JP4695437B2 - 中空柱を備えた建物 - Google Patents

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Description

本発明は、居住者の生活様式に合わせて様々な機能を付与可能な中空柱を備えた建物に関する。
従来より、建物躯体から外部に突出した1階屋根または小屋根の軒先側を、地面に設けられたベースコンクリートの上に起設したポーチ柱により支持してポーチを構成するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1)。
そして、前記ポーチ柱を、一面側が開放された凹部空間を有する断面コ字状パネルにより形成し、該ポーチ柱を基礎上に立ててから、そのポーチ柱の内部空間にポーチ屋根からの排水のための排水管を配管していた。
特開平09−088179号公報
ところで、前記ポーチ柱は一面側が開放された凹部空間を有する構造となっているので、該凹部空間を排水管の配管のためだけでなく、例えば、収納としての利用を始め、外部用流しの設置や、居住者が車椅子生活となった場合の上階への昇降リフトの設置等、居住者の生活様式に合わせて様々な機能を付与したいという要望があった。そして、このような要望を取り入れることにより前記凹部空間を有効利用でき、延いては、建物の居住性を格段に向上させ得るような技術の開発が望まれていた。
ところが、上述のようにポーチ柱は、玄関のポーチに設けられるものであるため、例えば、靴や傘、清掃用具等、玄関に収納するのに相応しい物品が収納される。さらに、前記ポーチ柱(以下、中空柱)は、玄関のポーチのように目立つ場所に起設されているため、居住者の生活様式に合わせて様々な機能を付与するにしても、外観性やプライバシーの面から好ましくなかった。
本発明の課題は、外観性およびプライバシーに配慮するとともに、居住者の生活様式に合わせて有効利用が可能な中空柱を備えた建物を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、例えば図1に示すように、中空柱1を備えた建物Aであって、バルコニー2の自重を支えるとともに一面側が開放されて凹部空間1aを有する断面コ字状の中空柱1が、建物躯体との間に所定の間隔をあけて、かつ、前記バルコニー2の先端に沿って複数立設されており、
前記建物躯体の壁A1と、前記中空柱1の開放された一面とが対向して設けられており、
前記中空柱1の外側および凹部空間1aにはサイディング材が取り付けられていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、複数の中空柱1の凹部空間1aをそれぞれ収納スペースとして利用することができる。また、従来の玄関付近での設置に比して、より目立ち難いバルコニー2の下方に前記複数の中空柱1を立設することができるので、外観性およびプライバシーの面で優れ、好ましい。
さらに、前記複数の中空柱1が、建物躯体との間に所定の間隔をあけて、かつ、前記バルコニー2の先端に沿って立設されているので、所定の広さの空間を前記バルコニー2の下方に形成することが可能となり、該空間に対して居住者の生活様式に合わせた様々な機能を付与して有効利用することができる。
そして、以上のことから、前記中空柱1およびその付近の空間に、居住者の生活様式に合わせた様々な機能を容易に付与することができるので、居住性が格段に向上して住み心地が良い。
また、前記建物躯体の壁A1と、前記中空柱1の開放された一面とが対向して設けられているので、隣接地等の視線から前記中空柱1の内部を遮蔽することができる。したがって、前記中空柱1付近の外観性を向上することができるとともにプライバシーを保護することが可能となる。
その上、前記建物躯体の壁A1と、前記中空柱1の開放された一面との間に、所定の広さの空間を形成することができるので、該空間に対して居住者の生活様式に合わせた様々な機能を付与して有効利用することが可能となる。
請求項に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項に記載の中空柱1を備えた建物Aにおいて、
前記中空柱1と前記建物躯体との間に壁5が設けられていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、前記中空柱1と前記建物躯体との間に壁5が設けられているので、前記中空柱1の凹部空間1aに収納スペースを形成することができるとともに、前記凹部空間1aの内部の状況を隣接地等の視線から遮ることが可能となる。したがって、前記中空柱1付近の外観性を向上することができるとともにプライバシーを保護することができ、しかも、前記凹部空間1aを収納スペースとして有効利用することが可能となる。
請求項に記載の発明は、例えば図3(a)、(b)に示すように、請求項1または2に記載の中空柱1を備えた建物Aにおいて、
前記中空柱1の開放された一面に、該開放された一面を覆う蓋板3a、3bが設けられていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、前記蓋板3a、3bによって前記中空柱1の開放された一面を覆うので、前記中空柱1の凹部空間1aの遮蔽が可能となる。すなわち、前記凹部空間1aを収納スペースとして用いた場合や、前記凹部空間1aを排水管の配管のために用いた場合等、この凹部空間1aの内部を隠すことができるので、外観性を向上することができるとともにプライバシーを保護することができる。
請求項に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項1〜のいずれか一項に記載の中空柱1を備えた建物Aにおいて、
前記バルコニーの下方に床部2aが設けられており、この床部2aの床面が、建物A内に設けられた部屋A3、A4、A5の床面とほぼ面一となっており、前記建物Aの外壁に開口部A2が前記床部2a側に面して設けられていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、前記床部2a側に面する開口部A2が設けられた部屋A3、A4、A5を建物A内に設けることによって、前記床部2aを通って部屋A3、A4、A5どうし間を行き来することができるので、物品の搬出入をするにも使い勝手が良く、しかも、前記床部2aが生活における一つの動線ともなるので居住性が格段に向上する。また、前記床部2aの床面と部屋A3、A4、A5の床面とがほぼ面一となっていることによって、前記床部2aを通って部屋A3、A4、A5どうし間を行き来する際の段差が無くなり、建物Aのバリアフリー化を図ることが可能となる。
本発明によれば、従来の玄関付近に比して、より目立ち難いバルコニーの下方に前記複数の中空柱を立設することができるとともに、建物躯体の壁と、前記中空柱の開放された一面とが対向して設けられているので、隣接地等の視線から前記中空柱の内部を遮蔽することができ、外観性およびプライバシーの面で優れる。
また、一面側が開放された複数の中空柱の凹部空間をそれぞれ収納スペースとして利用することができる。
さらに、前記複数の中空柱が、建物躯体との間に所定の間隔をあけて、かつ、前記バルコニーの先端に沿って立設されているので、所定の広さの空間を前記バルコニーの下方に形成することが可能となり、該空間に対して居住者の生活様式に合わせた様々な機能を付与して有効利用することができる。
以上のことから、前記中空柱およびその付近の空間に、居住者の生活様式に合わせた様々な機能を容易に付与することができるので、居住性が格段に向上して住み心地が良い。
以下、図面を参照して本発明に係る中空柱1を備えた建物Aの実施の形態について説明する。
本実施の形態の中空柱1を備えた建物Aは、図1に示すように、バルコニー2の自重を支えるとともに一面側が開放されて凹部空間1aを有する断面コ字状の中空柱1が、建物躯体との間に所定の間隔をあけて、かつ、前記バルコニー2の先端に沿って複数立設されて構成されている。
前記建物Aは、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
前記中空柱1は、一面側が開放されて凹部空間1aを有し、断面コ字状に形成されている。また、図示はしないが、前記中空柱1の表面には、前記建物躯体の壁A1と同様にサイディング材が施されており、見映えが良く好ましい。さらに、前記中空柱1の凹部空間1aには、雨水等に対する防水シートやサイディング材が取り付けられている。
このような中空柱1は、建物躯体との間に所定の間隔をあけて、かつ、前記バルコニー2の先端に沿って複数立設されているとともに、前記建物躯体の壁A1と、前記中空柱1の開放された一面とが対向して設けられている。
すなわち、隣接地等の視線から前記中空柱1の内部を遮蔽することができるので、前記中空柱1付近の外観性を向上することができるとともにプライバシーを保護することが可能となる。その上、前記建物躯体の壁A1と、前記中空柱1の開放された一面との間に、所定の広さの空間を形成することができるので、該空間に対して居住者の生活様式に合わせた様々な機能を付与して有効利用することが可能となっている。
一方、図3(a)に示すように、前記中空柱1の開放された一面に、該開放された一面を覆う蓋板3aが設けられており、前記凹部空間1aを収納スペースとして用いた場合や、前記凹部空間1aを排水管の配管のために用いた場合等、この凹部空間1aの内部を隠すことができるので、外観性を向上することができるとともにプライバシーを保護することができるようになっている。
また、図3(b)に示すように、前記中空柱1の開放された一面に、該開放された一面の下半分を覆う蓋板3bを取り付けても良い。この時、上半分には収納棚4を取り付けることにより、前記凹部空間1aを有効利用することができるようになっている。
なお、図示はしないが、前記開放された一面を覆う蓋板3a、3bに、蝶番や閉鎖錠等を取り付けて閉鎖可能に構成し、扉として構成することも可能である。
前記バルコニー2は、前記建物Aの上階部分において室外に張り出すようにして設けられており、下方に前記複数の中空柱1が立設されて支持されている。
また、前記バルコニーの下方に床部2aが設けられており、この床部2aの床面が、建物A内に設けられた部屋A3、A4、A5の床面とほぼ面一となっており、前記建物Aの外壁に開口部A2が前記床部2a側に面して設けられている。このような床部2aを設けることによって、前記床部2aを通って部屋A3、A4、A5どうし間を行き来することができるので、物品の搬出入をするにも使い勝手が良く、しかも、前記床部2aが生活における一つの動線ともなるので居住性が格段に向上する。また、前記床部2aの床面と部屋A3、A4、A5の床面とがほぼ面一となっていることによって、前記床部2aを通って部屋A3、A4、A5どうし間を行き来する際の段差が無くなり、建物Aのバリアフリー化を図ることが可能となる。
以上のような中空柱1を備えた建物Aは、上述のように、前記凹部空間1aを収納スペースとして利用するとともに、前記建物躯体の壁A1と、前記中空柱1の開放された一面との間に、所定の広さの空間を形成することによって、居住者の生活様式に合わせた様々な機能を付与して有効利用するようにしている。
以下、図面を参照して、居住者の生活様式に合わせた様々な機能を付与した中空柱1およびその付近の利用方法を詳細に説明する。
すなわち、図2に示すように、前記床部2aの中央位置に立設された中空柱1と前記建物躯体との間に、前記床部2aを左右に二分するようにして壁5を設け、該壁5に対して棚板5aを取り付けることで、前記中空柱1と建物躯体の間を収納スペースとして有効利用することができるようになっている。これによって、前記凹部空間1aの内部の状況を隣接地等の視線から遮ることが可能となり、前記中空柱1付近の外観性を向上することができるとともにプライバシーを保護することができる。
また、建物Aのコーナー位置に立設された中空柱1の一方の端部と建物躯体との間に壁6aを設け、さらに、前記中空柱1の凹部空間1aには、外部用流し6を設置している。このように外部用流し6を設けることで、庭仕事や庭でのバーベキューの際などに便利である。
さらに、他の例として、図4に示すように、建物Aのコーナー位置に立設された中空柱1に動物用スペース7を設けている。また、図示はしないが、この動物用スペース7を壁や屋根等で囲むことで、動物用の小屋を形成することも可能となるので、新たに動物用の小屋を作成したり、小屋を置くための場所を確保したりする必要がない。
一方、前記床部2aの中央位置に立設された中空柱1と、建物躯体に隣接する中空柱1との間の所定の高さ位置に物干し竿8を設け、洗濯物を干すことができるようにしている。また、前記建物躯体に隣接する中空柱1の凹部空間1aには収納棚8aが取り付けられて、洗濯用の道具を収納できるようになっている。
次に、図5に示すように、建物Aのコーナー位置に立設された中空柱1には、上階への昇降リフト9を設置している。すなわち、居住者が高齢になった時や車椅子生活となった時、階段を自力で登ることができない場合に、前記昇降リフト9が設けられるようになっている。また、前記各中空柱1に、前記床部2aと平行に手摺9aを取り付けており、歩行の補助やリハビリ等にも使用できるようになっている。
なお、図示はしないが、前記床部2aと建物A内の各部屋A3、A4、A5とを行き来するための開口部A2付近の床をスロープ等で形成することによって、建物Aのバリアフリー化を図ることができるので好ましい。
一方、図6に示すように、前記各中空柱1間に、窓等の開口部を備えた壁10を設けることによって、前記バルコニー2の下方を建物A内部の土間11として構成することができるようになっている。すなわち、このような土間11は、建物A内部の各部屋A3、A4、A5を結び付ける廊下空間であるとともに、作業空間としても利用できるようになっている。
なお、このように前記中空柱1を建物A内部の要素として立設しても、建物A外部と同様に、居住者の生活様式に合わせた様々な機能を付与して有効利用することができるので、居住性が格段に向上して住み心地が良いことは言うまでもない。
以上のような中空柱1およびその付近の利用方法によれば、居住者の生活様式に合わせた様々な機能を付与して有効利用することができるので、居住性が格段に向上して住み心地の良い建物Aを得ることが可能となる。なお、以上に挙げた利用方法だけに限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本実施の形態によれば、従来の玄関付近に比して、より目立ち難いバルコニー2の下方に前記複数の中空柱1を立設することができるとともに、建物躯体の壁A1と、前記中空柱1の開放された一面とが対向して設けられているので、隣接地等の視線から前記中空柱1の内部を遮蔽することができ、外観性およびプライバシーの面で優れる。
また、一面側が開放された複数の中空柱1の凹部空間1aをそれぞれ収納スペースとして利用することができる。
さらに、前記複数の中空柱1が、建物躯体との間に所定の間隔をあけて、かつ、前記バルコニー2の先端に沿って立設されているので、所定の広さの空間を前記バルコニー2の下方に形成することが可能となり、該空間に対して居住者の生活様式に合わせた様々な機能を付与して有効利用することができる。
そして、以上のことから、前記中空柱1およびその付近の空間に、居住者の生活様式に合わせた様々な機能を容易に付与することができるので、居住性が格段に向上して住み心地が良い。
中空柱を備えた建物の1階部分を示す平面図である。 中空柱の使用例を示す部分拡大図である。 中空柱を示し、(a)は開放面を蓋板によって覆ったことを示す斜視図であり、(b)は開放面の下半分を蓋板によって覆ったことを示す斜視図である。 中空柱の他の使用例を示す部分拡大図である。 中空柱の他の使用例を示す部分拡大図である。 中空柱の他の使用例を示す部分拡大図である。
符号の説明
A 建物
1 中空柱
1a 凹部空間
2 バルコニー
2a 床部

Claims (4)

  1. バルコニーの自重を支えるとともに一面側が開放されて凹部空間を有する断面コ字状の中空柱が、建物躯体との間に所定の間隔をあけて、かつ、前記バルコニーの先端に沿って複数立設されており、
    前記建物躯体の壁と、前記中空柱の開放された一面とが対向して設けられており、
    前記中空柱の外側および凹部空間にはサイディング材が取り付けられていることを特徴とする中空柱を備えた建物。
  2. 請求項に記載の中空柱を備えた建物において、
    前記中空柱と前記建物躯体との間に壁が設けられていることを特徴とする中空柱を備えた建物。
  3. 請求項1または2に記載の中空柱を備えた建物において、
    前記中空柱の開放された一面に、該開放された一面を覆う蓋板が設けられていることを特徴とする中空柱を備えた建物。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の中空柱を備えた建物において、
    前記バルコニーの下方に床部が設けられており、この床部の床面が、建物内に設けられた部屋の床面とほぼ面一となっており、前記建物の外壁に開口部が前記床部側に面して設けられていることを特徴とする中空柱を備えた建物。
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