JP4707564B2 - 多孔質炭化物の製造方法及びそれによって得られた多孔質炭化物 - Google Patents

多孔質炭化物の製造方法及びそれによって得られた多孔質炭化物 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質炭化物の製造方法及びそれによって得られた多孔質炭化物に係り、特に、フェノール樹脂を原料として用いた多孔質炭化物の製造方法に関するものである。
従来より、活性炭等の炭化物を製造する方法の一つとして、フェノール樹脂を、還元雰囲気下にて焼成することにより炭化させて、製造する方法が知られており、様々な組成のフェノール樹脂であって粒状や球状等を呈するものが、その原料として用いられている。
そのような炭化物を製造する際の原料たるフェノール樹脂としては、例えば特許文献1(特公昭62−30211号公報)において提案されている特殊フェノール樹脂等が知られており、かかる特殊フェノール樹脂は、高い収率(炭化収率)にて炭化物を得ることが可能なものであるところから、従来より広く用いられている。また、特許文献1に記載の特殊フェノール樹脂のみならず、炭化物製造の際に用いられるフェノール樹脂については、現在に至るまでの間、炭化収率を主眼として研究、開発が進められている。
ここで、得られる炭化物には、種々の化学物質や細菌等を捕捉することが可能な細孔を多く有する多孔質体であることが望まれていると共に、対象とする細菌等を効率的に捕捉するために、その細孔の大きさ(細孔径)が均一であることも要求されている。
しかしながら、従来の炭化物の製造方法においては、上述したような炭化収率の向上のみを目的として開発されたフェノール樹脂が主として用いられていたため、多孔質体であって、その細孔の大きさが均一な炭化物を得ることが出来る多孔質炭化物の製造方法の開発が、望まれているのが現状である。
なお、フェノール樹脂を酸触媒によって硬化せしめて、得られた硬化物を焼成することにより多孔質炭化物を製造することも考えられるのであるが、酸触媒を用いて硬化せしめられたフェノール樹脂の硬化物にあっては、その中心部付近には比較的大きな細孔が存在する一方、周辺部には比較的小さな細孔が存在するものであるため、そのような硬化物を焼成して得られる炭化物も、中心部付近と周辺部における細孔の大きさにバラツキがあり、均一な多孔質炭化物とは言い難いものであった。
特公昭62−30211号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、細孔の大きさが均一な多孔質炭化物を有利に製造することが出来る製造方法を提供することにある。また、本発明は、かかる製造方法にて製造された多孔質炭化物を提供することをも、その課題とするものである。
そして、本発明者は、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、水溶性フェノール樹脂、有機強塩基及び水を必須成分とし、且つアルカリ金属イオンの含有量が所定量となるように調整された硬化性組成物を、有機エステル化合物にて硬化せしめ、得られた硬化物を焼成すると、細孔の大きさが均一な多孔質炭化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、水溶性フェノール樹脂、有機強塩基及び水を必須成分とし、且つアルカリ金属イオンの含有量が0〜2重量%となるように調整された硬化性組成物を用いて、かかる硬化性組成物を有機エステル化合物にて硬化せしめ、得られた硬化物を焼成することを特徴とする多孔質炭化物の製造方法を、その要旨とするものである。
なお、本発明に従う多孔質炭化物の製造方法における好ましい態様の一つにおいては、前記有機強塩基が、水酸化アルキルアンモニウムである。
また、本発明に係る多孔質炭化物の製造方法における好ましい態様の他の一つにおいては、前記硬化性組成物において、前記有機強塩基が、前記水溶性フェノール樹脂のフェノール性水酸基に対して、モル比で、0.3〜1.5となるように含有せしめられている。
さらに、本発明の製造方法における望ましい態様の一つにおいては、前記水酸化アルキルアンモニウムが、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンからなる群より選ばれた少なくとも1種である。
また、本発明の製造方法における別の望ましい態様の一つにおいては、前記硬化性組成物が、更にアミン類を含有するものである。
一方、本発明は、上述したような各製造方法に従って製造された多孔質炭化物をも、その要旨とするものである。
このように、本発明に従う多孔質炭化物の製造方法においては、水溶性フェノール樹脂、有機強塩基及び水を必須成分とする硬化性組成物であって、アルカリ金属イオンの含有量が所定量に調整されたものを用いて、先ず、かかる硬化性組成物と有機エステル化合物とを反応させるのであり、これにより、その内部に、比較的均一な大きさを有する多数の水の粒子を包含してなる(フェノール樹脂)硬化物が得られる。そして、得られた硬化物を焼成することにより、硬化物中における水の粒子が存在していた部分が細孔となり、以て、細孔の大きさが均一な多孔質炭化物が得られるのである。
かかる優れた効果は、特に、1)前記有機強塩基として水酸化アルキルアンモニウムを用いたり、2)前記硬化性組成物において、前記有機強塩基が、前記水溶性フェノール樹脂のフェノール性水酸基に対して、モル比で、0.3〜1.5となるように含有せしめたり、3)前記水酸化アルキルアンモニウムとして、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンからなる群より選ばれた少なくとも1種を用いることにより、より有利に享受することが可能である。
また、本発明に従う多孔質炭化物の製造方法にあっては、有機エステル化合物と反応させる前の硬化性組成物中に、更にアミン類を含有せしめることにより、得られる多孔質炭化物中の細孔の大きさを制御する(大きくする)ことが可能である。
そして、そのような製造方法に従って製造された多孔質炭化物にあっては、均一な大きさの細孔を有するものであるため、例えば、吸着剤等の用途に好適に用いられ得るのである。
ところで、上記せるように、本発明に従う多孔質炭化物の製造方法において用いられる硬化性組成物は、水溶性フェノール樹脂、有機強塩基及び水を必須成分とするものであり、具体的には、水を主体とする水系媒体、例えば、水のみからなる媒体や、水にアルコール類、ケトン類、エーテル類等を含有させた媒体等の中に、アルカリ触媒下で製造される水溶性フェノール樹脂を主成分として含有する硬化性組成物であって、有機エステル化合物と接触せしめられることにより、かかる有機エステル化合物の加水分解作用により硬化せしめられるものである。このため、有機エステル化合物を混合せしめた際に、かかる有機エステル化合物の加水分解反応が良好に実現され得るように、従来より、硬化性組成物のpHは適宜に調整されているのであるが、本発明に従う多孔質炭化物の製造方法においては、そのpHが有機強塩基にて調整され、且つ、アルカリ金属イオンの含有量が、零とされるか、或いは、実質的に影響しない程度にまで可及的に少なくされた硬化性組成物が、用いられるのである。
具体的には、本発明において用いられる硬化性組成物は、従来から公知の、水溶性フェノール樹脂を用いたエステル硬化型の硬化性組成物と同様に、水系媒体に、水溶性フェノール樹脂が主成分として含有せしめられ、更に必要に応じて、公知の各種の添加剤が含有せしめられて、構成されるものであるが、本発明においては、アルカリ金属イオンの含有量が0〜2重量%とされた硬化性組成物が用いられる。
なお、従来より、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等)が、水溶性フェノール樹脂を合成する際の触媒として、また、硬化性組成物を塩基性に調整するためのアルカリ調整剤(pH調整剤)として用いられることによって、硬化性組成物中に、アルカリ金属イオンが必然的に存在することとなるのであるが、本発明においては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機強塩基に代えて、アルカリ金属イオンを含まない有機強塩基を用いるようにしたのである。
ここで、アルカリ金属イオンの含有量が2重量%を超える硬化性組成物を用いると、かかる硬化性組成物と有機エステル化合物との反応物(硬化物)を焼成する際に、アルカリ金属イオンによって反応物(硬化物)の燃焼が促進され、その結果、炭化収率が低くなる恐れがある。このようなことから、本発明においては、用いられる硬化性組成物中のアルカリ金属イオンの含有量は、可及的に少なくされていることが望ましいのであり、上記した範囲(0〜2重量%)の中でも、特に、0〜1重量%とされることが、より一層望ましい。
また、アルカリ金属の水酸化物の代替として用いられる有機強塩基としては、アルカリ金属イオンを含まず、強アルカリ性を示すものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム(コリン)等の水酸化アルキルアンモニウム、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン(DBN)等を挙げることが出来、これらのうちの1種若しくは2種以上が適宜に選択されて、使用されるのである。これらの中でも、水に溶解すると水酸化物イオンとカチオンに略完全に解離する、TMAH、TEAH、TPAH、ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の水酸化アルキルアンモニウムが、特に好適に用いられることとなる。因みに、有機の塩基であっても、弱塩基に分類されるアンモニアやトリエチルアミン(TEA)を用いた場合には、硬化性組成物が充分に硬化せず、実用に供することが出来ないものとなる。
さらに、硬化性組成物中における有機強塩基の含有量としては、特に制限されるものではないものの、水溶性フェノール樹脂の製造に用いられる触媒としての含有分と、アルカリ調整剤としての含有分とを合わせた合計量において、水溶性フェノール樹脂のフェノール性水酸基に対して、モル比で、0.3〜1.5、好ましくは、0.6〜1.2となる割合において、含有せしめられることが望ましい。何故ならば、かかる有機強塩基の含有量が少な過ぎる場合には、有機エステル化合物の加水分解が充分に行なわれなくなって、硬化し難くなる傾向があるからであり、また、有機強塩基の含有量が多過ぎる場合には、水溶性フェノール樹脂の含有量が相対的に低くなって、硬化し難くなる傾向があるからである。
一方、本発明において用いられる硬化性組成物の主成分である水溶性フェノール樹脂は、有機エステル化合物にて硬化することが可能な樹脂であり、従来から公知の各種のフェノール樹脂と同様に、アルカリ触媒の存在下で、フェノール化合物とアルデヒド化合物とを、付加・縮合させることによって得られるものである。具体的に、かかる水溶性フェノール樹脂の原料であるフェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノール、その他置換フェノール等、公知の各種のフェノール化合物を例示することが出来、これらのうちの1種が単独で、或いは2種以上が混合されて、用いられることとなる。また、アルデヒド化合物にあっても、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ホルマリン、ポリオキシメチレン、グリオキザオール、フルフラール等、従来から公知のアルデヒド化合物を例示することが出来、これらのうちの1種が単独で、或いは2種以上が混合されて、用いられることとなる。なお、これらフェノール化合物とアルデヒド化合物は、必要に応じて、水系媒体に溶解され、水溶液の形態で製造に供されることも可能である。また、上記したフェノール化合物とアルデヒド化合物は、従来と同様な配合割合、即ち、フェノール化合物に対するアルデヒド化合物のモル数が、1.2〜2.5倍モル程度、好ましくは0.6〜1.2倍モル程度となる配合割合にて、用いられる。
また、かかる水溶性フェノール樹脂の製造時に用いられるアルカリ触媒としては、上述せるように、硬化性組成物中に含有されるアルカリ金属イオンの量が可及的に少なくなるように、上記の如き有機強塩基が有利に採用されることとなる。なお、アルカリ触媒は、一般に、フェノール化合物に対するアルカリ触媒のモル数が、0.01〜2.0倍モル程度、好ましくは0.05〜1.0倍モル程度となる配合割合にて、用いられる。
そして、水溶性フェノール樹脂は、常法に従って、上記したフェノール化合物とアルデヒド化合物とを、アルカリ触媒の存在下で反応せしめることによって、一般に、500〜8000程度の重量平均分子量のものとされて、本発明における硬化性組成物の主成分として、用いられることとなる。なお、このようにして得られる水溶性フェノール樹脂には、ビスフェノール−ホルムアルデヒド樹脂が配合されても良く、また、尿素、メラミン、シクロヘキサン等のホルマリン縮合が可能なモノマーを、主たる構成単位とならない程度において共縮合させることも可能である。
そのようにして得られた水溶性フェノール樹脂に対して、水系媒体が適宜に加えられることによって、水溶性フェノール樹脂の最終的な含有量が、一般に、30〜75重量%程度とされた硬化性組成物が調製されるのである。また、かかる硬化性組成物には、有機エステル化合物の加水分解を効果的に行なうことが出来るように、有機強塩基が適宜に加えられて、pHが調整されることとなる。
なお、かかる硬化性組成物のpHの値としては、有機エステル化合物を効果的に加水分解して、水溶性フェノール樹脂の硬化反応を有利に実現することが出来る程度のアルカリ性であれば、特に限定されるものではないものの、一般に、9以上、好ましくは、11以上となるように、調整されることが望ましい。但し、pH調整に用いられる有機強塩基の使用量としては、前述せるように、水溶性フェノール樹脂の製造に用いられる触媒分とを合わせて、水溶性フェノール樹脂のフェノール性水酸基に対して、モル比で、0.3〜1.5とされることが望ましい。
そして、本発明に従う多孔質炭化物の製造方法においては、上述せる如き水溶性フェノール樹脂を主成分とし、更に、必要に応じて各種の添加剤が添加、含有せしめられることによって調製された硬化性組成物と、別途、準備される有機エステル化合物とを接触せしめることにより、かかる硬化性組成物を硬化せしめるのである。
すなわち、硬化性組成物と有機エステル化合物とを反応せしめると、フェノール樹脂の硬化反応が進行し、フェノール樹脂における架橋密度が大きくなるに従って、均一相であったフェノール樹脂水溶液が、水を主体とする水系媒体(以下、単に水系媒体と言う。)からなる相と、フェノール樹脂からなる相とに、相分離する。この相分離は、スピノーダル分相に従い、水を主体とする水系媒体の粒子であって比較的均一な大きさを有するものが、フェノール樹脂相の内部に分散するように起こるのであり、その結果、内部に、水系媒体の微細な粒子が分散して存在する(フェノール樹脂)硬化物が有利に得られるのである。
ここで、硬化性組成物を硬化せしめる際に用いられる、硬化剤たる有機エステル化合物としては、従来から公知のものが、何れも用いられ得るのであり、例えば、カーボネート類、ラクトン類、炭素数1〜10の1価又は多価アルコールと炭素数1〜10の有機カルボン酸とから導かれる有機カルボン酸エステル等を例示することが出来、それらが単独で、或いは2種以上が組み合わされて、用いられることとなる。具体的には、γ−ブチロラクトン、プロピオンラクトン、ε−カプロラクトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノアセテート、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が、好適に用いられる。
なお、かかる有機エステル化合物は、上述せしめた硬化性組成物を硬化させるのに充分な量であれば、その使用量は特に限定されるものではないが、一般に、水溶性フェノール樹脂(固形分)の100重量部に対して、0.01〜90重量部程度、好ましくは1〜60重量部程度、更に好ましくは10〜50重量部程度の割合において、使用される。
また、有機エステル化合物を用いて硬化性組成物を硬化せしめる際には、水系媒体の粒子が硬化物の内部に分散するスピノーダル分相が均一に起こり得るように、穏やかな温度条件を採用する必要があり、具体的には、0〜80℃の条件下において実施される。80℃を超える温度の下では、スピノーダル分相が効果的に起こらず、水系媒体の粒子を硬化物の内部に有利に分散せしめることが困難となる恐れがあり、一方、0℃未満の温度では、水溶性フェノール樹脂の硬化が効果的に進行しない恐れがあるからである。
さらに、本発明においては、得られる多孔質炭化物における細孔の大きさを制御するために、硬化性組成物中にアミン類を含有せしめることが好ましい。アミン類を添加した硬化性組成物を有機エステル化合物と反応させ、得られた硬化物を焼成すると、アミン類を配合しない硬化性組成物を用いて得られる多孔質炭化物と比較して、細孔の大きさ(細孔径)が比較的大きい多孔質炭化物が得られるのである。
なお、硬化性組成物中にアミン類を含有せしめることにより、得られる多孔質炭化物の細孔の大きさを制御することが出来る理由については、明らかにされているものではないが、本発明者は、以下のように推測する。即ち、硬化性組成物中に添加されたアミン類が、水溶性フェノール樹脂の水酸基に配位することにより極性を下げ、その結果、水溶性フェノール樹脂と水系媒体との相溶性が低下し、水溶性フェノール樹脂と水系媒体とが相分離し易い状態が形成される。この状態で硬化反応が起こると、アミン類を添加しない場合と比べて、反応の早い段階で、水溶性フェノール樹脂の相と水系媒体の相とに相分離するようになる。そして、硬化反応が充分に進行するまでの間に、相分離した水系媒体の粒子同士が合わさり、成長して、アミン類を加えない場合よりも大きな水系媒体の粒子を包含した硬化物が得られることとなり、以て、かかる硬化物を焼成してなる多孔質炭化物にあっては、その細孔の大きさが比較的大きなものとなるのである。なお、細孔の大きさは、添加するアミン類の量により制御することが可能であることから、目的とする細孔の大きさに応じて、アミン類の使用量が適宜に決定されることとなるが、例えば、硬化性組成物の100重量部に対して、0.5〜10重量部程度の割合となるような量において、また、平均細孔径を100nm以上とする場合には、好ましくは1.5〜10重量部程度の割合となるような量において、アミン類が使用される。
ここで、そのようなアミン類としては、従来より公知のものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、2−アミノ−2−メチルプロパン−1,3−ジオール等を使用することが出来る。
なお、本発明において、アミン類は、水溶性フェノール樹脂を合成する際のみならず、水溶性フェノール樹脂の合成後に添加しても良く、最終的に有機エステル化合物と反応させるまでに硬化性組成物中に配合されていれば、その配合目的を享受することが可能である。
そして、上述の如くして得られた(フェノール樹脂)硬化物を、従来より公知の焼成方法に従って焼成することにより、かかる硬化物に内包せしめられた、比較的均一な大きさの水系媒体の粒子が蒸発し、粒子が存在していた部分が効果的に細孔となり、以て、均一な細孔を有する多孔質炭化物が得られるのである。なお、硬化物の焼成は、炭化収率を向上させる等の観点から、窒素雰囲気下等の還元雰囲気下で実施されることが好ましい。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。なお、本実施例において、合成した水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量の測定は、以下のようにして行なった。
−重量平均分子量の測定−
合成した水溶性フェノール樹脂に、少量のテトラヒドロフラン(THF)を加えた後、ギ酸を加えて、中和を行なった。これを、所定量のテトラヒドロフラン(THF)に溶解することにより、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用のサンプルを調製した。そして、この調製されたGPC用サンプルを、東ソー株式会社製のゲル濾過クロマトグラフにかけて、得られた分子量分布チャートより、重量平均分子量を求めた。なお、カラムとしては、サンプル導入側より順に、東ソー株式会社製のガードカラム(TSK guardcolumn HXL-L )と、測定カラム(TAK gel G1000HXL、TSK gel G2000HXL)を接続したものを用いた。また、標準物質としては、東ソー株式会社製のポリスチレンを採用し、溶出液:THF、流速:1mL/min(圧力:40〜70kg/cm2 )、カラム温度:40℃、検出器:UV検出器、分子量計算の為の分割法:時間分割(10秒)とした。
先ず、以下の如くして硬化性組成物を調製した。
攪拌機、還流コンデンサー、温度計を備えた3つ口フラスコ内に、フェノールの467重量部と、92%パラホルムアルデヒドの324重量部(2モル/フェノール)とを加え、その後、アルカリ触媒として、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の362重量部(0.2モル/フェノール)を、1時間かけて徐々に添加し、攪拌しながら湯浴上で80℃まで徐々に加熱した後、その温度を維持して、還流下で反応させ、重量平均分子量が1250である水溶性フェノール樹脂の水溶液を得た。その後、かかる水溶性フェノール樹脂を含有する反応液に対して、更に、アルカリ調整剤として、25%TMAH水溶液の995重量部(0.55モル/フェノール)、尿素の39重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの9.8重量部を、それぞれ、添加することにより、アルカリ金属イオンが含有せしめられていない硬化性組成物(樹脂固形分:49%)を調製した。なお、上記「モル/フェノール」は、フェノール性水酸基に対するモル比を示している。
得られた硬化性組成物を用いて、その硬化物及び多孔質炭化物を製造した。
−硬化物Aの製造−
上述のようにして得られた硬化性組成物の30重量部と、有機エステル化合物たるγ−ブチロラクトンの6重量部とを混合することにより、フェノール樹脂硬化物(硬化物A)を得た。得られた硬化物Aの内部構造について、走査型電子顕微鏡で観察した。かかる硬化物Aの電子顕微鏡写真(撮影倍率:2000倍)を、図1に示す。
−硬化物Bの製造−
レゾール系フェノール樹脂(商品名:AVライトHP3000A、旭有機材工業株式会社製)の100重量部に対して、酸触媒としての50%キシレンスルホン酸水溶液を20重量部、配合して、常温(25℃)にて混合することにより、フェノール樹脂硬化物(硬化物B)を得た。得られた硬化物Bについて、硬化物Aと同様に、その内部構造を走査型電子顕微鏡で観察した。硬化物Bの電子顕微鏡写真(撮影倍率:2000倍)を、図2に示す。
かかる図1及び図2から明らかなように、アルカリ金属イオンを含有しない硬化性組成物を、有機エステル化合物にて硬化せしめた硬化物Aにあっては、フェノール樹脂を酸触媒にて硬化せしめて得られた硬化物Bと比較して、その細孔の大きさ(細孔径)が均一で、また、より小さいことが認められた。
−多孔質炭化物1の製造−
上記のようにして得られた硬化物Aを、窒素雰囲気下で、常温から毎分2.5℃の昇温速度にて800℃まで昇温した後、800℃で3時間、焼成した。その後、毎分2.5℃の徐冷速度にて常温まで徐冷することにより、多孔質炭化物1を得た。
−多孔質炭化物2〜4の製造−
先に準備した硬化性組成物の30重量部と、有機エステル化合物たるγ−ブチロラクトンの6重量部と、更に、アミン類たるジエタノールアミンの下記表1に掲げる配合量を用いて、これらを混合することにより、3種類の硬化物を得た。得られた3種類の硬化物を、硬化物Aと同様の条件にて焼成し、徐冷することにより、多孔質炭化物2〜4を得た。
そのようにして得られた多孔質炭化物1〜4の内部構造を、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEM−6700F)にて観察した。各硬化物の電子顕微鏡写真を、図3〜図6にそれぞれ示す。なお、図3及び図4は、撮影倍率:100000倍にて撮影したものであり、図5は撮影倍率:50000倍、図6は撮影倍率:25000倍にて、それぞれ撮影したものである。また、電子顕微鏡写真内に撮影された細孔のうちの50個について、各々の直径を測定し、その測定結果より平均細孔径を算出した。得られた平均細孔径を、下記表1に併せて示す。
Figure 0004707564
図3〜図6及び表1の結果からも明らかなように、アミン類を配合せしめた硬化性組成物を用いて得られた多孔質炭化物2〜4にあっては、アミン類を配合していない硬化性組成物を用いて得られたもの(多孔質炭化物1)と比較して、その平均細孔径が大きく、また、アミン類の配合量が多くなるに従って、平均細孔径も大きくなることが認められたのである。
本発明に従って多孔質炭化物を製造する際の中間生成物たる、フェノール樹脂硬化物(硬化物A)の電子顕微鏡写真(撮影倍率:2000倍)である。 酸触媒を用いて硬化せしめたフェノール樹脂硬化物(硬化物B)の電子顕微鏡写真(撮影倍率:2000倍)である。 本発明に従って製造された多孔質炭化物(多孔質炭化物1)の電子顕微鏡写真(撮影倍率:100000倍)である。 本発明に従って製造された多孔質炭化物(多孔質炭化物2)の電子顕微鏡写真(撮影倍率:100000倍)である。 本発明に従って製造された多孔質炭化物(多孔質炭化物3)の電子顕微鏡写真(撮影倍率:50000倍)である。 本発明に従って製造された多孔質炭化物(多孔質炭化物4)の電子顕微鏡写真(撮影倍率:25000倍)である。

Claims (5)

  1. 水溶性フェノール樹脂、有機強塩基及び水を必須成分とし、且つアルカリ金属イオンの含有量が0〜2重量%となるように調整された硬化性組成物を用いて、かかる硬化性組成物を有機エステル化合物にて硬化せしめ、得られた硬化物を焼成することを特徴とする多孔質炭化物の製造方法。
  2. 前記有機強塩基が、水酸化アルキルアンモニウムであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質炭化物の製造方法。
  3. 前記硬化性組成物において、前記有機強塩基が、前記水溶性フェノール樹脂のフェノール性水酸基に対して、モル比で、0.3〜1.5となるように含有せしめられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多孔質炭化物の製造方法。
  4. 前記水酸化アルキルアンモニウムが、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の多孔質炭化物の製造方法。
  5. 前記硬化性組成物が、更にアミン類を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の多孔質炭化物の製造方法。
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