JP4688117B2 - 爆発性または発火性ガスに対するシール機構 - Google Patents

爆発性または発火性ガスに対するシール機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、爆発性ガスまたは発火性ガスに対するシール機構に関するものであり、更に詳しくは、大気との混合または接触によって爆発または発火するガスが使用される機器や処理室において、シール洩れを生じても爆発や発火に至らしめないシール機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガスのシールにはO−リングによるシールのほかに、オイルシール、メカニカルシール等の方法が採用されているが、シール洩れに対しては、洩れたガスを検出するガスセンサーや真空計ないしは質量分析計等の検出機器を設置しておき、シール洩れが検出された場合には当該シールを交換することが一般的に行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記においては、シール洩れの検出機器の設置場所や設置台数を適正に設定することに難があり、また、温度が高くなる場所には検出機器を設置できないという問題もある。一方、水素(H2 )ガスやアセチレン(C22 )ガスは、大気との混合状態において爆発性があり爆発限界も広いので、これらの爆発性ガスが機器または処理室内へ真空下に導入される系においては、シール洩れは機器または処理室内へ大気が混入することを意味し、危険な事態を招きかねない。またホスフィン(PH3 )ガスやジシラン(Si26 )ガスは大気との接触によって発火する性質を持っているので、機器または処理室から大気側への洩れは直ちに発火に結びつく。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、仮りにシール洩れが発生してもシール洩れ部分において爆発性ガスや発火性ガスが大気と混合したり接触することのないシール機構、更にはシール洩れの検出が可能なシール機構を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る扉シール機構は、少なくとも一時的に減圧され、大気との混合または接触によって爆発または発火するガスの雰囲気とされる機器または処理室の内部と大気とをシールするための扉シール機構において、
前記機器または処理室の開口の外周縁部と当接する当接面を有し、前記当接面に複数の環状溝が形成された挿入扉と、
前記複数の環状溝に各々嵌合された、前記挿入扉の径方向に大きさの異なる複数の環状ガスケットと、
前記挿入扉に形成された第1の穴に接続され、前記挿入扉の閉時に、少なくとも隣り合う2つの前記環状ガスケットの間に挟まれる扉シール部空間へ前記機器または処理室内の前記ガスの圧力より高い圧力で不活性ガスを導入するための第1の配管と、
前記挿入扉に形成された第2の穴に接続され、前記挿入扉の閉時に前記環状ガスケットの背圧を形成する不活性ガスを前記環状溝へ導入するための第2の配管と、
前記挿入扉の開時に前記環状溝を真空排気するための第3の配管と
前記第1の配管に設置され、不活性ガスの流量変動によって前記環状ガスケットのシール漏れを検出する流量計とを具備する。
このような扉シール機構は、隣り合う2か所の何れか一方の環状ガスケットにシール洩れを生じても、シール洩れ箇所を介して機器または処理室内のガスと大気とが混合したり接触することはなく、爆発や発火を抑え得る。
【0007】
上記扉シール機構は、扉シール部空間における不活性ガスの圧力が機器または処理室内のガスの圧力および大気圧より高い圧力とされてもよい。このような扉シール機構は、隣り合う2か所の環状ガスケットが同時にシール洩れを生じても、シール洩れ箇所を介して機器または処理室内のガスと大気とが混合したり接触することはなく、爆発や発火を抑え得る。上記扉シール機構は、扉の内面側に環状溝が設けられて環状ガスケットが嵌合されており、扉の閉時には環状溝へ導入される不活性ガスによって環状ガスケットに背圧がかけられて環状溝から若干突出され、扉の閉時には環状溝が真空排気されて環状ガスケットが環状溝内へ戻されるものである。このような扉シール機構は、扉の閉時には環状ガスケットが機器または処理室側へ押圧されて扉との間を確実にシールし、扉の開時には扉を機器または処理室から容易に分離させる。
【0008】
上記扉シール機構は、環状ガスケットが環状のゴム、合成樹脂、または金属の何れか、またはそれらの組み合わせからなるものである。このような扉シール機構は、扉シール部が適用される箇所の温度、圧力に応じて適切に選択されたものとなる。上記扉シール機構は、不活性ガス配管の途中に流量計が設置されており、不活性ガスの流量変動によって扉シール部のシール洩れが検出されるものである。このような扉シール機構は、常時、直接にシール洩れを監視していることになるので、シール洩れをリアルタイムで検出することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
爆発性または発火性ガスに対する本発明におけるシール機構は、上述したように、2か所のシール部に挟まれたシール部空間に、不活性ガスが、シール機構が設けられている機器または処理室内のガスの圧力より高い圧力で導入され、封入されるか又は微小流量で流されるものである。
図1はその基本的概念を示す断面図である。すなわち、シール機構1は水素処理室2の壁3を挿通されて往復動作する軸4に沿うO−リング5a、5bによって軸シール部が2か所に設けられており、それらの軸シール部に挟まれた軸シール部空間6の下方に穿設された直角に曲がる通気穴7aにアルゴンガス源11からのの導入配管9aの継手8aが螺着され、同様に軸シール部空間6の上方に穿設された直角に曲がる通気穴7bにアルゴンガスの排出配管9bの継手8bが螺着され、導入配管9aの途中にアルゴンガスの流量計12を設けたものである。
【0012】
上記のシール機構1において、軸シール部空間6にはアルゴンガスの導入配管9aから、流量計12を介して水素処理室2内の水素ガスの圧力PH よりも高い圧力PR で不活性ガスであるアルゴン(Ar)ガスが導入され、排出配管9bからは微小流量で排出され、その時のアルゴンガスの流量は流量計12によって常時モニタリングされている。この状態においては、水素処理室2内の水素ガスと大気とは完全にシールされる。
【0013】
そして、O−リング5aが損耗や劣化によってシール洩れを生じた場合には、Arガスは処理室2内へ流入するが、水素処理室2内の水素ガスと大気との混合は回避される。またO−リング5bがシール洩れを発生した場合には、Arガスの圧力PR が大気圧より高いと大気側へ流出し、Arガスの圧力PR が大気圧より低いと大気は軸シール部空間6へ流入するが、何ずれの場合も水素処理室2内の水素ガスと大気との混合は発生しない。
【0014】
そして、O−リング5a、5bが同時にシール洩れを発生する場合に対しては軸シール部空間6に、水素処理室2内の水素ガスの圧力PH および大気圧より高い圧力PR としてArガスを導入することにより、水素処理室2内の水素ガスと大気との混合を回避することができる。すなわちO−リング5a、5bが同時にシール洩れを生じると、Arガスは水素処理室2内と大気側との両方へ流出するが、水素処理室2内の水素ガスと大気とは混合しない。上記のO−リング5a、5bが共にシール洩れを発生した場合は従来における1個のO−リングがシール洩れした場合に相当するが、従来の場合、1個のO−リングがシール洩れすると、水素処理室2内の水素ガスと大気とは確実に混合する。なお、軸シール部空間6のArガスを水素処理室2内の水素ガスの圧力および大気圧より高い圧力とすることを必要とするのは処理室2内の圧力が、一時的にしろ、大気圧より低くされる場合であり、その時にシール洩れがあると大気が水素処理室2へ流入するからである。
【0015】
また、シール機構1においては、流量計12がArガスの流量を定常的にモニタリングしているので、少なくともO−リング5a、5bの何れか一方がシール洩れして、Arガスが処理室2内または大気側へ流出するようになると、その流出は流量計12における流量変動として検出されるので、シール洩れの場所がリアルタイムで検出され、大事に至る前に直ちに対策を取ることが可能になる。
【0016】
上記の図1においては、軸シール部空間6にArガスの導入配管9aと排出配管9bを設けてArガスを常時流すようにしたが、Arガスの導入配管9aのみとして、軸シール部空間6に処理室2内の水素ガスH2 の圧力PH および水素処理室2外の大気の圧力PA よりも高い圧力PR のArガスを導入するようにしてもよい。この場合、定常状態では流量計12の流量は「0」であるが、少なくともO−リング5a、5bの何れか一方がシール洩れするとArガスが流れ、その流れは流量計12で検出される。この場合には、流量計12がフロートによるものである場合、静止状態のフロートを浮かせることになるので、Arを常時流す場合と比較して若干感度が鈍いものになる。
【0017】
なお、図1は軸シールの場合を示す図であるが、例えば水素処理室2と、挿入扉とのシールにおいては、水素処理室2の開口の外周縁部と扉との当接面に、扉の径方向に大きさの異なる2個の環状のガスケットによって扉シール部を設け、それらの2か所の扉シール部に挟まれた扉シール部に、水素処理室2内の水素ガスの圧力より高い圧力でArガスを導入することにより、同様な効果が得られる。
【0018】
また、処理室が連接されており、それらを開閉するための弁板を有する仕切弁が設けられた仕切弁室においては、仕切弁を往復または回転させる軸の軸シール部のシール洩れや、弁板を開閉させるリンク部の不具合によって弁板が密接されないことにより仕切弁室のシール不全を生ずるが、これに対しても同様に対処し得る。例えば、仕切弁室の上流側と下流側の処理室を同時に開閉する弁板を仕切弁に取り付け、両側の処理室を弁板で閉じると共に、仕切弁室内へ両側の処理室の圧力より高い圧力でArガスを導入することにより、仕切弁室にシール不全が発生しても、仕切弁室に大気が流入することはなく、また、両側の処理室のガスと大気とが混合することはない。なお、この場合に仕切弁室の両側の処理室を連通させるには、大気の流入を避けるために仕切弁室を真空ポンプで減圧にして弁板を開くことが必要になる。
【0019】
なお、本発明におけるシール機構に使用される不活性ガスにはArガスやヘリウムガスのような希ガスが好適である。勿論、希ガス以外のガスであっても爆発性ガスまたは発火性ガス、および被処理物と反応性を持たないガスであればよく、例えば窒素ガスが使用可能な場合もある。
また、本発明のシール機構の不活性ガスの配管に取り付けられる流量計としては、フロート(浮子)式、羽根車式、オリフィス式、その他、微小な流量変化を捕捉し得るものである限りにおいて、如何なる方式の流量計であってもよい。
【0020】
また本発明の軸シール機構における軸シール部は、O−リングによるシール、オイルシール、またはメカニカルシールの何れによるものであるかを問わない。ちなみに、回転軸にオイルシールが適用される場合の圧力は3×104 Pa前後であり、回転速度は14〜20rpm程度である。そして、それより圧力が大であったり回転速度が大である厳しい条件ではメカニカルシールが採用され、それより緩い条件ではO−リングによるシールが使用されるのが一般的であるが、これらの何れを採用するかは機器、処理室の設計時に、使用条件に基づいて選定される。往復軸の場合の使用圧力、往復速度は、勿論、回転軸の場合より大である。
【0021】
また本発明の扉シール機構の扉シール部は、ゴム、合成樹脂、または金属の環状ガスケットの何れによるものであるかを問わない。ゴムガスケットは加圧変形された後の復元性があり、繰り返しの使用に耐えるが高温度での使用には向かない。ただ含フッ素ゴムは耐熱性を有している。これに対して金属ガスケットは、復元性に欠けるが、例えば500℃以上の温度においても使用可能である。芳香族ポリアミドによるガスケットは金属ガスケットに次ぐ耐熱性を示す。これらの何れを採用するかは機器、処理室の設計時に使用条件に基づいて選定される。
【0022】
【実施例】
次に、本発明の爆発性または発火性ガスに対するシール機構を実施例によって図面を参照し具体的に説明する。
【0023】
(実施例1)(参考例)
図2は希土類元素を含む磁石、例えばNd−Fe−B−Co合金磁石は連続式水素処理装置において、磁石合金のインゴットまたは粗砕インゴットを水素処理室へ装填して水素ガス雰囲気下に保持し、加熱室で加熱して水素を吸蔵させ、続いて加熱室で脱水素されて粉末状合金磁石となるが、粉末状合金磁石を収容して水素ガス雰囲気下の加熱室50内を搬送される図示を省略したトレイを検出するための発光・受光型光センサー13の発光部13a側に設けられた回転シャッター20とその周辺を示す概略的な断面図である。発光部13aからの光はパイプ状に形成された光路14を経由して加熱室50内へ照射され、反対側に設けられた図示を省略した受光部に受光されるが、その間の光ビームが遮断されることによりトレイが検出される。この加熱室50内の雰囲気は温度800℃、水素ガスの圧力0.1〜0.2MPaであり、粉塵濃度の高い水素ガス雰囲気となっているので、光路14の途中に設けた覗窓15のガラス板16が汚れないように常時は光路14の途中に設けた回転シャッター20が閉じられており、必要に応じて回転シャッター20を開けてトレイが確認される。
【0024】
回転シャッター20は、外筒22内で低速で回転される回転軸23に光路穴24が光路14に整合して設けられており、回転軸23はアクチュエータ21の駆動軸21sによって回転されて光路14を開閉する。この回転軸23と外筒22との間をシールするために、回転軸23の外周には、リテイナー25によって、上下に2個の含フッ素ゴムによるO−リング26a、26bが嵌め込まれ保持されているが、それらの間の空間にはArガスがArガス源29から大気圧および加熱室50の水素ガスの圧力より大の圧力で導入される。すなわち、外筒22に設けた螺着穴27にArガス源29からの配管28の継手が螺着されている。
【0025】
従って、上下のO−リング26a、26bの何れか一方または両方が摩損したり復元性を失う等によってシール洩れを発生しても、Arガスは大気側および加熱室50へ流入しても、加熱室50内の水素ガスが大気側へ洩れ出すことは防がれる。その他、初期のステップで水素処理室10内へ水素ガスを導入する際しては、事前に加熱室50は高真空度に真空排気されるが、この時においても、O−リング26a、26bの間の空間がArガスによって加圧されているので、シール洩れによって、大気がO−リング26a、26bのシール部から加熱室50内へ流入することはない。また、配管28の途中に流量計を設けておけば、シール漏れを即座に検知することができる。
【0026】
(実施例2)
図3は水素処理装置における水素処理室30の挿入扉41の扉シール部を概念的に示す断面図である。すなわち、水素処理室30の上流側端部の鏡板31の挿入開口32に設けられている挿入扉41は滑車36を介して鋼線索37に吊られており、水素処理室30の上部に固定された空圧シリンダー34のロッド35を滑車36と共に上下させることにより挿入扉41が上下されて挿入開口32が開閉される。そして、この挿入扉41と挿入開口32との間をシールするために、挿入扉41と挿入開口32の外周部との当接面に、挿入扉41の径方向に径の大きさの異なる環状ガスケット38a、環状ガスケット38bが挟持されている。なお環状ガスケット38a、38bは含フッ素ゴムによる中空状のものである。
【0027】
そして、図3の〇印で示す部分の拡大図である図4のAを参照して、環状ガスケット38aと環状ガスケット38bはそれぞれ挿入扉41の内面側に同心円状に穿設された環状溝42aと環状溝42bにそれぞれ嵌合されており、環状ガスケット38aと環状ガスケット38bとに挟まれる扉シール部空間39にArガスが水素処理室30内の水素ガスの圧力および大気圧よりも大の圧力で導入されている。すなわち、扉シール部空間39に対向する挿入扉41上の位置に螺着穴47を穿設してArガス源49からの配管48が接続されている。加えて、挿入扉41の表面から環状溝42a、42bに達する螺着穴43a、43bを穿設して接続される配管44にArガス源45と真空ポンプ46が接続されている。このArガス源45は挿入扉41を閉める時に環状ガスケット38a、38bに背圧をかけるためのものであり、真空ポンプ46は挿入扉41を開ける時に環状ガスケット38a、38bを水素処理室30側から分離して環状溝42a、42bへ戻すためのものである。
【0028】
従って、図4のAに示すように、挿入扉41が閉じられ、扉シール部空間39と環状溝42a、42bにArガスが導入され加圧されている時には、環状ガスケット38a、38bの何れか一方または両方がシール洩れを発生すると、Arガスは水素処理室30内および/または大気側へ流出するが、水素処理室30内の水素ガスと大気とが混合することは防がれる。また、初期のステップで水素処理室30内へ水素ガスを導入する際しては、水素処理室30は事前に高真空度に排気されるが、この時においても、環状ガスケット38aおよび環状ガスケット38bに挟まれる扉シール部空間39がArガスによって加圧されているので、扉シール部がシール洩れを生じても、大気がシール洩れ箇所から水素処理室30内へ流入することはない。また図4のBに示すように、挿入扉41を開ける時にはArガス源45とArガス源49を閉じて真空ポンプ46が起動されて環状ガスケット38a、38bは挿入扉41の環状溝42a、42b内に戻される。
【0029】
(実施例3)(参考例)
図5は水素処理装置における連接された第1加熱室50A、第2加熱室50B、およびそれらの間を開閉する仕切弁61を備えた仕切弁室60を概念的に示す断面図である。仕切弁61は仕切弁室60の天井面の蓋板62上に固定された空気圧シリンダ62のロッド64が、蓋板62を挿通して仕切弁室60内へ導入されており、ロッド64の下端部のリンク65aを介して、第1加熱室50Aの下流端部の開口52aを開閉する弁板66aが取り付けられ、リンク65bを介して、第1加熱室50Bの上流端部の開口52bを開閉する弁板66bが取り付けられている。そして、弁板66a、66bの内の弁板66aについて説明すれば、ロッド64と共に下降される弁板66aはその下端が第1加熱室50Aのストッパー56aに当接することにより下降を停止される。
【0030】
そして、ロッド64がなお若干下降されることにより、リンク65a、65bは押し拡げられ、弁板66aはO−リング56aを介して第1加熱室50Aの下流端部のフランジ53aに押圧され、第1加熱室50Aの開口52aを密閉する。このことは弁板66bについても同様である。開口52a、52bを開放する時にはロッド64が上昇され、弁板66a、66bは仕切弁室60の上部空間内へ引き上げられる。また、仕切弁室60の底面側に設けられた螺着穴67に取り付けた配管68には真空ポンプ69とArガス源71が接続されている。また、Arガス源71の接続されている配管の途中には流量計72が取り付けられている。なお、第1加熱室50A、第2加熱室50Bおよび仕切弁室60内には一点鎖線で示したトレイ73の搬送ローラ74が設けられている。
【0031】
図5に示すように、仕切弁61の閉時において、第1加熱室50A、第2加熱室50Bは共に、温度800℃、圧力0.1〜0.2MPa程度の水素ガス雰囲気にあるが、この時点においては、仕切弁室60内にはArガス源69からArガスが導入され、第1加熱室50A、第2加熱室50B内の水素ガスの圧力および大気圧よりは高い圧力が保持される。従って、空気圧シリンダ63のロッド64が仕切弁室60の天井面の蓋板62を挿通する部分の図示しない軸シール部の不具合や、リンク66a、66bのピンpの不具合による弁板66aおよび/または弁板66bの密閉不良を生じても、Arガスはロッド64の軸シール部から大気側へ流出するか、または密閉不良となった弁板66aと第1加熱室50Aのフランジ53aとの間から第1加熱室50Aへ流入し、また弁板66bと第2加熱室50Bのフランジ53bとの間から第2加熱室50B内へ流入することはあっても、第1加熱室50A、第2加熱室50B内の水素ガスが大気と混合ガスになることはないので、爆発事故が発生する怖れはない。また、上記のシール洩れはArガスの配管68の流量計72によってリアルタイムで検出されるので、直ちに対策を講ずることができ、大事に至ることを回避し得る。
【0032】
更には、第1加熱室50A、第2加熱室50B内へ水素ガスが導入される事前に、第1加熱室50A、第2加熱室50Bは仕切弁室60と共に高真空度に排気されるが、この時においても、仕切弁室60内はArガスが加圧状態で導入されているので、不具合なロッド64の軸シール部から大気が流入することは避けられるし、リンク65a、65bのピンpの不具合による弁板66aおよび/または弁板66bの密閉不良箇所から大気が第1加熱室50A、第2加熱室50B内へ流入し水素ガスと混合ガスを形成するようなことはない。
【0033】
以上、本発明の実施例について説明したが、勿論、本発明はこれらに限られることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0034】
例えば実施の形態の図1においては、O−リング5a、5bによる軸シール部を示したが、このO−リングによるシールをオイルシールやメカニカルシールに替えものであってもよいこと言うまでもない。
また実施例1においては、回転シャッター20の低速で回転される回転軸23に対してO−リング26a、26bによる軸シール部からなる軸シール機構を例示したが、軸が回転シャッター20の回転軸23ではなくモータによって高速で回転される回転軸である場合には、例えばメカニカルシールによる軸シール部の軸シール機構とされる。
【0035】
また実施例2の扉シール機構においては、2か所にO−リング36a、36bによる軸シール部を設け、それらに挟まれる軸シール部空間39にArガスを加圧下に導入することを行ったが、O−リングによる軸シール部は3か所以上としてもよく、またArガスを導入する軸シール部空間は2か所以上としてもよい。このことは実施例1の軸シールの場合も同様である。
また実施例2の扉シール機構においては、中空状の環状ガスケット38a、38bによる扉シール部を例示したが、例えば四フッ化エチレン樹脂で表面被覆した鉛ガスケットによる扉シール部とすることにより更に高温度での使用が可能になる。
また実施例3において仕切弁室60と大気側とのシール部として、仕切弁63のロッド64の軸シール部を例示したが、仕切弁室60と大気側とのシール部にはこれ以外のシール部も全て含まれる。
【0036】
また実施例1〜3においては、大気と混合して爆発性となる水素ガスに関連するシール機構を例示したが、水素ガスと同様に大気との混合ガスの状態で爆発性であり、爆発限界の広くいアセチレンガスにも本発明のシール機構は適用される。また、空気と接触して発火するジシラン、モノシラン(SiH4 )のようなシラン系ガス、ないしはホスフィンガスにも本発明のシール機構は適用される。
【0037】
また本実施の形態においては不活性ガスとしてアルゴンガスを採用したが、これ以外の希ガスであるヘリウムを使用し得るし、その他、爆発性ガスまたは発火性ガス、および被処理物との反応性を持たないガスである限り、全てのガスが不活性ガスとして使用し得る。
【0040】
【発明の効果】
本発明に係る扉シール機構によれば、機器または処理室の開口の外周縁部と扉との当接面に設けられた複数の環状ガスケットの内の少なくとも隣り合う2か所の環状ガスケットに挟まれた扉シール部空間に不活性ガスが、機器または処理室内のガスの圧力より高い圧力で導入され、封入されるか又は微小流量で流されるので、隣り合う2か所の何れか一方の環状ガスケットがシール洩れを生じても、シール洩れ箇所を介して機器または処理室内のガスが大気と混合または接触して爆発または発火に至ることはない。上記扉シール機構によれば、扉シール部空間の不活性ガスが機器または処理室内のガスの圧力および大気圧より高い圧力とされることで、隣り合う2か所の環状ガスケットが同時にシール洩れを生じても、シール洩れ箇所を介して機器または処理室内のガスが大気と混合または接触して爆発または発火に至ることはない。
【0041】
上記扉シール機構によれば、扉の閉時には環状ガスケットに背圧をかけて機器または処理室とし扉とをシールするので、機器または処理室内の爆発性ガスまたは発火性ガスが大気と混合または接触することが確実に防がれ、扉の開時には環状ガスケットを真空吸収して機器または処理室から分離するので扉の開操作が簡易となり作業性、生産性を向上させる。上記扉シール機構によれば、環状ガスケット環状のゴム、合成樹脂、または金属の何れか、またはそれらの組み合わせによるものとすることで、シール部が適用される箇所の温度圧力に応じて最も適切なものが採用される。上記扉シール機構によれば、不活性ガスの配管の途中に流量計設けることで、シール部のシール洩れは不活性ガスの流量の変動として検出され、直ちに対策を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシール機構の基本的概念を示す断面図である。
【図2】回転シャッターの軸シール部の断面図である。
【図3】水素処理室の挿入扉の扉シール部の断面図である。
【図4】図3において〇印で示す部分の拡大断面図である。
【図5】連接された加熱室間を開閉する仕切弁室の断面図である。
【符号の説明】
1 シール機構
2 水素ガス処理室
3 往復軸
5a O−リング
5b O−リング
6 軸シール部空間
9a アルゴンガス導入配管
9b アルゴンガス排出配管
11 アルゴンガス源
12 流量計

Claims (3)

  1. 少なくとも一時的に減圧され、大気との混合または接触によって爆発または発火するガスの雰囲気とされる機器または処理室の内部と大気とをシールするための扉シール機構において、
    前記機器または処理室の開口の外周縁部と当接する当接面を有し、前記当接面に複数の環状溝が形成された挿入扉と、
    前記複数の環状溝に各々嵌合された、前記挿入扉の径方向に大きさの異なる複数の環状ガスケットと、
    前記挿入扉に形成された第1の穴に接続され、前記挿入扉の閉時に、少なくとも隣り合う2つの前記環状ガスケットの間に挟まれる扉シール部空間へ前記機器または処理室内の前記ガスの圧力より高い圧力で不活性ガスを導入するための第1の配管と、
    前記挿入扉に形成された第2の穴に接続され、前記挿入扉の閉時に前記環状ガスケットの背圧を形成する不活性ガスを前記環状溝へ導入するための第2の配管と、
    前記挿入扉の開時に前記環状溝を真空排気するための第3の配管と
    前記第1の配管に設置され、不活性ガスの流量変動によって前記環状ガスケットのシール漏れを検出する流量計とを具備する扉シール機構。
  2. 請求項1に記載の扉シール機構であって、
    前記扉シール部空間に導入される不活性ガスの圧力が前記機器または処理室内の前記ガスの圧力および大気圧より高い圧力とされている扉シール機構。
  3. 請求項1または請求項2に記載の扉シール機構であって、
    前記環状ガスケットが環状のゴム、合成樹脂、または金属の何れか、またはそれらの組み合わせからなる扉シール機構。
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