JP4702728B2 - 地下たび及びこれに用いる先芯 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、土木、建築現場等において使用する地下たび及びこれに用いる先芯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地下たびは、一般に綿布で縫製されたアッパーに、ゴム又は合成樹脂製の接地底を取付けた構成からなっており、爪先に指股が設けられ親指部と四指部とを別々に動かすことができると共に、足にフィットさせることができ、しかも柔軟な接地底を用いているため、足の動きに自由度があり、接地感覚もよく、軽快に履用できる特徴を有している。
【0003】
ところで、地下たびは上述したように軽快性の要求からアッパーが布製となっているため、履用中に爪先部分に器物が落下した場合、爪先部を損傷する懸念が残されていた。
このため、爪先部分を落下物から保護する目的で、この部分に金属製でキャップ状の先芯を装填することもなされているが、親指部と四指部とを覆う別々の先芯を装填すると、特に地下たびは指股があるため、この部分が窮屈になり、指が擦れたり、当ったりすることがあってこの改善が望まれていた。
【0004】
この点を解決する手段として、実公昭36―32459号公報に示すような地下足袋が提案されている。この地下足袋では親指と四指とに分かれ、指又内面に傾斜切口を有し、かつ上面にもり上がり突起面を有する鋼板製足指覆を挟着し、指又部分の底ゴム外被と中敷とを縫合させたものである。しかしこの場合の鋼板製足指覆では、指股内面を上から下にかけて傾斜切口を設けているため、この部分が上辺に対し下辺の部分が極端に小さくなっており、上からの荷重に対し不安定で、内側に倒れ込む虞があり、使用中に足指を圧迫してしまう懸念があった。このような観点から、この提案における鋼板製足指覆では上面にもり上がり突起面を設けたり、足袋に挟着する際指又部分において底ゴム外被と中底とを縫合しなければならなかったものと見られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の状況に鑑み、爪先部のとりわけ指股部における指の接触や摩擦を極力生じないようにし、しかも特別な縫合を施す必要がなく、かつ爪先の保護機能を維持しつつ構造が簡易で制作の容易な地下たび及びこれに用いる先芯について検討し、本発明に到達したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨とするところは、夫々が別体となっていて親指上半部を覆うことができる親指用先芯と、四指上半部を覆うことのできる四指用先芯とをアッパーの爪先部に装填したものであって、上記のうち少なくとも一方の先芯の指股側立上り壁の後方端に上端及び下端を残しその中間部を抉り取った状態の切欠き部を形成した先芯を用いることを特徴とする地下たびにある。
また本発明は、夫々が別体となっていて親指上半部を覆うことができる親指用先芯と、四指上半部を覆うことのできる四指用先芯とからなり、これらのうち少なくとも一方の先芯の指股側立上り壁の後方端に上端及び下端を残しその中間部を抉り取った状態の切欠き部を形成したことを特徴とする地下たびに用いる先芯も要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例として示す図面に従って説明する。
図1は本発明の地下たびの例を示しており、綿布等を縫製してなるアッパー1にゴム又は合成樹脂からなる接地底2を縫着、接着又は両者の併用によって取付けてなっている。なお、図中3はコハゼ、4はコハゼ掛糸であり、また1Aはアッパーの表布、1Bは裏布、1Cは中底、1D及び1Eは爪先補強布及び踵補強布を夫々示している。
【0008】
本発明は、上記の如く構成された地下たびにおいて、夫々が別体となっていて親指A上半部を覆うことのできる親指用先芯5と、四指B上半部を覆うことのできる四指用先芯6とをアッパー1の爪先部、すなわち図示の例においては表布1Aと爪先補強布1Dとの間に挿入し、必要に応じて接着剤を介して装着したものである。そしてこの実施例に用いている2つの先芯5、6は、その指股側立上り壁の後方端に、上端X及び下端Yを残しその中間部を略三角形状に抉り取った状態の切欠き部5A、6Aを形成したものを用い、相互の切欠き部5A、6Aを対設させて爪先部に装填させてなっている。
【0009】
本発明では上記のような独特の形状の先芯5、6を使用しているため、地下たびを履いて足先が指股に達した際に、切欠き部5A、6Aによりこの部分に壁がないこととなり、みだりに接触或いは摩擦したり、指が当ったりすることがなくなる。そしてこの切欠き部5A、6Aの外側は一般の地下たびの生地と同じ構成になっているため、接触、摩擦しても指を擦ったり、傷つけたりすることがなくなる。そして本発明で用いる先芯5A、6Aの指股側立上り壁後方端の上端X及び下端Yは、その中間を抉り取っているものの当初の略垂直位置を保っているため、上方から荷重が加わっても安定していてみだりに傾いたり倒れこんだりすることがない。この点上述した従来の提案の鋼板製足指覆では、下端が直下位置に存在しないため、荷重により傾いたり安定を欠くことになってしまう。なお、本発明の先芯5A、6Aではその下端Yが存在するが、足指の外面は外側に向かって膨出しているため、この下端Yが指に及ぼす影響はほとんど生じない。
【0010】
上記の実施例では、親指用先芯5及び四指用先芯6の両方の指股側立ち上がり壁に切欠き部5A、6Aを形成したものを用いているので、親指及び四指について対処し得るが、場合によってはこの切欠き部は、必要とされるいずれか一方の先芯にのみ設けるようにしても構わない。
【0011】
本発明に用いる先芯5、6は一般的に用いられているものと同様、合成樹脂、FRP、各種金属の材料からなるものが使用でき、通常は図3に示すように下端に折返し部5Bを設けて成形する。上記の切欠き部5A、6Aは、これらの材料を用いて先芯5、6を成形する際に同時に成形させることが望ましい。なおこの切欠き部5A、6Aの形状は、図示する如く略三角形状のほか、図6(A)に示す略半長円形状、図6(B)に示す半長円を変形した形状、図6(C)に示す半円形状或いは図6(D)に示す略台形状にすることができる。また、この切欠き部を、親指用と四指用の双方に設ける場合、その切欠き部の形状は互いに同一形状でもよいが、相互に異なる形状にすることもできる。
【0012】
なお本発明に用いる先芯5、6は、その指股側立上り壁に切欠き部5A、6Aを形成しているため、強度低下が懸念されるときには、図7に示すように立上り壁端縁に肉厚部5Cを設け、これによりこの部分の剛性をもたせて強度向上を図ることもできる。すなわち図7のように、切欠き部5A、6Aを設けた立上り壁端縁に肉厚部5Cを設けるが、これは図8(A)のように外側に、または同図(B)のように内側に或いは同図(C)のように両側に設けるようにしてもよい。
さらにこの例の先芯5、6の後端5Cを図3のように楔状に薄肉化させると、爪先に先芯5、6を装填したときに、アッパー1の対応個所に必要以上の盛り上がりによる段差を生じることがなく、したがって器物との接触を防ぎかつ外観を向上させることができる。
【0013】
また上記と同じ目的で先芯の強度向上を図る手段として、図9及び図10のように少なくとも切欠き部5A周辺部にシート片7を貼着することができる。すなわち図9は、先芯5の切欠き部5Aを含む指股側立上り壁の略全面に、シート片7を貼着した例を示している。なお図9(B)はその断面を示している。この例においては、切欠き部5A及び切欠き部5A周辺部を含む指股側立上り壁の略全面にシート片7として柔軟性のある天然或いは合成繊維布や炭素繊維クロスを用いることが好ましい。
このようにすると、先芯5(6)に加えられた荷重によって変形を受ける効果があり、結局この部分が補強されることなり、しかも指股部における指の接触や摩擦を避けることができる。
【0014】
図10は上記の例の変形例を示すもので、同(A)が切欠き部5Aの周辺部にシート片7を貼着した例、同(B)が切欠き部5Aを周辺部を含み指股側立上り壁のほとんどの部分にまでシート片7を貼着した例である。
これらの例では、切欠き部5Aにシート片7が位置しないことになるので、金属、合成樹脂、FRP等硬質材料からなるシート片7を用いることができ、これによってこの部分の補強効果を発揮させることができる。
なお上記の図9及び図10の例において、シート片7を局部的あるいは全面的に2枚以上を重ねて貼着し、さらに補強させることも可能である。
【0015】
【発明の効果】
本発明は以上詳述した如き構成からなるものであるから、爪先部とりわけ指股部における接触や摩擦を極力生じないようにすることができ、しかも特別な縫合を施す必要がなく、したがって爪先の保護機能を維持しつつ構造が簡易で製作の容易な地下たび及びこれに用いる先芯を提供しうる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す地下たびの斜視図である。
【図2】図1の一部を示す部分的な正面図である。
【図3】図1のIII―IIIの拡大断面図である。
【図4】本発明の2つの先芯を示す斜視図である。
【図5】本発明の一方の先芯を示す側面図である。
【図6】(A)〜(D)は本発明の他の先芯の例を示す側面図である。
【図7】本発明に用いる先芯の別の例を示す側面図である。
【図8】(A)〜(C)は図7のVIII―VIII線で切断した先芯の例を示す部分断面図である。
【図9】(A)、(B)は、本発明に用いる先芯の別の例を示す側面図及び断面図である。
【図10】(A)、(B)は、図9の例の変形例を示す先芯の側面図である。
【符号の説明】
1 アッパー
2 接地底
5 親指用先芯
5A 切欠き部
6 四指用先芯
6A 切欠き部
Claims (8)
- 夫々が別体となっていて親指上半部を覆うことができる親指用先芯と、四指上半部を覆うことのできる四指用先芯とをアッパーの爪先部に装填したものであって、上記のうち少なくとも一方の先芯の指股側立上り壁の後方端に上端及び下端を残しその中間部を抉り取った状態の切欠き部を形成した先芯を用いることを特徴とする地下たび。
- 夫々が別体となっていて親指上半部を覆うことができる親指用先芯と、四指上半部を覆うことのできる四指用先芯とからなり、これらのうち少なくとも一方の先芯の指股側立上り壁の後方端に上端及び下端を残しその中間部を抉り取った状態の切欠き部を形成したことを特徴とする地下たびに用いる先芯。
- 切欠き部が略三角形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の地下たび又はこれに用いる先芯。
- 切欠き部が略半長円形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の地下たび又はこれに用いる先芯。
- 切欠き部が略台形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の地下たび又はこれに用いる先芯。
- 切欠き部を形成する立上り壁端縁に厚肉部を設けたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の地下たび又はこれに用いる先芯。
- 少なくとも切欠き部周辺部にシート片を貼着させたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の地下たび又はこれに用いる先芯。
- 後端部を楔状に薄肉化させた先芯を用いることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の地下たび又はこれに用いる先芯。
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