JP4688023B2 - 車両用パネルの補強構造 - Google Patents

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Description

本発明は、板厚の異なる板材を突き合せて接合し、この接合した接合部材を車体パネルとして用いるような車両用パネルの補強構造に関するものである。
従来から、板厚の異なる板材を突き合せて、レーザなどで溶接することにより接合したテーラードブランク材が提供されている。このテーラードブランク材は、用途や設置箇所に応じて板厚や材質等を選択することによって最適なものを配置できると共に、素材形状の自由度が大きいという利点を有している。しかも、テーラードブランク材は、連続的な線溶接によって接合されることから、接合強度が高いなどの長所も有している。
このため、テーラードブランク材は、自動車の車体パネルとして用いられている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、自動車の車体パネルのうち、強度の必要な部分の板厚を厚くし、それ程強度の必要でない部分の板厚を薄く形成することによって、自動車の重量を軽くすると共に、材料費を節約するようにしている。
特開平10−180470号公報
しかしながら、上述した従来のテーラードブランク材においては、板厚の異なる2枚の板材を突き合せて溶接しているので、これら板材の接合部に必ず段差が生じることになり、当該接合部に応力集中が起こるおそれがあった。
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、板厚の異なる板材を突き合せて接合するような接合部材の接合部に応力集中が起こらず、当該接合部を補強することが可能な車両用パネルの補強構造を提供することにある。
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、板厚の異なる板材を突き合わせて接合し、この接合した接合部材車体のフロアパネルの一部として用いられおり、前記接合部材は、接合部を車両前後に沿って配置した状態でシート取付部に設けられていると共に、前記接合部材には、前記接合部と交差する方向へ延在するパネル部材が取付けられている車両用パネルの補強構造において、前記接合部材のうち、シートクッションの車両前方側で、かつ前記接合部が延在する部分には、車両後方から車両前方へ向かって下り傾斜の傾斜面が形成されており、この傾斜面の上下に亘って前記パネル部材が取付けられている
また、本発明において前記接合部材は、2箇所以上の接合部を有しており、少なくとも2箇所以上の接合部に対して前記パネル部材が交差して配置されている。
本発明に係る車両用パネルの補強構造では、板厚の異なる板材を突き合わせて接合し、この接合した接合部材車体のフロアパネルの一部として用いられおり、前記接合部材は、接合部を車両前後に沿って配置した状態でシート取付部に設けられていると共に、前記接合部材には、前記接合部と交差する方向へ延在するパネル部材が取付けられているものであって、前記接合部材のうち、シートクッションの車両前方側で、かつ前記接合部が延在する部分には、車両後方から車両前方へ向かって下り傾斜の傾斜面が形成されており、この傾斜面の上下に亘って前記パネル部材が取付けられているので、接合部材の接合部に対してパネル部材を横切らせて配置することが可能となる。したがって、本発明の補強構造によれば、シート取付部を補強するのに従前から設けられているパネル部材を接合部材の接合部まで延長し、または当該接合部をシート取付部の下部まで延長することによって、部品点数を増やすことなく、接合部材の接合部に集中する応力を軽減させ、当該接合部を補強することができ、接合部の強度をより高めることができると共に、車体パネルの剛性向上を図ることができる。
さらに、本発明において、前記接合部材は、2箇所以上の接合部を有しており、少なくとも2箇所の接合部に対して前記パネル部材が交差して配置されているので、接合部と接合部との間に位置する板材の板厚を薄くすることができ、より一層自動車の重量軽減と材料コストの低減を図ることができる。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る車両用パネルの補強構造が適用される自動車のフロアパネルの斜視図、図2は図1におけるフロアパネルの前部リヤフロアパネルにシートクロスメンバが取付けられる前の状態を示す斜視図、図3は図2における前部リヤフロアパネルとなるテーラードブランク材の断面図、図4は図2におけるA−A線断面図、図5は図2におけるB−B線断面図、図6は図2におけるC−C線断面図、図7は取付金具を取付けた状態の図2におけるD−D線断面図、図8は取付金具を取付けた状態の図2におけるE−E線断面図、図9はリヤシートをフロアパネルに取付けた状態を車両前方から見た斜視図である。
本実施の形態における自動車の車室内後部側に位置するフロアパネル1は、図1、図2および図9に示す如く、リヤシート10の前部側が配設される前部リヤフロアパネル(車体パネル)2を備えており、この前部リヤフロアパネル2は、車両前後方向に沿って、ほぼセンタピラー3とタイヤハウスインナパネル4との間に設けられている。
本実施形態の前部リヤフロアパネル2の素材には、板厚の異なる板材を突き合せてレーザ溶接などで接合したテーラードブランク材(接合部材)5が使用されている。このテーラードブランク材5は、図2および図3に示す如く、中央側に板厚の薄いセンタパネル5aを配置し、左右両側に板厚の厚いサイドパネル5bを配置することによって構成されている。板厚は、例えば、センタパネル5aが0.7mmの板材を用い、サイドパネル5bが1.2mmの板材を用いており、これらのパネル5a,5bを突き合せてレーザ溶接などで接合し、これをプレス加工することにより、所定形状の前部リヤフロアパネル2が形成されることになる。そして、センタパネル5aおよびサイドパネル5bの左右2箇所の接合部Wでは、パネルの厚さが変化しているので、当該接合部Wは応力集中を受け易い形状となっている。
このため、前部リヤフロアパネル2には、図1、図2および図6〜図9に示す如く、左右2箇所の接合部Wと交差(クロス)する方向へ延在するシートクロスメンバ(パネル部材)6が取付けられている。すなわち、前部リヤフロパネル2は、接合部Wを車両前後方向に沿って配置した状態でシート取付部に設けられており、シート取付部としての役割を有するシートクロスメンバ6が左右2箇所の接合部Wに対して交差して配置されている。
前部リヤフロアパネル2のうち、リヤシート10のシートクッション10aの車両前方側で、かつ接合部Wが延在する部分には、車両後方から車両前方へ向かって下り傾斜である上方側前向きの傾斜面2aが車幅方向に沿って形成されており、この傾斜面2aの上下に亘ってシートクロスメンバ6が左右2箇所の接合部Wと交差しながら取付けられている。すなわち、シートクロスメンバ6は、前部リヤフロアパネル2の傾斜面2aを覆い隠しながら、上縁部6aおよび下縁部6bが左右2箇所の接合部Wを橋渡しするようにして前部リヤフロアパネル2に溶接で固定されている。したがって、シートクロスメンバ6は、前部リヤフロアパネル2に形成された左右2箇所の接合部Wに集中する応力を軽減し、これら接合部Wを補強する役割を果たすことになる。
上記シートクロスメンバ6には、リヤシート10をフロアパネル1側に取付ける取付金具7が締付け固定されている。そのため、シートクロスメンバ6の車両前方側には、図2および図7〜図9に示す如く、車両後方から車両前方へ向かって下り傾斜面に前側シート取付部8が形成され、シートクロスメンバ6の車両後方側には、車両後方へ向かって屈曲して延びる後側シート取付部9が形成されている。
前側シート取付部8の裏面側には、取付金具7を取付けるための締付ボルト12と螺合する溶接ナット14が固着されている。また、後側シート取付部9は、側面視で略三角形状の凸部であって、取付金具7の取付箇所と対応する位置で車両幅方向に所定の間隔を置いて配設されており、車両前方から車両後方へ向かって下り傾斜面には、シートクロスメンバ6の裏面側から車両後方へ向けて斜め上方に突出するスタッドボルト13が設けられ、スタッドボルト13の先端にはナット15が螺合して締付けられるようになっている。なお、後側シート取付部9およびスタッドボルト13は、1つの取付金具7に対して左右2箇所に用いられるようになっている。
上記取付金具7は、図7〜図9に示す如く、車両幅方向に一定の間隔を置いて配置されており、ヒンジ部材(図示せず)に連結され、該ヒンジ部材を介してシートクッション10aに取付けられるようになっている。このため、取付金具7は、シートクロスメンバ6と対応して屈曲形成されており、取付金具7の前部締付部7aは、シートクロスメンバ6の前側シート取付部8に固定され、取付金具7の後部締付部7bは、シートクロスメンバ6の後側取付部9に固定されるようになっている。なお、図7は前部リヤフロアパネル2を構成するテーラードブランク材5であって、板厚の薄いセンタパネル5aに対応する箇所に取付金具7の前部締付部7aを固定した断面を示し、図8は板厚の厚いサイドパネル5bに対応する箇所に取付金具7の後部締付部7bを固定した断面を示している。
一方、前部リヤフロアパネル2は、図4〜図6に示す如く、テーラードブランク材5の板厚の厚いサイドパネル5bをサイドメンバ21およびサイドインナパネル22に接合することによって取付けられている。サイドメンバ21の内壁面および上端フランジには、リーンフォースメント23が接合されていると共に、サイドメンバ21の底部およびサイドインナパネル22には、トルクボックスパネル24が接合されている。
すなわち、前部リヤフロアパネル2は、設置部位により、断面略U字状のサイドメンバ21に取付けられ、あるいはリーンフォースメント23を介してサイドメンバ21およびサイドインナパネル22に取付けられており、対応するサイドメンバ21や、サイドメンバ21、サイドインナパネル22およびトルクボックスパネル24と相俟って閉断面構造を形成している。
このように、本発明の実施形態の補強構造では、前部リヤフロアパネル2の素材として、板厚の薄いセンタパネル5aと板厚の厚いサイドパネル5bとを突き合せてレーザ溶接などで接合したテーラードブランク材5を使用しても、左右2箇所の接合部Wに対してシートクロスメンバ6が交差して配置され、前部リヤフロアパネル2の傾斜面2aを覆い隠して上縁部6aおよび下縁部6bが接合されているため、シートクロスメンバ6によってテーラードブランク材5の左右2箇所の接合部Wを補強することが可能となり、前部リヤフロアパネル2のうち、強度の必要な部分の板厚のみを厚くすることができる。したがって、本発明の実施形態によれば、テーラードブランク材5の使用により自動車を軽量化すると共に、材料費の節約を図ることが可能となり、しかも、前部リヤフロアパネル2として用いることができる。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
例えば、既述の実施形態では、前部リヤフロアパネル2を構成するテーラードブランク材5の接合部Wが車両前後方向に沿って配置しているが、本発明の補強構造は、当該接合部Wを車幅方向や斜め方向に配置したものにも適用することが可能である。また、本発明の補強構造は、シート取付部となるシートクロスメンバ6に対して適用されているが、テーラードブランク5とリーンフォースメント23とが重合される部分など、他の部位にも適用することが可能である。
本発明の実施の形態に係る車両用パネルの補強構造が適用される自動車のフロアパネルを示す斜視図である。 図1におけるフロアパネルの前部リヤフロアパネルにシートクロスメンバが取付けられる前の状態を示す斜視図である。 図2における前部リヤフロアパネルとなるテーラードブランク材を示す断面図である。 図2におけるA−A線断面図である。 図2におけるB−B線断面図である。 図2におけるC−C線断面図である。 取付金具を取付けた状態の図2におけるD−D線断面図である。 取付金具を取付けた状態の図2におけるE−E線断面図である。 リヤシートをフロアパネルに取付けた状態を車両前方から見た斜視図である。
符号の説明
1 フロアパネル
2 前部リヤフロアパネル(車体パネル)
2a 傾斜面
5 テーラードブランク材(接合部材)
5a センタパネル
5b サイドパネル
6 シートクロスメンバ(パネル部材)
7 取付金具
10 リヤシート
W 接合部

Claims (2)

  1. 板厚の異なる板材を突き合わせて接合し、この接合した接合部材車体のフロアパネルの一部として用いられおり、前記接合部材は、接合部を車両前後に沿って配置した状態でシート取付部に設けられていると共に、前記接合部材には、前記接合部と交差する方向へ延在するパネル部材が取付けられている車両用パネルの補強構造において、前記接合部材のうち、シートクッションの車両前方側で、かつ前記接合部が延在する部分には、車両後方から車両前方へ向かって下り傾斜の傾斜面が形成されており、この傾斜面の上下に亘って前記パネル部材が取付けられていることを特徴とする車両用パネルの補強構造。
  2. 前記接合部材は、2箇所以上の接合部を有しており、少なくとも2箇所以上の接合部に対して前記パネル部材が交差して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用パネルの補強構造。
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