JP3751424B2 - 侵入送信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線を用いた警備システムに関し、特に侵入センサの検知信号を警備端末装置(以下、「コントローラ」という。)に無線にて送信する侵入送信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、警備システムは、警備領域内で異常が発生すると、警備領域内に設置されているコントローラから通信回線を介して警備センターに通報する。警備センターにて、この異常通報を受信すると、異常発生場所や異常内容を対処者に伝え、対処者が該当する警備領域に急行し適切な対応を行うようになっている。
【0003】
警備領域内での異常には、火災異常、警備セット中での人の検知、扉の開、窓の開などの侵入異常、警備システムを構成する機器に障害が生じた機器異常などがある。例えば、侵入異常は、警備領域の各所に設置されている人体が発する赤外線を検知し人の有無を検知するいわゆるパッシブ赤外線センサ、窓や扉の開閉を検知するマグネットセンサ、人の通過する箇所に赤外線ビームを投受光し赤外線の遮断を検知する赤外線ビームセンサなど種々の侵入センサによって検知される。そして、センサによって検知された検知信号は侵入送信装置から無線信号でコントローラに送信したり有線信号にてコントローラに送信する。この検知信号をコントローラにて受信すると、侵入センサからの検知信号の場合、コントローラは、警備領域が警備セット中であれば通信回線を介して警備センターに通報する。一方、警備解除中であれば侵入センサから検知信号を受信しても異常と扱わず、通報を行なわない。
【0004】
また、コントローラは、火災検知信号や機器異常信号を受信すると、侵入者の検知の場合と異なり警備領域の警備モードに関係なく、警備センターに通報するようにしている。
【0005】
侵入センサは、侵入者と当該警備領域の正規の使用者とを区別せず、警備領域の警備モードに関係なく検知信号を送出するため、コントローラが警備モードの状態にて、侵入異常か否かを判断しているのである。
【0006】
また、侵入センサからのコントローラへの検知信号の送信方法として、無線にて行なう方法と、有線にて行なう方法とがある。有線にて行なう場合は、侵入センサからコントローラまで配線が必要であるため、警備領域の美感を損ねたり、配線工事費がかかるという問題がある。そこで、侵入センサの近傍に侵入送信装置を設置し、侵入センサの検知信号を無線信号としてコントローラに送信する。いわゆる無線式警備システムが実用化されている。
【0007】
ここで、侵入センサの検知信号の特殊性について説明する。警備セット中に比べて警備解除中の方が、該検知信号は頻繁に発生する。警備解除中は、利用者が警備領域内を自由に移動するので、侵入センサは頻繁に検知信号を発生する為である。しかし、この警備解除中の侵入センサの検知信号の通報は不要であり、この不要な検知信号を全て侵入送信装置にて無線送信すると、通信トラヒックが増加したり、通信の為に電池を消耗する等の問題がある。
【0008】
そこで、従来の無線式警備システムでは、侵入センサが検知しても、侵入送信装置は検知信号を全て無線送信するのではなく、侵入送信装置は最初の検知信号をコントローラに無線送信し、その後の侵入センサの検知時間間隔が自己に内臓されたタイマーの所定時間内であれば、検知信号をコントローラに無線送信しないようにしていた。
【0009】
これにより、侵入送信装置は、警備解除中のように人体等を連続的に検知しても、最初の検知信号のみコントローラに送信するだけで済むので、無線通信トラフィックが緩和されるとともに、送信処理に伴う電池の消耗を減少させることができる。即ち、無駄な検知信号の送信を防止するようにしていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、侵入センサが長時間にわたって頻繁に検知してしまう場合、例えばパッシブ赤外線センサの監視エリア内に太陽光などで熱せられたカーテンが風によって揺れ続けていたときには、侵入送信装置は、当該侵入センサの検知信号が、その都度自己に内臓されたタイマーの所定時間内となる為、コントローラに無線送信されない。このような状態が警備解除中に生じていると、警備セットになっても侵入センサの検知信号が侵入送信装置からコントローラに送信されず、ひいては警備センターに伝わらなかった。
【0011】
また、侵入送信装置に警備セット中、警備解除中の警備モードの区別を認識させるようにし検知信号の送信の要否を判断させることも考えられるが、この場合、侵入送信装置に受信機能を持たせる必要がありコストアップになってしまう。
【0012】
更に、侵入送信装置が全ての検知信号をコントローラへ送信するようにすれば、侵入送信装置の電池寿命が短くなる上、通信トラフィックが増大して、ひいては警備システムの信頼性が逆に損なわれるおそれがあった。
【0013】
そこで、本発明は、前記侵入送信装置の駆動電力の消費低減、コントローラの処理量低減、及び通信トラヒックを緩和しつつ、侵入センサが侵入者を検知しているにもかかわらず、侵入送信装置が検知信号をコントローラへ送信しない状態を減らし、警備システムの信頼性を向上させることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に、本発明は、侵入センサからの検知信号を受信する毎に第一の所定時間の計時をリスタートする計時手段と、前記計時手段が非計時中に該検知信号を受信すると無線信号を送信し、前記計時手段が計時中該検知信号を受信しても該無線信号の送信を行なわない送信禁止状態となる送信手段を備えた侵入送信装置において、第二の所定時間を繰り返し計時する強制解除タイマーと、前記強制解除タイマーが第二の所定時間の経過を計時する毎に前記計時手段の計時を強制的に終了させることにより前記送信禁止状態を解除する強制解除手段と、を有することを特徴とする侵入送信装置を提供する。これによって、侵入センサの検知信号を受けているにも拘わらず検知信号を長時間にわたって送信しない状態となるのを防ぐことができる。
【0015】
なお、第一の所定時間とは、警備領域が警備解除中において通常の人の出入や動きを侵入センサが複数回検知するであろう時間である。
【0016】
ここで、強制解除手段は第一の所定時間より長い第二の所定時間毎に前記計時手段の計時を終了させることを特徴とする。従って、第二の所定時間毎に、送信禁止状態を強制的に解除することができる。即ち、第二の所定時間は、その警備領域の諸条件にあわせて定められ、送信禁止状態が長時間になりすぎないように定められた時間である。
【0017】
また、強制解除手段は送信手段の送信をトリガーに第二の所定時間の計時を開始してもよい。これにより、計時手段が計時していないときに、強制解除手段を動作させる必要がなくなるという効果がある。
【0018】
更に、強制解除手段の第二の所定時間をランダムに定めると、送信禁止状態の解除が何時行われるかだれにも知られることがなく、警備システムのセキュリティ性がより向上される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図をもとに本発明の実施の形態を説明する。図1は警備システムの全体構成図である。警備システムは、ビル、家屋、工場等の複数の警備領域(A,B,…N)を電話回線等の通信回線4を介して警備センター5と接続している。
【0020】
警備領域には、通信回線4に接続したコントローラ2と、警備領域内への侵入を検知する侵入センサ31、33、火災発生などを検知する火災センサ32など各種センサと、該侵入センサの検知信号を無線送信する侵入送信装置1とが設けてある。
【0021】
図2はコントローラ2のブロック図である。同図において、センサI/F21は、警備領域に適宜設置された火災センサ32、侵入センサ33等からの検知信号を受信する手段であり、有線接続される。操作部22は、テンキーやカードリーダー等から構成され、警備領域の正規の使用者や対処者が操作する操作部である。なお、操作部22は、コントローラ2に内臓されても、独立して設置されてもよい。
【0022】
例えば、警備領域を警備解除状態から警備セット状態に又はその逆に移行するとき等に、暗証コード入力やIDカードのデータ読み込みを行うための手段である。
【0023】
表示部23は、LEDやLCDから構成され、警備領域の状態(警備セット中や警備解除中等)、異常発生の有無、機器のメンテナンス情報などを表示する。記憶部24は、ROM、RAMにて構成し、警備モード状態、検知履歴、警備センター5の電話番号、警備システムのプログラムなど各種データ及びプログラムを記憶している。
【0024】
通報部25は、ダイヤルリレー等からなり、電話回線4を介して警備センター5に異常通報を行う。受信部26は、侵入送信装置1から送信される無線信号を受信する。そして、制御部27は、前述の各部を制御するマイクロコンピュータ等からなる。
【0025】
図3は侵入送信装置1のブロック図である。侵入送信装置1は、侵入センサ31の検知信号を受け制御部14に取り込むインターフェース回路である侵入センサI/F11と、侵入送信装置1のプログラムやセンサアドレス等を記憶している記憶部12と、検知信号を無線信号に変換しアンテナから無線送信する送信部13と、マイクロコンピュータ及び計時手段等の周辺回路からなり本装置全体を制御する制御部14と、これらに電源を供給する電池15とから構成される。なお、侵入センサ31は、パッシブ赤外線センサ、マグネットセンサ、超音波センサ、赤外線ビームセンサなどである。
【0026】
次に、侵入送信装置1の動作フローについて説明する。図4は侵入送信装置1の基本動作フローを示している。ステップS31では、侵入センサ31からの検知信号が入力されたか否かを判断する。そして、侵入センサ31から検知信号を受信すると制御部14にて送信禁止フラグがONしているか否かを判断し(ステップS32)、送信禁止フラグがOFFであれば、送信部13にてアンテナ16を介して、コントローラ2へ検知信号を送信する(ステップS33)。
【0027】
そして、送信禁止フラグをONにするとともに、第一の所定時間の計時を開始する(ステップS34)。ここで、ステップS33とステップS34の順序は逆でも良い。また、第一の所定時間とは、侵入センサ31が警備解除中に通常の人の出入や動きを複数回検知するであろう時間を想定して設定している。以下、この第一の所定時間を計時する手段を計時手段という。
【0028】
また、送信禁止フラグとは、侵入送信装置1が送信するか否かを判定するときに使用するフラグであって、ON又はOFFの1bitで制御部14のメモリに記憶されている。
【0029】
一方、ステップS32において送信禁止フラグがONのときは、送信処理を行なわず、ステップS35に進む。
【0030】
ステップS35では、第一の所定時間を計時中に侵入センサ31からの検知信号が入力されたか否かを判断している。ここで、検知信号が入力されたときは、計時手段をリスタートさせ第一の所定時間を改めて計時する(ステップS39)。
【0031】
その後、送信禁止フラグがONであれば(ステップS3A)、ステップS35に戻る。他方、送信禁止フラグがOFFであればステップS33に戻り送信処理を行なう。ステップS3Aにて、送信禁止フラグがOFFと判定されるのは、後述する強制解除処理が行なわれた場合である。
【0032】
一方、ステップS35にて検知信号の入力がなければ、計時手段にて第一の所定時間が経過したか否か判定し(ステップS36)、第一の所定時間が経過した場合は、送信禁止フラグをOFFにし(ステップS37)、計時手段をリセットし(ステップS38)、ステップS31に戻る。一方、ステップS36にて、第一の所定時間が経過していない場合は、ステップS35へ戻る。
【0033】
次に、図5の侵入送信装置1の強制解除処理フローについて説明する。同フローは図4の侵入送信装置1の基本動作フローに対する割り込み処理であって、計時手段によって送信禁止状態となっているのを強制的に解除させるための処理である。
【0034】
即ち、送信禁止フラグを強制的にOFFにし、計時手段もリセットさせることにより、侵入センサ31からの検知信号を受信すると、該検知信号を無線送信するようにしている。なお、図4の基本動作フローのステップS31〜ステップS34は一連で処理される。従って、割り込み処理がステップS31〜ステップS34の処理中に発生した場合、ステップS34の処理後となる場合がある。
【0035】
先ず、電源ONと同時に第二の所定時間を計時する強制解除タイマーを起動する(ステップS41)。ここで、第二の所定時間とは、第一の所定時間より長い時間であって、送信禁止状態が長時間になりすぎないように定められた時間である。これは、その警備領域の諸条件によって定まるものである。
【0036】
そして、ステップS42にて第二の所定時間が経過したか否かを判断し、第二の所定時間が経過したときに送信禁止フラグをOFFにする(ステップS43)とともに、計時手段をリセットする(ステップS44)。また、ほぼ同じタイミングで強制解除タイマーをリセットし(ステップS45)、ステップS41へ戻る。但し、ステップS43〜45は、ほぼ同じタイミングであり、各動作が保証されれば順序を問わない。
【0037】
また、第二の所定時間を固定とせず、強制解除タイマーを起動させるときに、乱数を発生させてランダムに時間を決めるようにしても良い。ランダムに変わる時間とすると、送信禁止状態が何時解除されるかわからなくなるため、例えば、侵入送信装置1を熟知した者が、悪意をもって侵入送信装置1を送信禁止状態とした後に警備領域への侵入を試みても、ただちに侵入検知信号の無線送信される場合があり、本機能を熟知した者であっても容易に侵入することができなくなる。
【0038】
更に、本実施の形態では、電源ONを強制解除タイマー起動のトリガーとしたが、侵入センサの検知信号の無線送信を強制解除タイマー起動のトリガーとしてもよい。この場合、送信部13からの検知信号の出力を制御部14にフィードバックさせることにより実現できる。
【0039】
その他、本実施の形態では、強制解除タイマーを常時動作させているが、送信禁止フラグのONをトリガに起動させても良い。こうすると、強制解除タイマーを常時動作させることなく、計時手段が動作しているときの必要なときだけ強制解除タイマーを動作させるようにできる。即ち、図5のステップS41にて送信禁止フラグの状態を監視し、送信禁止フラグがONとなったときに強制解除タイマーを起動し、ステップS42に進む。また、送信禁止フラグがOFFであれば送信禁止フラグがONになるまで待機するようにすれば良い。
【0040】
本発明の実施の形態では、侵入センサ31と侵入送信装置1とを別々の機器として説明したが、これらを一体として構成してもよいことはいうまでもない。
【0041】
【発明の効果】
侵入センサが長時間にわたって頻繁に検知した場合でも、強制的に送信禁止状態を解除し、検知信号を送信できるようになる。このため、侵入送信装置から無駄な検知信号の送信をなくし、電力消費を抑制した状態のまま、長時間に渡っての送信禁止状態の継続を阻止できる。
【0042】
また、コントローラにおいては、無駄な信号を受信することが減るので、その処理負担が軽減される。これらの結果、無線式警備システムの信頼性、特に、侵入センサの検知信号の信号伝達の信頼性の向上が図られる。
【0043】
【図面の簡単な説明】
【図1】 警備システムの全体構成図
【図2】 コントローラ2のブロック図
【図3】 侵入送信装置1のブロック図
【図4】 侵入送信装置1の基本動作フロー
【図5】 侵入送信装置1の強制解除処理フロー
【符号の説明】
1 侵入者検知装置
11 侵入センサI/F
12 記憶部
13 送信部
14 制御部
15 電池
16 アンテナ
2 コントローラ
21 センサI/F
22 操作部
23 表示部
24 記憶部
25 通報部
26 受信部
27 制御部
28 アンテナ
31,33 侵入センサ
32 火災センサ
4 通信回線(電話回線)
5 警備センター

Claims (3)

  1. 侵入センサからの検知信号を受信する毎に第一の所定時間の計時をリスタートする計時手段と、前記計時手段が非計時中に該検知信号を受信すると無線信号を送信し、前記計時手段が計時中該検知信号を受信しても該無線信号の送信を行なわない送信禁止状態となる送信手段とを備えた侵入送信装置において、
    第二の所定時間を繰り返し計時する強制解除タイマーと、
    前記強制解除タイマーが第二の所定時間の経過を計時する毎に前記計時手段の計時を強制的に終了させることにより前記送信禁止状態を解除する強制解除手段と、
    有することを特徴とする侵入送信装置。
  2. 侵入センサからの検知信号を受信する毎に第一の所定時間の計時をリスタートする計時手段と、前記計時手段が非計時中に該検知信号を受信すると無線信号を送信し、前記計時手段が計時中は該検知信号を受信しても該無線信号の送信を行なわない送信禁止状態となる送信手段とを備えた侵入送信装置において、
    前記送信手段が前記無線信号を送信すると計時を開始する強制解除タイマーと、
    前記強制解除タイマーの計時により前記無線信号を送信してから第二の所定時間が経過したことを判断すると前記計時手段の計時を強制的に終了させることにより前記送信禁止状態を解除する強制解除手段と、
    を有することを特徴とする侵入送信装置。
  3. 前記強制解除手段は、前記第二の所定時間をランダムに定めることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の侵入送信装置。
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