JP4698774B2 - 曲がりやすいケーブル束を製造する方法及びこのケーブル束用のケーブルの束 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、曲がりやすいケーブル束、特に車両用のケーブルハーネスを製造する方法及びこのケーブル束用のケーブルの束に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルハーネスとして公知の所定の樹木構造を有するケーブル束が、多数の電気ケーブルの束から形成されて、複数の構成部品,電力消費体及び構成群を電気接続するために使用される。この場合、これらの電気ケーブルは、平行に延在してケーブルの所定の起点で束ねられていて、特に巻きテープによって固定されているか又は絶縁チューブによって束ねられている。このケーブル束が梱包可能で容易に輸送可能でありそうでなくてはならず、さらに車両内の敷設と取付けに対して90°だけ曲げられ得るため、このケーブル束は、曲がりやすい必要があり、かつ巻くことが可能でなければならない。最近の車両内の電力消費体と制御機器の数量が増加すると共に、このようなケーブルハーネス内で接続すべきケーブルの本数も増加し、場合によってはその断面も大きくなる。それによって、このケーブルハーネスのたわみ性が低下する。このケーブル束がいっそう曲がらなくなる。
【0003】
ケーブルの損傷を防止するため、ケーブル束を完全に巻付けることが必要である。緩い完全な巻付け、すなわち、十分なたわみ性を保証するために、より小さい張力で巻付けることが手動によってのみ実現可能である。そして、巻線密度と巻線強度に関しては、個人差で異なる結果が出る。一方、巻線機では、ケーブル束が非常に強く巻かれるために曲がりにくくなる。
【0004】
このケーブル束を機械で巻いても曲がりやすく形成しうるため、巻付け前に1本のダミーケーブルを、例えば、より大きい直径の単線式線路の形態で又は付着しないように被覆した導線、特にテフロンで被覆した導線の形態でこのケーブル束内に挿入し、そして機械で巻いた後にこのダミーケーブルを再び引出す方法によって、動かないように均等に巻かれたそのケーブルの束を巻きながらほぐしてケーブル束のたわみ性を高めることが試みられた。この方法には欠点があることが分かった。一方では、このダミーケーブルが巻きテープに張り付いたり、又は、付着しないように被覆されたダミーケーブルでは、隣接するケーブルに密接しうる。そのため、後者の場合には、ケーブルの絶縁がこのダミーケーブルの引出し時に損なわれうる。他方では、このダミーケーブルの引出しが、長さの増大と共にいっそう難しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特許請求の範囲の請求項1の上位概念に記載の曲がりやすいケーブル束を製造する方法及び請求項7に記載のケーブル束用のケーブルの束を提供することにある。当該方法及びケーブルの束では、ケーブル束が、動かないように巻付けた後に十分なたわみ性を保持する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、長く延在した導線状の1本の本体5が、変化しうる断面を有し、この本体5の横断面を大きくすることによって、前記ケーブルの束の横断面が、当該巻き付け前に大きくされ、前記ケーブルの束の全てのケーブル1〜4と前記本体5とが、巻きテープ6で巻き付けることによって接し合って固定され、前記本体5の横断面を小さくすることによって、前記ケーブルの束の横断面が、当該巻き付け後に再び小さくなり、前記本体5が、前記ケーブルの束内に保持されたままになるように、前記複数のケーブル1〜4から成るケーブルの束を巻き付ける前に、前記本体5が、前記ケーブルの束1〜4内に挿入されること、及び、前記ケーブルの束は、長く延在した導線状の1本の本体5を有し、この本体5は、変化しうる断面を有し、この本体5の横断面を大きくすることによって、前記ケーブルの束の横断面が、当該巻き付け前に大きくされ得、前記ケーブルの束の全てのケーブル1〜4と前記本体5とが、巻きテープ6で巻き付けることによって接し合って固定可能であり、前記本体5の横断面を小さくすることによって、前記ケーブルの束の横断面が、当該巻き付け後に再び小さくすることが可能であり、前記本体5が、前記ケーブルの束内に保持されたままになるように、前記ケーブルの束を巻き付ける前に、前記本体5が、前記ケーブルの束内に挿入されていることによって解決される。
【0007】
これらの特徴にしたがって、束ねた状態で変化しうる断面を有し、複数のケーブルに対して平行に束内に長く延在して埋設される1本の導線状の本体が、巻付け前に−複数のケーブルのケーブル断面の総和である−巻付けによって固定すべきこれらのケーブルの束の一定の断面に挿入される。このケーブルの束の一定の断面が、この本体をこのケーブルの束内に挿入することによってこの本体の断面だけ大きくなる。引続き、このケーブルの束は、公知の方法で機械によって、例えば、巻きテープで動かないように巻付けられる。巻付けて曲がりにくくてほとんど曲がらないケーブル束を作った後に、この挿入された本体の断面が小さくなる。これによって、このケーブル束のたわみ性が高まる。この巻き工程は、このケーブル束の断面内で可変な長く延在している本体の巻付けに応じて中断され得る。その結果、断面が、例えば、中空チューブに穴をあけるか又は切り目を入れることによって工程的に確実に小さくなる。引続き、巻付けがさらに進行され得る。この本体の直径と、ひいてはこのケーブルの束の断面に対するこの本体の占める割合とが変化する。これによって、ケーブル束のたわみ性も変更可能でありかつ予め設定可能である。
【0008】
そのため、この本体は、弾性的な材料から形成でき、そして弾性的に伸びるように束内に挿入され得る。この本体は、巻付け後に緩められるか又は収縮される。
そのため、例えば、肉薄の合成樹脂から成るか又は肉薄のゴムから成る膨らまされた1本のチューブが適している。このチューブは、膨らまされた状態でケーブルの束内に挿入される。そして、充填ガス、例えば、空気が、巻付け後にこのケーブルの束から、特にこのケーブルの束の切れ目を通じて外へ出される。この切れ目を容易につけるためと工程的に確実に形成するため、このチューブは、ケーブル束の端部でこのケーブル束から突出し得るか又は1つの片側端部を有し得る。この開かれたチューブは、同時に緩められて収縮する。これによって、このケーブルの束の一定の断面が、強く巻付けられながら小さくなる。これによって、これらのケーブルの配置が互いに緩くなって、このケーブル束全体が曲がりやすくなる。この収縮されたチューブは、このケーブル束内に残される。ケーブル束からダミーケーブルを引出すときに発生しうるケーブルの絶縁の損傷が確実に回避され、場合によっては発生する張付きがもはや不都合に発生しない。
【0009】
膨張可能なチューブの代わりに、伸ばされて長く延在している熱可塑性の材料から成る1本の導線状の導管も束内に埋設され得る。次いで、この導管を収縮させてケーブルの配置を緩めてたわみ性を希望通りに高めるため、ケーブル束が巻付け後に短期間だけ加熱される。
【0010】
さらに、ケーブル束全体ではなくて、取付条件によって予め特定したこのケーブル束の曲がりやすく形成すべき領域内だけに1本の本体を挿入することも可能である。これによって、異なるたわみ性の複数の領域を有するケーブル束が製造され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】複数のケーブルの固定していない束を示す。
【図2】膨らまされて挿入された1本のチューブを有する束を示す。
【図3】巻きテープで巻付けられた束を示す。
【図4】完成した曲がりやすいケーブル束を示す。
【図5】一方の端部で曲げられた本発明のチューブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、巻線機の表面にある巻きテープ6で1本の曲がりやすいケーブル束に束ねるべき4本のケーブル1〜4を示す。この固定すべきケーブルの束の一定の断面が、これらの4本のケーブルの断面の総和である。空気で満たされた円形断面の細い1本のチューブ5が、巻付け前にこの固定していないケーブルの束に付加される(図2)。このチューブ5の断面は、これらのケーブルの一定の断面の約15%である。引続き、この固定していない束は、公知の方法で巻線装置に供給されて、巻きテープ6で動かないように巻付けられる。この場合、これらのケーブル1〜4は、このチューブ5の面に沿って押しつけられる。これによって、このチューブ5は変形し、その一部がケーブルローラ内で押しつぶされてそのローラの溝にしたがって圧縮される。この様子が、図3中に示されている。このチューブ5は、この巻付け後に不均一な断面形状7を有し、なおもこの一定の断面の約10%を占める。この場合、このケーブルローラ内で押しつぶされた領域が一緒に示されている。
【0013】
ケーブル1〜4は、接し合って押しつぶされている。そして、ケーブル束は、圧縮されたチューブ5によって巻付け部(6)方向に向かって弱く附勢されて堅くなっている。このときに、このチューブ5が穴を開けることによって開かれ、空気が漏れ、そして、ケーブルの束の一定の断面がこの巻付け部(6)の下側で小さくなる。その結果、このケーブル束が緩む。すると今度は、これらのケーブル1〜4は、圧力なしに接し合って並設され、かつ僅かな間隙を共有して有する(図4)。1本の曲がりやすいケーブル束が、このときに形成される。このケーブル束は非常に曲げやすい。したがって、このケーブル束は、梱包して容易に輸送可能であり、かつ容易に取付け可能でもある。
【0014】
図5中には、チューブ5の一部が示されている。このチューブ5は、重ね合わせられて縁で互いに溶着された2枚の(S)ポリエチレンの薄片から形成されている。端部領域8は、膨らんだ状態でその前面の溶着継目まで先細りになっている。この領域8は、出張りとしてケーブルの束から突出する。
【0015】
チューブ5による望ましくないうなり音(Knittergeraeuschen)を回避するため、このチューブ5は、カルシウム,ステアラート又はその他の薬剤から成る添加物を含有する。このことは、ケーブル束が乗り物の乗客の耳の近くの頭部領域内、例えば、中柱若しくは後部柱化粧面の上部又は天井と屋根との間に配置されているときに特に効果的である。
Claims (8)
- 複数のケーブル(1〜4)から成る曲がりやすいケーブルの束を製造する方法において、
長く延在した導線状の本体(5)が、変化しうる断面を有し、この本体(5)の横断面を大きくすることによって、前記ケーブルの束の横断面が、導線(1−4)からなる導線の束を巻き付け前に大きくされ、前記ケーブルの束の全てのケーブル(1〜4)と前記本体(5)とが、巻きテープ(6)で巻き付けることによって接し合って固定され、前記本体(5)の横断面を小さくすることによって、前記ケーブルの束の横断面が、導線(1−4)からなる導線の束を巻き付け後に再び小さくなり、前記本体(5)が、前記ケーブルの束内に残されるように、前記複数のケーブル(1〜4)から成るケーブルの束を巻き付ける前に、前記本体(5)が、前記ケーブルの束(1〜4)内に挿入され、かつ、前記本体(5)は、膨張可能な1本のチューブであり、このチューブは、膨らませた状態で前記ケーブルの束内に挿入され、充填ガスが、前記巻き付け後に前記本体(5)から外へ出されることを特徴とする方法。 - 前記本体(5)は、弾性の材料から成り、拡大された状態で前記ケーブルの束内に挿入されて、前記巻き付け後に緩められるか又は収縮されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記チューブ(5)は、肉薄の合成樹脂又は肉薄のゴムから成ることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 前記チューブ(5)は、端部領域(8)を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
- 前記本体(5)は、予め特定した前記ケーブル束の曲がりやすく形成すべき領域内だけに挿入されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 複数のケーブル(1〜4)を有する曲がりやすいケーブル束用のケーブルの束において、
前記ケーブルの束は、長く延在した導線状の1本の本体(5)を有し、この本体(5)は、変化しうる断面を有し、この本体(5)の横断面を大きくすることによって、前記ケーブルの束の横断面が、当該巻き付け前に大きくされ得、前記ケーブルの束の全てのケーブル(1〜4)と前記本体(5)とが、巻きテープ(6)で巻き付けることによって接し合って固定可能であり、前記本体(5)の横断面を小さくすることによって、前記ケーブルの束の横断面が、当該巻き付け後に再び小さくすることが可能であり、前記本体(5)が、前記ケーブル束内に残されるように、前記ケーブルの束を巻き付ける前に、前記本体(5)が、前記ケーブルの束内に挿入されていることを特徴とするケーブルの束。 - 前記本体(5)は、肉薄の合成樹脂又はゴムから成る膨らまされている1本のチューブであることを特徴とする請求項6に記載のケーブルの束。
- 前記チューブ(5)は、1つの端部領域(8)を有し、この端部領域(8)は、前記ケーブルの束から突出することを特徴とする請求項7に記載のケーブルの束。
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