JP4688331B2 - 異常検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、盗難、破壊等の異常状態を検出する異常検出装置に関する。特に、自動車、オートバイ等の車両の盗難、破壊等の異常状態を検知し通報する車両用異常検出装置としての適用性の高い異常検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、自家用自動車、自動二輪車の盗難が多発しており、これらの盗難を防止するための監視装置も種々存在する。例えば、GPSを利用した位置算出機能や携帯電話の基地局との通信機能等を用いることにより、車両の位置情報を定期的に確認して盗難異常を検出するものもある。これは、駐車時の車両の位置情報を基準位置として記憶しておき、定期的に車両の現在位置を確認することにより、駐車位置から所定距離以上離れたときに盗難異常と判定し、警報を発するものである。
また、振動センサ、車軸回転センサ等の各種センサにより、車両の破壊等による車内への侵入又は車両の移動を検知する異常検出装置も存在する。
盗難防止をより確実にするという観点からは、位置情報の検出とともに振動センサ等の各種センサ等を複合的に用いて、異常状態を検出することが望ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、各種センサによる異常検出には以下のような問題があった。例えば振動センサを用いる場合、振動センサの感度を不審者の車内侵入等を確実に検出可能なレベルに設定すると、所有者等による車両への乗降の際に発生する振動をも異常状態として検出する。一方、検出感度を下げると、ピッキング等によるロック解除のような振動の少ない方法による車内侵入を検出することができない。
【0004】
本発明はこのような異常状態の検出にかかる問題点に鑑みてなされたものであり、信頼度の高い異常検出装置を提供することをその目的の1つとする。また、車両盗難を防止するため、検出感度を異常検出の適正レベルに維持しつつ車両の乗降等に伴う誤検出のない異常検出装置を提供することをその目的の1つとする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、監視開始設定操作を行った後にセンサの非検知状態が所定の期間継続したときに、異常信号等の監視信号を監視センタシステムへ送信することを許可するよう構成して上記課題を達成した。本発明では、車の所有者等が監視開始操作を行った後に車を降りてドアを閉める等の一連の動作を完了するまでの所定の期間は、異常検出部からの信号出力の有無にかかわらず異常状態とは判定せず、異常信号を出力しない。このような一連の動作に要する時間は、機械式の2段又は3段の駐車システム等を利用する場合等、車両の駐車環境によっても異なる。以下に本発明の態様を説明する。尚、本発明において監視信号とは、異常検出装置から監視センタシステムへ送信される信号(情報を含めてもよい)であって、監視対象物が異常状態にあるかどうかを表す信号をいうものとする。
【0006】
本発明の第1の態様にかかる異常検出装置は、入力部を備えており、所定の操作により監視開始信号を出力する設定操作部と、所定の監視要因の状況変化を検知したときに検知信号を出力する少なくとも1個の検知器を具備し、該検知器からの検知信号に基づいて異常検出信号を出力する異常検出部と、監視開始信号を受信後、前記異常検出信号を受信しない状態が所定の第1の期間継続したときに、送信許可信号を出力する送信開始判定部と、送信許可信号を受信後、前記異常検出信号の受信状態に基づいて監視信号を出力する監視信号出力部と、監視信号出力部から受信した監視信号を前記監視センタシステムに送信する無線通信部とを備え、監視対象物を監視する監視センタに、監視要因の状況変化を通報することを特徴とする。
異常検出装置をセットして車輌等の監視対象物を離れ、車輌等が所定の駐車位置で正常に停止するまでの期間を第1の期間として設定することにより、監視開始操作の直後の正常状態における監視要因の変化の検知を、異常信号として監視センタシステムに送信することを防止することができる。
【0007】
本発明の第2の態様にかかる異常検出装置は、送信開始判定部がさらに、異常検出信号を受信しない状態が第1の所定期間継続することなく、監視開始信号の受信から第1の所定期間より長い第2の所定期間が経過したときには、送信許可信号を出力することを特徴とする。監視開始操作後、異常検出信号が第1の所定期間以上連続して停止すること無く出力されている場合であっても、第2の所定期間が経過したときには、強制的に送信許可信号を出力される。これにより、監視開始操作後の異常状態の検知をより確実なものとすることが可能となる。
【0008】
本発明の第3の態様にかかる異常検出装置は、異常検出部が、振動異常を検知したときに振動検知信号を出力する振動検知器を備え、該振動検知器からの振動検知信号に基づき、異常検出信号として振動検出信号を出力することを特徴とする。異常検出部には種々の検知器を採用可能であるが、少なくとも振動検知器を有することを特徴とするものである。異常状態をもっとも探知し易い、監視要因であるからである。
【0009】
本発明の第4の態様にかかる異常検出装置は、異常検出部がさらに、赤外線受光量の変化を検知したときに赤外線検知信号を出力する赤外線検知器を備え、該赤外線検知器からの赤外線検知信号に基づき、異常検出信号として赤外線検出信号を出力することを特徴とする。振動検知器に加え、さらに、少なくとも赤外線検知器を備えるものである。振動検知器を補完し、さらに確実に異常状態を検知するためである。ここで、赤外線検知器は、PIR、すなわち、外界の赤外線量の変化を検知する検知器であることが好ましい。
【0010】
本発明の第5の態様にかかる異常検出装置は、異常検出部がさらに、赤外線受光量の変化を検知したときに赤外線検知信号を出力する赤外線検知器を備え、前記振動検知信号を受信した後所定の期間内に前記赤外線検知信号を受信したとき、又は前記赤外線検知信号を受信した後所定の所定期間内に前記振動検知信号を受信したときに限り、赤外線検出信号を異常検出信号として出力することを特徴とする。赤外線検知器の誤検知を防止するため、赤外線量変化を検知した前後の所定の期間内に振動検知信号を受信した場合にのみ、赤外線検出信号を出力するものである。振動を検知した後所定期間内に赤外線変化を検知した場合に限り、赤外線検出信号を出力する場合もこの発明の範囲に含まれる。これにより、近くの車輌のライト等の外乱による赤外線量の変化を異常検出信号として出力することを防止可能である。
【0011】
本発明の第6の態様にかかる異常検出装置は、それぞれ分離された異常信号検出ユニットと無線通信ユニットとを含んで構成され、前記異常信号検出ユニットは、前記無線通信ユニットが接続されたことを検知して監視開始信号を出力する接続検知部と、所定の監視要因の状況変化を検知したときに検知信号を出力する少なくとも1個の検知器を具備し、該検知器からの検知信号に基づいて異常検出信号を出力する異常検出部と、前記監視開始信号を受信後、前記異常検出信号を受信しない状態が所定の第1の期間継続したときに送信許可信号を出力する送信開始判定部と、前記送信許可信号を受信するまでは前記異常検出信号を受信しても監視信号を出力せず、前記送信許可信号を受信後に前記異常検出信号を受信したとき監視信号を出力する監視信号出力部と、を備え、前記無線通信ユニットは、前記異常信号検出ユニットから前記監視信号を受信すると前記監視センタシステムに通報を行うことを特徴とする。これにより、無線通信ユニットと異常信号検出ユニットとの接続操作に伴う振動による監視要因の状況変化を、異常信号検出動作から除外することが可能となる。
【0012】
本発明の第7の態様にかかる異常検出装置はさらに、位置情報を受信して現在位置を算出する位置情報算出部を具備し、監視センタシステムへの監視開始信号、監視信号及び解除信号の送信と同時に位置情報を送信することを特徴とする。位置検出にはGPS、及び携帯電話・PHSの無線基地局等を使用可能であり、監視信号とともに位置情報を送信することにより、監視センタシステムでは異常状態をより正確に把握することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。
以下の説明では、特に断らない限り自動車又はバイクの盗難防止用異常検出装置に使用するという前提で、本発明の異常検出装置の実施形態を説明する。しかし、これは本発明の典型的な適用分野が車両の盗難検出であるためであり、車両以外への適用を除外するものではない。例えば、検知器の種類(監視要因)を監視対象物の保管環境特性に合わせることによりボート、小型クルーザー等の各種船舶、又は貴重品等の保管物の盗難防止用異常検出装置として使用することも可能である。
【0014】
最初に、図を用いて本発明の異常検出装置が使用される典型的な監視システム形態を概説する。図2は、本発明にかかる異常検出装置を用いた監視システムの全体構成の一例を示すイメージ図である。図中、2は、異常検出装置であり監視センタシステム80と通信可能である。異常検出装置2は、GPS衛星95による位置確認機能を有していることが好ましい。
監視センタシステム80は、異常検出装置2との通信による情報交換により、監視対象物の監視を行う。尚、図2及び後述する図3では、説明を分かりやすくするために、異常検出装置2と監視センタシステム80とが直接無線通信する形態を示している。しかし、異常検出装置2と監視センタシステム80間の通信は、異常検出装置2と携帯電話・PHS等の中継基地局の間を無線通信により行い、中継基地局から電話回線網等の通信ネットワークを介して監視センタシステム80と通信することが好ましい。また、その際、中継基地局により測位を行い、異常検出装置2の位置情報として利用することもできる。
【0015】
監視センタシステム80は、異常検出装置2から受信した情報に基づいて監視対象物の異常状態を確認すると、通信網90を介して予め指定されている監視対象物所有者の保有する緊急連絡端末91に通報する。さらに、必要に応じて、監視対象物の現在位置に近い監視組織の支局の端末装置(対応支局端末92)に対して異常事態に対する対処行動指令等を送信し、又は最寄りの警察に通報する。対応支局端末92に対処行動指令が送信されると、当該支局から警備員が現場に急行する等の対応措置行動が開始される。
【0016】
次に、図1を用いて本発明の異常検出装置を説明する。図1は本発明の1実施形態にかかる異常検出装置2の構成を示す機能ブロック図である。図1の異常検出装置2は、設定操作部30、監視信号出力制御部10、異常検出部20及び無線通信部40とから構成されている。
【0017】
設定操作部30は、入力部31と表示部32とから構成されており、入力部31の操作により、監視モードへの移行処理又は監視モードの解除を起動するための監視開始信号又は解除信号等の各種操作信号が出力される。また、入力部31の操作により、監視信号出力制御部10及び監視センタシステム80の各種監視条件の設定又は変更ができるよう構成することも可能である。
【0018】
設定操作部30からの信号は、監視信号出力制御部10又は無線通信部40に入力される。例えば、設定操作部30の操作により出力される監視開始信号は、無線通信部40を介して監視センタシステム80に送信される。監視センタシステム80は、監視開始信号を受信すると、監視モードへ移行する。設定操作部30からの操作信号は、監視信号出力制御部10にも入力される
【0019】
異常検出部20は、各種検知器(図6等参照)を有しており、検知機の検知信号に基づいて、異常検出信号を出力する。検知器としては、振動の発生又は赤外線受光量の変化等の各種監視要因の変化を検知したときに所定の検知信号を出力する各種センサを使用可能である。各種センサの検知信号を組み合わせることにより、所定の条件を満足したときに異常検出信号を出力するよう構成することも可能である。異常検出部20の異常検出信号は、監視信号出力制御部10の送信開始判定部11及び監視信号出力部12に出力される。
【0020】
監視信号出力制御部10には、設定操作部30からの信号及び異常検出部20からの信号が入力されている。監視信号出力制御部10は送信開始判定部11及び監視信号出力部12とから構成されている。送信開始判定部11では、設定操作部30からの監視開始信号を受信すると、異常検出部20からの異常検出信号の出力状態を監視する。送信開始判定部11は、起動開始信号の受信した後、異常検出信号の非出力状態が所定期間以上継続したことを確認すると、監視信号出力部12に送信許可信号を出力する。
【0021】
監視信号出力部12は、送信許可信号を受信するまで監視信号を出力することを禁止されているが、送信許可信号を受信すると、それ以後の異常検出信号に基づいて監視信号を無線通信部40に出力する。無線通信部40は、監視信号出力部12から受信した監視信号を監視センタシステム80に送信する。
【0022】
図3を用いて監視センタシステム80を簡単に説明する。図3は監視センタシステム80の一実施形態の構成を示す機能ブロック図である。監視センタシステム80は、通信サーバ82、監視サーバ83、位置管理サーバ84、指令サーバ85等の各種サーバを有しており、これらは相互にLAN86により接続されている。
【0023】
通信サーバ82は無線通信I/F81または網接続インターフェース87等を介して異常検出装置2、緊急連絡端末91及び対応支局端末92と通信可能である。
監視サーバ83は、通信サーバ82を介して異常検出装置2から監視開始信号を受信すると、当該監視開始信号を送信した異常検出装置2を監視する監視モードへ移行する。監視モードへの移行の形態として、監視開始信号を受信した後速やかに監視モードに移行する形態、監視開始信号を受信後所定期間経過した後に監視モードに移行する形態、又はさらに所定の条件を満足した場合にのみ監視モードに移行する形態等、各種の形態を採ることが可能である。また、異常検出装置2からの監視信号を管理する。
位置管理サーバ84は、異常検出装置2からの受信した位置情報から異常検出装置2の正確な現在位置を管理するサーバである。指令サーバ85は、異常状態を確認したときに通信サーバ82及び網接続インターフェース87、無線通信I/F81等を介して緊急連絡端末91又は対応支局端末92に所定の連絡及び対応措置を指示する。
【0024】
図4は、監視信号出力制御部10の第1の実施形態10−1を示す機能ブロック図である。
監視信号出力制御部10−1は送信開始判定部11−1及び監視信号出力部12−1から構成されており、送信開始判定部11−1は信号監視手段50及び第1の計時手段51により構成されている。信号監視手段50は、設定操作部30からの監視開始信号及び異常検出部20からの異常検出信号を監視しており、監視開始信号を受信したときに第1の計時手段51を動作可能状態にする。
【0025】
第1の計時手段51は、動作可能状態に設定された後に異常検出信号を受信すると、所定の期間の計時が開始される。計時の途中で、再度異常検出信号を受信すると、いままでの計時はクリアされて、最初から計時が再開されるる。従って、異常検出信号を受信しない状態が所定の期間継続しない限り、第1の計時手段51は計時を繰り返すこととなり、所定期間がタイムアウトすることは無い。一方、第1の計時手段51は、所定期間がタイムアウトするまでは、その出力が“ロー”に維持され、所定期間がタイムアウトしたときには、図示しないリセット信号を受信するまで“ハイ”に維持されるように構成されている。従って、異常検出信号が継続して出力されている限り、第1の計時手段51からの“ロー”信号が出力される。第1の計時手段51の出力は、アンドゲート52の1端子に入力されているので、この間、アンドゲート52からは出力されない。アンドゲートと52の他の入力には異常検出信号が入力されており、この間の異常検出信号は、無視される。
【0026】
異常検出信号を受信しない状態が所定の期間継続すると、第1の計時手段51はタイムアウトして、その出力が“ハイ”に維持される。従って、以後は、異常検出信号の受信状態に対応した信号がアンドゲート52から出力される。監視信号生成部53は、アンドケーと52から“ハイ”を受信することにより、監視対象物が異常状態にあることを示す異常信号(監視信号)を生成して、無線通信部40へ出力する。すなわち、送信開始判定部11−1の第1の計時手段51からの出力信号“ハイ”が送信許可信号となり、監視信号が監視センタシステム80に送信されることとなる。
【0027】
このような構成とすることにより、監視開始直後の正常動作に伴い発生する異常検出信号に基づいて、監視センタ80への異常信号の送信が防止可能となる。すなわち、例えば、車輌盗難防止のために車輌に異常検出装置をセットする場合、異常検出装置をセットした後車輌を降りる必要がある。この場合、車輌を降りる際、及びドアを閉める際に大きな振動等、検知器の作動要因が発生する。また、機械式駐車場の場合には、所定駐車位置への移動に伴う振動等が発生する。これらの振動は、通常の車輌駐車時に発生する正常動作に伴う振動等であり、異常状態として認識するのは好ましくない。これらの正常動作に伴う振動等は、比較的近接した時間に連続して発生し、一旦停止してから長時間経過した後に再び発生することはない。そのため、所定の期間(20秒から5分以内位)以内の異常検出信号は、正常動作に伴い発生しているものと判断して、この間は異常信号の送信を行わない。一方、所定期間以上、振動等の監視要因を検出しない状態が継続したら、車輌は所定の駐車状態になったものと判断されるので、以後の異常検出信号は異常状態として監視センタシステム80に送信する。
【0028】
次に、図5を用いて第2の実施形態にかかる監視信号出力制御部10−2を説明する。
監視信号出力制御部10−2は、第2の実施形態にかかる送信開始判定部11−2と監視信号出力部12−1とから構成されている。第2の実施形態にかかる送信開始判定部11−2は、図4の送信開始判定部11−1にさらに第2の計時手段55及びオアゲート56を付加された構成となっている。第2の計時手段55は、第1の計時手段51より長い第2の所定期間を計時する計時手段であり、監視開始信号により起動されて、第2の所定期間を計時したときに“ハイ”信号を出力する。第1の計時手段51からの出力信号及び第2の計時手段55の出力信号はオアゲート56に入力されているので、いずれかの出力信号が“ハイ”になると、アンドゲート52に送信許可信号が出力されることとなり、監視信号生成部53から無線通信部40へ監視信号を送出する。
【0029】
これにより、監視開始の設定操作を行った後、通常操作では有り得ないほどの長い時間異常検出信号が継続出力されている場合には、強制的に送信許可信号を出力することができる。通常の状態を超えて異常信号が連続出力されている状態は、何らかの異常が発生しているものと考えるのが妥当との判断によるものである。第1及び第2の送信開始判定部11−1、11−2において、第1の計時手段及び第2の計時手段に設定する第1及び第2の所定の期間をそれぞれどのくらいの長さとするかは、監視対象物の監視環境に応じて異なる。すなわち、前述の通り、通常の駐車場か又は機械式駐車場かで設定時間は大きく異なることになる。したがって、かかる場合を考慮して、当該第1及び第2の所定の期間を前記設定操作部30の操作により設定可能に構成することが好ましい。
【0030】
図6に異常検出装置の他の実施形態2−1を示す。異常検出装置2−1では、GPS信号受信部42、位置情報算出部43及び位置情報送信制御部44を有している。GPS信号受信部42によりGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて位置情報算出部43により現在位置の算出を行う。算出した現在位置は、位置情報送信制御部44から無線通信制御部41を介して異常信号の送信と同時に監視センタシステム80に送信する。これにより、監視センタシステム80は異常検出装置2−1の現在位置を追跡可能である。
【0031】
異常検出装置2−1は第1の実施形態にかかる異常検出部20−1を備えている。異常検出部20−1は、検知器として振動検知器21、赤外線検知器22、その他の検知器23を有しており、これらの検知器の出力は検出信号出力部24に出力される。その他の検知器23としては、例えばタコメータ、距離メータの変化を検知する検知器、ハンドルの回転を検知する検知器、ブレーキ油圧変化を検知する検知器等、各種検知器を設けることが可能である。検出信号出力部24はこれらの信号をそれぞれの検知信号毎の異常検出信号として出力しても、複数の検知信号から1つの異常検出信号又は複数の異常検出信号を作成して出力してもよい。図6の異常検出部20−1では2種類の異常検出信号が、検出信号出力部24から送信開始判定部11及び監視信号出力部12に入力される例を示している。
【0032】
異常検出装置2−1には、監視信号出力制御部12と操作信号出力制御部13とから構成される信号送信制御部5が設けられており、設定操作部30からの操作信号は、操作信号出力制御部13に入力されている。操作信号出力制御部13は、設定操作部30からの監視開始信号、監視解除信号、その他の各種制御信号を受信して必要に応じて記憶し、無線通信部40の無線通信制御部41又は監視信号出力制御部10に対して監視開始信号等が出力される。さらに設定操作部30からの操作信号に基づいて、操作信号出力制御部13から監視信号出力制御部10へ、第1の計時手段51、第2の計時手段55で計時する所定の期間を設定する設定信号を出力するように構成することも可能である。監視信号出力制御部10としては前述の監視信号出力制御部10−1及び10−2を使用可能である。
【0033】
図7に異常検出部の第2の実施形態20−2及び監視信号出力制御部の第3の実施形態10−3の機能ブロック図を示す。異常検出部20−2は、振動検知器21、赤外線検知器22及び検出信号出力部24−1とを備えている。検出信号出力部24−1は、振動検知器21による振動検知から所定期間以内に赤外線検知器が信号を出力したときに限り赤外線異常検出信号を出力するものである。通常、侵入者は車両に侵入した後異常検出装置を取り外すため、まず侵入の際に生じる振動を振動検知器が検知するのが一般的である。そのため、振動検知器が作動後の所定期間以外の赤外線検知は、異常状態と判定しないように構成したものである。
【0034】
まず振動検知部21により振動検知信号が出力されると、ラッチ29がセットされて、セット出力が“ハイ”となる。これによりタイマ27が起動される。ラッチ29がセットされている間に赤外線検知器22から検知信号が出力されると、アンドゲート28から検出信号が出力される。一方、タイマがタイムアウトすると、ラッチはリセットされるので、振動検出信号を検出後タイマ27がタイムアウトするまでに赤外線検知信号が出力されない限り、アンドゲートから赤外線検出信号は出力されない。この構成により、近隣を通行する車のライトの照射等の外乱により赤外線受光量が変化しても、赤外線異常として異常信号を出力しないため、信頼度の高い赤外線異常検出が可能となる。破線で示す赤外線検知信号とオアゲートは、赤外線検知信号の出力後所定期間内に振動検知信号が出力された場合にも、赤外線検出信号を出力する構成をしめすものである。
【0035】
次に監視信号出力制御部10−3について説明する。監視信号出力制御部10−3は、第3の実施形態にかかる送信開始判定部11−3と第2の実施形態にかかる監視信号出力部12−2途から構成される。
まず送信開始判定部11−3から説明する。図中、79はマルチプレクサ、61はオアゲート、62〜65はナンドゲート、66はインバータであり、これらにより、図5の信号監視手段50を構成する。すなわち、異常検出部20−2から出力される2種類の異常検出信号のどの組合せにより、送信許可信号を出力するかを、操作信号出力制御部13からの選択信号により確定する。振動検出信号と赤外線検出信号の2種類の異常検出信号の組合せ(4通り)がナンドゲート62〜65の1つ1つにそれぞれ対応しており、マルチプレクサの各出力端子がそれぞれナンドゲートの入力端子に接続されている。
【0036】
マルチプレクサの出力端子は、操作信号出力制御部13からの選択入力信号に応じて、いずれか1つの出力信号のみが“ハイ”となるので、マルチプレクサ79の入力信号(選択信号)によりナンドゲート62〜65のいずれか1個のみが選択される。例えば今、マルチプレクサの出力端子1が選択されているとすると、ナンドゲート62のみが動作可能となり、他のアンドゲート63〜65は全て動作不能となる。従って、ナンドゲート62に対応する異常信号である振動検出信号により、送信許可信号の出力が判定されることになる。すなわち、振動検出信号が出力されるとナンドゲート62から“ロー”が出力されるが、他のナンドゲート出力は全て“ハイ”であるので、ナンドゲート62の“ロー”が優先される。ナンドゲート62の“ロー”信号は、インバータ66により反転されて第1のタイマ52を起動する。
【0037】
マルチプレクサ79によりナンドゲート63が選択されると、赤外線検知信号を受信したときに第1のタイマ51が起動され、ナンドゲート64が選択されると振動検出信号又は赤外線検出信号のいずれかを受信したときに第1のタイマ51が起動される。ナンドゲート65が選択されると、振動検出信号及び赤外線検出信号の双方を同時に受信したときに第1のタイマ51が起動される。
【0038】
第1のタイマ51が起動された後、タイマ51がタイムアウトすると、インバータ68、69を経由してラッチ59がセットされる。ラッチ59がセットされると、ラッチのセット出力から“ハイ”信号(送信許可信号)が監視信号出力部12−2のアンドゲート52に出力される。異常信号の送信が可能となる。インバータ67、68、69はワイヤードオアを構成しているので、第2のタイマの出力が“ハイ”になると、同様に送信許可信号が出力される。
【0039】
次に、監視信号出力部12−2について説明する。監視信号出力部12−2は、アンドケート52、信号保持回路57、及び信号生成部58とから構成される。信号保持回路57及び信号生成部58は、監視信号生成部の第1の実施形態53−1を構成する。信号保持回路57はアンドケート52の“ハイ”出力信号を受信している間“ハイ”信号を出力し続けるともにともに、アンドゲート52の出力がなくなっても所定期間(例えば5秒〜数分間)“ハイ”信号を出力する。
【0040】
これにより、異常検出信号の出力が不安定であっても、安定した監視信号を出力可能となる。信号生成部58は、信号保持回路57の出力信号が“ロー”から“ハイ”に変化したときに異常信号を出力し、信号保持回路57の出力信号が“ハイ”から“ロー”に変化したときに復帰信号を出力する。異常信号及び復帰信号はいずれも監視信号として、無線通信部40を介して監視センタシステム80に送信される。異常信号は異常状態が発生したことを表す信号であり、復帰信号は異常状態が解消したことを表す信号である。監視センターでは、これらの監視信号に基づいて、必要な対応処置をとる。このように異常検出信号の変化時のみ監視信号を出力することにより、異常検出装置2と監視センタシステム80との通信負荷を減少させることが可能となる。
【0041】
図8に本発明にかかる異常検出装置の他の実施形態2−2を示す。異常検出装置2−2は、それぞれ分離されたユニットである異常信号検出ユニット70、無線通信ユニット71、及び操作ユニット72とから構成されている。異常信号検出ユニット70と無線通信ユニット71、及び操作ユニット72と無線通信ユニット71は相互に接続可能である。図8の異常検出装置2−2において、これまで説明した各部と同様の機能を有する部分は同じ番号を使用している。図8においては、無線通信ユニット71には一個の接続インターフェース73のみが設けられているので、操作ユニット72及び異常信号検出ユニット70を交互に接続することになる。したがって、まず操作ユニット72と無線通信ユニット71とを接続して、所定の起動操作及び設定操作を行い、その後に異常信号検出ユニット70を接続して、監視モードに移行する。
【0042】
操作ユニット72は、入力部31、表示部32、接続インターフェース75、制御部77とを備えている。基本的には設定操作部30と同様の機能を備えており、設定ユニットの接続インターフェース75と無線通信ユニット71との接続インターフェース73を介して各種設定情報が設定される。尚、無線通信ユニット71は、操作ユニット72と異常信号検出ユニット70とに交互に接続されるため、無線通信ユニット71の制御部45に、操作ユニット72からの設定信号を記憶する設定信号記憶部又は操作信号出力制御部13(図6参照)と同様の機能を持たせることが好ましい。
【0043】
無線通信ユニット71は、接続インターフェース73、制御部45、無線通信部40、及びGPS信号受信部42を備える。無線通信ユニット71は、例えば、老人・子供等の迷子防止のために使用される位置検出用の携帯端末装置、携帯電話等の無線機能を有する他の携帯装置と兼用することも可能である。この場合、他の携帯装置等の有するCPU、メモリ、通信部等は共有可能となり、コストの低減化が可能となる。図8に破線でしめすように、監視モードへ移行するための所定の設定操作を促すためのブザー46を備える構成としてもよい。
【0044】
異常信号検出ユニット70は、振動検知器21、赤外線検知器22、監視信号出力制御部10、接続インターフェース74及び接続検知器76とを備えている。接続検知器76は、異常検出ユニット70と無線通信ユニット71が接続されたことを検知する。異常検出ユニット70と無線通信ユニット71とが接続されたときに、接続検知器76から監視開始信号を出力するように構成してもよい。監視信号出力制御部10は図4、6、7等に示す監視信号出力制御部10−1、10−2、10−3と同様の構成とすることが可能であり、監視信号は、接続インターフェース74を介して無線通信ユニット71に送信される。
【0045】
監視信号出力制御部10、制御部45、77等は、マイクロプロセッサ(CPU)とメモリ及び制御プログラム(図示せず)により実現可能である。この場合、マイクロプロセッサ等は、各ユニット70、71、72にそれぞれ別個に設けても、他のユニットと共有するように構成してもよい。また、無線通信ユニット71に入力部及び表示部の双方または一方を設けて、操作ユニット72の入力部31と表示部32と兼用することにより、操作ユニットには入力部31又は表示部32を設けない構成とすることも可能である。このような構成は、無線通信ユニット71を入力部又は表示等を有する他の用途の携帯端末(携帯電話等)と兼用する場合に有効である。
【0046】
図8の実施形態では、無線通信ユニット71に対して接続インターフェース73と異常信号検出ユニット70とを交互に接続しているが、無線通信ユニット71にそれぞれのユニット70、73用の接続インターフェースを設けて同時に接続可能に構成してもよい。また、3個のユニット70〜72に分離するのではなく、2つのユニットに分離するように構成してもよい。
【0047】
以上の図1及び図4乃至7で説明したような異常検出装置の各制御部は、CPU、メモリ(ROMを含む)、メモリに記憶された制御プログラムにより実現可能である。図9にCPU等を使用して構成する場合の構成図を示す。CPU96にはバス94を介してメモリ97、入出力I/F98、通信I/F99が接続されており、入出力I/F98には入力部31、表示部32、振動検知部21、赤外線検知器22、その他の検知器23が接続され、通信I/F99には無線通信部40が接続されている。
【0048】
メモリ97はRAM,ROM等(図示せず)により構成されて、OSその他の制御プログラムが記憶されており、CPU96によりこれらの制御プログラムが実行される。これらの制御プログラムにより、入出力I/F98を介して、入力部31、表示部32、振動検知部21、赤外線検知器22、その他の検知器23の入出力が管理される。入力部31及び表示部32の入出力制御により、設定操作部30と同様の機能を実現する。さらに、CPU96はメモリ97に記憶された制御プログラムに基づき、各種検知器21乃至23からの信号を定期的に読出す。読み出した検知器21乃至23からの信号データを制御プログラムにより処理することにより、監視異常検出部20、監視信号出力制御部10及び信号送信制御部5等と同様の機能を実現する。このようにして作成した監視信号も、制御プログラムに基づき、通信I/F99を介して通信部40に送信され、通信部40から監視センタシステム80に送信される。さらに、GPS信号受信機能を備えることにより、位置算出機能も実現可能である。
【0049】
次に図を用いて、本発明の実施形態にかかる異常検出装置と監視センタシステムにおける各種信号の発生タイミングについて説明する。図10は、本発明の一実施形態にかかる異常検出装置及び監視センタシステムにおける監視開始時における主要信号のタイミングチャートである。
図10は、図8に示す異常信号検出ユニット70、無線通信ユニット71、操作ユニット72の3個の分離ユニットから構成される異常検出装置のタイミングチャートを示している。この異常検出装置は、監視開始信号ではなく、異常信号検出ユニット70と無線通信ユニット71とが接続されたときに送信開始判定部11の計時手段が起動される構成となっているものとする。
【0050】
まず操作ユニット72と無線通信ユニット71とが接続されて、所定の操作に基づいて監視開始信号が出力される。監視開始信号は監視センタシステム80に送信されて、監視センタシステム80を監視モードに移行させる。
なお、監視モードへの以降操作の際、正規の操作者であるかの確認を行ってもよい。その際、入力部31から暗証番号を入力し、接続I/F75及び73を介して無線通信ユニット71の制御部に予め記憶してある暗証番号と一致するかを確認する。
また、図8の操作ユニット72の制御部77及び/又は図3の監視センタシステム80の監視サーバ83に暗証番号を記憶しておき、入力された暗証番号と比較してもよい。
【0051】
次に異常信号検出ユニット70と無線通信ユニット71とが装着されると、接続信号が発生する。これにより第1の計時手段が起動可能になり、第2の計時手段が起動される。振動検知信号及び赤外線検出信号は、異常信号検出ユニット70と無線通信ユニット71の接続動作に伴う振動等により接続以前から発生しているが接続信号を受信するまでは無視される。
【0052】
接続信号を受信すると、その後受信した振動検知信号又は赤外線検知信号により第1の計時手段が起動される。第1の計時手段は、振動検知信号または赤外線検知信号を受信する度に再起動されて、これらの異常検出信号が出力されている限りタイムアウトすることはない。しかし、振動検知信号及び赤外線検知信号のいずれも受信しない状態が第1の所定時間継続すると、タイムアウトして送信許可信号を出力する。送信許可信号が出力されることにより、その後発生した振動検知信号又は赤外線検知信号等の異常検出信号は、監視センタに送信される。
【0053】
振動検知信号(ケース1)及び赤外線検知信号(ケース1)では、送信許可後▲1▼及び▲2▼において異常信号が出力されている。▲1▼と▲2▼にはわずかに間隔が空いているが、信号保持回路により異常検出信号は所定期間保持されるので、信号の短い断絶は無視される。振動検知信号▲1▼により異常信号(ケース1)が"ハイ“となる。このように正常状態から異常状態に変化すると、異常検出装置から監視センタシステム80に異常信号が送出される。監視センタシステム80では異常信号を受信すると、ディレイタイマを起動する。これは、異常状態が一定期間継続するかどうかを確認するもので、ディレイタイマがタイムアウトするまでに異常状態が回復した場合には、監視センタシステム80は、異常状態とは判定しない。異常検出装置2は、異常信号が出力されないと、異常状態から正常状態に復帰したものとして、復帰信号を出力する。したがって、監視センタシステム80は、ディレイタイマがタイムアウトする前に復帰信号を受信することにより、異常状態が正常に回復したものと判断する。
【0054】
図10の例では、振動検知信号▲1▼により異常信号が出力されて、監視センタシステム80に異常信号が送信され、これによりディレイタイマが起動される。復旧信号はディレイタイマがタイムアウトするまでに送信されないので、▲3▼に示すように、監視センタシステム80は異常状態が発生したものと判定して対応措置を発動する。
【0055】
次に、図10に示す振動検知信号(ケース2)の例により、接続信号が発生してから連続して振動検知信号▲4▼が出力されている場合について説明する。この場合には、第1の計時手段の第1の所定時間はタイムアウトしないため、送信許可信号が出力されない。しかし、第1の所定時間がタイムアウトしない場合でも、接続信号発生時には同時に第2の計時装置が起動されており、第2の所定時間が経過すると強制的に送信許可信号▲5▼が出力される。これにより異常信号が出力され、監視センタシステム80に異常信号が送信されて、ディレイタイマが起動される。図10の例では、振動検知信号▲4▼はディレイタイマのタイムアウト前に無くなり、復旧信号が送信されるので、監視センタシステム80はこの場合には、異常状態とは判定しない。
【0056】
図11により、監視モードの解除について説明する。図11は、監視モードを解除する状態を説明するためのタイミングチャートである。
今、振動検知信号▲6▼が出力されると、異常信号が出力され、これに応じて異常信号が監視センタシステム80に送信される。監視センタシステム80では、前述の通り、ディレイタイマにより所定のディレイ期間が起動される。振動検知信号▲6▼がディレイ期間より長いので、ディレイ期間は復旧信号を受信する前にタイムアウトし、監視センタシステム80は、▲7▼に示すとおり、異常状態が発生したものと判定する。
【0057】
一方、通常、監視モードを解除する場合には車輌に乗り込み、操作ユニット72と無線通信ユニット71を接続して、解除操作をしなければならない。したがって、このような解除のための動作においても、異常信号は出力することになる。解除操作に伴い出力される振動検知信号▲8▼が検知されると、他の異常状態と同様に異常信号が出力され、監視センタシステム80に異常信号が送信される。
【0058】
しかし、解除操作に要する時間は限られており、所定のディレイ期間内にまず異常信号検出ユニット70と無線通信ユニット71とが分離され、操作ユニット72と無線通信ユニット71とが接続される。異常信号検出ユニット70が切り離されるので、この段階で異常信号は出力されなくなるが、復旧信号も送信されないので監視センタシステム80では尚異常状態が継続していると認識している。その後、操作ユニット72と無線通信ユニット71とが接続され、操作ユニット72の操作により解除信号が送信されると、監視センタシステム80は監視モードの終了であることを認識して監視モードを終了する。
【0059】
本実施の形態においては、監視モードから監視解除状態に移行させる場合に、正規の操作者であるかの確認を行う。図8の入力部31から暗証番号を入力し、接続I/F75及び73を介して無線通信ユニット71の制御部45に予め記憶してある暗証番号と比較する。
また、図示しない暗証番号記憶部を、操作ユニット72の制御部77と監視センタシステム80との間に設け、そこで暗証番号を確認する構成としてもよい。
【0060】
以上の説明からわかるように、監視センタシステム80のディレイ期間は解除操作と密接な関連を有している。解除操作に要する時間は、機械式の駐車場等の場合のように駐車環境によっても大きく異なる。一方、あまり長いディレイ期間を設定すると、異常状態の発見が遅れる恐れがある。かかる観点から、監視対象物の監視環境に応じて、監視センタシステム80のディレイ期間を変更可能な構成とするこことも可能である。このようなディレイ期間の変更を異常検出装置の操作ユニットにより行わせることも可能である。この場合には、安全性の観点から、変更権限の認証を行う等の構成が好ましい。
【0061】
次に、フローチャートを用いて、本発明の実施形態にかかる異常検出装置の動作を説明する。尚、以下の説明では、図8の異常検出装置2−2のように、異常検出装置が、異常信号検出ユニット70、無線通信ユニット71、操作ユニット72の3個のユニットに分離されており、検知器として振動検知器及び赤外線検知器とを備えている異常検出装置を前提として説明する。
【0062】
図12は、監視解除の状態から、監視モードへの移行処理手順を示すフローチャートである。操作ユニット72と無線通信ユニット71とが接続された状態で、操作ユニット72の操作により監視開始信号が入力されると(S101;はい)、GPS信号等により現在位置が算出され(S102)、監視開始信号と現在位置情報とが無線通信部40を介して監視センタシステム80に送信される。監視センタシステム80は、監視開始信号を受信すると、セットOK信号を送信する。監視センタシステム80からセットOK信号を受信すると(S104;はい)、監視センタシステム80は監視モードに移行したことを登録する(S105)。
【0063】
図13は、監視センタシステム80の監視処理手順の一例を示すフローチャートである。
異常検出装置2から監視開始信号及び位置情報を受信することにより、監視開始を起動し、監視対象物の現在位置を登録した後、異常検出装置2にセットOK信号を送信して、監視モードに移行する(S202)。監視センタシステム80では、異常信号の誤報等による誤った認識を避けるため、所定時間以上継続して異常信号が発生していない場合には、異常状態と認識しないようにしている。そのため、所定時間の経過を監視しているが(S203)、異常信号を受信していなければ工程S204に進む(S203:いいえ)。工程204では、異常検出装置2から何らかの信号を受信してかどうかを確認し(S204)、受信していない場合には(S204;いいえ)、工程S203に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0064】
異常検出装置2から何らかの信号を受信すると(S204;はい)、その都度、監視対象物の移動距離を算出する(S205)。異常検出装置2から信号を送信する際には同時に現在位置情報を送信するように構成することにより、監視開始時に登録した位置と現在位置との差から監視対象物の移動距離を算出可能である。算出された移動距離から、監視対象物の現在位置が所定の許容範囲内にあるか否かが確認され(S206)る。許容範囲内にない場合には(S206;いいえ)、異常状態が発生したものと判定するとともに直ちに異常表示を行う(S212)。これは、監視状態下において、監視対象物の位置が所定の範囲を超えて移動した場合には、車両等の監視対象物が持ち去られたものとし、所定の期間の経過を待たずに直ちに異常事態と判定するという処理を行うものである。
【0065】
移動距離が所定の許容範囲内の場合には(S206;はい)は、受信した信号が異常信号かどうかを確認する(S207)。異常信号の場合には(S207;はい)、異常状態と判定するための所定期間の計時が開始される(S210)。計時開始後は、工程S203に戻り所定時間が経過したかどうかが確認され(S203)、所定時間が経過した場合には(S203;はい)、異常事態の判定と表示が行われる(S212)。所定時間が経過していない場合には、工程S204により信号を受信したかどうかの確認が行われる。異常検出装置2は、異常信号を送信した後は、異常検出信号が継続している限り異常信号は再送信しない。異常状態が継続しているだけであれば、工程S204と工程S203の確認処理を繰り返し、所定時間を経過したときに異常状態と判定し(S212)、または、異常信号以外の他の信号を受信したときに前述した工程S205、S206、S207の処理を行う。
【0066】
今、異常信号検出後にさらに何らかの信号を検出したとし、(S204:はい)。移動距離が所定の範囲内であるとすると(S206;はい)、工程207に進み異常信号の受信かどうかが確認される。今回の受信は、少なくとも異常信号の受信ではないので確認工程S207から工程208に進む。工程208では受信信号が復旧信号か否かが確認されて、復旧信号である場合には(S208;はい)、既に起動している計時動作を終了(計時タイマのリセット)させて、通常の監視モードに戻る(S203、204)。
【0067】
復旧信号は、異常検出装置2において異常検出信号が所定の保持期間以上継続して出力されなかった場合に、監視対象物が異常状態から正常状態に復旧したことを監視センタシステム80に通報するために、異常検出装置2から送信される。車輌の盗難等では、移動に伴いエンジンによる振動等が継続するので、異常状態の発生時に所定期間以上継続して検出信号が停止することは稀であることから、所定時間以上継続して異常検出信号が出力されない場合には、正常状態に復旧したものと判断する。したがって、復旧信号を受信すると、監視センタシステム80においても、異常状態かどうかの確認処理動作は中断される。
【0068】
受信した信号が復旧信号でもなかった場合(S208;いいえ)、解除信号か否かが確認される(S209)。解除信号は、監視モードを終了させる場合に、異常検出装置2の設定操作部30の解除操作に基づいて、異常検出装置2から送信される。したがって、解除信号を受信すると、監視モードを終了する(S213)。解除信号でもない場合には、いずれの信号にも該当しないので、工程S203に戻り、監視モードを続行する。
【0069】
次に、監視開始時における異常信号の送信開始判定処理手順の一例について説明する。図14は異常信号の送信開始判定処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、前述の説明では、設定操作部の操作により生成される監視開始信号により送信開始判定部11(図4、5、6等)を起動する構成を中心に説明した。しかし、このフローチャートの処理手順では、図8に示すようにユニットに分離した異常検出装置を使用しており、監視開始信号ではなく、異常信号検出ユニット70及び無線通信ユニット71が接続されることにより接続検知部76(図8)から出力される接続検出信号により送信開始判定部11を起動する場合について示している。
【0070】
異常信号検出ユニット70と無線通信ユニット71とが接続されて、接続検知部76からの接続信号により接続状態が検出されると(S301)、第1の計時手段及び第2の計時手段が計時動作を起動する(S302)。次に第2の計時手段による第2の所定時間が経過したか否かが確認され(S303)、経過していなければ(S303;いいえ)、振動検出信号が出力されているか否かを確認する(S304)。振動検出信号が出力中であれば(S304;はい)、第1の計時手段を再起動する(S308)。振動検出信号が出力中でなければ(S304;いいえ)、赤外線検出信号が出力中か否かを確認して(S305)、赤外線検出信号が出力中である場合には(S305;はい)、同様に第1の計時手段を再起動する(S308)。第1の計時手段を再起動すると、工程S303に戻り、第2の所的時間が経過しているかどうかが再度確認される。その後再び、振動検出信号及び赤外線検出信号の出力が確認され(S304、S305)、状況に応じて第1の所定の時間が再起動される(S308)。
【0071】
赤外線検出信号も出力されていない場合には(S305;いいえ)、第1の計時手段による第1の所定時間が経過したかどうかが確認される(S306)。異常信号の送信が許可されて(S307)、本処理を終了する。これにより、その後の異常検出信号の出力状況に応じて異常信号又は復旧信号を送信する。また、工程S303により、第2の所定時間が経過したときにも(S303;はい)、同様に異常信号の送信が許可される(S307)。
【0072】
図15を用いて、送信許可状態における振動検出処理手順の一例について説明する。図15は、振動検出処理手順の一例を示すフローチャートである。送信許可後振動検出信号を受信すると(S401;はい)、振動検出信号が保持中か否かが確認される(S402)。保持中でないと(S402;いいえ)、振動検出信号が出力され(S403)、保持タイマを起動する(S404)。保持タイマが起動されている間は振動検出信号が保持される。次に保持タイマがタイムアップしたかどうかが確認され(S406)、タイムアップしていないと(S408;いいえ)、異常信号検出ユニット70と無線通信ユニット71とが接続されているかどうかが確認される(S408)。
接続状態が維持されていると(S408;いいえ)、工程401に戻り、信号検出状態が継続しているかどうかが確認される(S401)。振動検出状態が継続していると(S401;はい)、工程S402を経て保持タイマを再起動し(S405)、振動検出信号を維持し続ける。
【0073】
振動検出信号の出力が停止しているときには、保持タイマがタイムアップしているか否かが確認される(S406)。保持タイマがタイムアップしていないときは(S406;いいえ)、工程S408、S401、S406の処理を繰り返し、振動検出信号出力が保持される。保持タイマがタイムアップすると、振動検出信号の出力の保持が解除され(S407)、振動検出信号は出力されない。異常信号検出ユニット70と無線通信ユニット71とが分離されると、異常信号等を監視センタシステム80に送信できないので、未接続状態を検出したときには(S408;はい)、振動検出処理を中止する。
【0074】
図16を用いて、送信許可信号後の赤外線検知信号保持の処理手順を説明する。図16は赤外線出力信号保持の処理手順の一例を示すフローチャートである。送信許可出力後、赤外線を検知すると(S501;はい)、その赤外線検知信号の前後所定の時間内(例えば5秒間)に振動を検知したかどうかが確認される(S502)。所定の期間内に振動を検知している場合には、赤外線検出信号が出力され(S503)、赤外線検出信号の出力が所定期間保持される(S504)。赤外線の検知前後の所定の時間内に振動を検知しない場合には(S502;いいえ)、赤外線検出信号は出力されない。異常信号検出ユニット70と無線通信ユニット71とが分離されたときには、本処理を終了する(S505;はい)。
【0075】
図17を用いて、異常信号保持の処理手順の一例を説明する。図17は、異常信号保持の処理手順の一例を示すフローチャートである。送信許可後に、振動検出信号の出力があると(S601;はい)、異常信号が出力されてその出力状態がさらに一定期間が保持される(S602)。振動検出出力が無い場合(S601;いいえ)、赤外線検出信号の出力があるかどうかが確認され(S604)、赤外線検出信号が有る場合にも(S604;はい)、異常信号が出力されてその出力状態が一定期間保持される(S602)。いずれの検出信号も検出しないときには、異常信号の出力は解除される(S605)。異常信号検出ユニット70と無線通信ユニット71とが未接続となったときには(S603;はい)、本処理は終了する。
【0076】
最後に、図18を用いて、監視センタシステム80へ送信する信号送信処理手順の一例を説明する。図18は、信号送信処理手順の一例を示すフローチャートである。監視状態において、振動検出信号又は赤外線検出信号等の異常検出信号を受信することにより、正常状態から異常状態に変化すると(S701;はい)、GPSシステム等により現在位置情報を取得して(S702)、異常信号及び現在位置情報を送出する(S703)。設定操作部30等から解除入力が無い限り(S707;いいえ)、再び正常から異常への変化の有無が確認される(S701)。
【0077】
今、異常状態に変化したのであるから、正常から異常へ変化することはないので(S701;いいえ)、工程S704の処理に進み、異常状態から正常状態への変化の有無が確認される。変化がないと工程S707により解除入力の確認等同様の処理が繰り返される。異常検出信号の出力がなくなり、異常状態から正常状態への変化があると(S704;はい)、再び現在位置情報を取得して(S705)、復旧信号とともに現在位置情報が送出される(S706)。監視解除信号を受信するまで同様の処理が繰り返され、監視解除信号を受信したときに(S707;はい)、監視センタシステム80に解除信号と位置情報を送出する(S708)とともに、解除モードへの移行を記憶する(S709)。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、監視開始信号を出力する設定操作部と、異常検出信号を出力する異常検出部と、一定期間異常信号の出力を禁止する送信開始判定部と、監視信号出力部と、無線通信部とを設けて、監視開始信号を受信した後、異常検出信号を受信しない状態が所定の第1の期間継続するまで、送信開始判定部により異常信号の出力を禁止することにより、監視開始直後における異常状態の誤検出を防止することが可能となった。
【0079】
さらに、監視開始信号を受信してから第1の期間より長い第2の期間以上、異常検出信号が出力されている場合には、強制的に異常信号の出力を許可する構成とすることにより、初期異常状態の検知も可能になる。
【0080】
また、異常検出装置を異常信号検出ユニット、無線通信ユニット、及び操作ユニットに分離した構成とすることにより、無線通信ユニットを他の用途にも使用可能な携帯端末装置と兼用することが可能となり、異常検出装置のトータルコストを低減化することも可能となる。さらに操作ユニットを分離することにより、侵入者による解除信号の送信を防止することも可能となり、より高い信頼性を確保可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態にかかる異常検出装置2の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の異常検出装置を用いた監視システムの全体構成例を示すイメージ図。
【図3】監視センタシステムの一形態の構成を示す機能ブロック図。
【図4】監視信号出力制御部10の第1の実施形態10−1を示す機能ブロック図。
【図5】第2の実施形態にかかる監視信号出力制御部10−2を示す機能ブロック図。
【図6】異常検出装置の他の実施形態2−1を示す機能ブロック図。
【図7】監視異常検出部の第2の実施形態20−2及び監視信号出力制御部の第3の実施形態10−3の機能ブロック図。
【図8】本発明にかかる異常検出装置の他の実施形態2−2を示す機能ブロック図。
【図9】本発明の異常検出装置をCPU等を使用して実施する場合の構成図。
【図10】本発明の一実施形態にかかる異常検出装置及び監視センタシステムの、監視開始時における主要信号のタイミングチャート。
【図11】監視モードの解除時のタイミングチャート。
【図12】監視解除の状態から、監視モードへの移行処理手順を示すフローチャート。
【図13】監視センタシステム80の監視処理手順を示すフローチャート。
【図14】異常信号の送信開始判定処理手順を示すフローチャート。
【図15】振動検出処理手順の一例を示すフローチャート。
【図16】赤外線出力信号保持の処理手順を示すフローチャート。
【図17】異常信号保持の処理手順の一例を示すフローチャート。
【図18】信号送信処理手順の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
2 異常検出装置
5 信号送信制御部
10 監視信号出力制御部
11 送信開始判定部
12 監視信号出力部
13 操作信号出力制御部
20 異常検出部
21 振動検知部
22 赤外線検知器
30 設定操作部
40 無線通信部
51 第1の計時手段
53 監視信号生成部
55 第2の計時手段
70 異常信号検出ユニット
71 無線通信ユニット
72 操作ユニット

Claims (7)

  1. 監視対象物を監視する監視センタシステムに監視要因の状況変化を通報する異常検出装置であって
    入力部を備え、所定の操作により監視開始信号を出力する設定操作部と、
    所定の監視要因の状況変化を検知したときに検知信号を出力する少なくとも1個の検知器を具備し、該検知器からの検知信号に基づいて異常検出信号を出力する異常検出部と、
    前記監視開始信号を受信後、前記異常検出信号を受信しない状態が所定の第1の期間継続したときに送信許可信号を出力する送信開始判定部と、
    前記送信許可信号を受信するまでは前記異常検出信号を受信しても監視信号を出力せず、前記送信許可信号を受信後前記異常検出信号受信したとき監視信号を出力する監視信号出力部と、
    前記監視信号出力部から受信した前記監視信号を前記監視センタシステムに送信する無線通信部と、
    を備えることを特徴とする異常検出装置。
  2. それぞれ分離された異常信号検出ユニットと無線通信ユニットとを含んで構成され、監視対象物を監視する監視センタシステムに監視要因の状況変化を通報する異常検出装置であって、
    前記異常信号検出ユニットは、
    前記無線通信ユニットが接続されたことを検知して監視開始信号を出力する接続検知部と、
    所定の監視要因の状況変化を検知したときに検知信号を出力する少なくとも1個の検知器を具備し、該検知器からの検知信号に基づいて異常検出信号を出力する異常検出部と、
    前記監視開始信号を受信後、前記異常検出信号を受信しない状態が所定の第1の期間継続したときに送信許可信号を出力する送信開始判定部と、
    前記送信許可信号を受信するまでは前記異常検出信号を受信しても監視信号を出力せず、前記送信許可信号を受信後に前記異常検出信号を受信したとき監視信号を出力する監視信号出力部と、を備え
    前記無線通信ユニットは、
    前記異常信号検出ユニットから前記監視信号を受信すると前記監視センタシステムに通報を行う、ことを特徴とする異常検出装置。
  3. 前記送信開始判定部はさらに、前記異常検出信号を受信しない状態が前記第1の所定期間継続することなく、前記監視開始信号の受信から前記第1の所定期間より長い第2の所定期間が経過したときには、前記送信許可信号を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の異常検出装置。
  4. 前記異常検出部は、振動異常を検知したときに振動検知信号を出力する振動検知器を備え、該振動検知器からの振動検知信号に基づき、前記異常検出信号として振動検出信号を出力することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の異常検出装置。
  5. 前記異常検出部はさらに、赤外線受光量の変化を検知したときに赤外線検知信号を出力する赤外線検知器を備え、該赤外線検知器からの前記赤外線検知信号に基づき、前記異常検出信号として赤外線検出信号を出力することを特徴とする請求項に記載の異常検出装置。
  6. 前記異常検出部はさらに、赤外線受光量の変化を検知したときに赤外線検知信号を出力する赤外線検知器を備え、前記振動検知信号を受信した後所定の期間内に前記赤外線検知信号を受信したとき、又は前記赤外線検知信号を受信した後所定の期間内に前記振動検知信号を受信したときに限り、赤外線検出信号を前記異常検出信号として出力することを特徴とする請求項に記載の異常検出装置。
  7. さらに、位置情報を受信して現在位置を算出する位置情報算出部を具備し、前記監視センタシステムへの前記監視開始信号、前記監視信号及び解除信号の送信と同時に前記位置情報を送信することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の異常検出装置。
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