JP4710125B2 - ニ軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents

ニ軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フイルム幅方向に均一な物性を有する低ボーイングなニ軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ニ軸配向ポリエステルフイルムは、その優れた機械的特性、耐熱性、電気的特性、耐薬品性、耐侯性を備えているため、工業的に様々な分野で使用されている。これらの特性を生み出す代表的な製膜方法として、テンターを用いた逐次ニ軸延伸法が用いらている。これは、通常、フイルム長手方向に延伸し、次いでテンター内で幅方向に延伸した後に熱固定する製膜方法のことである。
【0003】
このテンター内で幅方向に延伸した後に熱固定する過程で、フイルム幅方向に均一な物性を有さないボーイング現象が生じていた。このボーイング現象とは、該フィルムをテンター内で延伸し熱固定する際に、フイルム長手方向において、ポアソン比に基づく収縮力および熱収縮応力などに起因して発生すると考えられており、現象としては、テンター前でフィルム幅方向にマジックインキで引いた直線が、テンター後では、フィルム長手方向に弓なり状に引き戻された形をして出てくるような挙動を示すことである。このボーイング現象のため、フィルム幅方向の中央部から離れるほど配向角(ここで配向角とは、フィルム幅方向または長手方向と主配向軸とがなす角度のうち小さい方である。)が大きくなるという配向角の位置依存性を有していた。この配向角の位置依存性のため、強度及び寸法安定性が幅方向で異なる不都合を有していた。例えば、印刷加工時のずれ、蛇行、カール、及びフロッピーディスクのベースフイルムとしては装置内でのそりなどによる記録特性の低下である。特に、近年の光エレクトロニクス産業において、光学部材として用いられるためには、ニ軸配向ポリエステルフイルムのボーイング現象は最も改善されるべき問題である。
【0004】
その代表例として現在、偏光板検査時に離型フイルムとしてニ軸配向ポリエステルフイルムが用いられている。偏光板は、通常図1に示す如く、偏光フィルム1、表面保護フィルム2、粘着剤層3、および離型フィルム4で構成される。偏光フィルム1は、沃素、二色性染料などの偏光素子をポリビニルアルコール系フィルムの如き親水性フィルムに吸着配向せしめた偏光軸と吸着軸とを有する偏光子を上下よりセルロース系フィルムで被服するか、或いはアクリル系樹脂をコーティングして設けられる。表面保護フィルム2には、ポリエステルフィルムのような透湿性が少なく、伸び等の変形が少ない透明なプラスチックフィルムが使用されている。表面保護フィルム2と偏光フィルム1は接着剤(図示省略)で被着されており、該接着剤は表面保護フィルム2とは強固に接着するが、偏光フィルム1とは経日でも容易に離型し得るものが使用されている。粘着剤層3は、偏光フィルム1を液晶セル(図示省略)に粘着するための感圧型粘着剤等よりなり、離型フィルム4はニ軸配向ポリエステルフィルム等からなる。
【0005】
該偏光板の製造に際しては、予め原料である偏光フィルム1の光の透過率や偏光度或いはヘイズ等の光学特性を検査し使用してはいるものの、偏光板への製造工程での偏光フィルムへの機械的応力、異物混入、付着等により欠陥が生じる可能性がある。このため最終製品での異物混入や欠陥検査では、クロスニコル法(2枚の偏光板の吸収軸を直交させ、その間に離型フィルムが挟まれた状態で、透過光を観察する方法)による人間の目視検査を行なっている。しかしながら、従来の偏光板は、離型フィルムとして用いられているニ軸配向ポリエステルフィルムのボーイングによる光学的異方性により、光漏れが多く検査性が低く、一方、従来技術である低温熱固定を用いた低ボーイングな離型フイルムでは、粘着剤中の溶媒を加熱除去する際の熱収縮が大きいために平面性が悪く、偏光フイルムと貼り合わせることが出来ないなどの問題が生じている。
【0006】
上述したボーイング現象の影響の大きなフィルムを偏光板の離型フィルムに適用した場合についてさらに詳しく説明する。偏光板メーカーでは、偏光子の吸収軸と偏光軸が、それぞれフイルムの長手方向と幅方向に重ねて貼り合わせるため、主配向軸と偏光軸の位置関係が一義的に決まる。その位置関係の指標である配向角の程度で、偏光板の検査性が決まる。具体的には、クロスニコル法で目視検査を行うと、フィルム幅方向において中央部は配向角が小さいため該用途への適用に際し問題とはならないが、端部については配向角が大きくなるため色相変化及び光の透過現象が生じ、偏光フィルムの異物混入や欠陥を正確に検査し難いとの不都合を有する。
【0007】
この問題を引き起こすボーイング現象の対策が従来から検討されてきたので、以下に説明する。
【0008】
例えば、特公昭39−29214号公報には、加熱ロールを用いた熱処理方法が提案されている。また、特公昭42−9273号公報および特開平7−314552号公報には、フィルム幅方向に温度勾配を与えながら熱処理する方法、特開昭62−18327号公報および特開昭62−183328号公報には、フィルムの両端部を強制的に加熱して熱処理する方法がそれぞれ提案されている。
【0009】
また、特開昭50−73978号公報には、幅延伸機(テンター)内での延伸工程と熱処理工程の間にニップロールにより幅延伸後のフィルムを熱処理する方法が提案されており、特公昭63−24459号公報には、ニップロールによってフィルムの中央部を強制的に前進させる方法が提案されている。
【0010】
そして、特許2936688号公報および特開平6−262675号公報などには、幅延伸工程と熱処理工程の間に冷却工程を設けたものが提案されている。
【0011】
さらに、特開昭62−43856号公報には、横方向延伸後、ガラス点以下に冷却し、次いで第一熱処理区間でT1(200℃〜240℃)で熱処理し、第二熱処理区間でT2(T1以下の温度)で1〜20%の横方向に延伸させながら第三熱処理区間でT3(T2未満の温度)で降温する方法が提案されている。また、その類似例として特開平1−165423号公報には、テンターで横延伸した後に、フイルムを横延伸温度以下の温度に冷却、保持し、引続き2以上に分割された温度領域で、2〜20%幅方向に伸張させながら昇温し、ついで熱固定する方法が提案されている。以上に説明してきたボーイング低減効果がある方法として考えられている、横延伸後の冷却工程、熱処理工程の段階的な昇温、さらに熱処理工程での横再延伸などの製造方法を全て取り入れたものが、特許2825727号および特許2825728号で提案されている。しかしながら、これらの製造方法においても、今後の光エレクトロニクス部材として用いられるためには、その効果は未だ不十分である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようにボーイング低減が望まれているが、本発明者らの検討によれば、偏光板用離型フイルムで求められる低ボーイングかつ熱寸法安定性を満足するものは得られなかった。かかる事情下に鑑み、本発明は、従来よりボーイング現象の指標であるフィルム幅方向の中央部と端部での配向角の位置依存性が劇的に少ないニ軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の上記課題を達成するためのニ軸配向ポリエステルフイルムの製造方法は、ポリエチレンテレフタレートからなるニ軸配向フイルムの熱機械特性試験機(以下、TMAと称す。)による昇温時において、フイルム幅方向における伸縮量の時間の微分曲線が、その幅方向の延伸温度(Te)の±5℃の範囲に膨張である極少値を有し、かつフイルム長手方向および幅方向における、150℃で10分間の熱収縮率がいずれも3%以下であるニ軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムの製造方法であって、
未延伸フイルムを長手方向と幅方向に逐次延伸し次いで熱固定する工程を含み、
かつ、長手方向および幅方向の延伸温度が95℃以上であり、
幅方向の延伸と熱固定の間にガラス転移温度(Tg)以下の温度で冷却し、次いで熱固定温度の最高温度で幅方向に下記式(1)で定義された再延伸率が5〜30%で再延伸を与えるニ軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムの製造方法
再延伸率=(最大レール幅―冷却後のレール幅)/冷却後のレール幅×100・・・式(1)
である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、更に詳細に説明をする。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とするポリエステルである。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を挙げることができる。中でも好ましくはテレフタル酸とイソフタル酸を挙げることができる。
【0017】
これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0018】
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、特にポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0019】
本発明におけるポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法等がある。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物を用いることもできる。
【0020】
本発明のニ軸配向ポリエステルフイルムは、上記溶融ポリマーを押出機に供給して、T型口金等を用いてシート状に溶融押出しし、その後、キャスティングドラム上で冷却固化した未延伸フィルムを樹脂組成物のガラス転移転以上の温度で延伸する方法などで得ることができる。該延伸の方法は、いかなる方法であってもよく、長手方向に延伸した後幅方向に延伸する方法、幅方向に延伸した後長手方向に延伸する方法、あるいは長手方向、幅方向同時に延伸する方法、また長手方向の延伸、幅方向の延伸を複数回組み合わせて行なってもよい。延伸倍率の下限は、少なくとも長手方向には、厚みムラ、ボーイングを抑える観点から2.5倍以上で、上限はボーイングを押さえる観点から4倍以下が好ましい。また、幅方向には、偏光板用離型フイルムとしては、主配向軸がフイルム幅方向に向けるために3.5倍以上が好ましい。延伸温度は、長手方向、幅方向ともボーイングを押さえる観点からともに、95℃以上が好ましい。
【0021】
本発明のニ軸配向ポリエステルフイルムは、熱機械特性試験機(以下、TMAと称す。)による昇温時において、フイルム幅方向における伸縮量(L)の時間(t)の微分曲線(以下、ΔL/Δtと称す。)が、その幅方向の延伸温度(Te)の±5℃の範囲に膨張である極少値を有し、かつフイルム長手方向および幅方向、それぞれ150℃で10分間の熱収縮率が3%以下であるという特徴を有する。
【0022】
このような特性を有することによって熱寸法安定性に優れ、フイルム幅方向に均一な物性を有する、すなわちフィルム幅方向の中央部と端部での配向角の位置依存性が劇的に少ないニ軸配向ポリエステルフイルムが達成される。ここでのTMAとは、電気炉の中にセットしたフイルムを時間に対しての荷重制御と炉の中の温度を温度制御したときのフイルムの伸縮量が測定できる装置のことである。
【0023】
ここで、一般に熱寸法安定性を満たしたニ軸配向したポリエステルフイルムをTMAで測定したときのフイルム幅方向の伸縮量を図3に示す。その挙動を以下に説明する。一定速度で昇温していくと、ポリマーの高次構造により異なるが、ポリマーのガラス転移温度近傍から、延伸による歪が開放される(非晶鎖の凍結解除による熱運動)ため、フイルムが収縮し始める。その後、さらに昇温を続けると、分子のコンフォメーションの変化、分子鎖の折りたたみ結晶の発生などによる収縮が起こり、遂には熱固定で設けられた微結晶の融解により収縮が起こる。
【0024】
次に、本発明者らの実験において、図3に示したような一連の挙動であるフイルム幅方向の伸縮量を時間の微分で表した曲線について説明する。ΔL/Δtは、温度上昇とともに、延伸による歪が分子間力の弱い順に開放されるため、その分布により異なるが、通常、単調増加で熱固定温度近傍で最大値を向かえ減少する。 本発明ではΔL/Δtが、最大値を向かえるまでに、その幅方向の延伸温度(Te)の±5℃の範囲に膨張である極少値を有することを見出した。ここでの最大値とは、室温30℃から240℃まで10℃/分で昇温したときに、熱固定温度近傍に現れる時間に対する収縮変化量が最も大きい値であり、試験長が20mmのときは、その値が30μm/分以上600μm/分以下が好ましい。30μm/分以下では、ほとんど伸縮が起きていないことが予測され、そのため試料の設置状態の悪さなどに起因したノイズ的な極少値が表れるからである。また、600μm/分以上では、伸縮量の変化が大きすぎて150℃、10分間の熱収縮率が3%を超えることが予測されるからである。すなわち、一般的な工業用途として好適なニ軸配向ポリエステルフイルムを得るには150℃の温度に10分間さらされたときのフイルム長手方向と幅方向のそれぞれの熱収縮率は、いずれも3%以下であることが必要である。
【0025】
本発明においては、未延伸フイルムを長手方向と幅方向に逐次延伸し、次いで熱固定するニ軸配向ポリエステルフイルムの製造方法において、幅方向の延伸と熱固定の間にガラス転移温度(Tg)以下の温度で冷却し、次いで熱固定温度の最高温度で幅方向に下記(1)式で定義された再延伸率が5〜30%で再延伸を与えることを特徴とするニ軸配向ポリエステルフイルムの製造方法が好ましい。
再延伸率=(最大レール幅―冷却後のレール幅)/冷却後のレール幅×100
・・・式(1)
ここで、最大レール幅とは、テンター内の熱固定ゾーンにおいてフイルム幅方向を把持した両端のクリップ間の距離の最大値であり、冷却後のレール幅とは、幅方向の延伸温度以上である熱固定ゾーンに入る直前の両端のクリップ間の距離である。また、再延伸率は、ボーイングを直線に戻すという観点から10%以上で再延伸することがより好ましい。熱固定温度は、150℃で10分間の熱処理条件で、フイルム長手方向と幅方向とも熱収縮率が3%以下の熱寸法安定性を満足するために、200℃以上が好ましい。
【0026】
本発明のニ軸配向ポリエステルフィルムを光エレクトロニクス部材である偏光板用離型フィルムとして用いる場合は、離型処理を施すことが剥離性の点で好ましい。かかる離型処理としては、特に限定されないが、シリコーンコーティング処理が好ましい。中でも、硬化シリコーン樹脂塗膜を形成する処理が好ましい。この硬化シリコーン樹脂塗膜は、硬化性シリコーン樹脂を含む塗液をフィルムの少なくとも片面に塗布し、乾燥、硬化により成形することができる。さらに、該ニ軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
【0027】
また、本発明のニ軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、離型フィルムとしての使い勝手のよさから、10μm以上60μm以下とすることが好ましい。
【0028】
[特性の測定方法]
以下の説明において、フィルムの特性は以下の方法で測定したものである。
【0029】
(1)TMAによる伸縮量の時間に対する変化量:
サンプルは、フイルム幅方向の中央部から、長手方向4mm×幅方向20mmのサイズに切り出した。一定荷重5gをかけた状態で、温度制御を30℃から240℃まで10℃/分で昇温するプログラムでTMAを昇温した。TMA(セイコーインスツルメンツ(株)製:EXSTAR6000システムを用いたTMA/SS6000)による幅方向20mmの時間および温度毎に変化した長さ(L)を測長した。このLを時間(t)で微分することにより時間に対する変化量(ΔL/Δt)を求めた。ΔL/Δtが正の値のときは収縮に相当し、負の値のときは膨張に相当する。
【0030】
(2)ボーイング状況:
ボーイングの尺度として、中央部からフィルム幅方向において2mの位置で、長手4.0×幅3.5cmの寸法に切り出してたものをサンプルとして、その配向角を自動複屈折計(新王子製紙(株)製KOBRA−21ADH)を用いて測定した。また、左右の配向角のうち大きい方の配向角を採用した。
【0031】
(3)熱寸法変化率:
サンプルを1×10cmに切り出し、ギアオーブン(TABAI社製GHPS−222)で150℃、10分間の条件で熱処理する前後のフィルム長手方向と幅方向それぞれを万能投影機(77−7ニコン社製E04)で正確に測長することにより求めた。
【0032】
(4)目視検査状況:図2に示すようにクロスニコル下に該フィルムを配置し、白色光源(白色光源とは、スペクトル分布が可視光領域にほぼ全体に広がっており、肉眼で白色に見える光源のことである。)で光漏れの影響を以下の基準で評価した。すなわち、図2は、クロスニコル法による本実験の目視検査の概要説明図であり、5は偏光子、6はフィルム、7は検光子、8は白色光源、9は検査する人の目である。なお、偏光子5と検光子7は、図1に示した離型フィルムと表面保護フィルムを用いていない偏光板である。実際の偏光板目視検査においては、偏光子5と図1に示した偏光板用離型フイルムに相当するフィルム6が粘着層を介して貼り合わせれたものが検査される側の偏光板である。評価は、以下のクラス分けに従い行なった。
良 :光漏れなし
可 :光漏れはあるが検査可能
不可:光漏れあり検査不可能
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0034】
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレートを溶融して口金から押出し、25℃のキャスティングドラムで冷却固化した後、まず予熱温度105℃で、1.045倍の予備延伸を行ない、次に120℃で加熱したロールとラジエーションヒーターによって、1.177倍に僅かに延伸しながら、116℃で2.83倍延伸する複数回延伸することにより長手方向に3.5倍延伸し、続いてテンターにて幅方向に105℃で4.37倍延伸し、その後、70℃で中間冷却し、さらに後続する第2テンターの熱固定ゾーンで再延伸率7.5%で最高温度である210℃で熱固定し、110℃で4%の弛緩熱固定を施すことにより、厚み25μmのポリエステルフィルムを得た。実施例1の物性評価結果を表1に示す。また、TMAによる伸縮量の時間による微分曲線の結果を図4に示す。
【0035】
(実施例2)
ポリエチレンテレフタレートを溶融して口金から押出し、25℃のキャスティングドラムで冷却固化した後、まず予熱温度105℃で、1.045倍の予備延伸を行い、次に120℃で加熱したロールとラジエーションヒーターによって、1.177倍に僅かに延伸しながら、124℃で2.6倍延伸する複数回延伸することにより長手方向に3.2倍延伸し、続いてテンターにて幅方向に105℃で4.37倍延伸し、その後、70℃で中間冷却し、さらに後続する第2テンターの熱固定ゾーンで再延伸率11.7%で最高温度である210℃で熱固定し、110℃で4%の弛緩熱固定を施すことにより、厚み30μmのポリエステルフィルムを得た。実施例2の物性評価結果を表1に示す。また、TMAによる伸縮量の時間による微分曲線の結果を図4に示す。
【0036】
[比較例1]
ポリエチレンテレフタレートを溶融して口金から押出し、25℃のキャスティングドラムで冷却固化した後、縦方向に85℃で2.8倍延伸し、続いてテンターにて幅方向に100℃で3.74倍延伸し、さらに該テンターの熱固定ゾーンで段階的に、順次140℃、180℃、230℃と昇温しながら熱固定し、5.6%の弛緩処理をし、厚み25μmのポリエステルフィルムを得た。比較例1の物性評価結果を表1に示す。また、TMAによる伸縮量の時間による微分曲線の結果を図4に示す。
【0037】
[比較例2]
ポリエチレンテレフタレートを溶融して口金から押出し、25℃のキャスティングドラムで冷却固化した後、縦方向に85℃で2.8倍延伸し、続いてテンターにて幅方向に90℃で3.74倍延伸し、さらに該テンターの熱固定ゾーンで段階的に、順次140℃、220℃、230℃と昇温しながら熱固定し、5.6%の弛緩処理をし、厚み23μmのポリエステルフィルムを得た。比較例2の物性評価結果を表1に示す。また、TMAによる伸縮量の時間による微分曲線の結果を図4に示す。
【0038】
[比較例3]ポリエチレンテレフタレートを溶融して口金から押出し、25℃のキャスティングドラムで冷却固化した後、86℃に加熱したロールとラジエーションヒーターによってフィルムを加熱して、延伸することにより長手方向に1.9倍延伸し、続いてテンターにて幅方向に100℃で2.96倍延伸し、次いで110℃で1.25倍延伸し、さらに該テンターの後続する熱固定ゾーン4室段階的に140、180、205、230℃熱処理し、最後に150℃で5%程度の弛緩熱処理を施すことにより厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。比較例3の物性評価結果を表1に示す。また、TMAによる伸縮量の時間による微分曲線の結果を図4に示す。
【0039】
表1、図4に示した結果から明らかなように、本発明の製造方法により150℃の温度条件下で熱寸法変化率3%未満の熱寸法安定性を有し、フィルム幅方向に関して低ボーイングなニ軸配向ポリエステルフィルムを供することができた。
【0040】
【表1】
Figure 0004710125
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、熱寸法安定性に優れ、かつフィルム幅方向において均一な物性を有するニ軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 偏光板の構成を示した概要モデル図である。
【図2】 クロスニコル法による目視検査を示す概要図である。
【図3】 TMAにおけるフイルム幅方向の伸縮量の曲線である。
【図4】 実施例、比較例のフイルム幅方向のTMAによる時間に対する伸縮量の微分曲線を表した図である。
【符号の説明】
1:偏光フィルム
2:表面保護フィルム
3:粘着剤層
4:離型フィルム
5:偏光子
6:フィルム
7:検光子
8:白色光源
9:検査する人の目
10:実施例1の幅方向のTMAによる伸縮量の微分曲線
11:実施例2の幅方向のTMAによる伸縮量の微分曲線
12:比較例1の幅方向のTMAによる伸縮量の微分曲線
13:比較例2の幅方向のTMAによる伸縮量の微分曲線
14:比較例3の幅方向のTMAによる伸縮量の微分曲線

Claims (2)

  1. ポリエチレンテレフタレートからなるニ軸配向フイルムの熱機械特性試験機(以下、TMAと称す。)による昇温時において、フイルム幅方向における伸縮量の時間の微分曲線が、その幅方向の延伸温度(Te)の±5℃の範囲に膨張である極少値を有し、かつフイルム長手方向および幅方向における、150℃で10分間の熱収縮率がいずれも3%以下であるニ軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムの製造方法であって、
    未延伸フイルムを長手方向と幅方向に逐次延伸し次いで熱固定する工程を含み、
    かつ、長手方向および幅方向の延伸温度が95℃以上であり、
    幅方向の延伸と熱固定の間にガラス転移温度(Tg)以下の温度で冷却し、次いで熱固定温度の最高温度で幅方向に下記式(1)で定義された再延伸率が5〜30%で再延伸を与えるニ軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムの製造方法。
    再延伸率=(最大レール幅―冷却後のレール幅)/冷却後のレール幅×100・・・式(1)
  2. 偏光板用離型に用いられる請求項1に記載のニ軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムの製造方法。
JP2000370095A 2000-12-05 2000-12-05 ニ軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法 Expired - Lifetime JP4710125B2 (ja)

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