JP4683812B2 - ヘリコバクター・ピロリ感染の診断用製剤 - Google Patents
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Description
本発明は、ヘリコバクター・ピロリによる感染の有無の診断に有用な製剤に関する。より詳細には、本発明はヘリコバクター・ピロリの非侵襲的検出法である尿素呼気試験に好適に用いられる経口用製剤に関する。
背景技術
Marshallらによるヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori:以下、H.ピロリともいう)の分離培養の成功以来(Lancet,pp.1273−1275(1983))、その病因的役割についての真偽が問われてきたが、近年ではその感染が上部消化管三大疾患である胃炎、消化性潰瘍及び胃ガンの有力な原因ないしはコファクターであるとして内外で広く注目されるに至っている。特に、「H.ピロリ感染が確認された消化性潰瘍は初発、再発を問わず、抗分泌薬に抗菌薬を加えた除菌療法を必要とする」としたNIH Consensus Conference(Bethesda,1994)の勧告内容は、我が国日本にも大きな衝撃を与え、H.ピロリ感染診断並びに除菌判定を正確且つ迅速に行う測定方法の確立が迫られている。
胃粘膜におけるH.ピロリの検出法は内視鏡検査(生検)を必要とする侵襲的方法(培養による細菌学的検出法、組織学的・免疫組織学的検出法、ウレアーゼ試験法など)と、それを必要としない非侵襲的な方法とに大別される。被験者の精神的・肉体的負担、並びに試験の簡便性及び安全性の観点から、非侵襲的な方法が好ましい。
かかる非侵襲的試験法としては、H.ピロリに対する特異的血清抗体価を測定する血清学的診断法、及び同位体炭素原子を標識した尿素を経口的に投与して呼気中に排出される標識二酸化炭素を計測する尿素呼気試験法の2つが挙げられる(例えば、Sand,J.,Gastroenterol,1996,31(suppl)214,pp.44−46;Gastraenteralogy,1997,113,s93−98;Gut,1994,35,pp.723−725;Aliment.Pharmacol.Ther.1997,11,pp.641−649;Gastraenteralogy,1995,109,pp.136−141等)。
しかしながら、除菌処理によってH.ピロリ菌が根絶した後3〜6ヶ月の時点でも抗体価は低下するものの、症例の約10〜15%は陰性化まで至らないため、上記試験法のうち抗体の存在に基づく血清学的診断法は、特に除菌の判定には向いていない。
このため、最近では、抗体の有無に基づかず、安全でしかも検査時間の短い尿素呼気試験法が欧米を中心に広く採用されている。かかる試験方法は、H.ピロリが酵素ウレアーゼを大量に生産することに基づくものである。ウレアーゼは通常はヒト生体内に存在しないので、胃内におけるその存在はH.ピロリの存在を示す。すなわち、この方法はウレアーゼ生産菌であるH.ピロリが胃内に存在すると、摂取された標識尿素が分解されて、更に胃酸との反応によって、該標識尿素が二酸化炭素となって呼気中に排出されることを利用したものである(Lancet,pp.174−177(1987))。またこの方法のもう一つの利点は、胃の広い範囲でウレアーゼの存在が評価できることである。
しかしながら、従来の尿素呼気試験法は、同位体標識尿素を水溶液の形態で摂取するものであるため、服用した尿素が口腔内や咽頭内に存在するウレアーゼ生産菌によって分解されて、胃内のH.ピロリの有無の検出に偽陽性の結果を示す危険性を含んでいる。このため、かかる偽陽性検出を防ぐ手段として、標識尿素の水溶液を経口摂取した直後に被験者に水で口をすすいでもらい口腔内に残存する標識尿素を除去するか、あるいは予め口腔内・咽頭部を消毒乃至滅菌しておく等の処置が要求される。
しかしながら、このような処理は被験者並びに診断者にとっても面倒で手間がかかり、また検査に一定以上の時間がかかるだけでなく、口をすすぐまでのタイムラグによって偽陽性検出を招くおそれがあるという問題を含んでいる。
発明の開示
本発明は、尿素呼気試験に用いられる改良された経口用製剤を提供することを目的とする。具体的には、本発明は、胃粘膜のH.ピロリ感染の有無を尿素呼気試験によって簡便かつ非侵襲的に検出診断できる製剤であって、しかも口腔内や咽頭内等といった胃腸以外の器官に存在するウレアーゼ生産菌の影響を排除して偽陽性検出を招くおそれのない製剤を提供することを目的とする。また、本発明は、タイムラグなく迅速にH.ピロリ感染の有無を検出できる製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述する従来の尿素呼気試験法における問題点を解決すべく、口腔内では溶解しないが、胃内に入ると速やかに溶解して標識尿素が胃内に分散するといった生体内挙動を示す製剤を開発すべく、日夜研究を重ねていたところ、H.ピロリ感染検出のための有効成分である標識尿素に加えて、所定量の賦形剤と滑沢剤とを組み合わせてこれを核剤とし、当該核剤の表面を特定量のコーティング剤で被覆することによって、上記所望の生体内挙動が期待できる製剤が調製可能であることを見いだした。さらに、本発明者らは、上記製剤を被験者に経口投与すると、口をすすぐことを省略しても口腔内等に存在するウレアーゼ生産菌の影響をうけることなく胃内に入り、胃内ではコーティングにもかかわらず速やかに溶解分散することを見いだし、上記製剤がより迅速、簡便かつ高精度なH.ピロリ感染診断用製剤として極めて有用であることを確認した。
本発明はかかる知見に基づき完成されたものである。
すなわち本発明は、下記(1)〜(14)に掲げる、尿素呼気試験によるH.ピロリ感染の有無を検出するための製剤である:
(1)尿素呼気試験によるH.ピロリ感染の有無を検出するための製剤であって、当該製剤は核組成物が該核組成物100重量%に対して0.1〜10重量%のコーティング剤で被覆されてなるコーティング製剤であって、核組成物100重量%あたり同位体炭素元素標識尿素19〜89重量%、賦形剤10〜80重量%及び滑沢剤0.01〜1重量%が配合されてなるものであることを特徴とするコーティング製剤。
(2)核組成物100重量%に対するコーティング剤の割合が0.3〜5重量%である(1)に記載のコーティング製剤。
(3)核組成物100重量%に対するコーティング剤の割合が0.5〜3重量%である(1)に記載のコーティング製剤。
(4)核組成物100重量%あたり、同位体炭素元素標識尿素を25〜75重量%、賦形剤を20〜70重量%及び滑沢剤を0.05〜0.8重量%の割合で含有する(1)記載のコーティング製剤。
(5)核組成物100重量%あたり、同位体炭素元素標識尿素を30〜70重量%、賦形剤を35〜65重量%及び滑沢剤を0.1〜0.7重量%の割合で含有する(1)記載のコーティング製剤。
(6)核組成物が、同位体炭素元素標識尿素100重量%に対して、賦形剤を10〜450重量%、滑沢剤を0.01〜6重量%の割合で含有するものである(1)記載のコーティング製剤。
(7)核組成物が、同位体炭素元素標識尿素100重量%に対して、賦形剤を50〜150重量%、滑沢剤を0.1〜5重量%の割合で含有するものである(1)記載のコーティング製剤。
(8)コーティング剤が、水溶性高分子及び可塑剤からなるものである(1)記載のコーティング製剤。
(9)水溶性高分子が、プルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース及びポリビニルピロリドンからなる群から選択されるいずれか少なくとも1種である(8)記載のコーティング製剤。
(10)可塑剤が、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、濃グリセリン、プロピレングリコール及びポリソルベートからなる群から選択されるいずれか少なくとも1種である(8)記載のコーティング製剤。
(11)核組成物が、賦形剤として乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルスターチカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ及び部分アルファー化デンプンより選択されるいずれか少なくとも1種を含むものである、(1)記載のコーティング製剤。
(12)核組成物が、滑沢剤としてステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及び硬化油からなる群より選択されるいずれか少なくとも1種を含むものである、(1)記載のコーティング製剤。
(13)核組成物が、賦形剤として乳糖、結晶セルロース及びデンプン、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを含むものであって、コーティング剤がヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、酸化チタン及びタルクを含有するものである(1)に記載のコーティング製剤。
(14)同位体炭素元素標識尿素が13C標識尿素であることを特徴とする(1)記載のコーティング製剤。
また本発明は、下記(15)又は(16)に記載する、上記いずれかのコーティング製剤を用いるH.ピロリ感染有無の検出方法である。
(15)(1)乃至(14)のいずれかに記載のコーティング製剤を尿素呼気試験用製剤として用いて呼気試験を行うことを特徴とする、H.ピロリ感染有無の検出方法。
(16)(1)乃至(14)のいずれかに記載のコーティング製剤を被験者に投与し、一定時間後に呼気を採取して、呼気中の同位体炭素元素標識CO2と12CO2との比率を測定する工程を含む、H.ピロリ感染有無の検出方法。
また本発明は、上記いずれかのコーティング製剤を用いるH.ピロリ除菌効果の判定方法に関する。かかるH.ピロリ除菌効果の判定方法は、例えば上記(1)乃至(14)のいずかに記載のコーティング製剤をヘリコバクター・ピロリ除菌治療患者に投与し、一定時間後に呼気を採取して、呼気中の同位体炭素元素標識CO2と12CO2との比率を測定する工程を含むことによって実施できる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の製剤は、尿素呼気試験によりH.ピロリ感染の有無を検出するための製剤であって、製剤形態として有効成分を含有する核組成物がコーティング剤で被覆されてなるコーティング製剤を採用したことを特徴とするものである。
また本発明のコーティング製剤を構成する核組成物は、有効成分である同位体炭素元素標識尿素(以下、同位体C標識尿素という)に加えて、賦形剤及び滑沢剤を各々所定の割合で含むことを特徴とする。
本発明において用いられる同位体C標識尿素は、炭素の同位体で標識されてなる尿素であり、H.ピロリ感染検出のための有効成分である。炭素の同位体としては、一般に安定同位元素13C及び放射性同位元素11C又は14Cを挙げることができ、それぞれの同位体で標識された尿素として13C標識尿素及び11C標識尿素又は14C標識尿素を挙げることができる。かかる標識尿素はいずれも尿素呼気試験において採用されるものであり、本発明においてもこれらのものを常法に従って使用することができる。好ましくは、同位体C標識尿素として、安全性の高い安定同位体13Cで標識された13C標識尿素を用いることが望ましい。
核組成物に配合される上記同位体C標識尿素の配合割合は、核組成物100重量%あたり19〜89重量%の範囲であれば特に制限されない。好ましくは25〜75重量%であり、より好ましくは30〜70重量%である。
賦形剤としては、製剤調製に慣用的に用いられる賦形剤、特に錠剤の賦形剤として用いられるものを本発明においても広く使用することができる。具体的には、乳糖,白糖及びブドウ糖等の糖類;結晶セルロース,低置換度ヒドロキシプロピルセルロース,カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルメロースカルシウム)及びクロスカルメロースナトリウム等の水溶性または水膨潤性セルロース誘導体;デンプン,カルボキシメチルスターチナトリウム,カルボキシメチルスターチカルシウム,ヒドロキシプロピルスターチ及び部分アルファー化デンプン等のデンプンまたはデンプン誘導体;例えばクロスポピドン等のビニルピロリドン誘導体等が例示される。
これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくは2種以上を組み合わせて使用する態様である。この場合、上記に掲げる糖類、水溶性または水膨潤性セルロース誘導体、及びデンプンまたはデンプン誘導体の3群の中から少なくとも2種を選択して用いることが好ましい。組合せの態様は特に制限されないが、各群に属する好適な成分(糖類:乳糖、水溶性または水膨潤性セルロース誘導体:結晶セルロース、デンプンまたはデンプン誘導体:デンプン)を例に用いて例示するとすれば、乳糖と結晶セルロース若しくはデンプン、結晶セルロースとデンプン、及び乳糖と結晶セルロースとデンプンの組合せを挙げることができる。
核組成物に配合される上記賦形剤の配合割合は、核組成物100重量%あたり10〜80重量%の範囲であれば特に制限されないが、好ましくは20〜70重量%であり、より好ましくは35〜65重量%である。また当該賦形剤は、同位体C標識尿素100重量%に対して、通常10〜450重量%、好ましくは50〜150重量%の割合で配合されることが望ましい。
滑沢剤としては、製剤調製に慣用的に用いられる滑沢剤、特に錠剤の滑沢剤として用いられるものを本発明においても広く使用することができる。具体的には、ステアリン酸,ステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸カルシウム,硬化油等が例示できる。これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
核組成物に配合される上記滑沢剤の配合割合は、核組成物100重量%あたり0.01〜1重量%の範囲であれば特に制限されないが、好ましくは0.05〜0.8重量%であり、より好ましくは0.1〜0.7重量%である。また当該滑沢剤は、同位体C標識尿素100重量%に対して、通常0.01〜6重量%、好ましくは0.1〜5重量%の割合で配合されることが望ましい。
本発明のコーティング製剤の核となる核組成物には、上記成分に加えて、本発明の作用効果を妨げないことを限度に、さらに結合剤、発泡剤、着色剤、香料、矯味剤、矯臭剤、甘味料などを配合することができる。なお、これらの成分には製剤調製、特に錠剤調製に一般に使用されるものを広く用いることができる。
本発明のコーティング製剤は、少なくとも上記の同位体C標識尿素、賦形剤及び滑沢剤を含有する組成物を核(裸錠剤(核錠子)、裸丸剤、裸顆粒剤)とし、その表面をコーティング剤によって被覆することによって調製される。
本発明の製剤で用いられるコーティング剤としては、特に制限されず錠剤、丸剤、顆粒剤等に一般に用いられるコーティング剤(皮膜剤)を広く挙げることができる。好ましくは水溶性コーティング剤である。
かかる水溶性コーティング剤の例としては、プルラン、デキストリン及びアルギン酸アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)等の硫酸基を有していても良い多糖類;メチルセルロース等のメトキシル基を26〜33%有するセルロース、並びにヒドロキシプロピルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシプロポキシル基を53.4〜77.5%あるいは7〜12%有するセルロースなどの水溶性セルロース誘導体;ポリビニルピロリドン(ポリビニルピロリドンK25、K30及びK90が包含される。)やポリビニルアルコール等の水溶性ポリビニル誘導体;カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、カルボキシメチルエチルセルロース等の腸溶性高分子物質;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーEなどの胃溶性高分子物質;エチルセルロースなどの徐放性高分子物質等、の各種の水溶性高分子を挙げることができる。
これらの水溶性高分子として、好ましくはプルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩(アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースまたはポリビニルピロリドン(ポリビニルピロリドンK25、K30及びK90が包含される。)であり、より好ましくはヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
本発明のコーティング剤は、上記水溶性高分子を1種単独で含むものであってもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて含むものでもよい。
本発明において、これらの水溶性高分子からなるコーティング剤は可塑剤と併用して用いることが好ましい。かかる可塑剤には、慣用のコーティング用可塑剤を用いることができ、具体的にはマクロゴール6000やマクロゴール4000等を含むポリエチレングリコール、濃グリセリン、プロピレングリコール、ポリビニルアルコール等の多価アルコール;クエン酸トリエチル;トリアセチン;及びポリソルベート(例えば、ツィーン80等)等の界面活性剤を挙げることができる。
これらの可塑剤は1種を単独で上記任意の水溶性高分子と組み合わせて使用することもできるし、また2種以上を任意に組み合わせて水溶性高分子とともに用いることもできる。好ましい可塑剤として、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、濃グリセリン、プロピレングリコールまたはポリソルベートを挙げることができる。中でも好ましくはポリエチレングリコールまたはクエン酸トリエチルであり、より好ましくはポリエチレングリコールである。
水溶性高分子と可塑剤との組合せの態様としては、特に制限されないが、例えばヒドロキシプロピルセルロースとポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル若しくはトリアセチンとの組合せ、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースとポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル若しくはトリアセチンとの組合せを好適に例示することができる。より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースとポリエチレングリコールとの組合せである。
本発明で用いられるコーティング剤には、本発明の作用及び効果を妨げないことを限度にさらに顔料や色素等の着色料、香料、矯味剤または甘味料などを配合することもできる。かかる成分としては、製剤、特にコーティング剤に一般的に用いられるものを広く挙げることができ、例えば着色料として酸化チタン、タルク、ベンガラなどを挙げることができる。より好ましくは酸化チタン及びタルクである。かかる着色料は、本発明のコーティング製剤に所望の色を付けることを目的とするものであり、この目的を達成できることを限度にその使用量を特に制限するものでない。通常、かかる着色料はコーティング剤100重量%あたり1〜70重量%、好ましくは5〜50重量部の割合で使用される。また酸化チタンとタルクを併用する場合において、コーティング剤に含まれる酸化チタンとタルクの配合割合は酸化チタン100重量部に対してタルクが25〜175重量部、好ましくは50〜150重量部の割合である。
核組成物(例えば裸錠剤(核錠子)、裸丸剤、裸顆粒剤)を被覆するために用いられるコーティング剤の割合は、核組成物100重量%に対して0.1〜10重量%の範囲から適宜選択されるが、好ましくは0.3〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%の範囲を挙げることができる。10重量%を大きく越えると胃内での皮膜の溶解が遅延し核組成物の分散溶解が極端に遅れて、迅速な診断に影響を与えるため好ましくない。また0.1重量%を大きく下回ると、口腔や咽頭内のウレアーゼ生産菌の影響を完全に防御できず、診断結果として偽陽性を表示するおそれがある。
なお、これらコーティング剤による核組成物の被覆方法は、特に制限されず核組成物乃至は最終製剤の形態に応じて常法に従って行うことができる。
本発明のコーティング製剤は、本発明の作用効果を奏するものであれば、その形態を特に制限するものではなく、例えば錠剤、丸剤及び顆粒剤の任意の形態を有することができる。好ましくは錠剤、丸剤の形態であり、より好ましくは錠剤である。かかる製剤はいずれも当業界において慣用的に用いられる方法に従って製造することができる。
例えば錠剤に調製する場合、本発明のコーティング製剤は、まず前述する少なくとも3成分(同位体C標識尿素、賦形剤、滑沢剤)を含む組成物を錠剤として調製した後、これを核錠子として該表面をコーティング剤で被覆することによって調製できる。核錠子は、具体的には、滑沢剤を除く上記2成分(同位体C標識尿素、賦形剤)、またはこれに更に他の適当な添加剤を加えて、均等に混和したものを顆粒状にした後、滑沢剤を加えて圧縮成型する顆粒圧縮法(間接圧縮法)、または上記3成分をそのまま、または更にその他の適当な添加剤を加えて均等に混和したものを直接圧縮成型する直接粉末圧縮法(直打法)によって製造することができる。なお、本発明においては、上述の直接粉末圧縮法及び顆粒圧縮法のいずれもが使用できるが、好ましくは造粒工程を経る必要がない点で直接粉末圧縮法である。コーティング剤での被覆は常法に従って実施でき、具体的にはコーティングパンまたは流動層コーティング装置等を用いる方法が例示できる。
本発明のコーティング製剤は、有効成分たる同位体C標識尿素を製剤投与単位あたり10〜300mg、好ましくは50〜150mg含むように調製される。
本発明のコーティング製剤は、H.ピロリ感染の有無の検出判定に有用である。
よって本発明は、本発明のコーティング製剤を用いるH.ピロリ感染の有無の検出方法を提供する。当該検出方法は、H.ピロリ感染の有無を判定するために従来より行われている尿素呼気試験法を、尿素呼気試験用製剤として前述する本発明のコーティング製剤を用いて行うことにより実施することができる。具体的には、本発明のコーティング製剤を被験者に経口投与した後、呼気を採取して、呼気中に排出される同位体炭素元素標識CO2量を同位体炭素元素標識CO2/12CO2比率として測定し、その値からH.ピロリ感染の有無を判定することができる。
この場合、投与後の呼気採取時期は特に制限されない。例えば本発明のコーティング製剤を投与した後、呼気採取を経時的に行って呼気中の同位体炭素元素標識CO2/12CO2比率を経時的に測定することもできるが、後述する実施例3の結果(図1)から分かるように、本発明のコーティング製剤投与後のΔ同位体炭素元素標識C(‰)値〔例えば、製剤投与後の各採取時における呼気中13CO2/12CO2濃度比(δ13C値)と製剤投与前の呼気中のδ13C値との差〕の挙動は、H.ピロリ感染の陽性者と陰性者とで明らかに異なる。よって、投与後のある1時点における呼気中のΔ同位体炭素元素標識C(‰)値を測定すれば、その値からH.ピロリ感染の有無を判定することができる。呼気採取時期として、具体的には、通常投与から5〜60分後、好ましくは10〜30分後を例示することができる。
呼気サンプル中に含まれる標識CO2の測定・分析は、使用する同位元素が放射性か非放射性かによって異なるが、液体シンチレーションカウンター法、質量分析法、赤外分光分析法、発光分析法、磁気共鳴スペクトル法等といった一般に使用される分析手法を用いて行うことができる。好ましくは測定精度の点から赤外分光分析法及び質量分析法である。
本発明のコーティング製剤は、通常、空腹時に、水とともに経口投与することが望ましい。本発明の製剤の投与単位形態中に配合される標識尿素の量は、特に制限されないが、通常投与単位あたり10〜300mgの範囲から適宜選択調整することができる。
また、本発明のコーティング製剤は、H.ピロリ除菌療法後の除菌効果の判定にも有用である。よって本発明は、本発明のコーティング製剤を用いるH.ピロリ除菌効果の判定方法を提供する。当該判定は、H.ピロリ除菌治療をうけた患者に本発明のコーティング製剤を投与して尿素呼気試験法によって呼気中に排泄される同位体炭素元素標識CO2量を同位体炭素元素標識CO2/12CO2比率として測定することによって実施することができる。具体的には前述するように、通常空腹時、例えば13C標識尿素を投与単位あたり10〜300mg含む本発明のコーティング製剤を、水と共にH.ピロリ除菌治療をうけた患者に服用させ、5〜60分後、好ましくは10〜30分後に呼気を採取し、それを質量分析計あるいは赤外分光計などの装置に供して、呼気中の13CO2と12CO2との比率を測定する方法を例示することができる。
実施例
以下に参考例及び実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。ただし、本発明はこれらの実施例等によって何ら制限されるものではない。
参考例1
表1に示す各成分をそれぞれの配合割合で混合して、常法に従って直打法を用いて打錠して、参考例1の錠剤を作成した。これらの錠剤を、日本薬局方(第13改正)記載の溶出試験法(第2法(バドル法)、試験液:水、液温:37±0.5℃、パドル回転数:50rpm)に従って試験し、20秒後及び60秒後の尿素溶出率(%)を求めた。結果を表1に併せて示す。
【表1】
この結果から、錠剤成分として、少なくとも尿素、賦形剤(乳糖、結晶セルロース、コーンスターチ)及び滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を配合した錠剤の溶出は速やかであり、これを経口投与すると口腔内で速やかに溶解すると考えられた。
実施例1
尿素を同位体13C標識尿素とする以外は参考例1と同じ処方で調製した錠剤を調製し、これを核錠子としてそれらの表面にヒドロキシプロピルメチルセルロース/ポリエチレングリコール/酸化チタン/タルク=6/2/1/1(重量比)の水溶液を、皮膜重量割合が核錠子100重量%に対して2重量%となるように、一般のコーティング製剤の製造に用いられるコーティング法を用いて被覆して本発明のコーティング錠剤を調製した。当該コーティング錠剤について、参考例1と同様に、日本薬局方(第13改正)記載の溶出試験法(第2法(バドル法)、試験液:水、液温:37±0.5℃、パドル回転数:50rpm)に従って試験し、20秒後、60秒後及び10分後の13C尿素溶出率(%)を求めた。製造組成及び溶出試験の結果を表2に示す。
【表2】
この結果より、尿素の溶出は投与後20秒では認められず、また60秒では若干溶出したのみであった。このことから、通常の方法で水とともに本発明のコーティング錠剤を飲み込むことによって、口腔内で溶解することなく胃内に入り、胃内で標識尿素が溶出すること、すなわち口腔内でのウレアーゼの影響を受けることなく、胃内のH.ピロリ感染の有無を評価できだろうと予測された。
実施例2
上記実施例1の結果をもとにして、核錠子に対するコーティング剤の皮膜重量割合を検討した。具体的には、核錠子100重量%に対する皮膜重量割合が0〜20重量%(0,0.1,0.3,0.5,1,2,3,5,10,15,20重量%)の範囲にあるコーティング錠剤を実施例1に従って調製し、これらの各錠剤について崩壊試験を行って、錠剤が崩壊するまでのラグタイム及び崩壊時間を測定した。試験に用いたコーティング錠剤の核錠子の組成を下記に示す。
<核錠子>
13C尿素 100.0mg
乳糖(ダイラクトーズS,フロイント産業(株)製) 34.4mg
結晶セルロース(アビセルPH−101,旭化成) 60.0mg
コーンスターチ 5.0mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
上記核錠子100重量%に対して0.1〜20重量%のコーティング剤を有するコーティング錠剤を、下記成分を1重量%又は8重量%の割合で含むコーティング溶液を用いて調製した。
<コーティング溶液>
ヒドロキシプロピルセルロース(TC−5RW,信越化学工業(株)製) 6重量部
マクロゴール6000 2重量部
酸化チタン 1重量部
タルク 1重量部
(1)崩壊時間の測定(崩壊試験法)
上記で調製した各コーティング錠剤を、日本薬局方(第13改正)記載の崩壊試験法(「適当なコーティング剤で剤皮を施した錠剤」の試験法を使用、試験液:水、液温:37±2℃、試料錠剤6個)に従って試験し、試料錠剤の残留物をガラス管内に認めないか、認めても皮膜若しくは海綿状の物賀であるか、若しくは軟質の物質若しくは泥状の物質がわずかであるような状態になる時間を測定して崩壊時間とした。
(2)ラグタイムの測定(溶出試験法)
上記で調製した各コーティング錠剤を、日本薬局方(第13改正)記載の溶出試験法(第2法(パドル法)を使用、試験液:水(500ml)、液温:37±0.5℃、パドル回転数:75rpm)に従って試験し、パドル回転開始から錠剤が崩壊を開始するまでの時間を測定してラグタイムとした。
上記試験によって得られた各コーティング錠剤の崩壊時間とラグタイムを表3に示す。
【表3】
崩壊試験の結果から、コーティング量が0〜3重量%の範囲にあるコーティング製剤では崩壊時間に殆ど差がなく、5重量%のコーティング製剤でやや遅延がみられ、10重量%を越えると崩壊に2分以上かかることがわかった。また、溶出試験の結果から、0.1重量%でコーティングすることによって核錠子の溶出開始を遅延させることができ(ラグタイムの発生)、そのラグタイムはコーティング量0.3重量%以上、好ましくは0.5重量%以上とすることによって所望の時間を延長させることができた。また、コーティング量が1〜5重量%の範囲にあるコーティング製剤ではラグタイムに殆ど差がなかった。しかし、コーティング量が10重量%を越えるとラグタイムは格段に長くなり、核錠子の溶出にかなりの時間を要すると考えられた。これらの結果から、核組成物100重量%に対するコーティング剤の割合として、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%、さらに好ましくは1〜3重量%の範囲が望ましいと判断された。
実施例3
実施例1で調製した本発明のコーティング製剤を用いて、下記の試験を行った。
具体的には、成人男子を対象として13C標識尿素溶液を用いた13C標識尿素呼気試験により、H.ピロリ陰性者14名とH.ピロリ陽性者6名の計20名を選択し、これらの者を被験者として以下の試験を行った。
まず上記の被験者20名をA群とB群の2群(各群:H.ピロリ陰性者7名とH.ピロリ陽性者3名の計10名)に分け、各群の被験者に対して本発明のコーティング製剤を用いた13C標識尿素呼気試験を7日の間隔をおいて2回実施した。具体的には、A群については、まず1回目の呼気試験時に口腔内洗浄を行い(口腔内洗浄実施)、2回目の呼気試験時に口腔内洗浄を行わなかった(口腔内洗浄非実施)。B群については、まず1回目の呼気試験時に口腔内洗浄を行わず(口腔内洗浄非実施)、2回目の呼気試験時に口腔内洗浄を行った(口腔内洗浄実施)。
呼気試験は、各被験者にコーティング製剤を100mLの水と一緒に飲んでもらい、錠剤服用前、服用後5分、10分、15分、20分及び30分の6ポイントにおいて、約300mL容量のアルミネートバッグに呼気を採取することによって行った。採取した呼気の分析は自動13CO2尿素呼気分析装置(GC−MS、商品名:ABCA−G(Europa Scientific社製))を用いて行い、アルミラミネートバッグから専用の減圧サンプル管に採取した各呼気サンプルのδ13C値(‰)(各採取時における呼気中13CO2/12CO2濃度比)を測定した。次いで、製剤服用前の呼気サンプルのδ13C値(‰)と服用後の各採取時の呼気サンプルδ13C値(‰)との差であるΔ13C値(‰)を計算した。
各被験群(H.ピロリ陰性者及び陽性者の口腔内洗浄実施群と口腔内洗浄非実施群)について、製剤経口投与後から経時的にΔ13C値(‰)(製剤投与後の各採取時における呼気中13CO2/12CO2濃度比(δ13C値)と製剤投与前の呼気中のδ13C値との差)を測定した結果を図1に示す。なお図中、●はH.ピロリ陰性14例(口腔内洗浄実施群)、○はH.ピロリ陰性14例(口腔内洗浄非実施群)を対象とした結果を、◆はH.ピロリ陽性6例(口腔内洗浄実施群)、及び◇はH.ピロリ陽性6例(口腔内洗浄非実施群)を対象とした結果を示す。各グラフは、全被験者の平均値±標準誤差を表示する。
(1)口腔・咽頭内細菌の影響
図1に示すH.ピロリ陰性者群に対する試験結果(図中、●及び○で示す。)から、本発明のコーティング製剤を被験診断剤とすることによって、口腔内洗浄を省略しても口腔・咽頭内細菌の影響に基づくと思われるΔ13C値の変化は観察されないことが示された。
(2)H.ピロリ陽性者でのΔ13C値(‰)変化パターン
H.ピロリ陽性者群(図中、◆及び◇で示す。)については胃内のH.ピロリ菌のウレアーゼ活性を反映したΔ13C値(‰)が検出できたのに対し、H.ピロリ陰性者群(図中、●及び○で示す。)については上記するようにΔ13C値(‰)の変化は殆ど観察されなかった。このことから、本発明のコーティング製剤を被験診断剤とすることにより、H.ピロリ陽性者のΔ13C値(‰)と陰性者のΔ13C値(‰)とが明確に区別して検出でき、H.ピロリ陽性者とH.ピロリ陰性者が正確に判別できること、すなわちH.ピロリ感染の有無を正確に判別できることが確認できた。
以上のことから、13C標識尿素などを含む裸錠剤(核錠子)に一定の割合でコーティングを施すことによって、口腔・咽頭内のウレアーゼ生産菌の影響が完全に排除でき、H・ピロリ感染の有無が判別できることが確認された。
産業上の利用可能性
従来のH.ピロリ感染の診断剤は、同位体C標識尿素の粉剤を水に溶解して水溶液として用いられることから口腔内や咽頭内のウレアーゼ生産性細菌の影響を受けやすく、その結果、偽陽性の検出結果を示す場合があった。このため、より正確な判定を行うためには、標識尿素含有溶液服用直後に口をすすぐことが必要であったり、口腔内細菌の影響の可能性が小さくなる20分以降の呼気によって判定するなどの制約があった。
本発明のコーティング製剤によれば、口腔内や咽頭内に存在するウレアーゼ生産菌の影響が完全に排除されるため上記のような制約を受けることなく、しかも胃内での有効成分の溶解及び分散が速やかであるため、服用後より早い時期に呼気を採取し標識二酸化炭素を測定することによって、迅速にH.ピロリ感染の有無を判定することが可能となる。また、口腔内の細菌の影響が排除されるということは、H.ピロリ感染の有無を判定する基準であるCut off値をより厳密且つ低く設定できることを意味し、これによって一層検出精度を上昇させることができ、また判定時間を短縮することができる。すなわち、本発明のコーティング製剤は、より迅速、簡便かつ高精度なH・ピロリ感染診断用剤として極めて有用な製剤である。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例3において、各被験群(H.ピロリ陰性者及び陽性者の各口腔内洗浄実施群と口腔内洗浄非実施群)に13C標識尿素含有錠剤(2重量%コーティング)を経口投与し、その後経時的にΔ13C値(‰)〔製剤投与前の呼気中13CO2/12CO2濃度比(δ13C値)と投与後の各採取時における呼気中δ13C値との差〕を測定した結果を示すものである。なお図中、●はH.ピロリ陰性者(口腔内洗浄実施群)、○はH.ピロリ陰性者(口腔内洗浄非実施群)、◆はH.ピロリ陽性者(口腔内洗浄実施群)、及び◇はH.ピロリ陽性者(口腔内洗浄非実施群)をそれぞれ対象とした結果である。また各グラフは、全被験者の平均値±標準誤差を表示する。
Claims (16)
- 尿素呼気試験によるヘリコバクター・ピロリ感染の有無を検出するための製剤であって、当該製剤は核組成物が該核組成物100重量%に対して0.1〜5重量%のコーティング剤で被覆されてなるコーティング製剤であって、核組成物100重量%あたり同位体炭素元素標識尿素19〜89重量%、賦形剤10〜80重量%及び滑沢剤0.01〜1重量%が配合されてなり、上記賦形剤が
(a)乳糖、白糖、及びブドウ糖よりなる群より選択される少なくとも1種の糖類、
(b)結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、及びクロスカルメロースナトリウムよりなる群より選択される少なくとも1種の水溶性または水膨潤性セルロース誘導体、及び
(c)デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルスターチカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、及び部分アルファー化デンプンよりなる群から選択される少なくとも1種のデンプンまたはデンプン誘導体
を組み合わせてなるものであることを特徴とするコーティング製剤。 - 核組成物100重量%に対するコーティング剤の割合が0.3〜5重量%である請求項1に記載のコーティング製剤。
- 核組成物100重量%に対するコーティング剤の割合が0.5〜3重量%である請求項1に記載のコーティング製剤。
- 核組成物100重量%あたり、同位体炭素元素標識尿素を25〜75重量%、賦形剤を20〜70重量%及び滑沢剤を0.05〜0.8重量%の割合で含有する請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング製剤。
- 核組成物100重量%あたり、同位体炭素元素標識尿素を30〜70重量%、賦形剤を35〜65重量%及び滑沢剤を0.1〜0.7重量%の割合で含有する請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング製剤。
- 核組成物が、同位体炭素元素標識尿素100重量%に対して、賦形剤を10〜450重量%、滑沢剤を0.01〜6重量%の割合で含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング製剤。
- 核組成物が、同位体炭素元素標識尿素100重量%に対して、賦形剤を50〜150重量%、滑沢剤を0.1〜5重量%の割合で含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング製剤。
- コーティング剤が、水溶性高分子及び可塑剤からなるものである請求項1〜7のいずれかに記載のコーティング製剤。
- 水溶性高分子が、プルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース及びポリビニルピロリドンからなる群から選択されるいずれか少なくとも1種である請求項8記載のコーティング製剤。
- 可塑剤が、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、濃グリセリン、プロピレングリコール及びポリソルベートからなる群から選択されるいずれか少なくとも1種である請求項8記載のコーティング製剤。
- 核組成物が、賦形剤として乳糖、結晶セルロース及びデンプンの組み合わせを含むものである、請求項1〜10のいずれかに記載のコーティング製剤。
- 核組成物が、滑沢剤としてステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及び硬化油からなる群より選択されるいずれか少なくとも1種を含むものである、請求項1〜11のいずれかに記載のコーティング製剤。
- 核組成物が、賦形剤として乳糖、結晶セルロース及びデンプン、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを含むものであって、コーティング剤がヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、酸化チタン及びタルクを含有するものである請求項1〜12のいずれかに記載のコーティング製剤。
- 同位体炭素元素標識尿素が13C標識尿素であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のコーティング製剤。
- 請求項1〜14のいずれかに記載のコーティング製剤が投与された被験者から採取された呼気中の同位体炭素元素標識CO2と12CO2との比率を測定する工程を含む、ヘリコバクター・ピロリ感染有無の検出方法。
- 請求項1〜14のいずれかに記載のコーティング製剤が投与されたヘリコバクター・ピロリ除菌治療患者から採取された呼気中の同位体炭素元素標識CO2と12CO2との比率を測定する工程を含む、ヘリコバクター・ピロリ除菌効果の測定方法。
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