JP3741259B2 - 上げ下げ窓における障子ガイド機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は外障子と内障子とを摺動可能に設けた上げ下げ窓において、上記各障子の摺動をガイドするガイド機構に関する。
【0002】
【従来技術】
一般に、上げ下げ窓は枠体の内側に内障子と外障子とを配設したものであり、内外両障子ともに上下動可能に配置されている。
【0003】
枠体は上下枠と左右の縦枠とから成り、縦枠には内障子と外障子の上下動を案内するための摺動案内溝が形成されている。そして、枠体の上方に押し上げた障子が手を離しても落下しないように、各摺動案内溝の上部にはスパイラルバランサが配置されている。スパイラルバランサはパイプ内にスパイラルロッドを下方に引き出し可能に設け、このスパイラルロッドをスプリングにより一定の力で上方に付勢するもので、スパイラルロッドの下端には軸受部材が固定され、この軸受部材には上記内、外各障子の下端両側に突出した回転軸が軸受けされている。
【0004】
また、内、外各障子の上端の両側にはガイド部材が固定され、ガイド部材には縦枠の摺動案内溝に係合する係合片が設けられている。この係合片は上記摺動案内溝から引っ込み操作できるように取り付けられている。各障子は上記ガイド部材の係合片と軸受部材が摺動案内溝内を摺動することにより上下方向に移動できるものであり、上記係合片を摺動案内溝から引っ込めることにより下端両側の軸を中心に内側に回動できるように構成されている。なお、外障子は内障子が邪魔して回動することはできない。
【0005】
このように、係合片は摺動案内溝に係合して障子の上下動を案内するものであるが、係合片を摺動案内溝に係脱させるためには、ガイド部材に係合片と一体に形成された摘子を左右に作動操作すればよい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、摺動案内溝の内側にはスパイラルバランサが配置されているから、パイプが邪魔して係合片を摺動案内溝内に深く係合させることはできない。このため、地震や不測の外力が障子に加わったときには、係合片が動いて摺動溝から外れて回動してしまうことがあり、危険である。
【0007】
本発明は上記問題点を解消し、障子に地震時の振動や不測の外力が加わっても、ガイド部材が摺動案内溝から外れることがない上げ下げ窓における障子ガイド機構を提供することをその課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係る上げ下げ窓における障子ガイド機構は、上下枠と左右の縦枠とから枠体を構成し、上記縦枠の内側に内障子と外障子の摺動案内溝を設け、少なくとも上記内障子の上端両側には、上記摺動案内溝に係脱可能な係合片を有するガイド部材を固定した上げ下げ窓において、上記内障子は横框の両端を縦框の側面に突合せて框組みして成り、上記ガイド部材を上記縦框上端に取り付けてこの縦框の上端開口部を塞ぐとともに、上記ガイド部材には、上記係合片の係脱を操作する操作部を上記内障子の上方に突設し、前記縦枠に固定された内障子の上動規制用ストッパには、上記操作部に当たらないようにする逃げ部を形成したことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は閉じ状態の上げ下げ窓の斜視図、図2は下の内窓を開けた状態の斜視図を示す。
【0010】
同図において符号1は枠体を示す。枠体1は上枠1a、下枠1b及び左右の縦枠1cとから方形に枠組みされたもので、枠体1の内面の室内側には内障子2の摺動案内溝4が、屋外側には外障子3の摺動案内溝5がそれぞれ形成されている。閉じ状態では内障子2は下方に、外障子3は上方にあり、それぞれ上下方向に摺動可能に設けられている。
【0011】
上記枠体1は金属部aと合成樹脂部bとから成る複合サッシ枠である。すなわち、図3及び図4に示されるように、上枠本体6、下枠本体7及び縦枠本体8はアルミニウム等の金属から成る金属部aとして構成されている。また、上記枠体1の外障子3の摺動案内溝5は上記金属部aによって構成されている。これに対し、上記各枠部材1a、1b、1cの室内側に面する部位と内障子2の摺動案内溝4とは合成樹脂から成る合成樹脂部bとして構成されている。
【0012】
内、外障子2、3は上下の横框10の両端を左右の縦框11の側面に突合せて框組みしたもので、図9に示すように下部横框10の両側にはピボット軸12が突出され、このピボット軸12は各摺動案内溝4、5に摺動自在に配置されたピボットシュー13に軸受けされている。ピボットシュー13は、摺動案内溝4、5の内側に配置されたスパイラルバランサ14に連結されている。すなわち、スパイラルバランサ14は、図5に示されるように、パイプ15の内部中央にスパイラルロッド16を設け、スパイラルロッド16を下方に引き出し自在としてその下端に上記ピボットシュー13を結合し、パイプ15内に設けたスプリング(図示せず)のバネ力により上記各障子2、3を上げ下げした位置に保持するものである。このため、各障子は軽い力で上下動操作できるようになっている。なお、スパイラルバランサ14の上端には上記スプリングのバネ力を調整する調整器19が取り付けられ、該調整器19は摺動案内溝4、5の上端に固定されている。
【0013】
内障子2と外障子3の各縦框11の上端にはそれぞれの縦枠1cの摺動案内溝4、5に係合可能なガイド部材20(図4参照)が取り付けられている。図6に示されるように、ガイド部材20は摺動案内溝3、4に係脱可能な係合片21を備え、係合片21は操作部22を外部から操作して摺動案内溝4、5に係脱できるようになっている。これにより、内障子2と外障子3の上部は上記ガイド部材20によって摺動案内されている。
【0014】
ガイド部材20は、縦框11の内部に嵌合されるとともに、図6、図7(a) に示されるように、上部が縦框11の上端を覆う大きさのハウジング23の内部に係合片21を出没可能に収納配置し、バネ24により突出方向に付勢し、係合片21と一体に形成した操作部22を上方に突出するとともに、操作部22をハウジング23の上部に形成した開口部25に沿って移動できるようにしたものである。これにより、操作部22を上記開口部25内を移動させることにより係合片21を作動させて摺動案内溝4、5に係脱させることができる。
【0015】
係合片21の先端21aは、上記縦枠1c内に配置されて内障子2を保持するスパイラルバランサ14のパイプ15の外形に対応して円弧状に弯曲形成されている。
【0016】
また、上記操作部22には規制片26が回動自在に取り付けられている。規制片26の裏側には凸部27が形成され、規制片26を図6及び図7(a) (b) のように水平に回動して開口部25を閉じると、操作部22は移動動操作しようとすると、凸部27が開口部25の内縁に係合するので、移動できない。逆に、図8(a) (b) のように規制片26を垂直に立てることにより操作部22は自由に作動することができる。また、規制片26を閉じることにより、ガイド部材20全体として縦框11の上端を塞ぐキャップとしても機能する。
【0017】
次に、上記各障子を縦枠1cに取り付けるにあたっては、まずスパイラルバランサ14を上述のように取り付けた後、図9に示されるように障子2、3を左又は右に傾けてその下端一側のピボット軸12を同じ側のスパイラルバランサ14のピボットシュー13の軸受穴13aに嵌合し、さらに障子を他方に傾けるようにして反対側のピボット軸を反対側のピボットシューの軸受穴に嵌合する。そして、図7(a) (b) に示されたように、操作部22を作動させて係合片21を摺動摺動案内溝4、5に係合させればよい。このようにして、各障子は上部のガイド部材20と下部のピボットシュー13に案内されて摺動案内溝4、5に沿って上下動することができる。係合片21を摺動案内溝4、5に係合させた後は、規制片26を水平に倒しておく。
【0018】
障子2、3を枠体1に取り付けた後に、内障子2を室内側に回動させる必要があるときは、規制片26を立てた後、操作部22を移動操作して、図8(a) (b)に示すようにガイド部材20の係合片21を引っ込めればよい。内障子2は上記ピボット軸12を中心に室内側に倒すことができる。これに対し、外障子3が邪魔になるので屋外側には回動させることはできない。
【0019】
また、図7(a) に示すように、係合片21の先端21aは円弧状に弯曲しているので、係合片21を摺動案内溝4、5内に進入させたとき、係合片21の中央はすぐに上記縦枠1c内に配置されたスパイラルバランサ14のパイプ15に当たることになるが、係合片21の先端中央はパイプ15の外形に対応して円弧状に弯曲形成されているから、係合片21の両側部は摺動案内溝4、5内に深く進入することができる。
【0020】
ところで、外障子3の摺動案内溝5の下部と内障子2の摺動案内溝4の上部には、それぞれ外障子3の下動と内障子2の上動を規制するストッパ29が取り付けられている。
【0021】
ストッパ29は図10に示されるように、細長い基板30の下部から表側にストッパブロック31を突出し、基板30の中央部に円孔32(調整器19の調整軸19aを露出させる孔)を形成し、基板の上部裏側には係止片33、下部裏側には平行な1対の切欠き34付の係合片35を突出形成したものである。なお、上記ストッパブロック31は、内障子2のガイド部材20に上方に対応する位置に配置されている。そこで、ストッパ29には、内障子2を上動させたときにガイド部材20の操作部22が当たらないようにする逃げ部36が形成されている。すなわち、ストッパブロック31は有底筒状で、ガイド部材20の操作部22が収納できる程度の大きさに形成され、その下方は開放されている。
【0022】
これに対し、図10に示されるように、縦枠1cの上部で、調整器19に対応する位置には摺動案内溝4、5の両側を切欠いて拡開させ、ストッパ29の裏側の係合片35が嵌合できる程度の幅に形成されたストッパ29の取付用開口部37が形成されている。ストッパ29はこの取付用開口部37に係合片35を嵌合させ、上部の係止片33を開口部37の上部の開口縁に係合させ、係合片35の下端の切欠き34を取付用開口部37の両側の切欠き縁38に係止させることによって固定されている。
【0023】
上述の構成によれば、外障子3は下方に移動させたとき、縦枠1cに設けたストッパ29にぶつかってそれ以上の移動を阻止される。また、内障子2は上方に移動させたとき、上框の両端は縦枠1cに設けたストッパ29にぶつかってそれ以上の移動を阻止される。このとき、図11に示されるように内障子2のガイド部材20の操作部22はストッパブロック31の下端の開放部から内部の逃げ部36に入り込むので、ストッパブロック31にぶつかることはない。また、内障子2はストッパ29で上動を規制されることにより、上動時に内障子2の上端に設けられたクレセント錠39が上枠1aに衝突するのが防止される。
【0024】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、内障子は横框の両端を縦框の側面に突合せて框組みして成り、内障子の上下の摺動を案内するガイド部材を内障子の縦框上端に取り付けたので、ガイド部材が縦框の上端を塞ぐキャップを兼用することができる。
【0025】
また、ガイド部材には、上記係合片の出没作動を操作する操作部が設けられているから、操作部を動かすことにより係合片を係脱作動させることができる。
【0026】
さらに、上記ガイド部材は、縦框の上端開口部を塞ぐので、縦框のキャップとして機能させることができる。また、ガイド部材の操作部は内障子の上方に突設され、枠体の縦枠に固定された内障子の上動規制用ストッパには、上記操作部に当たらないようにする逃げ部が形成されているから、内障子を上方に移動させたとき、操作部がストッパに衝突することがないので、操作部やストッパの破損を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る上げ下げ窓の斜視図
【図2】 上記上げ下げ窓の内障子を倒した状態の斜視図
【図3】 上記上げ下げ窓の縦断面図
【図4】 図3のXーX線上の断面図
【図5】 縦框11の上部の側面図
【図6】 ガイド部材の取付状態の斜視図
【図7】 (a) (b) は上記ガイド部材の係合片の突出状態の平面図及び断面図
【図8】 (a) (b) は上記ガイド部材の係合片の没入状態の平面図及び断面図
【図9】 障子の取付状態説明図
【図10】 ストッパの取付状態を示す斜視図
【図11】 ストッパに内障子の上端が係合した状態の斜視図
【符号の説明】
1 枠体
2 内障子
3 外障子
14 スパイラルバランサ
15 パイプ
20 ガイド部材
21 係合片
26 規制片
37 逃げ部
Claims (1)
- 上下枠と左右の縦枠とから枠体を構成し、上記縦枠の内側に内障子と外障子の摺動案内溝を設け、少なくとも上記内障子の上端両側には、上記摺動案内溝に係脱可能な係合片を有するガイド部材を固定した上げ下げ窓において、
上記内障子は横框の両端を縦框の側面に突合せて框組みして成り、上記ガイド部材を上記縦框上端に取り付けてこの縦框の上端開口部を塞ぐとともに、上記ガイド部材には、上記係合片の係脱を操作する操作部を上記内障子の上方に突設し、前記縦枠に固定された内障子の上動規制用ストッパには、上記操作部に当たらないようにする逃げ部を形成したことを特徴とする上げ下げ窓における障子ガイド機構。
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