、熱可塑性樹脂を含むフィルムを得ることを含むものである。
実施形態の樹脂組成物は、樹脂粉末と、媒体と、を含有するものである。樹脂組成物、樹脂粉末及び媒体の詳細については後述する。
熱可塑性樹脂は、液晶ポリエステルであることが好ましい。
以下、熱可塑性樹脂として液晶ポリエステルを用いた実施形態について説明する。
実施形態のフィルムの製造方法は、支持体上に、液晶ポリエステル組成物を塗布し、熱処理して、液晶ポリエステルを含む液晶ポリエステルフィルムを得ることを含むものである(以下、「液晶ポリエステルフィルムの製造方法」という)。
当該製造方法は以下の工程を含んでいてもよい。
支持体上に、本発明に係る液晶ポリエステル組成物を塗布して、支持体上に液晶ポリエステルフィルムの前駆体を形成する工程(塗布工程)。
前記液晶ポリエステルフィルムの前駆体を熱処理して、液晶ポリエステルフィルムを得る工程(熱処理工程)。
液晶ポリエステルフィルムの製造方法における、塗布工程では、支持体上に、本発明に係る液晶ポリエステル組成物を塗布した後、塗布された液晶ポリエステル組成物から媒体を除去する工程(乾燥工程)を含んでいてもよい。
すなわち、実施形態の液晶ポリエステルフィルムの製造方法は、支持体上に、本発明に係る液晶ポリエステル組成物を塗布し、塗布された液晶ポリエステル組成物から媒体を除去し、熱処理して、液晶ポリエステルを含む液晶ポリエステルフィルムを得ることを含むものであってもよい。
また、液晶ポリエステルフィルムの製造方法において、更に、前記積層体から支持体を分離する工程(分離工程)を含んでいてもよい。なお、液晶ポリエステルフィルムは、積層体として支持体上に形成されたままでも電子部品用フィルムとして好適に使用可能であるので、分離工程は、液晶ポリエステルフィルムの製造工程において必須の工程ではない。
以下、図面を参照して、実施形態の液晶ポリエステルフィルムの製造方法の一例を説明する。
図3は、実施形態の液晶ポリエステルフィルム及び積層体の製造過程の一例を示す模式図である。
まず、液晶ポリエステル組成物30を支持体12上に塗布する(図3(a)塗布工程)。液晶ポリエステル組成物30は、液晶ポリエステル粉末1と媒体3とを含む。液晶ポリエステル液状組成物の支持体上への塗布は、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、及びスクリーン印刷法等の方法により行うことができ、支持体上に表面平滑かつ均一に塗布できる方法を適宜選択できる。また、液晶ポリエステル粉末の分布を均一化させるため、塗布の前に、液晶ポリエステル組成物を攪拌する操作を行ってもよい。
支持体12としては、例えば、ガラス板、樹脂フィルム又は金属箔が挙げられる。中でも、樹脂フィルム又は金属箔が好ましく、特に、耐熱性に優れ、液状組成物を塗布し易く、また、液晶ポリエステルフィルムから除去し易いことから、銅箔が好ましい。
ポリイミド(PI)フィルムの市販品の例としては、宇部興産(株)の「U−ピレックスS」及び「U−ピレックスR」、東レデュポン(株)の「カプトン」、並びにSKCコーロンPI社の「IF30」、「IF70」及び「LV300」が挙げられる。樹脂フィルムの厚さは、通常25μm以上75μm以下であり、好ましくは50μm以上75μm以下である。金属箔の厚さは、通常3μm以上75μm以下であり、好ましくは5μm以上30μm以下であり、より好ましくは10μm以上25μm以下ある。
次に、支持体12上に塗布された液晶ポリエステル組成物30から媒体3を除去する(図3(b)乾燥工程)。媒体3が除去された液晶ポリエステル組成物は、熱処理の対象である液晶ポリエステルフィルム前駆体40となる。なお、媒体3は液晶ポリエステル組成物から完全に除去される必要はなく、液晶ポリエステル組成物に含まれる媒体の一部が除去されてもよく、媒体の全部が除去されていもよい。液晶ポリエステルフィルム前駆体40に含まれる溶媒の割合は、液晶ポリエステルフィルム前駆体の総質量に対し、50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上12質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。液晶ポリエステルフィルム前駆体中の溶媒含有量が上記下限値以上であることにより、液晶ポリエステルフィルムの熱伝導性が低下する恐れが低減される。また、液晶ポリエステルフィルム前駆体中の溶媒含有量が上記上限値以下であることにより、熱処理時の発泡等により液晶ポリエステルフィルムの外観が低下する恐れが低減される。
媒体の除去は、媒体を蒸発させることにより行うことが好ましく、その方法としては、例えば、加熱、減圧及び通風が挙げられ、これらを組み合わせてもよい。また、媒体の除去は、連続式で行ってもよいし、枚葉式で行ってもよい。生産性や操作性の点から、媒体の除去は、連続式で加熱することにより行うことが好ましく、連続式で通風しながら加熱することにより行うことがより好ましい。媒体の除去温度は、液晶ポリエステル粉末の融点未満の温度が好ましく、例えば40℃以上200℃以下であり、好ましくは60℃以上200℃である。媒体除去の時間は、例えば、液晶ポリエステルフィルム前駆体中の媒体含有量が3〜12質量%になるように、適宜調整される。媒体除去の時間は、例えば0.2時間以上12時間以下であり、好ましくは0.5時間以上8時間以下である。
こうして得られる支持体12と液晶ポリエステルフィルム前駆体40とを有する積層体前駆体22を、熱処理して、支持体12と液晶ポリエステルフィルム10(液晶ポリエステルフィルム前駆体40が熱処理されてなるフィルム)とを有する積層体20を得る(図3(c)熱処理工程)。このとき、支持体上に形成された、液晶ポリエステルフィルム10が得られる。
熱処理条件は、例えば、媒体の沸点の−50℃から熱処理温度に達するまで昇温した後、液晶ポリエステルの融点以上の温度で熱処理することが挙げられる。
この昇温時に、加熱により液晶ポリエステルの重合反応が進行する場合があるが、熱処理温度に達するまでの昇温速度を速くすることで、液晶ポリエステル粉末中の液晶ポリエステルの分子量の増加をある程度抑えることができ、液晶ポリエステル粉末の融解が良好となり、高品質のフィルムを容易に得ることができる。溶媒の沸点の−50℃から熱処理温度までの昇温速度は、3℃/分以上が好ましく、5℃/分以上がより好ましい。
熱処理温度は、液晶ポリエステルの融点以上が好ましく、液晶ポリエステルの融点より高い温度がより好ましく、液晶ポリエステルの融点+5℃以上の温度を熱処理温度とすることがさらに好ましい。熱処理温度は液晶ポリエステルの種類によって適宜定めればよいが、一例として230℃以上400℃以下が好ましく、300℃以上380℃以下がより好ましく、320℃以上350℃以下がさらに好ましい。液晶ポリエステルの融点より高い温度で熱処理を行うことで、液晶ポリエステル粉末の融解が良好となり、高品質な液晶ポリエステルフィルムを形成できる。液晶ポリエステル粉末が融解できたことは、液晶ポリエステルフィルム前駆体40が透明化したことで確認できる。
なお、ここでいう媒体の沸点とは、昇温時の圧力における沸点をいう。また、積層体前駆体22の加熱を、媒体の沸点の−50℃未満から開始する場合は、媒体の沸点の−50℃に達してから熱処理温度に達するまでの範囲で昇温速度を定めればよい。媒体の沸点−50℃に達するまでの時間は、任意である。また、熱処理温度に達した後の時間を熱処理時間として考えればよい。熱処理時間は、例えば0.5時間以上であってよく、1時間以上24時間以下であってよく、3時間以上12時間以下であってよい。
熱処理は、媒体の除去同様、連続式で行ってもよいし、枚葉式で行ってもよいが、生産性や操作性の点から、連続式で行うことが好ましく、媒体の除去に続けて連続式で行うことがより好ましい。
次いで、支持体12と液晶ポリエステルフィルム10とを有する積層体20から、液晶ポリエステルフィルム10を分離することにより、液晶ポリエステルフィルム10を単層フィルムとして得ることができる(図3(d)分離工程)。積層体20からの液晶ポリエステルフィルム10の分離は、支持体12としてガラス板を用いた場合は、積層体20から液晶ポリエステルフィルム10を剥離することにより行うのがよい。支持体12として樹脂フィルムを用いた場合は、積層体20から樹脂フィルム又は液晶ポリエステルフィルム10を剥離することにより行うのがよい。支持体12として金属箔を用いた場合は、金属箔をエッチングして除去することにより積層体20から分離するのがよい。支持体として樹脂フィルム、特にポリイミドフィルムを用いると、積層体20からポリイミドフィルム又は液晶ポリエステルフィルムが剥離され易く、外観が良好な液晶ポリエステルフィルムが得られる。支持体として金属箔を用いた場合、積層体20から液晶ポリエステルフィルムを分離することなく、積層体20をプリント配線板用の金属張積層板として用いてもよい。
実施形態の液晶ポリエステルフィルムの製造方法によれば、等方性に優れた液晶ポリエステルフィルムを製造可能である。
従来の溶融成形法では、融解させた液晶ポリエステルをフィルム状にすることで、液晶ポリエステルの薄膜を製造していたが、対して、実施形態の上記製造方法では、支持体上に予め薄く液晶ポリエステル粉末を配置した後、それを融解させる点で従来のフィルムの製造方法とは大きく異なる。
実施形態の液晶ポリエステルフィルム又は積層体の製造方法では、予め液晶ポリエステル粉末を支持体上に薄く配置して、それをフィルム化するので、押出成形等の分子配向に偏りを生じさせる要因となる物理的な力が加えられず、等方性に優れた液晶ポリエステルフィルムを製造可能である。
また、液晶ポリエステル粉末における前記液晶ポリエステルの数平均分子量が10000以下と比較的小さな値であることで、液晶ポリエステル組成物が塗布に適した性状となるとともに、熱処理時の液晶ポリエステルフィルムの融解の状態が良好となり、電子部品用フィルム用途として好適な、等方性に優れた高品質な液晶ポリエステルフィルムを製造可能である。
さらには、平均粒径が0.5〜20μmの液晶ポリエステル粉末を原料として用いることにより、電子部品用フィルム用途として好適な薄さを有し、孔又は貫通孔の発生が抑制された高品質なポリエステルフィルムを容易に製造可能である。
尚且つ、液晶ポリエステル組成物においては、液晶ポリエステル粉末を媒体に溶解可能なものとすべき制限が無いため、誘電特性に優れた液晶ポリエステルを採用でき、誘電特性及び等方性に優れた液晶ポリエステルフィルムを容易に得ることが可能である。
≪積層体≫
実施形態の積層体は、金属層と、前記金属層上に積層された本発明に係るフィルムと、を備えるものである。
図2は、本発明の一実施形態の積層体21の構成を示す模式図である。積層体21は、金属層13と、金属層13上に積層されたフィルム11と、を備える。
積層体が備えるフィルムについては、上記に例示したものが挙げられ、説明を省略する。
積層体が備える金属層については、上記の≪フィルムの製造方法≫及び後述の≪積層体の製造方法≫において支持体として例示するものが挙げられ、金属箔が好ましい。金属層を構成する金属としては導電性やコストの観点で銅が好ましく、金属箔としては銅箔が好ましい。
実施形態の積層体の厚さは、特に限定されるものではないが、5〜130μmであることが好ましく、10〜70μmであることがより好ましく、15〜60μmであることがさらに好ましい。
実施形態の積層体の製造方法は特に限定されるものではないが、実施形態の積層体は、後述の≪積層体の製造方法≫により製造可能である。後述の≪積層体の製造方法≫では、液晶ポリエステルを原料とした一実施形態を詳細に説明しているが、当該方法において、液晶ポリエステルを任意の熱可塑性樹脂と読みかえることで、任意の熱可塑性樹脂を含むフィルムを備えた、実施形態の積層体を製造すればよい。
実施形態の積層体は、プリント配線板などの電子部品用フィルム用途に好適に使用することができる。
≪積層体の製造方法≫
実施形態の積層体の製造方法は、支持体上に、樹脂組成物を塗布し、熱処理して、熱可塑性樹脂を含むフィルムを形成することにより、前記支持体と前記フィルムとを備える積層体を得ることを含むものである。
熱可塑性樹脂は、液晶ポリエステルであることが好ましい。
以下、熱可塑性樹脂として液晶ポリエステルを用いた実施形態について説明する。
実施形態の積層体の製造方法は、支持体上に、液晶ポリエステル組成物を塗布し、熱処理して、液晶ポリエステルを含む液晶ポリエステルフィルムを形成することにより、前記支持体と前記液晶ポリエステルフィルムとを備える積層体を得ることを含むものである。
当該製造方法は以下の工程を含んでいてもよい。
支持体上に、液晶ポリエステル組成物を塗布して、支持体上に液晶ポリエステルフィルム前駆体を形成する工程(塗布工程)。
前記液晶ポリエステルフィルム前駆体を熱処理して、前記支持体と前記液晶ポリエステルフィルムとを備える積層体を得る工程(熱処理工程)。
上述の液晶ポリエステルフィルムの製造方法と同じく、積層体の製造方法における、塗布工程では、支持体上に、本発明に係る液晶ポリエステル組成物を塗布した後、塗布された液晶ポリエステル組成物から媒体を除去する工程(乾燥工程)を含んでいてもよい。
すなわち、実施形態の積層体の製造方法は、支持体上に、本発明に係る液晶ポリエステル組成物を塗布し、塗布された液晶ポリエステル組成物から媒体を除去し、熱処理して、液晶ポリエステルを含む液晶ポリエステルフィルムを形成することにより、前記支持体と前記液晶ポリエステルフィルムとを備える積層体を得ることを含むものであってもよい。
図3は、実施形態の液晶ポリエステルフィルム及び積層体の製造過程の一例を示す模式図である。図3で例示する積層体の製造方法については、上述の分離工程(図3(d))を行わないこと以外は、上述の液晶ポリエステルフィルムの製造方法において説明したとおりであるので、説明を省略する。
実施形態の積層体の製造方法によれば、実施形態の液晶ポリエステルフィルムを有する積層体を製造可能である。
≪樹脂組成物≫
実施形態の樹脂組成物は、媒体と、樹脂粉末と、を含有するものである。樹脂組成物は、上記のフィルムの製造に好適に用いられる。
樹脂粉末は、液晶ポリエステル粉末であることが好ましい。樹脂粉末の詳細については後述する。
以下、熱可塑性樹脂として液晶ポリエステルを用いた実施形態について説明する。
実施形態の組成物は、媒体と、液晶ポリエステル粉末と、を含有するものである(以下、「液晶ポリエステル組成物」という)。
液晶ポリエステル粉末については、下記<樹脂粉末>で説明する。
媒体は、液晶ポリエステル粉末が不溶なものであれば特に限定されず、分散媒であることが好ましい。また媒体は流体であることが好ましく、液体であることがより好ましい。ここでの「分散」とは、液晶ポリエステル粉末が溶解した状態と区別する(液晶ポリエステル組成物中で液晶ポリエステル粉末が溶解した状態を除く)ための用語である。組成物中の液晶ポリエステル粉末の分布に、不均一な部分があってもよい。組成物中の液晶ポリエステル粉末の状態は、上記の液晶ポリエステルフィルムの製造方法において、支持体上に液晶ポリエステル組成物を塗布可能な状態であればよい。
媒体の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1−クロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p−クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド、テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;及びヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸等のリン化合物が挙げられ、それらの2種以上を用いてもよい。
媒体としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を有しない非プロトン性化合物を主成分とする媒体が好ましく、媒体全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。また、前記非プロトン性化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドン等のアミド又はγ−ブチロラクトン等のエステルを用いることが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドンがさらに好ましい。
また、媒体としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を主成分とする媒体が好ましく、媒体全体に占める1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%であり、前記非プロトン性化合物として、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることが好ましい。
液晶ポリエステル組成物に含まれる液晶ポリエステル粉末の割合は、液晶ポリエステル粉末及び媒体の合計量に対して、0.1〜60質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましく、3〜40質量%であることがさらに好ましく、5〜30質量%であることが特に好ましい。
液晶ポリエステル組成物は、液晶ポリエステル粉末、媒体、及び必要に応じて用いられる他の成分を、一括で又は適当な順序で混合して得ることができる。
液晶ポリエステル組成物は、充填材、添加剤、及び液晶ポリエステル以外の樹脂等の他の成分を1種以上含んでもよい。
充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の無機充填材;及び硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリル樹脂等の有機充填材が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、0であってもよく、好ましくは100質量部以下である。
添加剤の例としては、レべリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤及び着色剤が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、0であってもよく、好ましくは5質量部以下である。
液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂;グリシジルメタクリレートとポリエチレンとの共重合体等のエラストマー;及びフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、0であってもよく、好ましくは20質量部以下である。
<樹脂粉末>
実施形態の樹脂粉末は、数平均分子量が10000以下の熱可塑性樹脂を含み、平均粒径が0.5〜20μmであるものである。
実施形態の樹脂粉末100質量%に対する熱可塑性樹脂の含有割合は、50〜100質量%であってもよく、80〜95質量%であってもよい。
熱可塑性樹脂は、液晶ポリエステルであることが好ましい。
以下、熱可塑性樹脂として液晶ポリエステルを用いた実施形態について説明する。
実施形態の樹脂粉末は、数平均分子量が10000以下の液晶ポリエステルを含み、平均粒径が0.5〜20μmであるものである(以下、「液晶ポリエステル粉末」という)。実施形態の液晶ポリエステル粉末は、液晶ポリエステルフィルム又は積層体の製造方法の原料として好適である。上記規定を満たす液晶ポリエステル粉末によれば、電子部品用フィルムとして好適な品質を有する液晶ポリエステルフィルムを製造可能である。当該品質基準としては、フィルムの等方性、厚さ、および外観(孔又は貫通孔の発生の有無)が挙げられる。液晶ポリエステルフィルムとしては、上記≪フィルム≫において例示したものが挙げられる。
本明細書において、「数平均分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフ―多角度光散乱光度計を用いて測定された絶対値である。
実施形態の液晶ポリエステル粉末における液晶ポリエステルの数平均分子量は、10000以下であり、3000〜10000であることがより好ましく、4000〜8000であることがさらに好ましく、5000〜7000であることが特に好ましい。液晶ポリエステルの数平均分子量が10000を超えると、液晶ポリエステル組成物がゲル状になり、等方性に優れたフィルム化加工が困難となる。また液晶ポリエステルの数平均分子量が小さいほど、熱処理後のフィルムの厚さ方向の熱伝導性が向上する傾向にあり好ましく、液晶ポリエステルの数平均分子量が上記下限値以上であると、熱処理後のフィルムの耐熱性や強度・剛性が良好である。
実施形態の液晶ポリエステル粉末における液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃以上350℃以下、さらに好ましくは260℃以上330℃以下である。液晶ポリエステルの流動開始温度が高いほど、耐熱性や強度及び剛性が向上し易いが、あまり高いと、粉砕性が悪くなり目標粒径の粉末を得られ難くなる。
流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
液晶ポリエステル粉末の平均粒径は、20μm以下であり、18μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。液晶ポリエステルの平均粒径が20μmを超えると、外観が良好な液晶ポリエステルフィルムを得ることが困難となる。例えば、後述する実施例で示されるように、液晶ポリエステルの平均粒径が20μmを超えると、製造された液晶ポリエステルフィルムに、貫通孔が発生する場合がある。貫通孔の形成は、電子部品用フィルムとして好適な厚さの範囲である50μm以下で発生しやすい。つまり、液晶ポリエステルの平均粒径が20μm以下であることにより、電子部品用フィルムとして好適な厚さ及び外観が両立されたフィルムを、容易に製造可能である。
また、粉末の取り扱い易さの観点から、液晶ポリエステル粉末の平均粒径は、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。
上記の液晶ポリエステル粉末の平均粒径の値の数値範囲の一例としては、0.5μm以上20μm以下であってもよく、3μm以上18μm以下であってもよく、5μm以上15μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよい。
本明細書において、「平均粒径」とは、レーザー回折散乱法によって測定された、体積基準の累積粒度分布曲線において、全体を100%としたときに、累積体積が50%となる点の粒子径の値(50%累積体積粒度D50)である。
前記範囲の粒径に制御する方法として、例えば、ジェットミルを使用する場合は、分級ローターの回転速度や粉砕ノズル圧、処理速度等を変更することで制御可能である。
実施形態の樹脂組成物が液晶ポリエステルを含む場合、樹脂組成物に含まれる液晶ポリエステルの総和100質量%に対して、上記実施形態の液晶ポリエステルを70質量%超100質量%以下含むものであってもよく、80〜100質量%含むものであってもよい。当該液晶ポリエステルは、実施形態のフィルムで例示するものが挙げられ、例えば、上記1)〜4)の液晶ポリエステルや、上記式(1)で表される構造単位、上記式(2)で表される構造単位、及び上記式(3)で表される構造単位を有するもの、又は上記式(2)で表される構造単位、及び上記式(3)で表される構造単位を有する液晶ポリエステルである。
実施形態の樹脂組成物は、媒体と樹脂粉末とを含有するもの(ただし、樹脂粉末として液晶ポリエステル粉末を含む場合、液晶ポリエステルの総和100質量%に対して、非プロトン性溶媒に可溶な液晶ポリエステルの含有量が5質量%未満である)であってよい。
実施形態の樹脂組成物は、媒体と樹脂粉末とを含有するもの(ただし、非プロトン性溶媒に可溶な液晶ポリエステルを含むものを除く)であってよい。
ここで、非プロトン性溶媒に可溶な液晶ポリエステルとしては、実施形態のフィルムで例示するものが挙げられる。
また、上記の液晶ポリエステルフィルム又は積層体の製造方法においては、液晶ポリエステル粉末を溶媒に溶解させる必要がないため、誘電特性に優れた液晶ポリエステルの粉末を原料として採用できる。優れた誘電特性を有する液晶ポリエステル粉末からは、優れた誘電特性を有する液晶ポリエステルフィルムを製造可能である。
実施形態の液晶ポリエステル粉末は、周波数1GHzにおける比誘電率が3以下であることが好ましく、2.9以下であることが好ましく、2.8以下であることが好ましく、2.8未満であることがより好ましく、2.78以下であることがさらに好ましく、2.76以下であることが特に好ましい。また、液晶ポリエステル粉末の比誘電率は、2.5以上であってもよく、2.6以上であってもよく、2.7以上であってもよい。
上記の液晶ポリエステル粉末の上記比誘電率の値の数値範囲の一例としては、2.5以上3以下であってもよく、2.6以上2.78以下であってもよく、2.7以上2.76以下であってもよい。
実施形態の液晶ポリエステル粉末は、周波数1GHzにおける誘電正接が0.005以下であることが好ましく、0.004以下であることが好ましく、0.003以下であることがより好ましく、0.0025以下であることがさらに好ましく、0.002以下であることが特に好ましい。また、液晶ポリエステル粉末の誘電正接は、0.0003以上であってもよく、0.0005以上であってもよく、0.001以上であってもよい。
上記の液晶ポリエステル粉末の上記誘電正接の値の数値範囲の一例としては、0.0003以上0.005以下であってもよく、0.0005以上0.004以下であってもよく、0.001以上0.003以下であってもよく、0.001以上0.0025以下であってもよく、0.001以上0.002以下であってもよい。
なお、液晶ポリエステル粉末の周波数1GHzにおける比誘電率、及び誘電正接は、インピーダンスアナライザーを用いた容量法にて、実施例に記載の条件で測定することができる。
なお、実施形態の液晶ポリエステル粉末の比誘電率及び誘電正接は、当該粉末を原料として製造した液晶ポリエステルフィルムのそれとは異なる場合がある。これは含有される液晶ポリエステルの分子量の違いに起因するものと考えられる。
液晶ポリエステル粉末は、前述の液晶ポリエステル組成物に含有される媒体に不溶であることが好ましい。
ここで、媒体に不溶であるか否かは、下記の試験を行うことにより確認できる。以下の試験方法では、媒体が非プロトン性溶媒である場合について説明する。
・試験方法
液晶ポリエステル粉末(5重量部)を非プロトン性溶媒(媒体)(95重量部)中で180℃の温度で、アンカー翼を用いて200rpmの撹拌条件で6時間撹拌した後、室温まで冷却する。次いで、目開き5μmのメンブレンフィルターおよび加圧式のろ過機を用いてろ過をした後、メンブレンフィルター上の残留物を確認する。この時、固形物が確認されない場合を非プロトン性溶媒(媒体)に可溶と判断する。短径5μm以上の固形物が確認された場合は非プロトン性溶媒(媒体)に不溶と判断する。短径5μm以上の固形物は、顕微鏡観察により確認することができる。
実施形態の液晶ポリエステル粉末100質量%に対する液晶ポリエステルの含有割合は、50〜100質量%であってもよく、80〜95質量%であってもよい。
液晶ポリエステルの詳細については、上記≪フィルム≫で説明したものを例示でき、説明を省略する。
実施形態の液晶ポリエステル粉末は、例えば、上記液晶ポリエステルの製造法により製造された、数平均分子量が10000以下の液晶ポリエステルの粉末を、その平均粒径が0.5〜20μmとなるよう、必要によりジェットミル等による粉砕処理をして、得ることができる。
実施形態の液晶ポリエステル粉末は、数平均分子量が10000以下の液晶ポリエステルを含み、平均粒径が0.5〜20μmである、液晶ポリエステル粉末(ただし、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位、テレフタル酸に由来する構造単位、及びヒドロキノンに由来する構造単位からなる液晶ポリエステルからなり、体積平均粒径が9μmであるものを除く)であってもよい。
実施形態の液晶ポリエステル粉末は、数平均分子量が10000以下の液晶ポリエステルを含み、平均粒径が0.5〜20μmである、液晶ポリエステル粉末(ただし、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸(5.5モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(1.75モル)、テレフタル酸(0.5モル)、ヒドロキノン(2.475モル)、無水酢酸(12モル)、及び触媒として1−メチルイミダゾールの混合物を反応させて得られる重合物である液晶ポリエステルからなり、体積平均粒径が9μmの液晶ポリエステル粉末を除く)であってもよい。
実施形態の液晶ポリエステル粉末は、数平均分子量が10000以下の液晶ポリエステルを含み、平均粒径が0.5〜20μmである、液晶ポリエステル粉末(ただし、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位、テレフタル酸に由来する構造単位、及びヒドロキノンに由来する構造単位からなる流動開始温度が265℃の液晶ポリエステルを粉砕した、体積平均粒径が9μmの液晶ポリエステル粉末を除く)であってもよい。
実施形態の液晶ポリエステル粉末は、数平均分子量が10000以下の液晶ポリエステルを含み、平均粒径が0.5〜20μmである、液晶ポリエステル粉末(ただし、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位、テレフタル酸に由来する構造単位、及びヒドロキノンに由来する構造単位を含み、かつ体積平均粒径が9μmである液晶ポリエステル粉末を除く)であってもよい。
実施形態の液晶ポリエステル粉末は、数平均分子量が10000以下の液晶ポリエステルを含み、平均粒径が0.5〜20μmである、液晶ポリエステル粉末(ただし、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸(5.5モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(1.75モル)、テレフタル酸(0.5モル)、ヒドロキノン(2.475モル)、無水酢酸(12モル)、及び触媒として1−メチルイミダゾールの混合物を反応させて得られる重合物であり、かつ体積平均粒径が9μmである液晶ポリエステル粉末を除く)であってもよい。
実施形態の液晶ポリエステル粉末は、数平均分子量が10000以下の液晶ポリエステルを含み、平均粒径が0.5〜20μmである、液晶ポリエステル粉末(ただし、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構造単位、テレフタル酸に由来する構造単位、及びヒドロキノンに由来する構造単位を含み、かつ流動開始温度が265℃の液晶ポリエステルを粉砕した、体積平均粒径が9μmの液晶ポリエステル粉末を除く)であってもよい。
実施形態の液晶ポリエステル粉末は、数平均分子量が10000以下の液晶ポリエステルを含み、平均粒径が0.5〜20μmである、液晶ポリエステル粉末(ただし、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸(5.5モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(1.75モル)、テレフタル酸(0.5モル)、ヒドロキノン(2.475モル)、無水酢酸(12モル)、及び触媒として1−メチルイミダゾールの混合物を反応させて得られる重合物であり、かつ流動開始温度が265℃の前記重合物を粉砕した、体積平均粒径が9μmの液晶ポリエステル粉末を除く)であってもよい。
なお、ここでの「体積平均粒径」は、液晶性ポリエステル粉末0.01gを純水約10g中で5分間超音波により分散して得られた液晶性ポリエステル粉末の分散液について散乱式粒子径分布測定装置(例えば、(株)HORIBAの「LA−950V2」)を用いて、純水の屈折率を1.333として測定したものとする。「体積平均粒径」とは、散乱式粒子径分布測定装置によって測定された、体積基準の累積粒度分布曲線において、全体を100%としたときに、累積体積が50%となる点の粒子径の値(50%累積体積粒度D50)である。
また、液晶ポリエステルの原料である無水酢酸由来の酢酸が、液晶ポリエステル粉末に残留することがあるが、実施形態の液晶ポリエステル粉末100質量%に含まれ得る残存酢酸量の上限値は、フィルムに加工後の機械物性の観点から1質量%以下であることが好ましく、500質量ppm以下であることがより好ましく、300質量ppm以下であることがさらに好ましい。また、実施形態の液晶ポリエステル粉末100質量%に含まれる残存酢酸量の下限値は、粉砕性の観点から30質量ppm以上が好ましく、50質量ppm以上であることがより好ましく、100質量ppm以上であることがさらに好ましい。
上記の液晶ポリエステル粉末100質量%に含まれ得る残存酢酸量の値の数値範囲の一例としては、30質量ppm以上以上1質量%以下であってもよく、50質量ppm以上500質量ppm以下であってもよく、100質量ppm以上300質量ppm以下であってもよい。
実施形態の液晶ポリエステル粉末によれば、電子部品用フィルムとして好適な品質を有する液晶ポリエステルフィルムを製造可能である。当該品質基準としては、フィルムの等方性、厚さ、および外観(孔又は貫通孔の発生の有無)が挙げられる。
実施形態の液晶ポリエステル粉末中の液晶ポリエステルの、数平均分子量が10000以下と比較的小さな値であることで、液晶ポリエステル組成物が塗布に適した性状となるとともに、熱処理時の液晶ポリエステルフィルムの融解の状態が良好となり、等方性に優れた液晶ポリエステルフィルムを製造可能な、フィルム化加工が可能となる。更に、実施形態の液晶ポリエステル粉末の、平均粒径が0.5〜20μmであることで、電子部品用フィルム用途として好適な薄さを有し、孔又は貫通孔の発生が抑制された高品質なポリエステルフィルムが得られる。
実施形態の液晶ポリエステル粉末によれば、等方性に優れた液晶ポリエステルフィルムを製造可能である。
従来、液晶ポリエステルフィルムは、液晶ポリエステルを溶融させる溶融成形法又はキャスト法により製造されることが一般的である。
溶融成形法は、混練物を押出機から押し出すことにより、フィルムを成形する方法である。しかし、溶融成形法により製造されたフィルムは、押出方向に対する横方向(押出方向及びフィルムの厚さ方向に対して直角方向、Transverse Direction(TD))よりも、製膜方向(押出方向ともいう、Machine Direction(MD))に液晶ポリエステル分子が配向してしまい、等方性に優れた液晶ポリエステルを得ることが難しい。
対して、実施形態の液晶ポリエステル粉末によれば、等方性に優れた液晶ポリエステルフィルムを製造可能である。実施形態の液晶ポリエステル粉末は、本発明に係るフィルムの製造方法の原料として好適であり、当該方法の適用により、上記押出による成形の操作を必要とせず、等方性に優れた液晶ポリエステルフィルムを容易に製造可能である。
ここで、液晶ポリエステルフィルムが「等方性に優れる」とは、液晶ポリエステルフィルムの分子配向度(MOR)の値が1〜1.1の範囲であることを意味する。
実施形態の液晶ポリエステル粉末によれば、誘電特性と等方性とが両立された液晶ポリエステルフィルムを製造可能である。
溶液キャスト法により製造された液晶ポリエステルフィルムは、溶融成形法により形成された液晶ポリエステルフィルムよりも、液晶ポリエステルの配向が等方的である。しかしながら、溶液キャスト法を適用するには、溶媒に溶解可能な性質を有する液晶ポリエステルを用いなければならないという制限がある。溶媒への溶解性が高められた液晶ポリエステルでは、例えば極性が高められたことなどにより、誘電特性が低下する場合がある。このように、液晶ポリエステルフィルムの誘電特性と等方性とを高水準で両立させることは困難であった。
対して、実施形態の液晶ポリエステル粉末によれば、誘電特性と等方性とが両立された液晶ポリエステルフィルムを製造可能である。実施形態の液晶ポリエステル粉末は、本発明に係るフィルムの製造方法の原料として好適であり、当該方法の適用により、液晶ポリエステル粉末の溶媒への溶解の操作を必要とせず、等方性に優れた液晶ポリエステルフィルムを容易に製造可能である。また、誘電特性の優れた液晶ポリエステルを原料に用いることができるため、誘電特性及び等方性に優れた液晶ポリエステルフィルムを容易に製造可能である。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<測定方法>
〔液晶ポリエステルの流動開始温度の測定〕
フローテスター((株)島津製作所の「CFT−500型」)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000P)の粘度を示す温度(FT)を測定した。
〔液晶ポリエステルの融点測定〕
示差走査熱量分析装置((株)島津製作所の「DSC−50」)を用いて、昇温速度10℃/分で昇温させ、吸熱ピークの位置を確認し、該吸熱ピークの頂点位置の温度を液晶ポリエステルの融点として測定した。
〔液晶ポリエステル微粒子粉末に含まれる液晶ポリエステルの分子量測定〕
ゲル浸透クロマトグラフ―多角度光散乱光度計(示差屈折率計(島津製作所製:RID−20A)、多角度光散乱検出器(Wyatt Technology製EOS)、カラム(昭和電工製:Shodex K−G、K−806M(2本)、K−802(1本)(φ8.0mm×30cm))、溶媒(ペンタフルオロフェノール/クロロホルム(重量比 35/65)))を用いて、液晶ポリエステル微粒子粉末に含まれる液晶ポリエステルの数平均分子量を測定した。測定用試料溶液は、試料2mgをペンタフルオロフェノール1.4gに添加し、80℃2時間溶解させ、室温まで冷却後クロロホルム2.6gを添加、さらに溶媒(ペンタフルオロフェノール/クロロホルム(重量比 35/65))で2倍希釈した後、孔径0.45μmのフィルターを用いてろ過し、調製した。
〔液晶ポリエステル微粒子粉末に含まれる残存酢酸量の分析〕
ヘッドスペースガスクロマトグラフ装置(島津製作所製:GC−2014)を用いて、120℃、20hの抽出条件、200℃、1hの分析条件で液晶ポリエステル微粒子粉末中の残存酢酸量を分析した。
〔液晶ポリエステル微粒子粉末の比誘電率、誘電正接測定〕
液晶ポリエステル微粒子粉末をフローテスター((株)島津製作所の「CFT−500型」)を用いて測定された融点よりも5℃高い温度で溶融させた後、冷却固化させることにより、直径1cm、厚さ0.5cmの錠剤を作製した。得られた錠剤に対して、下記条件にて1GHzにおける比誘電率、誘電正接を測定した。
・測定方法:容量法(装置:インピーダンスアナライザー(Agilent社製 型式:E4991A))
・電極型式:16453A
・測定環境:23℃、50%RH
・印加電圧:1V
〔液晶ポリエステル微粒子粉末の平均粒径の測定〕
液晶ポリエステル微粒子粉末を0.01g秤量し、純水約10g中に分散させた。調整した液晶ポリエステル微粒子粉末の分散液を5分間超音波で分散した。散乱式粒子径分布測定装置((株)HORIBAの「LA−950V2」)を用いて、純水の屈折率を1.333として、液晶ポリエステル微粒子粉末の体積基準の累積粒度分布を測定し、平均粒径(D50)を算出した。
〔液晶ポリエステルフィルムの比誘電率、誘電正接測定〕
液晶ポリエステルフィルムをフローテスター((株)島津製作所の「CFT−500型」)を用いて350℃で溶融させた後、冷却固化させることにより、直径1cm、厚さ0.5cmの錠剤を作製した。得られた錠剤に対して、下記条件にて1GHzにおける比誘電率、誘電正接を測定した。
・測定方法:容量法(装置:インピーダンスアナライザー(Agilent社製 型式:E4991A))
・電極型式:16453A
・測定環境:23℃、50%RH
・印加電圧:1V
〔液晶ポリエステルフィルムの分子配向度測定〕
フィルムを5cmの正方形にカットしホルダーに設置して、分子配向計(王子計測機器(株)製、型式:MOA−5012A)を用いて周波数12GHz、回転速度1rpmの条件で分子配向度の測定を行った。
〔液晶ポリエステルフィルムの線膨張係数測定〕
熱機械分析装置((株)リガク製、型式:TMA8310)を用いて、昇温速度5℃/分で50℃から100℃までの線膨張係数を測定した。測定は、液晶ポリエステルフィルムの流れ方向(MD)とその直角方向(TD)に対して行った。なお、キャスト法により製膜された各実施例、参考例又は比較例の液晶ポリエステルフィルムにおいて、流れ方向(MD)とは、分散液の塗工方向とした。
<液晶ポリエステル微粒子粉末の製造>
[実施例1]
・液晶ポリエステル(A)の製造
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1034.99g(5.5モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸378.33g(1.75モル)、テレフタル酸83.07g(0.5モル)、ヒドロキノン272.52g(2.475モル、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びテレフタル酸の合計モル量に対して0.225モル過剰)、無水酢酸1226.87g(12モル)、及び触媒として1−メチルイミダゾール0.17gを入れた。反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から145℃まで15分かけて昇温し、145℃で1時間還流させた。
次いで、副生した酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3時間30分かけて昇温し、310℃で3時間保持した後、固形状の液晶ポリエステルを取り出し、この液晶ポリエステルを室温まで冷却し、液晶ポリエステル(A)を得た。この液晶ポリエステル(A)の流動開始温度は、268℃であった。この液晶ポリエステル(A)を、オリエント粉砕機(株)製のカッターミルVM−16で粉砕し、平均粒径394μmの液晶ポリエステル(A)の粉末を得た。
・液晶ポリエステル微粒子粉末の製造
次いで、ジェットミル(栗本鐡工製の「KJ−200」、粉砕ノズル径:4.5mm)を用いて、分級ローター回転数10000rpm、粉砕ノズル圧0.64MPa、処理速度を2.1kg/時間に設定して、液晶ポリエステル(A)の粉末を粉砕し、実施例1の液晶ポリエステル微粒子粉末を得た。この液晶ポリエステル微粒子粉末の平均粒径は8μmであった。また、実施例1の液晶ポリエステル微粒粉末子を、示差走査熱量分析装置を用いて融点を測定した結果、290℃であった。
[参考例1]
ジェットミル(栗本鐡工製の「KJ−200」)の処理条件を、分級ローター回転数10000rpm、粉砕ノズル圧0.63MPa、処理速度を2.6kg/時間に設定して液晶ポリエステル粉末を粉砕した以外は、実施例1の液晶ポリエステル微粒子粉末の製造と同様にして、参考例1の液晶ポリエステル微粒子粉末を得た。この液晶ポリエステル微粒子粉末の平均粒径は10μmであった。
[参考例2]
ジェットミル(栗本鐡工製の「KJ−200」)の処理条件を、分級ローター回転数10000rpm、粉砕ノズル圧0.60MPa、処理速度を4.0kg/時間に設定して液晶ポリエステル粉末を粉砕した以外は、実施例1の液晶ポリエステル微粒子粉末の製造と同様にして、参考例2の液晶ポリエステル微粒子粉末を得た。この液晶ポリエステル微粒子粉末の平均粒径は15μmであった。
[参考例3]
ジェットミルに代えて、凍結・衝撃式粉砕機(ホソカワミクロン製リンレックスミル)を用い、処理速度を10kg/時間に設定して液晶ポリエステル粉末を粉砕した以外は、実施例1の液晶ポリエステル微粒子粉末の製造と同様にして、参考例3の液晶ポリエステル微粒子粉末を得た。この液晶ポリエステル微粒子粉末の平均粒径は27μmであった。
[比較例1]
・液晶ポリエステル(D)の製造
実施例1で得た液晶ポリエステル(A)の粉末をSUS製トレイに充填し、290℃6時間の熱処理を行い、液晶ポリエステル(D)を得た。
・液晶ポリエステル微粒子粉末の製造
次いでジェットミル(栗本鐡工製の「KJ−200」)を用いて、分級ローター回転数10000rpm、粉砕ノズル圧0.60MPa、処理速度を0.1kg/時間に設定してこの液晶ポリエステル(D)の粉末を粉砕した以外は、実施例1の液晶ポリエステル微粒子粉末の製造と同様にして、比較例1の液晶ポリエステル微粒子粉末を得た。この液晶ポリエステル微粒子粉末の平均粒径は7μmであった。
得られた各液晶ポリエステル微粒子粉末について、比誘電率および誘電正接の測定を行った。
表1に、上記の各項目とその測定結果を示す。
<液晶ポリエステルフィルムの製造>
[実施例1−1、参考例1−1〜3−1、比較例1−1]
・分散液の調製
上記の実施例1、参考例1〜3、及び比較例1のそれぞれの液晶ポリエステル微粒子粉末8重量部を、N−メチル2−ピロリドン(沸点(1気圧)204℃)92重量部に加え、(株)シンキー製の撹拌脱泡機AR−500を用いて撹拌し、各分散液を得た。
・液晶ポリエステルフィルムの製造
上記の各分散液を、銅箔(三井金属鉱業製 3EC−VLP 18μm)の粗化面に、流延膜の厚さが300μmとなるように、マイクロメーター付フィルムアプリケーター(SHEEN社の「SA204」)と自動塗工装置(テスター産業(株)の「I型」)とを用いて流延した後、40℃、常圧(1気圧)にて、4時間乾燥することにより、流延膜から溶媒を除去した。比較例1−1については、分散液がゲル状になり流延できず、フィルム化できなかった。
上記の乾燥後、さらに窒素雰囲気下熱風オーブン中で室温から310℃まで7℃/分で昇温し、その温度で6時間保持する熱処理を行い、銅箔付き液晶ポリエステルフィルムを得た。
得られた銅箔付き液晶ポリエステルフィルムを第二塩化鉄水溶液に浸漬し、銅箔をエッチング除去し、単層のフィルムを得た。
各フィルムの外観を確認した。参考例3−1の液晶ポリエステルフィルムは、表面に多数の穴が発生しており、外観が不良であり、電子部品用フィルムとして好適でない品質であった。
表1に、上記の各項目とその測定結果を示す。
Figure 2020132848
数平均分子量が10000以下の範囲を満たさない液晶ポリエステルを含む比較例1の液晶ポリエステル微粒子粉末を原料とした比較例1−1では、液晶ポリエステルフィルムを製造することができなかった。対して、数平均分子量が10000以下の範囲を満たす液晶ポリエステルを含む実施例1、参考例1〜3の液晶ポリエステル微粒子粉末を原料にすることで、実施例1−1、及び参考例1−1〜3−1の液晶ポリエステルフィルムを製造可能であった。
また、平均粒径が0.5〜20μmの範囲を満たさない参考例3の液晶ポリエステル微粒子粉末を原料に製造された、参考例3−1の液晶ポリエステルフィルムは、表面に多数の穴が発生しており、外観が不良であった。対して、平均粒径が0.5〜20μmの範囲を満たす実施例1、参考例1〜2の液晶ポリエステル微粒子粉末を原料に製造された、実施例1−1、及び参考例1−1〜2−1の液晶ポリエステルフィルムは、厚みが薄くかつ外観にも優れたものであった。実施例1−1および参考例1−1〜3−1の液晶ポリエステルフィルムの外観評価の結果を、穴の発生が見られず外観に優れたものを「G」、多数の穴が発生し外観が不良であるものを「F」として表1に記載した。
<液晶ポリエステルフィルムの製造>
上記実施例1で得られた液晶ポリエステル(A)の液晶ポリエステル微粒子粉末を原料として、熱処理条件を変えて、実施例1−1〜1−5の液晶ポリエステルフィルムを製造した。なお、実施例1−1の液晶ポリエステルフィルムは、上記実施例1−1と同じ製法により得られたものである。
[実施例1−1]
・分散液の調製
上記の実施例1で製造した液晶ポリエステル(A)の液晶ポリエステル微粒子粉末8重量部を、92重量部のN−メチル2−ピロリドンに投入し、(株)シンキー製の撹拌脱泡機AR−500を用いて撹拌し、分散液を得た。
・液晶ポリエステルフィルムの製造
上記の各分散液を、銅箔(三井金属鉱業製 3EC−VLP 18μm)の粗化面に、流延膜の厚さが300μmとなるように、マイクロメーター付フィルムアプリケーター(SHEEN社の「SA204」)と自動塗工装置(テスター産業(株)の「I型」)とを用いて流延した後、40℃、常圧(1気圧)にて、4時間乾燥することにより、流延膜から溶媒を除去した。
上記の乾燥後、さらに窒素雰囲気下熱風オーブン中で室温から310℃まで7℃/分で昇温し、その温度で6時間保持する熱処理を行い、実施例1−1の銅箔付き液晶ポリエステルフィルムを得た。
[実施例1−2]
上記熱処理条件を、室温から330℃まで7℃/分で昇温した以外は、上記実施例1−1の銅箔付き液晶ポリエステルフィルムの製造と同様にして、実施例1−2の銅箔付き液晶ポリエステルフィルムを得た。
[実施例1−3]
上記熱処理条件を、室温から310℃まで4℃/分で昇温した以外は、上記実施例1−1の銅箔付き液晶ポリエステルフィルムの製造と同様にして、実施例1−3の銅箔付き液晶ポリエステルフィルムを得た。
[実施例1−4]
上記熱処理条件を、室温から300℃まで7℃/分で昇温した以外は、上記実施例1−1の銅箔付き液晶ポリエステルフィルムの製造と同様にして、実施例1−4の銅箔付き液晶ポリエステルフィルムを得た。
[実施例1−5]
上記熱処理条件を、室温から310℃まで3℃/分で昇温した以外は、上記実施例1−1の銅箔付き液晶ポリエステルフィルムの製造と同様にして、実施例1−5の銅箔付き液晶ポリエステルフィルムを得た。
[比較例2]
有機溶媒に溶解可能な液晶ポリエステルを製造し、それを原料として、以下のとおり比較例2の液晶ポリエステルフィルムを製造した。
・液晶ポリエステル(B)の製造
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸940.9g(5.0モル)、4−ヒドロキシアセトアミノフェン377.9g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸867.8g(8.4モル)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、撹拌しながら、室温から140℃まで60分かけて昇温し、140℃で3時間還流させた。
次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から300℃まで5時間かけて昇温し、300℃で30分保持した後、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶ポリエステル(B1)を得た。この液晶ポリエステル(B1)の流動開始温度は、193.3℃であった。
上記で得た液晶ポリエステル(B1)を、窒素雰囲気下、室温から160℃まで2時間20分かけて昇温し、次いで160℃から180℃まで3時間20分かけて昇温し、180℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、冷却し、次いで、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶ポリエステル(B2)を得た。この液晶ポリエステル(B2)の流動開始温度は、220℃であった。
上記で得た液晶ポリエステル(B2)を、窒素雰囲気下、室温から180℃まで1時間25分かけて昇温し、次いで180℃から255℃まで6時間40分かけて昇温し、255℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステル(B)を得た。液晶ポリエステル(B)の流動開始温度は、302℃であった。また、この液晶ポリエステル(B)を、示差走査熱量分析装置を用いて融点を測定した結果、311℃であった。
・液晶ポリエステル溶液の調製
液晶ポリエステル(B)8質量部を、N−メチルピロリドン(沸点(1気圧)204℃)92質量部に加え、窒素雰囲気下、140℃で4時間攪拌して、液晶ポリエステル溶液を調製した。この液晶ポリエステル溶液の粘度は、955mPa・sであった。
・液晶ポリエステルフィルムの製造
液晶ポリエステル溶液を、銅箔(三井金属鉱業製 3EC−VLP 18μm)の粗化面に、流延膜の厚さが300μmとなるように、マイクロメーター付フィルムアプリケーター(SHEEN社の「SA204」)と自動塗工装置(テスター産業(株)の「I型」)とを用いて流延した後、40℃、常圧(1気圧)にて、4時間乾燥することにより、流延膜から溶媒を除去した。さらに、乾燥した液晶ポリエステル(B)の表面に流延膜の厚さが300μmとなるように2回目の流延を行い、40℃、常圧(1気圧)にて、4時間乾燥することにより、流延膜から溶媒を除去した。
上記の乾燥後、さらに窒素雰囲気下熱風オーブン中で室温から270℃まで1℃/分で昇温し、その温度で2時間保持する熱処理を行い、比較例2の銅箔付き液晶ポリエステルフィルムを得た。
[比較例3]
・液晶ポリエステル(C)の製造
上記実施例1で得られた液晶ポリエステル(A)の粉末をSUS製トレイに充填し、280℃6時間の熱処理を行い、液晶ポリエステル(C)を得た。得られた液晶ポリエステル(C)の流動開始温度は306℃であった。
・液晶ポリエステルフィルムの製造
得られた液晶ポリエステル(C)100重量部を、2軸押出機(池貝鉄工(株)製「PCM−30」)を用いて、325℃で造粒し、ペレットを得た。また、このペレットを、示差走査熱量分析装置を用いて融点を測定した結果、319℃であった。
得られたペレットを単軸押出し機で溶融押出した後、ダイ径30mm、スリット間隔0.25mmの環状インフレーションダイを用いてインフレーション製膜を行った。その際、環状インフレーションダイの入口に接続したろ過装置(リーフディスク型フィルタ、日本精線社製)を用いて、溶解した液晶ポリエステルをろ過しながら製膜を行った。ろ過装置には、ナスロンフィルタLF4−0 NF2M−05D2(日本精線社製、ろ過精度5.0μm、リーフディスク型)を16枚積層して用いた。
340℃に加熱された環状インフレーションダイから、MDの延伸倍率に対してTDの延伸倍率を4.3の条件下で押し出して、比較例3の液晶ポリエステルフィルムを得た。
実施例1−1〜1−5及び比較例2〜3で得られた銅箔付き液晶ポリエステルフィルムを第二塩化鉄水溶液に浸漬し、銅箔をエッチング除去し、単層のフィルムを得た。
表2に、上記の各項目とその測定結果を示す。
Figure 2020132848
実施例1−1〜1−5の液晶ポリエステルフィルムは、液晶ポリエステル微粒子粉末の分散液を銅箔上にキャストした後、熱処理すること(表中「分散液キャスト」と略する)により得られたものであるため、誘電特性に優れ、且つ分子配向度(MOR)が低く、優れた性質を有していた。
比較例2の液晶ポリエステルフィルムは、液晶ポリエステル微粒子粉末の溶液を銅箔上にキャスト(表中「溶液キャスト」と略する)して得られたものであるため、無配向ではあるが、溶液キャスト法においては溶媒に溶解可能な液晶ポリエステルを原料とする制限があるため、誘電特性に劣る傾向にあった。
比較例3の液晶ポリエステルフィルムは、インフレーション法により得られたものであるため、分子配向度(MOR)が高い傾向にあり、MDとTDとで線膨張にも差が生じるものであった。
各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
1…液晶ポリエステル粉末、3…媒体、30…液晶ポリエステル組成物、10…液晶ポリエステルフィルム、11…フィルム、12…支持体、13…金属層、20,21…積層体、22…積層体前駆体、40…液晶ポリエステルフィルム前駆体

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂を含み、
    周波数1GHzにおける比誘電率が3以下であり、
    周波数1GHzにおける誘電正接が0.005以下であり、
    マイクロ波配向計で測定した分子配向度(MOR)の値が1〜1.1の範囲であるフィルム。
  2. 前記熱可塑性樹脂が液晶ポリエステルであり、
    前記液晶ポリエステルが、ナフタレン構造を含む構造単位を有する、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記ナフタレン構造を含む構造単位の含有量が、前記液晶ポリエステル中の構造単位の合計量100モル%に対して40モル%以上である請求項2に記載のフィルム。
  4. 前記液晶ポリエステルが、下記式(1)で表される構造単位、下記式(2)で表される構造単位、及び下記式(3)で表される構造単位を有する、請求項2又は3に記載のフィルム。
    (1)−O−Ar1−CO−
    (2)−CO−Ar2−CO−
    (3)−O−Ar3−O−
    (Ar1は、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。
    Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。
    Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。)
  5. 昇温速度5℃/分の条件で50〜100℃の温度範囲において求められた線膨張係数が85ppm/℃以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
  6. 金属層と、前記金属層上に積層された請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルムと、を備える積層体。
  7. 前記金属層を構成する金属が銅である、請求項6に記載の積層体。
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