JP4703058B2 - 開閉システム及び開閉装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は開閉システムに関し、例えば、シャッター、ドア、窓、オーバーヘッドドア、門扉、ゲート(駐車場などのゲート)、ロールスクリーン(例えば遮光幕)、ブラインド、オーニング装置などの遠隔操作システム(リモコンシステム)などに適用し得るものである。
【0002】
また、本発明は、かかる開閉システムの構成要素としての開閉装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
各々が独立に動作し得る2つのシャッター装置から構成される複合シャッターシステムとしては、外気を遮断するために、一方のシャッター装置が開放している状態では他方のシャッター装置の開放を制限するものがある。
【0004】
この複合シャッターシステムでは、一方のシャッター装置が開放状態にある場合、他方のシャッター装置は閉鎖状態を維持するしかないから、2つのシャッター装置がともに閉鎖状態にあるときが最もシャッター動作の自由度が高い状態であり、受け取ったシャッター動作指定信号に応じて、どちらのシャッター装置も開動作を行うことが可能である。
【0005】
ただし、2つのシャッター装置が同時に開動作を行うと、外気を遮断することができなくなってしまうため、次のような簡単な一方向の通信によって外気の遮断状態を維持している。
【0006】
すなわち、ともに閉鎖状態にある2つのシャッター装置のうち、どちらかのシャッター装置が開動作を行うとき、所定の開動作通知信号を他方のシャッター装置に送信することにより、開動作の発生を通知する。当該開動作通知信号を受信した他方のシャッター装置では、自身に対し開動作を指示するシャッター動作指定信号を受け取ったとしてもそれには従わず閉鎖状態を維持するから、外気の遮断を継続することができる。もちろんこの場合、当該開動作通知信号を受信した他方のシャッター装置は開動作を指示するシャッター動作指定信号を受け取ったとしても、開動作通知信号を送信することはない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが実際には、2つのシャッター装置に対しほぼ同時に開動作を指示するシャッター動作指定信号が供給されて、2つのシャッター装置がほぼ同時に開動作通知信号を送信することが起こり得る。各シャッター装置は開動作指示信号を受信した場合には開動作を行わないように構成されているため、この場合には、双方のシャッター装置が開動作を実行することのできない状態となる。
【0008】
2つのシャッター装置がともに閉鎖状態にあるときに開動作を実行できなくなるということは、複合シャッターシステム全体がまったく動作不能な状態に陥ることを意味する。
【0009】
このような事象は通常、確率的にごく希にしか発生しないとしても、シャッター装置の開閉頻度が高い場合には、単位時間当たりの発生確率は必ずしも小さくなくなり、ユーザによるシャッターシステムの利用に不便な状況が発生するとも考えられる。
【0010】
複合シャッターシステム全体がまったく動作不能な状態から正常な状態に復帰するための復帰機構を設けることも考えられるが、このような復帰機構は、結局、各シャッター装置がすでに受信し記憶している開動作通知信号の内容を無効化する機能を持つものであるから、その操作性が良すぎると、本来、閉鎖状態を維持しなけれぱならないときにまで、受信した開動作通知信号の内容を無効化してしまう可能性が高まり、目的とする外気の遮断を継続することができなくなる可能性が高くなるという矛盾が生まれる。このため、復帰機構の操作性を良好なものとすることは困難であり、ユーザは操作性の良くない復帰機構を操作して動作不能状態から復帰することになる。
【0011】
さらに、複合シャッターシステムの場合、閉鎖状態にある一方のシャッター装置の側にいるユーザから見ると、そのシャッター装置の閉鎖状態が、前記動作不能による異常な閉鎖状態なのか、外気を遮断するための正常な閉鎖状態なのかを即座に判断することが難しい場合もあり得るので、復帰機構が存在したとしても、復帰機構に頼らない解決が求められる。
【0012】
なお、以上の課題は、シートシャッター、ガレージ用シャッター、窓用シャッターなどのシャッター用だけでなく、ドア、窓、オーバーヘッドドアなどの他の開閉システムにも共通している。
【0013】
本発明は、利便性の高い開閉システムおよび開閉装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、第1の発明では、供給される動作指示信号に応じて基本的には独立に動作する複数の開閉装置の動作状態の間に、所定の連動関係を持たせる開閉システムにおいて、各開閉装置は、優先度の設定を受ける優先度設定手段と、自身の動作状態を対向する開閉装置に知らせる第1の動作状態信号を出力する動作状態出力手段と、対向する開閉装置から、当該開閉装置の動作状態を示す第2の動作状態信号を入力する動作状態入力手段と、当該動作状態入力手段が第2の動作状態信号の入力を受けたときの自身の動作状態と、自身の優先度設定手段に設定された優先度に応じて、所定の動作制限モードに移行する動作制限モード移行手段とを備え、設定された優先度の高い開閉装置の動作が、優先度の低い開閉装置の動作よりも優先される形で、前記連動関係を保持することを特徴とする。
【0015】
また、第2の発明では、基本的に、供給される動作指示信号に応じて動作する開閉装置において、当該開閉装置に接続される対向する開閉装置との間の相対的な優先度の設定を受ける優先度設定手段と、自身の動作状態を対向する開閉装置に知らせる第1の動作状態信号を出力する動作状態出力手段と、対向する開閉装置から、当該開閉装置の動作状態を示す第2の動作状態信号を入力する動作状態入力手段と、当該動作状態入力手段が第2の動作状態信号の入力を受けたときの自身の動作状態と、自身の優先度設定手段に設定された優先度に応じて、所定の動作制限モードに移行する動作制限モード移行手段とを備え、設定された優先度の高い開閉装置の動作が、優先度の低い開閉装置の動作よりも優先される形で、所定の連動関係を保持することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
(A)実施形態
以下、本発明にかかる開閉システム及び開閉装置を、2つのシートシャッターを持つ複合シャッターシステム(遠隔操作システム(リモコンシステム))に適用した場合を例に、実施形態について説明する。
【0017】
一般に当該遠隔操作システムには、有線リモコンシステム、前記無線リモコンシステム、およびこれらを混合した混合システムがある。
【0018】
ここで、有線リモコンシステムとは、シャッターシステムを構成要素として含むリモコンシステムであって、有線通信によってシャッター動作を行うものである。
【0019】
一般に、遠くから離れた不特定の位置からシャッター動作を行うことができ、使い勝手が良いという点では前記無線リモコンシステムが有利であり、通信の信頼性の点や、常に特定の位置でシャッター動作を指定したい場合などには、当該有線リモコンシステムが向いている。
【0020】
また、同じシャッターシステムを有線でも無線でも制御できると、融通性に富み、ユーザの都合によりどちらの方法を取ることも可能となる。したがって実際のリモコンシステムは、これら無線リモコンシステムと有線リモコンシステムの特徴を混合した混合システムとすることも少なくない。
ただし本実施形態では、説明を簡潔にするために、当該複合シャッターシステムは、異なるリモコン送信機を用いてシャッター動作を指示することのできる別個のリモコン受信機を備えた無線リモコンシステムであるものとする。
【0021】
(A−1)実施形態の構成
本実施形態の複合シャッターシステム10の全体構成例を図2に示す。
【0022】
図2において、当該複合シャッターシステム10は、後述するリモコン受信機11A,11Bと、リモコン送信機12A,12Bと、シートシャッター装置14A,14Bと、バッファ空間13、伝送路15とを備えている。
【0023】
このうちバッファ空間13は、壁面や床面および2つのシートシャッター装置14A,14Bのシャッターカーテンで覆うことのできる緩衝用の空間である。図示の例では、バッファ空間13の形状は、直方体であるが、これは直方体に限定する必要はない。例えば、「L」字型に曲がっているために一方から他方が見通せない(例えば、ユーザU1側からユーザU2側のシャッター14Bのシャッターカーテンが見通せない)形態を取ることも有り得る。
【0024】
このようなバッファ空間13を設ける目的には様々なものが有り得る。例えば、外気を遮断して、防塵、防虫、保冷、保温などの目的を達成する場合などが考えられる。ユーザU1が位置するSA側が(工場などの)内側であるとすると、反対にユーザU2が位置するSB側が(工場などの)外側となる。必要な防塵、防虫、保冷、保温などの精度が高い場合には、シートシャッター装置14A,14Bの替わりに、高い気密性を持つシャッターや開閉扉などが使用され得る。
【0025】
シートシャッター装置14A,14Bは、鉄などの金属によって構成された多数のスラットを備えるスラットシャッターと異なり、ポリエステルなどの軽い素材によって構成されたシート状のカーテン部を主体とするシャッターである。当該シートシャッター装置14A,14Bでは、素材が軽量であるから、シャッター装置14A,14Bの開閉動作の動力源となるトルクを供給するモータ(図示せず)の出力軸に作用し得る慣性モーメントが小さく、高速な開閉動作が容易に実現できる。一例として、当該モータは、例えばACサーボモータであってよく、シートシャッター装置14Aに開動作(または閉動作)を行わせるとき、1秒間に3000回転程度の速度で回転するものであってよい。
【0026】
また、当該バッファ空間13の両端に配置されている2つのシャッター装置14A,14Bは、図示したシャッターカーテンのほかに当該モータなども含み、当該モータの出力軸の回転に応じてシャッターカーテンの開閉動作を行う部分である。
【0027】
このモータの出力軸の回転は、リモコン受信機11A,11Bに内蔵されているシャッター制御部64(図1参照)によってコントロールされる。
【0028】
シャッター装置14Aの開閉動作などを行うユーザU1は、携帯しているリモコン送信機12Aを操作することによって、所望のシャッター動作を行わせることができる。この動作には、シャッター下端部14ADを矢印D1方向に移動させる閉動作、矢印D2方向に移動させる開動作のほか、移動中の下端部14ADをその位置で停止させる停止動作なども含まれる。ユーザU2とそのリモコン送信機12B、およびシャッター装置14Bの関係も、これと同様である。
【0029】
ただし、シャッター装置14Aに対してシャッター動作を指示することのできるリモコン送信機は、リモコン送信機12Aに限る必要はなく、必要に応じて複数のリモコン送信機であってもかまわない。シャッター装置14Bとリモコン送信機12Bについても同様である。
【0030】
当該リモコン送信機12Aは、例えば、図3に示すような外観を備えている。リモコン送信機12Bの外観や大きさも、図3と同様であってよい。
【0031】
当該リモコン送信機12Aは、携帯性に富み、ユーザU1の手の平に収まる程度にコンパクトなパームサイズの送信機である。このようにコンパクトな本体12AD内にすべての機能を収容するため、当該リモコン送信機12Aの機能は極限まで節約する必要がある。
【0032】
図3において、リモコン送信機12Aの本体12ADはその上面から突出したPBS(プッシュ・ボタン・スイッチ)形式の3つの操作スイッチ51〜53を備えている。これら操作スイッチ51〜53は、所望の前記シャッター動作を行わせ得るシャッター操作スイッチである。
【0033】
本実施形態では、当該シャッター操作スイッチ51〜53のうち、シャッター操作スイッチ51は、シャッター14Aの開動作を行わせるための開動作スイッチで、シャッター操作スイッチ52はシャッター14Aの閉動作を行わせるための閉動作スイッチで、シャッター操作スイッチ53はシャッター14Aの開動作または閉動作を任意のタイミングで停止させるための停止スイッチであるものとする。
【0034】
ただし、押し下げる操作スイッチの組合せを替えたり、押し下げ方を変えることによって、さらに多様なシャッター動作を指示することも可能である。例えば、閉動作スイッチ52と停止スイッチ53を同時に短く(例えば3秒以内)押すことによって、所定の中間位置(中間停止位置)までの開動作および閉動作(すなわち中間停止動作)を指示できるように構成することも可能である。図2に示す前記矢印D1方向に限界までシャッター下端部14ADが移動した状態が完全閉鎖状態であり、反対に、矢印D2方向の限界まで移動した状態が完全開放状態であり、シャッター下端部14ADの位置がこの両者の中間にある場合が、当該中間位置である。
【0035】
また、必要に応じて、これらの操作スイッチ51〜53の操作を52,53以外の組合せにしたがって組み合わせることにより、もっと複雑な動作を行わせることも可能である。一例として、当該シャッター装置14Aのシャッターカーテン部分がスラットシャッターなどである場合には、換気動作(隣接するスラット間に設けられた開口の大きさを制御することによりシャッターの内外の空気が流通し得ない状態から流通し得る状態へ移行する動作)などが、当該複雑な動作に該当する。
【0036】
当該リモコン送信機12Aの内部構成例は図4に示す。もう一つのリモコン送信機12Bの内部構成もこれと同じであってよい。
【0037】
ただし、リモコン送信機12Aと12Bは必ずしも同じ製造業者の製品である必要はない。その一方で、リモコン送信機12Aとリモコン受信機11Aの機能は対応し、基本的に同じ製造業者の製品であることが必要であり、同様に、リモコン送信機12Bとリモコン受信機11Bの機能も対応し、基本的に同じ製造業者の製品であることが必要であるから、リモコン送信機12Aと12Bが異なる製造業者の製品である場合には、リモコン受信機11Aと11Bも異なる製造業者の製品であるのが普通である。
【0038】
(A−1−1)リモコン送信機の内部構成
図4において、リモコン送信機12Aは、無線送信部54と、送信処理部55と、プロセッサ56と、手順記憶部57と、操作検出部58と、操作応答部59とを備え、前記操作スイッチ51〜53は、当該操作検出部58に設けられている。
【0039】
このうち無線送信部54は、無線伝送路としての空間を介してリモコン受信機11Aの後述する無線受信部61に対向する部分で、送信処理部55から所定の信号線を介して受け取った送信信号WSに対応した無線信号WL1を無線送信する。そのために、当該無線送信部54は、送信用のアンテナシステムやフィルタ回路などを備えている。当該無線信号WL1は、周波数帯域が例えば、300MHzや400MHz程度で、送信電力が例えば1mW程度の微弱な電波であってよい。
【0040】
また、前記送信処理部55は符号化処理や変調処理などの必要な処理を実行する機能を備え、プロセッサ56から供給される送信処理信号RPに応じて、生成する送信信号WSの内容を変化させる。
【0041】
リモコン送信機12Aの場合、当該送信信号WSの内容は、例えば、指定するシャッター動作や、ID登録操作などの種類に応じて決定される有限個であるので、送信する情報の発生源(この発生源は、例えばROM(リードオンリーメモリ)などであってよい)も送信処理部55の内部に存在し、前記送信処理信号RPに応じて当該発生源のなかから1つの送信情報を選択して読み出す構成であってもよい。
【0042】
ここで、IDとは、使用する周波数帯域などが同じであるためにリモコン受信機11Aが混同する可能性のあるリモコン送信機(例えば、リモコン送信機12Bの使用周波数が12Aと同じであり、リモコン受信機11A、11B間の距離が十分に遠くなければ、当該リモコン送信機12Bがこれに該当し得る)を一義的に識別し、真に当該リモコン受信機11Aに対して無線送信することのできるユーザのリモコン送信機から送信された無線信号WL1だけに基づいて、シャッター14Aの動作等を行うために使用される識別子である。そのため、リモコン送信機12Aには無線送信するたびに無線信号WL1のなかに当該IDを収容する証明機構(図示せず)が必要であり、リモコン受信機11Aには当該IDを識別し、ユーザ認証(または端末認証)を行うための検証機構(図示せず)が必要である。
【0043】
なお、シートシャッターの場合、工場などの建物の内部で、ある部屋と別な部屋を仕切る壁(前記WLに相当)に配置されることも多く、スラットシャッターなどに比べ機械的に脆弱であるためもともと防犯の機能などが弱い点を考慮すると、リモコン受信機11Aの受信範囲内に他のリモコン送信機(例えば、12B)が存在せず、真にユーザU1の意図したとおりのシャッター動作を行い得る環境では、当該証明機構や検証機構を省略しても差し障りは少ないものと考えられる。
【0044】
前記送信処理部55に送信処理信号RPを出力するプロセッサ56は、当該リモコン送信機12AのCPU(中央処理装置)である。
【0045】
機能が極限まで節約されたリモコン送信機12Aを操作するユーザU1にとって唯一の遠隔操作手段である上述した3つの操作スイッチ51〜53を設けた操作検出部58は、各操作スイッチ51〜53について、その押し下げストロークが所定の長さに達すると操作検出信号PB1、PB2を出力する部分である。
【0046】
操作検出信号PB1は押し下げを検出した操作スイッチに応じて異なる状態をとり、その操作手順は手順記憶部57に一時的に記憶される。
【0047】
手順記憶部57は一時記憶している手順がどのような操作または入力データを指定しているかを判定して、その判定結果である判定信号DSをプロセッサ56に供給する部分である。
【0048】
前記操作検出信号PB1が前記手順記憶部57に供給されるのと同時に操作応答部59に供給される操作検出信号PB2も、当該PB1と同様に、押し下げを検出した操作スイッチに応じて異なる状態をとるようにしてもよいが、本実施形態では、操作スイッチ51〜53を区別せず、同じ状態をとるものとする。
【0049】
当該操作検出信号PB2を受け取った操作応答部59は、ブザーなどの音響発生器であり、操作スイッチ51〜53の押し下げが有効に検出されたことをユーザU1に伝えるために応答出力RAを出力する部分である。本実施形態では、操作スイッチ51〜53を区別しないので、いずれかの操作スイッチが十分に押し下げられると、一定音程、一定音色のブザー音が応答出力RAとしてユーザU1に聴取されることになる。これにより、ユーザU1は、聴覚的にスイッチ操作の有効性を確認することができる。
【0050】
例えば、パーソナルコンピュータなどでキーボードを操作する場合など、リモコン送信機12Aに比べるとはるかに大規模で豊富なユーザインタフェースを備えた環境ならば、あるキーの押し下げがマシンに認識されたか否かはビットマップディスプレイなどの画面表示を目視すること等によって容易に確認可能であるが、高度な携帯性が求められるリモコン送信機12Aは、前述の機能の節約の観点から、機能が極限まで切りつめられるので、どのようにして小規模な構成で効率的にユーザの操作がマシン(ここではリモコン送信機12A)に認識されたか否かを確認するかは、重要になる。
【0051】
なおここでは、操作応答部59の応答出力RAを一定音程、一定音色のブザー音としたが、必要ならば、押し下げられた操作スイッチ51〜53または同時に押し下げられた操作スイッチの組合せに応じて音程や音色などを変化させるようにしてもよい。また、音響発生器による聴覚的な手段にかぎらず、LED(発光ダイオード)等の発光素子などを使用して、視覚的な手段で操作スイッチの操作が有効に検出されたことをユーザU1に伝えるようにしてもよく、視覚的な手段と聴覚的な手段を併用してもよい。
【0052】
図2の状態でユーザU1側に位置するシャッター装置14A、リモコン受信機11A、リモコン送信機11Aから構成されたシャッター操作システムと、ユーザU2側に位置するシャッター装置14B、リモコン受信機11B、リモコン送信機11Bから構成されたシャッター操作システムとは、本来、別個のシステムであるから、基本的にシャッター装置14AのほうはユーザU1がリモコン送信機11Aを用いて指示した通りのシャッター動作を行い、シャッター装置14BのほうはユーザU2がリモコン送信機11Bを用いて指示した通りのシャッター動作を行う。
【0053】
ただし本実施形態の場合、バッファ空間13を利用して外気を遮断することが目的であるから、シャッター装置14Aと14Bとが、同時に開動作を行うことは禁止しなければならない。
【0054】
この禁止は、リモコン受信機11Aと11B間の通信に基づいて行われる。
【0055】
当該リモコン受信機11A(、11B)のほうも、コンパクト性やコスト低減などの観点で、できるだけ機能を節約したほうが好ましいが、リモコン送信機12Aと異なり通常は固定的に配置されるものなので、機能の節約に対する要求水準はそれほど厳格ではない。したがって、リモコン受信機11A、11Bの機能の節約は、むしろコスト的な観点から求められる面が大きい。例えば、必要な処理能力の増大をもたらすリモコン受信機11A、11B間の双方向通信機能などは、搭載しないほうが有利である。
【0056】
当該リモコン受信機11Aの内部構成例は、図1に示す通りである。リモコン受信機11Bの内部構成例も図1と同じであってよいが、ここでは、図1には主としてリモコン受信機11Aを示したものとして説明を進める。
【0057】
(A−1−2)リモコン受信機の内部構成
図1において、当該リモコン受信機11Aは、無線受信部61と、受信処理部62と、プロセッサ63と、シャッター制御部64と、入力部65と、出力部66と、優先順位設定部67と、自動作情報フラグ68と、指示情報フラグ69と、他動作情報フラグ70と、制限内容メモリ71とを備えている。
【0058】
このうち無線受信部61は、受信用のアンテナシステムやフィルタ回路などを備え、リモコン送信機12Aから送信される無線信号WL1を、空間(前記無線伝送路)を介して受信する部分で、受信した無線信号に対応した受信信号WSを出力する。前記送信信号WSに対応した信号である当該受信信号WSは所定の信号線を介して受信処理部52に供給される。
【0059】
受信処理部52は、受け取った受信信号WSに対して復調処理、復号処理などの必要な処理を施して受信処理信号RPを生成し、出力する部分である。
【0060】
受信処理信号RPは、前記送信処理信号RPに対応した信号で、シャッターの開動作、閉動作または停止動作などのシャッター動作を指定するシャッター動作指定信号として機能し得るが、必要に応じて、当該リモコン送信機の製造、組み立てを行う工場から出荷されるときなどに当該リモコン送信機12Aに割り当てられたIDの登録を指示する信号としても機能する。
【0061】
シャッター制御部64は、プロセッサ63から受け取る開閉制御信号CSに対応したシャッター制御信号CCを前記モータに供給し、ユーザ(例えばU1)の望むシャッター動作を実現する部分である。当該シャッター制御部64は、必要に応じて、モコン受信機11Aの一部としてではなく、リモコン受信機11Aの外部に設けるようにしてもよい。
【0062】
前記受信処理部62から受信処理信号RPを受け取るプロセッサ63は、当該リモコン受信機11AのCPUとして機能する部分である。さらに当該プロセッサ63は、所定の伝送路を介して対向するリモコン受信機11Bから入力部65に送信されてくる他動作通知信号NT2を、信号N2として受け取る機能も備えている。
【0063】
これによりプロセッサ63は、受信処理信号RPや他動作通知信号NT2等に応じた動作を行うことが可能となる。
【0064】
当該プロセッサ63に信号N2を供給する入力部65は、対向するリモコン受信機11Bの出力部(図1の出力部66に相当する構成要素)と前記伝送路を介して接続されている。当該伝送路15には、無線伝送路を用いることも可能であるが、ここでは有線伝送路を使用するものとする。
【0065】
具体的には、当該有線伝送路15は、例えば、ツイストペアケーブル(より対線)や同軸ケーブルなどを用いて構成することができる。リモコン受信機11Aから11Bに向かう方向の信号伝送と、反対にリモコン受信機11Bから11Aに向かう方向の信号伝送は、同一の信号線を用いてもかまわないが、本実施形態では各方向に伝送される他動作通知信号NT2と後述する自動作通知信号NT1の衝突による通信品質の劣化を防止するために、別個の信号線を用いるものとする。
【0066】
ただし、本実施形態の場合、他動作通知信号NT2は、開動作を行うか否か等を示すもので、極めてわずかの情報量しか持たないからその時間幅は狭く、確率的にこのような衝突が発生することは極めて希であると考えられるので、同一の信号線を利用しても問題が生じることはほとんどないものと考えられる。
【0067】
プロセッサ63は入力部65から信号N2を受け取ると、N2の内容に応じて、他動作情報フラグ70に書き込みを行う。
【0068】
本実施形態の各リモコン受信機11A、11Bは、少なくとも双方のシャッター装置14Aと14Bがともに開放状態となることを防止できる程度には、相互に相手の動作状態を認識している必要がある。そのため、他動作通知信号NT2の状態には、最低限2通りの状態が必要であると考えられる。すなわち、これから開動作を開始することを示す開動作開始状態と、現在シャッターが完全閉鎖中であることを示す閉鎖状態の2通りである。必要ならば、これらに加えて、開動作が終了して現在シャッターが完全開放中(必ずしも完全開放に限らない。例えば、中間位置にあることを通知してもよい)であることを示す開放状態を取り得るようにしてもよい。
【0069】
ただし本実施形態では、機能の節約の観点から、他動作通知信号NT2の状態は2通りとする。2通りとする以上、開動作開始状態の他動作通知信号NT2を受け取ったときには、次に閉鎖状態の他動作通知信号NT2を受け取るまで、相手のリモコン受信機(11Aにとっては11B)側のシャッター装置は開放状態(疑似開放状態)にあるものとみなすことが必要になる。他動作通知信号NT2が2通りであれば、信号N2も2通りである。
【0070】
次に、出力部66は、すでに述べた相手のリモコン受信機11B側の出力部と同様な機能を持ち、前記他動作通知信号NT2に対応する自動作通知信号NT1を出力する部分である。ただし他動作通知信号NT2が相手のリモコン受信機11B側のシャッター装置14Bの動作状態を示しているのに対し、当該自動作状態信号NT1はリモコン受信機11A側のシャッター装置14Aの動作状態を示している。したがって、当該自動作状態信号NT1およびその基礎となる信号N1の状態は、開動作開始と閉動作状態(完全閉鎖状態)の2通りである。
【0071】
例えば、前記プロセッサ63がシャッター装置14Aの開動作を指示する受信処理信号RP(無線信号WL1)を受け取った場合、所定の条件が揃えば、当該出力部65に開動作開始状態の自動作通知信号NT1を送信する信号N1を供給するとともに、シャッター制御部64にシャッターの開動作を実行させる開閉制御信号CSを供給することになる。この条件が揃うか否かを含め、シャッター装置14Aの動作はすべて、指示情報フラグ56、優先順位設定部57,自動作情報フラグ58,他動作情報フラグ60、および制御内容メモリ71の内容に応じて決まる。
【0072】
当該指示情報フラグ66は、プロセッサ63がシャッター装置14Aのシャッター動作を指示する受信処理信号RP(無線信号WL1)を受け取った場合、その指示内容に応じた指示情報CDを書き込むためのフラグである。
【0073】
また、自動作情報フラグ68は、自リモコン受信機11Aが自身の側の自シャッター装置14Aの動作情報である自動作情報ES1を書き込むためのフラグである。この自動作情報ES1には、完全閉鎖状態、完全閉鎖状態以外の停止状態、および動作中(動作時)の3通りがある。一般的な「動作中(動作時)」は、開動作、または閉動作の実行途中の意味であるが、本実施形態で問題となる動作中の意味は、後述するように、開動作の実行途中(しかも、開動作の開始直後)に限られる。
【0074】
次に、他動作情報フラグ70は、他リモコン受信機11Bから受け取った他動作通知信号NT2の内容に応じて、他リモコン受信機11B側の他シャッター装置14Bの動作情報である他動作情報ES2を書き込むためのフラグである。この他動作情報ES2は、入力部65を介して受信した他動作通知信号NT2をもとに生成されるものなので、当該他動作通知信号NT2の状態が2通りである本実施形態では、当該他動作情報ES2も2通りとなる。すなわち、これから開動作を開始することを示す開動作開始状態(疑似開放状態)と、現在シャッターが完全閉鎖状態にあることを示す閉鎖状態である。
【0075】
優先順位設定部67は、何らかの設定操作MAに応じて、自リモコン受信機11Aと他リモコン受信機11Bとの優先順位情報PDの設定を受ける部分である。一般化すると、リモコン受信機の数が3つ以上の複合シャッターシステムもあり得るが、本実施形態では2つなので、当該優先順位情報PDは、優先または非優先のいずれかとなる。
【0076】
自他のリモコン受信機11A、11B間ではこの優先順位情報PDは排他的に設定しなければならない。すなわち、自リモコン受信機11A側の優先順位設定部67に設定された優先順位情報PDが優先ならば、他リモコン受信機11B側の優先順位設定部に設定される優先順位情報PDは非優先であり、反対に、自リモコン受信機11A側の優先順位設定部67に設定された優先順位情報PDが非優先ならば、他リモコン受信機11B側の優先順位設定部に設定される優先順位情報PDは優先である必要がある。
【0077】
また、優先順位情報PDの設定をどのように行うかは、基本的に複合シャッターシステム10のユーザの自由であるが、現実的な設定では、工場などへの搬入作業を優先するため、工場などの外側に位置するシャッター装置(リモコン受信機)を優先に設定し、内部に位置するシャッター装置(リモコン受信機)を非優先に設定することが有利であると考えられる。
【0078】
したがって、図2に示したSB側が工場の外側で、SA側が内側であるとすると、リモコン受信機11A内の優先順位設定部67には非優先を示す優先順位情報PDを設定し、反対にリモコン受信機11B内の優先順位設定部67には優先を示す優先順位情報PDを設定することとなる。
【0079】
前記設定操作MAの態様には様々なものがあり得るが、一例としては、ディップスイッチ(DIPSWITCH)などの切替スイッチを用いて、手作業で設定するものが簡便である。
【0080】
なお、必要ならば、優先順位情報PDの設定を、ユーザが自由に行うことができない固定的な設定としてもよい。設定が固定される時点は、工場出荷前などであってもよく、ユーザによる設定時点であってもよい。ユーザによる設定時点とする場合、ユーザが1度だけ自由に設定できるが、いったん設定した優先順位情報PDは変更できないことになる。
【0081】
一方、制限内容メモリ61は、自他、2つのシャッター装置14A、14Bがともに開放状態となって外気を遮断することができなくなる可能性のあるクリティカルな状態(すなわち、際どい状態)につき、自リモコン受信機11Aのプロセッサ63が出力するべき開閉制御信号CSの内容を示すコードが格納されているメモリである。このコードの意味内容は、一例として、図6に示すようなものであってよい。
【0082】
図6において、インターロック入力状態が短絡で、優先/非優先が非優先で、動作制限内容が通常動作可能である最上部のタプルTU1のほかに、3つのタプルTU2,TU3,TU4が設けられている。ここで、インターロック入力状態とは、前記他動作通知情報NT2の状態に対応し、短絡とは、他リモコン受信機11Bが送信してきた他動作通知信号NT2が前記閉鎖状態を示すケースで、開放とは当該他動作通知信号NT2が前記開動作開始状態を示すケースである。
【0083】
また、優先/非優先とは、前記優先順位情報PDの内容が優先であるか非優先であるかを示している。
【0084】
図6のタプルTU1,TU2に示すように、前記閉鎖状態を取る他動作通知信号NT2が送信されてきたインターロック入力状態が短絡のケースでは、優先順位情報PDが優先であっても、非優先であっても、通常動作可能(すなわち、あらゆる受信処理信号RPに対応して、閉動作、停止動作、および開動作を自由に実行可能)であり、まったく動作制限が存在しない。
【0085】
これに対し、タプルTU3,TU4に示すように、前記開動作開始状態を取る他動作通知信号NT2が送信されてきた、インターロック入力状態が開放のケースでは、優先順位情報PDが優先であるか非優先であるかに応じて、異なる動作制限が課せられる。
【0086】
すなわち、非優先の場合、当該他動作通知信号NT2の受信時に自シャッター装置14が停止していれば、すべての入力(すなわち、あらゆる状態の受信処理信号RP)を無効とし、当該他動作通知信号NT2の受信時に自シャッター装置14が動作中であれば、ただちにその動作を停止して、以後はすべての入力を無効とする(タプルTU3)。
【0087】
また、優先の場合、当該他動作通知信号NT2の受信時に自シャッター装置14が下限位置で停止(すなわち、前記完全閉鎖状態)していれば、すべての入力を無効とし、当該他動作通知信号NT2の受信時に自シャッター装置14が下限位置以外に位置すれば、前記通常動作可能であり、動作中であればその動作を継続する(タプルTU4)。
【0088】
ただし、ここで、入力無効とは、シャッター動作を指示する受信処理信号RPに対応した開閉制御信号CSの出力を無効とすることであり、シャッター動作以外のリモコン受信機11Aの動作(例えば、前記IDを登録するID登録動作など)は無効とする必要はない。
【0089】
なお、図6には、インターロック入力状態が短絡のケースについても記載しているが、短絡のケースでは、まったく動作制限が存在しないのであるから、短絡のケースに関しては制限内容メモリ61に格納せず、動作制限の存在し得るインターロック入力状態が開放のケースのコードだけを制限内容メモリ61に格納するようにしてもよい。
【0090】
また、当該リモコン受信機11Aの優先順位設定部67に設定される優先順位情報PDが優先であるか非優先であるかが、製造工程であらかじめ判明している場合ならば、制限内容メモリ61には、タプルTU3またはTU4のいずれかだけを格納するようにしてもよいが、通常はそうではないので、優先順位情報PDの設定がどのように行われても対応できるように、双方を格納することが必要となる。
【0091】
以上の構成要素のうち、フラグ68,69,70については、当該複合シャッターシステム10の運用時(電源供給時)にだけ機能すればよいので、通常のRAM(ランダムアクセスメモリ)を使用することができるが、優先順位設定部67および制限内容メモリ61については、電源が供給されないときにも記憶内容を維持して電源供給再開時に備える必要がある。なかでも優先順位設定部67の内容は、シャッター装置14Aやリモコン受信機11Aなどを購入したユーザが自由に設定操作MAを実行して、動的に変更する必要があるため、EEPROM(フラッシュメモリ:Electrical Erasable Programmable ROM)などの書き込み可能なROM(リードオンリーメモリ)を使用するとよい。
【0092】
また、制限内容メモリ61の内容である図6の動作制限内容は、通常、プログラムコードを用いて実現され、製造工程でいったん書き込んだコード内容は変更されないから、書き換え不能なROMを用いて実現するとよい。もちろん、出荷後にもコード内容を変更する可能性がある場合などには、制限内容メモリ61をEEPROMを用いて実現してもよい。
【0093】
ただし、必要に応じて、磁気的記憶手段や、十分な電源バックアップ機構を備えたRAMなどで当該ROMを置換することが可能である。一般に、メモリ自体の価格は、EEPROMのほうがRAMよりも高価であるが、バックアップ用の電力消費などの点を考慮すると、運用コストはRAMのほうが高くなる可能性が高い。実際の実装にあたっては、これらの点を考慮して、有利なものを選定すればよい。
【0094】
また、図6はいわゆる関係表を示しており、インターロック入力状態と優先/非優先および、他動作通知信号NT2受信時点のシャッター装置14Aの動作状態をキーとして、1つの制限動作内容が特定(検索)できる構成となっているが、同様な機能を有するものであれば、制限内容メモリ61の論理的、物理的な構造はどのようなものであってもかまわない。データベースに格納されているデータが更新されることがほとんどなく、データ項目が単純かつ少数で、機能の節約が要求されるリモコン受信機11Aの場合、機能が複雑化しやすい関係モデルは使用しないほうが有利であるとも考えられる。
【0095】
以下、上記のような構成を有する本実施形態の動作について説明する。
【0096】
(A−2)実施形態の動作
ここでは、シャッター装置14A、14Bの設置時に、図2に示すシャッター装置14B側の優先順位情報PDを優先に設定し、シャッター装置14A側の優先順位情報PDを非優先に設定してあるものとする。
【0097】
またこの初期状態において、シャッター装置14A、14Bはともに完全閉鎖状態であるものとする。
【0098】
この初期状態では、すでに自リモコン受信機11A内の他動作情報フラグ70には、他動作情報ES2として、シャッター装置14Bが完全閉鎖状態にあることを示す情報が格納されており、自動作情報フラグ68には、シャッター装置14Aが完全閉鎖状態にあることを示す情報が格納されている。そして、指示情報フラグ69に格納されている指示情報CDとしては、シャッター動作に関する指示が何もなされていないため、有効な情報がなく、優先順位設定部67には、非優先を示す優先順位情報PDが格納されている。
【0099】
他リモコン受信機11Bの各フラグの状態もこれと同様であるが、優先順位情報PDだけは、非優先ではなく優先となっている。
【0100】
当該初期状態では、図6のタプルTU1およびTU2に示すように、シャッター装置14Aはリモコン送信機12Aを用いてユーザU1が指示するシャッター動作にしたがうことができ、シャッター装置14Bも、リモコン送信機12Bを用いてユーザU2が指示するシャッター動作にしたがうことができる。
【0101】
ここで、例えば、ユーザU1がシャッター装置14Aに開動作を指示したとすると、自リモコン受信機11A内ではその旨の受信処理信号RPがプロセッサ63に供給され、当該プロセッサ63は、指示情報フラグ69に、開動作を示す指示情報CDを格納し、出力部66から前記開動作開始状態の自動作通知信号NT1を送信するとともに、シャッター制御部64に対して開動作を示す開閉制御信号CSを供給する。
【0102】
クリティカル状態の発生がなかったとすると、これを受けて、シャッター装置14Aは開動作を行い、他リモコン受信機11B内では図6のタプルTU4に応じた制御が実行されることになる。
【0103】
タプルT4によると、当該自動作通知信号NT1をリモコン受信機11Bが受信したときにシャッター装置14Bが停止している場合にはすべての入力が無効となるので、自動作通知信号NT1の受信後は、次にシャッター装置14Aが完全閉鎖状態となるまで、シャッター装置14Bにシャッター動作を行わせることはできない。
【0104】
したがって、他リモコン受信機11Bがこの自動作通知信号NT1を受信した後は、次にシャッター装置14Aが完全閉鎖状態となってその旨を伝える自動作通知信号NT1が受信されるまでの期間、リモコン送信機12Bを用いてユーザU2がシャッター動作を指示したとしても、リモコン受信機11B内のプロセッサ63は、シャッター装置11Bの開動作を示す開閉制御信号CSを出力することはなく、開動作開始状態の他動作通知信号NT2を送信させることもない。
【0105】
他リモコン受信機11Bが開動作開始状態の他動作通知信号NT2を送信しないことにより、自リモコン受信機11Aでは、ユーザU1がリモコン送信機11Aを用いて指示するシャッター動作を自由に実行することができる。このとき、シャッター動作の制御権は自リモコン受信機11A側にある。
【0106】
ただし制御権があるからといって、いつまでもシャッター装置14Aが開放されたままでシャッター装置14Bの開動作を行えない状態がつづくことは好ましくないので、例えば、警告ランプや警告音等を発して、できるだけ早くシャッター装置14Aを完全閉鎖状態とするように、ユーザU1に警告するようにしてもよい。
【0107】
シャッター装置14Aが完全閉鎖状態となってその旨を示す自動作通知信号NT1が他リモコン受信機11Bに受信されたあと、双方のシャッター装置14A、14Bがともに完全閉鎖状態にあるときは、制御権は自他リモコン受信機11A、11Bのいずれにも属さないので、いずれか早く開動作の指示を受けたほうが制御権を取得してシャッター装置の開動作を行うことが可能となる。これは、前記初期状態に復帰したことを意味する。
【0108】
次に、当該初期状態において、ユーザU1がリモコン送信機11Aを用いて行う開動作の指示と、ユーザU2がリモコン送信機11Bを用いて行う開動作の指示が同時に出される。クリティカルな状態について説明する。
【0109】
ここで、同時とは、数学的に厳密な同時ではなく、図5に示す時間幅TWS1だけの範囲を有している。
【0110】
図5において、各リモコン受信機11A、11B内のプロセッサ63の処理時間は、一般的に、出力部66や入力部11Aなどにおける遅延時間に比べて十分に短いため、無視できるものとすると、他リモコン受信機11B内のプロセッサ63が開動作開始状態の他動作通知信号NT2を送信するように信号N1で出力部66に指示を出してから当該出力部66が当該他動作通知信号NT2を伝送路15に出力するまでに時間TW1だけの遅延が発生し、同様に、伝送路15で時間TW2の遅延が発生し、自リモコン受信機11A内の入力部65が当該他動作通知信号NT2を伝送路15より受信してから、対応する信号N2をプロセッサ63に供給するまでに時間TW3の遅延が発生する。したがって、これらの遅延時間の総和が、前記時間幅TWS1(=TW1+TW2+TW3)となる。
【0111】
同じことが、自リモコン受信機11Aから他リモコン受信機11Bの方向へ、開動作開始状態の自動作通知信号NT1を伝送する場合にも成立する。結局、時刻ts1に他リモコン受信機11B内のプロセッサ63が、開動作開始状態の他動作通知信号NT2の送信を出力部66に指示し、それより時間幅TWS1だけ遅れた時刻ts2に、当該他動作通知信号NT2の内容が自リモコン受信機11A内のプロセッサ63に認識されるものとすると、当該認識が得られる直前に、自リモコン受信機11A内のプロセッサ63が他リモコン受信機11Bに向けて開動作開始状態の自動作通知信号NT1を送信させる指示を出力部66に出した場合が、当該同時の時間幅がもっとも長いケースに相当する。そして、当該同時の最長の時間幅は、前記TWS1である。
【0112】
したがって、開動作状態の自動作通知信号NT1の送信指示時刻と、開動作状態の他動作通知信号NT2の送信指示時刻の時間差が、時間幅TWS1以内であれば、「同時」に該当し、前記クリティカルな状態が発生する。
【0113】
このようなクリティカルな状態が発生すると、相手のリモコン受信機から開動作開始状態の動作通知信号を受け取ったときにはすでに、双方のリモコン受信機11A、11B内のプロセッサ63は、開動作を指示する開閉制御信号CSをシャッター制御部64に供給したあとであり、指示情報フラグ69には開動作を示す指示情報CDが格納され、自動作情報フラグ68には、動作中(すなわち、開動作の途中)を示す動作情報ES1が格納され、他動作情報フラグ70には、完全閉鎖状態を示す動作情報ES2が格納されている。
【0114】
このとき実際にシャッター装置14A、14Bのシャッターがどれだけ開いているかは、シャッター制御部64や前記モータの応答時間などが関係してくるのでシャッター装置によって異なるものと考えられるが、前記時間幅TWS1が十分に短かければ、人間が目視しても開いていることを認識することができない程度の状態にある可能性が高い。しかしながらリモコン受信機11A、11Bの内部状態は、前記自動作情報フラグ68内の自動作情報ES1が動作中であることから、すでに、開動作を実行する状態に遷移している。
【0115】
このようなクリティカルな状態で開動作開始状態の他動作通知信号NT2を受け取った自リモコン受信機11Aは、設定を受けた優先順位情報PDが非優先であるから、図6に示すタプルTU3の動作時(動作中)の動作制限内容にしたがい、ただちに当該開動作を停止し、すべての入力を無効にする。
【0116】
一方、同様なクリティカルな状態で、開動作開始状態の自動作通知信号NT1を受け取った他リモコン受信機11Bは、設定を受けた優先順位情報PDが優先であるから、図6に示すタプルTU4の動作時(動作中)の動作制限内容にしたがい、当該動作(すなわち、開動作)を継続することができる。
【0117】
このあと、制御権を自リモコン受信機11Aが取得できる機会の到来は、シャッター装置11Bが完全閉鎖状態になるまで待たなければならない。
【0118】
本実施形態の複合シャッターシステム10では、開動作開始状態の自他の動作通知信号NT1、NT2が同時に受信された場合でも、前記動作不能状態自体の発生がなくなるから、閉鎖状態にある一方のシャッター装置の側にいるユーザ(例えば、ユーザU2)が、そのシャッター装置の閉鎖状態が、前記動作不能による異常な閉鎖状態なのか、外気を遮断するための正常な閉鎖状態なのかの判断を迫られることがなく、極めて使い勝手が良好である。
【0119】
(A−3)実施形態の効果
本実施形態によれば、機能を節約しながら、前記動作不能状態の発生を防止することが可能で、利便性を高めることができる。
【0120】
(B)他の実施形態
なお、上記実施形態では、無線信号WL1は周波数帯域が300MHzや400MHz程度で、送信電力が1mW程度の微弱な電波であったが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。これよりも高い周波数や低い周波数の電波を使用してもよく、赤外線などを使用してもよい。また、送信電力もこれよりも大きくしてもよく、小さくしてもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、連動関係として、シャッターの開閉に関する動作の連動関係を所定のものに保持する構成であったが、必要ならば、シャッターの開閉以外の動作に関する連動関係を保持するようにしてもよい。
【0122】
さらに、上記実施形態では、いずれか一方のシャッターが閉鎖状態であることが当該連動関係を保持するための条件であったが、このような条件は保持すべき連動関係の内容から必然的に決まるものである。
【0123】
また、上記実施形態では、外気の遮断を目的とするため、2つのシャッター装置が同時に開放されることを防ぐ必要があったが、目的によっては、2つのシャッター装置が同時に閉鎖されることを防ぐ必要が生じることも考えられる。本発明はそのようなケースにも適用可能である。その場合、上記実施形態での説明における開放や開動作を閉鎖や閉動作に読み替えるとともに、閉鎖や閉動作を開放や開動作と読み替えること等が必要となる。
【0124】
さらに、前記開閉動作とは、開方向のみ、閉方向のみ、または開閉両方向の移動動作を意味する。また、「閉」は開口部が存在するような場合にはこれを閉鎖する方向への移動を意味する概念であり、繰り出し、スライド移動、展張等を含む開閉体の前進を意味し、「開」は開口部が存在するような場合にはこれを開放する方向への移動を意味する概念であり、巻取り、収縮、折り畳み等を含む開閉体の後退を意味する。
【0125】
また、上記実施形態では、自他の動作状態信号NT1、NT2の状態は、開動作開始状態と閉動作状態の2通りとしたが、これは図7に示すように表現しても同じである。
【0126】
図7において、インターロック出力を短絡する下限停止時は、当該閉動作状態に対応し、下限停止以外である(すなわち、シャッターが下限停止位置以外に位置している)か、下限停止位置で上昇動作(開動作)を開始し、インターロック出力を開放する場合は、当該開動作開始状態に対応する。
【0127】
また、上記実施形態では、リモコン送信機に搭載する機能をできるだけ少なくし、できるだけ多くの機能をリモコン受信機側に配分する構成を取ったが、必要ならば、リモコン受信機が搭載している機能の一部をリモコン送信機側に搭載する構成を採用することもできる。
【0128】
さらに、上記実施形態では、操作スイッチは、PBS形式のスイッチであるものとしたが、本発明は、PBS形式のスイッチに限って適用されるものではない。スライド式スイッチや回転式スイッチなどを使用してもよく、圧力や温度、静電気の変化などに反応する各種のスイッチを適用することもできる。
【0129】
一方、上記実施形態では、同時の発生自体は許容した上で、発生した場合の処理に特徴を持たせたものであるが、同時の発生自体を防止することも可能である。これは、例えば、いわゆるTS(test and set)命令などの不可分命令を活用することによって実現可能である。
【0130】
なお、上記実施形態においては主として、シートシャッターについて本発明を適用したが、本発明はシートシャッター以外にも、ガレージ用シャッターや窓用シャッターなど各種のシャッターに適用することも可能である。
【0131】
さらに本発明は、シャッター用としてだけでなく、ドア、窓、オーバーヘッドドア、ロールスクリーン(例えば遮光幕)、ブラインド、オーニング装置などの他の開閉装置の混合システムにも適用することが可能である。
【0132】
また、以上の説明において、情報の流れる方向は、基本的にはリモコン送信機からリモコン受信機(リモコン受信機11)へ向かう単方向であったが、本発明の適用範囲はこのような単方向通信に限定されるものではない。
【0133】
すなわち当該リモコン送信機を送信専用の通信機器ではなく遠隔操作用の送受信機である操作送受信機に置換するとともに、当該リモコン受信機を受信専用の通信機器ではなく遠隔被操作用の送受信機である被操作送受信機に置換し、必要に応じて全二重通信や半二重通信が行えるようにしてもよい。
【0134】
このとき操作送受信機から被操作送受信機に向かう無線信号に含まれている信号は、前記シャッター動作などを指示する動作状態指示信号であってよく、反対に被操作送受信機から操作送受信機に向かう無線信号に含まれている信号は、シャッター動作の現状を報告するための動作状態報告信号であってよい。
【0135】
当該動作状態報告信号は、その時点のシャッター動作状態が、例えば、「全開放状態」、「全閉鎖状態」、「一部開放状態(部分的に開放して停止している状態)」、「開動作中」、「閉動作中」、「異常発生」などであることを示す信号であってよい。
【0136】
この場合、当該動作状態報告信号を受け取ることによって、操作送受信機のユーザは、シャッター動作状態が例えば当該「閉動作中」であることを認識することができる。
【0137】
また、当該操作送受信機を携帯受信機に置換し、被操作送受信機を固定送信機に置換することもできる。この場合、情報の流れる方向は、固定送信機から携帯受信機に向かう単方向となる。常時このような単方向通信だけが行われるシステム構成であってもよく、通信方向モード切換に応じて必要な場合にのみ、このような単方向通信を行い得るシステム構成であってもよい。
【0138】
すなわち、前記操作送受信機と被操作送受信機において、通信方向モード切換に応じて必要な場合にのみ、このような単方向通信を行い得るようにしてもよい。
【0139】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る遠隔操作システムのリモコン受信機の主要部の構成例を示す概略図である。
【図2】実施形態に係る遠隔操作システムの全体構成例を示す概略図である。
【図3】実施形態に係るリモコン送信機の外観例を示す概略図である。
【図4】実施形態に係るリモコン送信機の主要部の構成を示す概略図である。
【図5】実施形態の動作説明図である。
【図6】実施形態の動作説明図である。
【図7】他の実施形態の動作説明図である。
【符号の説明】
10…複合シャッターシステム、11A、11B…リモコン受信機、12A、12B…リモコン送信機、13…バッファ空間、14A、14B…シャッター装置、15…有線伝送路、57…手順記憶部、58…操作検出部、51〜53…操作スイッチ、56,63…プロセッサ、59…操作応答部、61…無線受信部、62…受信処理部、64…シャッター制御部、65…入力部、66…出力部、67…優先順位設定部、68…自動作情報フラグ、69…指示情報フラグ、70…他動作情報フラグ、NT1…自動作通知信号、NT2…他動作通知信号。

Claims (9)

  1. 供給される動作指示信号に応じて基本的には独立に動作する複数の開閉装置の動作状態の間に、所定の連動関係を持たせる開閉システムにおいて、
    各開閉装置は、
    優先度の設定を受ける優先度設定手段と、
    自身の動作状態を対向する開閉装置に知らせる第1の動作状態信号を出力する動作状態出力手段と、
    対向する開閉装置から、当該開閉装置の動作状態を示す第2の動作状態信号を入力する動作状態入力手段と、
    当該動作状態入力手段が第2の動作状態信号の入力を受けたときの自身の動作状態と、自身の優先度設定手段に設定された優先度に応じて、所定の動作制限モードに移行する動作制限モード移行手段とを備え、
    設定された優先度の高い開閉装置の動作が、優先度の低い開閉装置の動作よりも優先される形で、前記連動関係を保持することを特徴とする開閉システム。
  2. 2つの開閉装置から構成される場合の請求項の開閉システムにおいて、
    前記連動関係は、2つの開閉装置の内、少なくともいずれか一方の開閉装置は閉鎖状態であることを求めることを特徴とする開閉システム。
  3. 請求項の開閉システムにおいて、
    前記第1の動作状態信号は、開閉装置がこれから開動作を行うことを伝える第1の開動作開始信号であり、前記第2の動作状態信号は、当該開閉装置に対向する開閉装置がこれから開動作を行うことを伝える第2の開動作開始信号であることを特徴とする開閉システム。
  4. 請求項の開閉システムにおいて、
    前記第1の開動作開始信号が出力されるタイミングと、前記第2の開動作開始信号が出力されるタイミングが同一であるクリティカルタイミング関係が発生した場合でも、前記連動関係を保持することを特徴とする開閉システム。
  5. 請求項の開閉システムにおいて、
    前記優先度設定手段に設定された優先度が高い方の開閉装置は、
    前記動作制限モードとして、
    前記第2の開動作開始信号の入力を受けたときに自身が動作中である場合には当該動作を継続することを特徴とする開閉システム。
  6. 請求項の開閉システムにおいて、
    前記優先度設定手段に設定された優先度が低い方の開閉装置は、
    前記動作制限モードとして、
    前記第1の開動作開始信号の入力を受けたときに自身が動作中である場合には直ちに当該動作を停止することを特徴とする開閉システム。
  7. 請求項の開閉システムにおいて、
    前記優先度設定手段に設定された優先度が高い方の開閉装置は、
    前記動作制限モードとして、
    前記第2の開動作開始信号の入力を受けたときに自身が閉鎖位置で停止状態にある場合には、供給を受ける前記動作指示信号の内容に関わらず全動作を制限して当該停止状態を維持することを特徴とする開閉システム。
  8. 請求項の開閉システムにおいて、
    前記優先度設定手段に設定された優先度が低い方の開閉装置は、
    前記動作制限モードとして、
    前記第1の開動作開始信号の入力を受けたときに自身が閉鎖位置で停止状態にある場合には、供給を受ける前記動作指示信号の内容に関わらず全動作を制限して当該停止状態を維持することを特徴とする開閉システム。
  9. 基本的に、供給される動作指示信号に応じて動作する開閉装置において、
    当該開閉装置に接続される対向する開閉装置との間の相対的な優先度の設定を受ける優先度設定手段と、
    自身の動作状態を対向する開閉装置に知らせる第1の動作状態信号を出力する動作状態出力手段と、
    対向する開閉装置から、当該開閉装置の動作状態を示す第2の動作状態信号を入力する動作状態入力手段と、
    当該動作状態入力手段が第2の動作状態信号の入力を受けたときの自身の動作状態と、自身の優先度設定手段に設定された優先度に応じて、所定の動作制限モードに移行する動作制限モード移行手段とを備え、
    設定された優先度の高い開閉装置の動作が、優先度の低い開閉装置の動作よりも優先される形で、所定の連動関係を保持することを特徴とする開閉装置。
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