JP4709434B2 - 油圧緩衝器の減衰力調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車等に用いて好適な油圧緩衝器の減衰力調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧緩衝器の減衰力調整装置として、油圧緩衝器のシリンダに挿入した中空ピストンロッド内に形成したパイパス油路に弁シートを設け、該弁シートに臨むニードル弁を先端に形成したプッシュロッドを前記中空ピストンロッド内に挿入し、前記ピストンロッドを固定する取付部材に形成した装着孔に、テーパ状カム面を備えたアジャストロッドを螺合し、該カム面に前記プッシュロッドの基端部を当接させ、前記アジャストロッドを回転させることにより前記カム面を介して前記プッシュロッドを進退させるようにしたものがある。
【0003】
しかるに、従来技術では、取付部材に形成する装着孔を貫通孔とし、装着孔の一端側の大径孔から装着したアジャストロッドの溝付操作部を他端側の小径孔から外方に臨ませ、アジャストロッドを大径孔と小径孔の段部に当接させて該アジャストロッドを小径孔から抜け止めし、大径孔の開口に螺着したプラグボルトによりアジャストロッドを大径孔から抜け止めしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術には以下の問題点がある。
▲1▼装着孔にプラグボルトを設けており、外観商品性が悪いし、プラグボルトの組込、かしめ固定の工数を必要としてコスト高になる。
【0005】
▲2▼プラグボルトの螺着部から装着孔へと水、ダストが侵入し、装着孔の内部に錆を生じ、アジャストロッドの作動性を損なう虞がある。
【0006】
本発明の課題は、油圧緩衝器の減衰力調整装置において、アジャストロッドを装着孔から抜け止め可能としながら、装着孔のプラグボルトを不要とし、組立工数を低減し、かつ装着孔への水、ダストの侵入を回避することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、中空ピストンロッド内に形成したパイパス油路に弁シートを設け、該弁シートの開口に臨むニードル弁を先端に形成したプッシュロッドを前記中空ピストンロッド内に挿入し、前記ピストンロッドを固定する取付部材に形成した一端側を開口し、他端側を有底状に閉塞する装着孔に、テーパ状カム面を備えたアジャストロッドを螺合し、該カム面に前記プッシュロッドの基端部を当接させ、前記アジャストロッドを回転させることにより前記カム面を介して前記プッシュロッドを進退させるようにした油圧緩衝器の減衰力調整装置において、前記一端開口他端有底状の装着孔に唯一つのアジャストロッドだけを装着し、アジャストロッドは、装着孔の一端側に開口する大径孔から挿入され、基端の操作部を備えた大径支持部を大径孔にシール部材を介して液密に枢支され、先端のねじ部を装着孔のねじ孔に螺着され、大径支持部とねじ部の間にカム面を備え、カム面をプッシュロッドの基端部に当接するものであり、前記装着孔内で前記プッシュロッドの基端部より該装着孔の閉塞端側に、前記アジャストロッドのカム面を配置し、前記アジャストロッドのカム面を前記プッシュロッドの基端部に当接することにより、該アジャストロッドを前記装着孔から抜け止めするようにしたものである。
【0008】
請求項2の発明は、中空ピストンロッド内に形成したパイパス油路に弁シートを設け、該弁シートの開口に臨むニードル弁を先端に形成したプッシュロッドを前記中空ピストンロッド内に挿入し、前記ピストンロッドを固定する取付部材に形成した一端側を開口し、他端側を有底状に閉塞する装着孔に、テーパ状カム面を備えたアジャストロッドを螺合し、該カム面に前記プッシュロッドの基端部を当接させ、前記アジャストロッドを回転させることにより前記カム面を介して前記プッシュロッドを進退させるようにした油圧緩衝器の減衰力調整装置において、前記一端開口他端有底状の装着孔に唯一つのアジャストロッドだけを装着し、アジャストロッドは、装着孔の一端側に開口する大径孔から挿入され、基端の操作部を備えた大径支持部を大径孔にシール部材を介して液密に枢支され、先端のねじ部を装着孔のねじ孔に螺着され、大径支持部とねじ部の間にカム面を備え、カム面をプッシュロッドの基端部に当接するとともに、上記ねじ部の端面からなるストッパ面をプッシュロッドの基端部に当接するものであり、前記装着孔内で前記プッシュロッドの基端部より該装着孔の開口端側に、前記アジャストロッドのカム面を配置し、前記装着孔内で前記プッシュロッドの基端部より該装着孔の閉塞端側に、前記アジャストロッドに設けたストッパ面を配置し、前記アジャストロッドのストッパ面を前記プッシュロッドの基端部に当接することにより、該アジャストロッドを前記装着孔から抜け止めするようにしたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記アジャストロッドがカム面を挟む両側に前記装着孔への支持部を備えるようにしたものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1の発明において更に、前記アジャストロッドが左ねじを備えて前記装着孔に螺合してなるようにしたものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2の発明において更に、前記アジャストロッドが右ねじを備えて前記装着孔に螺合してなるようにしたものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記装着孔が閉塞端側を小径とする段部を備え、前記アジャストロッドを上記段部に当接することにより、該アジャストロッドの該装着孔への押し込み端を規制するようにしたものである。
【0013】
【作用】
請求項1の発明によれば下記▲1▼の作用がある。
▲1▼アジャストロッドのカム面をプッシュロッドの基端部に当接することにより、アジャストロッドを装着孔から抜け止めできる。これにより、アジャストロッドを装着孔から抜け止め可能としながら、装着孔を一端開口、他端閉塞としてプラグボルトを不要とし、組立工数を低減するとともに、装着孔への水、ダストの侵入を回避できる。
【0014】
請求項2の発明によれば下記▲2▼の作用がある。
▲2▼アジャストロッドのストッパ面をプッシュロッドの基端部に当接することにより、アジャストロッドを装着孔から抜け止めできる。これにより、アジャストロッドを装着孔から抜け止め可能としながら、装着孔を一端開口、他端閉塞としてプラグボルトを不要とし、組立工数を低減するとともに、装着孔への水、ダストの侵入を回避できる。
【0015】
請求項3の発明によれば下記▲3▼の作用がある。
▲3▼アジャストロッドを両持ち支持し、アジャストロッドの作動性の安定を得ることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば下記▲4▼の作用がある。
▲4▼アジャストロッドを右回転することにより、プッシュロッドをカム面にて前進させてニードル弁の開度を閉じ方向に調整し、減衰力を増大することができ、人間工学的にみて操作感に適った調整が行なえる。
【0017】
請求項5の発明によれば下記▲5▼の作用がある。
▲5▼アジャストロッドを右回転することにより、プッシュロッドをカム面にて前進させてニードル弁の開度を閉じ方向に調整し、減衰力を増大することができ、人間工学的にみて操作感に適った調整が行なえる。
【0018】
請求項6の発明によれば下記▲6▼の作用がある。
▲6▼アジャストロッドの装着孔への押し込み端を、装着孔の閉塞端側に設けた段部で規制できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は第1実施形態の油圧緩衝器を示す断面図、図2は第1実施形態の減衰力調整装置の要部を示す断面図、図3は第2実施形態の減衰力調整装置の要部を示す断面図である。
【0020】
(第1実施形態)(図1、図2)
油圧緩衝器10は、図1に示す如く、シリンダ11に中空ピストンロッド12を挿入し、シリンダ11とピストンロッド12の外側部に懸架スプリング13を介装している。
【0021】
シリンダ11は車体側取付部材14を備え、ピストンロッド12にロックナット15Aとともに車輪側取付部材15を備える。シリンダ11の外周部にはばね受け調整油圧ジャッキ16とばね受け17が螺着され、ピストンロッド12にはばね受け18が固定されており、ばね受け17のシート17Aとばね受け18のシート18Aの間に懸架スプリング13を介装し、油圧ジャッキ16の油圧配管16Aによりジャッキ室16Bに油を給排することによりばね受け17を昇降し、懸架スプリング13の設定長さを調整可能としている。懸架スプリング13の弾発力が、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。19はダストカバーである。
【0022】
シリンダ11はピストンロッド12が貫通するロッドガイド21を備える。ロッドガイド21は、Oリング22を介してシリンダ11に液密に装着されるとともに、オイルシール23、ブッシュ24、ダストシール25を備える内径部にピストンロッド12を液密に摺動自在としている。尚、シリンダ11は、ロッドガイド21の外側に圧側バンパ26を備え、最圧縮時に、ピストンロッド12が備えるバンパストッパ27にこの圧側バンパ26を衝合して最圧縮ストロークを規制可能としている。また、シリンダ11は、ロッドガイド21の内側にワッシャ28A、伸側バンプラバー28を備えている。
【0023】
油圧緩衝器10は、ピストンバルブ装置(圧側及び伸側減衰力発生装置)30を有している。油圧緩衝器10は、ピストンバルブ装置30が発生する減衰力により、懸架スプリング13による衝撃力の吸収に伴うシリンダ11とピストンロッド12の伸縮振動を抑制する。
【0024】
ピストンバルブ装置30は、シリンダ11に挿入されたピストンロッド12の端部にバルブストッパ31、圧側バルブ32、ピストン33、伸側バルブ34、バルブストッパ35を装着し、これらをナット36で固定してある。
【0025】
ピストン33は、外周部に備えたOリング37A、ピストンリング37Bを介してシリンダ11の内部を液密に摺接し、シリンダ11の内部をピストンロッド12が収容されないピストン側油室38Aと、ピストンロッド12が収容されるロッド側油室38Bとに区画する。ピストン33は、圧側バルブ32を備えてピストン側油室38Aとロッド側油室38Bとを連通可能とする圧側流路39(不図示)と、伸側バルブ34を備えてピストン側油室38Aとロッド側油室38Bとを連通可能とする伸側流路40とを備える。
【0026】
また、ピストンバルブ装置30は、図1、図2に示す減衰力調整装置41を有している。
【0027】
減衰力調整装置41は、ピルトンロッド12にピストン側油室38Aとロッド側油室38Bを連通可能とするバイパス油路42を形成し、このバイパス油路42をピストン側油室38Aに開口する縦孔42Aとロッド側油室38Bに開口する横孔42Bにより形成している。減衰力調整装置41は、バイパス油路42の縦孔42Aの開放端に弁シート42Cを設け、弁シート42Cに臨むニードル弁43Aを先端に形成したプッシュロッド43を、ピストンロッド12の中空部に軸方向進退自在に、且つOリング44を介して液密に挿入し、ニードル弁43Aにより弁シート42Cの開口面積を調整可能とする。
【0028】
プッシュロッド43は、その基端部45をピストンロッド12から取付部材15の側に延在している。そして、プッシュロッド43は、ピストン側油室38Aの油圧に基づくスラスト力により、その基端部45を後述するアジャストロッド51に当接する方向に突出せしめられている。
【0029】
アジャストロッド51は、ピストンロッド12の外端部に固定されている取付部材15に設けられ、プッシュロッド43の軸方向に交差する、車幅方向に穿設された装着孔52に支持され、プッシュロッド43の基端部45に直接当接し、プッシュロッド43を軸方向に進退させ、プッシュロッド43のニードル弁43Aによりバイパス油路42の弁シート42Cの開口面積を調整し、伸び側減衰力を調整可能とする。
【0030】
具体的には、減衰力調整装置41は、装着孔52を、一端側を開口し、他端側を閉塞する有底状に形成している。そして、アジャストロッド51は、装着孔52の大径孔52Aから挿入され、基端の溝付操作部53を備えた大径支持部51Aを該大径孔52AにOリング54を介して液密に枢支され、先端の中径左ねじ部(中径支持部)51Bを装着孔52の中径ねじ孔52Bに螺着され、大径支持部51Aとねじ部51Bの間に小径連結部51Cとテーパ状カム面51Dを備え、カム面51Dを装着孔52の大径孔52A(大径孔52Aの同径延長部分であるガイド孔)に沿って移動可能としてプッシュロッド43の基端部45に当接せしめる。
【0031】
このとき、減衰力調整装置41は、装着孔52内でプッシュロッド43の基端部45より該装着孔52の閉塞端側に、アジャストロッド51のカム面51Dを配置し、アジャストロッド51のカム面51Dをプッシュロッド43の基端部45に当接することにより、アジャストロッド51を装着孔52から抜け止めする。
【0032】
これにより、アジャストロッド51は、溝付操作部53に係入せしめられる工具により回転されて螺動され、カム面51Dの変位によりプッシュロッド43を軸方向に進退する。ねじ部51Bが左ねじであるから、アジャストロッド51の右回転により、プッシュロッド43をカム面51Dにより前進させてニードル弁43Aの開度を閉じ方向に調整し、減衰力を増大させる。
【0033】
尚、減衰力調整装置41は、装着孔52の大径孔52Aとねじ孔52Bの境界部に、装着孔52の閉塞端側を小径とする段部55を備え、アジャストロッド51のカム面51Dの背面を上記段部55に当接することにより、アジャストロッド51の装着孔52への押し込み端を規制する。
【0034】
また、油圧緩衝器10は、図1に示す如く、シリンダ11のピストン側油室38Aに対し体積補償室60を区画するセパレータ61を備える。セパレータ61は、シリンダ11の内径に設けた突条部62とに保持される。体積補償室60は、油溜室60Aと、この油溜室60Aと可動隔壁部材64により区画される気体室60Bとからなり、ピストン側油室38Aと油溜室60Aとを連通するオリフィス孔65がセパレータ61の中心軸上に穿設されている。可動隔壁部材64は、フリーピストンからなるが、ダイヤフラムでも良い。
【0035】
従って、油圧緩衝器10は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧縮時)
ピストン側油室38Aの油が圧側流路39を通ってロッド側油室38Bに流れ、この油が圧側バルブ32を撓み変形させて圧側の減衰力を得る。これに続き、シリンダ11に進入したピストンロッド12の進入容積分の油が余剰になり、この余剰油がピストン側油室38Aからセパレータ61のオリフィス孔65を通って体積補償室60の油溜室60Aに排出されるものとなる。
【0036】
(伸長時)
シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が低速のとき、ロッド側油室38Bの油が調整ロッド43のニードル弁43Aにより開度調整されているピストンロッド12のバイバス流路42を通ってピストン側油室38Aに流れ、この間のニードル弁43Aによる絞り抵抗により伸側減衰力を得る。また、シリンダ11とピストンロッド12の相対速度が中高速のとき、ロッド側油室38Bの油が伸側流路40を通り、伸側バルブ34を撓み変形させてピストン側油室38Aへ流れ、伸側の減衰力を得る。そしてこのとき、シリンダ11から退出するピストンロッド12の退出体積分の油が不足し、この不足油が体積補償室60の油溜室60Aからセパレータ61のオリフィス孔65を通ってピストン側油室38Aへ速やかに補給される。
【0037】
これらの圧側と伸側の減衰力により、油圧緩衝器10の伸縮振動が抑制される。
【0038】
尚、油圧緩衝器10の最圧縮時には、シリンダ11の側のバンパ26とピストンロッド12の側のバンパストッパ27との衝合により最圧縮時の緩衝作用を果たす。また、油圧緩衝器10の最伸長時には、シリンダ11の側のバンパラバー28とピストンロッド12の側のバルブストッパ31との衝合により、伸び切り時の緩衝作用を果たす。
【0039】
本実施形態によれば以下の作用がある。
▲1▼アジャストロッド51のカム面51Dをプッシュロッド43の基端部45に当接することにより、アジャストロッド51を装着孔52から抜け止めできる。これにより、アジャストロッド51を装着孔52から抜け止め可能としながら、装着孔52を一端開口、他端閉塞としてプラグボルトを不要とした。従って、プラグボルトの組込、かしめ固定の工数を削減して組立工数を低減するとともに、装着孔52への水、ダストの侵入を回避して装着孔52の内部の錆、ひいてはアジャストロッド51の作動性の悪化を回避できる。
【0040】
▲2▼アジャストロッド51がカム面51Dを挟む両側に装着孔52への支持部としての、大径支持部51Aとねじ部51Bを備えるようにしたから、アジャストロッド51を両持ち支持し、アジャストロッド51の作動性の安定を得ることができる。
【0041】
▲3▼アジャストロッド51の溝付操作部53を装着孔52の一端開口から外方へ臨ませ、カム面51Dを装着孔52内でプッシュロッド43の基端部45より該装着孔52の閉塞端側に配置した。従って、アジャストロッド51の左ねじ部51Bを右回転することにより、プッシュロッド43をカム面51Dにて前進させてニードル弁43Aの開度を閉じ方向に調整し、減衰力を増大することができ、人間工学的にみて操作感に適った調整が行なえる。
【0042】
▲4▼アジャストロッド51の装着孔52への押し込み端を、装着孔52の閉塞端側に設けた段部55で規制できる。この段部55は、めくら孔状の装着孔52でも、その開口側から挿入される段付ドリル等で形成できる。
【0043】
(第2実施形態)(図3)
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、減衰力調整装置41において、アジャストロッド51に代わるアジャストロッド71の設置構造にある。
【0044】
減衰力調整装置41は、アジャストロッド71が螺着される装着孔72を、一端側を開口し、他端側を閉塞する有底状に形成している。そして、アジャストロッド71は、装着孔72の大径孔72Aから挿入され、基端の溝付操作部73を備えた大径支持部71Aを該大径孔72AにOリング74を介して液密に枢支され、先端の中径右ねじ部(中径支持部)71Bを装着孔72の中径ねじ孔72Bに螺着され、大径支持部71Aとねじ部71Bの間に小径連結部71Cとテーパ状カム面71Dを備え、カム面71Dを装着孔72の大径孔72Aとねじ孔72Bの間で且つそれらの径の中間径をなすガイド孔72Cに沿って移動可能としてプッシュロッド43の基端部45に当接せしめる。
【0045】
このとき、減衰力調整装置41は、装着孔72内でプッシュロッド43の基端部45より該装着孔72の開口端側に、アジャストロッド71のカム面71Dを配置し、装着孔72内でプッシュロッド43の基端部45より該装着孔72の閉塞端側に、アジャストロッド71のねじ部71Bの端面からなるストッパ面75を配置し、アジャストロッド71のストッパ面75をプッシュロッド43の基端部45に当接することにより、アジャストロッド71を装着孔72から抜け止めする。
【0046】
これにより、アジャストロッド71は、溝付操作部73に係入せしめられる工具により回転されて螺動され、カム面71Dの変位によりプッシュロッド43を軸方向に進退する。ねじ部71Bが右ねじであるから、アジャストロッド71の右回転により、プッシュロッド43をカム面71Dにより前進させてニードル弁43Aの開度を閉じ方向に調整し、減衰力を増大させる。
【0047】
尚、減衰力調整装置41は、装着孔72の大径孔72Aとガイド孔72Cの境界部に、装着孔72の閉塞端側を小径とする段部76を備え、アジャストロッド71の大径支持部71Aを上記段部76に当接することにより、アジャストロッド71の装着孔72への押し込み端を規制する。
【0048】
本実施形態によれば以下の作用がある。
▲1▼アジャストロッド71のストッパ面75をプッシュロッド43の基端部45に当接することにより、アジャストロッド71を装着孔72から抜け止めできる。これにより、アジャストロッド71を装着孔72から抜け止め可能としながら、装着孔72を一端開口、他端閉塞としてプラグボルトを不要とした。従って、プラグボルトの組込、かしめ固定の工数を削減して組立工数を低減するとともに、装着孔72への水、ダストの侵入を回避して装着孔72の内部の錆、ひいてはアジャストロッド71の作動性の悪化を回避できる。
【0049】
▲2▼アジャストロッド71がカム面71Dを挟む両側に装着孔72への支持部として、大径支持部71Aとねじ部71Bを備えるようにしたから、アジャストロッド71を両持ち支持し、アジャストロッド71の作動性の安定を得ることができる。
【0050】
▲3▼アジャストロッド71の溝付操作部73を装着孔72の一端開口から外方へ臨ませ、カム面71Dを装着孔72内でプッシュロッド43の基端部45より該装着孔72の開口端側に配置した。従って、アジャストロッド71の右ねじ部71Bを右回転することにより、プッシュロッド43をカム面71Dにて前進させてニードル弁43Aの開度を閉じ方向に調整し、減衰力を増大することができ、人間工学的にみて操作感に適った調整が行なえる。
【0051】
▲4▼アジャストロッド71の装着孔72への押し込み端を、装着孔72の閉塞端側に設けた段部76で規制できる。この段部76は、めくら孔状の装着孔72でも、その開口側から挿入される段付ドリル等で形成できる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、油圧緩衝器の減衰力調整装置において、アジャストロッドを装着孔から抜け止め可能としながら、装着孔のプラグボルトを不要とし、組立工数を低減し、かつ装着孔への水、ダストの侵入を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は第1実施形態の油圧緩衝器を示す断面図である。
【図2】 図2は第1実施形態の減衰力調整装置の要部を示す断面図である。
【図3】 図3は第2実施形態の減衰力調整装置の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
10 油圧緩衝器
11 シリンダ
12 中空ピストンロッド
14 取付部材
41 減衰力調整装置
42 バイパス油路
42C 弁シート
43 プッシュロッド
43A ニードル弁
45 基端部
51、71 アジャストロッド
51A、71A 大径支持部
51B、71B ねじ部(中径支持部)
51D、71D テーパ状カム面
52、72 装着孔
52A、72A 大径孔
52B、72B ねじ孔
53、73 操作部
54、74 Oリング(シール部材)
55、76 段部
75 ストッパ面
Claims (6)
- 中空ピストンロッド内に形成したパイパス油路に弁シートを設け、該弁シートの開口に臨むニードル弁を先端に形成したプッシュロッドを前記中空ピストンロッド内に挿入し、前記ピストンロッドを固定する取付部材に形成した一端側を開口し、他端側を有底状に閉塞する装着孔に、テーパ状カム面を備えたアジャストロッドを螺合し、該カム面に前記プッシュロッドの基端部を当接させ、前記アジャストロッドを回転させることにより前記カム面を介して前記プッシュロッドを進退させるようにした油圧緩衝器の減衰力調整装置において、
前記一端開口他端有底状の装着孔に唯一つのアジャストロッドだけを装着し、アジャストロッドは、装着孔の一端側に開口する大径孔から挿入され、基端の操作部を備えた大径支持部を大径孔にシール部材を介して液密に枢支され、先端のねじ部を装着孔のねじ孔に螺着され、大径支持部とねじ部の間にカム面を備え、カム面をプッシュロッドの基端部に当接するものであり、
前記装着孔内で前記プッシュロッドの基端部より該装着孔の閉塞端側に、前記アジャストロッドのカム面を配置し、
前記アジャストロッドのカム面を前記プッシュロッドの基端部に当接することにより、該アジャストロッドを前記装着孔から抜け止めすることを特徴とする油圧緩衝器の減衰力調整装置。 - 中空ピストンロッド内に形成したパイパス油路に弁シートを設け、該弁シートの開口に臨むニードル弁を先端に形成したプッシュロッドを前記中空ピストンロッド内に挿入し、前記ピストンロッドを固定する取付部材に形成した一端側を開口し、他端側を有底状に閉塞する装着孔に、テーパ状カム面を備えたアジャストロッドを螺合し、該カム面に前記プッシュロッドの基端部を当接させ、前記アジャストロッドを回転させることにより前記カム面を介して前記プッシュロッドを進退させるようにした油圧緩衝器の減衰力調整装置において、
前記一端開口他端有底状の装着孔に唯一つのアジャストロッドだけを装着し、アジャストロッドは、装着孔の一端側に開口する大径孔から挿入され、基端の操作部を備えた大径支持部を大径孔にシール部材を介して液密に枢支され、先端のねじ部を装着孔のねじ孔に螺着され、大径支持部とねじ部の間にカム面を備え、カム面をプッシュロッドの基端部に当接するとともに、上記ねじ部の端面からなるストッパ面をプッシュロッドの基端部に当接するものであり、
前記装着孔内で前記プッシュロッドの基端部より該装着孔の開口端側に、前記アジャストロッドのカム面を配置し、
前記装着孔内で前記プッシュロッドの基端部より該装着孔の閉塞端側に、前記アジャストロッドに設けたストッパ面を配置し、
前記アジャストロッドのストッパ面を前記プッシュロッドの基端部に当接することにより、該アジャストロッドを前記装着孔から抜け止めすることを特徴とする油圧緩衝器の減衰力調整装置。 - 前記アジャストロッドがカム面を挟む両側に前記装着孔への支持部を備える請求項1又は2に記載の油圧緩衝器の減衰力調整装置。
- 前記アジャストロッドが左ねじを備えて前記装着孔に螺合してなる請求項1に記載の油圧緩衝器の減衰力調整装置。
- 前記アジャストロッドが右ねじを備えて前記装着孔に螺合してなる請求項2に記載の油圧緩衝器の減衰力調整装置。
- 前記装着孔が閉塞端側を小径とする段部を備え、前記アジャストロッドを上記段部に当接することにより、該アジャストロッドの該装着孔への押し込み端を規制する請求項1又は2に記載の油圧緩衝器の減衰力調整装置。
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