JP4693294B2 - 建具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上げ下げ窓や引き違い窓や片引き窓等の障子がスライドして開閉される建具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、上げ下げ窓や引き違い窓等の建具では、室内側障子の召合せ内框にクレセント錠が固定され、クレセント錠の受け部材が室外側障子の召合せ外框に固定されるのが一般的である。この種のものでは、室内側障子の開閉時に、クレセント錠のスプーンが不用意に回動された場合、このスプーンが、例えば室外側障子の召合せ外框に衝突して、クレセント錠が破損する等の問題がある。
【0003】
これを解消するため、従来、クレセントの回動阻止装置が提案されている(例えば、実公昭64−2920号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のクレセントの回動阻止装置は、クレセントの他に、このクレセントの軸部に嵌合する回動阻止機構が必要になり、余分な部品点数が増し、構造が複雑であると共に、クレセントが室内側障子の召合せ内框の外側に突出して、室内側から見た場合の美観を損ねるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、簡単な構造で、しかも室内側から見た場合の美観が向上し、高級感が得られるクレセント錠を備えた建具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、4方枠内に室内側障子と室外側障子とを備え、前記室内側障子の召合せ内框にクレセント錠を備え、このクレセント錠がケース内にトリガとこのトリガの往復動作に応じて回動するキーとこのキーの回動によって拘束解除された場合に回動可能なスプーンとを一体に有し、前記ケースの表面に前記スプーンを回動して前記クレセント錠を施解錠する操作部を設けるとともに、当該ケースの裏面に前記トリガ、前記キー及び前記スプーンを当該裏面に沿った略同一面内に配置し、前記ケースが前記召合せ内框の表面部に前記操作部を臨ませて当該召合せ内框の内側に固定されていることを特徴とするものである。
【0007】
この発明では、クレセント錠がケース内にトリガとこのトリガによって拘束解除された場合に動作可能なスプーンとを一体に有したため、構造が簡素化されると共に、ケースが召合せ内框の表面部に操作部を臨ませて当該召合せ内框の内側に固定されているため、召合せ内框の外側に余分なものが突出せず、室内側から見た場合の美観が向上して、高級感が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基いて詳述する。
【0009】
図1は上げ下げ窓の縦断面図を示し、図2は同じく横断面図を示している。この上げ下げ窓はアルミニウム押し出し形材製のサッシであり、躯体開口部に固定された4方枠からなる枠体1を有し、この枠体1の略上半部に固定された固定障子3と、この枠体1に上げ下げ自在に取り付けられた室内側障子5と、枠体1の略下半部に固定された網戸7とを備えて構成されている。
【0010】
枠体1は上枠11と下枠12と左右縦枠13,14とを四方枠組して構成されている。上枠11と下枠12と左右縦枠13,14は共に、室内部材11A〜14Aと室外部材11B〜14Bとを断熱用ブリッジ11C〜14Cで連結し、室内外を熱的に遮断可能に構成されている。
【0011】
固定障子3は、上枠11の室外部材11Bと、枠体1の中程に設けられたアルミニウム製の下桟16と、左右縦枠13,14の室外部材13B,14Bとの間にガラス19を支持して構成されている。そして、室外部材11Bと、下桟16と、室外部材13B,14Bとの各室内側には、これらを覆う木製或いは樹脂製の室内側部材15A〜15Dが取り付けられている。
【0012】
室内側障子5は、上桟25と下桟26と左右縦框27,28とガラス29とを備え、上桟25と下桟26と左右縦框27,28は共に、アルミニウム製の室外側部材25A〜28Aと、この室外側部材25A〜28Aの室内側にビス31で固定され、室外側部材25A〜28Aの室内側を覆う木製或いは樹脂製の室内側部材25B〜28Bとを備えて複合的に構成されている。
【0013】
本実施形態では、図3に示すように、室内側障子5の上桟(召合せ内框)25にクレセント錠41が固定され、このクレセント錠41のクレセント受け51が固定障子3の下桟(召合せ框)16に固定されている。なお、42Dは、クレセント錠41を受けるクレセント錠スぺーサである。
【0014】
クレセント錠41は、図4に示すように、クレセント錠本体42と樹脂製のクレセント錠カバー43とを備えて構成される。
【0015】
クレセント錠本体42は、上桟25を構成するアルミニウム製の室外側部材25Aに形成された切り欠き部44に収納され、クレセント錠本体42の操作部42Aを室内側部材25B(25B−1)の表面部に露出させて、室外側部材25Aの室外側側壁45に一対の取り付けねじ46を用いて固定されている。そして、クレセント錠本体42の上にクレセント錠カバー43が配置され、このクレセント錠カバー43の胴部43Aに当接させて、室外側部材25Aの室内側に木製或いは樹脂製の室内側部材25Bが取り付けられる。
【0016】
この場合、クレセント錠本体42の操作部42Aは、クレセント錠カバー43の開口部43Bを通じて上方に延出する。
【0017】
図4では、室内側部材25Bが、室外側部材25Aの上面を覆う上面室内側部材25B−1と、室外側部材25Aの室内側側面を覆う側面室内側部材25B−2とで構成され、これら各部材25B−1、25B−2の端面が、クレセント錠カバー43の四辺胴部43Aに当接する。上面室内側部材25B−1の下面には長溝25Cが形成され、この長溝25Cには、室外側部材25Aの上面に形成されたフィン47が嵌合される。
【0018】
一方、クレセント受け51は、図5に示すように、固定障子3の下桟(召合せ框)16に対して固定されている。
【0019】
すなわち、クレセント受け51はアルミニウム製の下桟16に形成されたフィン16Aに一対の取り付け用ねじ53を用いて固定される。そして、フィン16Aの室内側を覆うように、クレセント受け51を避けるための切り欠き54を有した、木製或いは樹脂製の室内側部材15Bが、フィン16Aに対して、複数のねじ55を用いて固定されている。
【0020】
この構成では、室内側障子5の上桟25の内、アルミニウム製の室外側部材25Aの上面にクレセント錠41が固定され、このクレセント錠41のクレセント受け51が、アルミニウム製の下桟16に固定されるため、クレセント錠41或いは受け51の固定強度が不足することはない。
【0021】
従って、クレセント41或いは受け51に大きな荷重がかかっても、その荷重が室内側部材25B,15Bに直接作用することがなく、室内側部材25B,15Bの破損等が防止される。
【0022】
図6A、図6Bは、クレセント錠本体42の構造を示す。
【0023】
クレセント錠本体42は、板金製のケース71を有し、このケース71の内側には、トリガ73とこのトリガ73によって拘束解除された場合に動作可能なスプーン75とを一体に備えて構成されている。トリガ73は、その先端73Aがケース71の開口71Aから突出し、後端73Bがコイルスプリング76で押されてその全体73が先端73A側に付勢されている。このトリガ73の中程には窪み部73Cが形成され、この窪み部73Cにはキー77の一端77が係合している。このキー77は、ばね74を介して時計方向に付勢されている。このキー77はピン78を介して回動自在にケース71に連結され、このキー77の他端77Bはスプーン75の係止部75Aに連結される。このスプーン75はピン82を介してケース71に連結されている。
【0024】
このスプーン75は略U字状の溝75Bを備え、この略U字状の溝75Bには操作ピン83が嵌合し、この操作ピン83はクレセント錠本体42の操作部42Aの下面に固定されている。
【0025】
上記構成では、トリガ73、キー77、スプーン75の各々は、略同一面内で、往復動或いは回動する構成であるため、ケース71の厚さを薄くすることができ、小型、コンパクト化が図れる。
【0026】
クレセント錠本体42の操作部42Aは、室内側障子5の上桟25を構成する上面室内側部材25B−1を貫通して上方に延出するため、上面室内側部材25B−1の側から、この操作部42Aを矢印X方向にスライドさせることにより、このクレセント錠41が施解錠される。
【0027】
この場合、クレセント錠カバー43の開口部43Bの縁には傾斜が形成されており、操作部42Aとの間に指が入る程度の隙間が与えられるため、操作部42Aを掴まなくても、指先で簡単に動かすことができ、施解錠の操作性を向上させることができる。
【0028】
図6では、コイルスプリング76で押されることにより、トリガ73が、先端73A側に付勢されているため、キー77が図示の位置に回動し、キー77の他端77Bがスプーン75の係止部75Aに連結される。
【0029】
キー77の他端77Bがスプーン75の係止部75Aに連結された状態では、スプーン75を、図6Bでピン82回りに反時計方向に回動させることができないため、クレセント錠本体42の操作部42A(操作ピン83)は、X方向に操作することができない。すなわち、ケース71内のスプーン75の動作はトリガ73によって拘束されている。
【0030】
これに対し、図7A、図7Bに示すように、トリガ73が、矢印Y方向に押し込まれた場合、キー77が、ばね74のバネ力に抗して反時計方向(図示の位置)に回動し、キー77の他端77Bとスプーン75の係止部75Aとの連結が解除される。この状態になった場合、スプーン75が、トリガ73の拘束から解除されて回動可能になる。ここで、操作部42Aの矢印X方向への操作が可能になり、この操作部42Aの操作によって、操作ピン83が一体的に図7Bの右方向に移動し、スプーン75が図示のようにピン82回りを反時計方向に回動して、ケース1の外側に突出する。
【0031】
図7は、中間位置であり、さらに操作部42Aが矢印X方向に操作されると、図8A、図8Bに示すように、スプーン75がピン82回りを反時計方向に回動して、ケース1の外側に完全に突出する。
【0032】
この完全に突出した状態では、図3に示すように、スプーン75がクレセント受け51に引っかかって、クレセント錠41が施錠される。
【0033】
この構成では、トリガ73が、図3に示すように、下桟16に取り付けられた室内側部材15Bの側に突出している。従って、トリガ73が室内側部材15Bに当接している限り、それが矢印Y方向に押し込まれるため、操作部42Aを矢印X方向に操作することができる。
【0034】
ここで、注意が必要なのは、室内側障子5が上方に持ち上げられ、しかもスプーン75が、室内側部材15Bの側に突出した状態で、この室内側障子5が下方に下げられると、スプーン75が、下桟16に取り付けられた室内側部材15Bの上面に衝突して損傷することである。
【0035】
本実施形態では、室内側障子5が上方に持ち上げられ、トリガ73が、下桟16に取り付けられた室内側部材15Bの上端から外れた場合、トリガ73が突出し、操作部42Aの矢印X方向への操作が不可能になるため、この状態で、スプーン75が、室内側部材15Bの側に突出することはない。従って、スプーン75が突出した状態で、室内側障子5が下げられることがなく、スプーン75が、下桟16に取り付けられた室内側部材15Bの上面に衝突するといったトラブルが未然に解消される。
【0036】
室内側障子5を下げる場合、トリガ73が突出したままであり、この突出したトリガ73が下桟16の位置に到達すると、このトリガ73が下桟16の上面に接触し始める。この場合、トリガ73の先端は、図4に示すように、下面が傾斜するため、室内側部材15Bの上面になめらかに接触する。よって、この室内側部材15Bの損傷が防止される。
【0037】
このトリガ73の先端は、上面も傾斜させて、略真横から見た場合、略二等辺三角形状に形成してもよい。
【0038】
固定障子3の室内側に格子体(図示せず)が存在する場合があり、室内側障子5を上げる場合、トリガ73の先端が該格子体に接触するおそれがある。この場合、トリガ73の先端の上面を傾斜させておけば、該格子体との接触時の衝撃が緩和されるからである。
【0039】
本実施形態では、トリガ73、キー77、スプーン75の各々が、略同一面内で、往復動或いは回動する構成であり、ケース71の厚さを薄くすることができ、小型、コンパクト化が図れるため、従来のものと比較した場合、余分な部品点数が減少し、構造が簡素化される。
【0040】
ケース71の薄型化、コンパクト化が図れるため、クレセント錠本体42を、上桟25を構成するアルミニウム製の室外側部材25Aに形成された切り欠き部44に収納することができ、従って、クレセント錠カバー43、操作部42A以外を、室内側部材25B(25B−1)で覆うことができ、室内側から見た場合の美観を向上させることができる。
【0041】
この種の上げ下げ窓では、一般的に、室内側障子5の召合せ内框25の上面部が居住者の目線と一致する高さに位置する。
【0042】
本実施形態では、召合せ内框25の上面部が目線に一致しても、クレセント錠本体42は召合せ内框25の内側に埋設されて、上面室内側部材25B−1で覆い隠され、上面室内側部材25B−1の上面部には、クレセント錠カバー43と、クレセント錠本体42の操作部42Aとが露出するだけであるため、美観が損なわれることがなく、高級感のある上げ下げ窓が得られる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。
【0044】
本発明は、室内側障子及び室外側障子が共に可動の引き違いサッシや上げ下げサッシ、室内側障子が固定で室外側障子が可動の片引きサッシ、或いは室内側障子が可動で室外側障子が固定の片引きサッシや上げ下げサッシ等、種々の建具に適用可能なことは言うまでもない。
【0045】
【発明の効果】
この発明では、クレセント錠がケース内にトリガとこのトリガによって拘束解除された場合に動作可能なスプーンとを一体に有したため、構造が簡素化されると共に、ケースが召合せ内框の表面部に操作部を臨ませて当該召合せ内框の内側に固定されるため、召合せ内框の外側に余分なものが突出せず、室内側から見た場合の美観が向上して、高級感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による建具の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】同じく横断面図である。
【図3】召し合わせ部の縦断面図である。
【図4】クレセント錠の取付状態を示す分解斜視図である。
【図5】クレセント受けの取付状態を示す分解斜視図である。
【図6】Aはクレセント錠の斜視図、Bは平面図である。
【図7】Aはクレセント錠の斜視図、Bは平面図である。
【図8】Aはクレセント錠の斜視図、Bは平面図である。
【符号の説明】
3 固定障子
5 室内側障子
15B 室内側部材
16 下桟(召合せ框)
25 上桟(召合せ内框)
25A 室外側部材
25B,25B−1,25B−2 室内側部材
41 クレセント錠
51 クレセント受け
71 ケース
73 トリガ
75 スプーン
77 キー
Claims (1)
- 4方枠内に室内側障子と室外側障子とを備え、前記室内側障子の召合せ内框にクレセント錠を備え、このクレセント錠がケース内にトリガとこのトリガの往復動作に応じて回動するキーとこのキーの回動によって拘束解除された場合に回動可能なスプーンとを一体に有し、前記ケースの表面に前記スプーンを回動して前記クレセント錠を施解錠する操作部を設けるとともに、当該ケースの裏面に前記トリガ、前記キー及び前記スプーンを当該裏面に沿った略同一面内に配置し、前記ケースが前記召合せ内框の表面部に前記操作部を臨ませて当該召合せ内框の内側に固定されていることを特徴とする建具。
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