以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照して説明する。
ここでは遊技機として、いわゆるフィーバー機と呼ばれるタイプの第一種パチンコ機(弾球遊技機)を例に取り、その構造を図1〜図3を参照して説明する。
パチンコ機1の前面部は、本体枠2と、中枠3と、前面枠4と、上皿部5と、下皿部6と、施錠装置7とから構成されている。本体枠2は、木製の板状体を略長方形の額縁状に組立て固着したものである。中枠3は、全体がプラスチック製で、枠体部(図示略)と下板部(図示略)とを有して本体枠2の内周側に嵌合し取り付けられている。
ここで枠体部は、上端から下方へ中枠3全体の略2/3程度に略長方形の額縁状に形成され、上端部には、前面枠4の枠飾りランプ用レンズ4bに対応して、左側に賞球表示LED(図示略)及び賞球表示LED基板4d(図4参照)が、右側にストップ表示LED(図示略)及びストップ表示LED基板4f(図4参照)が配設されている。
また、下板部は、下端から上方へ中枠3全体の略1/3程度を占め、左端には、上皿部5に形成されたスピーカ面5aに対応すべく、遊技状態に応じた効果音その他の音(以下音声情報等という)を発生させるスピーカ400(図4参照)が配設され、略中央には、遊技球を発射する発射装置ユニット8(図3参照)に上皿部5に貯留された遊技球を供給する供給装置等(図示略)が設けられている。さらに、下方には下皿部6が設けられ、右端中央には施錠装置7が設けられている。
下皿部6は、灰皿や玉抜きレバー等を備えて、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6cが開設され、右端に発射装置ユニット8を操作する発射ハンドル9が設けられている。また、この発射ハンドル9には、遊技者がタッチしていることを検出するタッチスイッチ9aが装着され、その近傍には、発射停止を一時的に指令する発射停止スイッチ9bが配置されている。施錠装置7は、正面視すると鍵穴を備えた略長方形状を呈し、前面枠4を閉鎖した場合に施錠するためのものである。
前面枠4は、全体がプラスチック製であり、遊技盤10を前方から視認するべく、遊技盤10に形成された遊技領域11の形状に対応して(図2参照)上側が略円弧状を呈し、全体が略弾丸形状に開設された開口部4aを有している。そして、その裏面には、開口部4aに応じてガラス板が嵌められた略長方形状のガラス枠(図示略)が装着されている。また、この前面枠4は、パチンコ機1の前面全体の略2/3程度のサイズを占め、中枠3の左端に軸着され開閉可能に形成されている。さらに、上端部には、枠飾りランプ用レンズ4bが設けられ、このレンズ4b内部には、開口部4a上端の円弧部分に沿って、枠飾りランプ基板4g(図3参照)及び複数個の遊技効果ランプ(図示略)が配設されている。
上皿部5は、前面枠4の下側で、中枠3の左端に軸着され開閉可能に形成されている。皿外縁部5dには、玉抜きボタンや遊技球の貸出・返却ボタン等が配設されている。またパチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口5cが開設されている。左端には、複数の長孔を有するスピーカ面5aが形成され、その裏面には、音量スイッチ基板12(図4参照)が設けられている。パチンコ機1の左端側には、プリペイドカードユニット13が装着されている。
次に、本実施例の遊技盤10の表面構造を図2を参照して説明する。 遊技盤10は、略長方形の木製の板状体であって、後述する裏機構盤102(図3参照)により保持され、その表面に設けられた外レール14と内レール15とにより略円形状に形成される遊技領域11内に、特別図柄表示装置(可変表示装置)16と、第1種始動口(普通電動役物)17と、変動入賞装置(可変入賞装置)18と、左上入賞口19、右上入賞口20、左下入賞口21、右下入賞口22と、多数の障害釘23と、一対のランプ風車24、25や一対の風車26、27等が配設されて、構成されている。
特別図柄表示装置16は、遊技領域11の略中央部に配置され、センター役物28と、液晶表示盤29とを備えている。ここで、液晶表示盤29は、複数種類の識別情報としての特別図柄(図示略)等を変動表示するもので、その映像画面は略長方形状を呈している。また、この液晶表示盤29は、遊技球が第1種始動口(普通電動役物)17に入球することにより、その映像画面に表示される各特別図柄をそれぞれ変動させて停止表示させるものである。そして、例えば、図柄が少なくとも横一列及び/又は斜め一列とされた有効列上で「7、7、7」等の3桁同一図柄で揃って停止表示すると、変動入賞装置18に配設された後述する大入賞装置30の大入賞口44が開放される。また、センター役物28は、液晶表示盤29の前面周辺部に額縁状に突設して装着され、普通図柄表示装置31と、翼状部32、33とを備えている。
普通図柄表示装置31は、センター役物28上部中央に配置され、7セグメント表示器31aと、普通図柄保留表示LED31bとを有している。また、この普通図柄表示装置31の両側にはそれぞれ、略翼状に延びた翼状部32、33が配設されている。さらに、その下側には、4個の丸形の緑色LEDで構成され、横一列状に特別図柄保留表示LED35が設けられている。これは、第1種始動口(普通電動役物)17に入球した遊技球の数を4個まで保留し、入球毎に順次点灯し左へシフト表示するものである。そして、液晶表示盤29で次の特別図柄の変動が開始するたびに、未始動回数が消化され、1個の特別図柄保留表示LED35は消灯される。
7セグメント表示器31aは、1〜9の奇数数字を変動表示させるもので、後述する左右の普通図柄作動ゲート36、37のいずれかを遊技球が通過することにより、変動して所定時間経過後に1種類の奇数数字が停止表示される。そして、例えば「7」で停止表示すると、第1種始動口(普通電動役物)17が所定時間(例えば、0.5秒)開放される。
普通図柄保留表示LED31bは、4個の丸形の赤色LEDで構成され、7セグメント表示器31aの両側に2個ずつに分けて配置されている。これは、左右の普通図柄作動ゲート36、37を通過した遊技球の数を4個まで保留とし、通過毎に順次点灯しシフト表示するものである。次の7セグメント表示器31aの変動表示が開始するたびに、未始動回数が消化され、1個の普通図柄保留表示LED31bは消灯される。
第1種始動口(普通電動役物)17の左右両側には、普通図柄作動ゲート36、37がそれぞれ設けられている。各ゲート36、37から入った遊技球は、内部に配設された左、右普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ36s、37s(図4参照)を通過する。なお、遊技球の普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ36s、37sのいずれかの通過により、普通図柄表示装置31における7セグメント表示器31aが変動表示する。
第1種始動口(普通電動役物)17は、特別図柄表示装置16におけるセンター役物28の中央直下に配設され、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するべく形成されている。内部には、遊技球の通過を検知する第1種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s(図4参照)が備えられている。この一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能な開放状態となり、一対の翼片部が閉じると、遊技球の入球困難な閉鎖状態となる。
変動入賞装置(可変入賞装置)18は、上記第1種始動口(普通電動役物)17の下方に配設され、前面側が略逆台形状に形成された基板41に、大入賞装置30と、左入賞口42と右入賞口43とを備えている。ここで、大入賞装置30は、略中央に形成され、帯状に開口された大入賞口44と、この大入賞口44を開放・閉鎖する開閉板39と、この開閉板39を開閉するための大入賞口ソレノイド45(図4参照)と、連動杆(図示略)と、特定入賞領域(以下、単に特定領域ともいう)70(図10参照)と、特定領域外入賞領域(以下、単に特定領域外領域ともいう)71(図10参照)とから構成されている。
また、左入賞口42は、大入賞装置30の左斜め上方に配設されている。さらに、右入賞口43は、大入賞装置30の右斜め上方に配設されている。アウト口46は、変動入賞装置18における大入賞装置30の中央直下に配設されている。バック球防止部材47は、アウト口46の下部に設けられ、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止するものである。ファール球防止部材48は、内レール15の先端部に取り付けられ、返しゴム49は、ファール球防止部材48の位置とは略正反対側の、遊技盤10の右半分側の位置であって、外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
一対のランプ風車24、25はそれぞれ、特別図柄表示装置16から左右斜め上方に配設されている。左上入賞口19及び右上入賞口20はそれぞれ、特別図柄表示装置16から左右両側方に配設されている。左下入賞口21及び右下入賞口22はそれぞれ、特別図柄表示装置16から左右斜め下方に配設されている。
一対の風車26、27はそれぞれ、特別図柄表示装置16から左右両側方であって、特別図柄表示装置16と左上入賞口19又は右上入賞口20間に配設されている。一対のサイドランプ50、51はそれぞれ、遊技領域11の左右両端部において、縦帯状で相対称状に配設されている。なお、多数の障害釘23は、以上説明した各装置との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく、配設されている。
次に、本実施例のパチンコ機1の裏面構造について図3を参照して説明する。 前面枠4は、中枠3にあって前面枠4の上下端の位置に設けられた一対のヒンジ101により、開閉可能に支持されている。機構盤102は中枠3にあって機構盤102の上下端の位置に設けられた一対のヒンジ103により、開閉可能に支持されている。遊技盤10は中枠3の表面側に着脱可能に取り付けられている。上端側にあるヒンジ101の配設位置からみて左側には、タンク球切れ検知スイッチ104をタンク底部に備えた賞球タンク105と、この賞球タンク105に接続されるタンクレール106とが取り付けられている。また、タンクレール106の右端側には、球抜きレバー107が設けられ、その下流側には、補給球切れ検知スイッチ108が、さらに、その下流側には、賞球払出装置109が配設されている。
続いて、遊技球の振り分け部110が賞球払出装置109の下流側に設けられている。タンクレール106の下側には、特別図柄表示装置16における液晶表示盤29を格納した蓋付きの裏ケース111が、この裏ケース111の下側には、後述する主制御部140(図4参照)である主制御基板340(図4参照)を格納した主制御基板ケース112がそれぞれ設けられている。主制御基板ケース112の左側には、発射装置制御基板201(図4参照)を格納した発射装置制御基板ケース113及び発射制御集合中継基板116が設けられている。機構盤102の左下方部には、上述した発射装置ユニット8が、同じく右下方部には、補給球詰まり、下皿部満タン、主電源電圧異常、発射停止、主制御基板通信異常、賞球モータ異常などを7セグメントLEDで表示する枠状態表示器117を備えた、枠制御部150(図4参照)である第一周辺制御基板(枠制御基板)350(図4参照)を格納した枠制御基板ケース118が設けられている。また、特別図柄表示装置16の液晶表示盤29の作動制御を行う、特別図柄制御部160が形成される特別図柄制御基板(第二周辺制御基板)360(図4参照)、各種ランプ類の制御を統括して行う、ランプ制御部170(図4参照)が形成されるランプ制御基板(第三周辺制御基板)370(図4参照)、スピーカ400からの音声出力制御を司る音声制御部180が形成される音声制御基板(第四周辺制御基板)380(図4参照)もそれぞれ取り付けられている。
一方、機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス119、電源スイッチ120、電源ターミナル基板121、及び、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた端子基板122が設けられている。また、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブル123も端子基板122の下側に配設されている。枠制御基板を格納した枠制御基板ケース118からは接続ケーブル124が上方へ延出し、電源ケーブル125を備えたプリペイドカードユニット13に接続されている。また、機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。
次に、本実施例のパチンコ機1の電子制御装置130について、図4を参照して説明する。まず、電子制御装置130は、主制御部140と、共通信号伝送経路である共有バス500により、その主制御部140に直列的に接続された枠制御部150、特別図柄制御部160、ランプ制御部170及び音声制御部180とを含んで構成されている。主制御部以外の4つの制御部150、160、170、180は前述の通り、第一〜第四の周辺制御部をなすものである。
主制御部(特別遊技制御手段、遊技態様変更制御手段、追加遊技態様許可制御手段)140は、CPU141と、RAM142と、ROM143と、入出力ポート144とをバス145により相互に接続したものである。そして、CPU141はROM143に格納された制御プログラムにより、RAM142をワークエリアとしてパチンコ機1全体の作動制御(すなわち、遊技の基本進行制御)を司る。また、ROM143に記憶された当否判定プログラムにより、CPU141が主体となって当否判断制御を行う。また、入出力ポート144には前記した共有バス500が接続され、後述する通り入出力ポート144からその共有バス500へ、各周辺制御部150、160、170、180へ処理内容を指示する、指令信号たるコマンドデータを送信する。なお、主制御部140から各周辺制御部150、160、170、180へは、一方向形式でデータが伝送される。また、該主制御部140には、電源ターミナル基板121が接続されている。なお、主制御部140は、それ自体が遊技者の賞球獲得上の利害に関与する第一種作動部となっていることは明らかである。また、RAM142は、遊技者の賞球獲得上の利害に関与する制御情報を記憶する第一種制御情報記憶手段をなす。
中継基板200には、タッチスイッチ9a、発射停止スイッチ9b、右普通図柄作動通過口通過検知スイッチ37s、左普通図柄作動通過口通過検知スイッチ36s、カウント検知スイッチ53、カウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54、ヴォリュームスイッチ202、タンク球切れ検知スイッチ104及び補給球切れ検知センサ108等が接続され、中継基板200の出力端子は、入出力ポート144と接続されている。また、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sも、入出力ポート144に接続されている。
枠制御部150は、主制御部140と同様の演算回路構成要素151〜155を含んで構成され、入出力ポート154において共有バス500に接続されている。また、入出力ポート154には、普通図柄表示装置基板31f、役物作動を司る各種ソレノイド45、76、賞球払出装置109、発射装置制御基板201等が接続されている。なお、枠制御部150と普通図柄表示装置基板31f(及びこれに接続される普通図柄表示装置31)、役物作動を司る各種ソレノイド45、76、賞球払出装置109、発射装置制御基板201(及びこれに接続される発射装置)等は、遊技者の賞球獲得上の利害に関与する第一種作動部となっている。また、RAM152は、遊技者の賞球獲得上の利害に関与する制御情報を記憶する第一種制御情報記憶手段をなす。
特別図柄制御部160は、主制御部140と同様の演算回路構成要素161〜165を含んで構成され、入出力ポート164において共有バス500に接続されている。入出力ポート164には、液晶表示盤29が接続されている。なお、特別図柄制御部160と、特別図柄を表示する液晶表示盤29は、遊技者の賞球獲得上の利害に関与する第一種作動部と見ることもできる。
ランプ制御部170は、主制御部140と同様の演算回路構成要素171〜175を含んで構成され、入出力ポート174において共有バス500に接続されている。入出力ポート174には、枠飾りランプ基板4g、各種ランプ基板17f、19f、20f、21f、22f、36f、37f、各種LED基板4d、4f、35fが接続されている。これら各基板にランプあるいはLEDが1又は複数個接続される。なお、ランプ制御部170とこれに接続される各種基板類(ひいてはランプ等)は、いずれも遊技者の賞球獲得上の利害に関与しない第二種作動部となっている。
音声制御部180は、主制御部140と同様の演算回路構成要素181〜185を含んで構成され、入出力ポート184において共有バス500に接続されている。入出力ポート184には、サウンドジェネレーター203、音量スイッチ基板12が接続されている。サウンドジェネレーター203は、図示しないLSI等に格納された音声データと音声出力モジュールとに基づいて、これに接続されたスピーカ400より、ゲームの進行に対応した各種の音声出力を行う。音量スイッチ基板12は、図示しない音量スイッチの操作に伴い、サウンドジェネレーター203に対して出力音量の設定を行うものである。なお、音声制御部180とこれに接続されるサウンドジェネレーター203等は、いずれも遊技者の賞球獲得上の利害に関与しない第二種作動部となっている。
次に、賞球動作は、以下の順序で実行される。
主制御部140は、遊技球がカウント検知スイッチ53またはカウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54を通過したら15個の賞球個数データを、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sを通過したら6個の賞球個数データを、それ以外の場合、例えば、左右上入賞口19、20の通過検知スイッチ19s、20s(図4参照)の通過を検知した場合などにおいては、10個の賞球個数データを、枠制御部150に対してその検知順に、枠制御部150を作動指令対象とする指令信号として、前記した共有バス500を介して送信する(すなわち、固有賞球数はここでは、6個、10個あるいは15個である)。枠制御部150は、主制御部140からの賞球個数データを受け取り、賞球払出信号の送信により賞球払出装置109を作動させる。
また、主制御部140は、上述の各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、また、その遊技状態に基づいて当否判定を行うとともに、判定内容に応じて対応する図柄表示態様で画像表示制御を行うためのデータを作成する。例えば、主制御部140は、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s、カウント検知スイッチ53、カウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54等の検知結果や、特別図柄当否判定乱数の取得値などを使用して、遊技が行われていない客待ちの状態、遊技は行われているが始動入賞がない状態(変動準備状態)、始動入賞があった状態、及び、特別遊技状態なども判断する。また、始動入賞が検知されると乱数値に基づいて当否判定が行われ、その判定結果に基づいて特別図柄の変動、または確定などの表示態様制御のためのデータが作成される。このデータは、特別図柄制御部160を作動指令対象とする指令信号として、前記した共有バス500を介して送信される。
さらに、枠飾りランプ基板4g等の各種ランプやサウンドジェネレーター203は、特別図柄制御部160の制御による特別図柄の変動・停止表示態様、リーチ発生の有無、リーチ表示態様(全回転、コマ送り、逆進、図柄の拡大・縮小など)、特別遊技態様、及び、遊技モード(確率変動、時短など)等に応じてその態様は制御される。その制御指令の指令信号は、ランプ制御部170あるいは音声制御部180を作動指令対象とする指令信号として、前記した共有バス500を介して送信される。
次に、主制御部140と特別図柄制御部160とにより実行される各種ジョブのうち、主要なジョブについて以下に説明する。 まず、主制御部140により実行されるメインジョブについて図5を参照して説明する。これは、主制御部140のROM143に格納されたプログラムに基づき、CPU141により実行されるものである。すなわち、スタックポインタをRAM142の所定のアドレスに設定した後(S10)、初期化終了の判定が行われる(S20)。初期化が終了していれば(S20:YES)、LEDジョブ(S30)からスイッチジョブ(S70)までのジョブが実行される。また、初期化が終了していなければ(S20:NO)、初期化ジョブ(S190)が実行される。
LEDジョブ(S30)においては、普通図柄及び普通図柄未始動回数の表示態様データや、特別図柄未始動回数の表示態様データなどが出力される。等速乱数ジョブ(S40)では、RAM142の特別図柄当否判定乱数メモリや汎用カウントメモリ(図示略)などが更新される。非等速乱数ジョブ(S50)では、外れ普通図柄乱数メモリ(図示略)が更新される。なお、汎用カウントメモリ(図示略)は、ユーザーリセット毎の「0」〜「255」の値の作成や、コマンドジョブ、飾りジョブの実行などに使用される。また、音楽作成ジョブ(S60)では、音楽や音声に関するデータの作成が行われ、スイッチジョブ(S70)では、各種検知スイッチの読み込みが行われる。すなわち、発射停止検知信号、タッチ検知信号、ヴォリューム検知信号、カウント検知信号、特定領域通過検知信号、普通図柄作動ゲート通過検知信号などの各種信号が中継基板200を介して主制御部140に取り込まれ、また、第1種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17sから第1種始動口入賞検知信号が取り込まれる。
さらに、カウント検知スイッチ53又はカウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54に異常があるか否かが判定され(S80)、異常がなければ(S80:YES)、特別図柄メインジョブ(S90)から音声ジョブ(S110)までのジョブが実行される。また、異常(球詰まりや断線など)があれば(S80:NO)、エラージョブ(S130)が実行される。
特別図柄メインジョブ(S90)においては、主制御部140と特別図柄制御部160とが協調して動作するために必要なデータに関するジョブが実行される。このジョブについては後述する。また、普通図柄メインジョブ(S100)では、普通図柄及び普通図柄未始動回数の表示態様データの作成が行われる。音声ジョブ(S110)では、遊技状態に応じた音声のデータが出力される。
この後、賞球信号ジョブ(S150)、情報信号ジョブ(S160)、コマンドジョブ(S170)、及び残余時間ジョブ(S180)が実行される。
賞球信号ジョブ(S150)においては、賞球払出しに関するデータの作成や出力が行われ、情報信号ジョブ(S160)では、他の制御部への情報出力に必要なデータの作成が行われる。さらに、コマンドジョブ(S170)では、特別図柄管理のためのコマンドの入出力が行われ、残余時間ジョブ(S180)では、非等速乱数の呼出しや、汎用乱数メモリ(図示略)の更新が行われる。
次に、上記メインジョブの一連の流れの中で実行される、始動入賞時の当否判定についての当否判定ジョブと、それに伴う特別図柄の表示態様を決定する特別図柄メインジョブに関して以下に説明する。なお、これらのジョブで使用する各種メモリは、図4に示すRAM142に格納され、代表的なもの(142a〜142i)を図7に示す。
まず、当否判定ジョブの概略の流れを図6を参照して説明する。S200において始動入賞があったか否かを確認し、YESであれば、S210において特別図柄保留数メモリ142b(図7参照)に記憶されている保留数(未始動回数)を1インクリメントする。この保留数(未始動回数)が一定値(本実施例では「4」)を超えていれば、その始動入賞は無効となり、S250へスキップする。また、一定値内の保留数(未始動回数)であれば、S230において、特別図柄当否判定乱数(以下、判定乱数ともいう)を発生させ(プログラムを発生させても、所定の乱数発生回路を用いてもいずれでもよい)、読み込んだ判定乱数値を、S240において、特別図柄当否判定乱数メモリ142a(図7参照:以下、判定乱数メモリともいう)に記憶する。このメモリは、読み込んだ判定乱数値を始動入賞の時系列にシフトメモリ形式で記憶している。
次に、S250において、判定乱数メモリ142a(図7参照)から記憶している最も古い先頭の判定乱数値を読み出す。そして、S260において、大当り番号メモリ142g(図7参照)から大当り番号を読み出し、S270において、上記判定乱数値との比較を行い、両者が一致していれば大当り判定となり、一致していなければ外れ判定となる。大当り判定の場合には、S280に進み、大当り図柄決定乱数を発生させ、これを読み込んでその決定乱数値を大当り図柄決定乱数メモリ142c(図7参照)に記憶する。また、「大当り」という判定結果(本実施例では「1」)を判定結果メモリ142i(図7参照)に記憶する。この大当り図柄決定乱数値で指定される特別図柄は、特別図柄画像データが記憶されている圧縮画像データに基づいて、液晶表示盤29(図2参照)に、変動表示状態を経た後、定められた配列態様で表示される(例えば、横一列及び/又は斜め一列の「7、7、7」の3桁同一図柄の配列態様)。
一方、外れ判定となった場合は、S270からS310に進み、外れリーチジョブを行うかどうかを乱数により決定する。すなわち、S310において、リーチジョブ決定乱数を発生させ、これを読み込み、他方、S320において、リーチ番号メモリ142h(図7参照)に記憶されているリーチ番号を読み出す。S330において、両者が一致していれば外れリーチジョブに、一致していなければ通常外れジョブとなる。
外れリーチジョブの場合は、S340へ進み、少なくとも横一列及び/又は斜め一列の揃えるべき2つの特別図柄を、大当り図柄決定乱数(別途乱数を発生させるようにしてもよい)を使用して決定する(S340、S350)。また、S360において、外れ中図柄を乱数により同様に決定し、S370において決定した乱数値を外れ中図柄番号メモリ142f(図7参照)に記憶する。また、S380において、「外れリーチ」という判定結果(本実施例では「2」)を判定結果メモリ142i(図7参照)に記憶する。一方、通常外れジョブの場合は、S390に進み、各特別図柄をそれぞれ乱数により決定し、決定した各乱数値をそれぞれ対応する外れ番号メモリに記憶する(S390〜S440)。また、S450において、「通常外れ」という判定結果(本実施例では「3」)を判定結果メモリ142i(図7参照)に記憶する。
次に、特別図柄メインジョブの概略の流れを、図8を参照して説明する。 まず、S500において、特別図柄表示装置16の液晶表示盤29(図2参照)上の表示領域で各特別図柄の変動表示を開始させる。
次いで、S510において判定結果メモリ142i(図7参照)から図6で得られた各入賞に対する判定結果を読み出す。具体的には、大当り(当たり、当選)判定(「1」)の場合は(S520:YES)、S600に進み、大当り番号を大当り番号メモリ142g(図7参照)から読み出し、リーチジョブ(S601)を経て、図柄確定ジョブ(S603)で各特別図柄を、例えば、左図柄、右図柄、中図柄の順序で、例えば全ての図柄を同一に液晶表示盤29の表示領域上に確定表示させる。
一方、外れリーチ判定(「2」)の場合は(S530:YES)、S590に進み、大当り番号(少なくとも揃えるべき2つの特別図柄、例えば、左図柄番号と右図柄番号)と、外れ中図柄番号とを各メモリ142c、142f(図7参照)から読み出し、リーチジョブ(S591)を経て、図柄確定ジョブ(S593)で各特別図柄を、例えば、左図柄、右図柄、中図柄の順序で、液晶表示盤29の表示領域上に左図柄及び右図柄は同一図柄に揃え、中図柄は他の図柄とは異なる図柄で確定表示させる。また、通常外れ判定(「3」)の場合は(S540)、S550に進み、外れ各図柄番号を外れ番号メモリ142d、142e、142f(図7参照)からそれぞれ読み出し、S560〜S580に進んで、各特別図柄を液晶表示盤29の表示領域上において、左図柄、右図柄及び中図柄の順で相互にずれたタイミングで停止させ確定表示させる。
次に、変動入賞装置(可変入賞装置)18の構成について詳細を説明する。図9に示すように、変動入賞装置18は、基板41に、大入賞装置30と、左入賞口42と右入賞口43とを備えている。大入賞装置30は、変動入賞装置18の略中央に形成され、帯状に開口された大入賞口44を開放・閉鎖するための開閉板39を有しており、開閉板39は、その下端側を枢軸として前後方向に作動可能とされている。図10に示すように、大入賞口44の左右両端側の奥底部にはそれぞれ、右入賞領域(特定領域)70と左入賞領域(特定領域外領域)71とが形成され、その各領域内部にはカウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54(図11参照)とカウント通過検知スイッチ53(図11参照)とが設けられている。
一方、大入賞口44の中央には、シーソー状に作動する水平板74等を有する振分装置75が配設されている。この振分装置75は、遊技球の入球により水平板74が自然に左右に傾動したり、又は、所定の振分装置傾動用ソレノイド76(図11参照)により周期的に傾動したりするものであり、上記領域70、71のうち、いずれか一方の領域へ入賞球を導くものである。
また、大入賞口44の内部の奥壁部には、例えば2桁の7セグメント表示器が中央と左右両端とに3個設けられており、正面右から順に右入賞領域入賞球数表示器(入賞球数表示手段)80、1ラウンド中の総入賞球数表示器81、左入賞領域入賞球数表示器(入賞球数表示手段)82とされている。左・右入賞領域入賞球数表示器82、80は、振分装置75により左右の各領域71、70に振り分けられた入賞球のカウント数(入賞球数)を、各検知スイッチ54、53による入賞球の検出があるごとに随時表示するものであり、中央の1ラウンド中の総入賞球数表示器81は、特別遊技進行中のラウンド(遊技ラウンド)の入賞球のカウント数を表示するものである。なお、特別遊技進行中のラウンド数(遊技ラウンドの順位)は、例えば特別図柄表示装置16(図2参照)の液晶表示盤29の表示領域に表示される。
本実施例の場合、特別遊技中の特定期間において、例えば遊技ラウンド数が9ラウンドの終了時において、右端側の特定領域70に入賞し、カウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54(図11参照)にて検出された入賞球のカウント数により、以後の遊技態様が異なるものとされている。例えば、図13に示す継続ラウンド数追加ジョブにおいて、まず、9ラウンド終了時点で(S700:YES)、特定領域70への入賞球数を確認する。特定領域70への入賞球数が50個を超えているときには(S710:YES)、通常のラウンド数(基本遊技:本実施例では10回継続)に6ラウンドが追加され、11ラウンド以降16ラウンドまで継続可能とされており(S720)、50個以下で40個を超えているときには(S730:YES)、通常のラウンド数(10回)に3ラウンドが追加され、11ラウンド以降13ラウンドまで継続可能とされている(S740)。ただし、40個以下のときには(S730:NO)、ラウンド数の追加は行われず、10ラウンドで特別遊技を終了させるものとなっている(S750)。
すなわち、本実施例のパチンコ機1は、特別遊技状態中において、入賞領域(例えば特定領域)の入賞球のカウント数に基づいて、基本遊技における遊技ラウンド数(10回)に、特別のラウンド数(0回又は3回又は6回)が追加されるものとなっている。なお、大入賞口44の1回の開放で(1遊技ラウンドで)、入球可能とする遊技球数を最大10個とし、かつ、その1回の開放時間を最高30秒としている。したがって、図13に示す継続ラウンド数追加ジョブにおける「特定領域70への入賞球数」は、カウント検知及び特定領域通過検知スイッチ54にて複数の遊技ラウンド(例えば1〜9ラウンド)に跨って検出される特定領域70への合計入賞球数を示している。また、1ラウンドにおいて、特定領域70に1個の入賞球のカウントもない場合、すなわち継続条件が成立しない場合には、そのラウンドで特別遊技を終了させるものとなっている。
このような継続ラウンド数追加ジョブは、本実施例では例えば9ラウンド終了時点で行われ、その継続ラウンド数追加ジョブの判定結果を10ラウンド時に例えば表示器80、81等に告知することも可能である。この場合、例えば、6ラウンド追加の判定結果の場合、表示器80、81の両者を「V」表示にし、3ラウンド追加の場合、片方のみを「V」表示する等の方法がある。
以下、振分装置75の傾動機構について詳しく説明する。例えば、図11(a)においては、傾動用ソレノイド76が励磁し、プランジャが上動して連結杆79を介して可動軸78が上方に引き上げられ、その結果、固定軸77を支点として、振分装置75の水平板74の右側が下方に傾斜した状態になり、右入賞領域(特定領域)70への入賞が優位な状態とされている。また、図11(b)は、傾動用ソレノイド76が消磁し、プランジャが下動して連結杆79を介して可動軸78が下方に引き下げられ、振分装置75の水平板74の左側が下方に傾斜した状態であって、左入賞領域(特定領域外領域)71への入賞が優位となっている。なお、符号90は入賞した遊技球を示している。この場合、振分装置75の傾動態様は、種々の遊技条件により変更することも可能で、例えば大当たり時の特別図柄の組み合わせの違いにより、上記右傾斜、左傾斜のいずれかの状態の継続時間を異なるものとすることや、特別遊技状態における特定の入賞口や入賞領域への入賞タイミングや入賞数等により上記継続時間を異なるものとすること等が可能である。
一方、図12は、振分装置75は固定軸77を支点として、遊技球の入球により水平板74が自然に左右に傾動する構成の一例である。図12(a)は、大入賞口44内に遊技球の入賞がない場合で、振分装置は平衡状態にあり、水平板74に傾斜が生じていない状態である。図12(b)は、例えば遊技球90が右側寄りに入賞した場合で、水平板74の右側が下方へ傾斜した状態であり、図12(c)は、例えば遊技球90が左側寄りに入賞した場合で、水平板74の左側が下方へ傾斜した状態である。この場合、振分装置75は自然に左右に傾動する構成であり、左・右入賞領域への入賞カウント数により決定される遊技態様は、偶然により決定されることが多くなるが、例えば、当該変動入賞装置18の上方に設けられる障害釘の配置により、左右いずれかへの入賞を優位にすることも可能である。
なお、変動入賞装置18について図14のように変形することも可能である。この変動入賞装置18aは、右入賞領域入賞球数表示器80a、1ラウンド中の総入賞球数表示器81a、左入賞領域入賞球数表示器82aが、当該変動入賞装置18aの基板41上に配設されたものである。右入賞領域入賞球数表示器80a、左入賞領域入賞球数表示器82aは大入賞装置30の左右にそれぞれ設けられ、総入賞球数表示器81aは大入賞装置30の下方に設けられており、上記と同様、表示器80a及び82aは、それぞれの入賞領域への入賞カウント数を、表示器81aは特別遊技進行中のラウンド(遊技ラウンド)の入賞球のカウント数等を表示するものである。
一方、上記追加遊技態様の変形例としては、追加遊技態様成立の条件が成立した後に所定の特別遊技ラウンド(ボーナスラウンド)を設けることができる。このボーナスラウンドにおいては、変動入賞装置18の大入賞口44への入賞に対する賞球払出数を、通常の遊技ラウンド(通常遊技ラウンド)における賞球払出数の例えば2倍多くすることができる。
また、上記追加遊技態様を成立させるための前記特定入賞領域70への入賞条件としては、例えば、特定入賞領域70への遊技球の入賞の内、特定順位の入賞球の入賞条件(入賞タイミング)に基づいて追加遊技態様を成立させることもできる。例えば、9回目の遊技ラウンドにおいて、特定領域70への入賞の内、最初の入賞について、上記追加遊技態様を成立させるための判定を行うことができる。図15に示すように、9ラウンドにおいて(S810:YES)、特定領域70への最初の入賞を検知した場合(S820:YES)、S830において、その入賞検知に基づき所定の追加遊技判定乱数を発生させ(プログラムを発生させても、所定の乱数発生回路を用いてもいずれでもよい)、その乱数値を読み込む。次に、S840でRAM142に予め記憶されている追加遊技当選番号を読み出し、S850にて上記判定乱数と当選番号とを比較する。両者が一致していれば(S850:YES)、追加遊技態様が許可され(S860)、不一致の場合は(S850:NO)、追加遊技態様が不許可となる(S870)。そして、追加遊技態様が許可された場合は、例えば、10ラウンド終了後に6ラウンドの追加等が行われる。
一方、追加遊技態様を成立させるための特定の入賞領域を、2つの入賞領域70、71から選択・変更されるものとすることもできる。例えば、2つの入賞領域70、71において、1回の遊技ラウンド毎に交互に特定入賞領域と非特定入賞領域とを変更することができる。すなわち、奇数番目の遊技ラウンドにおいては特定の入賞領域を右側の入賞領域70とし、偶数番目の遊技ラウンドにおいては特定の入賞領域を左側の入賞領域71として交互に変更することができる。あるいは2以上の複数回の遊技ラウンド毎に交互に変更させたりすることも可能である。なお、この特定入賞領域の選択・変更は、所定の入賞条件により発生させる特定入賞領域判定乱数に基づいて判定を行う特定入賞領域判定手段を定めて、前記複数の入賞領域から適宜選択されるものとすることも可能である。この場合、上記追加遊技態様成立の判定と同様に、例えば各ラウンドの特定領域(1ラウンド目は例えば右側の入賞領域70を特定領域とする)への最初の入賞に基づいて乱数を発生させ、その乱数値を予め記憶されている判定番号(右側用の番号と、左側用の番号とがある)と比較して、その次のラウンドにおける特定領域を決定することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にもおよび、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。また、本発明は、第一種パチンコ機以外にも、いわゆる権利物、羽根物、アレンジボールと呼ばれている機種、一般電役などの種々の弾球遊技機へも適用が可能である。