JP4686827B2 - 再利用可能プラスチック生産方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、使用済みの電気・電子機器を20mm〜150mm程度に破砕し主要な金属塊や金属片を回収した後に残る、主として廃プラスチックからなる廃棄物の処理技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃プラスチックには、製鉄高炉用還元剤、固形燃料(RDF)、再生材ペレット等の再利用方法が考えられる。しかし、使用済みの電気・電子機器を20mm〜150mm程度に破砕し、主要な金属塊や金属片を回収した後に残る、主として廃プラスチックからなる廃棄物(以下プラスチック残さという。)には、廃プラスチックの他、除去が困難な被覆電線、銅線(コイル)、小さな金属部品等が含まれる。このため、プラスチック残さをそのまま廃プラスチックとして再利用することは被覆電線、銅線(コイル)、小さな金属部品等の混入が障害となって困難である。具体的には下記の理由により再利用が困難である。
【0003】
即ち、プラスチック残さを製鉄高炉用還元剤に再利用しようとする場合、溶融鉄中に除去できなかった被覆電線や、銅線等の銅が混入し、製品となる鉄の品質を著しく低下させる。また、被覆電線の被覆に使用される塩化ビニール樹脂は、高炉内で熱分解する時に塩酸を発生し、高炉付帯設備の腐食の原因となる。
【0004】
また、プラスチック残さを固形燃料(RDF)に再利用しようとする場合、この固形燃料の固形化装置は、廃プラスチックを高圧力で圧縮しながら押し出す構造のため、混入する金属が、押し出し装置の内壁の損傷や詰まりの原因となる。
また、被覆電線の被覆に使用される塩化ビニール樹脂は、固形燃料として燃焼させた時に塩酸を発生し、燃焼設備の腐食の原因となる。さらに、塩化ビニール樹脂を含む固形燃料を不完全燃焼させた場合、猛毒のダイオキシンを発生する可能性がある。
【0005】
また、プラスチック残さを再生材ペレットに再利用しようとする場合、再生材ペレットに混入する金属異物が押し出し機のフィルタの目詰まりを起こしたり、射出成形機の内部を傷つけたりする可能性がある。また、成形品に割れなどの欠陥を発生させ強度低下を生じる可能性もある。更に、被覆電線の被覆に使用される塩化ビニール樹脂は耐熱性が極めて高く他の樹脂との軟化温度の相違により、押し出し機内で相溶し難いため、フィルタの目詰まりを起こす可能性がある。
【0006】
このような理由から、現状においては、前記廃プラスチックを含むプラスチック残さは、再利用されず焼却や埋め立てなどの最終処分がされている。近年、焼却により発生するダイオキシンや埋め立て地の減少などが社会的問題となっており、このような最終処分も困難になりつつある。
【0007】
一方、前記のようなプラスチック残さから廃プラスチックを取り出して再利用する技術として特開平05−147040号公報に記載されるような処理方法がある。この処理方法では、まず廃棄物を破砕した後、風力選別機、磁力選別機、静電分離機などを用いて主要な金属塊、金属片を回収する。しかし、この方法では、被覆電線の存在等が考慮されておらず、被覆電線の電線と被覆を分離することができない。このため、廃プラスチックに被覆と分離できなかった電線等が混入し、廃プラスチックとして再利用することは難しいという問題があった。また、静電分離機におけるプラスチック分別の前に、金属の除去が高精度に行われていないため、被覆電線や銅線が、廃プラスチックに残存する。この理由からも、廃プラスチックとして再利用することは難しいという問題があった。
【0008】
また、産業用電子機器分野等において使用されるプリント基板等から構成される廃棄物から、金属と非金属とを分離する技術として、特開平6−170276号公報に記載されているような処理方法がある。この処理方法では、廃棄物を0.8mm以下に粉砕し、単体分離することによってその導電性の差を利用して渦電流選別機や静電選別機を用いて有価金属と樹脂等が分離される。
【0009】
ここで、この処理方法では、プリント基板のような金属と樹脂が高度に複合した材料を対象としているため、微粉砕(0.8mm以下)を行うことが必須である。しかしながら、この発明の処理対象であるプラスチック残さは金属・樹脂複合の程度として被覆電線程度を想定している。このため、プラスチック残さの処理においてはそのような微粉砕を行う必要はない。むしろ、その程度まで微粉砕を行うこととすると、再生利用時に扱い難い粉状(概ね1mm以下)のプラスチックが多く発生する、単位時間当たりの処理重量が低下し効率が悪い等の問題が生ずる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記のような問題を解決するために成されたものであり、被覆電線等を含むプラスチック残さから効率よく金属を除去して、再生利用可能なプラスチックを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法は、主として廃プラスチックからなる廃棄物から、再利用可能なプラスチックを生産するものであり、廃棄物から粉砕に不適合な粉砕不適合物を除去する前処理工程と、この前処理された廃棄物をカッター式粉砕機により所定の粒度以下に粉砕することによって、該廃棄物に含まれる金属とプラスチックの複合物の金属とプラスチックを分離する粉砕分離工程と、前記粉砕分離工程により粉砕された廃棄物を、比重によって、該廃棄物から金属を選別して除去し、該廃棄物から金属とプラスチックの複合物を選別して前記粉砕分離工程に戻す乾式比重選別工程と、前記乾式比重選別工程を経た廃棄物に含まれる金属を静電選別によって選別し、除去する金属除去用静電選別工程と、を有し、前記粉砕分離工程は粉砕後の廃棄物が前記金属除去用静電選別可能な平均粒度2〜5mmとなるまで粉砕することとしたものである。
【0012】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法の前処理工程は、風力選別及び高磁力選別によって行われることとしたものである。
【0013】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法の廃棄物の粉砕分離工程は、粉砕された廃棄物をフィルター部に通過させることとしたものである。
【0015】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法の金属除去用静電選別工程は、静電選別を多段階に連続して行うこととしたものである。
【0016】
さらにまた、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法の金属除去用静電選別工程は、静電界中での誘導帯電を利用して行うこととしたものである。
【0018】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法は、金属除去用静電選別工程の後に、金属の除去された廃棄物に含まれる塩化ビニールを静電選別によって選別し、除去する塩化ビニール除去用静電選別工程を有することとしたものである。
【0019】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法は、粉砕分離工程の後に、粉砕された廃棄物を粒度によって2以上のクラスに分級する分級工程を有し、以後の工程の一部又は全てをこのクラス毎に行うようにしたものである。
【0020】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法における分級工程以後に行うクラス毎の工程は、クラス毎の廃棄物を一時的に貯溜する複数のホッパと、この複数のホッパと工程との接続を切り替える切替え手段とを用いて行われるようにしたものである。
【0021】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置は、主として廃プラスチックからなる廃棄物から、再利用可能なプラスチックを生産する装置であって、廃棄物から粉砕に不適合な粉砕不適合物を除去する前処理手段と、この前処理手段で前処理された廃棄物をカッター式粉砕機により所定の粒度以下に粉砕することによって、該廃棄物に含まれる金属とプラスチックの複合物の金属とプラスチックを分離する粉砕手段と、前記粉砕手段により粉砕された廃棄物を、比重によって、前記廃棄物から金属を選別して除去し、該廃棄物から金属とプラスチックの複合物を選別して前記粉砕手段に戻す乾式比重選別手段と、前記乾式比重選別手段により処理された廃棄物に含まれる金属を静電選別によって選別し、除去する金属除去用静電選別手段と、を有し、前記粉砕手段は粉砕後の廃棄物が前記金属除去用静電選別可能な平均粒度2〜5mmとなるまで粉砕するようにして構成されたものである。
【0022】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置の前処理手段は風力選別手段と、高磁力選別手段によって構成されたものである。
【0023】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置の粉砕手段は、粉砕された廃棄物を通過させるフィルター部を有するように構成されたものである。
【0025】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置の金属除去用静電選別手段は、複数の静電選別機が多段階に連続して設けて構成されたものである。
【0026】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置の金属除去用静電選別手段は、アースされた回転ロールと、この回転ロールに対向する静電極と、を有するようにして構成されたものである。
【0028】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置は、金属除去用静電選別手段の後に金属の除去された廃棄物に含まれる塩化ビニールを静電選別によって選別し、除去する塩化ビニール除去用静電選別手段を有するようにして構成されたものである。
【0029】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置は、粉砕手段の後に、粉砕された廃棄物を粒度によって2以上のクラスに分級する分級手段を有し、以後の選別の一部又は全てをこのクラス毎に行うようにして構成されたものである。
【0030】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置において分級手段以後に行うクラス毎の選別は、クラス毎の廃棄物を一時的に貯溜する複数のホッパと、この複数のホッパと選別手段との接続を切り替える切替え手段とを用いて行うようにして構成したものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
図1は、この発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置を示すブロック図である。図1において、1は被覆電線を含む主として廃プラスチックからなる廃棄物であるプラスチック残さの処理のための前処理手段の一例である風力選別手段、2はこの風力選別手段1の下流に設けられた前処理手段の他の一例である高磁力選別手段、3はこの高磁力選別手段の下流に設けられた粉砕手段、4はこの粉砕手段の下流に設けられ、プラスチック残さの粒度によって細粒、中粒、粗粒の3段階のクラスに分級する分級手段、5はこの分級手段4によって分級された中粒のプラスチック残さが一時的に貯溜される第1の中粒用中間ホッパ、6は同様に細粒のプラスチック残さが一時的に貯溜される第1の細粒用中間ホッパ、7は上記第1の中粒用中間ホッパ5と第1の細粒用中間ホッパ6とを選択的に切り替えて、以後の処理を進める第1の切替え手段、8はこの第1の切替え手段7の下流に設けられプラスチック残さを乾式の比重選別によって軽比重、中比重、重比重の3段階に粗選別して振り分ける乾式比重選別手段である。9はこの乾式比重選別手段8の下流に設けられ、乾式比重選別手段8で軽比重として振り分けられたプラスチック残さを、上記第1の中粒用中間ホッパ5から来た場合には第2の中粒用中間ホッパ10に、上記第1の細粒用中間ホッパ6から来た場合には第2の細粒用中間ホッパ11にそれぞれ切り替えて処理を進める第2の切替え手段である。12は第2の中粒用中間ホッパ10と、第2の細粒用中間ホッパ11とを選択的に切り替えて、後の処理を進める第3の切替え手段、13はこの第3の切替え手段の下流に設けられ、導電体(金属)と非導電体(プラスチック)を静電選別によって選別し金属を除去する金属除去用静電選別手段、14はこの金属除去用静電選別手段13で導電体(金属)が除去されたプラスチック残さから、さらに塩化ビニールを静電選別によって選別し、除去する塩化ビニール除去用静電選別手段である。
【0032】
なお、図1では、分級手段4で粗粒に分級された粒度6mm以上のプラスチック残さおよび、乾式比重選別手段8で中比重として振り分けられたプラスチック残さは、粉砕手段3に戻され再粉砕される。
【0033】
次にこの再利用可能プラスチック生産装置におけるプラスチック残さの処理手順について図1から図10を用いて説明する。
まず、前処理工程について説明する。図1に示すように、被覆電線、銅線(コイル)、小さな金属部品等の金属と、PS(ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエンスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(塩化ビニール)等の樹脂の混合廃棄物を含むプラスチック残さが矢印100に示すように風力選別機1に投入される。この風力選別機1によってプラスチック残さに含まれる重量物は矢印101aに示すように除去される。
【0034】
続いて、風力選別手段1で重量物が除去されたプラスチック残さは矢印101bに示すように高磁力選別手段2に投入される。この高磁力選別手段2によって矢印102aに示すようにプラスチック残さに含まれる鉄、ステンレス等の金属が除去される。この風力選別手段1と、高磁力選別手段2で除去された金属は、粉砕不適合物として除去されるものである。
【0035】
即ち、この実施の形態にかかる再利用可能プラスチック生産装置によって処理されるプラスチック残さは、主として金属を純度良く分別回収する図示しない破砕選別手段から発生する残さ物である。しかし、電気・電子機器で使用されているボルト、シャフト、弱磁性のステンレスなどは形状や材質的に分別しにくく残さへの混入は避けられない。このような硬い金属は、粉砕機を破損したり粉砕刃の寿命を著しく短くする可能性があるため、粉砕前に取り除く必要がある。そこで、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置では、処理の対象となるプラスチック残さを後段の粉砕手段3により粉砕する前に、このような金属等を粉砕不適合物として風力選別手段1と高磁力選別手段2で除去する構成としている。
【0036】
図2に風力選別手段1の例である風力選別機の原理図を示す。図において1aは風力選別が行われるフード、1bはこのフードにプラスチック残さを投入する投入口である。このような風力選別機で概ね風速20m/s程度に設定すればシャフトやボルトなどの重くて硬い金属を下方へ落下させかつプラスチックの落下を最小限に抑えることができる。しかしながら、板状の金属(鉄、ステンレス部材)は、空気抵抗が大きく上記の風速条件では、下方へ落下させることができない。このため、この実施の形態にかかる再利用可能プラスチック生産装置では、さらに高磁力選別手段2を設けて板状の金属を除去するようにした。
【0037】
図3に高磁力選別手段2の例である高磁力選別機の原理図を示す。図において2aプラスチック残さを搬送するベルトコンベア、2bはこのベルトコンベア2aを駆動するマグネットプーリー、2cはこのマグネットプーリーの部分で磁力の影響を受けず、ベルトコンベア2aから飛び出すプラスチックのような非磁性物と、磁力の影響を受けてベルトコンベア2aの下方まで回り込む鉄、ステンレスのような磁性物とを選別する仕切り板、2dは磁力の影響を受けてベルトコンベア2aの下方まで回り込んだ磁性物を削ぎ落とすスクレーパである。
なお、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置では、磁性の弱いステンレス等をも除去するため使用するマグネットプーリー2bの磁石の磁力はベルトコンベア2a表面で約6000ガウス以上とする。
【0038】
一方、逆に高磁力選別手段2だけで構成した場合、真鍮ボルトなど磁性の無い非鉄金属製の粉砕不適合物が除去できない。この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置のように風力選別手段1と高磁力選別手段2とを併用することによりプラスチック残さからほぼ全ての粉砕不適合物を除去することができる。
【0039】
次に、粉砕分離工程について説明する。以上の前処理工程にて粉砕不適合物が除去されたプラスチック残さは、図1の矢印102bに示すように、剪断力を利用する粉砕手段3に投入される。図4にこの粉砕手段3の例であるカッター式粉砕機の原理図を示す。なお、図4において、(a)図は(b)図のI−I断面を矢印の方向から見た断面図である。
このカッター式粉砕機は、回転刃3aと固定刃3bとからなるカッター式粉砕部と、このカッター式粉砕部で粉砕された廃棄物の内、所定の粒径以下のプラスチック残さを選択的に通過させるフィルター部の例である排出スクリーン3cとから構成される。このカッター式粉砕機においては、排出スクリーン3cに複数設けられた穴3dをφ6mm以下にして粉砕することにより、被覆電線の被覆と電線をほぼ剥離することができる。
【0040】
このカッター式粉砕機によりプラスチック残さは粒度が概ね6mm以内になるように粉砕される。ここで、単に粒度6mm以内に粉砕するということであれば剪断力を利用するカッター式粉砕機以外にも各種の粉砕機があるが、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置における粉砕機選定条件
▲1▼プラスチックが粉砕熱で溶けない。
▲2▼再生利用時に扱いにくい粉状(概ね1mm以下)のプラスチックが極力発生しない。
▲3▼金属とプラスチックの複合物が単体分離する。
を満足する粉砕機としてカッター式粉砕機を用いた。
【0041】
ここで、被覆電線は、風力選別、高磁力選別、渦電流選別などの選別方法では除去することが難しいためプラスチック残さに残存する主要な金属の一つとなっている。このためカッタ式粉砕機の被覆と電線の剥離性の高さは、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置の効果に大きく寄与する。
【0042】
粉砕粒度は、プラスチックと金属の複合物を素材分離させるためには、なるべく小さくするのが望ましいが、あまり小さくしすぎると粒度1mm以下の粉状物が多くなる、単位時間あたりの処理重量が低下する等の問題が生じる。また、粉砕後の処理である後述する比重選別、静電選別に適した粒度は2〜4mm、あるいは2〜5mm程度であることから、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置ではカッター式粉砕機の排出スクリーン3cの穴径をφ6mmとした。即ち、φ6mmで粉砕した場合の平均粒度は3mm程度であり、後述する比重選別手段、静電選別手段に適した粒度である2〜4mmあるいは、2〜5mm程度の範囲に含まれる。また、単位時間当たりの処理重量が低下することもない。
【0043】
なお、この実施の形態1では排出スクリーン3cの穴径をΦ6mmとしたがこれに限定されるものではなく、Φ4mm〜8mmの範囲、より好ましくはΦ5mm〜7mmの範囲、更により好ましくはΦ5.5mm〜6.5mmの範囲で穴径を形成してもよい。
【0044】
次に、図1に戻って粉砕手段3によって粉砕及び被覆と電線の分離の工程を経たプラスチック残さは、矢印103に示すように分級手段4に投入される。
即ち、上記の粉砕及び被覆と電線との分離工程を経たプラスチック残さは粒度6mm以下となり、粒度2〜5mm程度、より好ましくは2〜4mm程度の範囲内に平均粒度のピークを有する粒度分布をもつ。一方、この実施の形態1に示す再利用可能プラスチック生産装置で使用する後述の比重選別手段や静電選別手段は、比重や誘電率だけでなく被選別物の表面積や形状の差が空気抵抗や静電気力の差となって被選別物に作用する。このため、選別精度を向上させるためには、プラスチック残さを分級し、粒度分布をなるべく狭くするのが望ましい。このためこの実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置では、プラスチック残さをあらかじめ分級手段4で分級するように構成した。
【0045】
図5に分級手段4の例として振動ふるいの原理図を示す。図において、4aは振動ふるいである。この振動ふるい4aはΦ6mmの穴が複数設けられたΦ6穴スクリーン4bと、このΦ6穴スクリーン4cの下流に設けられ、Φ3mmの穴が複数設けられたΦ3穴スクリーン4bを備える。4dはこの振動ふるい4aにプラスチック残さを投入する原料投入口である。原料投入口4dから投入されたプラスチック残さは、Φ6穴スクリーン4b及びΦ3穴スクリーン4bが振動することにより、粒度が6mm以上のプラスチック残さ、粒度が3mm〜6mmのプラスチック残さ、粒度が3mm以内のプラスチック残さに分級される。即ち、この振動ふるいにより後述する静電選別に適さない粒度6mm以上のプラスチック残さを分別除去することができる(図1の矢印104c)。一方、その他のプラスチック残さは、粒度分布の広がりを小さくするため3mmを境界に2つの粒度範囲に分級する。即ち、その粒度によって以後の選別の対象となるプラスチック残さを2つのクラスに分ける。以後、6mm以上を粗粒、6mm〜3mmを中粒、3mm以下を細粒と呼ぶ。粗粒は、図1の矢印104c及び104dに示すようにカッター式粉砕機3に再投入して再粉砕される。
【0046】
一方、中粒と細粒の二つの粒度範囲毎に選別を行うため、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置では、中粒に対して第1の中粒用中間ホッパー5および第2の中粒用中間ホッパ10、細粒に対して第1の細粒用中間ホッパー6および第2の細粒用中間ホッパ11を設けて粒度範囲毎に貯留できるようにし、第1の切替手段7、第2の切替え手段9および第3の切替え手段12により選択的にホッパーより切り出して1系列の選別工程で処理できるように構成した。
【0047】
即ち、中粒のプラスチック残さのみを選別工程で処理する場合には第1の切替え手段7及び、第2の切替え手段9、第3の切替え手段12がそれぞれ第1の中粒用中間ホッパ5に貯蓄されたプラスチック残さを処理できるように接続される。このため、矢印104aを通って第1の中粒用中間ホッパ5に貯蓄されたプラスチック残さは、矢印107、乾式比重選別手段8、矢印108a、矢印109a、第2の中粒用中間ホッパ10、第3の切替え手段12、矢印112、金属除去用静電選別手段13・・の順に処理される。
【0048】
同様に、細粒のプラスチック残さのみを選別工程で処理する場合には第1の切替え手段7及び、第2の切替え手段9、第3の切替え手段12がそれぞれ第1の細粒用中間ホッパ6に貯蓄されたプラスチック残さを処理できるように接続される。このため、矢印104bを通って第1の細粒用中間ホッパ6に貯蓄されたプラスチック残さは、矢印107、乾式比重選別手段8、矢印108a、矢印109b、第2の細粒用中間ホッパ11、第3の切替え手段12、矢印112、金属除去用静電選別手段13・・の順に処理される。
【0049】
なお、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置では、粉砕手段3で粉砕されたプラスチック残さを再粉砕するための粗粒のほか、中粒と細粒という2つのクラスに分級した。しかし、この発明はこれに限定するものではなく、後段の選別手段の選別条件に合わせて複数のクラスに分級することが可能である。また、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置では、分級手段4と乾式比重選別手段8の間、及び、乾式比重選別手段8と金属除去用静電選別手段13の間に各クラス毎のホッパ及び切り替え手段を設けた。しかし、この発明はこれに限定するものではなく、後段の選別手段の選別条件に合わせて金属除去用静電選別手段13と塩化ビニール除去用静電選別手段14との間に各クラス毎のホッパ及び切り替え手段を設けることが可能である。さらに、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置では細粒と中粒の境界を3mmに設定した。しかし、この発明はこれに限定するものではなく、2mm〜5mm、より好ましくは2.5mm〜4.5mm、更により好ましくはは3mm〜4mmの範囲にあるいずれかの値を細粒と中粒の境界として定めることができる。
【0050】
次に、金属を乾式の比重選別によって粗選別して除去する乾式比重選別工程について説明する。図1の矢印107に示されるように分級手段4によって分級されたプラスチック残さは乾式比重選別手段8に投入される。この乾式比重選別手段8によってプラスチック残さは、さらに軽比重、中比重、重比重の3つに選別される。選別されたプラスチック残さは軽比重の場合には矢印108aに示すように、さらに選別を行うべく第2の切り替え手段9へ向かう。これに対して、重比重の場合には金属として除去される。また、中比重の場合には矢印108c、矢印104dに示すように粉砕手段3によって再粉砕される。
【0051】
図6にこの乾式比重選別手段8の一つであるエアテーブルの原理図を示す。従来金属の回収装置としては乾式比重選別と、湿式比重選別が用いられる。しかし、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置で湿式比重選別を用いると、後段に後述する塩化ビニール除去用の静電選別手段14が存在するため、再び乾燥させる工程を設けなければならない。また、湿式比重選別を用いると汚水が出て環境負荷が大きい。一方、乾式比重選別では、被覆電線を被覆と電線とに分離するために最低限必要な大きさである平均粒度3〜4mm程度以内に粉砕したプラスチック残さの選別が可能である。
この為、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置では、比重選別の方法として乾式比重選別を採用した。
【0052】
図において、8aは所定の角度で傾斜し、プラスチック残さを比重によって選別する傾斜テーブル、8bはこの傾斜テーブル8aに設けられ、傾斜テーブル8aの下面から上面に空気流を通過させる複数の小さな通気口を有するスクリーン(網)、8cはこのスクリーン(網)8bを介して傾斜テーブル8aの上面に空気流を送る送風機である。この図6に示すエアテーブルでは、傾斜テーブル8aの振動と下方からの空気流により、傾斜テーブル8a上で比重の重い金属が下層、比重の小さなプラスチックが上層となる流動層8dが形成される。下層の金属は傾斜テーブル8aの斜面より摩擦力と振動力を受けて上方へ移動し、上層のプラスチックは、摩擦力、振動力を受けないため下方へ押し流され分別される。しかしながら電気・電子機器などに使用される0.2mm以下の銅細線などの微細な金属は、流動するプラスチックに絡んだり、空気流により飛ばされやすくこのエアテーブルをもってしても比重差により分別することが困難である。この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置は廃プラスチックの再生利用を目的とするため、乾式比重選別で分別できない微細な金属も再生利用の障害となる。
【0053】
このような微細な金属を分別除去するために、この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置ではさらに金属除去用静電選別手段13を用いる。即ち、図1の矢印112に示すように、第3の切替え手段12を流出したプラスチック残さは金属除去用静電選別手段13に投入される。ここでプラスチック残さに含まれる金属等の導電体は矢印113bに示すように除去される。
【0054】
図7に金属除去用静電選別手段13の例である金属除去用静電選別機の原理図を示す。投入口13aから投入されたプラスチック残さに含まれる金属は、高圧が印可された静電極13bと接地された回転ロール13cとの間に生じた静電界中で誘導帯電により静電極13bと反対の極性に帯電する。このため、静電極13aとプラスチック残さに含まれる金属との間に引力が発生し、この金属が回転ロール13bより飛び出したところで仕切り板13dによって仕切られて選別回収される。静電気力は微細金属にも作用し、被選別物が重ならないように薄く均一に流せばプラスチックとの絡みなどの外乱も無く乾式比重選別機8では除去できないような金属でも十分に除去できる。
なお、図7の金属除去用静電選別機では回転ロール13cが一段の場合を示したが、図8のように複数の回転ロール13cを上下方向に直列に備えた多段処理を行うことで、静電選別を多段階的に連続して行うことができ、金属の除去精度を向上することができる。また、図9に示すように静電極13bと同極性のコロナ放電極(針電極)13eを併用することにより、プラスチックを帯電させ回転ロール13cへ吸着させることにより選別精度をより向上させることができる。
この際、回転ロール13cに吸着したプラスチックはスクレーバ13fで削ぎ落とされて回収される。
【0055】
このようにこの実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置で使用される金属除去用静電選別機は、乾式比重選別と比べ金属除去効果が高いものの、十分な性能を発揮するためには以下の点を考慮する必要がある。
▲1▼被選別物が重ならないよう薄く均一に供給する。
▲2▼静電極13bとコロナ放電極13eを併用した場合に、被選別物中に比較的大きな金属が多量に存在すると、コロナ放電極13eから金属に向かって火花放電が多発し危険。
以上のことから、図1の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置においては、あらかじめ乾式比重選別手段8で大部分の金属を除去した後、乾式比重選別手段8で除去が困難な微細な金属のみを金属除去用静電選別手段13により除去するように構成した。このような構成を採用することによってプラスチック残さに含まれる金属を金属除去用静電選別手段13に投入する前に大部分除去されるので、金属除去用静電選別手段13にプラスチック残さを重ならないよう薄く均一に供給することができる。また、金属があらかじめ大部分除去できるので、コロナ放電極13eから金属に向かって火花放電が多発するということもない。
【0056】
さらにこの実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置では、分級手段4で粒度によって分級したクラス毎に乾式比重選別手段8、金属除去用静電選別手段13における処理を行うので、粒度分布にむらがなくなり選別の精度を向上することができる。
また、装置の構造上大型化が難しい金属除去用静電選別手段13の負担が軽減できるため、小型の金属除去用静電選別手段13を採用することができる。
【0057】
次に以上の工程により金属を除去した後のプラスチック残さから塩化ビニールを静電選別によって選別し除去する工程を説明する。図1の矢印113aに示すように、金属を除去されたプラスチック残さは、塩化ビニール除去用静電選別手段14に投入される。
【0058】
図10にこの塩化ビニール除去用静電選別手段14の例である塩化ビニール除去用静電選別機の原理図を示す。図において14aはプラスチック残さを摩擦して帯電させる摩擦帯電装置、14bは高圧対向電極である。この高圧対向電極14bは、摩擦帯電装置14aの下流に設けられ、対向して設置された一対の平板であるプラス電極14cとマイナス電極14dによって構成される。
【0059】
一般に、異るプラスチックを摩擦接触させると、接触面において自由電子が移動することにより一方がプラスに他方がマイナスに帯電する性質がある。この移動の傾向をプラスチックの種類毎に並べたものが帯電列と呼ばれ、一般に(+)ABS−PS−PE−PP−PET−PVC(−)であることが知られている。(+)はプラス帯電しやすく、(−)はマイナス帯電しやすいことを示す。このため、摩擦帯電装置14aにより、分離したいプラスチックが他のプラスチックと逆極性になるように摩擦帯電させた後、電位差を有する高圧対向電極14bの間に発生した電界中に自由落下させると、プラス帯電したプラスチックはマイナス電極14dへ、マイナス帯電したプラスチックはプラス電極14cの方へ引きつけられ分離することができる。
【0060】
この実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置の処理対象物である電気・電子機器で使用されるプラスチック残さは主としてPS(ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエンスチレン)、PP(ポリプロピレン)で構成され、プラスチックの再利用のために除去しなければならないPVC(塩化ビニール)は被覆電線などに少量使用されている。ここで、分別除去したいPVC(塩化ビニール)は、最もマイナスに帯電しやすい性質をもつため他の大部分を占めるABS,PS,PP等との摩擦接触によりマイナスに帯電する。このため、図10のプラス電極14c側に引き付けられることとなり、他のプラスチックから分別除去することができる。
【0061】
図11は実際のプラスチック残さを対象として行った基礎実験により実測したこの発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置の金属除去効果を示す図である。原料となるプラスチック残さの金属含有率は、2%〜11%であった。この実施の形態1にかかる再利用可能なプラスチック生産装置において乾式比重選別手段8で主要な金属を除去したあとの金属含有率は0.5%〜1.8%であった。さらに金属除去用静電選別手段13で微細な金属を除去した結果、最終的に得られたプラスチックに残存する金属は0.05〜0.4%程度であった。乾式比重選別手段8の段階では、原料に含まれる金属が多いと残存する金属も多くなる傾向があり、安定した品質を得ることは困難である。これに対し金属除去用静電選別手段13で金属除去を行ったあとは最大で0.4%と極めてばらつきの小さい安定した品質の廃プラスチックが得られることがわかった。
【0062】
図12は同じく実際のプラスチック残さを対象として行った基礎実験により実測したこの実施の形態1にかかる再利用可能なプラスチック生産装置の塩化ビニール除去効果を示す図である。原料となるプラスチック残さの塩化ビニール含有率は0.7%〜5%である。この発明において塩化ビニール除去用静電選別手段14にて塩化ビニールを除去したあとに得られたプラスチック残さ中に残存する塩化ビニールは0.1%〜0.31%であった。原料の塩化ビニール含有率のばらつきに対しても、安定した品質のプラスチックを得ることが出来る。これらの実験データから、この実施の形態1にかかる再利用可能なプラスチック生産装置によりプラスチック残さを処理した結果得られる金属と塩化ビニールの含有率を低下させたプラスチック回収物は、高炉還元剤に利用可能なプラスチックの性状に関する基準である銅含有率0.5%以内、塩化ビニール含有率1%以内(すなわち塩素含有率0.5%以内)を満足しており、その実用性を確認できた。
【0063】
【発明の効果】
この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法は、主として廃プラスチックからなる廃棄物から、再利用可能なプラスチックを生産するものであり、廃棄物から粉砕に不適合な粉砕不適合物を除去する前処理工程と、この前処理された廃棄物をカッター式粉砕機により所定の粒度以下に粉砕することによって、該廃棄物に含まれる金属とプラスチックの複合物の金属とプラスチックを分離する粉砕分離工程と、前記粉砕分離工程により粉砕された廃棄物を、比重によって、該廃棄物から金属を選別して除去し、該廃棄物から金属とプラスチックの複合物を選別して前記粉砕分離工程に戻す乾式比重選別工程と、前記乾式比重選別工程を経た廃棄物に含まれる金属を静電選別によって選別し、除去する金属除去用静電選別工程と、を有し、前記粉砕分離工程は粉砕後の廃棄物が前記金属除去用静電選別可能な平均粒度2〜5mmとなるまで粉砕することとしたものであり、プラスチック残さから効率よく金属を除去して、再生利用可能なプラスチックを得ることができる。
【0064】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法の前処理工程は、風力選別及び高磁力選別によって行われることとしたものであり、プラスチック残さから粉砕不適合物を除去することができる。
【0065】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法の廃棄物の粉砕は剪断力によって行われ、粉砕された廃棄物をフィルター部に通過させることによって粉砕後の廃棄物が所定の粒度以下となるように粉砕されることとしたものであり、金属とプラスチックの複合物の金属とプラスチックを分離して、再利用可能なプラスチックを得ることができる。
【0066】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法の金属除去用静電選別工程は、静電選別を多段階に連続して行うこととしたものであり、選別の精度を向上することができる。
【0067】
さらにまた、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法の金属除去用静電選別工程は、静電界中での誘導帯電を利用して行うこととしたものであり、選別の精度を向上することができる。
【0069】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法は、金属除去用静電選別工程の後に、金属の除去された廃棄物に含まれる塩化ビニールを静電選別によって選別し、除去する塩化ビニール除去用静電選別工程を有することとしたものであり、再生利用可能なプラスチックを得ることができる。
【0070】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産方法は、粉砕分離工程の後に、粉砕された廃棄物を粒度によって2以上のクラスに分級する分級工程を有し、以後の工程の一部又は全てをこのクラス毎に行うようにしたものであり、選別の精度を向上することができる。
【0071】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置は、主として廃プラスチックからなる廃棄物から、再利用可能なプラスチックを生産する装置であって、廃棄物から粉砕に不適合な粉砕不適合物を除去する前処理手段と、この前処理手段で前処理された廃棄物をカッター式粉砕機により所定の粒度以下に粉砕することによって、該廃棄物に含まれる金属とプラスチックの複合物の金属とプラスチックを分離する粉砕手段と、前記粉砕手段により粉砕された廃棄物を、比重によって、前記廃棄物から金属を選別して除去し、該廃棄物から金属とプラスチックの複合物を選別して前記粉砕手段に戻す乾式比重選別手段と、前記乾式比重選別手段により処理された廃棄物に含まれる金属を静電選別によって選別し、除去する金属除去用静電選別手段と、を有し、前記粉砕手段は粉砕後の廃棄物が前記金属除去用静電選別可能な平均粒度2〜5mmとなるまで粉砕するようにして構成されたものであり、プラスチック残さから効率よく金属を除去して、再生利用可能なプラスチックを得ることができる。
【0072】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置の前処理手段は風力選別手段と、高磁力選別手段によって構成されたものであり、プラスチック残さから粉砕不適合物を除去することができる。
【0073】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置の粉砕手段における廃棄物の粉砕は剪断力によって行われ、粉砕された廃棄物をフィルター部に通過させることによって粉砕後の廃棄物が所定の粒度以下となるように粉砕されるようにして構成されたものであり、再利用可能なプラスチックを得ることができる。
【0074】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置の金属除去用静電選別手段は、複数の静電選別機が多段階に連続して設けて構成されたものであり、選別の精度を向上することができる。
【0075】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置の金属除去用静電選別手段は、アースされた回転ロールと、この回転ロールに対向する静電極とを有するようにして構成されたものであり、選別の精度を向上することができる。
【0077】
また、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置は、金属除去用静電選別手段の後に金属の除去された廃棄物に含まれる塩化ビニールを静電選別によって選別し、除去する塩化ビニール除去用静電選別手段を有するようにして構成されたものであり、再生利用可能なプラスチックを得ることができる。
【0078】
さらに、この発明にかかる再利用可能プラスチック生産装置は、粉砕手段の後に、粉砕された廃棄物を粒度によって2以上のクラスに分級する分級手段を有し、以後の選別の一部又は全てをこのクラス毎に行うようにして構成されたものであり、選別の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置に用いられる置風力選別手段1の例である風力選別機の原理図である。
【図3】 この発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置に用いられる高磁力選別手段2の例である高磁力選別機の原理図である。
【図4】 この発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置に用いられる粉砕手段3の例であるカッター式粉砕機の原理図である。
【図5】 この発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置に用いられる分級手段4の例である振動ふるいの原理図である。
【図6】 この発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置に用いられる乾式比重選別手段8の例あるエアテーブルの原理図である。
【図7】 この発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置に用いられる金属除去用静電選別手段13の例である金属除去用静電選別機の原理図である。
【図8】 この発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置に用いられる金属除去用静電選別手段13の例である金属除去用静電選別機の原理図である。
【図9】 この発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置に用いられる金属除去用静電選別手段13の例である金属除去用静電選別機の原理図である。
【図10】 この発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置に用いられる塩化ビニール除去用静電選別手段14の例である塩化ビニール除去用静電選別機の原理図である。
【図11】実際のプラスチック残さを対象として行った基礎実験により実測したこの発明の実施の形態1にかかる再利用可能プラスチック生産装置の金属除去効果を示す図である。
【図12】実際のプラスチック残さを対象として行った基礎実験により実測したこの実施の形態1にかかる再利用可能なプラスチック生産装置の塩化ビニール除去効果を示す図である。
【符号の説明】
1 風力選別手段、1a フード、1b 投入口、2 高磁力選別手段、2a ベルトコンベア、2b マグネットプーリー、2c 仕切り板、2d スクレーパー、3 粉砕手段、3a 回転刃、3b 固定刃、3c スクリーン、3d 穴、4 分級手段、4a 振動ふるい、4b Φ6穴スクリーン、4c Φ3穴スクリーン、4d 原料投入口、5 第1の中粒用中間ホッパ、6 第1の細粒用中間ホッパ、7 第1の切り替え手段、8 乾式比重選別手段、8a 傾斜テーブル、8b スクリーン(網)、8c 送風機、8d 流動層、9 第2の切り替え手段、10 第2の中粒用中間ホッパ、11 第2の細粒用中間ホッパ、12 第3の切り替え手段、13 金属除去用静電選別手段、13a 投入口、13b 静電極、13c 回転ロール、13d 仕切り板、13e コロナ放電極(針電極)、14 塩化ビニ−ル除去用静電選別手段、14a 摩擦帯電装置、14b高圧対向電極、14c プラス電極、14d マイナス電極。

Claims (16)

  1. 主として廃プラスチックからなる廃棄物から、再利用可能なプラスチックを生産する再利用可能プラスチック生産方法において、
    前記廃棄物から粉砕に不適合な粉砕不適合物を除去する前処理工程と、
    この前処理された廃棄物をカッター式粉砕機により所定の粒度以下に粉砕することによって、該廃棄物に含まれる金属とプラスチックの複合物の金属とプラスチックを分離する粉砕分離工程と、
    前記粉砕分離工程により粉砕された廃棄物を、比重によって、該廃棄物から金属を選別して除去し、該廃棄物から金属とプラスチックの複合物を選別して前記粉砕分離工程に戻す乾式比重選別工程と、
    前記乾式比重選別工程を経た廃棄物に含まれる金属を静電選別によって選別し、除去する金属除去用静電選別工程と、を有し、
    前記粉砕分離工程は粉砕後の廃棄物が前記金属除去用静電選別可能な平均粒度2〜5mmとなるまで粉砕することを特徴とする再利用可能プラスチック生産方法。
  2. 前処理工程は、風力選別及び高磁力選別によって行われることを特徴とする請求項1に記載の再利用可能プラスチック生産方法。
  3. 粉砕分離工程において、粉砕された廃棄物をフィルター部に通過させることを特徴とする請求項1または2のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産方法。
  4. 金属除去用静電選別工程は、静電選別を多段階に連続して行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産方法。
  5. 金属除去用静電選別工程は、静電界中での誘導帯電を利用して行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産方法。
  6. 金属除去用静電選別工程の後に、
    金属の除去された廃棄物に含まれる塩化ビニールを静電選別によって選別し、除去する塩化ビニール除去用静電選別工程を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産方法。
  7. 粉砕分離工程の後に、
    粉砕された廃棄物を粒度によって2以上のクラスに分級する分級工程を有し、以後の工程の一部又は全てをこのクラス毎に行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産方法。
  8. 分級工程以後に行うクラス毎の工程は、
    クラス毎の廃棄物を一時的に貯溜する複数のホッパと、
    この複数のホッパと前記工程との接続を切り替える切替え手段と
    を用いて行われることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産方法。
  9. 主として廃プラスチックからなる廃棄物から、再利用可能なプラスチックを生産する再利用可能プラスチック生産装置において、
    前記廃棄物から粉砕に不適合な粉砕不適合物を除去する前処理手段と、
    この前処理手段で前処理された廃棄物をカッター式粉砕機により所定の粒度以下に粉砕することによって、該廃棄物に含まれる金属とプラスチックの複合物の金属とプラスチックを分離する粉砕手段と、
    前記粉砕手段により粉砕された廃棄物を、比重によって、該廃棄物から金属を選別して除去し、該廃棄物から金属とプラスチックの複合物を選別して前記粉砕手段に戻す乾式比重選別手段と、
    前記乾式比重選別手段により処理された廃棄物に含まれる金属を静電選別によって選別し、除去する金属除去用静電選別手段と、を有し、
    前記粉砕手段は粉砕後の廃棄物が前記金属除去用静電選別可能な平均粒度2〜5mmとなるまで粉砕することを特徴とする再利用可能プラスチック生産装置。
  10. 前処理手段は風力選別手段と、高磁力選別手段によって構成されることを特徴とする請求項9に記載の再利用可能プラスチック生産装置。
  11. 粉砕手段は、粉砕された廃棄物を通過させるフィルター部を有することを特徴とする請求項9または10のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産装置。
  12. 金属除去用静電選別手段は、複数の静電選別機が多段階に連続して設けられていることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産装置。
  13. 金属除去用静電選別手段は、アースされた回転ロールと、この回転ロールに対向する静電極とを有することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産装置。
  14. 金属除去用静電選別手段の後に、
    金属の除去された廃棄物に含まれる塩化ビニールを静電選別によって選別し、除去する塩化ビニール除去用静電選別手段を有することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産装置。
  15. 粉砕手段の後に、
    粉砕された廃棄物を粒度によって2以上のクラスに分級する分級手段を有し、以後の選別の一部又は全てをこのクラス毎に行うことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産装置。
  16. 分級手段以後に行うクラス毎の選別は、
    クラス毎の廃棄物を一時的に貯溜する複数のホッパと、
    この複数のホッパと選別手段との接続を切り替える切替え手段と
    を用いて行われることを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1つに記載の再利用可能プラスチック生産装置。
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