JP3737564B2 - 離型フイルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は離型フイルムに関し、更に詳しくは偏光板、位相差偏光板或いは位相差板の異物検査の際に本発明の離型フイルムを積層して用いると異物検査を容易におこなうことができる離型フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ(LCD)は、近年高性能化、高画質化およびカラー化、大画面化の技術が進み、かつCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイに比べ軽薄化、低エネルギー消費化が可能であることから、例えばノート型パーソナルコンピューター或いはワードプロセッサー等のディスプレイに広く採用されて急速に普及し、かつその伸びも著しい。
【0003】
しかし、LCDの更なる成長のためには価格の低減が必要であり、コスト合理化が重要なポイントとなっている。そして、特に不良品発生率が高い大画面のTFT(Thin Film Transistor アクティブマトリック)方式やSTN(スーパーツイストネマティック)方式のLCDの歩留を向上させることによるコスト合理化が急務となっている。
【0004】
LCDにおいて、偏光板、位相差偏光板或いは位相差板はLCDの透過光の明暗をつけることや、色相を変化させるために必要かつ重要な部品であるが、これらについても品質の安定維持が重要課題となっており、工程検査、品質検査、出荷検査の基準が益々厳しくなってきているのが現状である。
【0005】
偏光板、位相差偏光板或いは位相差板は偏光基材の1つの面に粘着層を設け、その粘着層の上に離型フイルムを更に積層した積層体をロール状態に巻いて運搬或いは保管される。そして、LCDを製造する際に、それぞれの積層体をロールから取り出して各種サイズに打ち抜き、断裁してLCDの製造に供される。
【0006】
また、一部はロール状積層体から各種サイズに打ち抜き、裁断した後シート状の形態で運搬或いは保管される。ところが従来の離型フイルムでは積層体として長期間保管される間に離型層中のシリコーン樹脂と粘着剤中の成分とが作用して、剥離分離が困難になる欠点が生じる。また、長期間保管される間に離型層中に存在する未反応物等が粘着剤の表面に転写し、粘着力の低下を引き起こす重大な欠点を生じる。
【0007】
LCDの製造に供されるこれらの積層体の検査で重要な項目の1つとして異物の混入、付着の検査があり、これには偏光板偏光子製造過程は言うに及ばず、離型フイルムとの粘着ラミネート工程、打ち抜き断裁工程および養生出荷梱包工程までの全工程における異物管理が大切である。
【0008】
しかしながら、上記積層体の異物検査はクロスニコル法(偏光板2枚を延伸軸を直交させて配置し、その偏光板の間にサンプルフイルムを入れ、透過光により異物を検査する方法)による人間の目視検査であり、特に大画面用のものについては離型フイルムのベースである二軸配向ポリエステルフイルムの光学的異方性が原因となって正確な目視検査が阻害される場合があり、そのために異物混入の見逃しがかなりの頻度で発生している。
【0009】
前記離型フイルムのベースフイルムには二軸配向ポリエステルフイルムが通常用いられ、特に機械的特性や熱的特性が縦方向(長手方向)及び横方向(幅方向)でバランスしている二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムが用いられている。そして、この二軸配向ポリエステルフイルムの結晶配向主軸の方向は、フイルム縦方向及び横方向のいずれとも一致せず、両方向のほぼ中間にある。更に該結晶配向主軸の方向はフイルム横方向(幅方向)の位置によって大きく変化している。この変化は、製膜時のボーイング現象によるが、中央部よりも両端部に近づくほど大きくなっている。
【0010】
一方、偏光板、位相差偏光板或いは位相差板は一軸配向の偏光フイルムを用いてつくられ、その配向軸の方向は通常縦方向である。
【0011】
そこで、長尺の偏光板、位相差偏光板或いは位相差板と、ロールから取り出した離型フイルムとをラミネートすると、偏光板、位相差偏光板或いは位相差板の配向軸の方向と離型フイルムを構成する二軸配向ポリエステルフイルムの結晶配向主軸の方向とがずれ、しかも二軸配向ポリエステルフイルムの結晶配向主軸の方向がフイルム中央部から端部に向かって次第に変化し、特に両端部に近いほどずれが大きくなる。このため得られたラミネートフイルム(偏光板、位相差偏光板或いは位相差板と離型フイルムとの積層体)の目視異物検査をクロスニコル法でおこなう時に光干渉色が生じ、そしてフイルムの両端部に近いほどこの程度が強くなるため異物検査が難しくなる。
【0012】
前記積層体の幅が狭い場合、換言するとLCDが小型の場合は前記光干渉色が若干あっても目視異物検査の精度はある程度確保できるが、幅が広い場合、換言するとLCDが大画面の場合は目視異物検査によって全ての異物をチェックすることが極端に難しくなる。
【0013】
また、離型フイルムを構成する二軸配向ポリエステルフイルム中に光学的に検知され得る異物が存在すると、前記積層体の目視異物検査の際に偏光板、位相差偏光板或いは位相差板に存在する異物との識別ができないため正確な異物検査が難しくなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を解消し、粘着剤に対し適度の力で剥離が可能(離型性が良い)であり、かつ経時安定性に優れ、更に偏光板、位相差偏光板或いは位相差板と積層したとき、前記光干渉色が実質的に生じず、クロスニコル法による目視異物検査を容易にし、特に大画面のLCD用においても異物の見落しを可能な限り減じて検出精度を高めて不良品の発生を防止するとともに、偏光板、位相差偏光板或いは位相差板中に存在する異物の検出精度を高めて良品の歩留り率を向上させるために用いる離型フイルムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、本発明によれば、ポリエステルフイルムの少なくとも片面に付加重合型シリコーン樹脂を主成分とする離型層を設けた離型フイルムであって、該ポリエステルフイルムが、下記式(1)で定義されるリターデーション値(R)が1200(nm)以上であり、マイクロ波透過型分子配向計で測定したMOR値が1.3〜1.8の範囲であり、該MOR値の最小値と最大値の差が0.2以下であり、かつ一辺の長さ210mmとそれに直する辺の長さ148mmの広さ(面積310.8cm2 )当りのフイルム中に25μm以上の異物が存在せず、5μm以上25μm未満の異物が10個以下であって、該シリコーン樹脂の赤外吸収スペクトルで認められる−CH3 による波数2800〜3000cm-1の吸収ピーク高さ(Ha)と、−SiHによる波数2100〜2300cm-1の吸収ピーク高さ(Hb)の比が下記式(2)を満足する偏光板、位相差偏光板または位相差板の検査に用いる離型フイルムにより達成される。
【0016】
【数3】
R=△n・d ……式(1)
(但し、式(1)で、△nはフイルムの可視光(波長λ=589nm)でのフイルム幅方向の屈折率(nx)とその直角方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)であり、dはフイルムの厚み(nm)である。)
【0017】
【数4】
0≦Hb/Ha≦0.05 ……式(2)
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
[ポリエステルフイルム]
本発明において、離型フイルムのベースフイルムには二軸配向ポリエステルフイルムを用いるが、該ベースフイルムを構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分からなる線状ポリエステルである。
【0020】
このジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸を挙げることができ、特に、テレフタル酸或いは2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0021】
また、グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができ、特に、エチレングリコールが好ましい。
【0022】
本発明におけるベースフイルムを構成するポリエステルとしては、上記のポリエステルのうちポリエチレンテレフタレート或いはポリエチレン―2,6―ナフタレートがベースフイルムの機械的特性や熱的特性等が優れるたものとなるため好ましい。
【0023】
上記のポリエステルは、上記ジカルボン酸成分或いはグリコール成分等を共重合したポリエステルであってもよく、三官能以上の多価カルボン酸成分或いはポリオール成分をポリエステルが実質的に線状となる範囲(例えば5モル%以下)で少量共重合したポリエステルであってもよい。
【0024】
本発明においてベースフイルムに用いる二軸配向ポリエステルフイルムは、前記式(1)で定義されるリターデーション値(R)が1200(nm)以上であり、マイクロ波透過型分子配向計で測定したMOR値が1.3〜1.8の範囲であり、該MOR値の最小値と最大値の差が0.2以下であり、かつ一辺の長さ210mmとそれに直する辺の長さ148mmの広さ(面積310.8cm2 )当りのフイルム中に(日本工業規格の標準原紙寸法A5判に準じた大きさのフイルム中を意味する、以下『A5版当り』と略記する。)25μm以上の異物が存在せず、5μm以上25μm未満の異物が10個以下のものである。
【0025】
上記のマイクロ波透過型分子配向計で測定したMOR(Maximum Oriented Ratio)値は1.3〜1.8の範囲であることが必要であり、特に1.35〜1.75の範囲であるであることが好ましい。このMOR値はフイルムの幅方向の3ケ所で測定した値がいずれも前記範囲を満足することが好ましい。MOR値の測定箇所は、フイルムの幅方向における中央部のポイントおよびその中央部とフイルム両端部を結ぶ端部側の1/5のポイントの合計3ケ所、即ち、フイルムの幅方向の直線における一方の端部から10%、50%および90%の距離の3ケ所である。
【0026】
このMOR値のフイルム幅方向での測定箇所は前記の3ケ所であるが、フイルムの長さ方向(幅方向の直角方向)については、例えばフイルム幅の長さの1.0倍〜5倍、好ましくは2倍〜3倍の間隔で測定箇所を選ぶことができる。
【0027】
ここで、MOR値とは、透過型分子配向計で測定された透過マイクロ波強度の最大値と最小値の比(最大値/最小値)である。このMOR値は、縦方向と横方向の延伸倍率の差が小さく、バランスしたフイルムほど小さくなり、一方縦方向と横方向の延伸倍率の差が大きく、いずれか一方向の延伸強度が強いほど大きくなる。このMOR値はフイルム幅方向で変化する傾向があり、前記フイルム幅方向での測定箇所(3ケ所)におけるこれらの差(最大値と最小値の差)が0.2以下であることが必要であり、特に0.15以下であることが好ましい。
【0028】
また、本発明の離型フイルムに用いるベースフイルムは、下記式(1)で定義されるリターデーション値(R)が1200nm以上のものである。
【0029】
【数5】
R=△n・d ……式(1)
(但し、式(1)で、△nはフイルムの可視光(波長λ=589nm)でのフイルム幅方向の屈折率(nx)とその直角方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)であり、dはフイルムの厚み(nm)である。)
【0030】
二軸配向ポリエステルフイルムは複屈折体であり、光が入射すると、入射光は振動面が互いに直交する2つの直線偏光として伝播する。この2つの直線偏光(常光線と異常光線)の差が位相差(リターデーション:R)と言われ、この位相差が色として、偏光板の検査工程で干渉色として影響を与えている。
【0031】
直交ニコルに於ける、Michel−Levy改修の干渉色図表(偏光顕微鏡)によると、低リターデーション領域では暗視野(黒)であり、このリターデーションに比例して干渉色が黄色→赤色→紫色→青色→緑色と色が変わり、再度黄色に戻り、同サイクルを繰り返す。しかし、本発明の研究によれば、リターデーションRが1200nmを超す辺りから干渉色の濃度は急激に低下すること、従ってリターデーションRが十分に大きい場合は干渉色が極めて微小であり、目視検査の障害にはならないことが分かった。従って、光学的なリターデーション値(R)の最適範囲は1200(nm)以上であり、通常使用されるフイルム厚みが25〜50μmの二軸配向ポリエステルフイルムの場合は1300(nm)以上が最も離型フイルム用として好ましいことが分かった。
【0032】
この要件の裏付けとして、一般的に複屈折を有する透明板のクロスニコル下の透過光量(I)と入射光量(I0 )の比(I/I0 )は下記式(3)で示される。
【0033】
【数6】
(I/I0 )=Sin2 (2θ)・Sin2 (π・△n・d/λ)…式(3)
【0034】
複屈折を有する透明板のクロスニコルで透過光量と入射光量の比は、ニコル間の複屈折体の存在角度(θ:本発明での配向角に相当)が小さいほど消光位となる。
【0035】
消光位となる条件として下記(a)および(b)が挙げられる。
(a)θが小さい場合
(b)△n・d/λ=R/λが自然数1、2、3、……の場合(Rが光源波長:λの整数倍となる場合)
【0036】
配向角θがゼロに近い程前記式(2)の比はゼロに近くなって消光位となり、異物が白く浮かび上がることで、最も目視検査の効率が向上する。同時にリターデーションRが可視光の波長域420nm〜760nmの平均590nmの倍数近辺が好ましく、R=1200(nm)のときは配向角θが小さい横配向条件で更に消光位にでき、それ以上のリターデーションRでは直交ニコルに於ける干渉色図表で光干渉濃度が急激に低下することになるので、Rが1200nm以上であることが異物検査条件として必要な条件となる。
【0037】
リターデーションRの上限はフイルム厚みによって異なるが、厚みが25μm〜50μmの範囲では特に上限を設定する必要はない。
【0038】
また、本発明においてベースフィルムに用いるポリエステルフイルムは、A5版当り25μm以上の異物が存在せず、5μm以上25μm未満の異物が10個以下のものである。ベースフイルムA5版当り25μm以上の異物が存在すると、或いは5μm以上25μm未満の異物が数が11個以上存在すると、偏光板、位相差偏光板或いは位相差板と離型フイルムとの積層体の異物検査の際に、異物等が存在せず品質上問題とならない偏光板、位相差偏光板或いは位相差板を不良品として判定してしまうため、その歩留が著しく低下する。尚、ベースフイルムA5版当りの5μm以上25μm未満の異物が数は好ましくは3個以下、特に好ましくは1個以下である。この異物の数は少ない程、偏光板、位相差偏光板或いは位相差板の歩留が向上するので好ましい。
【0039】
尚、偏光板、位相差偏光板或いは位相差板の中に5μm未満の異物が存在するものや、5μm以上25μm未満の異物がA5版当り10個以下の個数存在するものをLCDの製造に供しても特に問題とならないので、ベースフイルム中に5μm未満の異物が存在していてもよく、また、ベースフイルムA5版当り5μm以上25μm未満の異物が数が10個以下であれば存在していてもよい。
【0040】
ここで、本発明における異物とは、クロスニコル法による目視検査において光学的に検出が可能な異物のことであり、例えばポリエステルフイルムを製造する際に配合した無機や有機の滑剤が凝集し粗大化したもの、ポリエステルフイルム製造の過程で発生或いは混入した異物等を挙げることができる。
【0041】
また、本発明における異物の大きさは、下記のとおり測定する。即ち、クロスニコル法による目視検査において光学的に検出された二軸延伸ポリエステルフイルム中の異物を、別途、光学顕微鏡を用いて透過光により観察し、光学的に異常な範囲として観察される部分の最大径を異物の大きさとする。尚、例えば滑剤が凝集し粗大化した異物等の周辺には、フイルムを延伸した際に空洞(ボイド)が生じるが、この空洞が光学的に異常な範囲として観察される場合は異物の大きさに含めた。尚、異物個数の測定はサンプルフイルムを日本工業規格の標準原紙寸法A5判に準じた大きさ(縦210mm×横148mm:面積310.8cm2 )の大きさに切取り、このフイルムの全範囲の異物個数を計測することによりおこなった。
【0042】
ベースフイルムとして用いるポリエステルフイルムは、上述の特性の他に下記の特性を有することが好ましい。
【0043】
(1)目視外観検査に適する透明性。粘着剤面を均一表面にする平坦性。
二軸配向ポリエステルフイルムの光線透過率は80%以上、特に85%以上であることが好ましい。光線透過率がこの範囲であると、偏光板、位相差偏光板或いは位相差板に本発明の離型フイルムを積層してクロスニコル法により異物検査をおこなう際に異物の識別を容易におこなうことができる。
【0044】
(2)高張力加熱下で行われる粘着剤塗工と偏光フイルムとのラミネートに耐える耐熱性、高強伸度および高弾性率。例えば下記の破断伸度、弾性率および熱収縮率を有することが好ましい。
Figure 0003737564
【0045】
(3)離型フイルムの熱収縮によって粘着剤界面とのズレの発生によってもたらされるトネリング(ハガレ現象)やカール等が発生しない寸法安定性。
【0046】
(4)厚み25〜50μm
本発明に用いるポリエステルフイルムは二軸配向フイルムであることが好ましく、例えば下記の方法で得ることができる。即ち、前記ポリエステルを溶融し冷却ドラム上にキャストして未延伸フイルムとし、次いで該未延伸フイルムを該ポリエステルの二次転移点(Tg)−10℃以上の温度で、例えば縦方向及び横方向に夫々2.5倍以上、6倍を越えない範囲で二軸延伸することにより得ることができる。このときの縦方向の延伸倍率が横方向の延伸倍率より0.5以上、更には0.7以上大きいか、横方向の延伸倍率が縦方向の延伸倍率より0.5以上、さらには0.7以上大きいことが好ましい。
【0047】
二軸延伸は同時二軸延伸法でも逐次二軸延伸法でもよいが、後者の方が好ましい。そして二軸延伸後の熱固定処理時にフイルム全幅でのボーイングを減らす等の方化処理手段を加えることが好ましい。二軸延伸、熱固定後のフイルムは、150℃で30分(無負荷)保持したときの熱収縮率が縦方向、横方向ともに4%以下であることが好ましい。
【0048】
[離型層]
本発明においては、ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、付加重合型シリコーン樹脂を主成分とする離型層を設ける。このシリコーン樹脂は、赤外吸収スペクトルで認められる−CH3 による波数2800〜3000cm-1の吸収ピーク高さ(Ha)と、−SiHの伸縮振動に帰属する波数2100〜2300cm-1の吸収ピークのピーク高さ(Hb)の比が下記式(2)を満足するものである。
【0049】
【数7】
0≦Hb/Ha≦0.05……(2)
【0050】
上記のHb/Haが0.05を超えると、塗膜中の−SiH基を有する成分の濃度が高すぎて、離型フイルムと偏光板等に被覆された粘着剤と積層したまま長期間保管する間に離型フイルムの離型層中の−SiH基を有する成分と粘着剤成分とが作用して、剥離分離が困難になる欠点が生じたり、離型フイルムの離型層中に存在する未反応物等が粘着剤の表面に転写して、粘着層の粘着力が低下する重大な欠点が生じる。
【0051】
本発明において離型層を構成するシリコーン樹脂は、例えば下記式(A)で示されるビニル基を有するポリジメチルシロキサンと、下記式(B)で示されるハイドロジェンシラン系化合物とをPt系化合物を触媒に用いて付加重合することにより得ることができる。
【0052】
【化1】
Figure 0003737564
【0053】
上記式(A)中、m及びnは1以上の数であるが、mが1〜100、nが20〜5000、m+nが30〜5000の範囲であると、架橋反応が適度に進み、耐久性に優れた離型層が得られるため好ましい。
【0054】
尚、上記式(A)における
【0055】
【化2】
Figure 0003737564
【0056】
はブロック結合を意味しているのではなく、これらは単にそれぞれの単位の和がm,nであることを示しているにすぎないと解すべきである。従って、上記式(A)における各単位はランダム結合していてもよく、またブロック結合していてもよい。
【0057】
【化3】
Figure 0003737564
【0058】
上記式(B)中、a及びbは1以上の数であるが、aが3〜200、bが1〜120、5≦a+b≦200の範囲であると、架橋反応が適度に進み、耐久性に優れた離型層が得られるため好ましい。
【0059】
尚、上記式(B)における
【0060】
【化4】
Figure 0003737564
【0061】
はブロック結合を意味しているのではなく、これらは単にそれぞれの単位の和がa,bであることを示しているにすぎないと解すべきである。従って、上記式(B)における各単位はランダム結合していてもよく、またブロック結合していてもよい。
【0062】
尚、上記の付加重合に用いるビニル基を有するポリジメチルシロキサンと、ハイドロジェンシラン系化合物の割合は、ビニル基を有するポリジメチルシロキサン中のビニル基1.0モルに対し、ハイドロジェンシラン系化合物中の〜SiH基が1.0〜2.0モルとなる割合であることが好ましい。ここでいう付加重合とは、〜Si−CH=CH2 で示される分子末端または分子側鎖中の官能基と、H−Si〜で示される分子末端または分子側鎖中の官能基とが、〜Si−CH2 CH2 −Si〜となる重合反応のことである。但し、上記反応式中『〜』は分子が更に接続していることを示す。
【0063】
本発明においては、離型層を構成するシリコーン樹脂として赤外吸収スペクトルで認められる吸収ピーク高さ(Ha)と、(Hb)の比が前記式(I)を満足するものを用いるが、かかるシリコーン樹脂は、例えば下記(1)〜(3)の方法により得ることができる。
【0064】
(1)離型層を構成するシリコーン樹脂を得る際に、付加重合に用いるビニル基を有するポリジメチルシロキサンと、ハイドロジェンシラン系化合物の割合として、ビニル基を有するポリジメチルシロキサン中のビニル基1.0モルに対し、ハイドロジェンシラン系化合物中の〜SiH基が1.0モル未満となる割合で用いる。
【0065】
(2)離型層を構成するシリコーン樹脂中の〜SiH残基を下記反応により減少させるためPt触媒を多量に用いる。
【0066】
【化5】
a) 〜SiH +H2 O → 〜SiOH+H2
b) 〜SiH +1/2 O2 → 〜SiOH
c) 〜SiH +HOSi〜 → 〜SiOSi〜+H2
d) 〜SiOH+HOSi〜 → 〜SiOSi〜+H2
【0067】
(3)シリコーン樹脂中の〜SiH残基の反応を促進させるため40〜50℃でポストキュアリングを行う。
【0068】
上記のうち、(1)の方法は〜SiH基を減少させるとシリコーン樹脂の架橋密度が減少するため塗膜の耐久性が低下することがある。したがって(2)及び/又は(3)の方法を採用することが好ましい。
【0069】
(2)の方法では、Pt系化合物を付加重合の触媒として用いるが、Pt系化合物の量は、離型層中のPt系化合物の濃度がPt金属元素として1〜500ppmとなる量であることが好ましい。Pt金属元素の量が1ppm未満であると付加重合が所望の割合で進行しないことがあり、このため離型フイルムと偏光板等み被覆された粘着剤を積層したまま長期間保管する間に離型フイルムの離型層中に存在する未反応物等が粘着剤層の表面に転写して、粘着力が低下する欠点が生じることがある。また、Pt金属元素の量が500ppmを超えると、離型層の塗設に用いる塗液を保存する間にゲル化が進行し、いわゆるポットライフが短くなり生産に適さなくなることがある。尚、Pt系化合物としては、例えばシリコーンオイルに可溶な白金錯体、アルコール変性白金錯体(塩化白金酸のアルコール溶液)、メチルビニルポリシロキサン白金錯体等を挙げることができる。
【0070】
(3)の方法では、ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、ビニル基を有するポリジメチルシロキサンと、ハイドロジェンシラン系化合物を含む塗液を塗布し、加熱して付加重合反応を行わせて塗膜を塗設した後、更に例えば加熱温度T(℃)と加熱時間θ(Hr)を下記の条件でポストキュアリングを行わせるものである。
【0071】
【数8】
T×θ≧1000[℃・Hr]
23≦T≦50 [℃]
【0072】
[その他の配合剤]
本発明における離型層には本発明の目的を妨げない範囲で公知の各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、顔料、消泡剤、ポットライフ延長剤、架橋剤等を挙げることができる。
【0073】
[離型層の塗設方法]
本発明においては、ポリエステルフイルムの少なくとも片面に離型層を設けるが、この離型層は例えば、前記式(A)で示されるビニル基を有するポリジメチルシロキサン、前記式(B)で示されるハイドロジェンシラン系化合物およびPt系化合物を含む塗液をフイルムに塗布し、加熱して乾燥および硬化反応させることにより設けることができる。この加熱の条件は、例えば80〜160℃で10〜120秒間、特に100〜150℃で15〜60秒間とすることが、乾燥および硬化反応が十分なものとなるため好ましい。尚、塗液の塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用でき、例えばロールコーター法、ブレードコーター法等を挙げることができるが、これらの方法に限定されるものではない。また、塗液は有機溶剤を用いた塗液であっても、水性塗液であってもよいが、ポリジメチルシロキサンやハイドロジェンシラン系化合物を溶解した溶液であることが好ましく、例えばトルエン等の有機溶剤を用いた塗液であることが好ましい。
【0074】
硬化シリコーン樹脂塗膜の厚みは、特に限定されないが、0.05〜0.5μmの範囲が好ましい。あまり薄くなると、離型性能が低下し、満足すべき性能が得られない。またあまり厚いと、キュアリングに時間がかかり生産上不都合を生じる。
【0075】
[接着層]
本発明においては、ポリエステルフイルムと離型層との密着性を高めるためにポリエステルフイルムの少なくとも片面に接着層を設け、該接着層の上に更に離型層を積層することができる。この接着層には例えばシランカップリング剤を好ましく用いることができる。このシランカップリング剤としては,一般式Y−Si−X3 で示されるものを挙げることができる。ここで、Yは例えばアミノ基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、メルカプト基等で代表される官能基、Xはアルコキシ基で代表される加水分解性の官能基を示す。上記の接着層の好ましい厚みは0.01〜5μm程度であり、特に0.02〜2μm程度である。接着層の厚みが上記の範囲であるとポリエステルフイルムと離型層の密着性が良好となり、また接着層を設けたポリエステルフイルムがブロッキングし難いため取り扱う際に支障が生じ難い。
【0076】
本発明の離型フイルムは、偏光板、位相差偏光板または位相差板の片面に設けた粘着剤層の表面上に積層されて用いられるが、その際粘着剤層と離型フイルムのシリコーン樹脂塗膜面が接するように積層される。
【0077】
離型フイルムを積層した上記の積層体は、離型フイルムにおける二軸配向ポリエステルフイルムのマイクロ波透過型分子配向計で測定された結晶配向主軸の方向と、偏光板、位相差偏光板または位相差板の配向軸の方向が実質的に同じになるように一致させるか或いは90°となるように位置することが必要である。ここで『実質的に同じ』とは、前記両方向が全く一致するか或いは目視検査に事実上支障を来さない程度に若干ずれていてもよいことを意味する。通常5°以下好ましくは3°以下のずれは許容される。
【0078】
一般に、二軸配向ポリエステルフイルムのマイクロ波透過型分子配向計で測定された結晶配向主軸(以下これを単に『配向主軸』と略称することがある)の方向は、フイルムの縦方向(長手方向)または横方向(幅方向)にほぼ一致しているから、例えば該フイルムの縦方向と偏光板、位相差偏光板または位相差板の長手方向(長さ方向;配向軸方向)とを一致させることにより前記積層条件を満足させることができる。
【0079】
上記の積層体は、離型フイルムの配向主軸と偏光板、位相差偏光板または位相差板の配向軸とが一致または90度ずれているからクロスニコル法による目視異物検査において光干渉色が生せず、容易に異物や欠陥を検出できる。なお、フイルムの配向主軸と偏光板、位相差偏光板または位相差板の配向軸とが一致していると明視野での検査となり、一方90度ずれていると暗視野で、反射光のみによる検査となるが、いずれの場合も異物検査は容易である。例えば、長さ900mm、幅600mmの大きさでも検査が容易にでき、異物や欠陥を見落すことは殆んどなくなる。
【0080】
偏光板、位相差偏光板、位相差板及びこれらに積層する粘着層には、従来から知られているものを用いることができる。これらの中、偏光板、位相差偏光板および位相差板については大画面のTFT(アクティブマトリック)方式、STN(スーパーツイストネマティック)方式のものが好ましい。
【0081】
図1は、本発明の離型フイルムを用いた積層体の構成並びに目視検査の状態を示す模式図である。図1において、1は積層体の構成、2は保護フイルム例えば厚み50〜70μmのポリエチレンフイルム、3は偏光板(または位相差偏光板或いは位相差板)で通常120〜200μmの厚み、4は粘着層で通常20〜50μmの厚み、5はシリコーン離型層、6は二軸配向ポリエステルフイルム、7はクロスニコル検査用偏光板、8は乳白光拡散板、9は光源例えば蛍光灯20Wを2灯である。積層体1は保護フイルムから二軸配向ポリエステルフイルム6迄の構成体から、また離型フイルムはシリコーン離型層5と二軸配向ポリエステルフイルム6とから構成される。
【0082】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を更に説明する。尚、フイルムの各特性値は下記の方法で測定した。
【0083】
[二軸延伸フイルムの特性]
1.MOR値、結晶配向主軸の傾き(配向角)
神崎製紙(株)製のマイクロ波分子配向計を用い、透過マイクロ波強度のパターンから二軸配向ポリエステルフイルムサンプルのMOR値、結晶配向主軸の傾き(配向角)を求めた。
【0084】
2.リターデーション
フイルムの可視光(波長λ=589nm)での屈折率(nx:縦方向、ny:横方向)およびフイルムの厚み(d:nm)を測定し下記式(1)によりリターデーション値(R)を求めた。
【0085】
【数9】
R=△n・d ……式(1)
(但し、式(1)で、△nはフイルムフイルム縦方向の屈折率(nx)と横方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)であり、dはフイルムの厚み(nm)である。)
【0086】
3.光線透過率
(株)村上色彩技術研究所製・HR−100型ヘーズメーターを用い、波長 nmの光線をフイルムに入射し、入射光量に対する全透過光量の割合を光線透過率とした。
【0087】
4.異物個数の測定
二軸配向ポリエステルフイルムサンプルを日本工業規格の標準原紙寸法A5判に準じた大きさ(縦209〜210mm×横148〜149mm:面積約310cm2 )に切取り、このフイルムの全範囲をクロスニコル法にて目視検査による異物検査をおこなった。次いで検出されたサンプルフイルム中の異物を、光学顕微鏡を用いて透過光により観察し、光学的に異常な範囲として観察される部分の最大径を異物の大きさとした。尚、異物周辺に存在する空洞(ボイド)が光学的に異常な範囲として観察される場合は異物の大きさに含めた。更に異物の大きさが25μm以上のものと、5μm以上25μm未満ものとに分け、それぞれのA5版当りの異物個数を計測した。
【0088】
[離型フイルムの特性]
5.熱収縮率
150℃×30分の条件で保持した際の離型フイルムの縦方向および横方向の収縮率を測定した。尚、熱収縮率は−0.5%〜+0.5%、特に−0.3%〜+0.3%の範囲であることが好ましい。熱収縮率がこの範囲であると、離型層面に粘着剤層を塗設する際の加熱(溶媒を除去するための加熱)による収縮で離型フイルムの平面性が失われることを防止できる。
【0089】
6.赤外吸収スペクトル
離型層に用いたシリコーン樹脂をメチルエチルケトンに固形分濃度が3重量%溶液となるよう溶解し、この溶液をポリエチレンテレフタレートフイルムの表面にマイヤーバー(#4)にて塗布し、熱風乾燥機にて150℃で20秒間乾燥した後、FTIR(JASCO社製・Herschel・FT/IR700型機)によりZi−Seを用いたATR法にて赤外吸収スペクトルを測定する。得られた複合赤外吸収スペクトルからポリエチレンテレフタレートに由来する吸収ピークを差し引いて、シリコーン樹脂に由来する赤外吸収スペクトルを得る。このシリコーン樹脂に由来する赤外吸収スペクトルから、波数2800〜3000cm-1の吸収ピーク高さ(Ha)と、波数2100〜2300cm-1の吸収ピーク高さ(Hb)を求めた。得られた値からHb/Haを求めた。
【0090】
7.剥離強度
ポリエステルフイルムの離型層面にポリエステル粘着テープ(ニットー31B)を貼合わせ、5kgの圧着ローラーで圧着し40℃で20時間放置後、離型層と粘着テープとの剥離力(Rf0)を引張り試験機にて測定した。
【0091】
尚、剥離強度の好ましい範囲は2〜30g/inであり、更に2〜10g/in、特に2〜10g/inである。剥離強度が2g/in未満であると、偏光板等の片面に被覆された粘着剤と貼り合わせた積層体を各種サイズに打ち抜き、裁断する際に、或いは異物検査を行なう際に積層体の端面で離型フイルムが粘着剤層面から捲れてしまうため好ましくない。また、剥離強度が30g/inを超えると、積層体から離型フイルムを剥離分離して使用する際に剥離が困難となることがあるため好ましくない。
【0092】
8.残留接着率
ポリエステル粘着テープ(ニットー31B)をJIS・G4305に規定する冷間圧延ステンレス板(SUS304)に貼付けた後の剥離力を測定し、基礎接着力(f0 )とする。また前記ポリエステル粘着テープをサンプルフイルムの離型層塗設面に5kgの圧着ローラーで圧着し、30秒間放置した後粘着テープを剥がす。そして剥がした粘着テープを上記のステンレス板に貼り、該貼合部の剥離力を測定し、残留接着力(f)とする。得られた基礎接着力(f0 )と残留接着力(f)より下記式を用いて残留接着率を求める。
【0093】
【数10】
残留接着率(%)=(f/f0 )×100
【0094】
尚、残留接着率は大きいほど好ましいが、好ましい範囲は85%以上、特に90%以上である。残留接着率が85%未満であると、例えば離型フイルムをロール状に巻いて保管する際に、離型層を構成する成分が隣接するフイルムの表面に転写(いわゆる背面転写)し、離型層の特性が不良となったり、隣接フイルム表面の接着性等の特性が不良となることがあるため好ましくない。
【0095】
9.経時重剥離化率
ポリエステルフイルムの離型層面にポリエステル粘着テープ(ニットー31B)を貼合わせ、5kgの圧着ローラーで圧着し、30日間23℃の温度で放置後、離型層と粘着テープとの剥離力(Rf1)を引張り試験機にて測定し、前記剥離強度の測定方法により測定した離型層と粘着テープとの剥離力(Rf0)とから下記式を用いて経時重剥離化率を求める。
【0096】
【数11】
経時重剥離化率(%)=Rf1/Rf0×100
【0097】
尚、経時重剥離化率の好ましい範囲は、90%〜110%である。経時重剥離化率が110%を超えると、例えば離型フイルムの表面に偏光板等の片面に被覆された粘着剤層を貼り合わせた積層体を40℃で長期間(例えば6ケ月間)保管した際に、積層体から離型フイルムを剥離分離して使用する際に剥離が困難となることがあるため好ましくない。
【0098】
[積層体の評価]
10.目視検査状況(クロスニコル下での光干渉の影響)
図1に示す構成で目視検査を行い、光干渉の発生状況を次の基準で評価した。
良好: 目視検査 光干渉発生なし
やや不良:目視検査 光干渉発生あるが検査は可能
不良 :目視検査 光干渉発生あり検査不可能
【0099】
11.目視検査状況(不良品検出率)
図1に示す構成で積層体(保護フイルム、偏光板、粘着層、離型層及び二軸配向ポリエステルフイルム)の目視検査を行い、積層体としての不良品を抽出した。次いで不良品として抽出された積層体から離型フイルム(離型層及び二軸配向ポリエステルフイルム)を剥離除去して得られた偏光板(保護フイルム、偏光板及び粘着層)の目視検査をおこなって偏光板の不良品を抽出し、積層体で測定した際の不良品検出率を算出し下記基準で評価した。
良好: 不良品検出率が90%以上
やや不良:不良品割合が50%以上、90%未満
不良 :不良品割合が50%未満または検査不可能
【0100】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート100重量部に対し、滑剤として風力分級機により25μm以上の凝集粒子を取り除いたアルミナ粒子0.005重量部を配合したポリエステル組成物を押出機(押出機先端とダイの間に焼結金属製のフィルターを装着したもの)に供給し、溶融したポリエチレンテレフタレートをフイルム状に押出し、20℃の回転冷却ドラムに接触、急冷して未延伸フイルムとした。次いで、該未延伸フイルムを表1に示す延伸倍率で逐次二軸延伸し、更に表1に示す条件で熱固定して厚さ38μm、全幅2190mmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムを得た。この二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムのMOR値、MOR値の最大値と最小値の差、リターデーション値(R)、光線透過率および異物個数の測定結果を表1に示す。
【0101】
次に、前記式(A)において、mが10、nが2000であるポリジメチルシロキサンと、前記式(B)において、aが100、bが10であるハイドロジェンシラン系化合物の混合溶液(ハイドロジェンシラン系化合物中の〜SiH基1.0モルに対し、ポリジメチルシロキサン中のビニル基が0.75モルとなる割合)にPt触媒(塩化白金酸のメタノール溶液)を得られるシリコーンポリマーに対しPt金属として70ppmに相当する量加えて、全体の固形分濃度が3%のトルエン溶液を作成した。
【0102】
この溶液を、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム(厚さ38μm)に6g/m2 (wet)の塗布量で塗布し、加熱温度140℃、加熱時間1分で乾燥および付加重合反応を行なわせて離型フイルムを作成した。この離型フイルムの特性を表1に示す。
【0103】
更に、この離型フイルムを用いて図1に示す構成の積層体をつくり、偏光板の目視検査を行った。積層体の評価結果を表1に示す。
【0104】
尚、表1で符号B、C、Fは製膜フイルムの全幅(2190mm)を3等分(730mm)にスリットした
B:製膜フイルム巻取り位置からみて左側のフイルム部分
C:製膜フイルム巻取り位置からみて中央のフイルム部分
F:製膜フイルム巻取り位置からみて右側のフイルム部分
を示す。
【0105】
[実施例2]
加えるPt触媒の量を、得られるシリコーンポリマーに対しPt金属として10ppmとし、加熱温度140℃、加熱時間1分で乾燥および付加重合反応を行なわせ後、更に40℃で72時間ポストキュアーを行う以外は実施例1と同様にして離型フイルムを作成した。この離型フイルムの特性およびこの離型フイルムを用いた積層体の評価結果を表1に示す。
【0106】
[比較例1]
加えるPt触媒の量を、得られるシリコーンポリマーに対しPt金属として10ppmとする以外は実施例1と同様にして離型フイルムを作成した。この離型フイルムの特性およびこの離型フイルムを用いた積層体の評価結果を表1に示す。
【0107】
[比較例2]
加えるPt触媒の量を、得られるシリコーンポリマーに対しPt金属として10ppmとし、加熱温度140℃、加熱時間1分で乾燥および付加重合反応を行なわせ後、更に23℃で24時間ポストキュアーを行う以外は実施例1と同様にして離型フイルムを作成した。この離型フイルムの特性およびこの離型フイルムを用いた積層体の評価結果を表1に示す。
【0108】
[実施例3〜4および比較例3〜6]
延伸倍率及び熱固定温度を表1または表2に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして厚さ38μm、全幅2190mmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムを得た。これらの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムの特性を表1または表2に示す。
【0109】
次いで、これらの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、実施例1と同様にしてシリコーン樹脂塗膜を塗設し十分な離型特性を有する離型フイルムを得、更にこれらの離型フイルムを用いて実施例1と同様にして積層体をつくり、各特性を評価した。この結果を表1または表2に示す。
【0110】
尚、上記比較例1において使用したフイルムと実施例3において使用したフイルムとは、製膜されたフイルムを幅方向に3等分したものである。すなわち比較例1のフイルム(B)は製膜フイルムの巻取り位置から見て左側のフイルム部分であり、実施例3のフイルム(CおよびF)は、同じ巻取り位置から見て中央のフイルム部分および右側のフイルム部分である。このように製膜した同じフイルムから長さ方向に切断されたフイルムであるにも拘らずそれぞれMOR値およびMOR値の最大値と最小値の差が異なるのは、フイルム製膜時のボーイング現象に起因して配向主軸が位置によって変化しているものと推定される。
【0111】
[比較例7]
焼結金属製のフィルターを装着しない以外は実施例1と同様のして二軸延伸ポリエステルフイルムをつくり、更に実施例1と同様にして離型フイルム及び積層体をつくり、各特性を評価した。この結果を表2に示す。
【0112】
[実施例5]
ポリエチレンテレフタレートの替わりにポリエチレン−2,6−ナタレンジカルボキシレートを用い、回転冷却ドラムの温度を50℃とし、表2に示す条件で延伸及び熱固定した他は実施例1と同様にして厚さ38μm、全幅2190mmの二軸配向ポリエチレン−2,6−ナタレンジカルボキシレートフイルムを得た。この二軸配向ポリエチレン−2,6−ナタレンジカルボキシレートフイルムの特性を表2に示す。
【0113】
次いで、この二軸配向ポリエチレン−2,6−ナタレンジカルボキシレートフイルムの片面に、実施例1と同様にシリコーン樹脂塗液を塗布し、乾燥、硬化処理して塗膜厚み0.24μmの離型フイルムを得た。この離型フイルムの特性を表2に示す。更に、この離型フイルムを用いて、実施例1と同様に積層体をつくり、各特性を評価した。この結果は表2に示す。
【0114】
【表1】
Figure 0003737564
【0115】
【表2】
Figure 0003737564
【0116】
表1および表2に示した結果から明らかなように、本発明の離型フイルムは剥離強度、残留接着率及び経時重剥離化率に優れ、また偏光板の目視検査に極めて有用なものであった。
【0117】
【発明の効果】
本発明の離型フイルムを偏光板、位相差偏光板や位相差板に積層してクロスニコル法による異物検査に用いたとき、クロスニコルでの光干渉色が実質的に生せず、目視異物検査を容易にし、大画面のLCD用においても異物検査の精度を高めて不良品の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏光板異物目視検査の構成を示す説明図
【符号の説明】
1 偏光板積層体、位相差偏光板積層体または位相差板積層体
2 保護フイルム
3 偏光板(延伸軸:横方向)、位相差偏光板または位相差板
4 粘着層
5 シリコーン離型層
6 二軸配向ポリエステルフイルム
7 クロスニコル検査用偏光板
8 乳白光拡散板
9 光源
矢印(←)はフイルムの縦方向(長手方向)を示す。

Claims (3)

  1. ポリエステルフイルムの少なくとも片面に付加重合型シリコーン樹脂を主成分とする離型層を設けた離型フイルムであって、該ポリエステルフイルムが、下記式(1)で定義されるリターデーション値(R)が1200(nm)以上であり、マイクロ波透過型分子配向計で測定したMOR値が1.3〜1.8の範囲であり、該MOR値の最小値と最大値の差が0.2以下であり、かつ一辺の長さ210mmとそれに直交する辺の長さ148mmの広さ(面積310.8cm)当りのフイルム中に25μm以上の異物が存在せず、5μm以上25μm未満の異物が10個以下であって、該シリコーン樹脂の赤外吸収スペクトルで認められる−CH3 による波数2800〜3000cm−1の吸収ピーク高さ(Ha)と、−SiHによる波数2100〜2300cm−1の吸収ピーク高さ(Hb)の比が下記式(2)を満足する偏光板、位相差偏光板または位相差板の検査に用いる離型フイルム。
    【数1】
    R=△n・d ……式(1)
    (但し、式(1)で、△nはフイルムの可視光(波長λ=589nm)でのフイルム幅方向の屈折率(nx)とその直角方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)であり、dはフイルムの厚み(nm)である。)
    【数2】
    0≦Hb/Ha≦0.05 ……式(2)
  2. ポリエステルフイルムが、ポリエステル中に25μm以上の凝集粒子を取り除いた滑剤を配合したポリエステル組成物を焼結金属製のフィルターを装着した押出機からフイルム状に押出し急冷して得られる未延伸フイルムを二軸延伸した二軸配向フイルムである請求項1記載の離型フイルム。
  3. 150℃×30分の条件で保持した際の縦方向および横方向の収縮率が−0.5%〜+0.5%の範囲である請求項1記載の離型フイルム。
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