JP4707215B2 - ガイドローラ及びそれを用いたセラミック電子部品の製造装置並びにそれによるセラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

ガイドローラ及びそれを用いたセラミック電子部品の製造装置並びにそれによるセラミック電子部品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば,帯状のプラスチックフィルム,紙製シート等を搬送する際に採用される搬送用ガイドローラ及び該搬送用ガイドローラを用いたセラミック電子部品の製造装置並びにそれらによる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、セラミック電子部品の製造装置の一例として、所定厚さのセラミックグリーンシートが敷設されたキャリアフィルムを複数本のガイドローラにより、電極印刷部,電極乾燥部,セラミックシート打ち抜き部に順次搬送し、これによりセラミック素子を形成するようにしたものがある(特許公報第2504277号参照)。
【0003】
この種の搬送用ガイドローラには、軽量で剛性の高いアルミ材料が一般的に使用されている。また近年では、キャリアフィルムの搬送速度の高速化に伴ってさらなる軽量化を図る観点から、機械的強度の高い炭素繊維強化樹脂の採用が検討されている。
【0004】
ところで炭素繊維強化樹脂をそのままガイドローラとして使用した場合には、キャリアフィルムとの摩擦に起因してローラ表面が磨耗し、表面に炭素繊維が露出する場合があり、キャリアフィルムが傷ついたり,スリップしたりするおそれがある。
【0005】
このような炭素繊維強化樹脂の磨耗を防止するには、炭素繊維強化樹脂の外表面に耐磨耗性に優れた金属皮膜,例えばCrメッキを施すことが考えられる。しかしながら、Crは比重が7.2g/cm3 と比較的高いことから、重量増となって炭素繊維強化樹脂による軽量化のメリットが無くなるという問題がある。
【0006】
また上記磨耗を防止する観点から、炭素繊維強化樹脂の外表面に金属やセラミックスを溶射することが考えられる。ところが、炭素繊維強化樹脂は熱の拡散性や溶射物との密着性が低く、場合によっては溶射層が割れたり、剥離したりするおそれがある。
【0007】
このような溶射金属の割れや剥離の問題を解消するために、従来、炭素繊維強化樹脂の表面に金属との密着性を高めるための下地処理を施し、この下地処理層の表面に金属溶射層を形成する場合がある(例えば、特開昭61−217566号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来公報のように繊維強化樹脂に下地処理層を形成する場合には、下地処理を行なう分だけ製造工数が増えるとともに、ローラ重量が増えるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、下地処理を行なうことなく密着性を高めることができ、ひいては製造工数の削減及びローラのさらなる軽量化を図ることができるガイドローラ及びそれを用いたセラミック電子部品の製造装置並びにそれによるセラミック電子部品の製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本件発明者らは、繊維強化樹脂に金属を溶射する際の割れや剥離の問題を解消するために鋭意検討したところ、金属溶射層の厚さを規制することによって繊維強化樹脂との密着性を高めることができ、もって下地処理を不要にできることを見出し、本発明を成したものである。
【0011】
そこで請求項1の発明は、 繊維強化樹脂からなるローラ本体の外表面に下地処理を行うことなく厚さ50〜1000μmの金属溶射層のみを直接形成し、該金属溶射層が、200℃〜1000℃の融点を有し、アルミに亜鉛を含有する低融点金属からなることを特徴とするガイドローラである。
【0012】
ここで、上記金属溶射層の厚さを50〜1000μmと規制したのは、耐磨耗性及び表面を平滑にするための研磨代を確保するには少なくとも50μm以上が必要であり、また1000μmを越えるとローラ本体の外径によっては金属溶射層に割れや欠けが生じるおそれがあるからである。特に、金属溶射層の厚さを300μm以下とした場合には、より強固な密着性を得ることができる。
【0013】
また繊維強化樹脂には、炭素繊維,ガラス繊維,ポリアミド系繊維等の採用が可能であり、なかでも軽量でかつ優れた機械的特性を有する炭素繊維の採用が望ましい。
【0014】
さらに金属の溶射方法としては、プラズマ溶射法,電気アーク法,ガス法等が採用できる。
【0016】
請求項の発明は、請求項において、上記低融点金属が、重量比でアルミ75%,亜鉛25%の組成を有することを特徴としている。
【0017】
請求項の発明は、請求項1又は2において、上記金属溶射層の外表面に研磨加工が施されていることを特徴としている。
【0018】
請求項の発明は、請求項1ないしの何れかにおいて、上記ローラ本体の金属溶射層の少なくとも両端部に周方向に延びる多数の溝が形成されていることを特徴としている。
【0019】
請求項の発明は、請求項において、上記溝の深さが0.1mm以上,溝の幅が0.5mm〜1.0mmであり、各溝のピッチが溝幅の3倍以上であることを特徴としている。
【0020】
請求項の発明は、繊維強化樹脂からなるローラ本体の外表面に下地処理を行うことなく厚さ50〜1000μmの金属溶射層のみを直接形成したガイドローラを用い、セラミックグリーンシートが敷設された帯状のキャリアフィルムを搬送するように構成され、電極印刷部,乾燥部,セラミックシート切断部のうち少なくとも1つを備えていることを特徴とするセラミック電子部品の製造装置である。
【0021】
請求項の発明は、請求項において、上記キャリアフィルムを搬送するように構成された搬送駆動部を備えていることを特徴としている。
【0022】
請求項の発明は、繊維強化樹脂からなるローラ本体の外表面に下地処理を行うことなく厚さ50〜1000μmの金属溶射層のみを直接形成したガイドローラにより、セラミックグリーンシートが敷設されたキャリアフィルムを電極印刷部に搬送することにより上記セラミックグリーンシートに電極を形成することを特徴とするセラミック電子部品の製造方法である。
【0023】
請求項の発明は、請求項において、上記キャリアフィルムをセラミックシート切断部に搬送することによりセラミックシートを切断することを特徴としている。
【0024】
【発明の作用効果】
請求項1の発明にかかるガイドローラによれば、繊維強化樹脂からなるローラ本体の外表面に厚さ50〜1000μmの金属溶射層を形成したので、金属溶射層の厚さを上記範囲内に規制することによって割れや剥離の問題を生じることなく繊維強化樹脂との密着性を高めることができ、これにより繊維強化樹脂に金属を直接溶射することができ、従来の下地処理を省略できる。その結果、製造工数を削減して生産性を向上できるとともに、ローラ重量をさらに軽減できる。
【0025】
また繊維強化樹脂に金属を直接溶射したので、軽量化を図りながら機械的剛性を確保することができ、搬送速度の高速化に対応できる。
【0026】
また、金属溶射層を低融点金属,例えばアルミと亜鉛とから構成したので、溶射温度を低くすることができ、ローラ本体への密着性をさらに向上できる。また亜鉛を含有したことにより密着性とともに耐腐食性の向上を図ることができる。
【0027】
請求項の発明では、上記金属溶射層の表面に研磨加工を施したので、ローラ表面を平滑にでき、例えばセラミックグリーンシートが傷ついたり,スリップしたりするのをより確実に防止できる。また、研磨加工により軽量化することができるので、搬送速度を高速化した時に、スリップをなくすことができセラミックグリーンシートを傷つけたり、キャリアフィルムが蛇行したりすることを防止できる。
【0028】
請求項の発明では、ローラ本体の金属溶射層の少なくとも両端部に多数の溝を形成したので、例えば、長尺のキャリアフィルムを搬送する場合のスリップ及び蛇行を防止できる。また請求項の発明では、上記溝の深さを0.1mm以上,溝幅を0.5mm〜1.0mmとし、溝のピッチを溝幅の3倍以上としたので、上記キャリアフィルムのスリップ及び蛇行をより確実に防止でき、長時間に渡って安定して搬送できる。
【0029】
請求項6,7の発明に係る電子部品の製造装置並びに請求項8,9の製造方法によれば、上記ガイドローラを用いてセラミックグリーンシートが敷設されたキャリアフィルムを搬送するようにしたので、搬送速度の高速化に対応できるとともに、キャリアフィルムとのスリップを防止でき、送りの立ち上がり時,及び停止時の応答性を向上できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0031】
図1ないし図4は、本発明の一実施形態によるガイドローラを用いたセラミック電子部品の製造装置を説明するための図であり、図1は搬送用ガイドローラの断面図、図2はガイドローラの溝部分の正面図、図3はガイドローラの溝部分の拡大図、図4はセラミック電子部品の製造装置の概略構成図である。本実施形態では、積層コンデンサ,積層インダクタ,多層回路基板等の積層型セラミック電子部品の製造装置に適用した場合を例にとって説明する。
【0032】
図4において、1は積層型セラミック電子部品の製造装置を示しており、この製造装置1は、工程順に、帯状のキャリアフィルム2の上面略全域にセラミックグリーンシート3を敷設してなる複合体4が配置された供給部5と、セラミックグリーンシート3の傷,クラック等の不良個所を検出する第1撮像部6と、セラミックグリーンシート3の上面に電極(不図示)をパターン形成する電極印刷部7と、電極の印刷ずれ等を検出する第2撮像部8と、セラミックグリーンシート3の電極を乾燥させる乾燥部9と、キャリアフィルム2のテンションを調整するテンション調整部10と、セラミックグリーンシート3の電極部分を打ち抜いてキャリアフィルム2からセラミック素子を取り出すセラミックシート切断部11と、打ち抜かれたセラミックグリーンシート3をキャリアフィルム2とともに回収する巻取り部12とを備えている。
【0033】
また上記製造装置1は、キャリアフィルム2を上記工程ラインに沿って搬送駆動する駆動用吸引ローラ13,13と、上記各撮像部6,8からの情報に基づいて上記電極印刷部7及びセラミックシート切断部11での位置補正を行なうとともに、各ガイドローラ13及び供給部5,巻取り部12等を駆動制御するコントローラ14とを備えている。
【0034】
上記供給部5はキャリアフィルム2をセラミックグリーンシート3とともに供給リール5aに巻き付けてなるものであり、上記巻取り部12はキャリアフィルム2を巻取りリール12aにより巻き取るように構成されている。また上記各撮像部6,8はセラミックグリーンシート3を撮像するカメラ6a,8aを備えている。
【0035】
上記電極印刷部7は、上記キャリアフィルム2を真空吸引して所定位置に位置決めするコンベア7aと、該コンベア7a上に配設されたスクリーン7bと、該スクリーン7b上に供給された導電ペーストを引き延ばすスクレーパ7cと、該導電ペーストをスクリーン7bを通してセラミックグリーンシート3上に印刷するスキージ7dとを備えている。
【0036】
上記乾燥部9は、セラミックグリーンシート3に上方から温風を供給する多数の温風供給ノズル9aと、キャリアフィルム2の下面から加熱する加熱盤9bとを備えており、これにより電極の乾燥を行なう。
【0037】
上記テンション調整部10は、キャリアフィルム2を巻回支持する一対の搬送用ガイドローラ15,15の間にテンションガイドローラ16を昇降可能に配設して構成されており、このテンションガイドローラ16が昇降することによってキャリアフィルム2のテンションを設定値にコントロールするとともに、電極印刷部7におけるキャリアフィルム2の送り量と、セラミックシート切断部11におけるキャリアフィルム2の送り量との差を吸収するようになっている。
【0038】
上記セラミックシート切断部11は、キャリアフィルム2を真空吸引して所定の打ち抜き位置に位置決めを行なうコンベア11aと、該コンベア11aの上方に配設されたピックアップ機構18とを備えている。このピックアップ機構18は、セラミック素子に対応した大きさ,形状を有するヘッド18aの各辺に切断刃18bを配設した概略構造のものであり、該ヘッド18aが下降することにより各切断刃18bでセラミックグリーンシート3の電極部分を切り抜き、ヘッド18a内に形成された真空吸引孔(不図示)により切り抜いたセラミック素子を吸着保持し、この状態でヘッド18aが上昇してキャリアフィルム2から取り出すように構成されている。この取り出したセラミック素子は、別途設けられた不図示の積層部に移送され、該積層部にてセラミック素子を所定数積層する。そして積層された積層体を加熱圧着した後、高温焼成して焼結体を形成し、この焼結体に外部電極を被覆形成して完成品となる。
【0039】
そして本実施形態の特徴をなす各ガイドロール15,16は、以下の構造となっている。この各ガイドローラ15,16は同一構造であるので、1つのガイドローラ15についてのみ説明する。
【0040】
上記ガイドローラ15は、図1〜図3に示すように、炭素繊維強化樹脂からなるローラ本体20の外表面に金属を直接溶射することにより金属溶射層21を形成して構成されている。上記ローラ本体20は外径60〜70mmφ,肉厚2.5〜5mmからなる円筒体のものであり、これの両端部内にはジャーナル22,22が挿入固着されており、該各ジャーナル22には軸受が嵌合され、不図示の支持部に固定された軸23が挿入されている。この各ジャーナル22の外周部には周方向に間隔をあけて軽量化のための肉抜き孔(不図示)が形成されている。
【0041】
上記金属溶射層21は、重量比でアルミ75%,亜鉛25%の組成を有する低融点金属からなるものであり、厚さは200μmに設定されている。この金属溶射層21は上記低融点金属を厚さが300μmとなるように溶射した後、100μm研磨して形成されたものであり、これにより平滑な表面となっている。
【0042】
上記ガイドローラ15の両端部には完結円周加工による多数の溝24が形成されている。この各溝24はガイドローラ15の端面から50mmの長さLに渡って形成されており、各溝24の溝深さdは0.1mm以上で、溝ピッチpは2.5mmとなっている。また各溝24の溝幅wは0.77mm、溝アールRは0.8mm、溝角度θは60度となっている。ここで、上記溝深さdは0.1mm以上とし、溝ピッチpは溝幅wの3倍以上とするのが望ましい。これは溝深さdを変化させて各種の実験を行ったところ、キャリアフィルム2のスリップ及び蛇行を防止するには溝深さが0.1mm以上必要であり、また溝ピッチpは、ガイドローラ15の表面部が比較的軟らかいアルミ・亜鉛金属で形成されており、しかも溶射という加工特有の被覆構造であることから、溝加工時に欠けが起こり易く、従って上記溝幅wの3倍以上確保する必要がある。
【0043】
上記ガイドローラ15は、以下の方法でもって製造されたものである。
【0044】
炭素繊維シートに熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグ(半硬化状態)にしたものを、金型に多数の層をなすように巻き付け、硬化炉にて加熱して熱硬化させることによりローラ本体20を形成する。このローラ本体20の両端部にジャーナル22を挿入するとともにエポキシ接着剤により固着して平面度を確保し、この後、表面に研磨加工を施す。
【0045】
上述の重量比からなる低融点金属をフレーム溶射によりローラ本体20の外表面に吹き付け、厚さ300μmからなる金属溶射層21を形成する。この後、金属溶射層21を厚さが200μmとなるように研磨する。この後、上記各溝24を切削加工し、表面を研磨して仕上げを行なう。
【0046】
なお、上記溝24の形状を完結円周形状としたが、本発明はこの形状に限られるものではない。例えば、ガイドローラの左右端部にそれぞれ右ねじ,左ねじ加工によりねじ溝を形成してもよく,あるいはスパイラル加工により溝を形成してもよい。またガイドローラの全長に渡って溝を形成してもよく、何れの場合にもキャリアフィルムのスリップ及び蛇行を防止できる。
【0047】
次に本実施形態の製造装置1による積層型セラミック電子部品の製造方法について説明する。
【0048】
ガイドローラ13が回転駆動することにより供給部5からキャリアフィルム2をセラミックグリーンシート3とともに送り出す。まず第1撮像部6にてセラミックグリーンシート3の傷やクラックが検出され、この情報がコントローラ14に記憶される。セラミックグリーンシート3が電極印刷部7に搬送されるとセラミックグリーンシート3の上面に所定ピッチでもって電極がスクリーン印刷される。この場合、上記傷やクラックが検出された部分には電極の印刷は実施されない。次いで第2撮像部8にて各電極のずれ等が検出され、この情報がコントローラ14に記憶される。
【0049】
続いてセラミックグリーンシート3が乾燥部9に搬送され、ここで電極の乾燥が行われ、セラミックシート切断部11に搬送される。この切断部11にてセラミックグリーンシート3の電極部分を切り抜いてセラミック素子をキャリアフィルム2から取り出し、別途設けられた積層部に移送する。この場合、切断部11でのキャリアフィルム2の送り量と、これより上流側の印刷部6でのキャリアフィルム2の送り量との差をテンションガイドローラ16が昇降することによって吸収する。また上記電極のずれ等が検出されると、このずれに応じてヘッド18aの位置補正が行われる。そして切断部11にて打ち抜かれたセラミックグリーンシートの残りはキャリアフィルム2とともに巻取り部12に回収される。
【0050】
上記積層部にてセラミック素子が順次積層され、所定層の積層体が形成される。この積層体を加熱圧着した後、高温焼成し、これにより得られた焼結体に外部電極を被覆形成する。このようにして積層型セラミック電子部品が自動的に製造される。なお、かかる電子部品の製造装置及び製造方法については上述の特許公報第2504277号に詳細に記載されている。
【0051】
本実施形態にかかる製造装置1によれば、セラミックグリーンシート3が敷設されたキャリアフィルム2を搬送するガイドローラ15,16を、炭素繊維強化樹脂からなるローラ本体20の外表面に厚さ300μm以下の金属溶射層21を形成して構成したので、金属溶射層21に割れや剥離を生じさせることなくローラ本体20との密着性を高めることができ、これにより炭素繊維強化樹脂に金属を直接溶射することができ、従来の下地処理を省略できる。その結果、製造工数を削減して生産性を向上できるとともに、ローラ重量をさらに軽減できる。ちなみに、本実施形態のガイドローラは従来のアルミ製ローラに比べて重量を約35%に軽減することが可能である。
【0052】
また炭素繊維強化樹脂からなるローラ本体20に金属溶射層21を直接形成したので、ガイドローラ15,16の機械的剛性を確保しながら大幅な軽量化が達成でき、搬送速度の高速化に対応できるとともに、キャリアフィルム2とのスリップを防止でき、送りの立ち上がり時及び停止時の応答性を向上できる。
【0053】
本実施形態では、金属溶射層21をアルミ,亜鉛からなる低融点金属材料により構成したので、溶射温度を低くすることができ、ローラ本体20への密着性をさらに向上できるとともに耐腐食性を向上できる。
【0054】
また上記金属溶射層21の表面に研磨加工を施したので、ロール表面を平滑にでき、搬送中にキャリアフィルム2が傷ついたり,空回りしたりするのを確実に防止できる。
【0055】
本実施形態では、各ガイドローラ15,16の両端部に多数の溝24を形成し、溝深さdを0.1mm以上とするとともに、溝ピッチpを溝幅wの3倍以上としたので、キャリアフィルム2のスリップ及び蛇行を確実に防止でき、長時間に渡って安定した搬送を行なうことができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、セラミック電子部品の製造装置に適用した場合を説明したが、本発明のガイドローラはこれに限られるものではなく、例えばプラスチックフィルム,あるいは紙製シートを搬送するようにしたガイドローラにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による搬送用ガイドローラの断面図である。
【図2】上記ガイドローラの溝部分の正面図である。
【図3】上記ガイドローラの溝部分の拡大図である。
【図4】上記ガイドローラが採用された積層型セラミック電子部品の製造装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 セラミック電子部品の製造装置
2 キャリアフィルム
3 セラミックグリーンシート
7 電極印刷部
9 乾燥部
11 セラミックシート切断部
15,16 ガイドローラ
20 ローラ本体
21 金属溶射層
24 溝
d 溝深さ
p 溝ピッチ
w 溝幅

Claims (9)

  1. 繊維強化樹脂からなるローラ本体の外表面に下地処理を行うことなく厚さ50〜1000μmの金属溶射層のみを直接形成し、該金属溶射層が、200℃〜1000℃の融点を有し、アルミに亜鉛を含有する低融点金属からなることを特徴とするガイドローラ。
  2. 請求項において、上記低融点金属が、重量比でアルミ75%,亜鉛25%の組成を有することを特徴とするガイドローラ。
  3. 請求項1又は2において、上記金属溶射層の外表面に研磨加工が施されていることを特徴とするガイドローラ。
  4. 請求項1ないしの何れかにおいて、上記ローラ本体の金属溶射層の少なくとも両端部に周方向に延びる多数の溝が形成されていることを特徴とするガイドローラ。
  5. 請求項において、上記溝の深さが0.1mm以上,溝の幅が0.5mm〜1.0mmであり、各溝のピッチが溝幅の3倍以上であることを特徴とするガイドローラ。
  6. 繊維強化樹脂からなるローラ本体の外表面に下地処理を行うことなく厚さ50〜1000μmの金属溶射層のみを直接形成したガイドローラを用い、セラミックグリーンシートが敷設された帯状のキャリアフィルムを搬送するように構成され、電極印刷部,乾燥部,セラミックシート切断部のうち少なくとも1つを備えていることを特徴とするセラミック電子部品の製造装置。
  7. 請求項において、上記キャリアフィルムを搬送するように構成された搬送駆動部を備えていることを特徴とするセラミック電子部品の製造装置。
  8. 繊維強化樹脂からなるローラ本体の外表面に下地処理を行うことなく厚さ50〜1000μmの金属溶射層のみを直接形成したガイドローラにより、セラミックグリーンシートが敷設されたキャリアフィルムを電極印刷部に搬送することにより上記セラミックグリーンシートに電極を形成することを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
  9. 請求項において、上記キャリアフィルムをセラミックシート切断部に搬送することによりセラミックシートを切断することを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
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