JP4697547B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Description
そして、カムシャフト200の内部には、軸方向に貫通するカム側進角油路720およびカム側遅角油路730が形成されている。カム側進角油路720は、スプロケット110に形成された溝形状の油路111と連通し、この油路111は進角室と連通する。一方、カム側遅角油路730は、ベーンロータ140内部に形成された貫通する穴形状の油路141と連通し、この油路141は遅角室と連通する。
なお、この問題に対し、単純に、遅角経路の油路141および進角経路の油路111の両方を、貫通する穴形状でベーンロータ140に形成するだけでは、ベーンロータ140が軸方向に厚くなってしまい、前述した大型化を十分に抑制するには至らない。
そのため、進角経路の油路111をハウジング180に形成する図8記載の従来構造に比べて、ベーンロータの軸方向への大型化を最小限に抑えつつ、ハウジングを軸方向に小型化できる。よって、バルブタイミング調整装置の軸方向への小型化を図ることができる。
これによれば、カム側進角油路またはカム側遅角油路から分岐させて潤滑油路を構成するので、カム側進角油路およびカム側遅角油路とは別に専用の潤滑油路を有する場合に比べて、カムシャフト内部の油路構造を簡素にできる。
すると、カム側進角油路およびカム側遅角油路のうち、穴形状に形成された一方の油路と連通する油路から潤滑油路を分岐させた場合(図4(a)および図5参照)には、上述の如く潤滑油路と他方の油路とは連通するため、一方の油路と他方の油路とが前記クリアランスおよび潤滑油路を介して連通することとなる。よって、進角室および遅角室の油圧を制御するにあたり、その精度が悪くなり、ベーンロータの相対回転位置を精度良く制御することが困難となる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るバルブタイミング調整装置1を車両の内燃機関の排気弁に適用した例を図1〜図3に示す。先ず、バルブタイミング調整装置1の断面図である図1、および図1のII−II断面図である図2をバルブタイミング調整装置1の概略構造を説明する。なお、図2では部材の断面を示すハッチングを省略している。
シューハウジング12は、その内周壁のうち回転方向にほぼ等間隔となる位置から径方向内側に突出する仕切部としてのシュー12a、12b、12c、12dを有している。シュー12a〜12dの突出端面は、図2の紙面垂直方向から見て円弧状であり、ベーンロータ14のボス部14aの外周壁面に摺接する。各シュー12a〜12dの凹部にはシール部材15が嵌合している。また、回転方向において隣り合うシュー12a〜12dの間にはそれぞれ収容室50が形成される。各収容室50は、対応するシュー側面とシューハウジング12の内周壁面とで囲まれており、図2の紙面垂直方向から見て扇状である。
なお、カムシャフト2に対するベーンロータ14の回転方向の位置決めは、カムシャフト2およびベーンロータ14に位置決めピン29を嵌合することにより成される。
なお、ロータ側進角油路61〜64は、特許請求の範囲に記載の「一方の油路」に相当し、ロータ側遅角油路65〜68は、特許請求の範囲に記載の「他方の油路」に相当する。
ロータ側進角油路61〜64は、図2に示すように軸方向から見てカム側進角油路71、72の位置から進角室51〜54に向けて延びる形状であり、ドリル等を用いた穴あけ加工により形成される。ロータ側進角油路61、62はロータ側合流油路61aから分岐し、ロータ側進角油路63、64はロータ側合流油路63aから分岐する。
また、ロータ側合流油路61a、63aは、ベーンロータ14の内部にて軸方向に延びる形状であり、ドリル等を用いた穴あけ加工により形成される。
また、ベーンロータ14は焼結により形成されており、ロータ側遅角油路65〜68は、前記焼結する際の金型により型出しされて形成される。
なお、図5は、カムシャフト2およびベーンロータ14を示す斜視図であり、図5中の符号P1に示す斜線ハッチング部分は、カムシャフト2の外周面2bのうち上記摺動クリアランスCLを形成する部分を示している。
なお、図5中の符号P2に示す網点ハッチング部分は、カムシャフト2の外周面2bのうち上記嵌合部14と嵌合する部分を示している。
前述したスプロケット11の壁面11aとの間には、摺動のための摺動クリアランスCLが形成されている。
因みに、溝形状に形成されたロータ側遅角油路65〜68は、面接触部分14fおよび嵌合部14gに亘って形成されている。
このとき、遅角室55〜58の作動油は、ロータ側遅角油路65〜68、カム側遅角油路73、74、および環状溝2eを順に流通した後、図示しないオイルパンに排出される。
このとき、進角室51〜54の作動油は、ロータ側進角油路61〜64、ロータ側合流油路61a、63a、カム側進角油路71、72、および環状溝2dを順に流通した後、図示しないオイルパンに排出される。
一方、内燃機関が停止すると油圧ポンプも停止するため、進角室51〜54の油圧および遅角室55〜58のいずれへも作動油が供給されなくなる。すると、ねじりコイルばね22の復原力によってベーンロータ14が最進角位置まで相対回転し、ストッパピストン26が嵌合リング27に嵌合する。
そのため、進角経路の油路111をスプロケット110に形成する図8記載の従来構造に比べて、ベーンロータ14の軸方向(図1の左右方向)への大型化を最小限に抑えつつ、ハウジング18を構成するスプロケット11を軸方向に小型化できる。よって、バルブタイミング調整装置1の軸方向への小型化を図ることができる。
また、両油路61〜64、65〜68のうちロータ側遅角油路65〜68は溝形状に形成されているので、ロータ側遅角油路65〜68を型出しで形成できる。よって、両油路61〜64、65〜68を穴形状に形成した場合に比べて、ドリル加工を半分にできるので、加工コストを低減できる。
次に、本発明の第2実施形態に係るバルブタイミング調整装置3を以下に説明する。
なお、図6は、本第2実施形態に係るバルブタイミング調整装置3のカムシャフト2およびベーンロータ14を示す斜視図であり、図7は、バルブタイミング調整装置3の全体を示す断面図である。
上述の各実施形態では、溝形状に形成された油路をロータ側遅角油路65〜68とし、穴形状に形成された油路をロータ側進角油路61〜64としているが、溝形状に形成された油路をロータ側進角油路61〜64とし、穴形状に形成された油路をロータ側遅角油路65〜68としてもよい。
なお、この場合には、カム側進角油路71、72およびカム側遅角油路73、74のうち溝形状に形成されたロータ側進角油路61〜64と連通する油路、つまりカム側進角油路71、72から潤滑油路2gを分岐させれば、ロータ側遅角油路65〜68とロータ側進角油路61〜64とが連通してしまうことを回避でき、図4(b)および図6に示すバルブタイミング調整装置3と同様の効果が発揮される。
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用可能である。
Claims (2)
- 内燃機関の駆動軸から吸気弁および排気弁の少なくとも一方を開閉駆動するカムシャフトへ駆動力を伝達する駆動力伝達系に設置され、前記吸気弁および前記排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
前記駆動軸と連動して回転するハウジングと、
前記カムシャフトと結合して回転し、前記ハウジングとの間に進角室および遅角室を形成し、前記進角室および前記遅角室の作動油圧により前記ハウジングに対して相対回転駆動されるベーンロータと、
を備え、
前記ベーンロータは、前記カムシャフトに形成されたカム側進角油路と前記進角室とを連通させるロータ側進角油路と、前記カムシャフトに形成されたカム側遅角油路と前記遅角室とを連通させるロータ側遅角油路とを有し、
前記ロータ側進角油路および前記ロータ側遅角油路のうち一方の油路は、前記ベーンロータの内部を貫通する穴形状に形成され、
前記ロータ側進角油路および前記ロータ側遅角油路のうち他方の油路は、前記ベーンロータのうち前記カムシャフトの軸方向端面と面接触する部分に位置するとともに、前記軸方向端面に向けて開口する溝形状に形成されており、
前記カムシャフトの外周面は、前記相対回転にともない前記ハウジングの内周面と摺動するとともに前記内周面により径方向に支持されており、
前記カムシャフトは、前記外周面と前記内周面との摺動クリアランスに潤滑油を供給する潤滑油路を有し、
前記潤滑油路は、前記カム側進角油路および前記カム側遅角油路のうち、溝形状に形成された前記他方の油路と連通する油路から分岐すること
を特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記ベーンロータは焼結により形成されており、
溝形状に形成された前記他方の油路は、前記焼結する際の金型により形成されている請求項1記載のバルブタイミング調整装置。
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