JP3316900B2 - ポリエステルフィルムの成形方法 - Google Patents

ポリエステルフィルムの成形方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は少なくとも縦方向に配向
したポリエステルフィルムに関するものであり、さらに
詳しくは厚み均一性に優れた少なくとも縦方向に配向し
たポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムは、その優れた機
械的特性、耐熱性、電気的特性、耐薬品性、耐候性等の
ゆえに、磁気記録媒体用、包装用、コンデンサなどの電
気絶縁用、農業用など広く工業的に使用されている。フ
ィルムの厚みは品質そのもの、製品ロール巻取り不良防
止および加工特性などのために均一であることが必要で
ある。
【0003】通常行われているポリエステルフィルムの
成形方法は、まず、スリット状のTダイからポリマーを
溶融押出しして、静電印加法にて冷却ドラムに密着冷却
固化せしめる。続いて、予熱後、周速差のあるロール間
で予熱・第1段延伸(縦延伸)を行った後、テンターに
て第1段延伸と直角方向に第2段延伸(横延伸)・熱処
理を行うものである。縦延伸は、ポリマーに有効な分子
配向を与えるためガラス転移温度よりも高温で、かつフ
ィルムとロールが粘着を起こさない温度までの範囲で行
われる。ポリエチレンテレフタレートの場合、ガラス転
移温度は約70℃であり、均一延伸の下限温度は約80
℃である。また高温限界はロール材質によって左右され
るのであるが、現在広く用いられている代表的な材質に
ついてその温度は、クロムメッキが80℃、セラミック
が90℃、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンが
135℃である。すなわち、予熱、縦延伸温度は80〜
135℃の温度範囲で行われるのが普通であるが、例え
ば生産量増大のために縦延伸倍率を上げるようとすると
高温で延伸することが必要となり、厚みむらが大きく悪
化する。従来ポリエステルフィルムの厚みむらを小さく
する方法として、延伸温度むらや延伸区間を小さくする
方法(特公昭60−56101号公報など)、延伸の後
期で冷却するいわゆる冷却延伸法(特公昭34−442
公報、特公昭45−18235号公報など)、縦延伸
ロール上で静電印加を施して延伸点を固定する方法(特
開昭55−27270号公報、特開昭62−19942
公報など)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
厚みむら改良法では温度むらや延伸区間を小さくするに
も装置上限界がある。さらに特に薄いフィルムの場合は
冷却延伸法でも充分な効果が得られなく、また静電印加
法ではピンホール発生による破れなどの問題が生じる。
【0005】本発明者らはフィルムの厚みむらを原理的
に改善すべく鋭意検討した結果、ポリエチレンテレフタ
レートの延伸に際し、樹脂の熱特性および延伸に至るま
での結晶化度を規定することによって、厚みむらが極め
て小さく周期的な厚みむらのない均一厚みのポリエステ
ルフィルムを成形する方法を達成し得ることを見出し、
本発明に到達したものである。しかも本発明は既存の設
備をそのまま、もしくは小改造で厚みむらを改善でき、
特に高温高倍率の場合にもフィルムの厚みが均一な成形
方法を提供できるものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はポリ
エチレンテレフタレートを主成分とする冷結晶化温度T
c(℃)とガラス転移温度Tg(℃)との差(Tc−T
g)が60℃以下のポリエステルフィルムを、第1段延
伸の前の予熱段階で結晶化度1〜10%にせしめた後、
成形することを特徴とする少なくとも縦方向に配向した
ポリエステルフィルムの成形方法に関するものである。
【0007】本発明のポリエチレンテレフタレートと
は、エチレングリコールとテレフタル酸の縮重合によっ
て得られたポリマーであり、極限粘度〔η〕は0.5〜
2.0、好ましくは0.6〜0.8の範囲に相当する分
子量のものをいう。
【0008】主成分とは、ポリエチレンテレフタレート
を50重量%、好ましくは75重量%以上含有するもの
をいう。もちろん、ポリエチレンテレフタレートの特性
を大巾に変えない範囲で他のジオールやジカルボン酸、
さらには他のポリマーをランダム、ブロック、グラフト
共重合してもよい。ジオールとしては、トリメチレング
リコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサ
ンジメタノール、ポリエチレングリコール、およびそれ
らの誘導体などがあり、ジカルボン酸としては、フタル
酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマ
ー酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、ジフェニルジカ
ルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニ
ルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン
酸、アントラセンジカルボン酸、およびそれらの誘導体
などがある。もちろん他のポリマー、例えばポリブチレ
ンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、などで代表さ
れるポリエステル類や、ナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン12、などで代表されるポリアミド類、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテ
ン、などで代表されるポリオレフィン類、などをブレン
ドしてもよい。もちろん、ポリマー用として公知の添加
剤、例えば熱安定剤、増粘源粘剤、着色剤、UV吸収
剤、難燃剤、滑り剤、帯電防止剤、ブロッキング防止
剤、などを添加してもよい。
【0009】さらに通常のポリエチレンテレフタレート
では、ガラス転移温度Tgは69〜70℃、冷結晶化温
度Tcは135〜140℃であり、本発明の(Tc−T
g)が60℃以下という温度範囲内には入らない。通常
広く用いられているポリテトラフルオロエチレン、シリ
コーンなどの非粘着ロール材質で有効に熱結晶化せしめ
るためには(Tc−Tg)を60℃以下にして結晶化速
度を充分速める必要があるが、このためには結晶化促進
剤を添加、他のモノマーやポリマーを共重合もしくはブ
レンド、重合触媒を適切に選択するなどしてポリマーを
改質することが必要である。
【0010】この目的に使用できる結晶化促進剤として
は特に限定されないが、例えば、タルク、マイカ、カオ
リン、クレイ、ゼオライト、ガラス繊維、シリカ、アル
ミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、
炭酸カルシウム、硫酸カルシルム、硫酸バリウム、ケイ
酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムなどの無機添加物、
酢酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カル
シウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸リチウ
ム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、
ステアリン酸ナトリウムなどの有機カルボン酸金属塩、
ホスホン酸あるいはホスフィン酸の金属塩もしくはエス
テル化合物、などが好ましく用いられる。これら結晶化
促進剤は単独もしくは複数用いてもよいが、ポリエステ
ルの(Tc−Tg)が60℃以下になるように添加する
ことが必要であり、添加量は通常0.01〜10重量%
の範囲である。結晶化促進剤はポリエステル重合時に添
加してもよいし、重合後にブレンドしてもよい。
【0011】本発明において第1段延伸前のフィルムの
結晶化度は1〜10%の範囲であることが必要である。
結晶化度が%未満の場合は厚みむら改善の効果が少な
く、また10%をえると第1段延伸もしくは続く第2
段延伸でフィルムの延伸性が不良となり、低倍率延伸で
も破れが生じるため好ましくない。
【0012】熱結晶化の手段としては、(1)予熱段階
の加熱ロールにポリテトラフルオロエチレンまたはシリ
コーンなどの非粘着材質を用いる方法、(2)さらに赤
外線ヒーター、熱風、加熱水蒸気などの補助手段を用い
る方法、(3)予熱段階で熱処理オーブンを用いる方
法、(4)熱処理オーブンに非接触浮上加熱式のものを
用いる方法などを好ましく用いることができる。短時間
で熱結晶化を進行させるためには予熱温度は130℃以
上であることが必要であるが、(1)もしくは(2)に
おいて加熱ロールにクロムメッキ、セラミックを用いた
場合は、フィルムとロールが粘着するためロール温度を
充分上げることができず、従って熱結晶化が進行しない
ために好ましくない。(3)において、熱処理オーブン
中にガイドロールを設ける場合はこれを冷却サイドにし
ておくことが粘着防止のために好ましく、粘着が生じな
い(4)を用いるのが最も好ましい。熱結晶化に必要な
時間は、予熱温度、用いる手段によっても異なるが、通
常130℃で10〜60秒、140℃で8〜40秒、1
50℃で5〜20秒である。
【0013】次に本発明でいうポリエステルフィルムを
成形するとは、外力によりフィルムを引き伸ばし、フィ
ルム厚みを減少させる操作をいう。これに伴い分子鎖が
配向し、機械的・熱的・化学的・光学的諸特性の向上を
はかることができる。かかる成形として、本発明ではフ
ィルムを一方向あるいは二方向に引き伸ばす延伸と、こ
れを除いた狭義の成形を含む。従って、本発明では延伸
と区別することなく単に成形という場合は、延伸成形を
も含んだ広義の成形を意味する。延伸成形に際し、第1
段延伸とは未延伸シートから最初に行う延伸、第2段延
伸とは引き続いて第1段延伸とは直角方向に行う延伸を
意味する。一軸延伸フィルム、同時二軸延伸フィルムの
場合は第1段延伸のみであるが、逐次二軸延伸フィルム
の場合は第1段延伸と第2段延伸を行う。逐次二軸延伸
の場合、第1段延伸は長手方向に行う場合が多く、この
延伸は1段階で行ってもよく、また多段階で行ってもよ
いが、特に高温高倍率になるほど本発明の効果が大き
い。
【0014】また、狭義の成形とは、シートあるいはフ
ィルム状物を熱や圧力を用いて所望の形の製品につくる
ことをいい、代表的な成形法としては、圧縮成形、圧空
成形、冷間成形、プラグアシスト成形、真空成形、積層
成形、などがあり、任意に選択できる。
【0015】本発明によってフィルムの厚みむらが著し
く改善される理由は、予熱段階の熱結晶化によって延伸
時の張力−歪(延伸倍率)曲線の形が大きく変化するた
めである。図1はキャスト直後のフィルムの一軸延伸時
張力−歪曲線を示したものであるが、いずれの延伸温度
においても、延伸張力の立ち上がらない部分が存在す
る。このような状態ではフィルムを延伸しようとして延
伸張力を定めても、それに対応する歪がいくつにも対応
し、厚みむらが悪化する。これに対し、予熱段階で熱結
晶化により結晶化度上げたフィルムでは、図2に示すよ
うに延伸張力に対して歪(延伸倍率)が一対一に対応
し、厚みむらの悪化を招かない。
【0016】さらに本発明によると驚くべきことに厚み
むら改善のみならず、以下に示す品質向上も達成できる
ことがわかった。すなわち、 (1)熱寸法安定性が向上する。
【0017】(2)熱膨張係数、湿度膨張係数が低減す
る。
【0018】(3)F5値などの機械的特性が向上す
る。
【0019】(4)酸素、水蒸気などのガスバリア性が
向上する。
【0020】(5)フィルムが平坦であるにもかかわら
ず易滑性が向上する。
【0021】(6)フィルムが高透明になる。
【0022】さらに、(1)、(2)についてはフィル
ム巾方向にわたって物性差が小さくなるために、 (7)いわゆるボーイングが減少する。
【0023】これらの効果が発現する原因は定かではな
いが、成形前の予熱結晶化によって結晶の核ともいうべ
き構造(分子鎖の結接点)を多数生成させることによ
り、成形された製品フィルムの結晶が均一で微細化し、
数が多くなるためと推定される。また、結晶部がこのよ
うな構造になることによって、結晶部と結晶部をつなぐ
非晶部は歪の少ない状態で配向すると推定される。ポリ
エステルフィルムの熱寸法安定性、熱膨張係数、湿度膨
張係数、機械的特性、ガスバリア性は結晶部よりも非晶
配向に大きく起因し、本発明によって非晶配向がこれら
の特性にとって好ましい構造になったと推定される。ま
た、平坦易滑性を付与するためにはフィルム表面の結晶
化度を上昇させることが必要であるが予熱結晶化によっ
てこれが達成できた。またフィルムの透明性が向上する
理由としては、本発明によって非晶部が良好に配向し、
結晶部と屈折率の差が減少したため、結晶・非晶界面の
光散乱が減少したためと推定される。
【0024】次に本発明の成形方法の一例を説明するが
必ずしもこれに限定されるものではない。
【0025】ポリエチレンテレフタレート(〔η〕=
0.65)を溶融押出するに際し、結晶化促進剤として
例えばステアリン酸カルシウムを0.5重量%添加し、
該溶融体をTダイから吐出させて、冷却ドラム上で静電
荷で密着固化させる。該フィルムを複数のシリコーンロ
ール群で130〜135℃で15〜30秒間予熱を行い
熱結晶化せしめた後、第1段延伸として100〜130
℃で長手方向に1.2〜2.5倍延伸後、80〜100
℃でさらに長手方向に2.0〜5.0倍、トータル倍率
として3〜9倍、好ましくは4〜7倍延伸し、続いて第
2段延伸として巾方向に80〜150℃で3〜5倍延伸
後、170〜240℃で熱処理をする。もちろんこのよ
うな逐次二軸延伸方式でなくても、同時二軸延伸法であ
っても真空成形法などでもよい。フィルムの厚さは特に
限定しないが、0.3〜350μmの範囲のものに広く
活用しうるが、本発明の場合、0.3〜100μmと比
較的薄いものに効果が大きい。
【0026】
【物性の評価方法】
(1)フィルムの厚みむら アンリツ社製フィルムシックネステスタKG601Aを
使用し、所定の方向に巾50mm、長さ50m長の試料
を速度3m/分で走行させフィルム厚みを測定した。ア
ンリツ社製広範囲電子マイクロメータK306Cにてフ
ィルム厚みを読み取り、次式により厚みむらを算出し
た。
【0027】厚みむら(%)=(最大厚さ−最小厚さ)
/平均厚さ×100
【0028】(2)結晶化度 四塩化炭素とn−ヘプタンからなる密度勾配管を用い
て、25℃の条件下で密度を測定し、次式から結晶化度
を算出した。
【0029】結晶化度(%)=(d−da)/(dc−
da)×100 なお、ここでdは試料密度、daは非晶密度(1.33
5g/cc)、dcは結晶密度(1.455g/cc)
である。
【0030】(3)ガラス転移温度(Tg)、冷結晶化
温度(Tc) パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−2型を
用いて測定した。試料10mgを窒素気流下で室温より
20℃/分の速度で昇温し、290℃にて5分間溶融保
持し、直ちに液体窒素を用いて急冷する。こうして得ら
れた試料を再び20℃/分の速度で昇温していった際
に、ガラス状態からゴム状態への転移に基づくベースラ
インの変化から比熱変化を読み取り、この転移開始温度
をガラス転移温度(Tg)とする。また、結晶化に伴う
発熱ピーク温度を冷結晶化温度(Tc)、結晶融解に基
づく吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
【0031】(4)延伸張力 T.M.Long社製のフィルムストレッチャーを用い
て、延伸方向および拘束軸方向の張力をトランスジュー
サークリップで検出した。延伸条件は、予熱時間30
秒、延伸速度5000%/分、巾方向拘束長手方向一軸
延伸をとる。フィルム厚さは150〜250μmの範囲
内とした。
【0032】(5)極限粘度〔η〕 O−クロロフェノール中で25℃で測定した。単位はd
l/gを用いた。
【0033】(6)熱収縮率 試料フィルムを巾10mm、長さ250mmに切り出
し、約200mmの間隔で2本の標線を入れ、その間を
正確に測定する(この長さをAとする)。この試料を無
荷重で150℃の熱風オーブン中に30分放置した後、
標線間を測定する(この長さをBとする)。
【0034】{(A−B)/A}×100をもって熱収
縮率とする。
【0035】(7)F5値 インストロンタイプの引張り試験機を用いて、試料フィ
ルムを巾10mm、試長間100mm、引張り速度20
0mm/分で引張った。得られた張力−歪曲線の5%伸
び時の張力をF5値とした。測定は25℃、65%RH
の雰囲気下で行った。
【0036】(8)熱膨張係数 1g/5mm巾の荷重下で20〜70℃の範囲で、2℃
の昇温速度で伸びを測定し、その傾きから求めた。
【0037】(9)湿度膨張係数 100mm巾にフィルムを切り出し、恒温恒室槽(大栄
化学 PKL−50D)にセットされた定荷重伸び量試
験機(日本自動制御社製)のチャック間(距離L=15
0mm)にフィルムを把持し、20℃で湿度5%RHか
ら85%RHに変化させた時の寸法変化量ΔLから次式
により求めた。
【0038】湿度膨張係数=(ΔL/L)/ΔH なお、ここでL=150mm、ΔH=85−5=80
(%RH)である。
【0039】(10)水蒸気透過率 ハネウェル水蒸気透過率測定装置W825を用いて、4
0℃100%RHの条件にて測定した。
【0040】
【実施例】本発明を実施例を用いて説明する。
【0041】実施例1〜3 ポリエチレンテレフタレートとして〔η〕が0.65d
l/g、融点265℃のものを用い、滑り剤として0.
3μm径のコロイダルシリカ粒子、結晶化促進剤として
ステアリン酸カルシウムを0.5重量%含有させた樹脂
(A)を用いた。該樹脂(A)を180℃で3時間減圧
乾燥後、150mmφの押出機を用いてTダイ口金から
溶融押出し、静電荷を印加させながら冷却ドラム上で冷
却固化し、厚さ300μmのフィルム得た。該フィルム
の結晶化度は0.2%であり、実質的に無配向なもので
ある。また、ガラス転移温度Tgは70℃、冷結晶化温
度Tcは120℃、従って(Tc−Tg)は50℃であ
った。該フィルムを130℃に加熱した複数のシリコー
ンロールと補助手段として赤外線ヒーターを用いて結晶
化度が1.0%、5.0%、10.0%となるように予
熱結晶化せしめた。このようにして得られた各種フィル
ムを長手方向に110℃で2.0倍延伸後、さらに同方
向に90℃で2.5倍(トータル倍率5倍)延伸後、巾
方向に90℃で4倍延伸後、230℃で5%の巾方向リ
ラックスをさせながら5秒間熱処理をし、厚さ11μm
の二軸配向フィルムを得た。
【0042】かくして得られた二軸配向フィルムの厚み
むらはいずれも長手方向、巾方向とも2.0%以下と小
さく、しかも周期的な厚みむらはなかった。
【0043】比較例1 実施例1〜3で用いた樹脂(A)を用いて、予熱段階で
熱結晶化が生じないように105℃で予熱して、あとは
実施例1〜3と全く同様にして二軸延伸熱処理して厚さ
11μmのフィルムを得た。
【0044】比較例2 実施例1〜3で用いた樹脂(A)を用いて、133℃に
加熱したシリコーンロール群、及び補助手段として赤外
線ヒーターを用いて充分予熱結晶化せしめた。あとは実
施例1〜3と全く同様にして二軸延伸したところ、横延
伸の段階で破れが生じ、フィルムを得ることはできなか
った。
【0045】比較例3 実施例1〜3で用いた組成の樹脂(A)のうち、結晶化
促進剤を添加しなかった樹脂(B)を用いて、あとは実
施例1〜3と全く同様にして二軸延伸熱処理して厚さ1
1μmのフィルムを得た。樹脂(B)のガラス転移温度
Tgは70℃、冷結晶化温度Tcは140℃、従って
(Tc−Tg)は70℃であり、予熱段階で熱結晶化は
進行しなかった。
【0046】以上のように、本発明のフィルムでないと
厚みの均一なフィルムが得られないばかりか、熱収縮
率、機械的特性、熱膨張膨張係数、湿度膨張係数、水蒸
気透過率など各種物性の優れたフィルムが得られないこ
とがわかる。
【0047】
【表1】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明のポリエステルフィルムの成形方
法はポリエステルの熱結晶性と成形前の結晶化度を規定
することによって、以下のような効果を有するものであ
る。
【0049】1.フィルムの厚みが均一である。
【0050】2.フィルムの厚みむらに周期的なむらが
ない。
【0051】3.特に高温高倍率延伸を行っても厚みの
均一性が保たれる。
【0052】4.フィルムの熱寸法安定性が向上する。
【0053】5.熱膨張係数、湿度膨張係数が小さい。
【0054】6.ヤング率などの機械的特性が向上す
る。
【0055】7.酸素、水蒸気などのガスバリア性が向
上する。
【0056】8.フィルムが平坦であるにもかかわらず
易滑性が向上する。
【0057】9.フィルムが高透明になる。
【0058】10.フィルム巾方向の物性が均一であ
り、いわゆるボーイングの少ないフィルムを得ることが
できる。
【0059】11.これらの特性を有するフィルムを既
存設備もしくはその小改造で成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】キャスト直後のフィルムの延伸温度の違いによ
る、結晶化度0.5%未満のフィルムの延伸張力−延伸
倍率曲線の一例を示した概略図である。
【図2】予熱段階で結晶化度の違いによる、110℃で
のフィルムの延伸張力−延伸倍率曲線の一例を示した概
略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 55/00 - 55/30

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレートを主成分と
    する冷結晶化温度Tc(℃)とガラス転移温度Tg
    (℃)との差(Tc−Tg)が60℃以下のポリエステ
    ルフィルムを、第1段延伸の前の予熱段階で結晶化度
    〜10%にせしめた後、成形することを特徴とするポリ
    エステルフィルムの成形方法。
  2. 【請求項2】 予熱段階の加熱ロールにポリテトラフル
    オロエチレンまたはシリコーンからなる非粘着材質を用
    いて熱結晶化させることを特徴とする請求項1に記載の
    ポリエステルフィルムの成形方法。
  3. 【請求項3】 予熱段階で赤外線ヒーター、熱風または
    加熱水蒸気からなる補助手段を用いて熱結晶化させるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル
    フィルムの成形方法。
  4. 【請求項4】 予熱段階で熱処理オーブンを用いて熱結
    晶化させることを特徴とする請求項1に記載のポリエス
    テルフィルムの成形方法。
  5. 【請求項5】 熱処理オーブンが非接触浮上加熱式のも
    のを用いることを特徴とする請求項4に記載のポリエス
    テルフィルムの成形方法。
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