<全体構成>
まず、図1を用いて、本実施例1に係るスロットマシン100の全体構成について説明する。なお、図1はスロットマシン100の外観斜視図を示したものである。
スロットマシン100は、略箱状の本体101と、この本体101の前面開口部に取り付けられた前面扉102とを有して構成されている。スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。本実施例1において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110〜112が構成されている。リール110〜112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110〜112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。なお、本実施例1では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
また、各々のリール110〜112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。なお、このバックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。
さらに、スロットマシン100内部において各々のリール110〜112の近傍には、投光部と受光部からなる光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間を、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110〜112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
スタートランプ121は、リール110〜112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。告知ランプ123は、内部抽選において、特定の入賞役(例えば、BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)等のボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、メダル投入時のエラー表示や、ビッグボーナス遊技中(BB遊技中)の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。リールパネルランプ128は、演出用のランプである。
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施例1においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130または131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもできる。精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル及びベットされたメダルを精算し、メダル払出口155よりメダル受皿156に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。
スタートレバー135は、遊技の開始操作を行うためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口134に所望する枚数のメダルを投入して、スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110〜112が回転し、遊技が開始される。ストップボタン137〜139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110〜112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110〜112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137〜139を操作すると対応するいずれかのリール110〜112が停止することになる。
ドアキー140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。メダル払出口155は、メダルを払出するための払出口である。メダル受皿156は、メダル払出口155から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿156は、本実施例1では発光可能な受皿を採用しており、以下受皿ランプと呼ぶこともある。
上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ156は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。演出装置157は、例えば開閉自在な扉(シャッター)163が前面に取り付けられた液晶表示装置を含み、この演出装置157には、例えば小役告知等の各種の情報が表示される。音孔160は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。タイトルパネル162には、スロットマシン100を装飾するための図柄が描かれる。
<制御部>
次に、図2及び図3を用いて、このスロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。
スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300より送信されたコマンドに応じて各種機器を制御する副制御部400と、によって構成されている。
<主制御部>
まず、図2を用いて、スロットマシン100の主制御部300について説明する。なお、同図は主制御部300の回路ブロック図を示したものである。
主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、その他、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路314は、水晶発振器311から発振されたクロックを分周してCPU310に供給する回路である。例えば、水晶発振器311の周波数が12MHzの場合に、分周後のクロックは6MHzとなる。CPU310は、クロック補正回路314により分周されたクロックをシステムクロックとして受け入れて動作する。
また、CPU310には、センサやスイッチの状態を常時監視するためのタイマ割り込み処理の周期やモータの駆動パルスの送信周期を設定するためのタイマ回路315がバスを介して接続されている。CPU310は、電源が投入されると、データバスを介してROM312の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路315に送信する。タイマ回路315は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU310に送信する。CPU310は、この割込み要求を契機に、各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、CPU310のシステムクロックを6MHz、タイマ回路315の分周値を1/256、ROM312の分周用のデータを44に設定した場合、この割り込みの基準時間は、256×44÷6MHz=1.877msとなる。
さらに、CPU310には、各ICを制御するためのプログラム、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等の各種データを記憶しているROM312や、一時的なデータを保存するためのRAM313が接続されている。これらのROM312やRAM313については他の記憶手段を用いてもよく、この点は後述する副制御部400においても同様である。また、CPU310には、外部の信号を受信するための入力インタフェース360が接続され、割込み時間ごとに入力インタフェース360を介して、スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322、メダル投入ボタンセンサ323、精算ボタンセンサ324、メダル払い出しセンサ326の状態を検出し、各センサを監視している。
メダル投入センサ320は、メダル投入口134に投入されたメダルを検出するためのセンサである。スタートレバーセンサ321はスタートレバー135の操作を検出するためのセンサである。ストップボタンセンサ322はストップボタン137〜139のいずれかが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検出するためのセンサである。メダル投入ボタンセンサ323はメダル投入ボタン130、131のいずれかが押下された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検出するためのセンサである。精算ボタンセンサ324は、精算ボタン132に設けられており、精算ボタン132が一回押されると、貯留されているメダル及びベットされているメダルが精算されて払い出されることになる。メダル払い出しセンサ326は、払い出されるメダルを検出するためのセンサである。
CPU310には、さらに、入力インタフェース361、出力インタフェース370、371がアドレスデコード回路350を介してアドレスバスに接続されている。CPU310は、これらのインタフェースを介して外部のデバイスと信号の送受信を行っている。入力インタフェース361には、インデックスセンサ325が接続されている。インデックスセンサ325は、各リール110〜112の取付台の所定位置に設置されており、リール110〜112に設けた遮光片がこのインデックスセンサ325を通過するたびにハイレベルになる。CPU310は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。出力インタフェース370には、リールを駆動させるためのモータを制御するリールモータ駆動部330と、ホッパー(バケットにたまっているメダルをメダル払出口155から払出すための装置。図示省略。)のモータを駆動するためのホッパーモータ駆動部331と、遊技ランプ340(具体的には、入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122、告知ランプ123、メダル投入ランプ124等)と、7セグメント(SEG)表示器341(払出枚数表示器125、遊技回数表示器126、貯留枚数表示器127等)が接続されている。
また、CPU310には、乱数発生回路317がデータバスを介して接続されている。乱数発生回路317は、水晶発振器311及び水晶発振器316から発振されるクロックに基づいて、一定の範囲内で値をインクリメントし、そのカウント値をCPU310に出力することのできるインクリメントカウンタであり、後述する入賞役の内部抽選をはじめ各種抽選処理に使用される。CPU310のデータバスには、副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェース371が接続されている。主制御部300と副制御部400との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は副制御部400へコマンドを送信するが、副制御部400から主制御部300へ何らかのコマンド等を送信することはできない。
<副制御部>
次に、図3を用いて、スロットマシン100の副制御部400について説明する。なお、同図は副制御部400の回路ブロック図を示したものである。
副制御部400は、主制御部300より送信された主制御コマンド等に基づいて副制御部400の全体を制御する演算処理装置であるCPU410や、CPU410が各IC、各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路414は、水晶発振器411から発振されたクロックを補正し、補正後のクロックをシステムクロックとしてCPU410に供給する回路である。
また、CPU410にはタイマ回路415がバスを介して接続されている。CPU410は、所定のタイミングでデータバスを介してROM412の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路415に送信する。タイマ回路415は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU410に送信する。CPU410は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
また、CPU410には、副制御部400の全体を制御するための命令及びデータ、ライン表示LEDの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータが記憶されたROM412や、データ等を一時的に保存するためのRAM413が各バスを介して接続されている。
さらに、CPU410には、外部の信号を送受信するための入出力インタフェース460が接続されており、入出力インタフェース460には、図柄表示窓113の外枠に配設され、点滅や点灯などの点灯制御によって有効ラインや入賞ラインを報知するためのライン表示LED420、前面扉102の開閉を検出するための扉センサ421、RAM413のデータをクリアにするためのリセットスイッチ422が接続されている。
CPU410には、データバスを介して主制御部300から主制御コマンドを受信するための入力インタフェース461が接続されており、入力インタフェース461を介して受信したコマンドに基づいて、遊技全体を盛り上げる演出処理等が実行される。また、CPU410のデータバスとアドレスバスには、音源IC480が接続されている。音源IC480は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。また、音源IC480には、音声データが記憶されたROM481が接続されており、音源IC480は、ROM481から取得した音声データをアンプ482で増幅させてスピーカ483から出力する。CPU410には、主制御部300と同様に、外部ICを選択するためのアドレスデコード回路450が接続されており、アドレスデコード回路450には、主制御部300からのコマンドを受信するための入力インタフェース461、扉・液晶画面制御部490からの信号を入力するための入力インタフェース471、時計IC423、7セグメント表示器440への信号を出力するための出力インタフェース472等が接続されている。
時計IC423が接続されていることで、CPU410は、現在時刻を取得することが可能である。7セグメント表示器440は、スロットマシン100の内部に設けられており、たとえば副制御部400に設定された所定の情報を遊技店の係員等が確認できるようになっている。さらに、出力インタフェース470には、デマルチプレクサ419が接続されている。デマルチプレクサ419は、出力インタフェース470から送信された信号を各表示部等に分配する。即ち、デマルチプレクサ419は、CPU410から受信されたデータに応じて上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、リールパネルランプ128、タイトルパネルランプ170、受け皿ランプ156、払出口ストロボ171を制御する。タイトルパネルランプ170は、タイトルパネル162を照明するランプであり、払出口ストロボ171は、払い出し口の内側に設置されたストロボタイプのランプである。なお、CPU410は、扉・液晶画面制御部490への信号送信は、デマルチプレクサ419を介して実施する。扉・液晶画面制御部490は、液晶表示装置157及び扉163を制御する制御部である。
<図柄配列>
次に、図4を用いて、上述の各リール110〜112に施される図柄配列について説明する。なお、同図は、各リール(左リール110、中リール111、右リール112)に施される図柄の配列を平面的に展開して示した図である。
各リール110〜112には、同図の右側に示す複数種類(本実施例1では、8種類)の図柄が所定コマ数(本実施例1では、番号0〜20の21コマ)だけ配置されている。また、同図の左端に示した番号0〜20は、各リール110〜112上の図柄の配置位置を示す番号である。例えば、本実施例1では、左リール110の番号1のコマには「リプレイ」の図柄、中リール111の番号0のコマには「ベル」の図柄、右リール112の番号2のコマには「スイカ」の図柄、がそれぞれ配置されている。
<入賞役の種類>
次に、図5を用いて、スロットマシン100の入賞役の種類について説明する。なお、同図は入賞役(作動役を含む)の種類、各入賞役に対応する図柄組合せ、各入賞役の作動または払出を示した図である。
本明細書における入賞役のうち、ビッグボーナス(BB1、BB2)、レギュラーボーナス(RB)、およびシフトレギュラーボーナス(SRB)はボーナス遊技に移行する図柄として、また、再遊技(リプレイ)1、2は新たにメダルを投入することなく再遊技が可能となる図柄として、それぞれ入賞役とは区別され「作動役」と呼ばれる場合があるが、本明細書における「入賞役」には、作動役である、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、シフトレギュラーボーナス、再遊技が含まれる。また、本明細書における「入賞」には、メダルの配当を伴わない(メダルの払い出しを伴わない)作動役の図柄組合せが有効ライン上に表示される場合も含まれ、例えば、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、シフトレギュラーボーナス、再遊技への入賞が含まれる。
スロットマシン100の入賞役には、ビッグボーナス(BB1、BB2)と、レギュラーボーナス(RB)と、シフトレギュラーボーナス(SRB)と、小役(チェリー、スイカ、ベル)と、再遊技(リプレイ)1、2がある。なお、入賞役の種類は、本実施例1で示す入賞役に限定されるものではなく、任意に採用できることは言うまでもない。
「ビッグボーナス(BB1、BB2)」(以下、単に、「BB」と称する場合がある)は、入賞により特別遊技であるビッグボーナス遊技(BB遊技)が開始される特別役(作動役)である。対応する入賞図柄組合せは、本実施例1の場合、BB1が「白7−白7−白7」、BB2が「青7−青7−青7」である。また、本実施例1ではBB1、BB2についてフラグ持越しを行う。すなわち、BB1、BB2に内部当選すると、これを示すフラグが立つ(主制御部300のRAM313の所定のエリア内に記憶される)が、その遊技においてBB1、BB2に入賞しなかったとしても、入賞するまでフラグが立った状態が維持され、次遊技以降でもBB1、BB2に内部当選中とする。
「レギュラーボーナス(RB)」は、入賞によりレギュラーボーナス遊技(RB遊技)が開始される特殊役(作動役)である。対応する入賞図柄組合せは、本実施例1の場合、「ボーナス−ボーナス−ボーナス」である。なお、本実施例1ではRBについても上述のBBと同様にフラグ持越しを行う。
「シフトレギュラーボーナス(SRB)」は、入賞によりレギュラーボーナス遊技(RB遊技)が開始される特殊役(作動役)である。対応する入賞図柄組合せは、本実施例1の場合、「リプレイ−ベル−リプレイ」である。なお、SRBは、RB遊技を作動させる点でRBと同じであるが、BB中に内部当選する確率がRBよりも高く、且つ、対応する入賞図柄(本実施例1では、リプレイとベル)が各リール110〜112に分散して配置されているので(図4参照)、遊技者による目押し操作が容易となっている。なお、RB、SRBともにRB遊技が12ゲーム間実施され、8回の入賞によりRB遊技が終了する。
「小役(チェリー、スイカ、ベル)」(以下、単に、「チェリー」、「スイカ」、「ベル」と称する場合がある)は、入賞により所定数のメダルが払い出される入賞役で、対応する入賞図柄組合せは、本実施例1の場合、チェリーが「チェリー−ANY−ANY」、スイカが「スイカ−スイカ−スイカ」、ベルが「ベル−ベル−ベル」である。また、対応する払出枚数は、同図に示す通りである。なお、「チェリー−ANY−ANY」の場合、左リール110の図柄が「チェリー」であればよく、中リール111と右リール112の図柄はどの図柄でもよい。
「再遊技(リプレイ)1、2」は、入賞により、次回の遊技でメダル(遊技媒体)の投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役(作動役)であり、メダルの払出は行わない。なお、対応する入賞図柄組合せは、本実施例1の場合、再遊技1が「リプレイ−リプレイ−リプレイ」、再遊技2が「リプレイ−リプレイ−ベル」である。
<抽選データ>
図6は入賞役の抽選順序と、入賞役の抽選に用いられる共通抽選データの内容を示した図である。共通抽選データは、複数の「抽選値データ」と、各々の抽選値データに対応付けされた「役情報データ」によって構成され、これらのデータは、主制御部300のROM312の所定記憶領域に予め記憶される。
「抽選値データ」は、所定の遊技回数における各入賞役の出現回数を示す数値データであり、各入賞役の内部当選確率は、抽選値データの数値を、入賞役の内部抽選時に取得される乱数値の範囲の大きさ(本実施例1では65536)で除した値となる。例えば、本実施例1の場合、抽選順序9のベルに対応する抽選値データ(設定1)は5460であるから、ベルの内部当選確率(設定1)は5460/65536であり、ベルに対応する抽選値データ(設定6)は5500であるから、ベルの内部当選確率(設定6)は5500/65536である。各入賞役の内部当選確率は、設定1〜設定6まで存在し、遊技店の係員等はいずれかを任意に選択し、設定することができる。なお、同図における上向きの矢印「↑」は、後述する抽選処理において、直前の抽選に用いた抽選値データを使用することを意味している(詳細は後述する)。
また、「役情報データ」は、入賞役の情報を記憶するための1バイト長(8ビット長)のデータであり、ボーナス役の種類(本実施例では、BB1、BB2、RB)に関する情報(数値)を記憶する上位4ビットの「ボーナスデータ領域」と、小役の種類(本実施例では、チェリー、スイカ、ベル)に関する情報(数値)と再遊技役(本実施例では再遊技1、2)に関する情報(数値)を記憶する下位4ビットの「小役データ領域」によって構成される。例えば、本実施例1の場合、抽選順序3の役情報データのボーナスデータ領域には「BB1」を示す数値が記憶され、小役データ領域には「チェリー」を示す数値が記憶されている。
図7(a)は加工データの内容を模式的に示した図である。「加工データ(マスクデータ)」は、上述の役情報データの加工(マスク)を行うために用いられる1バイト長(8ビット長)のデータであり、役情報データのボーナスデータ領域のマスクを行うための上位4ビットのボーナスマスクデータと、役情報データの小役データ領域のマスクを行うための下位4ビットの小役マスクデータによって構成される。
同図(b)は役情報データを加工データによって加工する様子を示した概念図である。スロットマシン100は、後述する抽選処理において、役情報データのボーナスデータ領域に記憶された数値(1)が、加工データのボーナスマスクデータの数値(3)よりも大きい場合(1>3)には、役情報データのボーナスデータ領域に記憶された数値(1)を、加工後の役情報データのボーナスデータ領域の数値として記憶する。また、役情報データの小役データ領域に記憶された数値(2)が、加工データの小役マスクデータの数値(4)よりも大きい場合(2>4)には、役情報データの小役データ領域に記憶された数値(2)を、加工後の役情報データの小役データ領域の数値として記憶する。
一方、役情報データのボーナスデータ領域に記憶された数値(1)が、加工データのボーナスマスクデータの数値(3)以下((1)≦(3))の場合には、役情報データのボーナスデータ領域に記憶された数値(1)をマスクして(ハズレを示す情報を設定して)、マスクした数値を、加工後の役情報データのボーナスデータ領域の数値として記憶する。また、役情報データの小役データ領域に記憶された数値(2)が、加工データの小役マスクデータの数値(4)以下((2)≦(4))の場合には、役情報データの小役データ領域に記憶された数値(4)をマスクして(ハズレを示す情報を設定して)、マスクした数値を、加工後の役情報データの小役データ領域の数値として記憶する。
図8は役情報データを加工データによって加工する例を具体的に示した図である。この例では、役情報データのボーナスデータ領域には、RBを示す数値の3、BB1を示す数値の2、BB2を示す数値の1、ハズレを示す数値の0のいずれかが記憶される。また、役情報データの小役データ領域には、チェリーを示す数値の5、スイカを示す数値の4、ベルを示す数値の3、再遊技1を示す数値の2、再遊技2を示す数値の1、ハズレを示す数値の0のいずれかが記憶される。また、加工データのボーナスマスクデータには数値の3(2進数で0011B)、小役マスクデータには数値の0が設定されている。
この例の場合、役情報データのボーナスデータ領域に記憶された数値(この例では1〜3)は、加工データのボーナスマスクデータの数値(この例では3)以下であるから、役情報データのボーナスデータ領域に記憶された数値(1〜3)をマスクして(ハズレを示す数値0を設定して)、マスクした数値を、加工後の役情報データのボーナスデータ領域の数値として記憶する。すなわち、この例では、加工データのボーナスマスクデータに設定した数値の3は「RB以下をマスクする」という意味合いとなる。
一方、役情報データの小役データ領域に記憶された数値(この例では1〜5)は、加工データの小役マスクデータの数値(この例では0)よりも大きいから、役情報データの小役データ領域に記憶された数値(1〜5)を、加工後の役情報データの小役データ領域の数値として記憶する(役情報データの小役データ領域に記憶された数値はマスクされない)。すなわち、この例では、加工データの小役マスクデータに設定した数値の0は「マスクなし」という意味合いになる。
なお、スロットマシン100では、遊技状態に応じて、共通抽選データのほかに「追加抽選データ」を使用する場合があるが、この追加抽選データについては後述する。
<遊技状態の種類>
次に、図9〜図11を用いて、遊技状態の種類について詳細に説明する。なお、図9(a)はRT状態の種類と、各RT状態への移行契機と、対応する遊技状態と、を示した図であり、同図(b)はRT状態の種類と、各RT状態において使用する抽選データの種別と、対応する遊技状態と、を示した図である。また、図10は遊技状態の遷移の様子を示した状態遷移図である。さらに、図11(a)はRT1状態で使用する追加抽選データ、(b)はRT2状態で使用する追加抽選データ、(c)はビッグボーナス状態で使用する追加抽選データ、の内容を模式的に示した図である。
スロットマシン100の遊技状態は、通常遊技状態と、ボーナス内部当選状態と、ボーナス遊技状態と、に大別される。通常遊技状態には、通常遊技RT0モード、通常遊技RT1モードの2種類のRTモードが存在する。
通常遊技RT0モードは、通常遊技の開始時に最初に設定される遊技状態である。この通常遊技RT0モードでは、上記図6に示した共通抽選データのみを用いて入賞役の内部抽選が行われる(詳細は後述する)。
通常遊技RT1モード(再遊技変動遊技)は、再遊技2に対応する図柄組合せ「リプレイ−リプレイ−ベル」が有効ライン上に表示された場合(予め定められた特定図柄の組合せが表示された場合)に移行し、移行後7ゲーム間は、通常遊技RT1モードが継続される(予め定められた規定ゲーム(この例では7ゲーム)が経過した場合にRT0モードに移行する)。この通常遊技RT1モードでは、上記図6に示した共通抽選データに加えて、図11(a)に示されるRT1追加抽選データを用いて入賞役の内部抽選が行われる(詳細は後述する)。
ボーナス内部当選状態には、ボーナス内部当選状態RT2モードが存在する。ボーナス内部当選状態RT2モードは、通常遊技状態においてBB1、BB2、RBのいずれかの役に内部当選した場合に移行する。このボーナス内部当選状態では、上記図6に示した共通抽選データに加えて、図11(b)に示されるRT2状態時加工データと、RT2追加抽選データを用いて入賞役の内部抽選が行われる(詳細は後述する)。
ボーナス遊技状態には、ビッグボーナス遊技(BB遊技)と、レギュラーボーナス遊技(RB遊技、SRB遊技)が存在する。ビッグボーナス遊技は、ボーナス内部当選状態においてBB1に対応する図柄組合せ「白7−白7−白7」、BB2に対応する図柄組合せ「青7−青7−青7」が有効ライン上に表示された場合(BB1またはBB2に入賞した場合)に移行する。レギュラーボーナス遊技は、ボーナス内部当選状態においてRBに対応する図柄組合せ「ボーナス−ボーナス−ボーナス」が有効ライン上に表示された場合(RBに入賞した場合)に移行する。ビッグボーナス遊技では、上記図6に示した共通抽選データに加えて、図11(c)に示されるビッグボーナス時加工データと、追加抽選データを用いて入賞役の内部抽選が行われる(詳細は後述する)。
なお、BB遊技の内容は、複数種類考えられるが、本実施例1では、BB遊技中にSRBに入賞することが可能で、これに入賞するとSRB遊技が開始される。なお、BB遊技は、本実施例1では予め定めたメダル数を獲得した場合(例えば、入賞により獲得したメダル数が465枚に達した場合)に終了する。また、その他の条件を加えてBB遊技の終了条件としてもよく、例えば、SRB遊技を予め定めた遊技回数行った場合(例えば、SRB遊技が3回終了した場合)にBB遊技が終了するようにしてもよい。この場合、SRB遊技が終了するとBB一般遊技に戻るか、或いは、BB遊技が終了する(BB一般遊技の30回目にSRBに入賞してSRBが開始された場合)こととなる。また、RB(SRB)遊技の内容は、複数種類考えられるが、本実施例1では、予め定めた回数(本実施例1では12回)の遊技を行うか、あるいは、役物が予め定めた回数(本実施例1では8回)入賞するかのいずれかの条件が成立することを終了条件とする遊技である。
<主制御部メイン処理>
次に、図12を用いて、主制御部300のメイン処理について説明する。なお、同図は、主制御部300のメイン処理の流れを示すフローチャートである。
遊技の基本的制御は、主制御部300のMainCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、MainCPU310が同図の主制御部メイン処理を繰り返し実行する。
スロットマシン100に電源が投入されると、まず、各種の初期化処理が実行され、その後、主制御部メイン処理のステップS101では、メダル投入に関する処理を行う。ここでは、メダルの投入の有無をチェックし、投入されたメダルの枚数に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。なお、前回の遊技で再遊技に入賞した場合はメダルの投入が不要である。
ステップS102では、遊技のスタート操作に関する処理を行う。ここでは、スタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタート操作されたと判断した場合は、投入されたメダル枚数を確定する。また、副制御部400に対してスタートレバー受付コマンドを送信する。副制御部400は、このスタートレバー受付コマンドを受信することによって遊技の開始を把握する。
ステップS103では、有効な入賞ライン114を確定する。
ステップS104では、乱数発生器317で発生させた乱数を取得する。
ステップS105では、ステップS104で取得した乱数値と、ROM312に格納されている入賞役抽選テーブルを用いて、入賞役の内部抽選を行う(詳細は後述する)。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、その入賞役のフラグが内部的にONになる。
ステップS106では、リール回転開始処理により、全リール110〜112の回転を開始させる。この際、ステップS105の内部抽選結果等に基づき、停止位置データ選択テーブルを参照し、いずれか一つのリール停止制御テーブルを選択する。
ステップS107では、リール停止制御処理により、押されたストップボタン137〜139に対応するリール110〜112の回転を停止させる。この際、各リール110〜112を、ステップS106で選択したリール停止制御テーブルに基づいて停止させる。また、ステップS107では、副制御部400に対して停止図柄コマンドを送信する。副制御部400は、この停止図柄コマンドを受信することによって各リール110〜112の停止図柄位置を把握する。
ステップS108では、ストップボタン137〜139が押されることによって停止した図柄の入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、内部当選した入賞役またはフラグ持越し中の入賞役に対応する入賞図柄組合せが揃った(表示された)場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」が揃っていたならば再遊技1の入賞と判定する。また、入賞した入賞役に対応するフラグがリセットされる。また、ステップS108では、副制御部400に対して入賞判定コマンドを送信する。副制御部400は、この入賞判定コマンドを受信することによって遊技の終了を把握する。
ステップS109では、メダル払出処理を行う。このメダル払出処理では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。
ステップS110では、遊技状態制御処理を行う。詳細は後述するが、この遊技状態制御処理では、遊技状態を移行するための制御が行われ、例えば、BB入賞やSRB入賞の場合に次回からBB遊技またはSRB遊技を開始できるよう準備し、それらの最終遊技では、次回から通常遊技が開始できるよう準備する。
ステップS111では、RT遊技更新処理を行う。ここでは、上述のRTモードの移行に関する処理が行われる。
以上により1遊技が終了し、以降、主制御部メイン処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
<抽選処理>
次に、図13を用いて、上記メイン処理における抽選処理(ステップS105)について説明する。なお、同図は、抽選処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS201では、上述の共通抽選データを用いた共通抽選処理を行う(詳細は後述する)。
ステップS202では、ステップS201の共通抽選処理の結果、キャリーが発生したか否か(抽選結果が確定したか否か)を判断する。そして、キャリーが発生した場合(抽選結果が確定した場合)にはステップS203の処理を行うことなくステップS204に進み、キャリーが発生しなかった場合(抽選結果が確定していない場合)にはステップS203に進む。
ステップS203では、上述の追加抽選データを用いた追加抽選処理を行う(詳細は後述する)。
ステップS204では、副制御部400に対して抽選結果コマンドを送信する。副制御部400は、この抽選結果コマンドを受信することによって内部抽選の結果を把握する。
<共通抽選処理>
次に、図14を用いて、上記抽選処理における共通抽選処理(ステップS201)について説明する。なお、同図は、共通抽選処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS301では、共通抽選データの中から、抽選順序に従って抽選を行う役情報データを取得する。例えば、上記図6に示される共通抽選データを用いて共通抽選処理を行う場合には、最初に、抽選順序1に対応する役情報データ(この例では、チェリー)を取得し、以下、抽選結果が確定するまで、抽選順序に対応する役情報データを抽選順序に従って取得する。
ステップS302では、現在の遊技状態に応じて加工データを取得する。例えば、本実施例1では、遊技状態がボーナス内部当選状態RT2モードの場合には、上記図11(b)に示されるRT2状態時加工データを取得する。
ステップS303では、ROM312に予め記憶された所定の情報を参照して、ステップS301で取得した役情報データは、加工データによる加工(マスク)が必要なデータであるか否かを判断する。そして、加工が必要なデータの場合はステップS304に進み、そうでない場合はステップS305に進む。
ステップS304では、役情報データに対して、加工データによる加工を行う。なお、この例では、共通抽選データの役情報データ1バイトずつ加工する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、共通抽選データの全ての役情報データを一度に加工してもよい。
ステップS305では、前回使用した抽選値(抽選値データ)を使用することを示す使用情報(上記図6の上向き矢印「↑」で示した使用情報)があるか無いかを判断する。そして、使用情報がある場合にはステップS307に進み、使用情報が無い場合にはステップS306に進む。
ステップS306では、取得した役情報データに対応する抽選値を取得する。例えば、上記図6の共通抽選データから抽選順序1の役情報データ(チェリー)を取得した場合には、この役情報データに対応する抽選値(設定1の場合は819、設定6の場合は830)を取得する。
ステップS307では、前回使用した抽選値を取得する。例えば、上記図6の共通抽選データから抽選順序4の役情報データ(BB2、チェリー)を取得した場合には、前回使用した抽選値、すなわち抽選順序3の役情報データ(BB1、チェリー)に対応する抽選値(設定1の場合は8、設定6の場合は12)を取得する。
ステップS308では、ステップS306またはステップS307で取得した抽選値を用いて入賞役の内部抽選を行う。具体的には、上記ステップS104で取得した乱数値から抽選値を減算した結果、キャリーが発生するか否かを判断する。なお、上記ステップS104で取得した乱数値に抽選値を加算し、キャリーが発生するか否かを判断しても良い。
ステップS309では、ステップS308の演算の結果、キャリーが発生したか否かを判断し、キャリーが発生した場合(内部抽選に当選した場合)にはステップS311に進む。一方。キャリーが発生しなかった場合には(内部抽選に当選しなかった場合)にはステップS310に進む。
ステップS310では、共通抽選データに記憶された入賞役の抽選を全て終了したか否かを判断する。そして、抽選を全て終了した場合には処理を終了し、抽選を全て終了していない場合にはステップS301に戻って抽選を継続する。
ステップS311では、キャリーが発生した抽選値に対応する役情報データの役を抽選結果として記憶し、処理を終了する。
<追加抽選処理>
次に、図15を用いて、上記抽選処理における追加抽選処理(ステップS203)について説明する。なお、同図は、追加抽選処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS401では、追加抽選データの中から、抽選順序に従って抽選を行う役情報データを取得する。例えば、上記図11(a)に示されるRT1状態時追加抽選データを用いて追加抽選処理を行う場合には、抽選順序18に対応する役情報データ(この例では、再遊技1)を取得する。なお、抽選順序19以下の追加抽選データが存在する場合には、抽選結果が確定するまで、抽選順序に対応する役情報データを抽選順序に従って取得する。
ステップS402では、まず、取得した役情報データに対応する抽選値を取得する。例えば、上記図11(a)の追加抽選データから抽選順序18の役情報データ(再遊技1)を取得した場合には、この役情報データに対応する抽選値(22230)を取得する。次に、取得した抽選値を用いて入賞役の内部抽選を行う。具体的には、上記ステップS104で取得した乱数値から抽選値を減算した結果、キャリーが発生するか否かを判断する。
ステップS403では、ステップS402の演算の結果、キャリーが発生したか否かを判断し、キャリーが発生した場合(内部抽選に当選した場合)にはステップS406に進む。一方。キャリーが発生しなかった場合には(内部抽選に当選しなかった場合)にはステップS404に進む。
ステップS404では、追加抽選データに規定された入賞役の抽選を全て終了したか否かを判断する。そして、抽選を全て終了した場合には処理を終了し、抽選を全て終了していない場合にはステップS401に戻って抽選を継続する。
ステップS405では、ハズレを抽選結果として記憶して処理を終了する。
ステップS406では、キャリーが発生した抽選値に対応する役情報データの役を抽選結果として記憶し、処理を終了する。
<遊技状態更新処理>
次に、図16を用いて、上記メイン処理における遊技状態更新処理(ステップS110)について説明する。なお、同図は、遊技状態更新処理の流れを示すフローチャートである。
この遊技状態更新処理では、上記図10に示される状態遷移図に従って、通常遊技、BB遊技、RB遊技、SRB遊技の各遊技状態を移行するための制御が行われる。
まず、ステップS501では、現在の遊技状態がボーナスの内部当たりの状態であるか否かを判断する。そして、現在の遊技状態がボーナスの内部当たりの状態のある場合はステップS502に進み、そうでない場合はステップS503に進む。
ステップS502では、BB内部当選の状態を設定し、ステップS503では、内部当選情報の設定を行う。
ステップS504では、RB遊技の残り遊技回数を取得し、ステップS505では、ステップS504で取得したRB遊技の残り遊技回数が0であるか否か(本実施例では、予め定めた回数である12回の遊技が終了しているか否か)を判断する。そして、RB遊技の残り遊技回数が0以外の場合はステップS506に進み、RB遊技の残り遊技回数が0の場合はステップS513に進む。
ステップS506では、RB遊技の残り回数を1つ減算する。
ステップS507では、RB遊技における残りの遊技回数が0であるか否か(本実施例では、RB遊技において12回の遊技が行われたか否か)を判断する。そして、RB遊技における残りの遊技回数が0以外の場合はステップS508に進み、RB遊技における残りの遊技回数が0の場合はステップS511に進む。
ステップS508では、入賞役に対応する入賞図柄組合せがあるか否か、すなわち、何らかの入賞役に入賞しているか否かを判断する。そして、入賞図柄組合せがある場合はステップS509に進み、そうでない場合はステップS513に進む。
ステップS509では、RB遊技における入賞の残り回数を1つ減算し、ステップS510では、RB遊技における入賞の残り回数が0であるか否か(本実施例では、RB遊技において入賞役に8回入賞したか否か)を判断する。そして、RB遊技における入賞の残り回数が0の場合はステップS511に進み、そうでない場合はステップS513に進む。
ステップS511では、RB遊技を終了すべく、RB遊技開始、RB遊技残り回数、および、RB入賞残り回数などのRB遊技に関する情報をクリア(初期化)する。
ステップS512では、入賞判定結果を取得し、ステップS513では、入賞図柄組合せがあるか否かを判断する。そして、入賞図柄組合せがある場合はステップS514に進み、そうでない場合はステップS526に進む。
ステップS514では、ボーナス(BB、RB、SRB)に入賞しているか否かを判断する。そして、ボーナスに入賞している場合はステップS522に進み、そうでない場合はステップS515に進む。
ステップS515では、RB遊技中であるか否かを判断する。そして、そして、RB遊技中であればステップS516に進み、そうでなければステップS526に進む。
ステップS516では、ボーナス終了判定データを取得し、ステップS517では、ボーナス中の獲得メダル枚数がボーナス終了判定データを超えたか否か(本実施例では、ボーナス中の獲得メダル枚数が465枚を超えたか否か)を判断する。そして、ボーナス中の獲得メダル枚数がボーナス終了判定データを超えていない場合はステップS526に進み、ボーナス中の獲得メダル枚数がボーナス終了判定データを超えた場合はステップS518に進む。
ステップS518では、RB遊技を終了すべく、RB遊技中終了情報を設定し、ステップS519では、BB遊技を終了すべく、BB終了情報を設定する。また、ステップS520では、BBの終了設定を行い、ステップS521では、通常遊技の状態を設定する。
ステップS522では、BB内部当選の状態設定をクリアし、ステップS523では、ボーナス入賞情報の設定を行う。また、ステップS524では、BB遊技の状態設定を行い、ステップS525では、RB遊技残り回数の設定など、ボーナスを開始するための設定を行う。
ステップS526では、遊技状態コマンドを副制御部400に送信して処理を終了する。副制御部400は、この遊技状態コマンドを受信することによって、現在の遊技状態を把握する。
次に、図17〜図19を用いて、RT1状態時、RT2状態時、ビッグボーナス状態時の各状態における抽選処理の流れを説明する。
図17はRT1状態時における抽選処理の流れを示した図である。遊技状態がRT1状態の場合には、共通抽選データの中から、抽選順序に従って抽選を行う役情報データを取得するが、RT1状態に対応する加工データは存在しないため、役情報データは加工されることなく、そのまま共通抽選処理に用いられる。
また、共通抽選処理によって抽選結果が決定しなかった場合には、さらにRT1状態時の追加抽選データを用いた追加抽選処理が行われて抽選結果が決定する。なお、共通抽選データのみを用いて内部抽選を行う通常遊技RT0モードの再遊技1の内部当選確率(設定1)は、8041/65536(=約1/8.2)であるが、共通抽選データおよび追加抽選データを用いて内部抽選を行う通常遊技RT1モードの再遊技1の内部当選確率(設定1)は、8041/65536+22230/65536=30271/65536(=約1/2.2)であり、通常遊技RT0モードの再遊技1の内部当選確率1/8.2よりも高くなっている。
また、図18はRT2状態時における抽選処理の流れを示した図である。遊技状態がRT2状態の場合には、共通抽選データの中から、抽選順序に従って抽選を行う役情報データを取得すると共に、RT2状態に対応する加工データ(RB以下をマスク、再遊技2以下をマスク)が取得され、役情報データは加工データによって加工される。この例では、役情報データのボーナスデータ領域のBB1、BB2、RBの情報がハズレを示す数値0に上書きされると共に、小役データ領域の情報のうち、再遊技2の情報がハズレを示す数値0に上書きされる(同図の塗り潰し領域がマスク部分を示す)。すなわち、RT2状態では、BB1、BB2、RB、再遊技2に内部当選することはない。なお、ここでは、役情報データのマスク部分をハズレを示す数値0で上書きする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、役情報データのマスク部分を数値0で上書きすることなく、抽選処理においてマスク部分の数値を無視して抽選を行うように構成してもよい。また、共通抽選処理によって抽選結果が決定しなかった場合には、さらにRT2状態時の追加抽選データを用いた追加抽選処理が行われて抽選結果が決定する。
また、図19はビッグボーナス状態時における抽選処理の流れを示した図である。遊技状態がビッグボーナス状態の場合には、共通抽選データの中から、抽選順序に従って抽選を行う役情報データを取得すると共に、ビッグボーナス状態に対応する加工データ(RB以下をマスク、再遊技1以下をマスク)が取得され、役情報データは加工データによって加工される。この例では、役情報データのボーナスデータ領域のBB1、BB2、RBの情報がハズレを示す数値0に上書きされると共に、小役データ領域の情報のうち、再遊技1、2の情報がハズレを示す数値0に上書きされる(同図の塗り潰し領域がマスク部分を示す)。すなわち、ビッグボーナス状態では、BB1、BB2、RB、再遊技1、再遊技2に内部当選することはない。なお、ここでは、役情報データのマスク部分をハズレを示す数値0で上書きする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、役情報データのマスク部分を数値0で上書きすることなく、抽選処理においてマスク部分の数値を無視して抽選を行うように構成してもよい。また、共通抽選処理によって抽選結果が決定しなかった場合には、さらにビッグボーナス状態時の追加抽選データを用いた追加抽選処理が行われて抽選結果が決定する。ビッグボーナス状態時では、RT0〜2状態には存在しない特殊役であるSRBが追加されており、SRBはビッグボーナス時のみに内部当選することが可能となっている。
図20は本発明に係る遊技台に用いられる抽選データを模式的に示した図である。本発明に係る遊技台は、複数種類の遊技状態の間で共通に使用される共通抽選データと、各遊技状態で個別に使用される、加工データおよび追加抽選データを備える。従来の遊技台は、各遊技状態ごとに異なる抽選データを備えるため、新たな遊技状態が増えた場合、抽選データに使用するメモリ容量が著しく増大するという問題点がある。これに対して、本発明に係る遊技台では、新たな遊技状態が追加されても、新たな遊技状態に対応する加工データおよび追加抽選データのみを追加すれば足り、遊技状態が削除されても、削除される遊技状態に対応する加工データおよび追加抽選データを削除すれば足り、共通抽選データの加工も不要である。したがって、例えば、図21に示すように、通常遊技状態のRTモードが増えた場合でも、共通抽選データを変更することなく、新たに追加された遊技状態(RTモード)に対応する、加工データや追加抽選データを追加すれば足り、限られたメモリ資源を有効利用することができることに加え、抽選データの改変作業が容易で、従来よりも開発スピードを向上させることができる。
以上説明したように、本実施例1に係るスロットマシン100は、所定範囲の数値を発生可能な数値発生手段(本実施例1では乱数発生器317)と、数値発生手段から取得した数値を用いた抽選処理により、抽選結果を決定する抽選処理手段(本実施例1では抽選処理)と、抽選処理手段による抽選処理に用いられる抽選データを記憶する記憶手段(本実施例1ではROM312)と、を備えた遊技台において、記憶手段に記憶された抽選データには、各々の条件で共通して用いられる共通抽選データと、共通抽選データを加工するための加工データと、が少なくとも含まれ、抽選処理手段は、加工データを用いて、共通抽選データから各々の条件(本実施例1では遊技状態の種類)に応じた抽選データを生成して前記抽選処理を行う。
本実施例1に係るスロットマシン100によれば、遊技状態の種類、払出率の設定、遊技に対して用いられるベット数などの条件が異なる場合でも、共通抽選データを流用しつつ加工データの追加や変更によって対応することができる。そのため、開発機種間での抽選データの改変作業が容易で、従来よりも開発スピードを向上させることができる。
また、各々の条件で共通して用いられる共通抽選データが、各々異なる遊技状態の間で共通して用いられる共通抽選データであるため、遊技状態の種類に応じて抽選データが異なる場合でも、抽選データの改変作業が容易で、従来よりも開発スピードを向上させることができる。
なお、本実施例1では遊技状態の種類に応じて共通抽選データの加工を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、各々異なる払出率の設定を変更する設定変更処理を行う設定変更手段を更に備え、前記各々の条件で共通して用いられる共通抽選データが、前記各々異なる払出率の設定の間で共通して用いられる共通抽選データであれば、払出率の設定に応じて抽選データが異なる場合でも、抽選データの改変作業が容易で、従来よりも開発スピードを向上させることができる。また、遊技者の操作によって、遊技に対して用いられる遊技媒体の量に関する情報を記憶するベット数記憶手段を更に備え、前記各々の条件で共通して用いられる共通抽選データが、各々異なる前記遊技媒体の量の間で共通して用いられる共通抽選データであれば、ベット数(賭け数)に応じて抽選データが異なる場合でも、抽選データの改変作業が容易で、従来よりも開発スピードを向上させることができる。
また、加工データは、共通抽選データよりもデータ容量が小さいため、各々の条件ごとに新たに作成するデータや、変更を施すデータを少なくすることができ、抽選データの改変作業が更に容易となる。
また、抽選データには、共通抽選データよりもデータ容量が小さく、遊技状態別に設けられた追加抽選データが更に含まれ、抽選処理手段は、共通抽選データを用いた抽選処理(本実施例1では共通抽選処理)によって抽選結果が決定しなかった場合に、追加抽選データを用いた抽選処理(本実施例1では追加抽選処理)を更に行い、抽選結果を決定するため、共通抽選データには無い新たな抽選結果を容易に加えることができる。
また、共通抽選データには、遊技者によって有利なボーナス遊技を開始させるためのボーナス役を少なくとも含む役の種類に関する情報が記憶されるボーナスデータ領域と、遊技媒体の配当が得られる小役を少なくとも含む役の種類に関する情報が記憶される小役データ領域と、によって構成された役情報データが含まれ、加工データには、役情報データのボーナスデータ領域または小役データ領域に記憶された役のうち、いずれの役を加工するか否かの情報が、役情報データのボーナスデータ領域または小役データ領域に対応して記憶されているため、ボーナス役と小役という遊技者にとって有利度の異なる役を別々に加工することができる。
また、役情報データと加工データのデータ長(本実施例1では1バイト長)、役情報データのボーナスデータ領域と加工データのボーナスマスクデータのデータ長(本実施例1では4ビット長)、および、役情報データの小役データ領域と加工データの小役マスクデータのデータ長(本実施例1では4ビット長)がそれぞれ同一であるため、役情報データの加工を迅速且つ容易に行うことができ、制御負担を軽減することができる。
また、抽選処理手段による抽選処理は、共通抽選データから役情報データを取得し、取得した役情報データを加工データを用いて加工し、取得した役情報データに対応する抽選値データと数値発生手段から取得した数値とを用いて抽選結果を決定するための所定の演算を行い、この所定の演算によって抽選結果が決定されなかった場合には、共通抽選データから次の役情報データを取得し、取得した役情報データを加工データを用いて加工し、次の演算を行うため、抽選処理を迅速に行うことができる。なお、抽選処理手段による抽選処理は、共通抽選データに記憶された全ての役情報データを加工データを用いて加工した後に、役情報データに対応する各抽選値と数値発生手段から取得した数値とを用いて抽選結果を決定するための所定の演算を行えば、加工の処理と抽選処理を分離させることができ、プログラムの再利用性や保守性を高めることができる。
また、共通抽選データには、抽選処理手段による抽選処理が役情報データに対応する抽選値データを取得する際に直前の演算に用いられた抽選値データを今回の演算にも使用するか否かを示す使用情報が更に含まれているため、抽選処理において抽選値データを新たに取得する必要が無く、抽選処理を迅速に行うことができる上に、重複した抽選データを記憶しておく必要も無く、限られたメモリ資源を有効利用することができる。
また、加工データには、抽選処理手段による抽選処理の結果、遊技者にとって有利なボーナス遊技を開始させるためのボーナス役に内部当選した場合に、ボーナス役を加工する情報が少なくとも含まれているため、ボーナスの内部当選時には不要なボーナス役の情報をマスクすることができる。
また、複数種類の遊技の中から所定の遊技を設定する遊技設定手段(本実施例1では遊技状態更新処理)を更に備え、遊技設定手段は、抽選処理手段による抽選処理の結果、遊技者にとって有利なボーナス遊技を開始させるためのボーナス役に内部当選し、そのボーナス役に対応する図柄組合せが表示された場合には、ボーナス遊技を設定し、加工データには、遊技設定手段によってボーナス遊技が設定されている場合に、設定されたボーナス遊技に対応するボーナス役と、遊技に対して遊技媒体を用いることなく遊技可能な再遊技役とを加工する情報が少なくとも含まれているため、ボーナス遊技中には不要なボーナス役、再遊技役の情報をマスクすることができる。
また、追加抽選データには、遊技に対して遊技媒体を用いることなく遊技可能な再遊技役の情報が少なくとも含まれているため、再遊技役の情報を抽選データに容易に加えることができる。
また、遊技設定手段によってボーナス遊技が設定されている場合にのみ内部当選することが可能な特殊役(本実施例1ではSRB役)の情報が少なくとも含まれているため、特殊役の情報を抽選データに容易に加えることができる。
なお、本発明は、複数種類の図柄が施された複数のリール110〜112と、リールの回転を指示するための回転指示手段(スタートレバー135)と、各々のリールに対応して設けられ、リールの回転を個別に停止させるための停止指示手段(ストップボタン137〜139)と、抽選処理手段の抽選結果に基づいてリールの回転の停止に関する停止制御を行うリール停止制御手段(リール制御処理)と、抽選処理手段の抽選結果に基づいてリール110〜112の予め設定された有効ライン上において所定の図柄組合せが停止表示され、表示窓113上における停止時のリールに表示される図柄組合せが内部当選した役に対応して予め定めた図柄組合せであるか否かの判定をする判定手段(入賞判定処理)と、を備えたスロットマシンに好適であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、遊技球(例えば、パチンコ玉)を遊技媒体としたパチンコ遊技機などにも適用可能である。
ここで、本発明が適用されるパチンコ遊技機としては、リール(回転体)などの可動体を有し所定の図柄(識別情報)を変動表示する可変表示装置を備え、始動口に遊技球が入って入賞することを契機として、可変表示装置で図柄を変動させた後に図柄を停止表示し、遊技状態の推移を告知するようなパチンコ遊技機が一例として挙げられる。
このようなパチンコ遊技機では、遊技球が始動口に入球すると、抽選を行い、この抽選結果が当りであるか否かを判定する。そして、この抽選で大当たりに当選すると、可変表示装置により、特定の図柄による組合せ(大当たり図柄;例えば、777など)を表示し、大当たり状態に移行する。大当たり状態では、大入賞口を、例えば、所定の時間または所定の回数、開放させ続けるので、遊技球は入球しやすい状態となり、遊技者にとって有利な状態が実現されるようになっている。また、特定の図柄による組合せ(大当たり図柄)が、確率変動を伴う大当たり図柄(確変図柄)である場合には、次に大当たりとなる確率を高く設定するため、遊技者にとってさらに有利な状態が実現される。
また、上記実施例に記載された作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、上記実施例に記載されたものに限定されるものではない。