JP4087579B2 - 光ファイバーケーブルの端末構造および光ファイバーケーブル端末部の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブル端から導出した複数本の光ファイバーコードの先端にコネクタをそれぞれ接続した光ファイバーケーブルの端末構造および光ファイバーケーブル端末部の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ファイバーケーブルを管路に敷設する場合には、コネクタを備えない端末側から管路に挿通している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、地下街配線工事やビル配線工事などの配線工事においては、配線事情によってコネクタを備えた端末側から管路に挿通したい場合もあるが、従来手段ではそれができず、配線工事の手順に制約を受けることがあった。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、光ファイバーケーブルをコネクタを備えた端末側から細い管路にも容易に挿通敷設することができる端末構造を提供することを主たる目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0006】
すなわち、請求項1に係る発明の光ファイバーケーブルの端末構造は、複数本の光ファイバーコードと、テンションメンバとを備え、ケーブル端から導出させた複数本の光ファイバーコードの先端にコネクタをそれぞれ接続してなる光ファイバーケーブルの端末構造であって、各光ファイバーコードのケーブル端からの導出長さをそれぞれ異ならせて、各コネクタをケーブル長手方向に互いに位置ずれ状態に配置するとともに、これら各光ファイバーコード群よりも前記テンションメンバを長く導出し、コード長手方向に沿って引き裂き紐を配備し、コネクタ付きの光ファイバーコード群とテンションメンバおよび引き裂き紐に、ケーブル長手方向に沿った多数の紐状素材を周方向に並べてなる緩衝材を巻付けるとともに、更に、熱収縮チューブで外囲して締め込み収束し、引き裂き紐の先端を熱収縮チューブの先端から導出し、熱収縮チューブの端部より導出したテンションメンバの先端に牽引部を形成してある、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明の光ファイバーケーブルの端末構造は、請求項1記載の光ファイバーケーブルの端末構造であって、各光ファイバーコードの端末をコネクタを含んで円筒状の収納筒に収納してある、ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明の光ファイバーケーブル端末部の製造方法は、複数本の光ファイバーコードと、テンションメンバとを備え、ケーブル端から導出させた複数本の光ファイバーコードの先端にコネクタをそれぞれ接続してなる光ファイバーケーブル端末部の製造方法であって、各光ファイバーコードのケーブル端からの導出長さをそれぞれ異ならせて、各コネクタをケーブル長手方向に互いに位置ずれ状態に配置するとともに、これら各光ファイバーコード群よりも前記テンションメンバを長く導出し、コード長手方向に沿って引き裂き紐を配備し、コネクタ付きの光ファイバーコード群とテンションメンバおよび引き裂き紐に、ケーブル長手方向に沿った多数の紐状素材を周方向に並べてなる緩衝材を巻付けるとともに、更に、熱収縮チューブで外囲して締め込み収束し、引き裂き紐の先端を熱収縮チューブの先端から導出し、熱収縮チューブの端部より導出したテンションメンバの先端に牽引部を形成する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明の光ファイバーケーブル端末部の製造方法は、請求項3記載の光ファイバーケーブル端末部の製造方法であって、各光ファイバーコードの端末をコネクタを含んで円筒状の収納筒に収納する、ことを特徴とする。
【0011】
〔作用〕
上記構成によると、次のように作用する。
【0012】
すなわち、請求項1または3に係る発明の構成によると、各光ファイバーコードの先端に接続されたコネクタ群はコード長手方向に互いに位置がずれているので、緩衝材を巻付けた状態ではコード径方向には余り嵩ばらず、しかも、熱収縮チューブでしっかりと締め込み収束されるので、コネクタが内部でずれ動くようなことなく小径の端末部が形成される。
【0015】
請求項1または3に係る発明の構成によると、光ファイバーケーブルを管路に挿通した後、挿通した端末部から光ファイバーコードおよびコネクタを露出させる場合、端末部から導出されている引き裂き紐をコード長手方向に引き操作することで、光ファイバーコード群を覆っている緩衝材や熱収縮チューブなどをカッタなどの工具を用いることなく切り開くことができる。
【0016】
請求項1または3に係る発明の構成によると、緩衝材がケーブル長手方向に沿った紐状素材群で形成されているので、引き裂き紐のケーブル長手方向への引き裂き抵抗になることはない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の態様を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に、端末処理を施す前の光ファイバーケーブルの一端部が、また、図2〜図8に、端末処理行程が、そして、図9に、端末処理された光ファイバーケーブルの一端部がそれぞれ示されている。
【0019】
図1に示すように、この光ファイバーケーブル1の本体は、複数本(この例の場合6本)の光ファイバーコード2を鋼線あるいは鋼撚線からなるテンションメンバ3の周囲に配置して、これらを樹脂シース4で被覆したものであり、各光ファイバーコード2はケーブル端から導出されてそれぞれの先端にコネクタ5が接続されている。
【0020】
ここで、各光ファイバーコード2のケーブル端からの導出長さはそれぞれ異なっており、各コネクタ5がケーブル長手方向に互いに重ならないよう位置ずれしている。また、テンションメンバ3は、これら光ファイバーコード2群よりも更に長く導出されている。
【0021】
以上のように設定準備した光ファイバーケーブル1の端末処理行程を図2〜図9に基づいて以下に説明する。
【0022】
まず、図2(a)に示すように、円筒状の収納筒(以下、スパイラルと称す)16を複数用意する。スパイラル16は、各光ファイバーコード2の端末をコネクタ5ごと個別に収納可能な大きさ(主として軸方向長さ)を有するとともに螺旋状に分離溝が形成されている。
【0023】
用意したこれらのスパイラル16を各光ファイバーコード2の端末(コネクタ5を含む)に巻きつけることで、各光ファイバコード2の端末(コネクタ5を含む)をスパイラル16内に収納する。そして、この状態で、図2(b)に示すように、各スパイラル16を光ファイバコード2の端末ごと粘着テープ6でテンションメンバ3に貼り付けて束ねる。
【0024】
次に、図3に示すように、アラミド不織布などの強靭な材料からなる引き裂き紐7を光ファイバーコード2群に沿って配置するとともに、その一端をケーブル本体部分に粘着テープ8で貼り付け固定する。その後、光ファイバーコード2群に、柔軟な緩衝材9を巻付ける。
【0025】
この例の緩衝材9は、ポリプロピレンなどの柔軟な樹脂材からなる多数の紐状素材9aの一端をテープ9bに貼付けて暖簾状に構成したものであり、図4に示すように、紐状素材9aがケーブル長手方向に沿うように光ファイバーコード2群にしっかり巻付けられて、適所で粘着テープ10で固定される。
【0026】
次に、同じく図4に示すように、ポリエチレンテレフタートなどの樹脂材からなり熱により収縮や変色等の変形が生じる材料からなる押え巻きテープ11が緩衝材9の上から巻き付けられ、その上から図5に示すように、透明な熱収縮チューブ12が套嵌される。
【0027】
次に、図6に示すように、熱収縮チューブ12がケーブル本体側から先端側に向けて加熱され、押え巻きテープ11および緩衝材9ごと光ファイバーコード2群が細く締め込み収束されて、図7に示す端末部Aが形成される。
【0028】
このとき、押え巻きテープ11が熱により変形する材料で構成されているために、熱収縮チューブ12を加熱収縮させるために加える熱でコネクタ5や光ファイバコード2に破損が生じようとしても、その破損発生より時間的に前に、押え巻きテープ11が先に変形(収縮や変色等)することになる。そのため、押え巻きテープ11の変形を確認する(熱収縮チューブ12が透明のため可能となる)ことで、加熱による光ファイバコード2やコネクタ5の損傷を未然に防止することができる。
【0029】
次に図8に示すように、締め込み収束された端末部Aの先端と基端には、段差なく滑らかに連続するようにテープ13が巻き付けられるとともに、大きく導出されたテンションメンバ3の先端側部分は被覆が剥がされてテンション線材3aが露出されて屈曲され、その屈曲部に金属リング14が装着される。
【0030】
そして、図9に示すように、最後に金属リング14がつぶし変形されて、テンションメンバ3先端部にループ状の牽引部15が形成される。
【0031】
以上で、コネクタ付きの光ファイバーケーブル1の端末処理が完了し、図9に示すように、複数のコネクタ5を縦列状にして巻き込み保護した端末部Aを備えた光ファイバーケーブル1を得ることができ、予め管路に挿通した牽引索にテンションメンバ3の先端牽引部15を連結して牽引索を管路の他端側から引き抜くことで、コネクタ付きの光ファイバーケーブル1をコネクタ側の端部から管路に挿通敷設することができるのである。
【0032】
そして、ケーブル挿通の後、端末部Aの引き裂き紐7をケーブル長手方向に引き操作することで、緩衝材9、押え巻きテープ11、および、熱収縮チューブ12を切り開いて、光ファイバーコード2群およびコネクタ5群を露出させることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば以下に示すような効果が期待できる。
【0037】
請求項1または3に係る発明によれば、光ファイバーケーブルのコネクタ装着側の端末を嵩低く小径にまとめて保護することができ、細い管路にも光ファイバーバーケーブルをコネクタ側から挿入して敷設することが容易となり、コネクタの存在によって配線工事の手順に制約を受けるようなことなく、任意に敷設することが可能となった。
【0040】
請求項1または3に係る発明によれば、引き裂き紐を組み込んで端末部を構成することで、管路に挿通した後の端末部の切り開きにカッターなどの工具が不要となり、切り開き行程で誤ってコードを損傷することがなく、実用上の利便性に優れたものとなる。
【0041】
請求項1または3に係る発明によれば、引き裂き紐による緩衝材の切り開き抵抗がなく、取扱い性および作業性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】端末処理する前の光ファイバーケーブルにおける一端部の斜視図である。
【図2】端末処理行程を示す斜視図である。
【図3】端末処理行程を示す斜視図である。
【図4】端末処理行程を示す斜視図である。
【図5】端末処理行程を示す斜視図である。
【図6】端末処理行程を示す斜視図である。
【図7】端末処理行程を示す斜視図である。
【図8】端末処理行程を示す斜視図である。
【図9】端末処理を施した光ファイバーケーブルにおける一端部を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 光ファイバーケーブル
2 光ファイバーコード
3 テンシヨンメンバ
4 樹脂シース
5 コネクタ
6 粘着テープ
7 引き裂き紐
8 粘着テープ
9 緩衝材
9a 紐状素材
9b テープ
10 粘着テープ
11 押え巻きテープ
12 熱収縮チューブ
13 テープ
14 金属リング
15 牽引部
16 スパイラル
A 端末部
Claims (4)
- 複数本の光ファイバーコードと、テンションメンバとを備え、ケーブル端から導出させた複数本の光ファイバーコードの先端にコネクタをそれぞれ接続してなる光ファイバーケーブルの端末構造であって、
各光ファイバーコードのケーブル端からの導出長さをそれぞれ異ならせて、各コネクタをケーブル長手方向に互いに位置ずれ状態に配置するとともに、これら各光ファイバーコード群よりも前記テンションメンバを長く導出し、
コード長手方向に沿って引き裂き紐を配備し、
コネクタ付きの光ファイバーコード群とテンションメンバおよび引き裂き紐に、ケーブル長手方向に沿った多数の紐状素材を周方向に並べてなる緩衝材を巻付けるとともに、更に、熱収縮チューブで外囲して締め込み収束し、
引き裂き紐の先端を熱収縮チューブの先端から導出し、熱収縮チューブの端部より導出したテンションメンバの先端に牽引部を形成してある、ことを特徴とする光ファイバーケーブルの端末構造。 - 請求項1記載の光ファイバーケーブルの端末構造であって、
各光ファイバーコードの端末をコネクタを含んで円筒状の収納筒に収納してある、ことを特徴とする光ファイバーケーブルの端末構造。 - 複数本の光ファイバーコードと、テンションメンバとを備え、ケーブル端から導出させた複数本の光ファイバーコードの先端にコネクタをそれぞれ接続してなる光ファイバーケーブル端末部の製造方法であって、
各光ファイバーコードのケーブル端からの導出長さをそれぞれ異ならせて、各コネクタをケーブル長手方向に互いに位置ずれ状態に配置するとともに、これら各光ファイバーコード群よりも前記テンションメンバを長く導出し、
コード長手方向に沿って引き裂き紐を配備し、
コネクタ付きの光ファイバーコード群とテンションメンバおよび引き裂き紐に、ケーブル長手方向に沿った多数の紐状素材を周方向に並べてなる緩衝材を巻付けるとともに、更に、熱収縮チューブで外囲して締め込み収束し、
引き裂き紐の先端を熱収縮チューブの先端から導出し、熱収縮チューブの端部より導出したテンションメンバの先端に牽引部を形成する、ことを特徴とする光ファイバーケーブル端末部の製造方法。 - 請求項3記載の光ファイバーケーブル端末部の製造方法であって、
各光ファイバーコードの端末をコネクタを含んで円筒状の収納筒に収納する、ことを特徴とする光ファイバーケーブル端末部の製造方法。
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