JP4703053B2 - 開閉システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は開閉システムに関し、例えば、シャッター、ドア、窓、オーバーヘッドドア、門扉、ゲート(駐車場などのゲート)、ロールスクリーン(例えば遮光幕)、ブラインド、オーニング装置などの遠隔操作システム(リモコンシステム)などに適用し得るものである。
【0002】
【従来の技術】
モータを動力源としてシャッターの開閉動作を行う電動シャッターには種々のタイプがあるが、電力を動力源とし、電気制御によって開閉動作を行う機能(電動動作モード)と、ユーザが手作業によって開閉動作を行う機能(手動動作モード)を兼ね備えたものがある。
【0003】
電動動作モードの場合、前記モータ部分から出力されるエンコーダパルスの数をカウントすることにより、開動作(または閉動作)の動作開始位置を基準位置として、当該基準位置から現在位置までの相対的な移動距離が認識できるため、当該移動距離(これは、エンコーダパルスのカウント値に対応する)が所定値に到達したら開動作(または閉動作)を停止することによって、所望の動作終了位置(リミット位置)で、自動的にシャッター動作を停止させることができる。
【0004】
次にこの開動作(または閉動作)と反対方向の動作、すなわち閉動作(または開動作)を行う場合には、基本的に、当該動作終了位置が新たな動作開始位置となり、前記動作開始位置が新たな動作終了位置(リミット位置)となる。
【0005】
一方、ユーザが手作業によって開閉動作を行う手動動作モードにおいては、通常、シャッターの電源は投入されておらず、シャッターの電気系統は機能していないため、シャッターの機械系統のみが、当該ユーザの人力を動力源として開閉動作を行うこととなる。また、この場合、どのような速度で、どこまで開閉するかは、まったくユーザに委ねられている。
【0006】
このような手動動作モードは、停電時や、保守作業時などに用いると便利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来の電動シャッターでは、手動動作モードで開動作(または閉動作)されたあとで電動動作モードに復帰すると、そのときの電動動作モードでは、前記動作開始位置が本来の位置からずれている可能性が高いため、前記エンコーダパルスをカウントすることによって決まる前記動作終了位置も、本来の位置からずれてしまう可能性がある。
【0008】
シャッターの機械的な構造にもよるが、手動動作モードにおけるずれは、通常、シャッターの開閉動作の中間位置寄りにずれる(すなわち、ユーザが完全開放したつもりでも実際には、完全開放にはいたっていない場合、およびユーザが完全閉鎖したつもりでも実際には完全閉鎖にいたっていない場合)ことが多いと考えられるが、その場合、中間位置寄りにずれた位置を動作開始位置として復帰直後の電動動作モードでユーザが完全開放(または完全閉鎖)を指示すると、電動シャッターが機械的な限界を超えて開動作(または閉動作)を完遂しようとするため、モータ等の加熱などによる電気的な破損や、電動シャッターの機械的な破損などが発生するおそれがある。
【0009】
また、この場合、いつまでも当該開動作(または閉動作)は完遂されることがないが、当該開動作(または閉動作)の電動シャッターの電気系統の構成が、ある開動作(または閉動作)が完遂されるまで、次の開閉動作の指示を受け付けないものである場合には、電動動作モードが使用できなくなってしまう可能性があり、操作性が良いとはいえない。
【0010】
このようなケースに対処するため、電動シャッターの開動作(または閉動作)が機械的な限界に到達したことを検出することによって、自動的に開動作(または閉動作)を停止させるようにすることも考えられるが、その場合には、機械的な限界に到達したことを検出するセンサ等が必要になり、コストアップ等の不利益が発生する。
【0011】
なお、以上の課題は、シートシャッター、ガレージ用シャッター、窓用シャッターなどのシャッター用だけでなく、ドア、窓、オーバーヘッドドアなどの他の開閉システムにも共通している。
【0012】
本発明は、信頼性が増し操作性が良好な開閉システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、第1の発明では、所定の動作限界情報によって指定される動作限界位置を限度として、電気的に開閉体の開閉動作する電動モードと、ユーザが手動で前記開閉体の開閉動作をさせることが可能な非電動モードとを備えた開閉システムにおいて、(1)記憶している前記動作限界情報の内容を変更する動作限界位置変更手段と、(2)前記非電動モードで開閉動作を実行したとき、それを検出し、記憶する非電動開閉検出記憶手段と、(3)当該開閉システムが、非電動モードから電動モードに復帰した際、当該開閉システムが非電動モードで動作している間に、前記開閉体の開閉動作が実行されたことを、前記非電動開閉検出記憶手段に記憶されている内容に基づき検出した場合、前記動作限界情報の信頼性が低いと判定する第1の信頼性判定手段とを備え、(4)前記第1の信頼性判定手段が前記動作限界情報の信頼性が低いと判定したときに、前記動作限界位置変更手段が、動作限界情報の内容を変更し、(5)ユーザが開閉動作に関する指示を入力するために行う操作につき、操作継続中に限定して開閉動作が実行される限定操作モードと、操作すれば、当該操作をやめたあとでも開閉動作が継続実行される非限定操作モードを備えた操作受付手段をさらに有し、(6)前記動作限界情報の内容の変更は、前記限定操作モードの操作受付手段を操作することで行うことを特徴とする。
【0014】
なお、本明細書において、「可用性が高い」とは、あくまで相対的な概念であって、完全な可用性を保証する意味ではない。可用性の高い操作モードによれば、開閉システムのユーザの意図を、短時間で正確に反映しやすいため、開閉システム自体の可用性(すなわち、アベイラビリティ)が向上することが期待できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(A)実施形態
以下、本発明にかかる開閉システムを、シートシャッターのための遠隔操作システム(リモコンシステム)に適用した場合を例に、実施形態について説明する。
【0017】
本実施形態では、当該遠隔操作システムは、有線リモコンシステムと前記無線リモコンシステムを混合した混合システムであるものとする。
【0018】
ここで、有線リモコンシステムとは、シャッターシステムを構成要素として含むリモコンシステムであって、有線通信によってシャッター動作を行うものである。
【0019】
一般に、遠くから離れた不特定の位置からシャッター動作を行うことができ、使い勝手が良いという点では前記無線リモコンシステムが有利であり、通信の信頼性の点や、常に特定の位置でシャッター動作を指定したい場合などには、当該有線リモコンシステムが向いている。
【0020】
また、同じシャッターシステムを有線でも無線でも制御できると、融通性に富み、ユーザの都合によりどちらの方法を取ることも可能となる。したがって実際のリモコンシステムは、これら無線リモコンシステムと有線リモコンシステムの特徴を混合した混合システムとすることも少なくない。
【0021】
本実施形態の遠隔操作システムは、シャッター動作に関する動作モードとして、電力供給されているモータを動力源とし、電気制御によって開閉動作を行う電動動作モードと、ユーザの手作業により人力を動力源として開閉動作を行う手動動作モードの2つを備え、また、電動動作モードにおいてシャッター動作を指示するユーザの立場からみた操作モードとして、ユーザが後述する操作スイッチを押し続けている期間だけユーザの操作に応じたシャッター動作を行う制限操作モードと、いったん操作スイッチを押せば、押し続けなくても、その操作に応じたシャッター動作を行う非制限操作モードがある。
【0022】
(A−1)実施形態の構成
シートシャッターの遠隔操作システム10の全体構成例を図2に示す。
【0023】
図2において、当該遠隔操作システム10は、後述する記憶処理部11と、リモコン送信機12と、シートシャッター13とを備えている。
【0024】
このうちシートシャッター13は、鉄などの金属によって構成された多数のスラットを備えるスラットシャッターと異なり、ポリエステルなどの軽い素材によって構成されたシート状のカーテン部を主体とするシャッターである。当該シートシャッター13では、素材が軽量であるから、シャッター13の開閉動作の動力源となるトルクを供給するモータ(図示せず)の出力軸に作用し得る慣性モーメントが小さく、高速な開閉動作が容易に実現できる。一例として、当該モータは、例えばACサーボモータであってよく、シートシャッター13に開動作(または閉動作)を行わせるとき、1秒間に3000回転程度の速度で回転するものであってよい。なお、本実施形態では、シャッターカーテン部が軽い素材であることによる構成上の困難性と、機能の節約のため、当該モータのトルク変動に基づく負荷感知は行わないものとする。
【0025】
高速開閉が可能なことにより、シャッター開放後ただちにシャッター閉鎖を行うこと等が速やかに実行でき、当該シャッター13によって仕切られる空間SP1と空間SP2の相互間で、保温、保冷や、防塵、防虫効果などの向上が期待できる。
【0026】
図2中では、壁WLに設けられたガイドレールGRに沿って矢印D1方向に下端部13Aが移動することによってシャッター13が閉鎖され、反対に矢印D2方向に移動することによって開放される。なお、図2に示した状態では、シャッター13が完全閉鎖と完全開放の中間位置にある。
【0027】
シャッター13の開閉動作などを行うユーザU1は、壁WLに固定的に設置された固定操作部(操作盤)14を操作するか、または、リモコン送信機12を操作することによって、所望の動作(前記中間位置の変更なども含む)を行わせることができる。
【0028】
当該リモコン送信機12は、例えば、図3に示すような外観を備えている。当該リモコン送信機12は、携帯性に富み、ユーザU1の手の平に収まる程度にコンパクトなパームサイズの送信機である。このようにコンパクトな本体12A内にすべての機能を収容するため、当該リモコン送信機12の機能は極限まで節約する必要がある。
【0029】
図3において、リモコン送信機12の本体12Aはその上面から突出したPBS(プッシュ・ボタン・スイッチ)形式の3つの操作スイッチ51〜53を備えている。これら操作スイッチ51〜53は、シャッター動作(一般的には、開閉体の開、閉、停などの動作)を行わせ得るシャッター操作スイッチである。
【0030】
本実施形態では、当該シャッター操作スイッチ51〜53のうち、シャッター操作スイッチ51は、シャッター13の開動作を行わせるための開動作スイッチで、シャッター操作スイッチ52はシャッター13の閉動作を行わせるための閉動作スイッチで、シャッター操作スイッチ53はシャッター13の開動作または閉動作を任意のタイミングで停止させるための停止スイッチである。
【0031】
そして、閉動作スイッチ52と停止スイッチ53を同時に短く(例えば3秒以内)押すことによって、所定の中間位置(中間停止位置)までの開動作および閉動作(すなわち中間停止動作)を指示できるものとする。
【0032】
必要に応じて、これらの操作スイッチ51〜53の操作を52,53以外の組合せにしたがって組み合わせることにより、もっと複雑な動作を行わせることも可能である。一例として、当該シャッター13がスラットシャッターなどである場合には、換気動作(隣接するスラット間に設けられた開口の大きさを制御することによりシャッターの内外の空気が流通し得ない状態から流通し得る状態へ移行する動作)などが、当該複雑な動作に該当する。
【0033】
当該リモコン送信機12の内部構成例は図4に示す。
【0034】
(A−1−1)リモコン送信機の内部構成
図4において、リモコン送信機12は、無線送信部54と、送信処理部55と、プロセッサ56と、手順記憶部57と、操作検出部58と、操作応答部59とを備え、前記操作スイッチ51〜53は、当該操作検出部58に設けられている。
【0035】
このうち無線送信部54は、図2に示した無線伝送路としての空間TRを介してリモコン受信機を構成する記憶処理装置11内の後述する無線受信部41(図1参照)に対向する部分で、送信処理部55から所定の信号線を介して受け取った送信信号WSに対応した無線信号WL1を無線送信する。そのために、当該無線送信部54は、送信用のアンテナシステムやフィルタ回路などを備えている。当該無線信号WL1は、周波数帯域が例えば、300MHzや400MHz程度で、送信電力が例えば1mW程度の微弱な電波であってよい。
【0036】
また、前記送信処理部55は符号化処理や変調処理などの必要な処理を実行する機能を備え、プロセッサ56から供給される送信処理信号RPに応じて、生成する送信信号WSの内容を変化させる。
【0037】
リモコン送信機12の場合、当該送信信号WSの内容は、例えば、指定するシャッター動作や、ID登録操作などの種類に応じて決定される有限個であるので、送信する情報の発生源(この発生源は、例えばROM(リードオンリーメモリ)などであってよい)も送信処理部55の内部に存在し、前記送信処理信号RPに応じて当該発生源のなかから1つの送信情報を選択して読み出す構成であってもよい。
【0038】
ここで、IDとは、使用する周波数帯域などが同じであるためにリモコン受信機である記憶処理装置11が混同する可能性のあるリモコン送信機を一義的に識別し、真に当該記憶処理装置11に対して無線送信することのできるユーザのリモコン送信機から送信された無線信号WL1だけに基づいて、シャッター13の動作等を行うために使用される識別子である。そのため、リモコン送信機12には無線送信するたびに無線信号WL1のなかに当該IDを収容する証明機構(図示せず)が必要であり、記憶処理装置11には当該IDを識別し、ユーザ認証(または端末認証)を行うための検証機構(図示せず)が必要である。
【0039】
なお、シートシャッターの場合、工場などの建物の内部で、ある部屋と別な部屋を仕切る壁(前記WLに相当)に配置されることも多く、スラットシャッターなどに比べ機械的に脆弱であるためもともと防犯の機能などが弱い点を考慮すると、記憶処理装置11の受信範囲内に他のリモコン送信機が存在せず、真にユーザU1の意図したとおりのシャッター動作を行い得る環境では、当該証明機構や検証機構を省略しても差し障りは少ないものと考えられる。
【0040】
前記送信処理部55に送信処理信号RPを出力するプロセッサ56は、当該リモコン送信機12のCPU(中央処理装置)である。
【0041】
機能が極限まで節約されたリモコン送信機12を操作するユーザU1にとって唯一の遠隔操作手段である上述した3つの操作スイッチ51〜53を設けた操作検出部58は、各操作スイッチ51〜53について、その押し下げストロークが所定の長さに達すると操作検出信号PB1、PB2を出力する部分である。
【0042】
操作検出信号PB1は押し下げを検出した操作スイッチに応じて異なる状態をとり、その操作手順は手順記憶部57に一時的に記憶される。
【0043】
手順記憶部57は一時記憶している手順がどのような操作または入力データを指定しているかを判定して、その判定結果である判定信号DSをプロセッサ56に供給する部分である。
【0044】
前記操作検出信号PB1が前記手順記憶部57に供給されるのと同時に操作応答部59に供給される操作検出信号PB2も、当該PB1と同様に、押し下げを検出した操作スイッチに応じて異なる状態をとるようにしてもよいが、本実施形態では、操作スイッチ51〜53を区別せず、同じ状態をとるものとする。
【0045】
当該操作検出信号PB2を受け取った操作応答部59は、ブザーなどの音響発生器であり、操作スイッチ51〜53の押し下げが有効に検出されたことをユーザU1に伝えるために応答出力RAを出力する部分である。本実施形態では、操作スイッチ51〜53を区別しないので、いずれかの操作スイッチが十分に押し下げられると、一定音程、一定音色のブザー音が応答出力RAとしてユーザU1に聴取されることになる。これにより、ユーザU1は、聴覚的にスイッチ操作の有効性を確認することができる。
【0046】
例えば、パーソナルコンピュータなどでキーボードを操作する場合など、リモコン送信機12に比べるとはるかに大規模で豊富なユーザインタフェースを備えた環境ならば、あるキーの押し下げがマシンに認識されたか否かはビットマップディスプレイなどの画面表示を目視すること等によって容易に確認可能であるが、高度な携帯性が求められるリモコン送信機12は、前述の機能の節約の観点から、機能が極限まで切りつめられるので、どのようにして小規模な構成で効率的にユーザの操作がマシン(ここではリモコン送信機12)に認識されたか否かを確認するかは、重要になる。
【0047】
なおここでは、操作応答部59の応答出力RAを一定音程、一定音色のブザー音としたが、必要ならば、押し下げられた操作スイッチ51〜53または同時に押し下げられた操作スイッチの組合せに応じて音程や音色などを変化させるようにしてもよい。また、音響発生器による聴覚的な手段にかぎらず、LED(発光ダイオード)等の発光素子などを使用して、視覚的な手段で操作スイッチの操作が有効に検出されたことをユーザU1に伝えるようにしてもよく、視覚的な手段と聴覚的な手段を併用してもよい。
【0048】
ところで、本実施形態の記憶処理装置11においては、シャッター動作に関する動作モードとして、前記電動動作モードと手動動作モードがあり、シャッター動作を指示するユーザの立場からみた操作モードとして、前記制限操作モードと非制限操作モードがある。したがって必要ならば、リモコン送信機12から、これらのモード間の移行を制御したり、モード間の移行があったことや、その時点のモードがいずれのモードであるかを明示的に通知する手段を設けるようにしてもよいが、ここでは、リモコン送信機12の機能の節約を重視して、そのような手段は設けないものとする。
【0049】
このため、リモコン送信機12を操作するユーザU1は、例えば、シャッター13を開動作する場合、開動作スイッチ51を押し続けている期間だけシャッター13が開動作を継続し、押すのをやめたとたんに停止すれば、そのとき記憶処理装置11が制限操作モードにあることを認識することとなる。
【0050】
また、リモコン送信機12の例えば開動作スイッチ51を押しつづけてもシャッター13が動作しない場合、ユーザU1は、給電停止や停電などの理由により記憶処理装置11が手動動作モードにあることを認識することになる。モータが動力源となり得ない手動動作モードでシャッター13の開閉を行うには、ユーザU1が手作業で所定のレバー(図示せず)などを操作したり、直接シャッター13の一部を把持して閉動作したりすることが必要である。この場合、シャッター13の開閉に必要な動力源は、ユーザの人力である。
【0051】
記憶処理装置11のほうも、コンパクト性やコスト低減などの観点で、できるだけ機能を節約したほうが好ましいが、リモコン送信機12と異なり通常は固定的に配置されるものなので、機能の節約に対する要求水準はリモコン送信機12ほど厳格ではないと考えられるから、可能なかぎり記憶処理装置11のほうに多くの機能を配分する構成を取ることが、遠隔操作システム10全体として、効率的である。
【0052】
前記リモコン送信機12から無線信号WL1を受信し、前記電動動作モード、手動動作モード、制限操作モード、非制限操作モードを管理する記憶処理装置11の主要部の構成例は、図1に示す通りである。
【0053】
(A−1−2)記憶処理装置の内部構成
図1において、当該記憶処理装置11は、上限位置メモリ20と、下限位置メモリ21と、優先順位メモリ22と、速度情報メモリ23と、前回動作モードメモリ24と、動作モードメモリ27と、操作モードメモリ28と、誤り検出部30と、手順記憶部31と、操作検出部32と、操作応答部36と、手動開閉検出記憶部37と、障害検出部38と、モータ制御部39と、センサ部40と、無線受信部41と、受信処理部42と、制御部43とを備えている。
【0054】
このうちモータ制御部39は厳密には記憶処理装置11の一部としてではなく、記憶処理装置11の外部であって前記モータの近傍に配置される部分で、電動動作モードでシャッター13の開閉動作の動力源となるモータの動作を制御する。当該モータの出力軸の回転量に応じて出力されるエンコーダパルスも、当該モータ制御部39に内蔵されたエンコーダから信号S23として制御部43へ供給される。
【0055】
制御部43はまた、当該記憶処理装置11のCPUでもあり、前記と反対方向に伝送される信号S23を用いてモータ制御部39を制御し、所望の開動作、閉動作等に応じた動作をモータに行わせる。シートシャッター13の場合、材質などの点から、上述したように機械的に脆弱なので、シャッター13が矢印D2方向に移動して完全開放状態になるときの速度が速すぎると、シャッター収納ボックス(図示せず)にシャッター13が収納されるときの衝撃などによってシャッターカーテンが機械的に破損する可能性もあり、完全開放状態の少しまえにモータの出力軸の回転速度を減速する必要がある。このような減速は、速度情報メモリ23が格納している速度情報VD1またはVD2に基づいて実行されるものである。
【0056】
また、障害検出部38は、センサ部40から供給される信号S16に応じて障害検出信号S22を制御部43に出力する部分である。センサ部40は例えば光電管などのセンサで構成されている。当該光電管は、シャッター13の閉動作中などにシャッター下端部13Aの進行方向に何らかの不測の物体が存在した場合、それを光学的に検出し、検出結果を電気信号S16として出力するセンサである。非制限操作モードにおいては、シャッター13の閉動作中に不測の物体を検出した旨の障害物検出信号S22が供給されると、制御部43はただちに、当該閉動作の停止(または、閉動作から開動作への反転)をモータ制御部39に指示して、シャッター下端部13Aが当該不測の物体に当接すること等を防止する。本実施形態のシャッター13の周辺に配置されるセンサは、当該光電管だけであってよい。
【0057】
ただし障害検出方法は、必ずしも当該光電管に限定する限定する必要はないので、例えば、シャッター下端部13Aの先端に、障害物当接を感知する感知部を設けるような構成でもよい。
【0058】
一方、記憶処理装置11が備える7種類のメモリ20〜24、27、28のうち、上限位置メモリ20と、下限位置メモリ21と、速度情報メモリ23と、前回動作モードメモリ24の4種類は、記憶処理装置11に対する給電が停止された場合にもその記憶内容を保持する必要があり、しかも、速度情報メモリ23以外は記憶内容の書き換えが必要である。したがって、上限位置メモリ20、下限位置メモリ21、前回動作モードメモリ24の3種類としては、EEPROM(フラッシュメモリ:Electrical Erasable Programmable ROM)などの書き込み可能なROM(リードオンリーメモリ)を使用し、書き換え不要な前記速度情報メモリ20には、通常のROMを使用するものとする。
【0059】
また、優先順位メモリ22と、動作モードメモリ27と、操作モードメモリ28の3種類は、給電停止時に記憶内容を保持する必要はないので、通常のRAM(ランダムアクセスメモリ)で構成することが可能である。
【0060】
なお、EEPROMの場合、書き込みには、通常のRAMに比べて長い時間(例えば10ms程度)を要するが、この時間はシャッターの遠隔操作システム10において問題となるほどの時間ではないと考えられる。
【0061】
ただし、必要に応じて、磁気的記憶手段や、十分な電源バックアップ機構を備えたRAMなどで当該ROMを置換することが可能である。一般に、メモリ自体の価格は、EEPROMのほうがRAMよりも高価であるが、バックアップ用の電力消費などの点を考慮すると、運用コストはRAMのほうが高くなる可能性が高い。実際の実装にあたっては、これらの点を考慮して、有利なものを選定すればよい。
【0062】
EEPROMで構成される上限位置メモリ20は、シャッター13の開動作における上限位置に関する情報(上限リミット位置データLUP)を格納するメモリである。上限リミット位置データLUPは、前記動作開始位置を基準位置とし、前記信号S23として供給されるエンコーダパルスの累加算をもとに認識される相対的な動作終了位置を示す整数値である。
【0063】
電動動作モードにおけるシャッター13の開閉動作中、モータ制御部39からエンコーダパルスの供給を受ける制御部43は、前記動作開始位置からシャッター下端部13Aが移動を開始した時点より供給されはじめるエンコーダパルスのパルス数をカウントし続けているため、そのカウント値が当該上限リミット位置データLUPに達すると、モータ制御部39にモータへの給電を停止させることができる。必要ならば、モータへの給電停止は、カウント値が当該上限リミット位置データLUPに達するよりも所定パルス数だけまえに実行するようにしてもよい。これは、閉動作の場合も同様である。
【0064】
なお、エンコーダパルスのパルス数をカウントすること(累加算すること)は、動作開始位置を基準位置として、当該基準位置から現在位置までの相対的なシャッター13の移動距離(例えば、シャッター13の下端部13Aの移動距離)を検出することに等しい。
【0065】
ところで、このような相対的な移動距離の検出は、エンコーダパルスを用いなくても検出可能である。例えば、シャッター13の軌道を画定する前記ガイドレールGRに沿って、下端部13Aを検出する多数のセンサを高密度に配置することによっても、同等な移動距離の検出が可能であるが、そのように多数のセンサを配置することは、コストアップの要因ともなるので、前記エンコーダパルスを用いるほうが有利である。また、現在実際に製品として使用されている多くのシャッターシステムは、エンコーダパルスを出力する機能を備えているから、本実施形態は、現存のシャッターシステムの機能や構成部品をそのまま有効活用し、施す改変を最小限にとどめることができる点で、実現性に優れている。
【0066】
なお、上限位置メモリ20が格納する上限リミット位置データLUPの種類は、シャッター13の取り得る静的な状態の種類に応じて変わる。例えば、完全閉鎖状態と完全開放状態の2通りの静的状態しか取り得ないシャッターの場合なら、上限リミット位置データは1種類である。もしも半開状態(すなわち前記中間停止位置)を取り得るシャッターの場合には、完全閉鎖状態からの完全開放と、半開状態からの完全開放に備えて、2種類用意する必要がある。
【0067】
同様に、半開状態が1つではなく、複数種類(複数の中間位置)がある場合には、上限リミット位置データは、3種類以上となる。ただしここでは、説明の簡単のためにシャッター13の取り得る静的状態が完全閉鎖状態と完全開放状態の2通りしかないものと仮定し、上限リミット位置データは1種類(前記LUPだけ)とする。
【0068】
次に、前記下限位置メモリ21は、当該上限位置メモリ20が格納する上限リミット位置データLUPに対応する下限リミット位置データLUNを格納するメモリである。ここでは、シャッター13の取り得る静的状態が完全閉鎖状態と完全開放状態の2通りしかないものと仮定しているので、当該下限リミット位置データも、1種類(前記LUNだけ)である。
【0069】
前記制御部43に信号S21で接続される優先順位メモリ22は、優先順位情報PR1を格納しているメモリである。電動動作モードにおいて使用される当該優先順位情報PR1は、操作モードが前記非制限操作モードである場合は障害検出部38から出力される障害検出信号S22に対応するシャッター動作(すなわち、閉動作の強制的な停止(または、閉動作から開動作への反転))を最も優先順位の高い動作とし、反対に、操作モードが前記制限操作モードである場合には障害検出部38から出力される障害検出信号S22に対応するこのようなシャッター動作よりも、ユーザU1からの指示に応じたシャッターの開閉動作の優先順位を高くする。
【0070】
したがって、当該優先順位メモリ22が格納している優先順位情報PR1の内容は、操作モードに応じて、制御部43が書き換える。当該制御部43は、信号S27を用いて操作モードメモリ28が格納している操作モード情報OMDの内容を参照することにより、必要なときにいつでも、操作モードを確認することができる。
【0071】
同様に、動作モード情報EMD2を格納しているメモリである動作モードメモリ27からも、制御部43は、いつでも動作モード情報EMD2の内容を参照することができる。
【0072】
また、前回動作モードメモリ24は、前回の動作モードを示す前回動作モード情報EMD1を格納しているメモリである。ただしここで、前回とは、給電停止時を基準にした概念で、給電停止時にユーザ(例えばU1)が手作業でシャッター13の開閉を行った場合、給電再開直後には当該前回動作モードメモリ24に、手動動作モードを示す前回動作モード情報EMD1が格納されることとなる。
【0073】
制御部43は、当該前回動作モードメモリ24が格納している前回動作モード情報EMD1が手動動作モードを示す場合、シャッター下端部13Aの位置が想定された位置から変動しており、上限位置メモリ20が格納している上限リミット位置データLUPや下限位置メモリ21が格納している下限リミット位置データLUNの内容をそのまま用いることができないことを認識する。したがってこの場合、上限および下限のリミット位置データLUP、LUNの再設定が行われる。
【0074】
再設定に際して、古いリミット位置データは残しておいてもかまわないが、一般的には、古いリミット位置データが格納されている記憶領域に新しいリミット位置データを上書きするような構成を取ったほうが、メモリ量の節約ができる点で好ましいと考えられる。当該再設定が行われたあとで、制御部43は、前記前回動作モードメモリ24の前回動作モード情報EMD1を、電動動作モードを示すものに書き換える。
【0075】
本実施形態の動作モードには、手動動作モードと電動動作モードの2通りしかないが、遠隔操作システム10が継続的に運用されている場合、通常、当該動作モード情報EMD2は、電動動作モードを示す。
【0076】
ただし記憶処理装置11に対する給電が停止されている状態で、ユーザU1がシャッター13を手動で開閉した場合(このとき、記憶処理装置11は手動動作モードにあるものとみなすこともできるが、記憶処理装置11の各構成要素(制御部43も含む)に対する給電は基本的に停止されているため、制御部43において手動動作モードの認識はまだ形成されていない)、その事象は、手動開閉検出記憶部37によって、検出され記憶されるので、停止されていた給電が再開されたとき、制御部43は必ず手動開閉検出記憶部37が格納している手動開閉有無情報MVを参照して、その内容を、前回動作モード情報EMD1として前回動作モードメモリ24に書き込む。
【0077】
これとほぼ同時に、制御部43が上述したように、動作モードメモリ27に電動動作モードを示す動作モード情報EMD2を書き込むことによって、記憶処理装置11は電動動作モードに復帰する。
【0078】
なお、その性質から明らかなように、当該上限リミット位置データLUPと下限リミット位置データLUNは、正負の符号が相違するだけで、絶対値の等しい整数値となる。例えば、上限リミット位置データLUPを「10000」(10進数表示)とすると、下限リミット位置データLUNは「−10000」である。
【0079】
また、本実施形態では、前記制御部43によるカウンタのカウント値の初期値はシャッター13の各開閉動作を開始する際に必ず0にリセットすることを前提とし、シャッター13を開動作するときには当該0からインクリメントしたカウント値がLUP(例えば、10000)に達したときに上限リミット位置とし、反対に、シャッター13を閉動作するときには当該0からデクリメントしたカウント値がLUN(例えば、−10000)に達したときに下限リミット位置としたが、カウンタの初期値を0にリセットせずに前の値を保持するようにしてもよい。
【0080】
その場合には、例えば、上限リミット位置データLUPを10000とするとともに下限リミット位置データLUNを0としたり、シャッター13の開閉の中間位置にカウント値0が対応するように設定して、上限リミット位置データLUPを5000とするとともに下限リミット位置データLUNを−5000とすること等が可能となる。ただしこの場合には、前のカウント値は必ず保存しなければならないため、その記憶には、EEPROMなどの記憶手段を用いる必要がある。
【0081】
次に、制御部43と信号S19で接続されている誤り検出部30は、上限位置メモリ20に格納されている上限リミット位置データLUPと、下限位置メモリ21に格納されている下限リミット位置データLUNに関して、所定の誤り検出処理を実行する部分である。
【0082】
誤り検出処理の具体例としては、様々なものが考えられるが、ここでは、予め同じ値(例えば、上限リミット位置データLUPを示す「10000」)を複数のメモリ領域に格納しておき、誤り検出時には各メモリ領域から読み出したそれらの値を比較することで、誤り検出処理を実行するものとする。例えば、3つのメモリ領域(メモリ領域の数は3つより多くてもよく、場合によっては2つでもよい)に同じ値を格納しておき、各メモリ領域から読み出した値がすべて一致すれば信頼性が高く、誤りが無いと判定し、1つでも違っていれば(例えば、3つのメモリ領域から読み出した値がそれぞれ「10000」、「10010」、「10000」であるようなケース)、信頼性が低く誤りが有ると判定する。
【0083】
この誤り検出処理は、外来のノイズなどによって、メモリの記憶内容に誤りが発生したことを検出するものである。
【0084】
誤りが有ると判定された場合には、基本的に、手作業でシャッター13を開閉した場合と同様、リミット位置データLUP、LUNの再設定が必要になると考えられるが、誤り検出処理の方法や誤りの態様によっては、自動的に誤り訂正処理を実行することも可能である。例えば、上述した3つのメモリ領域から読み出した値がそれぞれ「10000」、「10010」、「10000」であるようなケースの場合、多数決により、「10000」が正しく「10010」は誤りであると判定することができるので、誤った「10010」を格納しているメモリ領域に正しい「10000」を上書きし、正しい値は、「10000」であるとする誤り訂正を実行可能である。ただし、3つのメモリ領域から読み出した値がすべて異なる場合(例えば、「10110」、「01010」、「10000」など)にはこのような誤り訂正処理は実行できないので、やはり再設定が必要になる。
【0085】
なお、前記手動開閉検出記憶部37は、記憶処理装置11に対する給電が停止されているときに、手作業によるシャッター13の開閉が行われた場合、その事実を検出し、手動開閉有無情報MVとして記憶しておく部分である。
【0086】
給電が停止されているときに、当該検出および記憶を実行する方法としては、様々なものが考えられる。
【0087】
一例としては、手作業によるシャッター13の開閉が行われると、通常、シャッター13とモータとを機械的に連結する連結機構(図示せず)によって前記モータの出力軸が回転させられ、当該モータが発電機として機能すると考えられるので、当該モータが発電した電力を用いて検出、および記憶を行う方法を取ることもできる。この場合、シャッター13の手作業による開閉が終わると、手動開閉検出記憶部37に対する給電も停止するので、手動開閉検出記憶部37の記憶部は、例えば、前記EEPROMなどを用いて当該手動開閉有無情報MVを記憶しておく必要がある。
【0088】
また、別な方法としては、手動開閉検出記憶部37に独自の電源を付与する方法である。この電源は、例えば、ボタン電池などであってよい。このケースでは、手動開閉検出記憶部37の記憶部は、前記EEPROMであってもよく、RAMなどであってもよい。
【0089】
ただし、モータの発電を利用する場合、手作業によるシャッター13の開閉では、シャッター13の移動距離や移動速度にバラツキが大きいと考えられるため、場合によっては十分な電力が得られない可能性がある点を考慮すると、安定的な電力を得ることのできる独自の電源を付与するほうが実用的であるとも考えられる。
【0090】
なお、独自の電源を付与する場合でも、モータの発電を利用する場合でも、手動開閉検出記憶部37が格納している手動開閉有無情報MVは、記憶処理装置11に対する給電が再開され、制御部43が当該MVを読み出してその内容を前回動作モードメモリ24に書き込んだあとに、消去(無効を意味するビットパターンの書込みでも可)しておく必要がある。
【0091】
ただし、シャッター13とモータとを機械的に連結する前記連結機構の構成が、給電時に手作業(人力)によってシャッター13を開閉した場合に、モータの出力軸と連結機構の機械的な連結を、クラッチのようなもので外して(外さないと、モータが発電機として機能し、結果としてブレーキの役目を果たして当該手作業に対する負荷となるため、手作業による開閉に、より大きな人力が必要となってしまう)、手作業によるシャッター開閉を可能とするものである場合などには、給電時の手作業によるシャッター開閉も、上下限リミット位置データLUP、LUNの信頼性が低いと判定される要因となり得る。
【0092】
前記クラッチで連結が外れた状態で手作業によるシャッター開閉を行うと、モータの出力軸の回転自体が行われないために、給電がなされていても、上下限リミット位置データLUP、LUNの値とシャッター下端部13Aの位置が対応しなくなるからである。
【0093】
なお、当該記憶処理装置11には、図1に示すように、前記固定操作部14内に設けられた操作検出部32(および操作応答部33)が有線接続されている。
【0094】
ここで、固定操作部14は、有線接続されている点を除き、基本的に前記リモコン送信機12と同じユーザインタフェースをユーザU1に対して提供する部分である。
【0095】
したがって、当該操作検出部32は前記操作検出部58に対応し、操作スイッチ33は前記操作スイッチ53に対応し、操作スイッチ34は前記操作スイッチ54に対応し、操作スイッチ35は前記操作スイッチ55に対応し、操作応答部33は前記操作応答部59に対応する。また、図4と同じ符号を付与した各信号PB1、PB2、RAの機能も図4と同じである。
【0096】
ただし固定操作部14は、携帯性を要求されない点などでリモコン送信機12よりも多機能化しやすいので、必要ならば、操作スイッチの数を増やしたり、操作応答部33を多機能化したり、液晶ディスプレイ装置を搭載したりすること等も比較的容易である。
【0097】
なお、ここでは、記憶処理装置11を固定操作部14の外に配置しているが、記憶処理装置11の構成要素の全部または一部を、当該固定操作部14内に配置することも可能なことは当然である。
【0098】
なお、本実施形態で制御部43の外部に設けた記憶処理装置11の各構成要素(例えば、27、31など)は、実際の実装では、制御部43の内部で主としてソフトウエア的に実現するようにしてもよい。
【0099】
また、本実施形態では、リモコン送信機12、固定操作部14のいずれを用いることもできるものとしたが、これらの操作の一部をリモコン送信機12だけ(または固定操作部14だけ)で行うことができるようにしてもよいことは当然である。
【0100】
以下、上記のような構成を有する本実施形態の動作を、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0101】
図7のフローチャートは、P10〜P19の各ステップから構成されている。
【0102】
(A−2)実施形態の動作
遠隔操作システム10の通常の運用状態では、前記上限位置メモリ20には正常な上限リミット位置データLUP(ここでは「10000」とする)が格納されており、前記下限位置メモリ21には正常な下限リミット位置データLUN(ここでは「−10000」とする)が格納されている。
【0103】
そして、ユーザU1が前記リモコン送信機12または固定操作部14を操作することで、所望のシャッター動作を指示すると、指示通りのシャッター動作が、前記非制限操作モードで実行される。
【0104】
例えば、シャッター13が完全開放状態にあるときにリモコン送信機12の閉動作スイッチ52を押して閉動作を指示すれば、当該閉動作スイッチ52を押しつづけなくても、シャッター13は自動的に矢印D1方向へ閉動作を継続し、完全閉鎖状態で自動的に停止する。その場合のシャッター13の移動距離と移動速度の関係は、図6の点線で示す速度情報VD1にしたがう。
【0105】
速度情報VD1では、供給されるエンコーダパルスの累積値が0に近い動作開始位置(ここでは完全開放位置)付近では移動速度は遅いものの加速によって移動速度は速やかに定常速度VL1に到達する。それ以降は、動作終了位置(ここでは完全閉鎖位置)の直前まで当該定常速度VL1の定速度による移動が継続され、動作開始位置の直前で減速されて、エンコーダパルスの累積値がほぼ10000パルスとなる動作終了位置で停止する。
【0106】
ただし、もしも当該閉動作の途中でセンサ部40の光電管が不測の物体を検出した場合には、優先順位メモリ22が格納している優先順位情報PR1にしたがって、当該閉動作は強制的に、なおかつただちに停止され、必要に応じて閉動作から開動作への反転なども行われる。
【0107】
次に、このような通常の運用状態において、外来のノイズなどのために上限位置メモリ20および下限位置メモリ21が格納しているリミット位置情報LUPまたはLUNのいずれか(または双方)に関し、誤り検出部30が誤りが有ると判定した場合、上述した多数決に基づく誤り訂正処理で、当該誤りが訂正できれば訂正し、訂正できない場合には、LUP、LUNの再設定を行う必要が生じる。
【0108】
一方、不測の停電や、ユーザU1などが行う操作に基づいて、記憶処理装置11に対する給電が停止され、なおかつその給電停止状態でユーザU1などが手作業でシャッター13を開動作方向または閉動作方向に少しでも移動させた場合にも当該再設定が必要となる。
【0109】
図7のフローチャートは、当該給電停止状態から、記憶処理装置11に対する給電が再開されたときから開始される(P10)。
【0110】
記憶処理装置(制御盤)11に対する電源投入により給電が再開されると(P11)、有効な上下限リミット位置データLUP、LUN(上下限リミット)が記憶されているか否かが検査され、記憶されていない場合には処理はステップP15へ進み(P12の「いいえ」側の分岐)、記憶されている場合にはステップP13に進む(P12の「はい」側の分岐)。ステップP12の「いいえ」側の分岐は、シャッター13のシステムが、工場から出荷された直後などで、まだ有効な上下限リミット位置データLUP、LUNが格納されていない場合を想定したものなので、遠隔操作システム10がすでに運用されているこのケースでは、ステップP12は「はい」側に分岐する。
【0111】
ステップP12の「はい」側の分岐につづくステップP13では、制御部43が前記手動開閉検出記憶部37が格納している手動開閉有無情報MVを参照することで、給電停止状態に手作業によるシャッター13の開閉が行われたか否かが検査される。手作業によるシャッター13の開閉が行われていなければ、ステップP13は「いいえ」側に分岐し、電動動作モードにおける前記非制限操作モード(すなわち通常動作モード)に移行し(P18)、行われていれば、ステップP14の消去が行われる。
【0112】
なお、メモリは一般に、同じメモリ領域に新たなデータを書き込めば(すなわち、上書きすれば)、それまで書き込まれていたデータは失われ、新たに書き込んだデータだけが記憶されるので、必要に応じて、当該ステップP14は省略可能である。
【0113】
当該ステップP14につづく(P14を省略した場合にはP13につづく)ステップP15とP16では、前記制限操作モード(押し切り動作モード)による再設定処理が開始され、上下限リミット位置データの再設定が行われる(P16)。
【0114】
上述したように、本実施形態において上限リミット位置データLUPと下限リミット位置データLUNは絶対値の等しい一対のデータであるので、再設定に際しては必ず両者の再設定が同時に行われることとなる。前記カウンタのカウント値の初期値を0にリセットする場合、両者の値がわずかでも相違すると、完全閉鎖状態から完全開放状態に移行する開動作と、反対に完全開放状態から完全閉鎖状態に移行する閉動作の移動距離に長短の相違(誤差)が発生し、何回も開動作や閉動作を繰り返すうちに当該相違にもとづく誤差が累積して、シャッター13の機械系統に過大な負荷をかけるおそれもあるため、両者の値は完全に一致している必要がある。
【0115】
リモコン送信機12などを操作するユーザU1が非制限操作モードで開動作を指示し、シャッター13が完全開放状態で自動的に停止すると、そのときのシャッター下端部13Aは、例えば、図5(A)に示すように、上限マークUMが指定する上限位置にある。同様に、リモコン送信機12などを操作するユーザU1が非制限操作モードで閉動作を指示し、シャッター13が完全閉鎖状態で自動的に停止すると、そのときのシャッター下端部13Aは、例えば、図5(B)に示すように、下限マークNMが指定する下限位置にある。本実施形態の場合、移動途中の動的な位置は別として、移動終了後の静的なシャッター下端部13Aの位置としては、図5(A)の上限マークUMが指定する位置または図5(B)の下限マークUNが指定する位置のいずれかしかあり得ない。
【0116】
ところが、記憶処理装置11に対する給電が停止されている状態で、ユーザU1などが手作業により、シャッター13を移動させると、例えば、図5(C)のように、これらのいずれにも該当しない静的な位置IR1で、シャッター下端部13Aが停止することが起こる。
【0117】
前記ステップP13で「はい」側の分岐した場合が、この図5(C)のケースに該当する。
【0118】
位置メモリ20,21に、上限リミット位置データLUPとして「10000」が格納され、下限リミット位置データLUNとして「−10000」が格納されているとすると、前記シャッター下端部13Aが、下限マークNMで指定される位置(完全閉鎖位置)を動作開始位置として当該動作開始位置から、動作終了位置である上限マークUMで指定される位置(完全開放位置)まで移動したとき、累加算されたエンコーダパルスの数は、当該「10000」であり、反対に、上限マークUMで指定される位置(完全開放位置)を動作開始位置として当該動作開始位置から、動作終了位置である下限マークNMで指定される位置(完全閉鎖位置)まで移動したとき、累加算されたエンコーダパルスの数は、「−10000」である。
【0119】
ところが、図5(C)の位置IR1と上限マークUMが指定する位置との誤差ELが、例えば、1000パルスに相当する距離であるものと仮定すると、もしもそのまま、前記非制限操作モードでユーザU1が閉動作(完全閉鎖)を指示すると、シャッター下端部13Aは下限マークNM(この場合、−9000に相当)を超えて、当該下限マークNMが指定する位置よりもさらに1000パルス分下方にある位置IR2まで到達しようとする。もちろん、当該位置IR2までシャッター下端13Aが到達することは不可能であるから、そこで上述したモータ等の加熱などによる電気的な破損や、電動シャッターの機械的な破損などの様々な現象が発生するおそれがある。
【0120】
これに対応するために行われるのが、上限および下限のリミット位置データLUP、LUNの再設定である。
【0121】
この再設定は、完全閉鎖状態から完全開放状態に移行する場合などにシャッター下端部13Aが移動する最大移動距離TLを、記憶処理装置11に伝える操作に近いが、それだけではない。ユーザU1が制限操作モードで行う再設定には、誤差の混入が避けられないからである。
【0122】
図7のステップP16で実行する当該再設定の手順は、以下の通りである。
【0123】
前記給電停止状態から、記憶処理装置11に対する給電が再開されたときのシャッター下端部13Aが図5(C)に示す位置にあるものとすると、制限操作モードで、ユーザU1はまず、当該下端部13Aを上限マークUMが指定する上限位置または下限マークNMが指定する下限位置へ移動させる。このとき、ユーザU1から見える位置に当該上限マークUMまたは下限マークNMを表示しておけば、移動の目標として好ましい。
【0124】
ここでは、上限位置へ移動させるものとすると、制御部43は前記速度情報メモリ23から読み出した速度情報VD2に基づいて、移動速度を制御する。VD2ではVD1と異なり、動作終了位置の直前で移動速度がVL1からVL2まで低下するため、シャッター下端部13Aを目標へ正確に到達させることが容易である。
【0125】
なお、VD2のように移動速度を変化させるには、何らかの手段で、制御部43が動作終了位置を認識すること等が必要となるため、そのような手段を省略したい場合には、制限操作モードの移動速度は、VL2で統一したり、ユーザU1からの操作によって移動速度をVL1からVL2に変化させたりするとよい。
【0126】
そして、ユーザU1が目測により上限マークUMの指定位置と合致した位置で下端部13Aが静止したと判断したときに所定の確定操作を行って、再設定用の上限位置を決める。この確定操作は、例えば前記操作スイッチ51〜53の同時押しなどであってよい。なおこの移動は、ほぼ目標に近い位置に到達するための移動である概略的な移動と、正確に目標に到達するための微調整にわけることができる。
【0127】
当該確定操作のあとは、下限マークNMの指定位置を目標として、下端部13Aを移動させることとなる。この移動は、前記速度制御なども含め、前記位置IR1から再設定用上限位置までの移動と同じである。
【0128】
そしてユーザU1の目測により下限マークNMの指定位置と合致した位置で下端部13Aが静止したときに確定操作を行って、再設定用の下限位置を決める。
【0129】
再設定用の上限位置から下限位置までの下端部13Aの移動中、制御部43は前記モータ制御部39から供給されるエンコーダパルスの累加算(この場合は、主として累減算)を行っている。
【0130】
ここでは矢印D1方向を負方向とし矢印D2方向を正方向としているため、矢印D1方向への移動(ここでは概略的な移動が主としてこれに該当し、微調整による移動の一部もこれに該当し得る)では累減算が進み(絶対値は増大し)、矢印D2方向への移動(ここでは、主として微調整による移動がこれに該当する)では、累加算が進む(絶対値は減少する)。また、このとき、障害検出部38が不測の物体の存在を示す障害物検出信号S22を出力したとしてもそれは、優先順位情報PR1にしたがい、制御部43によって無視される。制限操作モードでは、通常、ユーザU1はシャッター13を目視しながらリモコン送信機12などを操作しており、また、保守作業などの場合には、保守のための道具類などが不測の物体として検出される場合もあるため、障害物検出信号S22は無視するほうが好都合なケースが多いと考えられるからである。
【0131】
前記微調整などを経て、最終的には、前記再設定用上限位置で行ったような確定操作により、当該再設定用の下限位置を確定する。ただしこの再設定用下限位置の決定は、ユーザU1の目測に依存しているため、誤差ΔEが混入し、当該再設定で得られるパルス数は通常、上述した「−10000」にはならず、例えば「−10015」などとなる。この場合、「−15」パルス分の距離ΔEだけ、前記最大移動距離TLを長く見積もったことになる。
【0132】
当該「−10015」が新たな下限リミット位置データLUNとして再設定され、前記下限位置メモリ21に格納されると、制御部43は自動的に当該「−10015」と絶対値が同じで符号だけが異なる「10015」を、新たな上限リミット位置データLUPとして再設定し、前記上限位置メモリ20に格納する。
【0133】
なお、シャッター13のシステムを含め一般的に機械的な機構には、ある程度のアソビが存在するので、上限、下限のリミット位置データLUP、LUNに誤差が存在したとしても、その割合が小さければ、機械的に正常に機能することが可能である。もし必要ならば、前記誤差ΔEが大きすぎる場合には、再度、ユーザU1に再設定を行わせるようにしてもよい。
【0134】
再設定後の上限、下限のリミット位置データLUP、LUNに誤差が混入している場合でも、その誤差の値が一致していれば、上述した誤差の累積に起因する過大な負荷も発生し得ない。
【0135】
以上のように、ステップP16の再設定が終了すると、ステップP17は「はい」側に分岐して、電動動作モードにおける前記非制限操作モードを使用することのできる通常動作モードに復帰する。
【0136】
なお、状況によっては、前記電動動作モードにあっても、ユーザU1がリモコン送信機12などを用いずに手作業によってシャッター13を開閉することも起こり得ると考えられるが、その場合には、制御部43が当該開閉によるシャッター13の移動距離を、前記エンコーダパルスを累加算することによって認識できるように構成すれば、リミット位置データの値とシャッター下端部13Aの位置とが対応しなくなることを防止することが可能である。
【0137】
シャッター13の移動距離の認識は、例えば、シャッターカーテンの巻取り軸に連結されたエンコーダから出力されるエンコーダパルスを累加算したり、前記ガイドレールGRに沿って、下端部13Aを検出するセンサを配置することによっても、得ることが可能である。
【0138】
(A−3)実施形態の効果
本実施形態によれば、従来に比べ、新たなセンサの追加などを不要としながら、信頼性が高く、操作性が良好な遠隔操作システムを、低価格で提供することが可能である。
【0139】
(B)他の実施形態
上記実施形態では、本発明を混合システムに適用した場合を例に説明したが、本発明は、専用の無線リモコンシステムまたは有線リモコンシステムのいずれかに適用することも可能である。
【0140】
有線リモコンシステムに適用する場合、リモコン送信機は所定の装着部などに装着して、前記固定操作部14を使用する場合のように、有線伝送路を介して記憶処理装置11と通信するようにしてもよい。
【0141】
なお、上記実施形態では、無線信号WL1は周波数帯域が300MHzや400MHz程度で、送信電力が1mW程度の微弱な電波であったが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。これよりも高い周波数や低い周波数の電波を使用してもよく、赤外線などを使用してもよい。また、送信電力もこれよりも大きくしてもよく、小さくしてもよい。
【0142】
また、上述した上限や下限のリミット位置データLUP、LUNの記憶を工場出荷時に、例えば、消去しておいたり、有り得ない値としておくことによって積極的に、上下限リミット位置データLUP、LUNの信頼性が低いと判定されるようにしておくこともできる。これにより施工現場でのシャッター取付時には前記非制限操作モードが使えず、制限操作モード(押し切り動作モード)を用いるしかなくなるため、運用状態における上下限リミット位置データLUP、LUNの設定前のシャッター動作確認等が、より可用性の高い態様で実行できる。
【0143】
さらに、前記開閉動作とは、開方向のみ、閉方向のみ、または開閉両方向の移動動作を意味する。また、「」は、繰り出し、スライド移動、展張等を含む開閉体の前進を意味する概念で、「」は、巻取り、収縮、折り畳み等を含む開閉体の後退を意味する概念である。
【0144】
なお、上記実施形態では、エンコーダが出力するエンコーダパルスは、シャッター下端部13Aの絶対的な位置を検出できず相対的な移動距離のみを示すことができるものであったが、必要ならば、絶対的な位置を検出することのできるアブソリュート型のエンコーダを用いることも可能である。
【0145】
アブソリュート型のエンコーダを用いる場合、エンコーダが出力するエンコーダパルスは、シャッター下端部13Aの絶対的な位置を示すため、上限リミット位置データLUPまたは下限リミット位置データLUNのいずれか一方だけを再設定することも可能である。上限リミット位置データLUPを再設定する場合のフローチャートは、例えば、図8に示すようになる。図8のフローチャートは、P30〜P38の各ステップから構成されている。
【0146】
図8においては、上限設定スイッチ(これは専用の操作スイッチをリモコン送信機12や固定操作部14に設けてもよく、操作スイッチの組合せ(例えば、開動作スイッチ51と閉動作スイッチ52の同時押し)によって、上限設定スイッチであることを示すようにしてもよい)を3回押すことで上限リミット位置データLUPを消去し(P31、P32)、再設定処理に移行する。再設定処理では、前記制限操作モード(押し切りモード(P33))でシャッターを所望の位置まで移動させ(P34)、下限位置(完全閉鎖位置)から当該位置まで移動距離を設定する(P35)。
【0147】
再設定処理から脱出するには前記上限設定スイッチを3秒間押しつづければよく(P36の「はい」側)、この操作を行わないかぎり、何回でも再設定を繰り返すことができる。なお、上限設定スイッチを3秒間押しつづける以外の操作を、再設定処理からの脱出操作としてもよいことは当然である。
【0148】
再設定処理からの脱出が完了すると、新たな上限リミット位置データLUPの内容が確定し、上限位置設定が行われる(P37)。
【0149】
また、当該アブソリュート型のエンコーダを用いる場合には、前記上限リミット位置データLUPと下限リミット位置データLUNのいずれかだけを再設定することも有り得るため、再設定が必要なリミット位置データと、これからシャッター13を移動させようとしている方向が一致するか否かに応じて、再設定が直ちに必要であるか否かも変化する。
【0150】
例えば、これから非制限操作モードによる閉動作を行おうとしている場合、下限リミット位置データLUNが再設定を要する状況であったとすると、当該再設定は当該閉動作よりも先に実行することが必要であるが、上限リミット位置データLUPのほうが再設定を要する状況であったとしても、その再設定は、当該閉動作のあとで行うことも可能である。
【0151】
なお、上記実施形態の構成要素のいくつかを省略したり、他の機能を持つ構成要素に置換したりしても本発明の効果を得ることは可能である。
【0152】
例えば、給電再開直後には必ず前記再設定処理を行うような構成を取る場合には、前記手動開閉検出記憶部37は省略可能である。
【0153】
また、上記実施形態では、リモコン送信機12に搭載する機能をできるだけ少なくし、できるだけ多くの機能を記憶処理装置11側に配分する構成を取ったが、必要ならば、記憶処理装置11が搭載している機能の一部をリモコン送信機12側に搭載する構成を採用することもできる。
【0154】
さらに、上記実施形態では、操作スイッチは、PBS形式のスイッチであるものとしたが、本発明は、PBS形式のスイッチに限って適用されるものではない。スライド式スイッチや回転式スイッチなどを使用してもよく、圧力や温度、静電気の変化などに反応する各種のスイッチを適用することもできる。
【0155】
なお、上記実施形態では、図6に示した速度情報VD2において、動作終了位置の直前で移動速度がVL1からVL2まで低下するようにしたが、このような速度低下と同等な効果が得られるのであれば、必ずしも速度情報VD2に対応した速度制御を行う必要はない。例えば、以下の(1)〜(3)の制御によっても、速度情報VD2に基づく速度低下の効果(シャッター下端部13Aを目標へ正確に到達させることが容易になる効果)と同等な効果が得られる。
【0156】
(1)操作スイッチ(例えば、開動作スイッチ51)を押し下げてシャッター動作を指示したあと、当該操作スイッチの押し下げを停止しても、動作終了位置の直前ではシャッターが通常よりも低速度で移動する。物理的なスイッチを設けること等によって、動作終了位置の近傍(直前)であることが自動的に認識できる場合には、操作スイッチの押し下げを停止したあとの動作でも、動作終了位置の近傍でなければ通常の速度で移動し、近傍になると低速度で移動する。
【0157】
(2)操作スイッチの押し下げや押し下げ停止に対するシャッター動作の応答時間を十分に短く構成した上で、操作スイッチを押し下げている期間だけ通常の速度(または低速度)で移動し、押し下げを停止すると直ちに停止する。この場合、こまめに操作スイッチの押し下げと押し下げ停止を繰り返すことにより、前記同等な効果を得ることができる。
【0158】
(3)操作スイッチを押し下げたあとで押し下げを停止すると、シャッターは、比較的短い所定距離または所定時間のみ移動する。この移動の速度は、低速度が好ましいが、通常の速度でもよい。要するに、比較的短い所定距離または所定時間で移動が停止するため、所望の位置で停止させやすい。
【0159】
また、これら(1)〜(3)の制御を実行する場合も含め、所定操作やディップスイッチの切り換え指定等により、低速度への切り換えや速度自体の変更指定を可能としてもよい。
【0160】
なお、上記実施形態においては主として、シートシャッターについて本発明を適用したが、本発明はシートシャッター以外にも、ガレージ用シャッターや窓用シャッターなど各種のシャッターに適用することも可能である。
【0161】
さらに本発明は、シャッター用としてだけでなく、ドア、窓、オーバーヘッドドア、ロールスクリーン(例えば遮光幕)、ブラインド、オーニング装置などの他の開閉装置の混合システムにも適用することが可能である。
【0162】
また、以上の説明において、情報の流れる方向は、基本的にはリモコン送信機からリモコン受信機(記憶処理装置11)へ向かう単方向であったが、本発明の適用範囲はこのような単方向通信に限定されるものではない。
【0163】
すなわち当該リモコン送信機を送信専用の通信機器ではなく遠隔操作用の送受信機である操作送受信機に置換するとともに、当該リモコン受信機を受信専用の通信機器ではなく遠隔被操作用の送受信機である被操作送受信機に置換し、必要に応じて全二重通信や半二重通信が行えるようにしてもよい。
【0164】
このとき操作送受信機から被操作送受信機に向かう無線信号に含まれている信号は、前記シャッター動作などを指示する動作状態指示信号であってよく、反対に被操作送受信機から操作送受信機に向かう無線信号に含まれている信号は、シャッター動作の現状を報告するための動作状態報告信号であってよい。
【0165】
当該動作状態報告信号は、その時点のシャッター動作状態が、例えば、「全開放状態」、「全閉鎖状態」、「一部開放状態(部分的に開放して停止している状態)」、「開動作中」、「閉動作中」、「異常発生」などであることを示す信号であってよい。
【0166】
この場合、当該動作状態報告信号を受け取ることによって、操作送受信機のユーザは、シャッター動作状態が例えば当該「閉動作中」であることを認識することができる。
【0167】
また、当該操作送受信機を携帯受信機に置換し、被操作送受信機を固定送信機に置換することもできる。この場合、情報の流れる方向は、固定送信機から携帯受信機に向かう単方向となる。常時このような単方向通信だけが行われるシステム構成であってもよく、通信方向モード切換に応じて必要な場合にのみ、このような単方向通信を行い得るシステム構成であってもよい。
【0168】
すなわち、前記操作送受信機と被操作送受信機において、通信方向モード切換に応じて必要な場合にのみ、このような単方向通信を行い得るようにしてもよい。
【0169】
また、以上の説明では、主として、開閉装置側通信装置が遠隔被操作器であり、非開閉装置側通信装置が遠隔操作器である場合について説明したが、本発明は、このケースに限って適用できるものではない。
【0170】
非開閉装置側通信装置が受信だけを行う(ただし割り当てられているIDは送信する)実質的な受信専用機器である場合も考えられる。
【0171】
この受信専用機器は、例えば、メンテナンスなどを目的としたもので、開閉装置側通信装置が開閉体に関して保有している動作管理情報(開閉体の開閉位置、開閉回数、開閉に関する障害情報、開閉時の障害物当接感知の有無など)などを受信し、受信結果を表示するものであってよい。
【0172】
また、この動作管理情報を開閉装置側通信装置が送信する送信タイミングについては、例えば、曜日や時間などを固定的に予め決めておいたり、有線で送信指示が与えられた任意のタイミングを、当該送信タイミングとすること等も可能である。
【0173】
さらに、当該送信タイミングで送信される前記動作管理情報の具体的な内容についても、予め固定的に決めておくようにしてもよく、指示された内容だけを送信するようにしてもよい。
【0174】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、信頼性が増し操作性が良好な開閉システムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る遠隔操作システムの記憶処理装置の主要部の構成例を示す概略図である。
【図2】実施形態に係る遠隔操作システムの全体構成例を示す概略図である。
【図3】実施形態に係るリモコン送信機の外観例を示す概略図である。
【図4】実施形態に係るリモコン送信機の主要部の構成を示す概略図である。
【図5】実施形態の動作説明図である。
【図6】実施形態の動作説明図である。
【図7】実施形態の動作説明図である。
【図8】他の実施形態の動作説明図である。
【符号の説明】
10…遠隔操作システム、11…記憶処理装置(リモコン受信機)、12…リモコン送信機、13…シートシャッター(シャッターカーテン部)、14…固定操作部、
20…上限位置メモリ、21…下限位置メモリ、22…優先順位メモリ、23…速度情報メモリ、24…前回動作モードメモリ、27…動作モードメモリ、28…操作モードメモリ、30…誤り検出部、31…手順記憶部、32…操作検出部、33〜35、51〜53…操作スイッチ、36…操作応答部、37…手動開閉検出記憶部、38…障害検出部、39…モータ制御部、40…センサ部、41…無線受信部、42…受信処理部、43…制御部。

Claims (6)

  1. 所定の動作限界情報によって指定される動作限界位置を限度として、電気的に開閉体の開閉動作する電動モードと、ユーザが手動で前記開閉体の開閉動作をさせることが可能な非電動モードとを備えた開閉システムにおいて、
    記憶している前記動作限界情報の内容を変更する動作限界位置変更手段と、
    前記非電動モードで開閉動作を実行したとき、それを検出し、記憶する非電動開閉検出記憶手段と、
    当該開閉システムが、非電動モードから電動モードに復帰した際、当該開閉システムが非電動モードで動作している間に、前記開閉体の開閉動作が実行されたことを、前記非電動開閉検出記憶手段に記憶されている内容に基づき検出した場合、前記動作限界情報の信頼性が低いと判定する第1の信頼性判定手段とを備え、
    前記第1の信頼性判定手段が前記動作限界情報の信頼性が低いと判定したときに、前記動作限界位置変更手段が、動作限界情報の内容を変更し、
    ユーザが開閉動作に関する指示を入力するために行う操作につき、操作継続中に限定して開閉動作が実行される限定操作モードと、操作すれば、当該操作をやめたあとでも開閉動作が継続実行される非限定操作モードを備えた操作受付手段をさらに有し、
    前記動作限界情報の内容の変更は、前記限定操作モードの操作受付手段を操作することで行う
    ことを特徴とする開閉システム。
  2. 請求項の開閉システムにおいて、
    前記限定操作モードによる開閉動作では、前記非限定操作モードで受ける開閉動作に関する所定の制約動作よりも、前記操作に応じた開閉動作の優先度を高くする優先度制御手段を備えたことを特徴とする開閉システム。
  3. 請求項の開閉システムにおいて、
    前記制約動作には、障害物検知手段が障害物の存在を検知して開閉動作を停止させる動作を含むことを特徴とする開閉システム。
  4. 請求項1の開閉システムにおいて、
    前記動作限界位置変更手段
    前記動作限界情報には、前記開閉動作のうち、開動作を制限する開動作限界情報、または、閉動作を制限する閉動作限界情報が含まれることを特徴とする開閉システム。
  5. 請求項の開閉システムにおいて、
    前記動作限界情報には、開動作限界情報及び閉動作限界情報の両方が含まれており、
    前記動作限界位置変更手段は、前記動作限界情報のうち開動作限界情報又は閉動作限界情報の一方だけを変更することが可能であり、
    前記第1の信頼性判定手段により前記動作限界情報の信頼性が低いと判定された後、前記動作限界情報に含まれている開動作限界情報又は閉動作限界情報のうち、未だ前記動作限界位置変更手段により変更されていない情報については、信頼性が低いと判定する第2の信頼性判定手段と
    非限定操作モードの操作が指示する動作の方向と、前記動作限界情報に含まれている開動作限界情報及び閉動作限界情報のうち前記第2の信頼性判定手段により信頼性が低いと判定された情の対応関係を検査する対応関係判定手段と、
    当該対応関係判定手段が対応しない旨の判定を行った場合は、前記非限定操作モードを選択し、対応する旨の判定を行った場合には、前記限定操作モードを選択する操作モード選択手段とを備え
    ことを特徴とする開閉システム。
  6. 請求項1〜5のいずれかの開閉システムにおいて、
    前記限定操作モードでは、前記動作限界情報の内容の変更を支援するために、開動作または閉動作の動作行程の少なくとも最後付近は前記非限定操作モードよりも低速度で動作することを特徴とする開閉システム。
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