(A)実施形態
以下、本発明に係る開閉装置、開閉方法及び開閉プログラムの実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態は、上下に開閉するスラットシャッターの電動式開閉システムにおいて、シャッターカーテンの開閉動作を制御する装置に本発明である開閉装置及び開閉方法を適用し、また開閉装置の機能を実現する制御部が実行可能なプログラムに本発明の開閉プログラムを適用したものを説明する。
(A−1)実施形態の構成
以下では、まず、本実施形態に係る電動式開閉システムの全体構成例を説明した後に、ユーザ操作指示に対して開閉体動作を制限する所定動作があった場合の入力組合せ情報を記憶する記憶処理装置の構成例、及び、リモコン送信機の構成例について説明する。
(A−1−1)全体構成例
図2は、本実施形態に係る電動式開閉システムの全体構成例を示す構成図である。
図2において、本実施形態に係る電動式開閉システム10は、大別して、記憶処理装置(リモコン受信機を含む)11と、記憶処理装置11と通信できるリモコン送信機12と、シャッターカーテン13と、固定操作部(操作盤)14と、ガイドレールGRと、シャッターケースSC1とを少なくとも備える。
ここで、本実施形態の電動式開閉システム10は、例えばユーザ操作による固定操作部14からの操作指示に従って開閉動作をする有線リモコンシステムと、例えばユーザが所持するリモコン送信機12からの操作指示に従って開閉動作をする無線リモコンシステムとを併用したものである。
勿論、有線リモコンシステムのみ、又は無線リモコンシステムのみで動作する開閉システムにも本発明を適用することができる。
ここで、有線リモコンシステムとは、開閉体の動作を遠隔操作するシステムの1形態であり、有線通信で開閉体動作を指示するシステムをいう。また、無線リモコンシステムは、開閉体の動作を遠隔操作するシステムの1形態であり、無線通信で開閉体動作を指示するシステムをいう。
従って、ユーザU1は、固定操作部14又はリモコン送信機12を操作することによって、所望のシャッター動作(開動作や閉動作(必要に応じて、中間位置の変更なども含む))を指示することができる。
なお、ユーザ操作による電動シャッターの動作指示モードには、種々の態様が考えられるが、いずれの態様にも本発明を適用することができる。例えば、動作指示モードの例として、例えばユーザが操作スイッチを押し続けている間、開閉体動作を維持する制限操作モードや、また例えば、ユーザがいったん操作スイッチを押した後は、押し続けなくても、自動的に開閉体動作を維持する非制限操作モードなどが考えられる。
図2において、シャッターカーテン13は、例えば鉄等からなる金属製のスラットを多数連接して構成された頑健な開閉体であり、例えば、防災や防犯などの用途に利用されるものである。なお本実施形態では、シャッターカーテンの例としてスラットから構成されたものを挙げて説明するが、これに限定されず、例えばポリエステルなどの軽い素材によって構成されたシート状のものやパネルシャッターやグリルシャッターにも適用できる。
シャッターカーテン13は、図示しない制御部から開動作指示を受けると、図示しない動力源(例えばモータ)が駆動し、シャッターカーテン13が、巻き取りシャフト(図示しない)により巻き取られ、シャッターケースSC1内に収納される。このとき、シャッターカーテン13は、壁WLに設けられたガイドレールGRに沿って、矢印D2方向(上方向)に下端部13Aが移動し、開口部を開放する。
また、シャッターカーテン13は、制御部から閉動作指示を受けると、動力源が駆動し、巻き取られていたシャッターカーテン13が、巻き取りシャフトから離れ、ガイドレールGRに沿って、矢印D1方向(下方向)にシャッターカーテン13の閉鎖側端部であるシャッターカーテン下端部13Aが移動し、開口部を閉鎖する。
なお、図2では、シャッターカーテン下端部13Aが完全閉鎖と完全開放との中間位置で停止している場合を示す。
また、シャッターカーテン下端部13A及びシャッターケースSC1は、障害物検知システムとして赤外線ポートPR1及びPR2を有する。
赤外線ポートPR1及びPR2は、障害物検知に寄与するものであり、シャッターカーテン下端部13Aが物体に当接したとき、赤外線ポートPR1が赤外線を送出するものである。また、赤外線ポートPR2は、赤外線ポートPR1からの赤外線を受信すると、赤外線を受信した旨を示す信号を記憶処理装置11に与えるものである。
ここで、本実施形態では、障害物検知信号の伝送媒体に赤外線を利用した場合の態様を示すが、これに限定されず、他の光線や電波等の無線通信媒体を利用しても良いし、又は有線通信媒体を利用しても良い。
固定操作部14は、例えばシャッターカーテン13の近傍に固定的に設置されるものであり、シャッターカーテン13の開閉動作を指示操作するものである。固定操作部14は、例えば、開スイッチ、停スイッチ、閉スイッチの3点式のプッシュボタンスイッチ(PBS)に代表される操作スイッチを有し、これら操作スイッチがユーザに押下されると、開動作、停動作、閉動作を指示する信号を記憶処理装置11に与えるものである。
リモコン送信機12は、シャッターカーテン13の開閉動作を指示する無線機であり、その外観例を図3に示す。図3において、リモコン送信機12は、本体12Aの上面から突出したPBS形式の3個の操作スイッチ51〜53を有する。リモコン送信機12は、これら操作スイッチ51〜53がユーザに押下されると、所定の変調処理に従ってユーザ操作信号を有する無線信号を作成し、無線信号を送出するものである。
なお、図3において、操作スイッチ51は、シャッターカーテン13の開動作を指示するための開動作スイッチで、操作スイッチ52はシャッターカーテン13の閉動作を指示するための閉動作スイッチで、操作スイッチ53はシャッターカーテン13の開動作または閉動作を任意のタイミングで停止させるための停止スイッチである。
記憶処理装置11は、その機能構成の詳細は後述するが、固定操作部14やリモコン送信機12から操作指示信号を受信したり、上限リミットや下限リミットからの信号を受信したり、赤外線ポートPR2からの障害物感知信号を受信したり、動力源(例えばモータ)の温度を感知する温度センサから温度情報を受信したりし、これらの受信信号に基づいてシャッターカーテン13の動作を制御するものである。
また、記憶処理装置11は、ユーザから操作指示されたシャッターカーテン13の動作を制限する優先順位の高い入力があった場合、そのときの入力信号の入力組合せ情報を記憶させるものである。すなわち、記憶処理装置11は、ユーザから操作指示された動作を無効にする事象が生じた場合、これを異常であるとし、そのときの入力信号の入力状況を履歴として記録するものである。
これにより、シャッターカーテン13の動作を制限する入力があった場合を履歴として記録することができるので、その履歴情報に基づいて不具合を生じさせる原因となる入力信号の信号系統を推定できるので、的確な保守作業をすることが期待できる。
以下、記憶処理装置11の構成及び機能について図面を参照しながら詳細に説明する。
(A−1−2)記憶処理装置の構成例
図1は、記憶処理装置11の機能を司る制御部を中心とした構成と周辺装置との関係を示す構成図である。
図1に示すように、本実施形態のシステムの構成は、記憶処理装置11の機能を司る制御部43、固定操作部14と、リミット位置記憶部21と、比較部22と、カウンタ部23と、タイマ部24と、赤外線受信部(PR2)25と、モータ制御部26と、温度センサ部27と、記憶管理部28と、コネクタ部29と、ログ記憶部30と、無線受信部41と、受信処理部42とを少なくとも備える。
制御部43は、記憶処理装置11としての機能を司るものであり、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM等から構成されるものであり、例えばマイクロコンピュータ等が該当する。
制御部43は、固定操作部14、受信処理部42、比較部22、赤外線受信部(赤外線ポートPR2)25、温度センサ部(TH1)27、タイマ部24などと接続し、これら構成要件からシャッター13の動作を指示する信号や又はシャッターカーテン13の状態を知らせる信号を受信し、これらの信号入力に基づいてシャッターカーテン13の動作を制御する信号をモータ制御部26に与えるものである。
また、制御部43は、上述した構成要件からの信号入力の状況を監視する入力監視部43Aを備える。この入力監視部43Aは、予め設定された異常判定テーブル43Bを有し、上述した構成要件から入力した入力信号の組合せが異常判定テーブル43Bに設定された組合せと一致する場合には、シャッターカーテン13の動作を制限する入力があった(すなわち異常であった)と判定し、その入力組合せ情報を履歴として記録管理部28を通じてログ記憶部30に記録させるものである。
ここで、異常判定テーブル43Bの構成例について図7を参照して説明する。異常判定テーブル43Bには、シャッターカーテン13に対する、ある動作指示と、その動作を制限するより優先順位が高い動作指示との関係例を示すものである。勿論これら以外の内容を設定することができる。
例えば、図7の異常判定テーブル43Bの構成例では、「上限リミット信号」、「下限リミット信号」、「開信号」、「閉信号」、「停信号」、「障害物感知信号」の入力の有無を項目とする。なお、図7では、制御部43に信号入力する場合を「ON」と示し、制御部43への信号入力がない場合を「OFF」と示す。
そして、例えば、「開信号、閉信号」のユーザ操作指示より、「上限リミット信号、下限リミット信号、障害物感知信号」の入力指示の方が優先順位は高いものとし、また例えば、「上限リミット信号、下限リミット信号、障害物感知信号」より、「停信号」の方が優先順位は高いものとする。
従って、例えば、「異常NO.1」では、上限位置以上の開放状態にあるシャッター13をユーザが閉動作しようとする場合であるが、「閉信号:ON」が制御部43に与えられても、それより優先順位が高い「障害物検知信号:ON」が与えられ、「閉動作」が制限されたときを示す。
また、「異常NO.」は、上記テーブル項目の各信号の入力組合せに一致する場合に、その組合せパターンを決定づけるための番号情報であり、本実施形態では、この番号情報をログ記憶部30に記憶させるようにする。すなわち、異常判定テーブル43Bに規定された入力組合せの信号入力を入力監視部43Aが検知すると、その入力組合せに係る「異常NO.」を記憶管理部28に与えて、ログ記憶部30に記憶させる。その後、保守作業者は、記憶された「異常NO.」を出力し、その「異常NO.」に基づいて、どの信号が「ON」であり、どの「OFF」であるかを手許の管理表等から把握し、その不具合原因となる信号系統の保守を積極的にすることができる。
さらに、「異常の内容」は、上記テーブル項目の各信号の入力組合せで入力があった場合の異常の内容を示すものである。なお、本実施形態では、説明便宜上、この項目をテーブル項目としたが、保守作業者が異常の内容を知ることができれば、この項目はなくてもよい。
また、本実施形態では、異常判定テーブル43Bに規定の入力組合せで、各入力信号が制御部43に入力した場合に、異常履歴をとるものとして説明するが、異常判定テーブル43Bの規定によらず、何らかのユーザ操作指示信号が示す動作を無効とした場合、そのときに制御部43に入力する入力信号の入力状況をすべて履歴として記録するようにしても良い。
なお、本実施形態において、「ユーザ操作指示信号が示す動作を無効とする」とは、例えば、「開信号:ON」など操作指示手段からの操作指示信号が制御部43に入力されても何も動作制御しない(すなわち、それまでの状態を保持する)ことのほかに、例えば、「開信号:ON」が制御部から与えられても、「停止動作制御」や「閉動作制御」など、制御部から与えられた信号が示す動作制御とは異なる別の動作制御を行うことを含む概念であり、さらに、動作モードの変更や、動作範囲の変更、動作スピードの変更等も可能であることを含む概念である。さらに、無効の仕方は、組合せパターンにより異なるようにしてもよい。
図1に戻り、無線受信部41は、例えば、受信用のアンテナシステム、フィルタ回路、電力増幅器などを備え、リモコン送信機12が無線送信した無線信号WL1を受信し、受信した無線信号WL1に含まれている送信信号WSと対応する受信信号WSを受信処理部42に与えるものである。
受信処理部42は、無線受信部41から受信信号WSを受け取り、所定の復号処理や復調処理などの必要な処理を施した受信処理信号RPを制御部43に与えるものである。
固定操作部14は、ユーザ操作された操作指示信号を制御部43に与えるものである。
モータ制御部26は、制御部43からシャッターカーテン13の動作を制御する制御信号S26を受け取り、その制御信号S26に応じて動力源であるモータM1を駆動させるものである。
また、モータ制御部26は、モータM1の出力軸の回転を示すエンコーダパルスS26Aを出力する機能も備えており、エンコーダパルスS26Aをカウンタ部23に与えるものである。このエンコーダパルスS26Aの数により、モータM1の出力軸の回転量は可変し、このモータM1の出力軸の回転量がシャッター13(すなわち、下端部13A)の移動量に対応する。
カウンタ部23は、モータ制御部26からエンコーダパルスS26Aを受け取り、そのエンコーダパルスの数をカウントし、そのカウント値を比較部22に与えるものである。
リミット位置記憶部21は、下端部13Aの移動範囲のうち上限位置(上限リミット)を示す情報(上限リミット位置データLUP)と、下限位置(下限リミット)を示す情報(下限リミット位置データLUN)とを記憶するものである。なお、リミット位置記憶部21は、上限位置と下限位置との間の所定の中間位置を示す情報や、上限位置や下限位置を所定のわずかな距離だけオーバーランした位置を示す情報を記憶させることも可能である。
比較部22は、カウンタ部23から与えられたカウント値CT1を、リミット位置記憶部21に記憶されているリミット位置データLUP、LUNと比較することで、シャッターカーテン下端部13Aが上限位置又は下限位置のいずれかに到達したことを検出するものであり、その検出の結果は、上限リミット信号又は下限リミット信号として制御部43に与えられる。
ここで、シャッターカーテン下端部13Aの位置(例えば、上限位置または下限位置)を認識するための方法として、連続カウント方式と不連続カウント方式とが考えられ、これらの方式について図5及び図6を参照しながら簡単に説明する。
連続カウント方式は、前回のシャッター動作の終了時のカウント値を保存(この保存には、例えばEEPROM(フラッシュメモリ:Electrical Erasable Programmable ROM)などの不揮発性記憶手段を用いる)しておいて今回のシャッター動作の開始時のカウント値とするものである。
一方、不連続カウント方式は、各シャッター動作の終了時のカウント値は保存せず、シャッター動作ごとに開始時のカウント値を一定の初期値(ここではこれを、0とする)にリセットするものである。
図6(A)は連続カウント方式の動作例を示す説明図であり、図6(B)は不連続カウント方式の動作例を示す説明図であり、両者とも、完全閉鎖状態から開動作(EA1,EB1)を行って完全開放状態に移行し、更に完全開放状態から閉動作(EA2,EB2)を行って完全閉鎖状態に移る場合の動作を示している。
外観上、完全閉鎖状態は図5(C)に示す状態であり、完全開放状態は図5(A)に示す状態である。また、完全閉鎖状態と完全開放状態の中間の状態(中間位置)の一例は図5(B)に示す状態である。
連続カウント方式の場合、図6(A)の例では、リミット位置記憶部21内に記憶される上限リミット位置データLUPは「10000」で、下限リミット位置データLUNは「0」である。
これに対し、不連続カウント方式の場合、図6(B)の例では、リミット位置記憶部21内に記憶される上限リミット位置データLUPは「10000」で、下限リミット位置データLUNは「−10000」である。
ただし、カウンタ部23によるエンコーダパルスS26Aのカウントは、シャッターカーテン下端部13Aが矢印D2方向に移動する開動作の場合には、エンコーダパルスS26Aが供給されるたびにインクリメント(+1)する処理であり、反対に、矢印D1方向に移動する閉動作の場合には、エンコーダパルスS26Aが供給されるたびにデクリメント(−1)する処理である。
インクリメントすべきか、デクリメントすべきかをカウンタ部23に知らせるため、制御部43は、信号S26で指示したものがシャッターカーテン13の開動作であるか閉動作であるかを、カウンタ部23に伝えるようにするとよい。
また、制御部43は、信号S26で指示したものがシャッターカーテン13の開動作であるか閉動作であるかを、比較部22に伝え、カウント値CT1と比較する対象が上限リミット位置データLUPであるか、下限リミット位置データLUNであるかを指定するようにするとよい。
このように、比較部22の機能を用いることで、制御部43は、シャッターカーテン下端部13Aが上限位置又は下限位置に達したことを認識できるため、シャッターカーテン13の開動作又は閉動作を上限位置又は下限位置で自動的に停止させ、上述した非制限操作モードを実現できる。
なお、制御部43は、比較部22の機能を用いずに、シャッターカーテン下端部13Aが下限位置に達したことを認識することもできる。例えば、赤外線受信部25から供給される信号S25を利用する方法が考えられる。また例えば、上述した2つの方法を用意しておくことにより、制御部43は、通常は、比較部22の機能を用いて下限位置での停止を行い、緊急時(障害発生などによって、比較部22から正常な信号S22が供給されないとき等)には、信号S25に基づいて下限位置での停止を行うようにすることができる。
赤外線受信部25は、赤外線ポートPR2を有し、シャッターカーテン下端部13Aに設けられた赤外線ポートPR1から出力された赤外線IRDを受信するものである。赤外線受信部25は、赤外線IRDを受信すると、その旨を知らせるため信号S25を制御部43に与えるものである。
上述したように、赤外線ポートPR1から赤外線IRDが出力されるのは、閉動作中のシャッターカーテン下端部13Aが物体に当接したときである。シャッターカーテン13の一般的な運用状況を前提とすると、シャッターカーテン下端部13Aが当接する物体はほとんどの場合、床面FLであるが、希には、不測の物体(障害物)と当接することがある。床面FLとシャッターカーテン下端部13Aの当接は、閉動作によってシャッターカーテン13が完全閉鎖状態となるたびに発生する事象であるのに対し、不測の物体との当接は、シャッターカーテン13の閉動作中、シャッターカーテン13の軌道上(下端部13Aの進行方向)に不測の物体が出現した場合にのみ発生する事象である。
上述したように、緊急時にのみ、制御部43が信号S25に基づいて下限位置での停止を行うようにするには、下限リミット位置データLUNの値として、シャッターカーテン下端部13Aが床面FLに当接して赤外線IRDを出力する位置よりも、わずかに上の位置を指す値を設定しておくとよい。これにより制御部43は、通常は信号S22に基づいて自動的にシャッターカーテン13を停止し、緊急時には、信号S25に基づいてシャッターカーテン13を停止(緊急停止)することができる。
温度センサ部27は、モータM1の温度を検出し、その検出した温度情報を制御部43に与えるものである。ここで、温度センサ部27が提供する温度情報は、例えば、常時又は一定周期で測定したモータM1に関する温度の測定値としてもよいし、また例えば、モータM1の温度の測定値が所定の閾値TH1を越えたか否かを温度センサ部27が判定し、閾値を越えたときのみ信号S27を制御部43に供給するものとしてもよい。この閾値TH1は、モータM1で異常加熱が発生したときに越える値である。
タイマ部24は、制御部43がモータ制御部26に対して動作開始を指示してから、その動作停止を指示するまでの時間TM1を計測するものである。
ここで、動作開始の指示は、制御部43からモータ制御部26への開動作又は閉動作の制御信号の供給時であり、動作停止の指示は、制御部43からの停止動作の制御信号の供給時であって、ユーザ操作に従って供給する場合と制御部43が動作停止すべき状況を判断して供給(例えば、シャッターカーテン13が上限又は下限に達したときの停止信号の供給や、異常検知に基づく停止信号の供給)する場合とが考えられる。
また、タイマ部24が計測する時間TM1は、シャッターカーテン13やモータM1等の仕様や外部環境(例えば、風圧の大きさや温度等)に応じて決定され得るが、通常は、ある一定の範囲内に収まるはずなので、時間TM1が異常に長い場合などは、障害の存在を疑う根拠となり得る。また、予め正常の範囲を示す閾値を設定し、時間TM1と閾値との比較により正常か異常かを判断することができる。
なお、制御部43が異常を判定してログを記憶する際、タイマ部24が測定した時間TM1も対応付けて残すようにしても良い。これにより、異常動作の原因推定に寄与することができる。例えば、閉動作信号が「ON」したが、停止動作信号が「ON」して降下しない場合(図7の「異常NO.2」の場合)、閉動作信号が停動作信号より先に入力したときには、閉動作信号入力に基づく制御信号を出力し、その後停動作信号入力に基づく制御信号を出力するまでの時間TM1を知ることができるので、その停止に対応する不具合原因を追求し得る。
ログ記憶部30は、シャッターカーテン13に生じた異常動作のログを記録するための不揮発性の記憶資源であり、取り外し可能な形式で装着されている記憶媒体(例えば、小型のメモリカード(例えば、SD(Secure Digital)メモリカード等)であってもよいし、又は記憶処理装置11の内部又は近傍に固定的に設置された記憶媒体であってもよい。本実施形態では、取り外し可能な形式で装着されている記憶媒体を用いた場合を示す。
このように、取り外し可能な形式で記憶媒体を用いることにより、ログ解析の際、ログ記憶部30を取り外して、情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ等)でログ解析することができる。また、例えばSDメモリカードなど所定の規格に対応した汎用性のある記憶デバイスを用いれば、専用の機器を用意しなくても、汎用的に使用されている携帯電話機やパソコンなどを用いて、記憶デバイスに記憶されている記憶内容を読み取り、ログ解析を実行することができる。
また、固定的に設置された記憶媒体を用いる場合には、例えば、専用の読み取り機器などを、例えばコネクタ(図示しない)を通じて記録媒体に接続し、記憶媒体に記憶されている記憶内容を読み取り、ログ解析を実行することができる。
なお、ログ記憶部30への記憶形式は、種々の形式が考えられるが、例えば、制御部43が異常と判定した「異常NO.」を、異常発生した順に時系列的に記憶する形式が考えられる。
また、図1には図示しないが、例えば日時情報を供給する時計部を具備していれば、その異常発生時の日時情報を異常履歴に対応付けて記憶するようにしても良い。また、時計部を具備していなくても、日時情報の代わりに、例えばシャッターカーテン13の開閉動作の累積回数等を異常履歴に対応付けて記憶するようにしても良い。
コネクタ部29は、ログ記憶部30を取り外し可能な形式で記憶処理装置11に装着するためのコネクタである。なお、ログ記憶部30との接続形式によるが、ログ記憶部30が無線部を有し無線通信が可能であれば、コネクタ部29は無線通信インタフェースでとしても良い。
記憶管理部28は、制御部43からの指示に従って、ログ記憶部30に記憶させるログ情報を作成するものであり、例えば、RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)等が該当する。記憶管理部28がRDBMSを構成する場合、一般的なRDBMSは、関係型データベースに対するあらゆる操作(行の追加、削除、検索など)を実行する機能を持つが、記憶管理部28は、基本的に、少なくとも行を追加する機能を有すれば良い。
ログは、何らかの不測の問題が発生したときに解析するものなので、いつ必要になるか、また、いつまで遡って解析する必要があるかを事前に予測することは難しい。従って、ログテーブルTB1に記録した内容はできるだけ長期間、保存しておくことが望ましいが、ログ記憶管理部30の記憶容量には物理的な上限がある。この上限に達したあとも、さらに新たなログ(新たな行)を記録しつづけるためには、例えば、最も古い行から順番に削除し、その削除によって生まれた空き容量を用いて、新たな行の追加を行うようにしてもよい。その場合、記憶管理部28は最も古い行を削除する機能を持つ必要がある。
(A−1−3)リモコン送信機の内部構成
続いて、リモコン送信機12の内部構成例について図4の機能ブロック図を参照して説明する。
図4に示すように、リモコン送信機12は、無線送信部54と、送信処理部55と、プロセッサ56と、手順記憶部57と、操作検出部58と、操作応答部59とを備え、操作スイッチ51〜53は、操作検出部58に設けられている。
無線送信部54は、送信処理部55から受け取った送信信号に、所定の無線処理を施して生成した無線信号WL1を無線送出するものであり、例えば、送信用のアンテナシステムやフィルタ回路などを備えている。無線信号WL1は、例えば、300MHz、400MHz程度の周波数帯域であり、その送信電力は例えば1mW程度の微弱な電波であってよい。
送信処理部55は、プロセッサ56から送信処理信号RPを受け取り、所定の符号化処理や変調処理等を施して生成した送信信号WSを、無線送信部54に与えるものである。
ここで、送信信号WSの内容は、例えばシャッターカーテン13の動作指示やID登録操作等と有限個であるため、送信処理部55の情報発生源(例えば、ROM等)に予め考えられる送信情報を用意しておき、送信処理信号RPに応じて選択できるようにしても良い。
なお、IDとは、リモコン送信機12からの情報であることを一義的に識別するための情報をいい、これを必要とするのは、他のリモコン送信機の使用周波数帯域が同じであるためである。記憶処理装置11(リモコン受信機)側では、使用ユーザのIDを1個又は複数個予め登録し、使用時に認証する必要がある。
プロセッサ56は、リモコン送信機12の機能を司るものであり、特に、手順記憶部57から判定信号DSを受け取り、その判定信号DSに基づく送信処理信号RPを送信処理部55に与えるものである。
操作検出部58は、操作スイッチ51〜53を設け、ユーザにより操作スイッチ51〜53が押下されると、操作指示信号PB1を手順記憶部57に与えると共に、同じ操作指示信号PB2を操作応答部59に与えるものである。
手順記憶部57は、操作検出部58から操作指示信号PB1を受け取ると、その操作指示信号PB1に基づく操作手順を一時的に記憶し、その操作手順をプロセッサ56に与えるものである。これは、3個の操作スイッチ51〜53の押下順序や押下時間及び又はこれらの組合せにより、予め所定のシャッター動作の態様を設定した場合、操作指示信号PB1の入力パターンを記憶し、その入力パターンの判定結果である判定信号DSをプロセッサ56に与えることができる。
操作応答部59は、操作検出部58から受け取った操作指示信号PB2に応じた応答出力RAを出力するものであり、例えば、ブザーなどの音響発生器、LED(発光ダイオード)等の発光素子などが該当する。
(A−2)実施形態の動作
次に、本実施形態の記憶処理装置11におけるシャッターカーテン13の動作を制限する入力があった場合にログを記憶する処理の動作について図面を参照して説明する。
まず、電動式開閉システムの設置時又は保守終了時は、ログ記憶部30はログを記憶しておらず、また制御部43は、周辺装置から信号入力の有無を監視する(ステップ101)。
すなわち、制御部43は、固定操作部14、受信処理部42、比較部22、温度センサ部27、タイマ部24からの信号入力の有無を監視する。
このとき、制御部43は、固定操作部14又は受信処理部42から、「開信号」が与えられると、「開信号」が「ON」であると検知し、「閉信号」が与えられると、「閉信号」が「ON」であると検知し、「停信号」が与えられると、「停信号」が「ON」であると検知する。なお、制御部43は、「開信号」、「閉信号」、「停信号」が与えられない場合には、それぞれの信号は「OFF」とする。
また、シャッターカーテン下端部13Aが上限位置以上に到達している場合、制御部43は、比較部22から「上限リミット信号」が与えられ、「上限リミット信号」が「ON」と検知し、シャッターカーテン下端部13Aが下限位置以下に到達している場合、制御部43は、比較部22から「下限リミット信号」が与えられ、「下限リミット信号」が「ON」と検知する。なお、制御部43は、「上限リミット信号」、「下限リミット信号」が与えられていない場合には、それぞれの信号は「OFF」とする。
さらに、障害物検知した場合、制御部43は、赤外線受信部25から「障害物感知信号」が与えられ、「障害物感知信号」が「ON」と検知し、「障害物感知信号」が与えられていない場合、「障害物感知信号」が「OFF」とする。
その後、シャッターカーテン13の開閉動作を操作指示する信号DS又はRPが、固定操作部14又は受信処理部42から制御部43に与えられると(ステップ102)、制御部43は、そのときの入力信号の入力状況が、異常判定テーブル43Bに規定される入力信号の組合せパターンに一致するか否かを判定する(ステップ103)。
入力信号の入力状況が入力組合せパターンと一致しないと制御部43が判定すると、制御部43は、通常の制御処理を行い、このときの入力信号の組合せ情報は記憶されず、通常の制御処理後は入力信号の監視状態に戻る。
すなわち、制御部43は、操作指示信号に従った制御信号をモータ制御部26に与える。そして、モータ制御部26に制御信号が与えられると、モータ制御部26が制御信号に従ってモータM1を駆動制御し、シャッターカーテン13を開閉動作させる。
一方、入力信号の入力状況が入力組合せパターンと一致すると制御部43が判定すると、制御部43は所定の異常動作であると判定し、この異常動作時の入力信号の組合せ情報が記憶される(ステップ104)。
例えば、シャッターカーテン下端部13Aが上限位置以上にある状態(例えば完全開放状態)から、ユーザU1がシャッターカーテン13を閉動作を指示する場合を例に挙げる。
この場合、シャッターカーテン下端部13Aが上限位置に達しているから、「上限リミット信号」が比較部22から制御部43に与えられ、「上限リミット信号」は「ON」、「下限リミット信号」は「OFF」である。
そして、ユーザU1が固定操作部14又はリモコン送信機12を閉スイッチを操作すると、固定操作部14又は受信処理部42から「閉信号」が制御部43に与えられる。このとき、「閉信号」が制御部43に与えられるから、「閉信号」は「ON」であり、「開信号」及び「停信号」は「OFF」である。
ユーザU1の操作指示に基づく操作指示信号を受けている間に、障害物を感知し、赤外線受信部25から障害物感知信号が制御部43に与えられると、「障害物感知信号」が「ON」となる。
そうすると、このときの入力信号の入力状況は、「上限リミット信号:ON」、「下限リミット信号:OFF」、「開信号:OFF」、「閉信号:ON」、「停信号:OFF」、「障害物検知信号:ON」となり、図7の異常判定テーブル43Bの「異常NO.1」の組合せパターンに該当するから、ユーザU1によるシャッターカーテン13の操作指示がキャンセルされ、制御部43は、ユーザ操作指示に対する異常動作であると判定する。
そして、制御部43は、「異常NO.1」に規定される入力組合せ情報として、異常判定テーブルの異常NO.の「1」を記憶管理部28に与えて、所定の記憶管理方式に従ってログ記憶部30に「1」を記憶させる。なお、記憶管理方式には、例えば、ログ情報に対して暗号化や記号化などの処理を施したものを記憶する方式を採用しても良い。
以降、同様に、ユーザからの操作指示に対して開閉動作を制限する異常動作があった場合、制御部43はそのときの入力組合せ情報をログとして記憶するようにする。
その後、保守者が、ログ記憶部30に記憶されている記憶内容(ログ情報)を所定の方法で読み取り、所定のログ解析を行い、不具合の原因を追求し、適切な保守を実行できる。
なお、ログの解析方法は、ログ記憶部30の形式にもよるが、本実施形態のように、取り外し可能な記憶媒体(例えばSDカード)を用いた場合には、ログ記憶部30をコネクタ部29から取り外し、例えば、ノート型パソコンや携帯電話機を利用することができる。また、ログ記憶部30から読み取った内容は、ノート型パソコンや携帯電話機の画面に表示させて、保守者自身の知識や経験に基づいてログを解析するものであってもよいが、解析ツールなどを利用すれば、いっそう効率的なログ解析を行える可能性が高い。また、携帯電話機やノート型パソコンの通信機能を利用する場合には、例えば、読み取ったログ情報をノート型パソコンや携帯電話機などから所定のサーバなどに送信し、ログ解析のための処理はサーバ側で行うものであってもよい。この場合、解析結果やその解析結果に応じて行うべき適切な保守の内容は、サーバからノート型パソコンや携帯電話機に伝えるものとすることもできる。
(A−3)実施形態の効果
以上のように、本実施形態によれば、ユーザが指示した動作を無効に(キャンセル)し、その指示動作を制限させる入力情報を異常と判定するため、予め用意した異常判定テーブル43Bを備え、その異常判定テーブル43Bに規定された入力組合せ情報を履歴として記憶することで、その後の保守作業の際、その履歴情報に基づいて不具合原因を推測することができるので、保守性を高めることができる。
(B)他の実施形態
(B−1)上述した実施形態において、制御部43は、異常判定テーブル43Bの入力組合せ情報を履歴として記憶させるものとして説明し、このとき、記憶させる情報を「異常NO.」とする場合を説明した。しかし、これに限定されず、数字以外の情報(例えば、文字、記号など)でも良いし、入力信号そのものの入力状況(例えば「ON/OFF」情報)を記憶させても良い。
また、制御部43は、異常判定テーブル43Bに規定の入力組合せ情報だけでなく、そのほかのユーザ操作指示を制限する動作をした場合の入力信号の入力状況を記憶させるようにしても良い。
また、操作指示を制限する動作(何らかの不具合発生(異常も含む))をした後の制御部43が指示した制御信号の内容も、ログ履歴に対応付けて記憶させるようにしても良い。これにより、入力情報と出力情報とを対応付けて記憶させることができ、保守性をより高めることができる。
さらに、例えば、温度センサ部27や図示しない緊急検知手段(エマージェンシー)等による異常検知があった場合にも、その場合の異常検知関連情報を履歴として記憶させるようにしても良い。この場合、異常判定テーブル43Bに基づくログと区別する形式で履歴を記憶させることが望ましい。また、この場合、ログ情報同士で時系列の用い方をそろえた方が好ましい。
(B−2)上述した実施形態では、専用の無線リモコンシステム及び有線リモコンシステムを併用したシステムに適用した場合を説明したが、それぞれのリモコンシステムのいずれかに適用するようにしても良い。
また、リモコン送信機12を所定の装着部等に装着し、固定操作部14を使用する場合のような有線リモコンシステムとして適用しても良い。
また、上述した実施形態では、無線信号WL1は周波数帯域が300MHzや400MHz程度で、送信電力が1mW程度の微弱な電波であったが、その周波数帯域や送信電力などの適用範囲はこれに限定されるものではない。これよりも高い周波数や低い周波数の電波を使用してもよく、赤外線などを使用してもよい。また、送信電力もこれよりも大きくしてもよく、小さくしてもよい。
(B−3)上述した実施形態では、シャッターカーテン下端部13Aが物体に当接したことを赤外線を利用して記憶処理装置11に伝えるようにしたが、この赤外線は、他の伝送信号に置換可能である。例えば、レーザ光線など他の種類の光信号に置換したり、電気信号や超音波信号など、光信号以外の伝送信号に置換したりしてもよい。必要ならば、無線伝送路ではなく有線伝送路(例えば、光ファイバケーブルやツイストペアケーブルなど)を利用してこの伝送信号を伝送するようにしてもよい。
また、シャッターカーテン下端部13Aが物体に当接しているかどうかの情報と共に、例えば、赤外線ポートが赤外線IRDを出力するための電力供給異常(例えば電池異常)の有無などの情報も伝送信号に含めて伝送し、この情報も入力組合せパターンに含むようにしても良い。なお、この場合、電力供給異常などの情報を赤外線以外の他の伝送方法(例えば、有線通信や他の無線通信等)により制御部43に通知できるようにし、その情報を入力組合せパターンに含むようにしても良い。
(B−4)上述した実施形態にかかわらず、緊急用(エマージェンシ用)及び/又はシャッターカーテン下端部(13Aに対応)に対する物体の当接検知用として、モータのトルク変動に基づく負荷感知を行うようにしてもよい。負荷感知では、トルクの大きさを監視しており、トルクが大きく変動したことを検知することによって通常より大きな負荷を感知する。通常より大きな負荷は、例えば、閉動作するシャッターカーテン下端部(13Aに対応)が床面FLや障害物などに当接したときに発生する。
従って、トルクの大きな変動を検知したときに、モータの出力軸を停止させてシャッターの閉動作を停止したり、モータの出力軸を反転させて開動作を開始したりすることが可能になる。このようなトルク変動に基づく負荷感知を行う場合、トルクの変動が大きいか否かを判定するための所定の閾値を、変更できるようにすることも望ましい。
(B−5)上述した実施形態では、記憶処理装置11を固定操作部14の外に配置しているが、記憶処理装置11の構成要素の全部又は一部を、固定操作部14内に配置してもよいことは当然である。
(B−6)また、上述した実施形態では、エンコーダパルスを利用してシャッターカーテン下端部13Aの位置を論理的に検出したが、本発明は必ずしもこれに限るものではない。
例えば、モータM1にかかる負荷を検出(例えば、タコジェネレータなどを利用して回転量の変化を検査し、その検査結果を基にシャッターカーテン下端部13Aの位置を検出すること等も含む)したり、ガイドレールGRにテープスイッチを設けておき、シャッターカーテン下端部13Aに物体が当接すると、突出してこのテープスイッチを押圧する突出機構をシャッターカーテン下端部13A内に装備したりすることも可能である。
(B−7)また、上述した実施形態にかかわらず、本発明は、防災シャッターなどのように、自重で閉動作を行うタイプのシャッターやばね等により機械的に常に閉動作方向に付勢しているタイプのシャッターにも適用可能である。これらのタイプのシャッターでも、開動作は電動で行うものがあるため、シャッターカーテン下端部(13Aに相当)が物体に当接したことを検出したとき、電動によって反転上昇させることが可能だからである。
(B−8)さらに、上述した実施形態にかかわらず、シャッターカーテン13が上下方向以外の方向に移動するものであってもよい。本発明は、例えば、斜め方向や水平方向にスライドするシャッターなどにも適用可能である。
さらにまた、開閉動作とは、開方向のみ、閉方向のみ、または開閉両方向の移動動作を意味する。また、「閉」は開口部が存在するような場合にはこれを閉鎖する方向への移動を意味する概念であり、繰り出し、スライド移動、展張等を含む開閉体の前進を意味し、「開」は開口部が存在するような場合にはこれを開放する方向への移動を意味する概念であり、巻き取り、収縮、スライド移動、折り畳み等を含む開閉体の後退を意味する。
さらに、上記実施形態では、操作スイッチは、PBS形式のスイッチであるものとしたが、本発明は、PBS形式のスイッチに限って適用されるものではない。スライド式スイッチや回転式スイッチなどを使用してもよく、圧力や温度、静電気、入射光の変化などに反応する各種のスイッチを適用することもできる。
(B−9)上記実施形態の記憶処理装置11において、制御部43の外部に示した構成要素の機能は、制御部43に持たせることができることは当然である。例えば、前記カウンタ部23,比較部22、タイマ部24,記憶管理部29などに相当する機能は、制御部43自身に持たせることができる。その場合、例えば、比較部22から制御部43に供給される信号S22などは、制御部43の内部で発生することになるが、制御部43内部で発生したことをもって制御部43に入力されたものとして処理することが可能である。
(B−10)また、上記実施形態にかかわらず、記憶処理装置11内には、制御部43とは別に、監視用プロセッサを設けるようにしてもよい。その場合、制御部43への入力や制御部43からの出力は当該監視用プロセッサが監視し、監視の結果に応じて、当該監視用プロセッサが記憶管理部28に行の追加を指示するものであってよい。
さらに、制御部43と当該監視用プロセッサが相互に、動作の正常性を監視し合うようにし、その監視の結果もログとして、ログ記憶部30に記録するようにしてもよい。
再現性の低い不具合の原因は、遠隔操作システム全体で、最も複雑な機能を持つ構成要素の1つである制御部43自体にある可能性も小さくないため、このような構成として、制御部43自体の正常性も監視することは、保守性の向上に大きく寄与する。
(B−11)また、記憶処理装置11内又はその周辺の各部の電圧レベルを測定する場合、その測定結果を記録するためのデータ項目を用意するとよい。さらに、記憶処理装置11に対して無線送信することのできる正当なユーザのリモコン送信機が複数存在し得る場合などには、無線信号WL1のなかに収容されて記憶処理装置11まで届けられる各リモコン送信機のIDを記録するためのデータ項目を用意するようにしてもよい。さらにまた、上述したトルクの大きさに関する監視結果を記録するためのデータ項目を用意するようにしてもよい。また、その動作や所定の特別な動作が行われた日時を記録するためのデータ項目、所定の単位時間(例えば、1時間)あたりの動作回数を記録するためのデータ項目、動作速度を記録するためのデータ項目をはじめとした動作関連データ項目を必要に応じて用意するようにしてもよい。
(B−12)なお、上述した実施形態では、開閉システムの運用を開始後、異常動作と判定した際の入力組合せ動作をすべて履歴として記憶するものとして説明したが、履歴情報の記憶開始タイミングを、ユーザU1又は保守者が指定できるようにしてもよい。
例えば、再現性の低い不具合が最初に発生したとき、保守者などが、ログの記録を開始するように、記憶処理装置11に指定するようにすれば、再現性の低い不具合が、再び発生したときには、十分なログが得られる可能性が高い。このような構成は、ログ記憶部30の記憶容量の節約にも寄与する。
これ以外にも、所定の条件(追加条件)を設定し、この追加条件に適合した場合にのみ、ログへの行の追加を行うようにしてもよい。
また、制御部43や前記監視用プロセッサに、記憶処理装置11内及び周辺の各構成要素に関する動作の正常性を判定できる機能を持たせることもできる。その場合には、動作が正常でないと判定されたシャッター動作に関する行のみをログテーブルTB1に追加すること等も可能となる。
また、1回毎のログ情報同士の区切りは改行でなくてもよく、それが1個のログ情報であることを認識できれば他の方法を用いることができる。例えば、あらかじめ1回毎のログ情報データのビット数を決めておいても良いし、また例えば、1個のログ情報が入力された後に区切りであることを示す情報(例えば、記号、文字等)をログ情報の後に付与する方法などがある。
なお、数回のログ情報をまとめて(例えば、数桁の数字にして)、それに対応するバーコードをメンテナンス時などに表示するようにしてもよい。また、ログ情報を記憶する記憶装置は、ロール紙などに印刷する出力装置と連携し、ログ情報を記憶する毎にロール紙などに出力するようにしても良い。
(B−13)さらに、上記実施形態では、関係型データベースを用いたが、本発明では、他の型のデータベースを用いることができる可能性もある。
なお、上記実施形態では、1つの記憶処理装置11に1つのログ記憶部30を装着し、記憶処置装置とログ記憶部の対応は1対1であったが、この対応は必ずしも1対1でなくてもかまわない。
例えば、1つの記憶処理装置が複数のモータ(例えば、前記M1)を制御することで、複数のシャッターの動作を制御できる構成をとることがあるが、そのケースでは、ログ記憶部30を各シャッターごとに用意するようにしてもよい。
(B−14)また、ログ記憶部30をメモリカードとして実現する場合などには、その空き容量が所定の閾値容量以下になったときに、警告メッセージを出力して、ユーザや保守者に、メモリカードの交換などを促すようにしてもよい。
(B−15)なお、上記実施形態の構成要素のいくつかを省略したり、他の機能を持つ構成要素に置換したりしても本発明の効果を得ることは可能である。
なお、上記実施形態においては主として、スラットシャッターについて本発明を適用したが、本発明はスラットシャッター以外にも、シートシャッターや窓用シャッターやパネルシャッターやグリルシャッターなどその他各種のシャッターに適用することが可能である。
さらに本発明は、シャッター用としてだけでなく、ドア、窓、オーバーヘッドドア、ロールスクリーン(例えば遮光幕)、ブラインド、オーニング装置などの他の開閉装置や、それらの一部又は全部の混合システムにも適用することが可能である。
以上の説明で主としてハードウエア的に本発明を実現したが、本発明は、ソフトウエア的に実現することも可能である。
10…開閉システム、11…記憶処理装置(リモコン受信機)、12…リモコン送信機、13…シャッターカーテン、13A…シャッターカーテン下端部、14…固定操作部、21…リミット位置記憶部、22…比較部、23…カウンタ部、24…タイマ部、25…赤外線受信部、26…モータ制御部、27…温度センサ部、28…記憶管理部、29…コネクタ部、30…ログ記憶部、41…無線受信部、42…受信処理部、43…制御部、43A…入力監視部、43B…異常判定テーブル、M1…モータ、TB1…ログテーブル、PR1,PR2…赤外線ポート、IRD…赤外線。