JP4694961B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体、より詳しくは、アルモファスシリコン感光体に関する。
近年、静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタなどの電子写真プロセスによる画像形成装置には、電子写真感光体として、感光層にアモルファスシリコン(以下、「a−Si」と表記する場合がある。)を用いたアモルファスシリコン感光体が用いられつつある。
このa−Si感光体は、高い電荷輸送能を有しており、長波長光に対する優れた感度を示し、しかも、表面硬度が高く、感光層の耐摩耗性が高いことから、有機感光体に比べて長期にわたる使用が可能であり、また、高速での画像形成に対応可能といった利点を有している。
また、このa−Si感光体においては、光感度などの電気特性や、画像濃度、解像度、コントラストなどの画像特性の向上、これら電気特性、画像特性の長期にわたる安定性の向上、さらには、耐磨耗性、耐刷性、耐環境性などの向上を図る上で、a−Siからなる感光層の表面を被覆する表面保護層が大きな役割を果たしている。
かかる表面保護層を備えたa−Si感光体として、特許文献1には、導電性基体上に、光導電性層と、アモルファスシリコンカーバイト(以下、「a−SiC」と表記する場合がある。)からなる表面層と、が順次積層され、上記表面層のa−SiCの元素比率をa−Si1-xx:Hと表したときに、上記xが0.95以上、1.00未満であることを特徴とする電子写真感光体が記載されている。
また、特許文献2には、導電性気体上に、Siを母体とし、水素および/またはハロゲンを含む非単結晶材料の光導電層と、水素および/またはハロゲンとSiとを含み、Cを母体とする非単結晶材料の表面層と、が積層され、上記表面層の擬フェルミレベルが4.76〜4.92eVである像担持体(電子写真感光体)が記載されている。
特開平9−204056号公報 特開2002−296821号公報
しかるに、a−Si感光体は、光照射領域と暗領域を同時に帯電した場合に、暗領域に比べ、光照射領域における帯電能の低下が顕著に現れるため、電位ムラが大きくなり、露光による光メモリ(一度露光された部分を再帯電した場合に、元の設定電位よりも低くなる現象)が発生し易いという問題がある。
また、このため、a−Si感光体を用いて画像形成処理を繰り返した場合に、露光光源からの出力が蓄積することによる光メモリの影響により、ゴーストと称される画像ノイズ(先に画像形成処理がされたときの形成画像が、新たな形成画像中に残像として現れる現象)が生じ易く、画像品質が低下し易いという不具合がある。
また、とりわけ高湿環境下においては、a−Si感光体の表面に付着される吸着水の増加と、それに伴う電気抵抗の低下が生じ易く、上述の不具合がより一層顕著に現れる。
そこで、本発明の目的は、ゴーストの発生が抑制され、高品質の画像を形成することのできるアモルファスシリコン感光体を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、
(1) 導電性基板と、前記導電性基板の表面に形成されているアモルファスシリコンからなる感光層と、前記感光層の前記導電性基板との境界面の反対側表面に形成されているアモルファスシリコンカーバイトからなる表面保護層とを備え、前記表面保護層のアモルファスシリコンカーバイトは、水素含有量が、25atomic%以上、かつ40atomic%以下であるとき、前記感光層との境界面の反対側表面近傍における、ケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)が、モル比で0.5:99.5〜8:92、前記水素含有量が、25atomic%未満であるとき、前記感光層との境界面の反対側表面近傍における、ケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)が、モル比で0.5:99.5〜20:80であり、前記表面保護層は、前記感光層との境界面の反対側表面におけるイオン化ポテンシャルが、前記感光層のイオン化ポテンシャルよりも1.70eV以上大きいことを特徴とする、電子写真感光体、
(2) 前記表面保護層のアモルファスシリコンカーバイトは、前記感光層との境界面から前記表面保護層の厚み方向に300nm以下の領域において、ケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)が、モル比で99.5:0.5〜99.9:0.01であることを特徴とする、前記(1)に記載の電子写真感光体、
(3) 前記表面保護層の厚みが、0.5〜1.5μmであることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の電子写真感光体、
(4) 前記感光層、および表面保護層は、直流放電CVD法により形成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子写真感光体
を提供するものである。
本発明によれば、ゴーストの発生が抑制された高品位の画像を形成でき、しかも、磨耗や傷の発生に対して優れた耐久性を示す電子写真感光体を提供することができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性基板と、上記導電性基板の表面に形成されているアモルファスシリコンからなる感光層と、上記感光層の前記導電性基板との境界面の反対側表面に形成されているアモルファスシリコンカーバイトからなる表面保護層とを備え、上記表面保護層のアモルファスシリコンカーバイトは、
水素含有量が、25atomic%以上、かつ40atomic%以下であるとき、前記感光層との境界面の反対側表面近傍における、ケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)が、モル比で0.5:99.5〜8:92、
前記水素含有量が、25atomic%未満であるとき、前記感光層との境界面の反対側表面近傍における、ケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)が、モル比で0.5:99.5〜20:80であり、
上記表面保護層は、上記感光層との境界面の反対側表面におけるイオン化ポテンシャルが、上記感光層のイオン化ポテンシャルよりも1.70eV以上大きいことを特徴としている。
導電性基体としては、導電性を有する種々の材料が挙げられる。導電性基体は、基体自体が導電性を有するか、または、基体の表面が導電性を有するものであればよい。その具体例としては、例えば、アルミニウム(Al)、ステンレス(SUS)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、真鍮などの金属またはそれらの合金、例えば、プラスチック材料またはガラスに、上記金属からなる蒸着膜が形成されたもの、例えば、プラスチック材料またはガラスに、ITO(インジウム−スズ酸化物)、SnO2、ヨウ化アルミニウムなどの導電性材料が蒸着またはラミネートされたもの、例えば、カーボンブラックなどの導電性微粒子が分散された樹脂基体などが挙げられる。なかでも、Alまたはその合金材料は、低コスト化と軽量化とを実現でき、しかも、感光層がa−Siからなる場合に、感光層との密着性が高くなって信頼性が向上するという利点がある。
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状などのいずれであってもよい。
感光層を形成するアモルファスシリコンとしては、例えば、a−Siのみからなるものや、例えば、ケイ素(Si)と、後述する他の元素と混合物が成膜されたものが挙げられる。
これら感光層は、例えば、グロー放電分解法(より詳細には、例えば、低周波CVD法、高周波CVD法、マイクロ波CVD法などの交流放電CVD法や、直流放電CVD法など。)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、触媒CVD法、反応性蒸着法などの、種々の薄膜堆積法により形成(成膜)することができる。なかでも、製造条件の制御が比較的容易なグロー放電分解法が好適である。
また、具体的な成膜方法としては、例えば、グロー放電分解法を採用する場合には、原料ガスとして、Si供給用のSi含有ガス(例えば、シランガス(SiH4)、ジシラン(Si26)など。)とを用い、または、必要に応じて、Si含有ガスと、水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、ハロゲン(以下、「X」と略記することがある。)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)などの元素(以下、「他の元素」という。)を含有する他のガス(例えば、メタンガス(CH4)、エタンガス(C26)、プロパンガス(C38)、水素ガス、ジボランガス(B26)、酸化窒素ガス(NO)など。)との混合ガスを用い、上記原料ガス雰囲気および減圧下で、導電性基板に対しグロー放電をかければよい。
なお、正帯電型の電子写真感光体を作製する場合には、原料ガス中に、上記他のガスのうち、B含有ガスなどを混合することが好ましく、負帯電型の電子写真感光体を作製する場合には、原料ガス中に、上記他のガスのうち、P含有ガスなどを混合することが好ましい。
感光層のa−Siに対する、C、N、O、X、B、Al、Ga、In、Tl、P、As、Sb、Biなどの他元素の含有割合は、常法に従って調整することができ、具体的には、例えば、原料ガスについて、Si含有ガスに対する上記他のガスの含有比率、成膜時のガス圧力、原料ガスの水素ガスによる希釈率、放電電力、成膜時の基板温度などを適宜調整すればよい。
上記感光層のイオン化ポテンシャル(Ip−2)は、好ましくは、1.5〜2.5eVであり、より好ましくは、1.7〜2.1eVである。上記感光層について、そのイオン化ポテンシャル(Ip−2)が2.8eV以上であるときは、感光層中でのa−Siの含有割合が低くすぎる(上記他の元素の含有割合が高くなりすぎる)傾向があり、後述する表面保護層との間で、イオン化ポテンシャルの差を十分にとることができなくなるおそれがある。一方、感光層について、そのイオン化ポテンシャル(Ip−2)を1.0eV以下とすることは、困難である。
上記感光層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、10〜40μmであり、より好ましくは、15〜30μmである。感光層の厚みが10μmを下回ると、帯電部材への通過電流量が増大して、劣化し易くなる傾向がある。一方、感光層の厚みが40μmを上回ると、a−Siの異常成長部位が大きくなり、感光体の表面を摺擦する帯電部材に対してダメージを及ぼし易くなる傾向がある。
また、上記感光層を形成(成膜)する際の導電性基体の温度は、原料ガスの組成などの感光層の設計に従って適宜設定されるが、通常、好ましくは、200〜350℃であり、より好ましくは、230〜330℃である。
表面保護層は、自由表面を有する層であって、主として、電子写真感光体使用時の摩耗や傷の防止や、電子写真感光体に接触して用いられる帯電部材の長寿命化、帯電能力の安定化などを目的として設けられる。
表面保護層を形成するアモルファスシリコンカーバイトとしては、SiとCとを含有する混合物を成膜したものであって、その水素含有量が40atomic%以下に限定される。なお上記混合物には、N、Oなどの上記他の元素が、単独でまたは2種以上含有されていてもよい。
なお、表面保護層を形成するa−SiCの水素含有量が40atomic%を上回ると、感光体表面への吸着水が増えて、電気抵抗が低下することから、画像不良の発生を招き易くなるという不具合がある。
表面保護層は、例えば、グロー放電分解法(より詳細には、例えば、低周波CVD法、高周波CVD法、マイクロ波CVD法などの交流放電CVD法や、直流放電CVD法など。)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、触媒CVD法、反応性蒸着法などの、種々の薄膜堆積法により形成(成膜)することができる。なかでも、製造条件の制御が比較的容易なグロー放電分解法が好適であり、また、感光層の形成(成膜)方法と同じ方法を採用することが好ましい。
また、具体的な成膜方法としては、例えば、グロー放電分解法を採用する場合には、原料ガスとして、Si供給用のSi含有ガス(例えば、シランガス(SiH4)、ジシラン(Si26)など。)と、C供給用のC含有ガス(例えば、メタンガス(CH4)、エタンガス(C26)、プロパンガス(C38)など。)との混合ガスを用い、または、必要に応じて、Si含有ガスおよびC含有ガスの混合ガスに、さらに、H、N、O、X、B、Al、Ga、In、Tl、P、As、Sb、Biなどの他の元素を含有する他のガスを混合したものを用い、上記原料ガス雰囲気および減圧下で、導電性基板に対しグロー放電をかければよい。
表面保護層のa−SiCにおけるCの含有割合や、a−SiCに対する、N、O、X、B、Al、Ga、In、Tl、P、As、Sb、Biなどの他元素の含有割合は、常法に従って調整することができ、具体的には、例えば、原料ガスについて、Si含有ガスに対する上記他のガスの含有比率、成膜時のガス圧力、原料ガスの水素ガスによる希釈率、放電電力、基板温度などを適宜の範囲に調整すればよい。
特に、表面保護層のa−SiCについて、その水素含有量を40atomic%以下とするためには、原料ガスの水素ガスによる希釈率や、成膜時の基板温度などを、適宜の範囲に設定する必要がある。具体的に、a−SiCの水素含有量を低く設定するためには、成膜時の基板温度を低く設定すればよく、他の条件(例えば、原料ガスの水素ガスによる希釈率など。)により変動することから、これに限定されないものの、例えば、a−SiCの水素含有量を40atomic%以下とするには、成膜時の基板温度を180〜260℃とすることが好ましく、200〜400℃とすることがより好ましい。
上記表面保護層のイオン化ポテンシャル(Ip−1)は、表面保護層と上記感光層との境界面の反対側表面において、好ましくは、3.5〜6.5eVであり、より好ましくは、4.5〜6.0eVである。
また、上記表面保護層の、上記境界面の反対側表面におけるイオン化ポテンシャル(Ip−1)と、感光層のイオン化ポテンシャル(Ip−2)との差ΔIp[(Ip−1)−(Ip−2)]は、1.70eV以上、好ましくは、2.0eV以上、より好ましくは、2.5〜5.0eVである。
上記表面保護層について、上記境界面の反対側表面におけるイオン化ポテンシャル(Ip−1)が3.5eVを下回るときは、感光層のイオン化ポテンシャル(Ip−2)との差ΔIpを、1.70eV以上とすることが困難になり、ゴーストの発生が抑制された高品位の画像を形成するという、本発明の所期の目的を達成できなくなるおそれがある。一方、表面保護層について、上記境界面の反対側表面におけるイオン化ポテンシャル(Ip−1)が6.5eVを上回るときは、表面保護層を形成するa−SiC中での上記他の元素の含有割合が高くなりすぎて、表面保護層の硬度が低下し、電子写真感光体の耐磨耗性が低下するおそれがある。
上記表面保護層の、上記境界面の反対側表面におけるイオン化ポテンシャル(Ip−1)と、感光層のイオン化ポテンシャル(Ip−2)との差ΔIpが、1.70eVを下回ると、ゴーストの発生が抑制された高品位の画像を形成するという、本発明の所期の目的を達成できなくなる。一方、上記差ΔIpの上限は、特に限定されないが、通常、5.0eVを超えると、感光層から表面保護層への電荷の移動が困難になり、帯電性や感度が低下するおそれがある。
上記表面保護層の、表面保護層と上記感光層との境界面の反対側表面近傍における、ケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)は、
・表面保護層の水素含有量が25atomic%以上、40atomic%以下であるときに、モル比で、0.1:99.9〜15:85、好ましくは、0.1:99.9〜10:90、より好ましくは、0.5:99.5〜8:92であり、また、
・表面保護層の水素含有量が25atomic%未満であるときに、モル比で、0.1:99.9〜22:78、好ましくは、0.5:99.5〜20:80である。
上記表面保護層について、上記境界面の反対側表面近傍におけるケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)が上記範囲を外れて、Siの含有割合が上記範囲を上回るときには、ゴーストの発生が抑制された高品位の画像を形成するという、本発明の所期の目的を達成できなくな。また、感光層のイオン化ポテンシャル(Ip−2)との差ΔIpを、1.70eV以上とすることが困難にな
一方、表面保護層について、上記境界面の反対側表面近傍におけるケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)が上記範囲を外れて、Siの含有割合が上記範囲を下回るときには、表面保護層を形成するa−SiC中での上記他の元素の含有割合が高くなりすぎて、表面保護層の硬度が低下し、電子写真感光体の耐磨耗性が低下す
また、本発明においては、表面保護層のうち、感光層との境界面近傍において、炭素の含有割合が感光層に向かって漸次減少するように設定してもよい。これにより表面保護層と感光層との密着性を向上させ、上記境界面での光の反射による干渉の影響を低減させることができる。
具体的には、表面保護層のa−SiCは、感光層との境界面から表面保護層の厚み方向に300nm以下の領域において、ケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)が、モル比で99.5:0.5〜99.9:0.01であることが好ましい。
また、表面保護層について、感光層との境界面近傍と上記境界面の反対側表面近傍とでのケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)を異ならせるためには、例えば、感光層の成膜後、同じ反応容器内にて、引き続き表面保護層の成膜を行うなどして、表面保護層における元素の組成が、表面保護層形成用の原料ガスにおける元素の組成と一致するまでに所定の時間を要するに設定する方法や、表面保護層形成用の原料ガスにおける元素の組成を数種類設定し、表面保護層の形成(成膜)を数段階に分けて実行する方法が挙げられる。
上記表面保護層の厚みは、好ましくは、0.5〜1.5μmであり、より好ましくは、0.7〜1.3μmである。表面保護層の厚みが0.5μmを下回ると、例えば、表面保護層について、感光層との境界面近傍と上記境界面の反対側表面近傍とでのケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)を異ならせることが困難になる傾向がある。一方、表面保護層の厚みが1.5μmを上回ると、電子写真感光体の感度が低下する傾向がある。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
<電子写真感光体の製造>
作製例1
導電性基板としてのアルミニウム基板上に、グロー放電分解法(直流放電CVD法)によって、ホウ素(B)がドープされたa−Siからなる感光層と、a−SiCからなる表面保護層とを成膜して、正帯電型の電子写真感光体を得た。
感光層の成膜に際し、原料ガスには、Si含有ガスとしてのSiH4を用い、他の元素としてBをドープした。また、表面保護層の成膜に際し、原料ガスには、Si含有ガスとしてのシランガス(SiH4)と、C含有ガスとしてのメタンガス(CH4)と、H含有ガスとしての水素ガス(H2)と、の混合ガス(SiとCとの元素含有比30:70(モル比))を用いた。
また、感光層成膜時には、基板温度を280℃とし、表面保護層成膜時には、基板温度を280℃とし、原料ガスの水素ガスによる希釈率を10%とした。
上記電子写真感光体において、導電性基体を除いた総膜厚(感光層と表面保護層との厚みの合計)は、20±5μmであって、表面保護層の膜厚は、1±0.5μmであった。なお、感光層および表面保護層の厚みは、アルゴン(Ar)イオンビームにて断面を鏡面加工する研磨機(日本電子(株)製のクロスセクションポリッシャ、CP)を用いて、感光層および表面保護層の断面を形成した後、電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM、日本電子(株)製)を用いて、上記断面を観察することにより測定した。
また、表面保護層の、感光層との境界面の反対側表面近傍におけるSiとCとの元素含有比率(Si:C)は、原料ガスにおける元素含有比率(Si:C)と同じであった。
上記表面保護層の、表面保護層と上記感光層との境界面の反対側表面におけるイオンポテンシャル(Ip−1)は、2.84eVであった。なお、Ip−1は、大気圧下光電子分析装置(理研計器(株)製のAC−1)を用いて測定した。
一方、上記感光層のイオンポテンシャル(Ip−2)は、1.98eVであって、Ip−1とIp−2との差ΔIP[(Ip−1)−(Ip−2)]は、0.86eVであった。なお、Ip−2は、表面保護層の成膜後、ラッピングテープを用いて研磨することにより、表面保護層を全て除去した後に、大気圧下光電子分析装置(理研計器(株)製のAC−1)を用いて測定した。
また、上記表面保護層のa−SiCの水素含有量は、45atomic%であった。なお、水素含有量は、表面保護層の表面に対して、パルス高周波数グロー放電によって特定の試料をスパッタリングし、スパッタされた試料中の原子について、Arプラズマ内における発光を分析することにより、測定した。
作製例2
表面保護層成膜時において、原料ガスの水素ガスによる希釈率を0%としたこと以外は、作製例1と同様にして、正帯電型の電子写真感光体を得た。
作製例3および4
表面保護層成膜時の基板温度を220℃とし、原料ガスの水素ガスによる希釈率を、作製例3で10%、作製例4で0%としたこと以外は、作製例1と同様にして、正帯電型の電子写真感光体を得た。
作製例5および7
表面保護層成膜時の原料ガスとして、SiとCとの元素含有比が20:80(モル比)であること以外は、作製例1で使用したものと同様のものを使用した。
また、表面保護層成膜時の基板温度を280℃とし、原料ガスの水素ガスによる希釈率を、作製例5で10%、作製例7で0%としたこと以外は、作製例1と同様にして、正帯電型の電子写真感光体を得た。
作製例6および8
表面保護層成膜時の基板温度を220℃とし、原料ガスの水素ガスによる希釈率を、作製例6で10%、作製例8で0%としたこと以外は、作製例1と同様にして、正帯電型の電子写真感光体を得た。
作製例9および10
表面保護層成膜時の原料ガスとして、SiとCとの元素含有比が10:90(モル比)であること以外は、作製例1で使用したものと同様のものを使用した。
また、表面保護層成膜時の基板温度を280℃とし、原料ガスの水素ガスによる希釈率を、作製例9で10%、作製例10で0%としたこと以外は、作製例1と同様にして、正帯電型の電子写真感光体を得た。
作製例11および12
表面保護層成膜時の基板温度を220℃とし、原料ガスの水素ガスによる希釈率を、作製例11で10%、作製例12で0%としたこと以外は、作製例1と同様にして、正帯電型の電子写真感光体を得た。
作製例13および14
表面保護層成膜時の原料ガスとして、SiとCとの元素含有比が1:99(モル比)であること以外は、作製例1で使用したものと同様のものを使用した。
また、表面保護層成膜時の基板温度を280℃とし、原料ガスの水素ガスによる希釈率を、作製例13で10%、作製例14で0%としたこと以外は、作製例1と同様にして、正帯電型の電子写真感光体を得た。
作製例15および16
表面保護層成膜時の基板温度を220℃とし、原料ガスの水素ガスによる希釈率を、作製例15で10%、作製例16で0%としたこと以外は、作製例1と同様にして、正帯電型の電子写真感光体を得た。
<電子写真感光体の性能評価>
上記作製例で得られた電子写真感光体について、それぞれ、画像形成装置(京セラミタ(株)製のKM−2550)に装着して、23℃/50%RHの環境下において、黒画像後のハーフトーン画像で画像形成処理を行い、画像形成処理の初期時における形成画像の評価(ゴースト発生の有無)を行った。
また、30℃/80%RHの環境(高温高湿)下および15℃/10%RHの環境(低温低湿)下において、20000枚の画像形成処理後(耐刷後)における形成画像の評価(ゴースト発生の有無)を行った。
形成画像の評価は、ゴーストが全く観察されなかった場合を良好(○)、観察されたものの、実用上支障が生じない程度のわずかであった場合を可(△)、ゴーストが顕著に観察され、実用上不適切であった場合を不良(×)として、3段階で評価した。
以上の結果を、表面保護層成膜時の原料ガスにおける元素含有比率(Si:C)および基板温度(℃)、表面保護層の水素含有量(at.%;atomic%)およびイオン化ポテンシャル(Ip−1、eV)とともに、表1に示す。
Figure 0004694961
表1に示す結果より、表面保護層のa−SiCの水素含有量が40atomic%以下であり、しかも、(i)表面保護層の、感光層との境界面の反対側表面におけるイオン化ポテンシャル(Ip−1)が、感光層のイオン化ポテンシャル(Ip−2)よりも1.70eV以上大きい作製例(作製例10〜12および14〜16)については、いずれも、画像形成処理の初期時においてゴーストが全く観察されず、耐刷後においても、ゴーストが全く観察されないか、観察されたものの、実用上支障を生じないほどにわずかであった。
一方、表面保護層のa−SiCの水素含有量が40atomic%を上回った作製例(作製例1、5、9および13)については、特に、高温高湿環境下での耐刷試験後において、ゴーストが顕著に観察された。
また、a−SiCの水素含有量が40atomic%以下であったものの、イオン化ポテンシャルの差ΔIpが、1.70eVを下回った作製例(作製例2〜4、6、7)についても、特に、高温高湿環境下での耐刷試験後において、ゴーストが顕著に観察された。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。

Claims (4)

  1. 導電性基板と、前記導電性基板の表面に形成されているアモルファスシリコンからなる感光層と、前記感光層の前記導電性基板との境界面の反対側表面に形成されているアモルファスシリコンカーバイトからなる表面保護層とを備え、
    前記表面保護層のアモルファスシリコンカーバイトは、
    水素含有量が、25atomic%以上、かつ40atomic%以下であるとき、前記感光層との境界面の反対側表面近傍における、ケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)が、モル比で0.5:99.5〜8:92、
    前記水素含有量が、25atomic%未満であるとき、前記感光層との境界面の反対側表面近傍における、ケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)が、モル比で0.5:99.5〜20:80であり、
    前記表面保護層は、前記感光層との境界面の反対側表面におけるイオン化ポテンシャルが、前記感光層のイオン化ポテンシャルよりも1.70eV以上大きいことを特徴とする、電子写真感光体。
  2. 前記表面保護層のアモルファスシリコンカーバイトは、前記感光層との境界面から前記表面保護層の厚み方向に300nm以下の領域において、ケイ素と炭素との元素含有比率(Si:C)が、モル比で99.5:0.5〜99.9:0.01であることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記表面保護層の厚みが、0.5〜1.5μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記感光層、および表面保護層は、直流放電CVD法により形成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
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